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交通事故の損害賠償請求の鉄則|賠償金の相場と計算方法

更新日:

交通事故の損害賠償請求

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

交通事故の損害賠償請求とは、加害者に対して治療費や慰謝料などを請求することです。しかし、実際にはそれほど単純なものではなく、以下の点に注意しなければなりません。

  • 生じた損害によって、請求できる費目が異なる
  • 損害賠償請求の相手は複数人いることもある
  • 損害賠償請求には時効がある
  • 損害賠償金の金額は、示談交渉によって決まる

また、損害賠償金は基本的に示談成立後に支払われるものですが、一部早く貰うことも可能です。

この記事では、損害賠償請求に関する基本的なことや、知っておくと得することをまとめています。損害賠償金の相場や増額事例も紹介しているので、参考にしてみてください。

目次

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そもそも被害者にとって損害賠償請求とは何か

損害賠償請求の相手は加害者だけとは限らない

交通事故の被害にあったとき、損害賠償請求は基本的に加害者、つまり交通事故を起こした相手(自動車の運転手)に対して行います。
しかし、交通事故の態様によっては、他にも以下のような相手に損害賠償請求できる可能性があります。

  • 使用者
    • 業務上の目的により、運転手に車を運転させていた人。相手方運転手の雇用主など。
    • 営業のため従業員が運転していて事故を起こした場合や、通勤で運転していた従業員が事故を起こした場合*に、損害賠償責任を負う。
    • *マイカー通勤を認めている場合に限る。
  • 運行供用者
    • レンタカー業者
    • 社用車の所有者である会社
    • 子の車両維持費用を負担している親
    • 運転代行業者 など
  • 同乗していた車の運転手
    • 他人の車に乗せてもらっていて事故に遭った場合は、乗せてもらっていた車の運転手にも損害賠償請求できるケースがある。

運転供用者が存在する場合や、他人の車に同乗していて事故に遭った場合については、以下の関連記事で詳しく解説しています。
該当する場合は、確認してみてください。

関連記事

損害賠償請求の相手が複数いる場合の請求方法

たとえば損害賠償金が1000万円で、損害賠償請求の相手が相手方自動車の運転者と使用者であった場合、損害賠償金請求は、次のいずれかの形で行います。

  • 相手方運転者と使用者それぞれに、合計額が1000万円になるよう損害賠償請求する
    • 「相手方運転者に500万円、使用者に500万円」あるいは「相手方運転者に800万円、使用者に200万円」など
    • 請求の割合は被害者が自由に決められる
  • どちらか一方のみに1000万円全額請求する
    • あとから、相手方運転者と使用者との間で清算が行われる

損害賠償金の内訳

損害賠償金には、治療費、休業損害、入通院慰謝料、逸失利益、後遺障害慰謝料、修理費などが含まれます。

交通事故損害賠償の内訳
交通事故損害賠償の内訳

各費目を、精神的損害と財産的損害に分けて詳しく見てみましょう。

表:財産的損害と精神的損害

種類内訳
精神的損害入通院慰謝料
後遺障害慰謝料
死亡慰謝料
財産的損害治療費
通院交通費
車両の修理費
休業損害
逸失利益

精神的損害は3つの慰謝料で補償される

交通事故を理由に生じる精神的損害は、慰謝料によって補償されます。

慰謝料

交通事故によって被害者が受けた精神的苦痛を緩和・除去するための金銭

交通事故の損害賠償では、被害者の損害に応じて入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3つが認められています。

  • 入通院慰謝料
    交通事故による入院や通院で生じる精神的苦痛を補償するもの
  • 後遺障害慰謝料
    交通事故で後遺症が残ったことにより生じる精神的苦痛を補償するもの
  • 死亡慰謝料
    死亡事故の被害者と遺族の精神的苦痛を補償するもの

慰謝料の相場や増額事例については、『交通事故の慰謝料|相場や計算方法など疑問の総まとめ』で解説しています。

財産的損害とは実際に生じた損害額のこと

慰謝料以外のものは、すべて財産的損害に該当します。
財産的損害は、積極損害と消極損害に分けることができます。

表:財産的損害の内訳(積極損害と消極損害)

種類内訳
積極損害治療費
通院交通費
車両の修理費
消極損害休業損害
逸失利益

「積極損害」とは、交通事故によって、被害者が実際にお金を支払わなくてはいけなくなった損害のことです。
たとえば、治療費、通院交通費、車両の修理費などが該当します。

一方、休業損害や逸失利益は「消極損害」と呼ばれ、積極損害とは区別されます。
これらは、事故にあわなければ得られていたはずの、失われた未来の利益のことです。

損害賠償請求に漏れはない?示談前にチェックリストで確認

損害賠償請求もれを防ぐチェックリスト

交通事故の損害賠償請求問題は、多くの場合、被害者・加害者間での示談交渉で解決されます。

基本的には相手方保険会社から損害賠償金の内訳・金額を提示され、問題があれば交渉したのち、損害賠償金が支払われます。

ただし、相手方が提示してくる損害賠償額は低くなっていることが非常に多いです。
また、場合によっては本来請求できるはずの費目が含まれていないこともあるので、金額・内訳ともに慎重に確認する必要があります。

以下に損害賠償チェックリストをご用意しましたので、活用してください。
もっとも、交通事故一つひとつで損害賠償の内容は異なります。
最終的なチェックは、弁護士に依頼するのがベストです

人身事故損害賠償請求チェックリスト
人身事故損害賠償請求チェックシート

損害賠償請求のチェックリスト

  • 入通院慰謝料
  • 応急手当費
  • 診察料
  • 入院費用
  • 投薬料・手術費用
  • 通院・転院・入退院費
  • 看護料(入院中および自宅)
  • 入院雑費
  • 柔道整復等の費用(整骨院・接骨院など)
  • 松葉づえ・義肢・歯科補てつなど装具費
  • 診断書作成費用
  • 休業損害
  • 後遺障害慰謝料
  • 逸失利益
  • 介護費用(将来介護費)
  • 死亡慰謝料
  • 死亡逸失利益
  • 葬儀費用
  • 修理費用

適正な損害賠償額は計算機で簡単にわかる

繰り返しにはなりますが、相手方保険会社が提示してくる金額は低い傾向にあります。
中でも入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料、逸失利益については、弁護士に相談すると大幅増額が見込めるケースが多いです。

以下の「慰謝料計算機」を使うと、弁護士を立てた場合に獲得が見込める各慰謝料・逸失利益の金額がわかります。
保険会社から提示を受けている人も、これから提示を受ける人も、ぜひ使ってみてください。

なお、実際にはさまざまな事情・状況を考慮して、この計算機よりも多くの金額が得られることもあります。厳密な相場額については弁護士までお問い合わせください。

損害賠償金を受けとる方法|交通事故発生から解決まで

損害賠償金を獲得するまでのフロー

交通事故発生から損害賠償金獲得までの流れは、次の通りです。

交通事故の流れ
交通事故の流れ

交通事故発生から損害賠償金を獲得するまでのフロー

  1. 交通事故直後の対応
  2. 入院・通院などで治療
  3. 完治または症状固定
  4. 後遺症があれば後遺障害等級認定の申請
  5. 示談で損害賠償額を交渉
  6. 示談がまとまらなければADRや民事裁判で損害賠償額を交渉
  7. 損害賠償金の獲得

ここでは、各フローの中で特に注意すべきポイントについて4つ解説していきます。

被害者に求められる事故現場での対応

交通事故にあったら、まず現場での対応が必要です。
負傷者の救護と警察への通報は、道路交通法72条1項で義務行動と定められています。

次に、事故の相手方が加入している保険(保険会社)も確認してください。

損害賠償金の支払元は相手方の自賠責保険・任意保険になりますし、示談交渉も基本的には相手方任意保険会社と行います。
また、もし加害者が任意保険に入っていなければ相応の対応が必要になってきますので、相手方がどこの保険に入っているのか、任意保険には入っているのか、把握しておく必要があるのです。

加害者が任意保険未加入の場合

相手が任意保険に加入していない場合、相手は無保険の状態になります。
この場合、以下のような問題点が生じるので、早めに弁護士にご相談されることをおすすめします。

  • 自賠責保険の支払い上限額を超えた損害賠償金や、物損に関する損害賠償金を、加害者本人に請求することになる。よって、加害者の資力次第では請求額がスムーズに支払われないリスクがある。
  • 示談交渉を加害者本人と行うことになるので、トラブルが生じやすい。

相手方が無保険の場合の注意点・対処法については『事故相手が無保険ならどうする?交通事故の慰謝料請求6つの対応』をご確認ください。

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病院の受診タイミングも損害賠償のカギ

病院へは事故から日をあけずに行き、ケガがあればすみやかに治療を開始してください。
そして、診断書をもらったら警察へ人身事故として届けておきましょう。

物損事故として処理をすると、損害賠償請求をスムーズに進めるための書類が作成されず、あとで困る可能性があります。

また、物損事故として届け出ていると、慰謝料をはじめ身体的・精神的損害に対する補償を受けられないリスクもあります。
詳しくは、『人身事故の慰謝料を多くもらいたい|相場・計算方法は?』をご覧ください。

なお、ケガがあるのに物損事故として届けている方は、関連記事をご一読のうえ、人身事故への切り替えをご検討ください。

後遺障害等級認定の申請をおこなう

交通事故の怪我が完治せず、身体に何らかの後遺症が残ってしまうこともあります。
この場合、後遺障害等級が認定されれば、損害賠償請求の際に後遺障害慰謝料・逸失利益ももらえるようになります。
よって、後遺症が残ったのであれば後遺障害等級認定の申請を行いましょう。

しかし、交通事故の後遺障害等級認定を受けることは簡単ではありません。
以下の点をおさえて申請をしなければ、不適切な等級に認定されたり、そもそも等級が認定されなかったりする可能性があるのです。

  • ご自身の後遺症がどの等級に認定される可能性があるのか
  • その等級に認定されるための基準は何か
  • 妥当な認定結果を得るにはどのような対策が必要なのか

どのような症状が後遺障害に該当するのかについては『後遺障害等級の一覧表|症状別の具体的な認定基準と認定の流れがわかる』の記事における一覧表で確認可能です。
後遺障害等級認定の申請方法やポイントについては、『交通事故の後遺障害等級認定|申請方法と認定される症状』をご覧ください。

示談交渉は入念な対策が必要

交通事故の損害賠償金額については、示談交渉にて話し合われることが多いです。
示談とは、裁判外で、加害者・被害者がお互いに譲歩しあいながら、話し合いで解決を図る方法です。

示談交渉の相手は、加害者が任意保険に入っていれば任意保険会社の担当者、入っていなければ加害者本人または加害者が立てた弁護士となります。

相手が誰であっても、被害者自身で交渉にあたると十分な金額が獲得できなかったり、トラブルが生じたりするリスクがあるので、示談交渉を弁護士に任せる方も多いです。

被害者自身で弁護士にあたるリスク

  • 加害者の任意保険会社が相手の場合
    • 低額な損害賠償額を提示され、十分な増額に応じてもらえない
    • 高圧的な態度をとられ、精神的な苦痛を感じる
  • 加害者本人が相手の場合
    • お互いに感情的になる可能性がある
    • お互いに落としどころがわからず、正しい内容で示談できない
    • 脅しによって示談成立を迫られるなどトラブルのリスクもある
  • 加害者が立てた弁護士が相手の場合
    • 法的知識や交渉経験が圧倒的に豊富なので、太刀打ちできない

示談交渉では、事前に入念な対策を立てておくことが大切です。
弁護士に相談すれば、そのまま交渉を代理してもらえたり、示談交渉のアドバイスをもらえたりします。
アトム法律事務所では無料で相談を受け付けているので、少しでも不安があればお気軽にご連絡ください。

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損害賠償請求のタイミングには要注意

損害賠償金を決める示談交渉は、原則として損害確定後に始められます。
損害が確定する時期は損害の種類によって異なり、具体的には以下の通りです。

損害損害の確定時期
傷害事故(完治した場合)治療終了時
傷害事故(後遺症が残った場合)後遺障害等級認定の結果受領時
死亡事故葬儀終了時
物的損害随時可能

なお、死亡事故の損害は葬儀後に確定しますが、示談交渉は四十九日法要が終わったころに始められるのが一般的です。
死亡事故では遺族が被害者に代わって示談交渉を行うので、悲しみや辛さに配慮して、少し時間をおいてから交渉が始められるのです。

物的損害については、修理するのか、買い替えるのかなどの方向性が決まれば、損害確定は可能です。人身部分と比べて早く損害確定できるので、先に物損部分だけ示談を済ませるということも多いです。

損害確定前に示談をするのは危険

上で紹介した損害確定のタイミングより前に示談してしまうことは、非常に危険です。
一度示談書に署名・捺印をすると、原則として追加の損害賠償請求や、示談内容の撤回はできません。

後から新たな損害が発覚しても、損害賠償請求できないのです。
万一損害確定前に加害者側から示談を持ちかけられても、損害が確定するまで待ってもらいましょう。

損害賠償請求では過失割合にも要注意|損害賠償額を左右する

過失割合とは、交通事故が生じた責任が加害者側と被害者側それぞれにどれくらいあるのかを割合で示したものです。
過失割合は、100:0(または10:0)や、80:20(または8:2)などと比率で表します。

実は、被害者であっても過失割合が付くことは珍しくなく、過失割合が付いてしまうとその割合分、損害賠償金が減額されてしまいます。これが、「過失相殺」です。

相手方保険会社は過失相殺を狙って、あえて被害者側の過失割合を多く見積もっていることがあります。
そのため、示談交渉では損害賠償額だけではなく、過失割合の交渉も慎重に行う必要があります。

ここでは、過失割合の決まり方、事例、注意点を確認しておきましょう。

過失割合はどう決まる?

過失割合は、事故発生時の状況をもとに決められます。
事故類型ごとに設定されている「基本の過失割合」を、事故の個別的な事情(修正要素)に応じて調整していくのです。
基本の過失割合は、過去の裁判例をもとに設定されています。

よく勘違いされていることが多いのですが、過失割合は警察が決めるものではありません。
たしかに警察は現場検証を行い、損傷した自動車や道路状況などを確認しているので、事故状況についてはよく把握しています。

しかし、警察には過失割合を決める権利はないので、仮に警察から「あなたは悪くない」と言われたとしても、のちの示談交渉で過失割合がつけられる可能性は十分にあります。

関連記事

交通事故の過失割合|決定の流れと事例集

過失割合の事例

このイラストは、先行して走行している自動車(車B)が、進路変更をしたことで、後続直進車の(バイクA)と衝突した状況を表しています。

事故状況図
事故状況図

事故状況から、基本の過失割合は、バイクA:車B = 20:80 です。

ただし、その他の細かい事故状況まで踏まえると、過失割合は変動する可能性があります。
示談交渉で信号の色やお互いの走行速度などに応じて過失割合は柔軟に調整される点に注意しましょう。

注意|過失割合は示談交渉でもめやすい

もし事故発生時の状況で加害者側と意見が食い違ったら、被害者の主張が正しいことを証明しなくてはいけません。
被害者側の主張を売らずける証拠としては、以下のものがあります。

証拠の収集例

  • ドライブレコーダーの記録を確認する
  • 周辺の監視カメラの記録を調べさせてもらう
  • 目撃者に証言をしてもらう
  • 信号サイクル表に基づいて信号の色を調べる

事故発生時の状況を、客観的な証拠で証明・説明できれば、加害者側の主張を否定することができます。

過失割合は、損害賠償額に直結することから、被害者・加害者の意見が食い違いやすい部分です。
もし相手方と過失割合でもめているなら、早めの弁護士依頼をおすすめします。

示談不成立ならADR機関や調停・裁判を利用

損害賠償額や過失割合で揉めに揉め、示談が合成立になった場合は、ADR機関(交通事故紛争処理センター、日弁連交通事故相談センター等)や調停、民事裁判など他の方法を検討しなくてはいけません。
特に、加害者側の主張との食い違いが大きい場合には民事裁判を検討する人は多いです。

しかし、示談交渉以外の解決方法は被害者にとってデメリットもあります。
例えば、ADR機関や民事裁判となると、解決までの道のりはさらに長期化します。それの伴い、損害賠償金の受け取りも先になってしまうのです。

相手方との示談交渉が難航してしまう前に、弁護士に相談しておきましょう。
交通事故の解決実績が豊富な弁護士なら、被害者の方に少しでも良い着地点となるようなノウハウを多く持っています。

また、民事裁判に向けた準備も、弁護士によるサポートを受けることで、負担を減らすことができます。
民事裁判については『交通事故の裁判の起こし方や流れ|費用と期間はどのくらい必要?』で解説しているので、参考にしてみてください。

被害者請求をすれば損害賠償金が早くもらえる

被害者請求は相手方自賠責保険に損害賠償請求すること

交通事故の損害賠償金は、基本的には示談成立前に支払われます。
しかし、「被害者請求」という方法を使えば、損害賠償金の一部を示談成立前に受け取ることが可能です。

被害者請求とは

加害者側の自賠責保険会社に対し、直接損害賠償請求をすること
もらえる金額には上限がある点、人身損害に対する費目しか請求できない点に注意

交通事故の損害賠償金は、基本的に相手方の任意保険と自賠責保険から支払われます。
通常は、示談成立後にすべてまとめて相手方の任意保険から支払われ、あとから保険会社間で清算が行われます。

しかし、相手方の自賠責保険に被害者請求すると、示談成立前でも、自賠責保険からの支払い分をもらうことができるのです。

自賠責保険と任意保険

自賠責保険車の運転手に加入が義務付けられている保険
自動車事故の被害者救済を目的としている
支払額には上限がある
任意保険車の運転手が任意で加入する保険
自賠責保険の支払い上限額を超える金額を補償する
任意の自動車保険と自賠責保険の関係

自賠責保険からの補償内容・金額は「自動車損害賠償保障法」で規定されており、交渉の余地はありません。
よって、損害さえ確定していれば自賠責保険からの支払金額は決定できるので、自賠責保険の支払い分なら示談成立前でも受け取れるのです。

ただし、自賠責保険からの支払額を超える部分や物損に関する費目については、加害者側の任意保険会社と示談交渉をして金額を決める必要があります。
被害者請求でもらえる損害賠償額は、自賠責保険の支払い上限額までである点に注意してください。

被害者請求をするためには、必要書類を相手方自賠責保険会社に提出する必要があります。
詳しくは、以下の関連記事で確認できます。

被害者請求がおすすめなケース

被害者請求は、以下のような場合にすると役に立ちます。

  • 示談交渉が長引き、なかなか損害賠償金がもらえない
  • 示談成立前にまとまったお金が必要
  • 加害者が任意保険に入っていない

加害者が任意保険に入っていない場合、基本的には損害賠償金は全額加害者本人から支払われ、その後、加害者が自身の自賠責保険に保険金請求することになります。
この場合、加害者の資力によってはすぐに十分な支払いがされない可能性があります。

しかし、被害者請求をすればひとまず自賠責保険分の金額は一括で速やかに支払われるので、安心です。

損害賠償請求の時効は3年または5年

民法改正による事項の変更に要注意

損害賠償請求には、3年または5年の時効があります。
具体的にまとめると、以下の通りです。

損害時効
傷害に関するもの事故翌日から5年
後遺障害に関するもの症状固定翌日から5年
物損に関するもの事故翌日から3年

※保険会社に対する保険金請求の時効は3年

ただし、上記の時効は2017年4月1日以降に発生した交通事故に適用されるものであり、それより前に発生した交通事故であれば、傷害部分や後遺障害部分の時効も3年とされます。

これには、民法改正が関係しています。

第七百二十四条の二 人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一号の規定の適用については、同号中「三年間」とあるのは、「五年間」とする。

民法

時効を正しく把握しておかないと、損害賠償請求が認められない可能性があります。
民法改正でも時効が延長されなかった、物損部分・保険会社への保険金請求の時効について解説していくので、確認してみてください。

物損部分はこれまで通り3年

物損部分については、これまで通り、損害賠償請求権は3年間です。物損事故として処理されているものは、その事故のすべての損害賠償請求期限が3年ということです。

注意したいのは、人身事故の「物的損害部分」も3年のままということです。

人身事故で生じる損害は、人的損害と物的損害の2つがあります。
民法改正後の時効が適用される人身事故では、費目によって時効が異なるので注意してください。

相手方の自賠責保険への被害者請求も3年のまま

自賠責保険の請求期限については、民法ではなく「自動車損害賠償保障法」で定められています。

よって、民法改正の影響は受けませんので、「被害者請求」の時効は3年間のままです。

被害者自身の人身傷害保険への請求も3年のまま

被害者自身で加入している人身傷害保険などを利用する方もいるでしょう。
この場合も、民法改正の範囲外とされるので、人身傷害保険への請求権は3年のままです。

民法改正は、損害賠償請求権(時効)の延長以外にも、逸失利益の増額にもつながります。
関連記事『交通事故の被害者にとって重要な変更点』にて、その他の変更点と併せて別途解説していますのでご確認ください。

損害賠償の計算方法しだいで賠償金は数倍アップ

損害賠償は弁護士基準で計算するべき|算定基準は3つ

交通事故の損害賠償額は、算定者によって異なります。
それは、算定者によって用いる基準が違うからです。

  • 自賠責保険の基準
    相手方自賠責保険が用いる算定基準
    被害者に補償される最低限の金額となる
  • 任意保険の基準
    相手方任意保険会社が用いる算定基準
    示談交渉では、任意保険基準の金額を提示される
    各保険会社ごとに異なり非公開だが、自賠責基準と同程度または少し高額な程度といわれる
  • 弁護士基準(裁判基準)
    弁護士や裁判所が用いる算定基準
    過去の判例をもとにした相場額となり、3つの基準の中でもっとも高額

3つの基準の中でもっとも高額になるのは弁護士基準ですが、示談交渉で相手方任意保険会社は、任意保険の金額を提示してきます。
つまり、相手方から最初に提示された損害賠償額には、増額の余地があるのです。

相手方の保険会社も、弁護士基準の存在は知っています。
しかし、最初から弁護士基準で損害を計算してくれることはありません。
弁護士基準の金額を獲得するには、提示された金額について増額交渉をする必要があるのです。

ではここからは、慰謝料・休業損害・逸失利益の計算方法を紹介していきます。
ただし、任意保険基準は各社で異なり非公開なので、割愛します。

(1)入通院慰謝料を基準ごとに比較

入通院慰謝料は、入院・通院治療をした期間の長さに応じて支払われます。
自賠責保険の基準と弁護士基準の計算方法は、以下のような違いがあります。

表:入通院慰謝料の計算方法

項目自賠責保険の基準弁護士基準
日額4,300円(4,200円)*算定表による
対象の日数通院期間または
実治療日数の2倍
通院期間

*()は2020年3月31日までに発生した交通事故の場合

自賠責保険の基準では、1日あたりの慰謝料額が決められています。
対象の日数分だけ、日額が支払われる方法です。

自賠責保険から支払われる慰謝料の計算方法は、関連記事『交通事故の慰謝料|自賠責保険基準』で詳しく解説しています。

弁護士基準では、日額による計算ではなく、算定表によって入通院慰謝料が算定されます。

以下に算定表を示します。基本的には「重傷」の表を参照しますが、むちうち・打撲・擦り傷などの場合は「軽傷」をご覧ください。

表:弁護士基準の入通院慰謝料(重傷)

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

表:弁護士基準の入通院慰謝料(軽傷)

軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表

算定表は、「入院」と「通院」の交わるところをみてください。
「1月」は30日をあらわします。「1ヶ月」と混同しやすい点ですが、暦による影響は受けません。

弁護士基準では、軽傷・重傷によって金額の設定が違いますが、自賠責保険の場合では、軽傷でも重傷でも日額は変わりません。

自賠責保険の慰謝料計算に基づいた結果が、弁護士基準の算定結果を上回ることは通常ありません。ケガが重傷であるほど、弁護士基準での慰謝料額を採用すべきです。

弁護士基準による慰謝料については、増額・減額ンポイントと併せて、関連記事『交通事故の慰謝料|弁護士基準』でさらにわかりやすく解説しています。

(2)後遺障害慰謝料を基準ごとに比較

後遺障害慰謝料は、後遺障害等級に応じて目安となる慰謝料額が決められています。

しかし、同じ後遺障害等級であっても、自賠責保険の基準と弁護士基準では金額が違います。慰謝料額の差が3倍以上になる後遺障害等級もありますので、注意してください。

表:等級別の後遺障害慰謝料

等級 自賠責*弁護士
1級・要介護 1,650
(1,600)
2,800
2級・要介護1,203
(1,163)
2,370
1級1,150
(1,100)
2,800
2級998
(958)
2,370
3級861
(829)
1,990
4級737
(712)
1,670
5級618
(599)
1,400
6級512
(498)
1,180
7級419
(409)
1,000
8級331
(324)
830
9級249
(245)
690
10級190
(187)
550
11級136
(135)
420
12級94(93)290
13級57(57)180
14級32(32)110

※()は2020年3月31日までに発生した交通事故の場合
※慰謝料の単位:万円

上記の金額はあくまで目安のため、増減する可能性も考えられます。
しかし、後遺障害8級の金額が、7級の目安金額を上回ることは原則としてありません。後遺障害等級何級で認定されるかは、損害賠償できわめて重要です。

症状別の慰謝料相場金額についてくわしく知りたい方は『【症状別】交通事故慰謝料相場』をご覧ください。

(3)休業損害を基準ごとに比較

休業損害は、自賠責保険の基準では日額が決められています。
弁護士基準では、交通事故にあう前の被害者の収入を元に、日額を計算します。

項目自賠責保険の基準弁護士基準
日額6,100円(5,700円)事故前3ヶ月の収入
÷実労働日数

*()は2020年3月31日までに発生した交通事故の場合

日額は、事故前3ヶ月の収入が低かったり、実労働日数が極端に多い場合は、自賠責保険の基準のほうが高くなる可能性はあります。
しかし、多くの場合は、弁護士基準による休業損害の方が高くなります。

休業損害を請求するには、医師による指示など休業の必要性の立証が必要です。
「今日は体調が悪いから休もう」という自己判断では、休業損害を請求することができない可能性があります。

休業損害を受け取れる時期や詳しい計算方法は、関連記事『交通事故の休業損害はいつもらえる?相場はいくら?職業別の計算方法を解説』を役立ててください。

(4)逸失利益の計算方法は一律

逸失利益とは、後遺障害を負うことで収入が下がった分への補償です。
逸失利益の計算方法自体は、自賠責保険の基準と弁護士基準に違いはありません。

逸失利益の計算式

基礎収入×労働能力喪失率×就労可能年数に対するライプニッツ係数

基礎収入とは、交通事故にあう前年の年収のことです。
労働能力喪失率は、後遺障害等級に応じて目安が決められています。
後遺障害の程度が重いほど働く力が失われたと考えられ、減収も多く生じていると考えられます。

計算方法は自賠責保険でも弁護士や裁判所でも同じですが、自賠責保険には支払い上限額があることに注意しなければなりません。
後遺障害にかかわる補償は、後遺障害慰謝料と逸失利益になりますが、2つの合計額に上限が設定されているのです。

計算式は同じでも、支払い上限を超えた分は、相手方の任意保険との交渉次第になります。

  • 被害者の年齢が若い
  • 後遺障害の程度が重い
  • 事故前の収入が高い

こういった方は、特に逸失利益の高額化が予想されます。
後遺障害慰謝料との合計額が自賠責保険の上限額を超えてしまい、相手方任意保険会社との交渉が厳しくなることも考えられます。

弁護士に示談交渉を依頼すれば、これまでの裁判結果などを踏まえて粘り強い交渉が可能です。ぜひ弁護士依頼をご検討ください。

逸失利益の計算は複雑です。関連記事『逸失利益の計算|後遺障害14級や12級の逸失利益はいくら?』にて詳細な計算方法や認定例を紹介しています。

(5)死亡慰謝料を基準ごとに比較

死亡慰謝料は、命を落としてしまった被害者本人とその近親者への慰謝料です。被害者本人は加害者に対して損害賠償請求できませんので、相続人が損害賠償請求権も共に相続したと考えてください。

表:交通事故による死亡慰謝料

被害者自賠責基準弁護士基準
一家の支柱400(350)2,800
母親・配偶者400(350)2,500
独身の男女400(350)2,000~2,500
子ども400(350)2,000~2,500
幼児400(350)2,000~2,500
以下は該当する場合のみ
+遺族1名550
+遺族2名650
+遺族3名以上750
+被扶養者あり200

※慰謝料の単位:万円
※※遺族:被害者の配偶者、子、両親(認知した子、義父母などを含む)

弁護士基準では、被害者が経済活動で果たしていた役割に応じて金額の目安が分かれています。なぜなら、弁護士基準の目安額の中には、近親者への慰謝料も含まれているためです。

一家を経済的に支えていた人を失うことは、残された人に与える影響も大きくなります。その影響を考慮しているので、金額が多くなっているのです。

自賠責保険の基準では、本人への慰謝料は、法改正後400万円、法改正前で350万円となります。その金額に、遺族の人数や扶養者の有無などで別途加算されていきます。

比較すると一目瞭然ですが、自賠責保険の基準で支払われる金額は、弁護士基準(裁判で認められうる基準)とは大きな差があります。
任意保険の基準は一般公開されていませんが、弁護士基準を上回ることはありません。

亡くなられた人のためにも、そして、残されたご家族の生活のためにも、少しでも多くの補償は受けるべきです。

死亡事故の慰謝料、損害賠償金を深掘りした関連記事『死亡事故で慰謝料はいくらもらえる?慰謝料相場と遺族がもらえる損害賠償金を解説』もお役立てください。

損害賠償金の事例|弁護士依頼で増額に成功

事例1.損害賠償金 2,300万円

被害者の方は、鎖骨骨折により左肩の可動域が制限されるという後遺症が残りました。
後遺障害10級10号に認定され、相手方の保険会社が提示した損害賠償額は621万円。

「この金額って妥当なのかな?」

そんな疑問を抱き、アトム法律事務所にご相談いただいたところ、弁護士は逸失利益に注目しました。

被害者の方は公務員をされていて、この「将来の減収」がどれくらい生じるのかが極めて重要だったのです。

そこで弁護士は、後遺障害により収入減少がおこる可能性、昇進や昇給に与える影響を粘りづよく主張しました。

その結果、ご依頼から4ヶ月で2,300万円の損害賠償額で示談が成立しました。
弁護士費用を差し引いても、被害者には2,000万円を超える損害賠償金の獲得となったのです。

慰謝料のお見積りはアトム法律事務所にお任せを

アトム法律事務所では、損害賠償金の見積もりサービスを実施しています。
いくつかの情報をお伺いできれば、弁護士の目線で損害賠償額をお見積りします。

損害賠償金の提示を受けても、それが妥当なのか、高いのか、低いのか、なかなか被害者の目線では判断しにくいでしょう。
交通事故の解決実績が豊富な弁護士がしっかり確認して、請求漏れも回避します。

事例2.損害賠償金が約3倍もUP

被害者の方は足の小指を骨折され、小指に神経症状が残った状態でした。

「後遺障害等級認定は受けられる?」
「損害賠償金はちゃんともらえる?」

このようなご不安を抱えてアトム法律事務所にご相談いただいた結果、弁護士が後遺障害等級認定のサポートと示談交渉を承ることになりました。

後遺障害等級認定では、認定審査で重視される後遺障害診断書について弁護士目線でチェックを行い、必要に応じて医師と連携しました。

その結果、後遺障害14級9号の等級認定を受けることにつながり、損害賠償金も約3倍のおよそ288万円となりました。

後遺障害等級認定を受けることで、後遺障害に関する慰謝料の獲得を実現できたのです。

後遺障害等級認定のサポートならアトム法律事務所へ

後遺障害等級認定をきちんと受けることは、適正な損害賠償金の獲得への第一歩です。
アトム法律事務所では、後遺障害等級認定に向けたサポートを充実させています。
後遺障害等級認定を受けられるか分からない、という方にも、等級認定の見込みをお伝えいたします。

認定を受けることで、損害賠償金はぐんと増額される可能性が高いです。
今後の生活を安心して送るためにも、後遺障害等級認定には力を注ぐべきなのです。

その他にも弁護士依頼で増額に成功した事例を確認したい方は、関連記事『交通事故の体験談8選』もおすすめです。こちらの関連記事は増額事例だけでなく、保険会社との示談交渉で困ったこと、後遺障害が認定された事例なども紹介しています。

損害賠償金の多くが弁護士費用に消えるのではと心配な方へ

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もちろん、特約の内容次第にはなりますが、多くの場合で300万円までの弁護士費用を負担してくれる特約になっています。

弁護士費用特約は、被害者自身の加入保険に付帯されているかを確認してください。自動車保険はもちろん、火災保険などの保険に付帯されている場合でも、交通事故の弁護士費用に充てることができる場合があります。

また、被害者本人の保険に弁護士費用特約が付いていなくても、被害者から見て次のような関係にある人の保険に弁護士費用特約があれば、適用されるかもしれません。

  • 配偶者
  • 同居している親族
  • 別居している未婚の子ども

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弁護士費用特約を使ったことで、保険の等級は変わりません。
保険料が上がるデメリットも生じませんので、積極的に活用してください。

関連記事

交通事故の弁護士費用特約とは?

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まとめ

  • 損害賠償金は弁護士依頼で増額できる可能性がある
  • 損害賠償請求の時効は最長ケースで5年に延長されたが、3年で時効を迎える部分も存在する
  • 損害賠償金の受け取りは原則示談後だが、自賠責保険会社に請求する分は早めることができる
  • 損害賠償金を適正額で受けとるには、粘り強い交渉が必要である

アトム法律事務所の弁護士は、交通事故の解決実績が豊富です。
保険会社側の弁護士を務めていたものも在籍しており、相手方の手の内も熟知しています。

全国主要都市に支部を構えていますが、ご相談は全国から受け付けています。
重傷で動けない方に向けては、出張相談にも応えやすい体制を整えています。
まずはご相談下さい。

代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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