交通事故の休業損害|計算方法や休業日の数え方、いつもらえるかを解説

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職業別 交通事故の休業損害

交通事故で負傷し仕事や家事を休まざるを得なかった方は、ご自分の受け取れる休業損害(休業補償)の見込み額をご確認ください。

※半角数字で入力してください

年収

万円

休業日数


・主婦の方は、「事故前の年収」の欄に「264」(2021年発生の交通事故の場合)と入力してください。
・本計算機は、個別事情を考慮せず、一般的な計算方法に基づいて計算しており、会社役員・自営業・学生・無職・失業者の方は計算方法が異なります。
・正確な慰謝料額を知りたい重傷の被害者やご家族の方は、当事務所の電話無料相談サービス(0120-434-911)をご利用ください。

休業損害とは、交通事故の治療のために仕事ができずに失った収入のことです。金額は、「1日あたりの収入」に「通院などのために休んだ日数(有給休暇を含む)」をかけて算出します。

休業損害は、会社員や自営業者の他、実際には収入を得ていない専業主婦や学生、一部の無職の方でも請求できます。

ただし、1日あたりの収入は必ずしも実際の金額どおりになるとは限りません。また、休業日の中には休業損害の対象とならないものもあります。

この記事では、休業損害の職業別の計算方法や対象となる日、請求の流れを詳しく解説するので、交通事故で仕事を休んだ方は、正しい金額を受け取るためにもぜひご一読ください。

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休業損害とは?計算方法やいつもらえるかを解説

休業損害とは?慰謝料や休業補償は別物

休業損害とは、交通事故によるケガで仕事を休んだ場合に生じる減収を補償するものです。

金額は職業や事故前の収入、年齢などから計算され、有給休暇を取得した日も補償の対象となります。

休業損害はサラリーマンや自営業者など働いて収入を得ている人のほか、専業主婦や一部の学生、一部の無職者でも請求できます。ただし、不労所得や物損事故による休業は、原則として休業損害の対象にはなりません。

休業損害とはケガによって収入が減少した損害

なお、休業損害を請求できる法的根拠としては、民法709条の「不法行為によって他人に損害を与えた者は、損害を賠償する責任を負う」があります。

休業損害と混同されやすいものとして、「慰謝料」と「休業補償」があります。これらとの違いについても確認しておきましょう。

休業損害と慰謝料の違い

慰謝料とは、交通事故により生じた精神的苦痛を補償するものです。休業損害は交通事故による治療で休業した分の減収を補償するものなので、慰謝料とは補償する対象が異なります。

休業損害と休業補償の違い

休業補償とは、交通事故による治療で休業した分の補償として労災保険から支払われる「労災保険金」です。

休業損害は加害者側から「損害賠償金」として支払われるものなので、休業補償とは「支払い元」や「金銭の性質」が違います。

また、休業補償は通勤・業務中に起きた交通事故に限って補償の対象となり、金額は減収額の60%です。ただし、休業補償とともに支払われる休業特別支給金も合わせると、減収額の80%が補償されることになります。

休業損害と休業特別支給金の違い

休業損害休業補償
支払い元加害者側労災保険
性質損害賠償金労災保険金
金額休業による減収分*休業による減収の60%**
対象人身事故通勤・業務中に起きた人身事故

*加害者側との示談交渉による
**休業特別支給金と合わせると減収の80%

事故の相手方に休業損害を、労災保険に休業補償・休業特別支給金を請求すると、一部の金額は相殺されるものの、どちらか一方だけに請求するより多くの補償を受け取れます。

詳しくは『交通事故の休業補償とは?期間はいつまで?打ち切りや計算方法も解説』をご覧ください。

休業損害の計算方法は「休業日数×日額」

休業損害としてもらえる金額は、基本的には「休業日数×基礎収入(日額/1日分の収入)」で計算されます。

日額は、国が定めた最低限の基準(自賠責基準)では原則として6,100円とされますが、過去の判例にもとづく基準(弁護士基準)に沿って「事故前の収入から算出した日額」を用いることも可能です。

ただし、加害者側は自社独自の基準(任意保険基準)に沿い、自賠責基準に近い金額を提示してくることがあります。

弁護士基準の日額が採用され、実際の減収額と同等の金額を受け取れるか、任意保険基準の日額が採用され実際の減収額以下の金額しか受け取れないかは交渉次第です。

算定基準ごとの基礎収入(日額)の求め方

自賠責基準
(国が定めた最低限の基準)
日額6,100円*
任意保険基準
(任意保険が用いる基準)
自賠責基準と同額~やや高額な程度
弁護士基準
(弁護士・裁判所が用いる基準)
事故前の被害者の収入を日割りにした金額
※具体的な計算方法は職業により異なる

*2020年3月31日までに発生した事故なら日額5,700円

なお、弁護士基準における日額の算定方法は職業によっても異なります。休業日数の数え方にも注意が必要なので、詳しくは後ほど解説します。

休業損害は毎月もらうことも可能

給与所得者や自営業者のように現実に減収が生じている場合は、休業損害を毎月請求することが可能です。

加害者側の任意保険に請求すれば、およそ1週間~2週間後にその月分の休業損害を指定口座に支払ってもらえます。

ただし、この際支払われる金額は加害者側の保険会社が算定したものです。
日額が自賠責基準に近いものとなっていたり、休業日数が少なく見積もられていたりして実際の減収額より少ない金額しか受け取れないこともあります。

このような場合は、不足分は示談交渉の際に請求することになります。

月ごとの請求が難しいケース

休業損害は、以下のような場合は月ごとの請求が難しいことが多いです。

  • 被害者が、専業主婦など実際には収入を得ていないが休業損害の対象となる人である場合
  • 加害者が任意保険に加入していない場合

まず、専業主婦のように実際には収入を得ていない人は、示談交渉時にまとめて休業損害を請求することになる可能性が高いです。

また、そもそも加害者が任意保険未加入の場合は、加害者側の任意保険に対して月ごとの休業損害は請求できません。示談交渉時に加害者本人に対して、休業損害をまとめて請求することになるでしょう。

早くまとまったお金が必要な場合は?

加害者側の自賠責保険に「被害者請求」という手続きをすれば、自賠責基準に沿った金額にはなりますが、休業損害を含む損害賠償金の一部を示談前に受け取れます。

自賠責基準に沿った金額は不十分なことが多いので、足りない分は示談交渉時に加害者側に請求しましょう。

被害者請求の方法や請求できる金額については『交通事故の被害者請求とは?自賠責へ請求すべき?やり方やメリットもわかる』で詳しく解説しています。

休業損害の対象になる休業日数の数え方

交通事故にあった場合、休業の形は欠勤、半休、有給などさまざまです。通院日でなくてもケガが痛み仕事を休みたいという日もあるかもしれません。

さまざまな形・事情による休業はどの程度休業損害の対象となるのか、見ていきましょう。

基本的には通院日数が休業損害の対象とされる

休業損害の対象となる休業日数は、基本的には完治または症状固定までの間で、治療のため仕事を休んだ日数となります。リハビリのための休業も、原則として完治または症状固定までなら休業損害の対象です。

症状固定とは

これ以上治療しても症状が改善しないと判断された状態

通院のために半休を取った、早退したなどの場合なら、日額のうち休んだ時間分が休業損害の対象になります。

ただし、休業日数として認められるのは実際に入院・通院をしていた日や医師からの指示で自宅療養していた日です。

自己判断で仕事を休んだ日は休業損害の対象とならない可能性が高いので注意しましょう。

休業日数は基本的には勤怠管理表などから証明することになりますが、自営業者や主婦の方は、通院先から発行された診療報酬明細書や医師の診断書などから、入院や通院をした日数を証明することになるでしょう。

完治・症状固定後の休業は補償されない?

完治・症状固定後に交通事故によるケガを理由に仕事を休んでも、基本的に休業損害はもらえません。

ただし、症状固定後も定期的なリハビリや手術のための休業が必要な場合は、例外的に休業損害が認められることもあります。

なお、症状固定となり後遺症が残ると、治療終了後も仕事に支障が出て生涯収入が減る可能性があります。

こうした減収は休業損害ではなく「逸失利益」で補償されるのが一般的です。

逸失利益とは
  • 完治・症状固定までに生じた休業による減収:休業損害で補償される
  • 症状固定後に、後遺症の影響で生じる生涯収入の減少:逸失利益で補償される

ただし、逸失利益をもらうためには後遺障害等級の認定を受ける必要があります。逸失利益の相場や後遺障害等級の認定を受ける方法については、以下の関連記事をご覧ください。

関連記事

完治・症状固定の注意点

交通事故に遭い治療をしていると、加害者側の任意保険会社から「そろそろ完治・症状固定の時期なので治療費の支払いを打ち切ります。」と言われることがあります。

これを受けてまだ必要な治療を終えてしまうと、基本的にそれ以降は休業損害はもらえません。

後遺症が残っても後遺障害認定されにくくなり、逸失利益ももらえない可能性が高いです。

治療費打ち切りに従い治療を中断するデメリットや対処法は、『交通事故の治療費打ち切りを阻止・延長する対応法!治療期間はいつまで?』で詳しく解説しているので、ご確認ください。

有給休暇や休日に通院した場合も休業日数に数えられる?

有給休暇をとって通院した日は、休業日数に含まれます。

有給休暇を使った場合、実際には減収は生じていませんが、「本来なら被害者が自由に使えるはずだった有給休暇を、交通事故のためやむを得ず使うことになってしまった」という点で、損害が生じていると言えるからです。

実際に、有給休暇を使った日に対して休業損害が支払われた判例もあります。

小学校技術職員(男・事故時28歳)の有給休暇(37.5日)につき、事故前3ヵ月間の収入88万9600円を稼働日数(60日)で除した金額(1万4826円)を日額として55万円余を認めた

神戸地判平25.1.24 自保ジ1900・85

有給休暇と休業損害の関係性について解説した『交通事故で有給を使っても休業損害・休業補償はもらえる?』の記事もおすすめです。

その他、休業日数に含まれるか迷いがちなケースについてまとめると以下のとおりです。

  • 年末年始、お盆などの勤務先が定める休日
    • 休業日数に含まれない
  • 自宅加療をした日
    • 医師の指示があれば休業日数に含まれる
    • 自己判断なら、休業日数に含まれない可能性が高い
  • 保険会社とのやりとり、弁護士への相談などで休業した日
    • 休業日数に含まれない

通院日ではないがケガが辛くて休みたい場合はどうする?

先述の通り、医師からの指示があるわけでも通院の予定があるわけでもない日は休業損害の対象にはならない可能性が高いです。

しかし、「通院日ではなく、医師から休業の指示があった日でもないが、ケガの調子が悪く自己判断で休みたい」という場合もあるでしょう。

こうした場合は、できれば病院へ行き、その日の状態を医師に記録してもらっておいてください。

受診記録によって「この日は確かに仕事を休む必要性があった」と証明できれば、自己判断で休んだ場合でも休業損害をもらえる可能性があります。

休業日数は1日いくら?職業別に日額の計算方法を解説

弁護士基準で休業損害を計算する場合、日額は被害者の事故前の収入から算定します。

具体的な日額の算定方法は職業によっても異なるので、職業別に解説します。

(1)給与所得者(会社員・アルバイトなど)

会社員やアルバイトなどの給与所得者の場合、「事故前3ヶ月分の給与額を出勤日数で割った金額」を日額として休業損害を計算します。給与額とは、住民税や社会保険料などが控除される前の金額であり、手取り額ではありません。

給与所得者の休業損害

  • {事故前3ヶ月分の給与額÷稼働日数(出勤日数)}×休業日数

給与所得者の休業損害で、「この場合の休業損害はどうなる?」と悩まれることが多いポイントを以下にまとめました。

  • 賞与(ボーナス)が減少した場合
    • 損失を証明できれば、休業損害として請求できる
  • 住宅手当、季節手当など各種手当が減少した場合
    • 損失を証明できれば、休業損害として請求できる
  • 昇給が遅れた場合
    • 損失を証明できれば、休業損害として請求できる
  • 産休中・育休中の場合
    • 給与が支払われているなら、休業損害は請求できない
    • 給与が支払われていないなら、専業主婦と同様に女性労働者の全年齢平均賃金から休業損害を計算する
  • 産休明け・育休明けの場合
    • 産休・育休前の年収額をもとに、休業損害を計算する

賞与や各種手当の減少、昇給の遅れも含めた休業損害の請求は、交通事故との関連性を証明する必要があるため、加害者側の保険会社ともめる可能性があります。

その場合は、法律の専門家である弁護士に相談し、どのような証拠が必要か、いくら請求できるかを確認するようにしてください。

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(2)自営業・個人事業主

自営業者や個人事業主の場合、確定申告をしているのであれば、「事故前年の確定申告額を365日で割った金額」を日額として、休業損害を計算します。

自営業者・個人事業主の休業損害

  • (事故前年の確定申告書に記載の所得金額÷365日)×休業日数
    • 青色申告の所得金額:前年度の確定申告所得額+青色申告控除額
    • 白色申告の所得金額:前年度の確定申告所得額+専従者控除額

もし、確定申告をしていない、過少申告をしていたといった場合は、以下のような式で休業損害を計算することになるでしょう。

  • 確定申告をしていない場合
    • 預金通帳の入金状況や伝票などから算出した日額の所得×休業日数
  • 過少申告をしていた場合
    • 賃金センサスに基づき算出された日額の所得×休業日数
    • 立証した実際の所得×休業日数

ただし、入金状況や伝票から算出した日額は、必ずしも認められるとは限りません。加害者側の保険会社が日額の根拠を否定し、争いになる可能性もあります。

入金状況や伝票をもとにした日額で休業損害を請求したい場合は、弁護士に相談・依頼することがおすすめです。弁護士による算出であれば、日額に説得力が生まれやすくなります。

休業に関連する他の損害も請求できる場合がある

自営業の場合、交通事故による休業に伴い次のような損害が発生することもあります。

  • 休業中に自分の代わりとなる人を臨時で雇用した
  • 休業中も事務所の家賃や従業員の給与といった固定経費が発生した

上記のような損害も、交通事故によるものであると証明できれば加害者側に請求可能です。

自営業者が休業した場合の補償については『交通事故の慰謝料・個人事業主編』でより詳しく解説しているので、あわせてご確認ください。

(3)会社役員

会社役員の場合は、役員報酬のうち労働対価分の金額から日額を算出し、休業損害を計算します。

会社役員の休業損害

  • 役員報酬(労働対価分)から算出された基礎収入×休業日数

会社役員の場合は、事故発生前の役員報酬のうち、利益配当に該当する部分は除き、労働の対価に相当する金額のみを基礎収入とすることに注意が必要です。

労働の対価分の金額がいくらになるかは、さまざまな事情を考慮して決められます。詳しい判断のポイントについては、『会社役員の交通事故慰謝料・休業損害は?』の記事をご覧ください。

役員の休業によって会社に損害が出た場合や、会社役員が請求できるその他の費目についてもわかります。

(4)家事従事者(専業主婦・兼業主婦)

家事従事者の休業損害の計算方法は、被害者が専業主婦(主夫)か兼業主婦(主夫)か、兼業主婦なら収入が平均賃金を超えているか否かによって異なります。

家事従事者の休業損害

  • 専業主婦(主夫)の場合
    • 女性労働者の全年齢平均賃金額から算出された基礎収入額×休業日数
  • 兼業主婦(主夫)で、「収入<女性労働者の全年齢平均賃金」の場合
    • 専業主婦の計算式と同じ
  • 兼業主婦(主夫)で、「収入>女性労働者の全年齢平均賃金」の場合
    • {事故前3ヶ月分の給与額÷稼働日数(出勤日数)}×休業日数

女性労働者の全年齢平均賃金額は、「賃金センサス」という厚生労働省が実施している統計に基づいた資料から算出します。なお、男性と女性とで平均賃金が異なるため、公平性の見地から、主夫の場合も女性の平均賃金を用います。

2019年~2022年の賃金センサスから算出した日額は、以下のとおりです。

女性労働者の全年齢平均賃金(日額)

2019年約10,410円
2020年約10,465円
2021年約10,575円
2022年約10,800円
2023年約10,954円

なお、主婦の休業損害における日額は、ケガの回復状況に応じて徐々に減らされる「逓減方式」をとることがあります。事故直後はケガのためほとんど家事ができなかったとしても、回復するにつれて少しずつ家事ができるようになっていくと考えられるからです。

下記の関連記事は、主婦が交通事故の被害にあった場合に役立つ解説記事になります。主婦の休業損害について、より詳しい計算方法や必要書類を知りたい方、慰謝料を含む損害賠償請求について知りたい方はあわせてご覧ください。

(5)無職・失業者

事故にあった時点で無職・失業中であった場合、休業損害を請求するには以下の条件にあてはまる必要があります。

無職・失業者の請求条件

  • 求職活動中であり、事故前後に内定を受けていた
  • 年齢・能力・本人の意思などから、事故がなければ就労していた蓋然性がある
    (応募先の企業とのやり取りや、面接の頻度などから判断される)

上記に該当する場合、無職・失業者の休業損害の計算方法は以下のとおりです。

無職・失業者の休業損害

  • 事故の直前・直後に内定を受けていた場合
    • 賃金センサスまたは就職予定先の給与推定額から算出
  • 内定はなかったが就労の蓋然性がある場合
    • 賃金センサスまたは失業前の収入額から算出

ただし、内定を受けていない無職者の休業損害については、加害者側の保険会社ともめる可能性が高いです。就労の蓋然性を示す証拠を入念に集める必要があるので、弁護士に一度ご相談ください。

無職の方の損害賠償請求について解説した記事『無職でも交通事故の慰謝料は請求できる』では、就労の蓋然性を示す書類の具体例も紹介しています。

(6)学生

事故にあった時点で学生だった場合、以下のような状況なら休業損害を請求できる可能性があります。

学生の請求条件

  • アルバイトをしていた
  • 内定取り消しや留年などにより、就職時期が遅れた

上記のケースのうち、アルバイトをしていたケースについては、給与所得者の項をご参考ください。

就職時期が遅れたケースについては、内定を受けていたか否かによって以下のとおり休業損害の計算方法が異なります。

学生の休業損害(就職遅れの場合)

  • 内定を受けている場合
    • 賃金センサスまたは内定先の給与推定額に基づく
  • 内定を受けていない場合
    • 賃金センサスに基づき、就職が遅れた期間分の休業損害が計算される

就職遅れによる休業損害の請求も、加害者側の保険会社と争いになる可能性が高いです。

たとえば、被害者の事故前の単位取得状況が芳しくなかったなら「事故にあわなくても留年していた可能性が高い」として、加害者側が休業損害を否定してくることが考えられます。
また、金額についてトラブルになることもあるでしょう。

上記のように加害者側の保険会社が休業損害を認めなかったり、低い金額を提示してきたりすることに備えるためにも、弁護士に一度ご相談ください。

なお、事故を理由に留年した場合は、留年のため生じた学費や下宿代、教材費なども請求できます。詳しくは、学生の交通事故の慰謝料について説明した記事『学生の交通事故|慰謝料の計算方法や相場は?学生ならではの費目もわかる』をご覧ください。

休業損害のもらい方

休業損害をもらう際の流れや必要書類について、見ていきましょう。

休業損害をもらうまでの流れ

休業損害を請求する流れは、毎月請求する場合と、まとめて示談金として請求する場合とで、それぞれ次のとおりです。

毎月請求する場合

  1. 加害者側の任意保険会社に必要書類を提出する
  2. 加害者側の任意保険会社での事務処理後、休業損害が支払われる
    (必要書類の提出から1~2週間後が目安)

示談交渉を通して請求する場合

  1. 加害者側の任意保険会社に必要書類を提出する
  2. 加害者側の任意保険会社が休業損害を含めた示談金を算定し、被害者側に提示する
  3. 示談交渉で休業損害を含めた示談金などを決める
  4. 示談成立後、その他の示談金とあわせて休業損害が支払われる
    (示談の成立から1~2週間後が目安)

休業損害の請求に必要な書類について、詳しく解説していきます。

休業損害の請求における必要書類一覧

休業損害を請求するには、被害者が交通事故によるケガのために実際に休業したこと、それにより収入が減ったことを証明しなければなりません。

そのために必要な書類は職業・家庭での立場によって異なり、次のとおりです。

休業損害の必要書類

根拠資料
給与所得者休業損害証明書
・事故の前年分の源泉徴収票
自営業・確定申告書の控え
家事従事者・家族分の記載がある住民票

休業損害証明書は、勤務先に書いてもらいます。
記載内容が間違っていると休業損害を正しく計算できません。

例えば有給休暇を取った日も正しく記載されているか、欠勤・遅刻・早退の日にそれぞれ正しい印が付けられているかなど、自分でも勤務先に書いてもらった内容を確認してみてください。

休業損害証明書の記載内容や書き方、チェックポイントは、『休業損害証明書の書き方を解説!誰が書くのか、いつ提出するかもわかる』で詳しく解説しています。

上記以外の職業の方は、任意保険会社に問い合わせ、自身の休業損害を証明するために必要な書類が何か確認するとよいでしょう。任意保険会社から「あなたの場合は請求できない」などと言われた場合は、弁護士に休業損害の立証に必要な書類を相談してください。

休業損害に関するよくある疑問

休業損害については、退職した場合ももらえる?副業の減収も対象になる?所得税はかかる?といった疑問が生じがちです。

こうした疑問にお答えしていきます。

Q1.事故が原因で退職したら休業損害はどうなる?

交通事故が原因で退職せざるを得なくなった場合、退職と事故の因果関係を立証できれば、退職後の一定期間も休業損害が認められる可能性があります

退職と事故の因果関係が認められるかどうかについては、以下のような事実が判断基準となります。

  • 交通事故によるケガの程度
    仕事を行える程度のケガかどうかがみられます。
    治療を行った医師の意見が重要です。
  • 仕事の内容
    肉体労働が多い場合には、仕事に支障があるとして因果関係が認められやすいといえるでしょう。
  • 自主退職か会社からの解雇か
    自主退職なら交通事故によるケガが退職の原因であると主張することが難しくなります。
    退職する場合には自己都合退職ではなく会社都合退職にしてもらうべきです。
  • 交通事故によるケガ以外の理由で退職したのか
    交通事故によるケガ以外が退職理由であると因果関係が認められにくいといえるでしょう。
  • 再就職の可能性があるのか
    再就職が困難なケガであるなら因果関係が認められやすくなります。

退職と事故の因果関係を証明することが難しい事案もあります。加害者側の保険会社に「退職したのは事故と関係ない」と主張され、退職後の休業損害を認められない可能性もあるでしょう。

退職と事故の因果関係を証明し、休業損害を受け取りたいなら、あらかじめ弁護士に相談しておくことをおすすめします。

Q2.副業していたら休業損害はどうなる?

副業による収入も、休業損害の対象になります
ただし、副業で収入を得ていることや、いくら収入があったのかを立証する必要があります。

複数の職場を掛け持ちしていたなら、すべての就業先に休業損害証明書を書いてもらいましょう。副業として事業所得を得ていたなら、前年の確定申告書をもとに基礎収入を計算します。

なお、副業で収入を得ていたとしても、株の配当や家賃収入といった不労所得は基本的に休業損害の対象にはなりません。

副業による収入を休業損害の対象にするかどうかも、加害者側の保険会社と揉めやすいポイントです。加害者側が副業収入を認めないと主張するなら、弁護士に相談して対策を練りましょう。

Q3.休業損害に税金はかかる?

所得税法9条1項18号において、損害賠償金は非課税所得とされています。
よって、損害賠償金の一部である休業損害は課税されません

確定申告をしたり、年末調整を受けたりする場合は、実際に働いて得た給与所得や事業所得のみ記載し、休業損害として支払ってもらった金額については記載しない形になります。

「扶養から外れないよう年間の収入が130万円を超えないようにしている」「所得税がかからないよう年間の収入が103万円を超えないようにしている」といった働き方をされている方もいらっしゃいますが、この場合の収入に休業損害は含まれないのでご安心ください。

休業損害は弁護士に頼むと増額できる?

休業損害は事故を理由として休業したことで生じる減収を補償するものです。

しかし、加害者側が提示する休業損害は必ずしも減収額どおりになっているとは限りません。

減ってしまった収入をしっかり回収するためのポイントを解説していきます。

弁護士を立てることで休業損害の増額が見込めるケース

事故前の収入や休業日数を示す書類を提出したのに、加害者側の保険会社から減収額以下の休業損害が提示された場合は、弁護士を立てることで休業損害を請求できる可能性があります。

加害者側の保険会社が減収額以下の休業損害を提示してくるケースとしては、以下のものがあります。

  • 自賠責基準や任意保険基準で休業損害を計算している
  • 休業した日の一部を休業損害の対象にしていない
  • 被害者側に不利な形で休業損害を計算している
    • 事故前3か月間の収入を「事故前3か月間の実労働日数」ではなく「90日(30日×3ヶ月)」で割った金額を基礎収入(日額)にしている など

弁護士であれば、加害者側の保険会社が提示する金額がなぜ低くなっているのか突き止め、適切に増額を主張できます。

ただし、加害者側の保険会社が正しい休業損害額を提示している場合は、それ以上増額の余地はないため弁護士を立てても休業損害は増えないでしょう。

休業損害は弁護士なしでは増額できない?

弁護士を立てなくても休業損害を増額できる可能性はありますが、十分に増額させたいのであれば弁護士を立てることがおすすめです。

弁護士が出てくると、加害者側の保険会社は裁判への発展を懸念し、増額交渉に応じやすくなる傾向にあるからです。「弁護士が出てくれば大幅な増額にも応じる」といった内部ルールを設定している保険会社もあります。

弁護士ありの増額交渉は増額の可能性が高い

「弁護士に依頼すると弁護士費用がかかってかえって損をしそう…」と心配される被害者の方も多いですが、弁護士特約を使えば弁護士費用を一定金額まで保険会社に負担してもらうことができます。自己負担なしで弁護士に依頼できるケースも少なくありません

また、相談料・着手金が無料の弁護士事務所を探せば、弁護士費用を抑えたり、依頼前に支払う金額をなくしたりすることもできます。

アトム法律事務所でも、弁護士費用特約を使っての利用や、相談料・着手金無料でのご依頼が可能です。

弁護士に依頼した方の体験談

アトム法律事務所には、保険会社から提示された金額に疑問を持ってお問い合わせいただくことも多いです。保険会社相手の増額交渉は、被害者お一人では難しい面が多々あります。日常生活にスムーズに復帰するためにも、弁護士に煩雑な交渉事を依頼することも検討してください。

示談金に納得いかず、インターネットで弁護士事務所を探し多々、弁護士事務所に相談しましたが、アトム法律事務所の方だけがとても親切・丁寧に話を聞いて下さいました。(略)保険会社と私の話し合いでは限界、と言われた金額の約3倍も金額の変動があり、びっくりしました

右手人差指神経断裂の増額事例

提示された金額が適正なのかどうか分からず話だけでもと思い、法律事務所に相談することにしました。結果、納得できずにいた問題もすっきり解決して頂き示談金は3倍にもなりました

右足高原骨折の増額事例

弁護士による増額についてもっと知りたい方は関連記事も参考にしてください。

弁護士を立てれば休業損害以外の費目の増額も期待できる

交通事故の被害者は、休業損害以外にも以下のような費目を請求できます。

示談金の主な費目

  • 治療関係費
    • 事故によるケガの治療関連に要した費用
    • 診察費、投薬費、通院交通費、入院雑費、入通院付添費など
  • 慰謝料
    • 事故による精神的苦痛の補償
    • 入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3種類がある
  • 逸失利益
    • 事故による将来的な減収の補償
    • 後遺障害逸失利益、死亡逸失利益の2種類がある
  • その他、車の修理代など

上記の費目についても、加害者側の保険会社は本来被害者が請求できる金額よりも低い金額を提示してくることが多いです。

示談が一度成立してしまうと、あとから撤回したり再交渉したりすることは基本的にできません。「本来ならもっと多くの金額をもらえていたのに…」と後悔しても、再請求することはできないのです。

よって、加害者側の保険会社から示談金の案が提示されたら、法律の専門家である弁護士に適正な金額か確認することをおすすめします。

アトム法律事務所では、電話・LINEによる弁護士への無料相談を受け付けています。弁護士事務所に行かなくとも、スキマ時間で弁護士の確認を受けられるので、気軽にお問い合わせください。

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以下の記事では、ご自身の交通事故について弁護士を立てるかどうか、弁護士を立てるメリットやデメリットを解説しています。弁護士への相談を躊躇している方は、検討にお役立てください。

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弁護士にご相談いただければ、以下のような休業損害に関するお困りごとについて、適切なアドバイスを受けられます。

  • 休業損害の金額が低い
  • 休業損害に昇給、ボーナスなどが適切に反映されていない
  • 主婦やアルバイトなので休業損害を支払わないと言われた
  • 休業損害の請求に必要な書類がわからない
  • 休業損害が打ち切られた
  • その他、休業損害について保険会社ともめている

また、弁護士に依頼することで、休業損害を含めた請求の対応を弁護士に任せることができるため治療に専念することが可能となったり、必要な証拠収集のサポートを受けるといったメリットがが生じます。

弁護士に依頼するメリットについて詳しく知りたいかたは『交通事故を弁護士に依頼するメリット8選|弁護士は何をしてくれる?』の記事をご覧ください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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