【逸失利益の計算】職業別の計算例や早見表・計算機つき|もらえない原因と対処法

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逸失利益計算方法

逸失利益は交通事故の損害賠償のひとつで、具体的には後遺障害逸失利益と死亡逸失利益があります。

後遺障害逸失利益の計算方法は「1年あたりの基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数」です。

また、死亡逸失利益の計算方法は「1年あたりの基礎収入×(1-生活費控除率)×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数」です。

計算式自体も複雑なうえ、聞き慣れない用語も多いですが、この記事の中でわかりやすく詳しく解説していきます。

便利な自動計算ツールや年齢・男女別に平均賃金から算定した逸失利益をまとめた早見表も載せているので、大体の目安金額を知る参考にしてみてください。

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交通事故の逸失利益とは?もらえる人ともらえない人の違い

逸失利益は将来の減収への賠償金|慰謝料との違いは?

逸失利益は交通事故における損害賠償金のひとつです。「交通事故に遭わなければ得られていたはずの収入」を指し、「得べかりし利益」「消極損害」とも呼ばれます。

例えば交通事故で後遺障害が残った場合、仕事の幅が狭まったり出世が難しくなったりして生涯収入が減る可能性があります。こうした損害を補償するのが、逸失利益なのです。

逸失利益とは

逸失利益には、上記のように後遺障害によって減る生涯収入を補償する「後遺障害逸失利益」と、死亡によって得られなくなった収入を補償する「死亡逸失利益」とがあります。

  • 後遺障害逸失利益
    • 後遺障害の影響で減ってしまう生涯収入
    • 交通事故で後遺症が残り、後遺障害等級が認定されると請求できる
  • 死亡慰謝料
    • 交通事故で死亡しなければ得ていたはずの、その後の収入

逸失利益と慰謝料の違い

逸失利益が将来の減収を補償するものであるのに対し、慰謝料は、交通事故による精神的苦痛を補償するものです。

慰謝料には3つの種類があります。
それぞれが補償する精神的苦痛と請求できるケースは次の通りです。

  • 入通院慰謝料
    • 入通院で生じた精神的苦痛を補償する
    • 交通事故でケガをして入院や通院をすると請求できる
  • 後遺障害慰謝料
    • 後遺障害が残ったことで生じる精神的苦痛を補償する
    • 後遺症に対して後遺障害等級が認定されれば請求できる
  • 死亡慰謝料
    • 交通事故で死亡した被害者とその遺族の精神的苦痛を補償する
    • 死亡事故の場合に請求する

交通事故の慰謝料の種類や計算方法については『交通事故の慰謝料の計算方法|正しい賠償金額がわかる!』をご確認ください。

逸失利益と休業損害の違い

逸失利益と休業損害はともに交通事故による減収を補償するものですが、「いつ生じる減収を補償するか」「どのような人が請求できるか」が違います。

  • いつ生じる減収を補償するか
    • 逸失利益:症状固定日または死亡日から、基本的には本来なら働いていたであろう年齢までの期間
    • 休業損害:交通事故から症状固定または死亡日までの期間
  • どんな人がもらえるか
    • 逸失利益:後遺障害や死亡により、将来的な減収が予想される人(専業主婦を含む)
    • 休業損害:後遺障害の有無や死亡にかかわらず、交通事故によりケガをして仕事やアルバイト、パートを休み、実際に減収が生じた、または、交通事故当時には仕事をしてないものの減収の可能性があったといえる人

休業損害は基本的に「基礎収入×休業日数」で計算されますが、基礎収入の算出方法は職業によって異なります。

詳しくは、『交通事故の休業損害|計算方法や休業日の数え方、いつもらえるかを解説』をご覧ください。

逸失利益がもらえる人の条件

逸失利益を請求できる人とは、「交通事故後の後遺症に対して後遺障害等級が認定された人」もしくは「交通事故により死亡した人」で、それより生涯収入の減収が予想される人です。

逸失利益を請求できる人

基本的には以下の2つを満たす人

  • 交通事故により残った後遺症に「後遺障害等級」が認定された人。
    あるいは交通事故により死亡した人。
  • 後遺障害または死亡により、生涯収入の減少が予想される人。

後遺障害等級の認定を受けるには、専門機関に申請して審査を受けなければなりません。詳しい申請方法は『交通事故で後遺障害を申請する|認定までの手続きの流れ』をご覧ください。

子ども・学生・専業主婦・一部の無職者なども対象

逸失利益の対象となる「後遺障害または死亡により、生涯収入の減少が予想される人」には、給与所得者や自営業者など事故時に働いて収入を得ていた人のみならず、子供・学生や専業主婦、一部の無職者、年金受給者(死亡逸失利益のみ)も含まれます。

その理由は、次の通りです。

  • 子供・学生
    • 後遺障害により職業選択の幅が狭まったり、就職が遅れたり、あるいは死亡により働けなくなったりしたら、結果として交通事故に遭わなかった場合よりも生涯収入が少なくなると考えられるから
  • 専業主婦
    • 交通事故の損害賠償においては、家事労働も賃金労働と同じように扱われるから
  • 一部の無職者
    • 事故時は無職でも将来的に働いていた可能性が高い場合は、後遺障害・死亡による減収が予想されるから
    • 働く意思と能力があったことが証明できる場合のみ(求職活動の状況や年齢、意欲、能力などから判断される)逸失利益の対象となる
  • 国民年金・厚生年金・共済年金・障害年金の受給者

逸失利益をもらえない原因と対処法|減収なしだと難しい?

逸失利益を請求できない場合の原因としては、後遺障害認定を受けられなかった後遺障害があっても減収が生じていない交通事故時に無職でその後の就労も見込まれないなどが考えられます。

逸失利益を請求できない原因

  • 交通事故で後遺症は残ったが、後遺障害等級は認定されなかった
  • 後遺障害や死亡によって減収が生じない
  • 事故時に無職であり、事故の有無にかかわらずその後も働いていなかったと思われる

ただし、上記に該当するケースでも例外的に逸失利益がもらえることはあります。

各ケースの詳細と、逸失利益がもらえない場合の対処法を見ていきましょう。

交通事故で後遺症は残ったが、後遺障害等級は認定されなかった

交通事故で後遺症が残ったものの、後遺障害等級が認定されなかった場合、それは「労働能力に影響するほどの後遺症ではない」と判断されたということになります。

よって、後遺障害逸失利益は請求できません。
「異議申立て」の手続きをして再度後遺障害等級の認定を目指すか、そのまま示談交渉に入ることになるでしょう。

後遺障害や死亡によって減収が生じない

以下のような場合は、後遺障害が残ったり死亡したりしても、それによる減収は生じません。

  • 不労所得を得ている
  • 会社の役員として利益配当を受けている

もし上記以外に「後遺障害や死亡で働けなくなったことで生じる減収」があるなら、その部分についてのみ逸失利益を請求しましょう。

また、たとえ後遺障害認定を受けていても、減収につながらない症状であれば逸失利益がもらえない場合があります。顔の傷などは、職業によって逸失利益が認められるか争いになりやすいところです。

ただし、以下の場合は実際には減収が生じていなくても、後遺障害逸失利益の対象となることがあります。

  • 本人の努力によって減収が生じずに済んでいる場合
  • 周りの理解やサポートによって、減収が生じずに済んでいる場合

本来であれば減収が生じていて然るべき状況であることを主張し、逸失利益の獲得を目指しましょう。

事故時に無職で、事故に関係なくその後も働いていなかったと思われる

事故時に無職で、事故がなくてもその後も働いていなかったと思われる人も、逸失利益はもらえません。事故があってもなくても、無収入であることに変わりはないからです。

事故がなければ将来的に就職していた可能性が高い場合は、平均収入などを参考に逸失利益が認められる可能性があります。

しかし、事故がなければ就職していたということを、被害者本人の体力や能力、事故当時の求職活動の状況などから立証しなければなりません。
加害者側と揉めることが予想されるので、事前に弁護士に相談することをおすすめします。

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逸失利益の計算方法と簡単自動計算機

(1)後遺障害逸失利益の計算式

後遺障害逸失利益の計算式は「1年あたりの基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数です。

基礎収入

1年あたりの収入。被害者の職業や属性によって算出方法が違う。

  • 給与所得者:原則として事故前年度の年収額(源泉徴収票や給与明細から判断)
  • 会社役員:役員報酬のうち、労務対価部分のみ
  • 自営業者:事故前年度の確定申告の内容から決定
  • 専業主婦:賃金センサスの女性全年齢平均賃金を用いて算出
  • 子ども:賃金センサスの男女別全年齢平均賃金を用いて計算

労働能力喪失

後遺障害によってどれくらい労働能力が落ちたか示す割合。後遺障害等級ごとに目安が決まっている。

労働能力喪失期間

労働能力を失った状態で働く年数。基本的には「症状固定年齢~67歳」だが例外もある。

ライプニッツ係数

逸失利益を預金・運用することで将来的に生じる利息を、あらかじめ差し引くための数値。計算式に用いる各要素の内容や具体的な数字を解説していきます。

それぞれについてより具体的に解説します。

計算式の項目(1)基礎収入|職業別に解説

基礎収入は、交通事故にあう前の被害者の収入(年収)です。職業別に基礎収入の算出方法を見ていきましょう。

給与所得者

原則として事故前年度の年収額(源泉徴収票や給与明細から判断)とします。

ただし、被害者が30歳未満の若年労働者であり、現実の給与額が賃金センサスの平均額を下回っている場合は、将来平均賃金を得られる蓋然性があるのなら、全年齢の平均賃金を用いての計算も可能です。

会社役員

役員報酬のうち、労務対価部分のみが基礎収入とされます。
利益配当部分は加算しません。
また、昇給や給与の変動は一般的には考慮されません。

会社役員の労務対価部分については『会社役員の交通事故慰謝料・休業損害は?請求可否の判断基準や計算方法を解説』の記事で説明しているので、参考にしてみてください。

自営業(個人事業主)

自営業者の基礎収入は事故前年度の確定申告の内容から決定します。毎月固定で生じる経費は差引きません。

確定申告をしていない場合は帳簿などから前年の所得を証明するか、平均賃金から基礎収入を算出する必要があります。

申告所得が実際の所得より低い場合には、帳簿などから実際の所得を証明できればそれに近い金額を基礎収入にできる可能性がありますが、相手方との交渉次第となるでしょう。

主婦

専業主婦の基礎収入は、賃金センサスの女性全年齢平均賃金を用いて算出します。
令和元年以降の女性全年齢平均賃金(年収)は、以下の通りです。

女性の全年齢平均賃金(令和元年以降)

令和元年約388万円
令和2年約382万円
令和3年約386万円
令和4年約394万円

なお、兼業主婦は就労で得た収入と、賃金センサスの女性平均賃金を比べて高い方を基礎収入として採用します。

子ども・学生

子ども・学生の基礎収入は、賃金センサスの男女別全年齢平均賃金を用いて計算します。

大学進学の可能性が高い場合には、男女別・大卒の平均賃金で算定される可能性もあります。

全年齢平均
(男/女)
大卒
(男/女)
令和元年約561万/約388万約671万/約472万
令和2年約546万/約382万約638万/約451万
令和3年約546万/約386万約631万/約454万
令和4年約555万/約394万約640万/約462万

なお、女子年少者の基礎収入は、男女を含む全労働者の全年齢平均賃金で算定されるケースもある点に留意しておきましょう。

男女を含む全労働者の全年齢平均賃金は、以下の通りです。

令和元年約500万
令和2年約487万
令和3年約489万
令和4年約496万

また、就職・内定が決まっている場合には内定先の平均賃金で算定される可能性もあります。

計算式の項目(2)労働能力喪失率

労働能力喪失率とは、後遺障害によって失われた労働能力を割合で示したものです。後遺障害等級ごとに目安が定められています。

後遺障害等級と労働能力喪失率

等級 労働能力喪失率
1級100%
2級100%
3級100%
4級92%
5級79%
6級67%
7級56%
8級45%
9級35%
10級27%
11級20%
12級14%
13級9%
14級5%

ただし、必ずしも上記の通りになるとは限りません。職業や後遺障害の部位・程度、実際の仕事に対する支障の程度などにより増減することもあります。

計算式の項目(3)労働能力喪失期間

労働能力喪失期間とは、今後何年にわたって労働能力の喪失が続くのかを表した年数です。

労働能力喪失期間は、以下のように求められます。

労働能力喪失期間の求め方

被害者の年齢 労働能力喪失期間の求め方
幼児~高校生・67歳-18歳=49年間
・大学進学が確実な場合は大学生の例に準じる
大学生・67歳-22歳=45年間
・卒業予定の年齢によって短くなる場合がある
社会人・67歳-症状固定時の年齢
・67歳-死亡時の年齢
高齢者・平均余命*の2分の1
・67歳-症状固定時(死亡時)の年齢 のいずれか長い方

※平均余命については、厚生労働省発表の簡易生命表を用いて計算することが多い。

ただし、医師や税理士など、67歳以降も働く可能性の高い職業については、労働能力喪失期間が長くなることがあります

また、むちうちで後遺障害12級か14級に認定されている場合、労働能力喪失期間は12級で10年程度、14級で5年程度とされることが多いです。
その理由は以下の通りです。

  • むちうちによる後遺障害は時間の経過によって減退・消失する傾向にあるから
  • むちうちによる後遺障害は比較的軽度であり、訓練により順応し、労働能力への影響が抑えられると考えられるから

ただし、むちうちによる後遺障害でも、上の2点に当てはまらない場合は、労働能力喪失期間が長くなる場合があります。

計算式の項目(4)ライプニッツ係数(早見表あり)

ライプニッツ係数とは、逸失利益から中間利息を差引くための数値です。

中間利息とは

お金を預金したり資産運用に回したりすることで生じる利益。
逸失利益は高額なので預金・運用して保管することが多く、中間利益が生じやすい。

逸失利益の請求が認められると、本来は段階的に得られたお金を一括で受け取ることになるので、中間利息の金額も通常よりも増加することになるのです。

そのため、逸失利益から中間利益を差し引かなければ、被害者側は損害額以上の金額を得ることになってしまいます。

よって、ライプニッツ係数を計算式に入れることで、あらかじめ中間利息分の金額を逸失利益から差し引くのです。

ライプニッツ係数は、2020年4月の民法改正により、事故発生日が2020年3月31日以前か、2020年4月1日以降かで異なります。

被害者が18歳以上のときのライプニッツ係数

労働能力喪失期間 2020年3/31以前2020年4/1以降
1年0.95240.9709
2年1.85941.9135
3年2.72322.8286
4年3.5463.7171
5年4.32954.5797
6年5.07575.4172
7年5.78646.2303
8年6.46327.0197
9年7.10787.7861
10年7.72178.5302
11年8.30649.2526
12年8.86339.954
13年9.393610.635
14年9.898611.2961
15年10.379711.9379
16年10.837812.5611
17年11.274113.1661
18年11.689613.7535
19年12.085314.3238
20年12.462214.8775

被害者が18歳未満のときのライプニッツ係数*

事故当時の年齢 2020年3/31以前2020年4/1以降
0歳7.549514.9795
1歳7.926915.4289
2歳8.323315.8918
3歳8.739416.3686
4歳9.176516.8596
5歳9.635217.3653
6歳10.11717.8864
7歳10.622918.423
8歳11.154118.9756
9歳11.711719.5449
10歳12.297320.1312
11歳12.912120.7352
12歳13.557821.3572
13歳14.235621.998
14歳14.947422.6579
15歳15.694923.3376
16歳16.479624.0377
17歳17.303524.7589

*大学進学の蓋然性が認められる場合は数値が異なることもある

(2)死亡逸失利益の計算式

死亡逸失利益の計算式は、「1年あたりの基礎収入×(1-生活費控除率)×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数」です。

基礎収入

1年あたりの収入。被害者の職業や属性によって算出方法が違う。

生活費控除率

死亡逸失利益のうち、被害者が生きていれば生活のために使ったであろう金額を差し引くための数値。

ライプニッツ係数

逸失利益を預金・運用することで将来的に生じる利息を、あらかじめ差し引くための数値。

ライプニッツ係数については、後遺障害逸失利益の解説の中で紹介しているのでご覧ください。

基礎収入

基礎収入は、死亡逸失利益のみが認められる、年金受給者の基礎収入について解説していきます。その他の職業・属性の基礎収入は後遺障害逸失利益の計算方法の中で解説しているのでご確認ください。

基礎収入として認められる年金には、以下のようなものがあります。

  • 老齢年金
  • 障害年金(子や妻の加算分を除く)
  • 退職共済年金

被害者が死亡時点において年金の支給を受けていた場合には、仕事による収入がなくても上記の年金額に応じた基礎収入が認められます。

ただし、年金の給付目的が受給者自身の生計を維持するためである場合には、存続性がないとして基礎収入に該当しないと判断される場合もあることに注意してください。
遺族年金は、基礎収入として認められない可能性があります。

生活費控除率

被害者が交通事故で死亡した場合、その後の被害者本人分の生活費はかからなくなります。
死亡逸失利益から被害者本人分の生活費を差し引かなかった場合、差し引かなかった分は損害に対する補償ではなく利益になってしまいます。

そこで、被害者本人分の生活費を差し引くために計算式に用いるのが、生活費控除率なのです。

生活費控除率は、以下の数値が目安となっています。

  • 男性(独身、幼児等を含む):50%
  • 女性(主婦、独身、幼児等を含む):30%

▼被害者が一家の支柱の場合の場合

  • 被扶養者が1人の場合:40%
  • 被扶養者が2人以上の場合:30%

女性の方が生活費控除率が低くなっているのは、計算に用いる基礎収入が女性の方が低い傾向にあることを考慮するためです。

なお、女子年少者で基礎収入を「男女計全労働者の全年齢平均賃金額」とする場合は、生活率控除率が40%~50%とされることが多くなります。

生活費控除率が30%のままだと、同じく「男女計全労働者の全年齢平均賃金額」を基礎収入として計算する男子年少者の逸失利益よりも大幅に高額になってしまうためです。

なお、生活費控除率は以下のような場合には増減することもあります。

控除率が低くなるケース

  • 独身だが離婚して養育費を支払っていた、高齢の親を援助していたなどの事情がある場合

控除率が高くなるケース

  • 相続人が兄弟姉妹である(通常、兄弟姉妹の生活保障は考慮しないため)
  • 収入が多く税金の負担率が平均よりも高かった
  • 夫婦ともに平均収入以上を得ている共働きであった

【自動計算機】等級や年収に応じた自分の逸失利益がわかる

ここまでの解説でも分かる通り、逸失利益は事故前の収入や年齢など個人的な要素から算出されます。ご自身の逸失利益の目安は、以下の計算機からご確認ください。

ただし、この計算機でわかるのはあくまでも機械的な計算結果です。
実際にはさまざまな要素を反映して金額が増減することもあるので、厳密な相場は弁護士に確認することをおすすめします。

なお、交通事故被害にあった場合には、他にも以下の損害賠償金を請求できます。

  • 治療関係費
    治療費・入院費用・入通院のための交通費・入院中の生活雑費など
  • 将来の介護が必要な場合の費用
    将来介護費用・将来の通院交通費・介護用品の買換え費用など
  • 死亡事故における葬儀関係費用
    葬儀代・墓石建立費用など
  • 物的損害
    自動車やバイクの修理費用・代車費用など

交通事故においては、基本的に不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)として、支払いを求めることになります。

費目ごとの計算方法などについて詳しく知りたい方は『交通事故の損害賠償請求とは?賠償金の費目範囲や相場・計算方法を解説』の記事をご覧ください。

逸失利益の金額早見表と職業別の計算例

逸失利益の金額早見表|25歳~45歳の男女別金額

ここまで見てきたように、逸失利益の金額は事故前の収入や年齢など、個人的な要素によって決まります。

そこでここでは、男女別・25歳、30歳、35歳、40歳、45歳の後遺障害逸失利益、死亡逸失利益を、以下の条件で算定した早見表を掲載します。

  • 事故前の年収
    令和3年度賃金センサスをもとにした大まかな平均金額
    • 25歳:男性330万円/女性310万円
    • 30歳:男性420万円/女性370万円
    • 35歳:男性480万円/女性380万円
    • 40歳:男性540万円/女性400万円
    • 45歳:男性590万円/女性410万円
  • 後遺障害等級(後遺障害逸失利益の場合)
    10級10号(骨折により上肢の可動域制限が残ったことを想定)
  • 事故は2020年4月1日以降に起きたものとする

表は上段が男性、下段が女性の金額となっており、1000万円以下は四捨五入しています。

逸失利益の早見表(後遺障害10級10号を想定)

25歳30歳35歳
後遺障害逸失利益2112万円
1984万円
2514万円
2214万円
2642万円
2092万円
死亡逸失利益
(独身)
3911万円
5143万円
4655万円
5741万円
4893万円
5423万円
死亡逸失利益
(扶養1人)
4693万円
4408万円
5586万円
4921万円
5872万円
4649万円
死亡逸失利益
(扶養2人)
5475万円
5143万円
6517万円
5741万円
6851万円
5423万円

逸失利益の早見表(後遺障害10級10号を想定)

40歳45歳
後遺障害逸失利益2672万円
1979万円
2539万円
1764万円
死亡逸失利益
(独身)
4948万円
5132万円
4701万円
4574万円
死亡逸失利益
(扶養1人)
5938万円
4398万円
5642万円
3921万円
死亡逸失利益
(扶養2人)
6928万円
5132万円
6582万円
4574万円

給与所得者の逸失利益計算例

サラリーマンの逸失利益については、実際の事例における計算例を紹介します。

計算例(1)後遺障害逸失利益の計算例

職業・性別・年齢会計事務所勤務・女性・33歳
年齢33歳
後遺障害12級13号(頸椎椎間板ヘルニア)
基礎収入額年収469万3070円
労働能力喪失率14%
労働能力喪失期間10年
逸失利益認定額507万3387円

参考元:平成29年2月24日/名古屋地方裁判所/民事第3部/判決/平成27年(ワ)4630号

この場合、後遺障害逸失利益の計算は次のとおりです。

469万3070円(基礎収入)×0.14(労働能力喪失率)×7.7217(ライプニッツ係数)=507万3387円

この事例では、被害者は33歳なので通常なら労働能力喪失期間は「67-33=34年」となります。しかし、今回は頸椎椎間板ヘルニアで後遺障害12級となっているため、労働能力喪失期間は10年とされました。

(2)死亡逸失利益の計算例

職業・性別・年齢給与所得者・男性・37歳
死因左肺挫傷等の傷害を負い、出血性ショックのため死亡
基礎収入額年収591万2000円
労働能力喪失期間30年(67-37=30年)
生活費控除率*50%
逸失利益認定額4543万9632円

参考元:平成29年6月13日/大阪地方裁判所/第15民事部/判決/平成28年(ワ)139号

この場合の死亡逸失利益の計算は、以下のとおりです。

591万2000円(基礎収入)×15.372(ライプニッツ係数)×(1-0.5(生活費控除率))=4543万9632円

主婦の逸失利益計算例

専業主婦の場合の後遺障害逸失利益の計算例をご紹介します。

年齢47歳
後遺障害等級13級
基礎収入額年収394万円(女性の全年齢平均※2022年)
労働能力喪失率9%
労働能力喪失期間20年(67-47=20年)

この場合の後遺障害逸失利益の計算は、以下のとおりです。

394万円(基礎収入)×0.09(労働能力喪失率)×14.8775(ライプニッツ係数)=527万5562円

自営業者の逸失利益計算例

自営業者の後遺障害逸失利益の計算例を見てみましょう。

年齢51歳
後遺障害等級6級
基礎収入額年収620万円
労働能力喪失率67%
労働能力喪失期間16年(67-51=16年)

この場合、後遺障害逸失利益の計算は次のとおりです。

620万円(基礎収入)×0.67(労働能力喪失率)×12.5611(ライプニッツ係数)=521万1788円

子どもの逸失利益計算例

子どもの逸失利益の計算例を見てみましょう。

年齢8歳
後遺障害等級10級
基礎収入額年収555万(男性全年齢平均※2022年)
労働能力喪失率27%
労働能力喪失期間49年(67‐18=49年)

この場合、後遺障害逸失利益の計算は次のとおりです。

555万円(基礎収入)×0.27(労働能力喪失率)×18.9756(ライプニッツ係数)=2,843万4,937円

弁護士に相談すべきケース|逸失利益が低い・もらえないなど

(1)基礎収入が低く見積もられている

交通事故が起きた場合は、加害者が加入している任意保険会社から、逸失利益の支払い金額ついて提案されることが多いでしょう。

しかし、加害者側の任意保険会社は、逸失利益の金額を下げるために基礎収入を低く見積もっていることがあります。

給与所得者(会社員・サラリーマン)の場合は源泉徴収票を、自営業者の場合は確定申告書を提示して正しい基礎収入を主張してみましょう。

それでも基礎収入が訂正されない場合、加害者側の任意保険会社は、基本的に被害者本人の主張は聞き入れないつもりである可能性が高いです。

「弁護士が出てきたら主張を聞き入れる」という方針である可能性も考えられるので、弁護士にご相談ください。

基礎収入の交渉がとくに難航しやすいケース

以下の場合は、基礎収入の交渉がとくに難航しやすいです。

  • 自営業者で確定申告をしていない、過少申告をしている
  • 専業主婦(主夫)、学生、子ども、無職で現実の収入額を証明できない
  • 給与所得者で収入が平均より低いが、将来的に平均額を得られる見込みがあったため、全年齢平均賃金を基礎収入としたい

上記の場合は、給与所得者の源泉徴収票のように、基礎収入の根拠を示す確実な証拠がありません。

よって、専門知識を駆使して過去の判例や専門書の記載などを提示しながら交渉する必要があります。

しかし、専門知識の量は加害者側の任意保険会社の方が圧倒的に豊富であるため、被害者側も専門家である弁護士を立てることが重要です。

(2)労働能力喪失率・期間が実情に見合わない

加害者側の任意保険会社は、労働能力喪失率・期間を低く見積もることで、逸失利益の金額を下げようとすることがあります。

適切な労働能力喪失率・期間にするためには、過去の判例や専門知識を踏まえつつ個別的な事情も考慮し、医師の意見書や日常生活報告書なども用意したうえで交渉しなければなりません。

とくに以下の場合は労働能力喪失率・労働能力喪失期間に関して相手方ともめやすいです。
納得いかない点がある場合は、弁護士にご相談ください。

  • むちうちによる神経症状や、顔の傷、骨の変形、内臓の異常
    • 「仕事にさほど影響はない」と相手方から主張され、労働能力喪失率が低く見積もられやすい
  • 医師や税理士など
    • 67歳を超えても働く可能性が高いため、労働能力喪失期間が通常より長くできる可能性がある
  • むちうちで後遺障害12級、14級に認定された
    • 労働能力喪失期間が10年(12級)・5年(14級)とされることが多いが、実際の症状などによってはもっと長くなることもある

(3)後遺障害等級に納得していない

認定された後遺障害等級に納得いっていない場合は、異議申し立てによる再審査も検討してみましょう。

再審査を受けてより高い等級に認定されれば、労働能力喪失率が高くなり、逸失利益も高額になる可能性があります。

ただし、異議申し立てについては以下のリスクもあります。

  • 異議申し立てをしても等級が変わるとは限らない(下がることはない)
  • 異議申し立てをする分、示談交渉の開始が遅れるため、損害賠償請求権の消滅時効が迫ってくる
  • 示談交渉の開始が遅れる分、示談金の受け取りも遅くなる

よって、異議申し立てをするかどうかは、等級認定結果が上がる可能性をしっかり検討したうえで決めなければなりません。

また、異議申し立てをする際は、1度目の認定結果を踏まえた入念な審査対策が必要です。

異議申し立てをするかどうかは、過去の事例や後遺障害等級の認定基準に精通した弁護士に相談しながら決めることが重要といえるでしょう。

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(4)減収がなく逸失利益をもらえないと言われた

加害者側の任意保険会社が以下の理由から逸失利益が生じていないために支払わないと言ってきた場合も、弁護士にご相談ください。

  • 被害者の後遺障害により労働能力が低下していない
  • 後遺障害による減収が生じていない

確かに、たとえ後遺障害が残っていても、労働能力に影響がなかったり減収が生じていなかったりすると逸失利益がもらえないことがあります。

しかし、本当に労働能力に影響が出ていないのか、今現在のみならず将来にも減収が生じないと言い切れるのかは慎重に検討すべきです。

相手保険会社が「労働能力に影響がない」「減収が生じていない」などと主張して逸失利益を支払おうとしない場合の反論方法について、解説を行います。

後遺障害による労働能力の低下がないという主張への対処

後遺障害認定を受けていても、労働能力の低下がないと主張されやすい事例としては、以下のような傷跡や変形障害が代表的です。

  • 体に残った傷跡の大きさから後遺障害認定を受けたケース
  • 脊柱や鎖骨などの変形が生じたために後遺障害認定を受けたケース

傷跡や変形は身体活動に影響せず、労働能力は低下していないとして、逸失利益は賠償の対象外と言われやすいのです。

このような主張に対しては、被害者の仕事内容から、後遺障害の症状が原因で労働能力の低下が認められると反論することになります。

特に、接客業やモデルなどの見た目が重視される仕事では、傷跡や体の変形がわかることから以前のように仕事ができなくなったと主張しやすいといえるでしょう。

実際に逸失利益が認められた判例として、以下のようなものがあります。

(1)大阪地方裁判所平成19年(ワ)第8174号

  • 被害者に残った後遺障害の一つに顔の傷跡があった。
  • 加害者側の主張
    被害者の職業である飲食店経営に顔の傷跡は影響しない。
  • 裁判所の判断
    傷跡の程度は著しいものであり、接客業である飲食店経営への影響も大きいことから、労働能力に対する影響は無視できない。

(2)大阪地方裁判所平成25年(ワ)第7853号

  • 被害者(喫茶店アルバイト)に残った後遺障害の一つに顔の傷跡があった。
  • 加害者の主張
    顔に傷跡があっても接客業ができないわけではないため、労働能力への影響はない。
  • 裁判所の判断
    外貌醜状の程度からすると、原則的には労働能力への影響はない。しかし、被害者が19歳とまだ若く、今後幅広い職業に就く可能性がある中で、傷跡によって職業選択の幅が制限される可能性はある。したがって、労働能力への影響を完全には否定できない。

減収が生じていないという主張への対処

被害者に後遺障害が認定されたとしても、その後の被害者の収入が事故前より低下していない場合は、逸失利益がそもそも生じていないと主張されることが考えられます。

このような主張に対しては、減収が生じていないのは本人の努力や勤務先の配慮によるという事情があるためと反論することすることになります。

逸失利益が否定されてしまった場合の対処

減収が生じていないために逸失利益が認められなかったとしても、交渉次第では、代わりに後遺障害慰謝料を増額させられる可能性があります。

逸失利益は認められなかったものの、事情を考慮して後遺障害慰謝料が増額された判例は、以下の通りです。

京都地方裁判所平成28年(ワ)第1303号

  • 被害者(小学1年生の女児)の額に線状痕が残った。
  • 加害者側の主張
    傷跡は被害者が就労するころには目立たない程度に回復している可能性があること、髪の毛で容易に隠せることから、将来の労働能力に影響するとは言えない。
  • 裁判所の判断
    傷跡は化粧や髪の毛で隠すことができ、労働能力への影響は考えられないため、逸失利益は認められない。
    ただし、髪型の制限が今後女児にとって精神的負担になりえること、傷跡を気にして対人関係などに消極的になる可能性があること、それにより性格形成に影響が出かねないことを考慮し、後遺障害慰謝料を870万円とする。
    ※後遺障害等級は9級16号であり、本来の相場は690万円。

反論する場合には弁護士に相談を

上記のような反論を行うことで逸失利益が認められたり、慰謝料増額を実現することは簡単ではありません。

基本的には、逸失利益や慰謝料増額の可否をめぐって加害者側と争いになる可能性が高いです。
そのため、あらかじめ弁護士を立てて示談交渉することをおすすめします。

逸失利益の請求可否については過去の判例や専門書の記載などをもとに交渉する必要があるので、専門家である弁護士にご相談ください。

逸失利益以外の問題も弁護士に相談・依頼すべき

弁護士に相談・依頼することで得られるメリット

逸失利益に関して問題がある場合に、弁護士への相談をおすすめしていますが、逸失利益以外の問題についても、専門家である弁護士相談するべきでしょう。

弁護士に相談・依頼を行うことで、以下のようなメリットが生じます。

  • 逸失利益以外の損害賠償金についても相場の金額を請求できる
  • 加害者側に対する請求の交渉を代わりに行ってもらえる

逸失利益が生じる程度のケガを負ったり、死亡事故が生じた場合は、治療費や入通院により生じる慰謝料など逸失利益以外に請求できる損害賠償金の金額も高額になりやすいでしょう。

こうした場合は特に、加害者側は少しでも支払う金額を下げようとしてきます。弁護士による専門知識に基づいた主張を行ってもらうことが必要でしょう。

また、弁護士に依頼して代わりに交渉を行ってもらうことで、被害者は治療に専念することができます。

逸失利益が生じる程度のケガを負っている場合は、長期の治療やリハビリが必要なケースも多いので、弁護士に依頼して治療に専念できることによるメリットは大きいといえるでしょう。

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弁護士への相談や依頼には弁護士費用がかかると思われがちですが、以下の方法を使えば負担を減らすことが可能です。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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