交通事故の損害賠償請求とは?賠償金の費目・相場・計算方法を解説

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交通事故の損害賠償請求

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

交通事故の損害賠償請求とは、加害者に対して治療費や慰謝料などを請求することです。

この記事では、交通事故で請求できる損害賠償金の内訳や計算方法、損害賠償金を受け取る方法など、交通事故の損害賠償について知っておくべきことを網羅的に解説しています。

損害賠償金の相場や増額事例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

交通事故の損害賠償とは?

損害賠償とは、加害者の不法行為によって生じた損害を補償してもらうことです。

交通事故においては、加害者の安全運転義務違反は不法行為であり、被害者は不法行為によって損害を受けたと評価されます。

交通事故の被害者が損害賠償として請求できるのは、「精神的損害」と「財産的損害」の2種類です。

損害賠償は交通事故の加害者が負う責務

民法709条では、不法行為を行い他人に損害を与えた者は、その損害を賠償する責任を負うとされています。

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

民法第709条

交通事故の加害者が被害者に賠償をするのは、法律で定められた責務です。

交通事故の被害者は、上記の法律を根拠に、加害者に対して交通事故で負った損害(精神的な苦痛、治療費、仕事を休んだ分の給料など)の賠償を請求できます。

損害賠償請求の相手は加害者だけとは限らない

交通事故の被害にあったときは、基本的に加害者、つまり交通事故を起こした相手(自動車の運転手)に対して損害賠償請求を行います。

しかし、交通事故の態様によっては、自動車の運転手以外にも「使用者」や「運行供用者」に損害賠償を請求できる可能性があります。

使用者

業務上の目的により運転手に車を運転させていた人のこと。

加害者の雇用主など。

営業のため従業員が運転していて事故を起こした場合や、マイカー通勤を認めている会社において通勤のため運転していた従業員が事故を起こした場合などでは、その従業員を雇用している会社も賠償責任を負う。

運行供用者

車自体を所有することにより利益を得ている人のこと。

レンタカー業者、社用車の所有者である会社、子の車両維持費用を負担している親、運転代行業者など。

法的には「自己のために自動車を運行の用に供する者」と言う。

また、他人が運転する車に乗車しているときに事故に遭い、ケガを負った場合には、車の運転手に損害賠償請求できるケースがあります。

運転供用者が存在する場合や、他人の車に同乗していて事故に遭った場合については、以下の関連記事で詳しく解説しています。

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交通事故の損害賠償金の内訳

交通事故で請求できる損害賠償には、精神的損害と財産的損害の2種類があります。

精神的損害とは、事故によって生じた精神的な苦痛のことを言います。

財産的損害とは、治療費がかかった、仕事を休んで収入が減ったなど、財産の面で生じた損害です。財産的損害は、積極損害と消極損害に分けられます。

また、上記の他に、車両の修理費や評価損といった物的損害についても、損害賠償を請求できます。

交通事故の損害賠償金の内訳一覧

交通事故の損害賠償金のうち、人身部分の内訳は以下のとおりです。

損害賠償金の内訳(人身部分)

  • 精神的損害
    • 入通院慰謝料
    • 後遺障害慰謝料
    • 死亡慰謝料
  • 財産的損害(積極損害)
    • 治療費
    • 付添看護費
    • 入院雑費
    • 交通費
    • 器具・装具費
    • 葬儀費用 など
  • 財産的損害(消極損害)
    • 休業損害
    • 後遺障害逸失利益
    • 死亡逸失利益

また、損害賠償金のうち、物損部分の内訳は以下のとおりです。
なお、物損部分については基本的に精神的損害は認められません。

損害賠償金の内訳(物損部分)

  • 財産的損害
    • 車両の修理費
    • 車両の買替費用
    • 評価損
    • 代車費用
    • 休車損害 など

それぞれの費目について、具体的にどのような内容か確認していきましょう。

(1)慰謝料|入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料

交通事故の被害に遭ったとき、被害者は精神的な苦痛を受けることになるでしょう。
精神的な苦痛を緩和・除去するための金銭的な賠償が「慰謝料」です。

交通事故における慰謝料は「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3つに分けられます。

交通事故の慰謝料については、関連記事でもくわしく解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。

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入通院慰謝料

入通院慰謝料は、交通事故でケガを負ったことによる精神的苦痛に対する補償です。

入通院慰謝料の金額は、原則として入通院の期間に応じて決まります。

なお、入通院慰謝料は傷害慰謝料と呼ばれることもあります。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対する補償です。

交通事故で負ったケガの重さによっては、治療しても後遺症が残ってしまう場合があります。

交通事故の後遺症のうち、一定の要件を満たし、特別な賠償の対象となるような症状を「後遺障害」といいます。

後遺障害に認定されると、後遺障害慰謝料が請求できるようになるのです。

後遺障害慰謝料の金額は、原則として認定された後遺障害の等級に応じて決まります。

死亡慰謝料

死亡慰謝料は、事故被害者が亡くなったことによる精神的苦痛に対する補償です。

死亡慰謝料は、亡くなった被害者本人の他に、父母や配偶者、子といった近親者も請求が認められます。

死亡慰謝料の金額は、被害者の立場ごとに基準が存在します。

(2)積極損害|治療費、入通院費用など

慰謝料以外のものは、すべて財産的損害に該当します。

財産的損害のうち、交通事故によって被害者が実際にお金を支払わなくてはいけなくなった損害のことを積極損害と言います。

それぞれの費目をくわしく確認していきましょう。

なお、各費目の金額は、弁護士が損害賠償金を計算する際に用いる「弁護士基準」で計算した場合の金額です。

治療費

治療費は、具体的には応急手当費、診察料、投薬料、手術料などを指します。

交通事故によって負ったケガの治療費は、交通事故と関係がある部分については、実費全額が損害賠償金として認められます。

しかし、整骨院での治療や温泉療法などについては、交通事故との因果関係について争いになりやすいので注意が必要です。

交通事故における治療費について詳しく知りたい方は『交通事故の治療費は誰が支払う?』の記事もご覧ください。

付添看護費

付添看護費とは、事故被害者の通院に付き添いが必要だった場合にかかる費用のことです。

被害者の家族が付き添いをした場合は、入院1日につき6,500円、通院1日につき3,300円が認められます。

ヘルパーなど専門家が付き添いをした場合には、実費全額が認められるでしょう。

原則として、医師から付き添いの指示があれば、付添看護費の請求が認められます。

交通事故における付添看護費について詳しく知りたい方は『交通事故の付添費|付き添いに認められる範囲と相場は?』の記事がおすすめです。

入院雑費

入院中に発生した、ガーゼなどの購入費や通信費といった雑費も、損害賠償として請求することができます。

ただし、かかった雑費のすべてが無制限に認められるわけではありません。

実務上は、1日あたり1,500円といった形で認められることが多いでしょう。

交通費

入通院をするために発生した交通費についても、損害賠償請求が可能です。

交通費としては、原則として公共交通機関の利用料金が認められます。

ただし、足をケガして公共交通機関の利用が著しく困難だったケースなどでは、タクシー代の請求が認められることもあります。

器具・装具費

交通事故によってケガを負ったとき、場合によっては松葉づえや車いす、義肢やメガネ、コンタクトレンズなどの器具や装具を購入しなくてはならないこともあります。

このような器具・装具についても賠償の対象となります。

原則として、かかった実費全額が器具・装具費として認められるでしょう。

なお、長期間にわたって使用する器具・装具については、将来のメンテナンス費用・買替費用も必要になることが想定されます。

長期間にわたって使用する器具・装具がある場合は、将来の費用についても一括で請求することになるでしょう。

葬儀費用

交通事故により被害者が亡くなった場合は、葬儀費用も損害賠償金として請求できます。

葬儀費用としては、最大150万円まで請求が認められるでしょう。

なお、葬儀費用としては、通夜や葬儀などの法要だけではなく、墓石や仏壇の設置などにかかったお金も請求できることがあります。

その他

これまで紹介してきた費目の他に、以下のような費用も損害賠償金として請求できます。

ただし、いずれも交通事故との因果関係が認められるものに限ります。

  • 診断書の発行手数料
  • 医師への謝礼
  • 後遺障害に対応するための家屋のリフォーム代 など

「このような費用は損害賠償金として請求できる?」という疑問がある場合は、弁護士に1度相談してみることをおすすめします。

(3)消極損害|休業損害、逸失利益

財産的損害のうち、事故がなければ本来得られていたであろう利益のことを消極損害と言います。

具体的にどのような費目が消極損害として請求可能なのか、確認していきましょう。

休業損害

交通事故によりケガを負うと、仕事を休まざるを得なくなることがあります。

仕事を休まざるを得なくなったために生じた損失を休業損害と言います。

休業損害は、基本的に「日額×実際に休んだ日数」で計算されます。

なお、休業損害は、専業主婦や一部の無職者も請求することが可能です。

後遺障害逸失利益

交通事故で後遺障害が残った場合、事故前のように業務に取り組めなくなり、収入に影響が出ることがあります。

このような将来にわたる減収の補償として、後遺障害逸失利益を請求できます。

後遺障害逸失利益は、事故前の収入や、労働能力が失われた割合や期間をもとに計算されます。

死亡逸失利益

被害者が亡くなった場合も、本来ならば得られていたはずの収入が得られなくなるでしょう。

被害者が亡くなったことにより将来にわたって得られなくなる収入の補償が、死亡逸失利益です。

死亡逸失利益は、事故前の収入や、事故で亡くならなければ働いていたはずの期間などをもとに計算されます。

(4)物的損害|車の修理費など

交通事故では、これまでご紹介してきた人身への損害の他に、物的な損害についても損害賠償を請求することができます。

物的損害の費目のうち、代表的なものをいくつかご紹介します。

車両の修理費

車の修理にかかった費用は、加害者側に損害賠償を請求することができます。

ただし、修理費のすべてが認められるわけではありません。

修理費が認められるのは、修理の妥当性が認められる範囲までです。

車両の買替費用

事故によって車が物理的に全損し、修理が不可能である場合は、修理費ではなく買替費用を加害者側に請求できます。

請求できる金額は、新車の価格ではなく、同一の車種かつ同程度の使用状態である中古車の価格です。

また、「経済的全損」という車を修理するよりも同一の車種かつ同程度の使用状態である中古車に買い替えた方が安い状態に判断された場合は、修理費ではなく買替費用が補償されます。

評価損

車を修理した場合、修理した箇所によっては修復歴が残ってしまいます。

修復歴があると、中古車市場における市場価格が下がってしまいます。

このような、事故による修理で下がった市場価格分については、評価損として加害者側に請求できるのです。

代車費用

車を修理している間、代車が必要な場合は、代車費用を加害者側に請求できます。

ただし、代車費用が認められるのは、車を業務で使用していた場合がほとんどです。

車を通勤や買い物に使用していた場合は、他の交通手段があるとして、代車費用が認められないことが多いのです。

休車損害

車を業務で使用していた場合、修理などで車が使えなかった期間に得られていたはずの利益を休車損害として加害者側に請求できます。

タクシーやバス、営業用のトラックなどが被害にあったケースでは、休車損害を認められることが多いでしょう。

その他

これまで紹介してきた費目の他に、以下の費用についても加害者側への請求が認められることがあります。

  • レッカー代
  • 廃車にかかる費用
  • 車両の買替に伴う登録費用 など

なお、先述のとおり、物損部分については基本的に慰謝料の請求が認められません。

交通事故の損害賠償金の計算方法と相場

次は、交通事故の損害賠償金の計算方法や相場を確認していきましょう。

交通事故の損害賠償金には、算定基準が複数存在します。
損害賠償金の金額は、用いる算定基準によって大きく変動するので、注意が必要です。

損害賠償金の算定基準は3つある|弁護士基準が最も高額

交通事故の損害賠償金の算定基準は、以下の3種類があり、算定者によってどの基準を用いるかが異なります。

慰謝料金額相場の3基準比較

損害賠償金が最も高額となるのは、弁護士基準で計算したときです。
しかし、加害者側の任意保険会社は、任意保険基準で計算した損害賠償金を示談交渉で提示してきます。
つまり、加害者側から提示された損害賠償金の金額は、増額の余地があるのです。

ここからは、各基準ごとに、慰謝料・休業損害・逸失利益の計算方法を紹介します。
ただし、任意保険基準は非公開であるため、ここでは割愛します。

(1)入通院慰謝料を基準ごとに比較

入通院慰謝料は、入通院期間の長さに応じて支払われます。

自賠責基準の場合、入通院慰謝料は以下のように計算します。

自賠責基準の計算方法

日額(4,300円)×対象日数

対象日数は次のうちいずれか少ない方

  • 通院期間
  • 実通院日数の2倍

※2020年3月31日以前に発生した交通事故の場合、日額は4,200円。

一方、弁護士基準では、入通院慰謝料は以下の算定表で計算します。

算定表は2種類ありますが、基本的には「重傷」の表を参照し、むちうち・打撲・すり傷などの場合に限り「軽傷」の表を参照してください。

弁護士基準の入通院慰謝料(重傷)

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

弁護士基準の入通院慰謝料(軽傷)

軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表

算定表の使い方

  • 「入院」と「通院」の月数の交わるマスが慰謝料の相場となる。
  • 「1月」は30日とする。
  • 入通院期間が35日など、30日で割り切れない場合は、日割り計算を行う。

入通院慰謝料の金額を、基準ごとに比較してみましょう。

自賠責基準と弁護士基準の入通院慰謝料の比較

モデルケース自賠責弁護士
通院期間30日
(実通院日数15日)
12.9(重傷)28
(軽傷)19
通院期間90日
(実通院日数45日)
38.7(重傷)73
(軽傷)53
入院期間30日、通院期間90日
(実通院日数60日)
51.6(重傷)115
(軽傷)83

※2020年4月1日以降に発生した交通事故の場合
※単位:万円

上記の表からわかるように、自賠責基準で計算した入通院慰謝料が、弁護士基準で計算した入通院慰謝料を超えることはほとんどありません。

なお、交通事故の慰謝料が通院1日あたりいくらになるかについては『交通事故の慰謝料は通院1日いくら?』の記事でも解説しています。

(2)後遺障害慰謝料を基準ごとに比較

後遺障害慰謝料は、認定された後遺障害等級に応じて、目安となる金額が決められています。

なお、同じ後遺障害等級であっても、自賠責基準と弁護士基準では金額が異なります。

後遺障害慰謝料の金額

等級 自賠責弁護士
1級・要介護 1,650
(1,600)
2,800
2級・要介護1,203
(1,163)
2,370
1級1,150
(1,100)
2,800
2級998
(958)
2,370
3級861
(829)
1,990
4級737
(712)
1,670
5級618
(599)
1,400
6級512
(498)
1,180
7級419
(409)
1,000
8級331
(324)
830
9級249
(245)
690
10級190
(187)
550
11級136
(135)
420
12級94
(93)
290
13級57
(57)
180
14級32
(32)
110

※()は2020年3月31日までに発生した交通事故の場合
※単位:万円

後遺障害等級によっては、自賠責基準と弁護士基準で後遺障害慰謝料が1,000万円以上異なることもあるのです。

後遺障害慰謝料については、『交通事故の後遺症で後遺障害慰謝料を請求!』の記事で詳しく解説しています。

(3)死亡慰謝料を基準ごとに比較

死亡慰謝料は、亡くなった被害者本人と遺族に対する慰謝料です。

なお、被害者本人は損害賠償を請求できないので、相続人が損害賠償請求権も共に相続したと考えてください。

死亡慰謝料の金額は、自賠責基準と弁護士基準で以下のように異なります。

死亡慰謝料の金額

被害者自賠責弁護士
一家の支柱400(350)2,800
母親・配偶者400(350)2,500
独身の男女400(350)2,000~2,500
子ども400(350)2,000~2,500
幼児400(350)2,000~2,500
以下は該当する場合のみ
+遺族1名550
+遺族2名650
+遺族3名以上750
+被扶養者あり200

※単位:万円
※遺族とは、被害者の配偶者、子、両親を指す。(認知した子、義父母などを含む)

弁護士基準では、被害者が経済活動で果たしていた役割に応じて金額の目安が分かれています。

自賠責基準では、本人への慰謝料は一定の金額が定められています。
定められた金額に、遺族の人数や扶養者の有無に応じて、加算が行われることになるのです。

自賠責基準と弁護士基準の死亡慰謝料をモデルケースで比較してみましょう。
たとえば、被害者が一家の支柱であり、配偶者と子ども1名を扶養していたとします。
この場合、死亡慰謝料は、自賠責基準で計算すると1,250万円、弁護士基準で計算すると2,800万円になります。

モデルケースからわかるように、死亡慰謝料は、自賠責基準と弁護士基準で1,000万円以上異なることも珍しくありません。

死亡事故の慰謝料については、『死亡事故の慰謝料相場はいくら?遺族が請求すべき損害賠償金の解説』の記事もお役立てください。

(4)休業損害を基準ごとに比較

休業損害は、「日額×実際に休んだ日数」で計算されます。

自賠責基準と弁護士基準では、日額の考え方が異なります。

自賠責基準では、日額として一定の金額が定められています。
一方、弁護士基準では、交通事故にあう前の被害者の収入を元に、日額を計算します。

休業損害における「日額」の考え方

自賠責弁護士
日額6,100円(5,700円)事故前3ヶ月の収入
÷実労働日数

※()は2020年3月31日までに発生した交通事故の場合

事故前3ヶ月の収入が低かったり、実労働日数が極端に多かったりする場合は、自賠責基準で計算した休業損害の方が高くなる可能性はあります。
しかし、多くの場合は、弁護士基準で計算した方が休業損害は高額になります。

休業損害の詳しい計算方法は、関連記事『交通事故の休業損害は職業別に計算方法がある』の記事をお役立てください。

(5)逸失利益の計算方法は一律

逸失利益の計算方法自体は、自賠責基準と弁護士基準に違いはありません。

逸失利益の計算式

  • 後遺障害逸失利益
    • 基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
  • 死亡逸失利益
    • 基礎収入×(1-生活費控除率)×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

基礎収入とは、交通事故にあう前年の年収のことです。
労働能力喪失率は、後遺障害等級に応じて目安が決められています。

計算方法は自賠責基準でも弁護士基準でも同じですが、自賠責保険には上限額があることに注意しなければなりません。
計算式は同じでも、上限額を超えた分が支払われるかどうかは、加害者側の任意保険会社との交渉次第になります。

事故前の収入が高い方や、後遺障害が重い方は、とくに逸失利益が高額になりやすいです。
自賠責保険の上限額を超えてしまい、加害者側の任意保険会社との交渉が難航することも考えられます。
粘り強く交渉し、適切な逸失利益を受け取りたい場合は、弁護士への依頼をおすすめします。

逸失利益の計算方法については、関連記事『逸失利益の計算方法』にてさらに詳しく解説しています。

あなたの損害賠償金は適正?示談前に使いたい便利ツール2つ

交通事故の損害賠償請求問題は、多くの場合、被害者・加害者間での示談交渉で解決されます。

基本的には加害者側の任意保険会社から損害賠償金の内訳・金額を提示され、交渉を重ねたのち、双方が合意した損害賠償金が支払われます。

ただし、加害者側が最初に提示する損害賠償金は相場より低いことが非常に多いです。

そこで、損害賠償金が適正か確認するためのツールを2つご用意しました。
示談を成立させる前に、ぜひご活用ください。

(1)チェックリスト|損害賠償の請求漏れを防ぐ!

加害者側が提示する損害賠償金には、場合によっては本来請求できるはずの費目が含まれていないことがあります。

よって、損害賠償金の内訳は入念にチェックする必要があります。

以下に損害賠償請求のチェックリストをご用意しましたので、確認の際にお役立てください。

人身事故損害賠償請求チェックリスト
人身事故損害賠償請求チェックシート

もっとも、交通事故によって請求できる損害賠償金の内訳は異なります。
損害賠償金の費目の最終的なチェックは、弁護士に依頼することをおすすめします。

(2)簡単計算機|適正な損害賠償金が10秒でわかる!

繰り返しになりますが、加害者側の任意保険会社が提示してくる金額は相場より低い傾向にあります。

損害賠償金の費目の中でも、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料、逸失利益については、弁護士を立てると大幅な増額が見込めるケースが多いです。

以下の「慰謝料計算機」では、弁護士を立てた場合に獲得が見込める各慰謝料・逸失利益の金額がわかります。

なお、実際にはさまざまな事情・状況を考慮して、計算結果よりも多くの金額が得られることもあります。

厳密な損害賠償金の相場については、弁護士までお問い合わせください。

交通事故の損害賠償金を受け取る方法

交通事故の損害賠償金は、基本的には加害者側との示談交渉で金額が決まることが多いです。

しかし、示談交渉が不成立となるケースもあります。その場合は、ADRや調停、裁判などで解決を図ることになるでしょう。

ここからは、交通事故の損害賠償金を受け取るまでの流れや、損害賠償金を早く受け取る方法などをご紹介していきます。

損害賠償金を受け取るまでのフローチャート

交通事故の発生から損害賠償金を受け取るまでの流れは、以下のとおりです。

交通事故の流れ

損害賠償金を獲得するまでの流れ

  1. 交通事故直後の対応
  2. 入院・通院などで治療
  3. 完治または症状固定
  4. 後遺症があれば後遺障害等級認定の申請
  5. 示談交渉
  6. 示談がまとまらなければADRや民事裁判を行う
  7. 損害賠償金の獲得

上記の流れの中で、とくに気を付けるべきポイントを2つ紹介します。

後遺障害等級認定の申請

交通事故の怪我が完治せず、後遺症が残ったら、後遺障害等級認定の申請を行いましょう。
後遺障害等級が認定されれば、後遺障害慰謝料と逸失利益も請求できるようになります。

ただし、後遺障害等級認定は、申請すれば必ず適切な等級に認定されるとは限りません。
以下の点をおさえて申請をしなければ不適切な等級に認定されたり、そもそも等級が認定されなかったりする可能性があります。

適切な後遺障害等級に認定されなければ、後遺障害慰謝料や逸失利益が減ってしまいます。
後遺障害等級認定の申請をする際は、交通事故に精通した弁護士のサポートを受けるとよいでしょう。

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示談交渉は入念な対策が必要

示談とは、民事上の争いごとを当事者同士が話し合うことで解決する手続きのことです。
交通事故の損害賠償金は、示談交渉で決まることが多いです。

しかし、被害者自身で示談交渉をすると、十分な損害賠償金が得られなかったり、トラブルが生じたりするリスクがあります。

被害者自身で示談交渉にあたるリスク

  • 加害者の任意保険会社が相手の場合
    • 低額な損害賠償額を提示され、十分な増額に応じてもらえない
    • 高圧的な態度をとられ、精神的な苦痛を感じる
  • 加害者本人が相手の場合
    • お互いに感情的になる可能性がある
    • お互いに落としどころがわからず、正しい内容で示談できない
    • 脅しによって示談成立を迫られるなどトラブルのリスクもある
  • 加害者が立てた弁護士が相手の場合
    • 法的知識や交渉経験が圧倒的に豊富なので、抵抗が難しい

示談交渉では、事前に入念な対策を立てておくことが大切です。
弁護士に相談すれば、示談交渉にあたってのアドバイスを受けられるでしょう。
示談交渉自体を弁護士に任せてしまう被害者の方も多いです。

示談交渉をする前に、各法律事務所が実施している弁護士への無料法律相談を利用することをおすすめします。

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損害賠償金を早く受け取りたいなら被害者請求を行おう

交通事故の損害賠償金は、基本的には示談成立後に支払われます。
しかし、「被害者請求」という方法を使えば、損害賠償金の一部を示談成立前に受け取ることが可能です。

被害者請求とは?

加害者側の自賠責保険会社に対し、直接損害賠償を請求をすること。
もらえる金額には上限がある点や、人身損害に対する費目しか請求できない点に注意。

交通事故の損害賠償金は、基本的に加害者側の任意保険会社と自賠責保険会社から支払われます。
通常は、示談成立後にすべてまとめて加害者側の任意保険会社から支払われ、あとから保険会社間で清算が行われます。

しかし、加害者側の自賠責保険に被害者請求すると、示談成立前でも、自賠責保険からの支払い分をもらうことができるのです。

自賠責保険と任意保険の違い

自賠責保険車の運転手に加入が義務付けられている保険。
自動車事故の被害者救済を目的としている。
支払額には上限がある。
任意保険車の運転手が任意で加入する保険。
自賠責保険の支払い上限額を超える金額を補償する。
任意の自動車保険と自賠責保険の関係

自賠責保険からの補償内容・金額は「自動車損害賠償保障法」で規定されており、交渉の余地はありません。
よって、損害さえ確定していれば、自賠責保険の支払い分を示談成立前に受け取れるのです。

ただし、被害者請求でもらえる損害賠償額は、自賠責保険の支払い上限額までである点に注意してください。

被害者請求の方法や必要書類などについては、関連記事『交通事故の被害者請求とは?メリットや請求方法、必要書類を解説』をご確認ください。

示談不成立ならADR機関・調停・裁判で解決しよう

損害賠償金や過失割合について、被害者側と加害者側の主張が食い違った場合は、示談不成立となることがあります。

示談不成立となった場合は、ADR機関(交通事故紛争処理センター、日弁連交通事故相談センター等)や調停、民事裁判などで解決を図りましょう。

しかし、示談交渉以外の手段は、以下のようなデメリットもあります。

  • 解決まで時間がかかることが多い
  • 必ずしも被害者側の主張が受け入れられるとは限らない

よって、示談交渉が難航する前に、弁護士に相談することをおすすめします。

交通事故の解決実績が豊富な弁護士なら、示談交渉のテクニックを持っています。
被害者にとって有利な条件で示談成立できるよう、サポートしてもらえるでしょう。

また、もし民事裁判を行う場合は、弁護士によるサポートを受けることがほぼ必須になります。

交通事故の損害賠償金に関する注意点3つ

交通事故の損害賠償金の金額を決めるにあたっては、注意しておかなくてはならないポイントがいくつかあります。

適切な損害賠償金を受け取るためにも、注意点を確認しておきましょう。

(1)損害賠償金は過失割合に左右される

過失割合とは、交通事故が生じた責任が加害者側と被害者側それぞれにどれくらいあるのかを割合で示したものです。

被害者であっても過失割合が付くことは珍しくありません。
過失割合が付いてしまうとその割合分、損害賠償金が減額されてしまいます。
これを「過失相殺」と言います。

加害者側の任意保険会社は、あえて被害者側の過失割合を多く見積もっていることがあります。
被害者側の過失割合が多くなれば、過失相殺によって、被害者に支払う損害賠償金を少なくできるからです。

そのため、示談交渉では損害賠償額だけではなく、過失割合も慎重に協議する必要があります。

過失割合については、以下の関連記事でくわしく解説しています。

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(2)すべての損害が確定する前に示談するのは危険

示談交渉は、原則として交通事故によるすべての損害が確定してから行われます。

交通事故による損害が確定する時期は、以下の表のとおりです。

交通事故の損害の確定時期

損害損害の確定時期
傷害事故(完治した場合)治療終了時
傷害事故(後遺症が残った場合)後遺障害等級認定の結果受領時
死亡事故葬儀終了時
物的損害随時可能

上記の損害確定のタイミングより前に示談してしまうことは、非常に危険です。

示談が成立すれば、原則として追加の損害賠償請求や、示談内容の撤回はできません。

よって、後から新たな損害が発覚しても、損害賠償を請求できないのです。

もし、損害が確定する前に加害者側から示談を持ちかけられたら、損害が確定するまで待ってもらいましょう。

なお、物的損害については、人身部分よりはやく損害が確定できます。
よって、先に物損部分だけ示談を済ませるということも多いです。

(3)損害賠償請求の時効は3年または5年

損害賠償を請求する権利には、以下のとおり時効が存在します。

損害賠償請求権の時効

損害時効
傷害に関するもの事故発生日の翌日から5年
後遺障害に関するもの症状固定日の翌日から5年
死亡に関するもの死亡した日の翌日から5年
物損に関するもの事故発生日の翌日から3年

※保険会社に対する保険金請求の時効は3年

時効が完成してしまえば、損害賠償を請求することができなくなります。

なお、上記の時効は2017年4月1日以降に発生した交通事故に適用されます。
2017年3月31日以前に発生した交通事故は、傷害部分や後遺障害部分の時効も3年とされます。

これは、2020年4月1日に民法改正が行われたためです。詳しくは、関連記事『交通事故被害者が知っておくべき2020年4月1日以降の変更点5選』をご確認ください。

損害賠償金を増額させたいなら弁護士相談がおすすめ

加害者側から提示される損害賠償金は、相場より大幅に低い傾向があります。

しかし、被害者自身が増額交渉をしても、加害者側に応じてもらえることは少ないです。
「この金額が上限である」「今回のケースでは難しい」などと反論されてしまうことが大半でしょう。

交通事故に精通した弁護士に依頼すれば、損害賠償金の増額が望めます。
弁護士は、法的根拠や過去の事例をもとに交渉を行うことができるからです。
また、加害者側の任意保険会社は、弁護士を立てれば態度を軟化させることが多いです。

ここからは、アトム法律事務所が実際に受任した事例の中から、損害賠償金が大幅に増額されたものを厳選してご紹介します。

増額事例(1)約1,700万円増額!

この事例では、被害者の方は鎖骨骨折により左肩の可動域が制限され、後遺障害10級に認定されていました。

加害者側の任意保険会社は、当初は損害賠償金として621万円を提示していました。

「この金額って妥当なのかな?」

被害者の方は、このような疑問を抱かれ、アトム法律事務所に相談されました。

弁護士が確認したところ、逸失利益の金額に大幅な増額の余地があることがわかりました。

そこで弁護士は、加害者側の任意保険会社に対し、後遺障害により減収がおこる可能性、昇進や昇給に与える影響などを粘りづよく主張したのです。

その結果、ご依頼から4ヶ月で、損害賠償金2,300万円で示談が成立しました。

弁護士費用を差し引いても、被害者の方の手元には2,000万円以上が残ることになったのです。
当初提示されていた621万円と比較すると、大幅な増額と言えるでしょう。

弁護士による損害賠償金の見積り

加害者側の任意保険会社から損害賠償金の提示を受けても、その金額が妥当なのか、被害者自身では判断が難しいことが多いです。

弁護士に相談すれば、適正な損害賠償金を見積ってもらうことが可能です。

請求漏れも回避することができるので、加害者側の任意保険会社から損害賠償金の提示を受けたら、1度弁護士の確認を受けることをおすすめします。

増額事例(2)提示額の約3倍に増額!

この事例では、被害者の方は足の小指を骨折され、小指に神経症状が残っていました。

「後遺障害等級認定を受けられる?」
「損害賠償金をちゃんともらえる?」

被害者の方のこのようなご不安を受けて、弁護士が後遺障害等級認定のサポートと示談交渉を承ることになりました。

後遺障害等級認定では、審査で重視される「後遺障害認定書」について弁護士が入念なチェックを行い、必要に応じて医師との連携も行いました。

その結果、被害者の方は無事に後遺障害14級9号に認定されたのです。

また、損害賠償金については、加害者側の提示額の約3倍である288万円で示談成立することができました。

適切な後遺障害等級に認定されることで、後遺障害に関する損害賠償金も獲得できたのです。

後遺障害等級認定のサポート

適切な後遺障害等級に認定されるためには、審査に向けての対策が何より大切です。

交通事故に精通した弁護士に依頼すれば、過去の事例や専門知識をもとに、提出書類の改善や、受けるべき検査についてのアドバイスをしてもらえます。

適切な後遺障害等級に認定されることは、損害賠償金を最大限に受け取るために必須になります。

想定より低い後遺障害等級に認定されたり非該当となったりして後悔しないためにも、後遺障害等級認定を申請する際は、弁護士に相談してみましょう。

弁護士に相談するメリットは損害賠償金の増額だけではない

弁護士に相談するメリットは、損害賠償金の増額だけではありません。

以下のような点も、交通事故の解決を弁護士に依頼するメリットと言えるでしょう。

  • 示談交渉がスムーズに進み、損害賠償金を早めに受け取れる
  • 示談交渉や各種手続きを代理してもらえるので、被害者のストレスが減る
  • 治療費の打ち切りといったトラブルに対応してもらえる
  • 治療に関するアドバイスを受けられ、知らず知らずのうちに損害賠償金が減額される事態を避けられる

治療や日常生活への復帰に集中したい方、早めに損害賠償金を受け取って元の生活に戻りたい方、交通事故に関してこれ以上辛い思いをしたくない方は、弁護士に依頼することをおすすめします。

交通事故を弁護士に依頼するメリット8選|弁護士は何をしてくれる?』の記事では、弁護士に依頼するメリットをさらに詳しく解説しています。

また、『交通事故の体験談8選』の記事では、増額事例だけでなく、保険会社との示談交渉で困ったことや、後遺障害に認定された事例なども紹介しています。

弁護士費用は実質無料にできる

「弁護士に依頼することで、弁護士費用がかかり、結果的に損をしてしまうのでは?」と不安に思われる方は少なくありません。

弁護士費用が不安な方には、弁護士費用特約の利用をおすすめします。

弁護士費用特約とは、保険会社が弁護士費用を負担してくれる特約のことです。
弁護士費用特約を使えば、多くの場合、弁護士費用の合計300万円まで、相談料の合計10万円までを保険会社が負担してくれます。

最終的な損害賠償金が数千万円にのぼらない限り、弁護士費用が300万円を超えることはほとんどありません。

よって、弁護士費用特約を使えば、弁護士費用が実質無料になると言えるのです。

弁護士費用特約とは保険会社が弁護士費用を負担してくれる特約のこと

弁護士費用特約は、自動車保険、火災保険、クレジットカードなどに付帯されています。

また、被害者自身の保険だけではなく、被害者の家族の保険に付帯されている弁護士費用特約も、利用できるケースが多いです。

弁護士費用特約を使っても、保険の等級は変わりません。
また、弁護士費用特約は、保険会社の紹介する弁護士だけではなく、被害者自身が選んだ弁護士でも利用できます。

弁護士費用が不安な方は、ぜひご自身やご家族の保険契約状況を確認してみてください。

関連記事

交通事故の損害賠償について無料で弁護士に相談できる!

アトム法律事務所では、交通事故の被害者の方を対象に無料法律相談を実施しています。

交通事故の損害賠償金を最大限受け取りたいなら、1度弁護士に相談してみましょう。

加害者側の任意保険会社の主張を受け入れてしまえば、相場よりも大幅に低い損害賠償金しか受け取れない可能性があります。

示談成立後に後悔しないためにも、交通事故に精通した弁護士のアドバイスを受けることをおすすめします。

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アトム法律事務所の無料相談は、以下のような体制を整えています。

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