交通事故の謝罪は示談交渉に影響する?謝罪文の例文や注意点も紹介
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交通事故の加害者が被害者に対して誠意を持って謝罪することは、被害者の怒りの気持ちを軽減して、示談交渉がスムーズにいったり、刑事事件で起訴されない可能性が高まるなどのメリットがあります。
一方で、不誠実な謝罪の仕方や謝罪文の書き方をしてしまうと、被害者側の感情を逆なでして示談交渉が難航したり、処罰感情を強めて厳罰を求めるなど、かえって逆効果となりうるリスクもあります。
そのため、本記事では交通事故の謝罪でお悩みの方のために押さえておくべきポイントを解説します。
交通事故の加害者として警察や検察の取調べを受けているなど、刑事事件化している場合は刑事事件をあつかう弁護士に相談しましょう。詳しくは『刑事事件の無料相談』のページをご覧ください。
目次
謝罪する場合の注意点
交通事故の被害者に謝罪する際の注意点を解説します。
相手の連絡先を聞いておく
交通事故の相手に謝罪するには、まず相手の連絡先を聞いておく必要があります。
事故現場で謝罪すればよいと思われるかもしれませんが、当日に謝罪するだけでは「誠意がない」と判断されがちです。
後日に真摯な謝罪をスムーズに行うため、なるべく交通事故が発生した当日に相手の連絡先を把握しておくことが望ましいです。
交通事故後、警察への通報や救急車の手配をした後に、現場に到着するまでにはしばらく時間がかかるため、その間に相手と話をして連絡先を聞ける場合があります。
ただし、相手方の連絡先を聞けるかどうかは、相手の感情や負傷の程度など、状況にもよります。
相手が感情的になっていて話をするのが難しい場合や、負傷の程度が重そうな場合には、無理に連絡先を聞き出そうとすると、かえってこじれてしまう可能性があるので、当日に無理はしないようにしましょう。
被害者の連絡先は、事故後に発行される「交通事故証明書」で確認することも可能です。
保険会社に任せる場合も謝罪を行うべき
示談交渉を保険会社に任せる場合でも、自分自身で謝罪を行いましょう。
自動車の任意保険に加入している場合、保険会社が加害者本人の代わりに被害者と示談交渉をしてくれる、示談交渉サービスが付帯している場合がほとんどです。
保険会社が示談を担当する場合、加害者は被害者と直接交渉する必要はありませんが、その場合でも謝罪は自分自身できちんと行っておきましょう。
示談交渉サービスが付帯しているかは加害者側の事情であり、保険会社に全て任せきりにしてしまうと、反省していないと相手方に判断されてしまいがちだからです。
また、保険会社が示談交渉をしてくれるのは、被害者に生じた損害の補償という民事面の示談だけです。
加害者の刑事処分に大きく影響する加害者の謝罪と反省、それに対する被害者の許し(宥恕)を示談に盛り込むには、加害者本人か加害者が弁護士に依頼して、別途示談交渉をする必要があるので、注意が必要です。
ただし、保険会社の担当者は、不要なトラブルを避けるため、当事者同士の接触ややり取りを好まないケースが多いです。担当員が同行した場合のみ許可する場合もあるので、被害者に謝罪する前には必ず保険会社に連絡しておきましょう。
謝罪するタイミングに注意する
謝罪するタイミングは、なるべく事故の翌日、遅くても3日以内になります。
事前に被害者へ電話をして謝罪の気持ちを伝え、直接謝罪をしてもよいかどうかの確認を取りましょう。
交通事故で謝罪する場合、なるべく早い段階で謝罪したい旨を伝えることが大切です。
せっかく謝罪する気があったとしても、謝罪するタイミングが遅すぎる場合、誠意がないと思われてしまう恐れがあります。
また、電話はあくまで訪問して謝罪するための下準備です。相手が直接謝罪を拒絶する場合をのぞいて、謝罪は電話だけで簡単に済まさないようにしましょう。
電話で伝えるべきポイントは以下のとおりです。
ポイント
- 名乗ってから簡潔に謝罪する
- 相手の体調や損壊した物について調子を伺う
- 訪問して謝罪するためのアポイントメント(約束)を取る
- 最後にもう一度簡潔に謝罪の言葉を述べる
アポイントメント(約束)を取るのは、突然訪問しても仕事や通院で不在にしている可能性があるし、在宅の場合でも迷惑になる可能性があるからです。
注意点として、謝罪を相手に拒否されたとしても、謝罪することをすぐに諦めるべきではありません。
断っても謝罪を希望する加害者の行動に誠意を感じて謝罪に応じてくれる被害者や事故直後は感情的になり、加害者の顔も見たくないと謝罪を拒否していたものの、徐々に冷静になり加害者と会ってもいいと考える被害者もいるからです。
相手がどうしても謝罪を拒否する場合や訪問して直接謝罪することが、かえって被害者側の負担となる場合は、謝罪文を作成し、弁護士や保険会社から渡してもらう方法もあります。
また、交通事故の加害者が謝罪以外にすべき対応に関しては関連記事『交通事故加害者がすべき対応は?裁判所の呼び出しと事故で負う責任も解説』で確認可能です。
死亡事故の場合は特にタイミングに配慮する
交通事故で被害者を死亡させてしまった場合、遺族への謝罪や葬儀への参列を考える必要があります。
もっとも、被害者の死亡直後は遺族も混乱の中にあり、気持ちの整理がついていないことも多いので、謝罪のタイミングは慎重に配慮する必要があります。
特に、葬儀への参列には嫌悪の気持ちを示されることがありますので、アポイントメントを取らず参列しに行くことは控えるべきでしょう。
直接謝罪する際のマナーと行うべき準備
被害者宅を訪問したり、入院先の病院にお見舞い(面会)に行ったりして、直接謝罪する際のマナーや必要な準備について、注意点を解説します。
直接謝罪するために訪問する際の服装や移動手段
直接謝罪するために被害者宅などを訪問する際、相手方に失礼な印象を与えて心証を悪くしないよう、服装や移動方法などにも気を配る必要があります。
謝罪をする服装は、黒無地のスーツと革靴の組み合わせなど、できるだけ地味な格好で訪問してください。
派手な服装や装飾品は避けましょう。誠意が伝わるような、きちんとした装いが大切です。
また、相手を訪問するための移動方法としては、相手に不快感を与えないように、自家用車を運転して訪問するのは避けましょう。
公共交通機関やタクシーを利用して訪問しますが、タクシーの場合、相手の自宅よりも手前で降車しておくのが無難です。
謝罪に持っていく菓子折りについて
謝罪の際に菓子折りを持っていくことは必須ではありませんが、何らかの形があることで、一般的には誠意が伝わりやすくなりますので、持っていくことをおすすめします。
お詫びの気持ちを込めるという意味で、菓子折りは箱つきの整ったものを選択しましょう。
菓子の種類に決まりはありませんが、日持ちする物が無難です。
定番の菓子折りとしては、比較的重量感があり「事故のことを重く受け止めている」という意味で、ようかんが用いられることもあります。
菓子折りの価格ですが、5000〜1万円程度を目安にするとよいでしょう。
決まった価格の相場があるわけではありませんが、価格が高すぎると「物で解決しようとしている」と思われてしまう可能性が、逆に安すぎると「馬鹿にされている」と思われてしまう可能性があるので、高すぎず安すぎない価格とすべきです。
また、菓子折りを手配する際に、「のし紙」を付けるべきではないでしょう。
のし紙は水引の形や色を使い分けることで、慶事用や弔事用に用いることができますが、のし紙は縁起物であり、主に祝い事に用いられるべきという考え方も根強くあります。
事故の相手によっては、のし紙がついていることで「非常識だ、失礼だ」と感じてしまう場合があるので、交通事故で謝罪する際の菓子折りには、のし紙はつけないほうが無難です。
謝罪の流れ・手順や注意点
訪問先での謝罪の流れや手順は以下のようにするとよいでしょう。
謝罪は玄関先で行う
被害者宅を訪問したら、まず玄関先で謝罪をしましょう。
被害者側の方の中には、加害者に家の中まで入ってきて欲しくないと感じる方もいるからです。
ただし、被害者側が「ここでそんなことをされては迷惑です」と言うのであれば家に入れていただいても問題ありません。
お詫びと反省の気持ちを伝える
謝罪は相手方にお詫びと反省の気持ちが伝わるよう、誠意を持って行いましょう。
基本的には素直に気持ちをお伝えし、受け答えをすれば問題ありませんが、注意点として以下のようなものがあります。
- 具体的な補償の話はしない
- 相手方の要求に安易に応じない
- 過失割合が争われそうなケースでは全責任を認めるような発言はしない
1について
「示談金として100万円お支払いします」など具体的な損害賠償額を提示するのはNGです。
交通事故の損害賠償金は、治療費や慰謝料だけでなく休業損害や逸失利益などさまざまな項目があり、後遺症がある場合は症状固定後の後遺障害等級の認定結果が出るまでは最終的な損害賠償額を算出することができません。
また、各損害項目には一定の計算方法が存在します。
そのため、具体的な損害賠償額を提示してしまうと、その提示額が妥当な損害賠償金の相場より高額・低額になる可能性があり、その後の示談交渉の際に話がこじれてしまう可能性があるからです。
2について
反対に、被害者側から具体的な慰謝料額の請求や対応の要求があっても、安易に応じるのはNGです。
交通事故では、加害者側の任意保険会社が示談金(賠償金)を支払うケースが多いですが、保険会社は相場の範囲内での示談金しか支払ってくれません。
そのため、相場からかけ離れた慰謝料額の請求に応じてしまうと、その後の示談交渉で保険会社が謝罪時に加害者が応じた金額の支払いを拒否し、トラブルになる可能性があるからです。
また、入院中の被害者から相部屋ではなく個室に入院したいと要求されるケースがありますが、個室料は医師の指示や症状が重篤であるなど特別の事情がなければ基本的には認められません。
そのため、被害者から相部屋ではなく個室に入院したいと要求があった場合、その場では了承せずに、「検討して保険会社の担当者からご連絡いたします」などと回答するのが無難です。
3について
事故状況から過失割合に争いがありそうなケースでは、謝罪の際「責任はすべて私にあります」などのように全責任を認めるかのような発言はNGです。
上記のような発言をしたからといって、直ちに過失割合で不利になるわけではありませんが、その後の示談交渉の際、上記の発言を引き合いに出されて被害者側に一切過失はないと主張される可能性があるからです。
ただし、過失割合に争いがありそうなケースでも、謝罪の際「お互い悪いところがありましたが」などと発言することもNGです。
被害者側が「加害者は本当にお詫びする気持ちがあるのか?」と疑問に思うだけでなく、不誠実な態度であるとして怒りを覚えてトラブルに発展する可能性もあるからです。
また、停車中の被害車両への追突事故など、加害者側に過失が100%あることが明らかなケースであればお詫びと反省の気持ちを伝えるため、「責任はすべて私にあります」と発言をしても問題ありません。
用意してきた菓子折りと謝罪文を渡す
口頭でお詫びと反省の気持ちを伝えたら、用意してきた菓子折りと謝罪文を渡しましょう。
菓子折りは紙袋から取り出して渡すのが一般的なマナーですが、謝罪の場が被害者宅以外で、被害者側が菓子折りを持ち帰ることが想定される場合などは紙袋に入れたまま渡しても問題ありません。
なお、被害者側が菓子折りの受け取りを拒否するケースもあるので、その場合には無理に渡そうとせず持ち帰ってください。
謝罪文の書き方・注意点
上記のとおり、交通事故で被害者宅を訪問して直接謝罪をする場合でも、謝罪文を渡した方がより誠意やお詫びの気持ちが伝わります。
また、被害者宅を訪問して直接謝罪するのを拒否されている場合や、交通事故から直接謝罪に行くまでに期間が空いてしまう場合などは、先に謝罪文を送付しておくのが誠実な態度です。
ここからは、具体的な謝罪文の書き方や注意点について紹介していきます。
形式面での注意点
謝罪文でお詫びや反省の気持ちを相手方に伝えるには、内容面だけではなく、形式面にも細心の注意を払う必要があります。
書き方
被害者に対する謝罪の気持ちを伝えるため、謝罪文は手紙(便箋)に直筆(手書き)で書きましょう。
なるべく丁寧な字で記載し、A4用紙1枚に収まる程度にまとめるのが無難です。
誤字や脱字をしてしまった場合は、修正液などを使用せずに最初から書き直してください。
なお、お詫び状などの改まった手紙では、縦書きが一般的とされていますが、縦書きに慣れていない方は横書きで書いても大きな問題はないでしょう。
便箋・封筒
基本的に便箋は白無地のものを使用し、柄や色が付いた便箋は用いないでください。
封筒は長型3号、A4サイズの用紙が三つ折りで入るものが好ましく、封筒も白無地の二重封筒が基本です。
外から見たときに、謝罪文だとわからないようにするのがマナーとされているため、封筒の表書きに「詫び状」「謝罪文在中」などと書くのはNGです。
封筒の裏書きには、加害者の氏名・住所を記載しますが、郵送ではなく手渡しの場合には氏名だけでも問題ありません。
内容面での注意点
謝罪文は以下のポイントをおさえて記載するようにしましょう。
「謹啓」から書き始める
一般的な手紙の場合には拝啓で始めますが、謝罪文は急ぎで作成しているため、急いでいるという部分を相手方に伝える方法として、前略や急啓、謹啓を用います。
上記のうち、前略や急啓は目上の人に用いないのがマナーとされているので、謹啓から書き始めるのが無難です。
お詫びの言葉は最初に書く
謝罪文の最大の目的は、その名のとおりお詫びの気持ちを伝えることですので、まずは冒頭でお詫びの言葉を記載することで誠意が伝わりやすくなります。
その上で、何に対して謝罪しているかを冒頭で明確にしておくと、その後の文章を相手方がスムーズに読んでくれやすくなります。
謝罪文を記載した理由を伝える
なぜ直接謝罪に加えて、または直接謝罪に先立って謝罪文を記載したかという理由を記載しておくと、さらにその後の文章を相手方がスムーズに読んでくれやすくなります。
具体的には、直接謝罪した際に手渡しするケースでは「直接お会いして謝罪させていただきましたが、改めて謝罪をさせていただきたいと考え、このような形で手紙を書かせていただきました」などと記載します。
一方、直接謝罪をする前に郵送したケースでは「本来であれば早急に直接謝罪に伺うべきところ、略儀ではありますが、書中にてお詫びとお見舞い申し上げます」などと記載します。
事故の原因や経緯を説明する
交通事故の原因や経緯を加害者が把握していないと思われると、何について謝罪や反省をしているのかが被害者に伝わりにくいです。
また、突然事故に遭った被害者は、自分がなぜ事故に遭ったのかを知りたいというケースも多いです。
そのため、謝罪文には事故の原因や経緯を自分で整理・分析した上で記載する必要があります。
ここで注意すべきポイントとしては、被害者側に言い訳と捉えられないような記載をすることです。
再発防止策を記載し、反省の意思を伝える
事故の原因や事故を防ぐためにすべきであったことを説明したうえで、反省の言葉を述べましょう。
事故の原因を踏まえてどうすれば事故を防げたのかや今後再発防止のために気を付けるべき対策などをしっかりと記載してください。
その上で反省の言葉を述べることで、事故を起こしたことに向き合っていること、事故を起こしたことに対して反省している気持ちが伝わりやすくなるでしょう。
損害を補償する意思があることを伝える
交通事故の被害者の方は、治療費の負担がどうなるかや仕事を休んだことの補償はしてもらえるかなどを不安に思っているケースが多いので、損害を補償する意思があることを伝えると、相手方に安心してもらいやすくなります。
ただし、先ほどお伝えしたとおり、具体的な金額や内容については記載しないようにしましょう。
被害者の体を気遣う言葉を入れる
被害者がケガをしているのであれば、被害者のケガの回復具合について気遣う言葉を入れましょう。
注意すべきポイントとしては、たとえ軽傷であっても「幸いなことに軽傷で」といった文言を記載するのはNGということです。
たとえ、被害者の体を気遣っての記載であっても、被害者の状態や気持ち次第で真摯な謝罪文と認めてもらえない可能性のある文言は用いないよう、細心の注意を払う必要があります。
謝罪の言葉で締める
手紙は最後の文章が一番印象に残るものだといわれています。
そのため、謝罪文の最後は改めて謝罪の言葉を記載して締めるようにしましょう。
【注意点】許しを求める文言は記載しない
後ほど詳しく解説するとおり、交通事故の加害者にとって謝罪のメリットの一つは、被害者側の許しを得ることで、刑事責任が軽減されやすくなる点にあります。
そのため、謝罪文の中で許しを求める記載をしてしまいたくなるかもしれませんが、謝罪のメリットはあくまで被害者側に謝罪を受け入れてもらった結果にすぎません。
謝罪をしている段階で許しを求める文言を記載してしまうと、被害者側に刑事責任を軽減するために形だけ謝罪しているのではないかという印象を持たれる可能性があるので、記載は控えるべきでしょう。
具体的には「寛大な心でお許しくださいますようお願い申し上げます」といった記載はNGです。
交通事故の謝罪文の例文
上記のポイントを踏まえた謝罪文の例文は以下のようになります。
謹啓
この度は、私の前方不注意により甲野花子(被害者)様の車に追突してしまった結果、大変なお怪我をさせてしまいましたこと、心よりお詫び申し上げます。
多大な恐怖心を負わせてしまった上、大切なお車を破損させてしまったことにつきましても、重ねてお詫び申し上げます。
本来であれば、早急に直接謝罪に伺うべきところ、略儀ではありますが、書中にてお詫びとお見舞い申し上げます。
この度の事故は私が周囲に気を取られて安全確認を怠り、ブレーキとアクセルを踏み間違えたミスが原因であることは明らかで、ただただお怪我をさせてしまった甲野花子様に大変申し訳ない気持ちで一杯です。
今後は決して安全確認を怠らず、十分注意してハンドルを握り、安全運転を心掛ける所存です。また安全講習を受講するなどし、今までの己の運転を見つめ直して、二度と事故を起こさないように対策を講じます。
私の過信と油断で多大な被害を与えてしまったことを、今更ながら痛感し深く反省しております。
せめてもの償いとしまして、甲野花子様のお怪我の治療費や慰謝料、お車の修理代などにつきましては、誠心誠意対応をさせていただきたいと考えております。
甲野花子様のお怪我が1日でも早く回復することを心より願っております。
改めて今回の事故で、甲野花子様に大変なご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。
本当に、申し訳ございませんでした。
謹白
上記のような例文や定型文の文章や記載を参考にして謝罪文を書くことはもちろん問題ありませんが、それぞれの事故の状況など個別の事情を盛り込んで、例文そのままにならないよう心がけてください。
交通事故で謝罪するメリット
交通事故を起こした場合に被害者に謝罪することは、被害者のためだけでなく、事故を起こした本人にとってもメリットになりうるものです。
交通事故の謝罪がうまくいけば、以下のようなメリットが期待できます。
- 被害者との示談交渉がスムーズに進みやすくなる
- 示談が成立することで、刑事責任が軽減される
それぞれメリットについて具体的に解説していきます。
被害者との示談交渉がスムーズに進む
被害者への謝罪を行うことで、被害者との示談交渉が進みやすくなるでしょう。
交通事故の加害者になった場合、基本的に被害者と示談交渉をして賠償金の金額などを決定する必要があります。
交渉の際に被害者の感情が悪化していると、感情的になったり意固地になったりして、交渉が難航する場合が少なくありません。
誠意を持ってきちんと謝罪をしていれば、被害者の怒りの感情が和らぎ、その後の示談交渉がスムーズに進みやすくなることが期待できます。
交通事故による刑事事件の責任が軽減される可能性がある
被害者との示談交渉が成立すれば、それによって交通事故の刑事責任が軽減される可能性があります。
交通事故の被害者が負傷した(人身事故の)場合、過失運転致死傷罪や、危険運転致死傷罪などの罪に問われる可能性があります。これらは懲役刑や罰金刑などの罰則が科されることがある重い罪です。
また、軽い接触事故(物損事故)でも、当て逃げなどの道路交通法に違反する行為がある場合は、罰則を科される可能性があります。
しかし、被害者にきちんと謝罪していることや、示談が成立していることが考慮された結果、以下のように刑事処分で有利になる可能性があります。
- 不起訴処分となり裁判自体を回避できる
- 刑が免除される
- 有罪だが執行猶予がつく
- 懲役の年数が減少する
ただし、下心のある謝罪は相手に見透かされやすいものです。自分のためではなく、あくまで相手のために謝罪するという前提を忘れないようにしましょう。
交通事故における謝罪が不適切であるとデメリットの恐れ
被害者が謝罪を求めているのに謝罪をしない、謝罪に来たが不誠実な態度であるといった場合には、以下のようなデメリットが生じる恐れがあります。
- 精神的苦痛が増大したとして被害者に支払う慰謝料額が増額してしまう
- 刑事裁判終了までに示談が成立せず、和解を理由とした刑罰の軽減ができなくなる
加害者の不誠実な態度は、自身の民事上や刑事上の責任を重くしてしまう恐れがあるのです。
実際に謝罪をしなかったことだけで慰謝料の増額請求が認められるケースは少ないですが、不満を持つ被害者側とのその後の示談交渉に悪影響を及ぼす事態が予想されます。
このような事態となることを防ぐためにも、誠実な態度で謝罪を行うべきでしょう。
加害者の態度が不誠実であることで生じるデメリットについては、関連記事『交通事故加害者に誠意がない時、慰謝料増額は可能?不誠実で許せない時の対処法』において知ることが可能です。
被害者視点の記事ではありますが、加害者の方にとっても有益な内容となっています。
まとめ
交通事故被害者に謝罪することで、相手の怒りを軽減できる可能性があるだけでなく、事故の示談交渉を円滑に進めやすくなる場合があります。
被害者に謝罪する場合は、事故の翌日などなるべく早めに連絡し、訪問して謝罪するアポイントメント(約束)を取ることが重要です。
訪問謝罪の当日は、地味な服装でのし紙のない菓子折りを持参し、謝罪文を添えたうえで誠意を持って謝罪しましょう。
移動には自家用車を使わず、公共交通機関やタクシーを利用するのがおすすめです。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了