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交通事故の休業損害はいつもらえる?計算方法を職業別に解説

更新日:

2020年4月1日改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

交通事故で通院することになって仕事を休んだ場合、休業していた間の補償を「休業損害」として相手方の保険会社に請求することができます。

休業損害はいつもらえるものなのか?
事故前の収入が○○万円だったとき、休業損害はいくらもらえるのか?
専業主婦や兼業主婦、自営業、学生、無職の場合は休業損害がいくらもらえるのか?

ということなどをこのページで解説していきます。

休業損害の相場や請求方法をしっかりと学び、交通事故の補償で損をしないようにしましょう。

休業損害とは|いつもらえる?休業補償との違い

休業損害とは、交通事故のケガが原因で働くことができず、収入が減少してしまったことによる損害を相手方の自賠責保険や任意保険から支払ってもらうことです。

休業補償も交通事故で生じた損害を補てんしてくれる制度ですが、休業補償の場合は自賠責保険ではなく、労災保険から支払ってもらうことになります。

※労災保険から支払われる休業補償について知りたい方は『交通事故の休業補償|休業の補償と「休業補償」は違う』をご参考になさってください。

休業損害はいつもらえるのか

相手方の保険会社に休業損害証明書を提出後、およそ1週間~2週間程度で支払われることが多いです。
休業損害を毎月単位でもらいたい場合は、月ごとに休業損害証明書を提出して手続きをすれば問題ありません。

休業損害証明書の書き方

休業損害証明書は自分の勤め先の方に書いてもらう書類です。
休業損害証明書には手取り額だけではなく、税金などを控除する前の税込額を記入してもらいます。
その税込額の内訳は主に、本給・各種手当などの付加給・社会保険料・所得税で構成されます。
なお、ケガの治療のためなどで有給休暇を使用して休んだ場合、収入が減っていなくても休業損害として認められます。

以下が休業損害証明書のテンプレートです。
任意保険会社によって細部が異なる場合がありますが、基本的には以下のテンプレートのように、欠勤した日、有給休暇を消化した日、事故前3ヶ月間の月例給与、所定勤務時間などを勤め先の人に記入してもらった後、相手方の任意保険会社に提出することになります。

▼休業損害証明書のテンプレート

休業損害証明書

なお、専業主婦や自営業者の場合は勤め先が無いので、休業損害証明書を作成する必要はありません。
その代わり、専業主婦の場合は家族分の記載がある住民票、自営業者の場合は確定申告書の控えなどを提出することになります。

▼ここまでのまとめ

・そもそも休業損害とは?
 ⇒交通事故による減収を補償するために相手方の自賠責保険や任意保険から支払われるお金のこと

・休業損害はいつもらえる?
 ⇒相手方の保険会社に休業損害証明書を提出後、およそ1週間~2週間程度でもらえる

・休業損害証明書の書き方とは?
 ⇒被害者自身ではなく、被害者の勤め先の人に控除前の税込額、欠勤日数などを書いてもらう

専業主婦・兼業主婦の休業損害

専業主婦・兼業主婦どちらの場合でも休業損害はもらえます。

専業主婦の場合は、2020年4月1日以降に発生した事故なら自賠責基準で「日額6,100円×休業日数」の休業損害が算出されます。

しかし、弁護士に示談交渉を依頼すれば、女性労働者の全年齢平均給与額に基づき「日額約10,000円×休業日数」で休業損害を請求することが可能です。

自賠責基準よりも高額になるこの計算方法を弁護士基準と言い、弁護士基準は過去の裁判例を参考にして決められています。

実際に、専業主婦に弁護士基準の休業損害が認められた以下の判例があります。

(略)主婦としてその家事労働全般を担っていたことが認められる。(略)休業損害を算定する上での基礎収入額は,平成13年賃金センサス女性学歴計全年齢の352万2400円とすることが相当である。

東京地判平成26年4月15日

なお、パートや会社勤めなどで働いている兼業主婦の場合も、自賠責基準なら通常は「日額6,100円×休業日数」で休業損害が算出されます。
(ただし、1日の休業損害が6,100円を超えることを証明できれば19,000円を上限にして請求可能)

弁護士基準なら、現実の収入額が女性労働者の全年齢平均給与額よりも高い場合は、現実の収入額ベースで休業損害を計算します。

現実の収入額が女性労働者の全年齢平均給与額よりも低い場合は、専業主婦のときと同様に、「日額約10,000円×休業日数」で休業損害を計算します。

▼主婦の休業損害計算方法(弁護士基準

———–【専業主婦】———–
①専業主婦
⇒女性労働者の全年齢平均給与額*1から算出された基礎収入額×休業日数

———–【兼業主婦】———–
②現実の収入額 > 女性労働者の全年齢平均給与額*1
⇒現実の収入額から算出された基礎収入額×休業日数

③現実の収入額 < 女性労働者の全年齢平均給与額*1
⇒女性労働者の全年齢平均給与額から算出された基礎収入額×休業日数

▼主婦の休業損害計算方法(自賠責基準

———–【専業主婦】———–
④専業主婦
⇒6,100円×休業日数

———–【兼業主婦】———–
⑤現実の収入額 > 女性労働者の全年齢平均給与額
⇒6,100円*2×休業日数

⑥現実の収入額 < 女性労働者の全年齢平均給与額
⇒6,100円×休業日数

*1 令和元年の女性労働者の全年齢平均給与額は3,880,000円
*2 1日の休業損害が6,100円を超えることを証明できれば、19,000円を上限にして請求可能

自営業の休業損害

自営業者の場合、確定申告をしているのであれば「事故前年の確定申告書に記載の所得金額÷365(日)」を基礎収入額として計算するのが弁護士基準では一般的です。

「まだ事業を始めたばかり」などの理由で確定申告をしていない場合は、預金通帳の入金状況や伝票などを用いて所得を立証することになります。

節税などのために実際の所得を少なく申告している場合(過少申告)、これも預金通帳の入金状況や伝票などを用いて実際の所得を立証することになります。
あるいは、修正申告を行い、その金額に基づいて休業損害を請求することもあります。
しかし、そのような証拠を集めたとしても、保険会社が休業損害の支払いを認めてくれない可能性があります。

その場合は、休業損害の支払いを認めてもらうよう裁判で主張する必要があります。ただし、裁判をしたからと言って必ず休業損害が認められるわけではない点にご注意ください。

▼自営業の休業損害計算方法(弁護士基準

①確定申告をしている自営業者
⇒基礎収入額(事故前年の確定申告書に記載の所得金額÷365(日))×休業日数

②確定申告をしていない自営業者
⇒預金通帳の入金状況などから算出した日額の所得×休業日数

③過少申告をしていた自営業者
⇒賃金センサスに基づき算出された日額の所得×休業日数、
 または、立証した実際の所得×休業日数 など

▼自営業の休業損害計算方法(自賠責基準

④確定申告をしている自営業者
⇒6,100円*3×休業日数

⑤確定申告をしていない自営業者
⇒6,100円*3×休業日数

⑥過少申告をしていた自営業者
⇒6,100円*3×休業日数

*3 1日の休業損害が6,100円を超えることを証明できれば、19,000円を上限にして請求可能

給与所得者(サラリーマン・アルバイト等)の休業損害

サラリーマンやアルバイトなどの給与所得者の場合は、以下の計算式で休業損害を計算するのが弁護士基準では一般的です。

現実の収入額から算出された基礎収入額(事故前3ヶ月分の給与額÷稼働日数(出勤日数))×休業日数

ただし、アルバイトの方の場合、1年間程度は同じアルバイト先で勤めていないと休業損害が認められづらいという注意点があります。

休業損害が認められる場合は、アルバイトの方もサラリーマンと同様の計算式で算出されることが多いです。

もし相手方の保険会社がこちらの提示額を認めない場合は、裁判で争うか、双方の提示額から金額の着地点を探っていくことになるでしょう。

▼給与所得者(サラリーマン・アルバイト等)の休業損害計算方法(弁護士基準

①サラリーマン
⇒現実の収入額から算出された基礎収入額×休業日数

②アルバイト*4
⇒現実の収入額から算出された基礎収入額×休業日数

▼給与所得者(サラリーマン・アルバイト等)の休業損害計算方法(自賠責基準

③サラリーマン
⇒6,100円*5×休業日数

④アルバイト
⇒6,100円*5×休業日数
 1日あたりの基礎収入額が6,100円に満たない場合は、1日あたりの基礎収入額×休業日数

*4 目安として1年は同じアルバイト先に勤めていないと休業損害が認められづらい
*5 1日の休業損害が6,100円を超えることを証明できれば、19,000円を上限にして請求可能

また、以下のような不安をお抱えの方は、ぜひ交通事故案件の経験豊富なアトム法律事務所にご相談ください。

  • 「勤務先に休業損害証明書を書いてほしいけど、何をどう書くよう伝えればいいのかよくわからない」
  • 「そもそも、勤務先の人が休業損害証明を書いてくれない」
  • 「まだ1年もバイトを続けていないけど、休業損害はもらえるのだろうか」

アトム法律事務所までご相談いただければ、適切な休業損害を受け取るためのアドバイスができる可能性があります。

学生の休業損害

学生の場合でも休業損害をもらえるケースがあります。

アルバイトをしていれば休業損害が認められ得ることは前節で解説しました。

しかし、アルバイトをしている・していない学生に関わらず、交通事故のケガが原因で就職が遅れた場合はその期間分の休業損害も相手方の保険会社に請求することが可能です。
また、もし留年してしまった場合は、授業料なども請求できます。

内定を受けている場合は、賃金センサスまたは就職内定先の給与推定額に基づいて休業損害が算出されます。
実際に以下の判例では、IBMの就職内定を取り消された学生に955万322円の休業損害が認められています。

(略)原告は、本件事故当時IBMに就職が内定しており、本件事故に遭わなかったならば、平成一〇年三月末に修士課程を修了し、同年四月一日にIBMの技術開発部門の職員として就職していたはずであるのに、本件事故のため、就職内定が取り消され、その後、症状固定日の平成一二年一〇月七日までは就業できなかったこと、この間、予定どおりIBMに就職し就業していたならば、少なくとも次のとおりの給与を得られたはずであることが認められる。
(略)したがって、原告は、(略)上記の合計金九五五万〇三二二円の休業損害を被ったものと認められる。

名古屋地判平成14年9月20日

内定を受けていることを立証するためには、内定通知書などを用意すると良いでしょう。

また、内定を受けていない場合は、通常は賃金センサスに基づいて休業損害が算出されます。
以下の判例では、交通事故が原因で留年せざるをえなくなった結果、大卒女子労働者の平均所得一年分(平成2年時点で275万100円)が休業損害として認められています。

(略)原告は、右一年間の留年を余儀なくされたことによつて、就労開始が一年間遅延したということができるところ、平成二年賃金センサス第一巻第一表産業計・企業規模計・新大卒女子労働者(二〇歳ー二四歳)の年収額は、金二七五万〇一〇〇円であるから、以上によると、原告は、本件事故によつて右一年間分の収入喪失の損害を被つたと認めるのが相当である。

神戸地判平成7年2月22日

ただ、自動車保険の約款には「収入が無い学生や無職は休業損害の支払対象とならない」という旨が記載されていることが通常です。

しかし、弁護士に依頼すれば、裁判で認められた過去があることを理由に「就職遅れに対する休業損害」を交渉段階で請求することが可能です。

それでも相手方の保険会社が休業損害の支払いを承諾しない場合は、裁判などで休業損害の支払いを求めることになるでしょう。

▼就職が遅れた学生の休業損害計算方法(弁護士基準

①内定を受けている学生
⇒賃金センサスまたは就職内定先の給与推定額に基づき、就職が遅れた期間分の休業損害が計算される

②内定を受けていない学生
⇒賃金センサスに基づき、就職が遅れた期間分の休業損害が計算される

▼就職が遅れた学生の休業損害計算方法(自賠責基準

③内定を受けている学生
⇒休業損害を認めてもらうことは困難

④内定を受けていない学生
⇒休業損害を認めてもらうことは困難

無職・失業者の休業損害

事故発生時点で就労していない無職・失業者の場合であっても、休業損害をもらえるケースがあります。

就労の意思があり、事故前後に内定を受けていた場合は、賃金センサスまたは就職予定先の給与推定額に基づき、就職が遅れた期間分の休業損害が計算されます。

仮に事故前後に内定を受けていなかったとしても、就労の蓋然性があれば、賃金センサスまたは失業前の収入額に基づき、就職が遅れた期間分の休業損害が計算されます。
なお、「就労の蓋然性」は応募先企業とのメールのやり取り、面接に行っていた頻度などから判断されます。

実際に以下の判例では、内定を受けてはいないものの、就労の蓋然性があるとみなされて71万9,479円の休業損害が認められています。

もっとも、原告の年齢や前記のとおり原告が江戸川区職員の採用選考に応募し、稼働意欲を有していたことに照らすと、平成一一年四月以降、症状固定時期までの五か月間については、就業の蓋然性を認めることができる。(略)したがって、本件事故による原告の休業損害は、下記計算式のとおり、七一万九四七九円となる。 (計算式)3,453,500÷12×5×0.5=719,479

東京地判平成23年2月3日判決

無職の方の場合も学生と同様に、弁護士に依頼すれば休業損害をもらえる可能性が高まります。

  • 「求職中に事故に遭ってしまったため、当面の生計を立てるためにも休業損害を受け取りたい」
  • 「まだ内定をもらっていないものの、前職の給与額○○万円に基づいて休業損害を算出したい」

などの要望をお持ちの事故被害者の方は、ぜひ弁護士までご相談ください。

▼無職・失業者の休業損害計算方法(弁護士基準

①労働意欲があり就労の蓋然性もあり、事故の直前・直後に内定を受けていた
⇒賃金センサスまたは就職予定先の給与推定額に基づき、就職が遅れた期間分の休業損害が計算される

②労働意欲があり就労の蓋然性もあるが、事故の直前・直後に内定を受けていない
⇒賃金センサスまたは失業前の収入額に基づき、就職が遅れた期間分の休業損害が計算される

③労働意欲が乏しく就労の蓋然性もない
⇒休業損害を認めてもらうことは困難

▼無職・失業者の休業損害計算方法(自賠責基準

④労働意欲があり就労の蓋然性もあり、事故の直前・直後に内定を受けていた
⇒休業損害を認めてもらうことは困難

⑤労働意欲があり就労の蓋然性もあるが、事故の直前・直後に内定を受けていない
⇒休業損害を認めてもらうことは困難

⑥労働意欲が乏しく就労の蓋然性もない
⇒休業損害を認めてもらうことは困難

交通事故の相談を弁護士にするメリット

弁護士に依頼した場合、高額の休業損害が支払われる可能性が高まることがおわかりになったでしょうか。

特に専業主婦の方は、「6,100円×休業日数」で計算された休業損害額を相手方の保険会社から提示されることが多いです。

しかし、弁護士に示談交渉を依頼すれば、専業主婦でも「約10,000円×休業日数」という高額な基準で休業損害が支払われる見込みがあります。

自営業・サラリーマン・アルバイト・学生・無職などの方も、「相手から提示された休業損害額は適切なのだろうか」と疑問に感じた場合は、ぜひアトム法律事務所にご相談ください。

アトム法律事務所にご相談いただければ、休業損害だけではなく、傷害慰謝料や逸失利益なども増額可能かどうかアドバイスできる場合があります。

また、アトム法律事務所は電話・LINE・メール相談に対応しています。

そのため、「外出せずに交通事故の相談をしたい」という方でも安心してご相談いただけます。事案によっては、事務所への訪問無しで交渉の依頼から示談金振込まで完了する場合もあります。

相談だけなら費用もかからないので、休業損害のお悩みなどをお抱えの方はぜひアトム法律事務所までご相談ください。

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完全成功報酬

代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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