交通事故にあったら毎日通院した方がいい?慰謝料の観点から弁護士がお答え

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毎日通院した方がいい?

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

「交通事故の慰謝料を少しでも多くもらいたいなら、毎日通院した方がいいって本当?」

もし、慰謝料の増額が目的なら、毎日通院した方がいいとは限りません。

通院頻度は、交通事故で負った怪我の状態や治療の状況に合わせることが大切です。

むしろ、慰謝料の観点から言えば、必要以上に通院回数を増やすと、慰謝料の減額や治療費の打ち切りにつながるといったデメリットもあるのです。

毎日通院しなくても、適切な通院頻度を守れば、正当な額の慰謝料を受け取れます。大切なのは、通院のポイントをおさえることです。
交通事故の慰謝料を適切に受け取るために、この記事が参考になれば幸いです。

目次

「慰謝料を増やすには毎日通院した方がいい」とは限らない

交通事故にあうと「慰謝料を増やすために毎日通院した方がいい」と言われることがありますが、これは誤りです。
慰謝料は通院頻度に応じて増え続けるわけではありません。
通院頻度については、医師の指示に従うとよいでしょう。

まずは、「慰謝料を増やすには毎日通院した方がいい」という誤解が生まれる背景と、実際の慰謝料と通院頻度の関係を解説します。

慰謝料は通院頻度に応じて増え続けるわけではない

慰謝料とは、損害賠償金の一部であり、精神的苦痛に対する補償のことを指します。

交通事故の慰謝料にはいくつか種類がありますが、その中でも「交通事故により負傷した」「交通事故の影響で入通院をしなければならない」といった精神的苦痛に対して支払われる慰謝料のことを、入通院慰謝料(傷害慰謝料)と言います。

入通院慰謝料は、入通院期間や実治療日数によって金額が決まります。
精神的苦痛の感じ方には個人差があるので、不公平感が生じることを避けるために、一定の客観的な数値をもとに計算することとされているのです。
「慰謝料を増やすには毎日通院した方がいい」という誤解が生じる背景には、このような慰謝料の計算に関する事情があります。

しかし、実際には、入通院慰謝料は通院回数に比例して増え続けるわけではありません。

詳しい入通院慰謝料の計算方法を確認し、慰謝料が通院回数に応じて無制限に増えるわけではないことを確かめていきましょう。

なお、交通事故の慰謝料と通院日数の関係については、『交通事故の慰謝料は通院日数が影響する?治療期間で計算が重要』の記事でも詳しく解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。

慰謝料の算定基準によって「慰謝料と通院頻度の関係」は異なる

交通事故の慰謝料を計算する際には、以下の3つの基準が用いられます。

慰謝料の3つの算定基準

自賠責基準自賠責保険会社が慰謝料を算定する際に用いる基準。
法令で定められている最低限の金額となる。
任意保険基準任意保険会社が慰謝料を算定する際に用いる基準。
保険会社ごとに独自に定められており、詳細は公開されていない。
自賠責基準とほぼ同額か、自賠責基準よりやや高額になる。
弁護士基準
(裁判基準)
弁護士や裁判所が慰謝料を算定する際に用いる基準。
過去の判例にもとづいた、法的に適正な金額となる。
3つの基準の中でもっとも高額。
慰謝料金額相場の3基準比較

各基準ごとに計算方法が異なり、慰謝料の金額と通院頻度との関係は変わります。
それぞれの基準ごとに、慰謝料の計算方法を確認していきましょう。

交通事故の慰謝料の計算については、『交通事故の慰謝料を正しく計算する方法』の記事で詳しく解説しています。

通院でもらえる慰謝料についてさらに詳しく知りたい場合は、『通院でもらえる慰謝料は?慰謝料相場の一覧表や適正な金額をもらうためのポイント』の記事をあわせてご覧ください。

(1)自賠責基準|慰謝料は2日に1回の通院でピークになる

自賠責基準で入通院慰謝料を計算する場合、2日に1回の頻度で通院したときに慰謝料の金額はピークになります。

その理由を知るために、自賠責基準の入通院慰謝料の計算式を確認してみましょう。

自賠責基準の計算式

4,300円※×対象日数

対象日数は次のうちいずれか短い方を採用する。

  • 治療期間※※
  • 実際に治療した日数×2

※2020年3月31日以前に発生した交通事故の場合は4,200円。
※※治療期間とは、最初に病院を受診した日から治療終了までの期間を指す。

自賠責基準で計算した入通院慰謝料は、「対象日数」に比例して増えていきます。

次に、対象日数としてどの日数が採用されるか、通院頻度ごとに確認してみましょう。
3日に1回通院した場合、2日に1回通院した場合、毎日通院した場合を、治療期間が2か月(60日)かつ入院しなかったと仮定して比較してみます。

3日に1回通院した場合

治療期間60日
実際に治療した日数×220日×2=40日
対象日数として採用される日数40日

2日に1回通院した場合

治療期間60日
実際に治療した日数×230日×2=60日
対象日数として採用される日数60日

毎日通院した場合

治療期間60日
実際に治療した日数×260日×2=120日
対象日数として採用される日数60日

2日に1回以上の頻度で通院しても、対象日数として採用される日数は変わらないため、慰謝料は増えないということが、上記からおわかりいただけるのではないでしょうか。

慰謝料は、通院回数に応じて際限なく増える仕組みではないのです。

なお、だからと言って「慰謝料を最大限受け取るために2日に1回通院すべき」というわけではありません。

上記は、あくまでも自賠責基準で計算した場合の例です。
先述のとおり、自賠責基準で計算したときよりも弁護士基準で計算したときの方が慰謝料は高額となります。弁護士基準は自賠責基準と異なる方法で慰謝料を計算するので、2日に1回の頻度で通院したら慰謝料が最大になるとは限らないのです。

自賠責保険からもらえる慰謝料についてさらに詳しく知りたい方は、『自賠責保険から慰謝料はいくらもらえる?慰謝料を早くもらう方法と支払い限度額』の記事もご確認ください。

(2)任意保険基準|慰謝料は保険会社の社内ルールで決まる

先述のとおり、任意保険基準は保険会社ごとに独自に設定されており、外部に公開されていません。実務上は、自賠責基準とほとんど変わらない水準と言われています。

以前は、すべての任意保険会社が統一した基準を使っていました。
その基準を踏襲した保険会社もあるので、あくまで参考として紹介します。

旧任意保険基準による計算方法

旧任意保険支払基準による入通院慰謝料
旧任意保険支払基準による入通院慰謝料

算定表の見方

  • 「1月」は30日
  • 縦軸(通院月数)と横軸(入院月数)が交差するマスの金額が慰謝料の相場

自賠責基準との違いは、実通院日数が指標とされないことです。

指標とされるのは、「入院期間」および「通院期間」であり、これらはいずれも実通院日数ではなく、最初に病院を受診した日から治療終了までの期間を指します。

治療開始から治療終了までの期間が同じであれば、毎日通院しても、3日に1度通院しても、原則として入通院慰謝料の金額は同じになります。通院回数の増加に応じて慰謝料が上がるわけではないのです。

現在は各保険会社が算定基準を定めていますが、やはり、通院頻度を増やせば慰謝料額は増え続けるという期待はしない方がよいでしょう。

任意保険基準についてさらに詳しく知りたい場合は、『交通事故慰謝料の「任意保険基準」とは?慰謝料3つの基準と計算方法を解説』の記事も参考にしてみてください。

(3)弁護士基準|慰謝料は入通院期間で決まり、日額ではない

弁護士基準では、旧任意保険基準と同じく、入院期間および通院期間をもとにして入通院慰謝料を計算します。
日額で計算しないので、原則的に慰謝料の金額は実通院日数の影響を受けません。

弁護士基準の入通院慰謝料の計算には、下記の算定表を用います。
被害者の怪我の程度が軽傷(むちうち、打撲など)の場合は「軽傷」の表を用いて算出し、それ以外の場合は「重傷」の表を用いて算出します。

弁護士基準の計算方法(軽傷の場合)

軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表

弁護士基準の計算方法(重傷の場合)

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

※極めて重篤な負傷については、上記の表の金額から2割~3割程度増額されることがある。

算定表の見方

  • 「1月」は30日
  • 縦軸(通院月数)と横軸(入院月数)が交差するマスの金額が慰謝料の相場

弁護士基準の場合も、指標とされるのは「入院期間」および「通院期間」です。
これらはいずれも実通院日数ではなく、最初に病院を受診した日から治療終了までの期間を指します。

よって、治療開始から治療終了までの期間が同じであれば、毎日通院しても、3日に1度通院しても、基本的に入通院慰謝料の金額は同じになるのです。

ただし、あまりに通院頻度が少ないと慰謝料が減額されることがあるので、その点には注意した方がよいでしょう。

弁護士基準で慰謝料を計算する方法については、『交通事故の慰謝料は弁護士基準で計算!慰謝料相場と増額成功のカギ』の記事でも詳しく解説しています。

毎日通院しなくても慰謝料を最大限にする方法

ここまで、「交通事故の慰謝料を多く受け取るためには毎日通院した方がいい」という誤解を解くために、交通事故の慰謝料と通院頻度の関係を解説してきました。

ただ、「毎日通院しなくてもいいことはわかったけど、交通事故の慰謝料でなるべく損をしたくない」「交通事故で精神的な苦痛を味わったのだから、納得のいく慰謝料を受け取りたい」と感じている方もいらっしゃると思います。

この章では、そのような方に向けて、毎日通院しなくても交通事故の慰謝料を最大限受け取る方法をお伝えします。

慰謝料を「保険会社の基準」で計算しない

先述のとおり、交通事故の慰謝料を計算するときは、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準のいずれかの算定基準を用います。
このうち、最も慰謝料が高くなるのは弁護士基準で計算したときです。

加害者側の任意保険会社は、ほとんどの場合、任意保険基準もしくは自賠責基準で算定した慰謝料を提示してきます。
よって、加害者側の任意保険会社に提示された金額は、弁護士基準で計算し直せば増額される可能性が高いのです。

ここで、各算定基準で計算した入通院慰謝料の金額を比較してみましょう。
任意保険基準は非公開とされているのでここでは割愛しますが、任意保険基準は自賠責基準と同じくらいの水準とされているので、それを前提にご覧ください。

入通院慰謝料の比較

通院期間
実通院日数
自賠責基準※弁護士基準
(重傷の場合)
1か月
15日~
12.9万円(重)28万円
(軽)19万円
2か月
30日~
25.8万円(重)52万円
(軽)36万円
3か月
45日~
38.7万円(重)73万円
(軽)53万円
4か月
60日~
51.6万円(重)90万円
(軽)67万円
5か月
75日~
64.5万円(重)105万円
(軽)79万円
6か月
90日~
77.4万円(重)116万円
(軽)89万円

※2020年4月1日以降に発生した交通事故で、2日に1度通院した場合。
※※(重)は重傷の慰謝料算定表、(軽)は軽傷の慰謝料算定表に基づく。

自賠責基準と弁護士基準を比較すると、いずれも弁護士基準の方が高額となることがおわかりいただけるのではないでしょうか。

慰謝料をなるべく多く受け取るには、自賠責基準や任意保険基準といった保険会社の基準で計算するのではなく、弁護士基準で計算するとよいでしょう。

ただし、被害者自身が弁護士基準で計算した金額を支払うよう主張しても、加害者側の任意保険会社に受け入れられることはほとんどありません。
弁護士基準で計算した慰謝料を受け取りたい場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。

3日に1回を目安に通院を継続する

適切な通院頻度は、被害者の怪我の状態や治療の経過などによって異なります。
そのため、基本的には、医師に指示された通院頻度で治療を続けることをおすすめします。

そのうえで、弁護士基準の相場どおりの慰謝料を受け取るための通院頻度の目安をお伝えすると、3日に1回程度の頻度で通院を続けるのが望ましいとされています。

上記の頻度を目安に、医師や弁護士と相談しながら、怪我が完治するか症状固定(これ以上治療を行っても症状が改善しない状態)と判断されるまで通院を続けるようにしましょう。

整骨院だけではなく病院での治療も欠かさない

交通事故で負傷した場合、整骨院(接骨院)で治療を受ける方もいらっしゃいます。
ですが、基本的に交通事故の治療は病院で行うこととし、整骨院はあくまで併用するものと考えてください。

整骨院だけではなく整形外科への通院も続けた方がよい理由は、以下の2つです。

  1. 治療や後遺障害等級認定にあたって、病院で受ける検査や医師の見解が重要になる
  2. 整骨院の費用は、加害者側から支払ってもらえない可能性がある
  3. 整骨院だけに通院していると、慰謝料が減額される可能性がある

(1)病院で受ける検査や医師の見解が重要になる

病院の整形外科では、レントゲン、CT、MRIなどの身体の内部をみる検査が受けられます。
交通事故で多いむちうちなどは、外見では症状の程度などがわからないので、適切な治療を受けるにあたっては上記の検査が重要になります。

一方、整骨院では上記のような検査は受けられません。よって、整骨院だけに通っていると、何らかの症状を見落とし、医学的に必要な治療を受けられない可能性があるのです。

また、後述する後遺障害等級認定にあたっても、病院で検査を受けたり医師に経過を確認してもらったりすることが重要になります。

後遺障害等級認定は書面審査で行われるので、証拠としてCTやMRIなどの検査結果を添付することが大切です。
また、後遺障害等級認定には主治医が作成する「後遺障害診断書」という書類が重要になります。後遺障害診断書は事故直後からの治療経過を見て作成されるので、ずっと整骨院だけに通っていると、適切な後遺障害診断書を作成してもらえなくなるのです。

後遺障害診断書については、『後遺障害診断書の書き方やもらい方、等級認定される記入例|自覚症状の伝え方は?』の記事で解説しています。

(2)整骨院の費用は支払ってもらえない可能性がある

整骨院は柔道整復師による施術をおこなう施設であり、医師による治療をおこなう病院とは区別されます。
よって、病院の治療費は支払ってもらえても、整骨院の施術費は支払ってもらえないことがあるのです。

もし治療のために整骨院を利用する場合は、事前に医師に許可を得ること、加害者側の任意保険会社に通知しておくことが大切になります。医師の許可を得れば、整骨院の利用が治療に必要な行為であると認められやすくなるのです。

なお、整体やカイロプラクティックなどの施術費を支払ってもらうことはさらにハードルが高くなります。

交通事故の治療について、詳しくは『交通事故の治療の流れ|整骨院と整形外科のどちらに通うのが正解?』の記事もご確認ください。

(3)整骨院だけに通院していると慰謝料が減額される可能性がある

先述のとおり、病院でおこなわれる治療と整骨院でおこなわれる施術は区別されます。

整骨院だけに通院している状態が続くと、加害者側に「必要な治療は終了している」と判断されてしまう可能性があります。

治療が終了したと判断されると、慰謝料を計算する基準である治療期間が短くなり、慰謝料が減額されてしまう事態につながりかねません。

慰謝料を適切に受け取るためには、医師に治療終了と判断されるまでは、整骨院だけではなく病院にも通い続けるようにしましょう。

なお、交通事故の慰謝料と整骨院の関係については、『交通事故の治療を整骨院で受けても慰謝料はもらえる|慰謝料の計算と注意点』の記事でも詳しく解説しています。

後遺症が残ったら後遺障害慰謝料を請求する

交通事故で後遺症が残ったら、後遺障害等級認定を受けることで、新たに後遺障害慰謝料を請求できるようになります。

後遺障害慰謝料は、交通事故で後遺障害を負った精神的苦痛に対する補償です。
交通事故後に治療を続け、後遺障害が残った場合、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の両方を加害者側に請求できるのです。

どのような症状で後遺障害等級に認定されるかは、『後遺障害等級の一覧表|症状別の等級と認定基準をわかりやすく解説』の記事で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

なお、後遺障害慰謝料の金額は、認定された後遺障害等級によって変わります。
後遺障害慰謝料を最大限に受け取るためには、適切な後遺障害等級に認定されることが重要になります。

後遺障害等級の認定は書面審査で決まるため、適切な等級に認定されるためにはさまざまな工夫が必要です。
後遺障害等級認定の申請を検討されている場合は、交通事故に詳しい弁護士に相談することで、適切なサポートやアドバイスを受けられるでしょう。

後遺障害等級認定の申請については、以下の関連記事もご参考ください。

なお、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の相場は、以下の計算機で確認できます。
ぜひ1度ご利用いただき、ご自身が受け取れる最大限の慰謝料をチェックしてみてください。

注意!通院頻度が低すぎると慰謝料減額の可能性あり

弁護士基準では入院期間および通院期間をもとに入通院慰謝料を計算しますが、通院頻度があまりにも低いと慰謝料が減額される場合があります。

たとえば、月に1度だけ通院しているといったケースでは、「すでに完治しているのではないか」ととらえられてしまい、実際に通院した期間よりも短い期間で慰謝料を計算されてしまう可能性があるのです。

なお、通院が長期にわたる場合は、症状や治療内容、通院頻度といった実情を踏まえて、実通院日数の3倍~3.5倍程度を慰謝料算定の通院期間の目安にすることがあります。

また、通院頻度が低いと、慰謝料の減額だけではなく、後述する治療費打ち切りのリスクも生じます。通院頻度が低いと、加害者側の任意保険会社はすでに怪我が治っていると考え、治療費を打ち切ろうとしてくることがあるのです。

とくに、事故で受けた怪我が比較的軽い場合は、通院を億劫に感じて通院頻度が低くなってしまうことが多いです。
しかし、慰謝料を適切に受け取るためには、医師に指示された適切な通院頻度を守ることが何より大切なのです。

通院日数が少なく、交通事故の慰謝料を適切に受け取れるか不安な方は、『通院日数が少ない場合でも交通事故の慰謝料を適正額で獲得する方法』の記事をご確認ください。

毎日通院して通院回数を増やすデメリット

医師に指示されて毎日通院しているならば問題ありませんが、慰謝料を増やす目的で毎日通院しているならば、慰謝料受取りにあたってのリスクが生じることがあります。

この章では、慰謝料を増やす目的で通院回数を増やすデメリットについて解説します。

「120万円のボーダー」で保険会社の態度が変わる

加害者側に支払ってもらえる損害賠償金のうち、治療費や通院交通費、入通院慰謝料といった費目を「傷害分」と呼びます。

毎日通院を続けていると、傷害分の費目が必要以上に高額になり、合計で120万円を超えてしまうことがあります。

実は、傷害分120万円と言うのは「示談交渉時に加害者側の態度が厳しくなるボーダー」と言われています。
傷害分の合計が120万円を超えると、示談交渉が長引いたり、被害者側の主張を加害者側に受け入れてもらえなくなったりするリスクが上がるのです。

無論、医師に指示された通院頻度で治療した結果、傷害分の費目が120万円を超えた場合は、たとえ示談交渉が厳しくなったとしても適切に損害賠償金を支払うよう要求すべきです。

しかし、過剰な通院で傷害分の費目を必要以上に膨らませ、示談交渉の難易度を上げてしまうと、慰謝料を最大限に受け取れない可能性が上がるので、必要以上の通院は被害者にとってデメリットの方が大きいのではないでしょうか。

なお、示談交渉の難易度が上がる金額のボーダーは、傷害分以外の費目についても存在します。

なぜボーダーを超えると交渉が難しくなるのか、各費目のボーダーはいくらなのかについては、『交通事故慰謝料が120万を超えたらどうなる?自賠責保険の限度額や請求方法を解説』の記事をご覧ください。

慰謝料減額や治療費打ち切りのリスクがある

前章では通院頻度が低すぎると慰謝料減額や治療費打ち切りのリスクがあるとお伝えしましたが、通院頻度が過剰に高くても同じリスクが生じます。

加害者側の任意保険会社は、被害者が受けている治療の内容や経過を知ることができます。
たとえば、「毎日通院しているけど治療内容は湿布をもらうだけ」といった状態では、加害者側の任意保険会社に「漫然とした通院」や「過剰診療」とみなされてしまう可能性が生じます。

漫然とした通院や過剰診療とみなされてしまうと、「もう完治しているのではないか」と判断され、実際に通院した期間よりも短い期間で慰謝料を計算されてしまう場合があるのです。

同様に、漫然とした通院や過剰診療とみなされてしまうと、加害者側の任意保険会社に「もう完治しているので治療費は必要ない」と判断され、治療費の支払いを打ち切られてしまうこともあります。

ただし、医師の指示にしたがって通院しているのに、加害者側の任意保険会社に「漫然とした通院」とみなされて治療費を打ち切りの打診をされる例もあります。
その場合は、医師に治療の必要性を確認したうえで、加害者側の任意保険会社に治療費支払いを継続するよう交渉するとよいでしょう。

交通事故の治療費打ち切りの対処法を知りたい方は、『交通事故の治療費打ち切りとは?延長交渉や治療の続け方を解説』の記事もあわせてご覧ください。

慰謝料と通院回数に関するQ&A

ここまでの章では、慰謝料と通院頻度に関する解説を行ってきました。
それを踏まえて、この章では、慰謝料と通院回数に関するよくあるお悩みにお答えしていきます。

Q1.毎日通院は絶対に許されないの?

ここまでの解説を読んで、「毎日通院は絶対にしてはいけないの?」と疑問を持った方もいらっしゃるかもしれません。

結論から言えば、医師の指示があれば毎日通院しても問題ありません。

医師は、被害者の怪我の状態や治療の状況から、適切な通院頻度を判断してくれます。
もし、医師から毎日通院した方がいいと言われた場合は、医師の指示に従うようにしましょう。

また、交通事故による怪我で痛みや辛さを感じているにもかかわらず「毎日通院すると慰謝料に影響するかもしれない」と通院を我慢するのは避けてください。

慰謝料を多くもらうためだけに毎日通院する意味はありませんが、怪我を治療するための通院は必要です。毎日通院が必要なほど辛い症状がある場合は、医師の診察を受け、治療方針を検討してもらうようにしましょう。

Q2.リハビリのための通院は通院回数に含まれる?

リハビリのための通院も、通院回数に含まれます。

リハビリは、交通事故による負傷の影響で低下した身体機能を回復させるために行われます。よって、治療の一環とみなされ、通常の入通院と同等に扱われるのです。

ただし、症状固定(これ以上治療を行っても症状が改善しない状態)と判断されたあとは、原則的にリハビリのために通院しても入通院慰謝料の計算には影響しません。

交通事故の慰謝料とリハビリの関係については、『交通事故の慰謝料はリハビリでももらえる!計算方法と通院の注意点7つ』の記事でも解説しています。リハビリのために通院する必要がある方は、ぜひご一読ください。

Q3.通院の影響で収入が減ったら加害者側に請求できる?

交通事故の影響で収入が減ったら、加害者側に補償してもらうことができます。
通院の影響によって収入が減った場合も、加害者側に補償してもらうことができるのです。

交通事故による減収の補償には、「休業損害」と「逸失利益」の2種類があります。

このうち、治療期間中の減収を補償するのは「休業損害」です。
治療期間中に通院などのために仕事を休んだ場合、休んだ日数分の補償を休業損害として加害者側に求めることができるのです。

なお、休業損害は給与所得を得ている会社員だけではなく、主婦、自営業者、アルバイトをしている学生なども請求することができます。

一方、逸失利益は、事故の影響で後遺障害が残ったり死亡したりした場合の、将来にわたる減収の補償になります。

休業損害と逸失利益の計算方法については、以下の関連記事をご確認ください。

Q4.毎日通院しなくてもむちうちの慰謝料を増やす方法は?

交通事故による怪我で多いのがむちうちです。
むちうちは骨折などと違い、見た目ではわかりづらいこともあり、「むちうちで慰謝料を多くもらうには、症状の重さを示すためにも、毎日通院した方がいい」と誤解してしまう被害者の方は少なくありません。

しかし、むちうちの場合も、他の怪我と同じく、医師の指示に従って通院することが大切です。
そのうえで、むちうちの慰謝料を増やすには、後遺症が残ったら適切な後遺障害等級認定を目指すことが重要になるでしょう。

むちうちの場合、事故直後から治療を半年以上続けても症状が一貫して続いているのならば、後遺障害等級に認定される可能性があります。

むちうちで認定される可能性がある後遺障害等級は、12級13号と14級9号の2つがあります。
後遺障害12級13号と14級9号の認定要件や、後遺障害慰謝料の相場は以下のとおりです。

後遺障害12級13号と14級9号の比較

等級認定要件後遺障害慰謝料※
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの290万円
14級9号局部に神経症状を残すもの110万円

※弁護士基準で計算した場合

後遺障害12級と14級では、弁護士基準で計算した場合、後遺障害慰謝料が180万円も異なるのです。
後遺障害12級に認定される可能性があるのに、14級に認定されてしまうと、その分慰謝料が減ってしまいます。また、そもそも後遺障害等級が認定されないと、後遺障害慰謝料は受け取れません。

むちうちで後遺障害12級に認定されるには、他覚所見があることが大切です。
MRI画像やCT画像、レントゲン写真などで、神経を圧迫していることが客観的にわかるのであれば、後遺障害12級に認定される可能性が高くなります。

むちうちにおける後遺障害認定や慰謝料相場については、『交通事故によるむちうちの症状と慰謝料相場|治療・通院の注意点も解説』の記事で網羅的な説明をしています。ぜひあわせてご覧ください。

また、後遺障害等級12級と14級の詳しい認定基準については、下記の記事もご参考ください。

交通事故の慰謝料の増額はアトム法律事務所にご相談ください

ここまで解説してきたとおり、交通事故の慰謝料を増額させるためには、通院頻度ではなく、弁護士基準で慰謝料を計算することや適切な後遺障害等級に認定されることが大切です。

弁護士基準で計算した慰謝料を請求したり、適切な後遺障害等級への認定を目指したりしたいときは、弁護士に相談するとよいでしょう。

交通事故に詳しい弁護士であれば、加害者側の任意保険会社との示談交渉を適切に行えます。また、後遺障害等級の認定にあたっても、書類の書き方や受けるべき検査などのアドバイスを行えるでしょう。

この章では、実際にアトム法律事務所が受任した交通事故案件の中から、示談金が増額されたケースを厳選してご紹介します。

増額実績(1)示談金が2倍になったケース

LINE相談がきっかけのケース

依頼者の方は、事故の後遺症として左足の知覚鈍麻やしびれが残り、後遺障害14級9号に認定されていました。

加害者側から示談金として123万7,565円の示談金(既払い金を除く)を受け、金額が妥当かどうかLINEの無料法律相談でお問合せいただきました。

弁護士が詳しくおうかがいしたところ、増額の余地があることが確認できました。

その後、弁護士が示談交渉を行った結果、依頼からわずか3週間で約2倍の251万5,876円に示談金を増額させることができました。

ご依頼者様の手元には、弁護士費用を差し引いても約200万円以上が残ったのです。

上記の事例では、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、逸失利益が、低く見積もられていました。
弁護士基準で計算し直したことで、示談金を約2倍に増額させることができたのです。

なお、弁護士基準で計算した慰謝料を支払うよう、被害者自身が訴えても、加害者側の任意保険会社が認めることはほぼありません。「今回の事故では難しい」「この金額が上限だ」といったように反論してくることがほとんどなのです。

弁護士基準で計算した慰謝料を認めてもらうためにも、弁護士に依頼することは重要です。

増額実績(2)示談金が2,400万円になったケース

予想以上の高額見積りのケース

依頼者の方は、バイク事故の後遺症として左脚関節の機能障害やしびれなどが残り、後遺障害併合9級に認定されていました。

加害者側の任意保険会社からは約2年間も示談金が提示されず、不安な思いでLINE無料相談にお問合せいただきました。弁護士が獲得できる示談金の見積もりをお伝えしたことが契約のきっかけとなったのです。

弁護士が示談交渉を行い、逸失利益などを弁護士基準に基づいて計算するよう主張したことで、依頼から約3か月で2,400万円の示談金を獲得できました。

弁護士が介入したことで、依頼者の方の希望にそったスピード解決となりました。

上記の事例では、弁護士が介入することで、示談金の増額のほかに示談金の早期獲得も実現しています。

弁護士に依頼するメリットには、その他にも「加害者側とやり取りすることによるストレスの軽減」「治療費打ち切りなどのトラブルへの対処」などさまざまなものがあります。

弁護士に依頼するメリットをさらに詳しく知りたい方は、『交通事故を弁護士に依頼するメリット8選|弁護士は何をしてくれる?』の記事もご一読ください。

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交通事故で打撲した場合の慰謝料はいくら?計算方法を弁護士が解説
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交通事故の慰謝料は通院日数が影響する?治療期間で計算が重要
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通院のみなら交通事故慰謝料はいくら?相場と計算方法、増額されるケース
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交通事故の慰謝料は通院1日いくら?8600円の真実と通院6ヶ月の相場
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交通事故で治療期間が1年!慰謝料はいくら?増額する方法を弁護士が解説
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通院日数が少ない場合でも交通事故の慰謝料を適正額で獲得する方法
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