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交通事故治療費の請求方法を解説|健康保険、打ち切りへの対応など5つのポイントを紹介!

更新日:

後遺障害

2020年4月1日改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

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交通事故の被害者になったら、病院に赴いて治療に専念するのが肝要です。
しかし、交通事故の治療費には様々な疑問がつきません。
とくに「治療費の支払いの流れ」「健康保険の使用の可否」などは、お悩みの代表格と言えるくらい、頻出の疑問となっています。

この記事では治療費の支払い方、健康保険の適用方法、治療費打ち切りへの対応などを徹底解説し、治療費についてのお悩みを解消します。

交通事故の治療費の支払い方

治療費の支払いは任意保険会社に任せる!

交通事故後の治療費は、原則相手方の任意保険会社に一任するのが良いです。

事故直後、相手方任意保険会社に連絡をすると、通常その日のうちに担当者から折り返しの電話があります。
保険会社の担当者は被害者の通う病院と連絡をとり、治療費の支払いをしなくて済むように手続きを進めてくれることでしょう。

休日の事故や、事故直後に電話をしなかった場合などでは、担当者の折り返し電話より病院での治療開始の方が先行してしまう場合もあります。
そのようなときは被害者が一旦治療費を立て替えて、あとから保険会社に治療費を請求することになります。
病院によっては、現在保険会社からの対応待ちであることを伝えると、治療費の支払いを一旦保留にしてくれる場合もあるようです。

任意保険会社が病院に連絡を取りつけると、その後病院は治療費を任意保険会社に請求するようになるので、被害者の方が治療費を支払う必要はなくなります。

交通事故の治療費の支払いは、このような流れをたどるのが通常です。
しかし稀に、治療費の支払いを一旦事故被害者に立て替えさせ、被害者側からその都度治療費の請求をするよう求めてくる任意保険会社もあります。
そのような対応の場合、加害者側と治療費の支払いで揉めたとき、支払ってもらえなくなる等の危険があります。
病院に直接治療費を支払ってもらえるよう、早急に交渉すべきと言えるでしょう。

加害者が任意保険に入っていない場合

自動車の多くは任意保険に加入していますが、稀に加害者が任意保険に加入していない場合もあります。

そのようなときは、相手方の自賠責保険に支払ってもらうことになるでしょう。

自賠責保険は、車両1台ずつに加入が義務付けられた保険です。
交通事故被害者の方が最低限の補償を受けとれるよう整備されたものとなります。
あくまで最低限の補償を行うための保険であるため、傷害部分につき、支払われる金額の上限は120万円です。

自賠責保険の傷害部分(これら全部合わせて上限120万円)

治療関係費

応急手当費、診察料、入院露湯、投薬量、手術料、通院などの交通費、看護料、雑費、義肢装具などの費用、診断書の発行料など

休業損害

入通院による減収や有給休暇の使用があったとき、1日につき6100円。

傷害慰謝料

治療日数1日につき4300円。

* 治療日数は、実際に入通院した日数の2倍の日数と、治療開始から治療終了までの日数を比較し、より少ない方の日数とされる。
* 2020年4月1日以降に発生した事故の基準

後遺障害が残ったときなどには120万円以上支払われるのですが、基本的には上記の費目すべて合わせて120万円が上限です。

自賠責保険への請求は、通常、すべての損害が確定した後に行います。
つまり治療が終わるまでは、事故被害者自身がもろもろの費用を立て替える必要があるのです。
ただ、それでは経済的に厳しいということもあるでしょう。
そのようなとき、自賠責保険に仮渡金の請求を行えば、ケガの程度によって40万円か20万円か5万円を先払いしてもらうこともできます。

自賠責保険への仮渡金請求

仮渡金の額は政令で定められており、傷害事故の基準額は以下の通りとなります。

仮渡金の金額

ケガの程度支払われる金額
次の傷害を受けたもの
・脊柱の骨折で脊髄を損傷したと認められる症状を有するもの
・上腕または前腕の骨折で、合併症を有するもの
・大腿または下腿の骨折
・内臓の破裂で腹膜炎を併発したもの
・14日以上病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの
40万円
次の傷害を受けたもの
・脊柱の骨折
・上腕または前腕の骨折
・内臓の破裂
・病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの
・14日以上病院に入院することを要する傷害
20万円
11日以上医師の治療を要する傷害を受けたもの5万円

仮渡金を請求する際には、これら傷害の程度が証明された診断書と、支払いの請求書を提出します。
あらかじめ金額が政令で定められているという事もあり、仮渡金は請求から比較的早期に支払われます。

なお、仮渡金はあくまで後々支払われる自賠責保険からの賠償金を、一部先払いするという制度です。
仮渡金として受けとった金額は、その後の賠償金の支払いの際に控除されます。

人身傷害保険の利用

もし、事故被害者ご自身が人身傷害保険に加入している場合、そちらから保険金を受け取るのも手となります。
先述の通り、自賠責保険の補償は手厚いものではなく、金額的に十分なものとは言えません。
人身傷害保険に加入していれば、さらに手厚い金額での補償を受けられることでしょう。

交通事故の治療費に健康保険を適用する方法

交通事故治療に健康保険は使える?

交通事故だからといって、健康保険が使えないのかと言えばそんなことはありません。
きちんと、適切な申請などを行えば、健康保険を適用することができるようになります。

かつて健康保険による診療では、治療の選択肢の幅が狭くなり、患者さんが適切な治療を受けられなくなるおそれなどもありました。
現在では、ほとんどの治療・薬が保険適用可となっており、交通事故の外傷も健康保険の範囲で十分な治療が受けられると言われています。

健康保険を適用すべき理由があるなら、保険診療を受けるのが得策です。

健康保険を使った方がいいとき

「交通事故における事故被害者の方の過失割合が大きいとき」「事故被害者の方が一時的にでも治療費の立て替えをするとき」などには、健康保険を使ったほうがよいと言えるでしょう。

事故被害者の方の過失割合が大きいとき

車両同士の事故の場合、過失割合が10:0になるケースは少なく、被害者側にも一定の過失が認められるケースが大半です。
被害者に一定の過失がある事故では、その過失の分、自己負担しなければならないお金が発生します。

ケガの治療に際して健康保険を使えば、この自己負担分のお金を減らすことができるようになります。
健康保険が適用されると、ケガの治療費のうち7割は健康保険の負担になります。

一例(過失割合が加害者8で被害者2、治療費が100万円のケース)

健康保険を使わなかった場合

病院に実際に支払う額 100万円
被害者が請求できる金額 80万円(100万円×過失割合0.8)
被害者の自己負担金額 20万円(100万円-80万円)

健康保険を使った場合

病院に実際に支払う額 30万円(100万円×健康保険自己負担分0.3)
被害者が請求できる金額 24万円(30万円×過失割合0.8)
被害者の自己負担金額 6万円(30万円-24万円)

事故被害者が治療費の立て替えをするとき

先述の「任意保険会社が治療費の被害者立て替えを要求してきた場合」「相手が任意保険に加入していない場合」や、後述する「相手方任意保険会社が治療費の支払いを打ち切った場合」など、被害者自身が一旦治療費を立て替えて支払わなくてはならない場合があります。
このようなとき、健康保険を使用すれば被害者の方の負担がかなり軽減されることでしょう。

とくに事故の相手が任意保険会社に加入していないときに、健康保険を使うのは非常に重要です。
繰り返しになりますが、自賠責保険は傷害部分で120万円の補償の上限があります。
少し大きなケガをしたときなどでは、健康保険を使わない場合、治療費だけですぐに上限の120万円に達してしまうことでしょう。

交通事故治療の健康保険の使い方

交通事故被害者の方が健康保険を使う場合は、まず保険者(自身の加入している健康保険の組合や共済など)への「第三者行為による傷病届」の提出が必要になります。
詳細は自身の加入する保険者に問い合わせる必要がありますが、例えば全国健康保険協会(協会けんぽ)は、公式ホームページ上で、必要書類を配布しています。

書類の提出が終わった後、かかりつけの病院に健康保険が使いたいという旨を申し入れます。

病院によっては健康保険の利用を断られるケースもあります。
そこには自由診療の方が高い治療費を取れる、治療の幅が狭くなるのを嫌うといった理由がありますが、健康保険の利用が事故被害者にとってメリットとなり得るという点は先に解説した通りです。
「第三者行為による傷病届」を提出したことを示して病院を説得し、それでも無理なら病院を変えることを検討したほうが良いでしょう。

交通事故の治療費打ち切りへの対応

相手方保険会社から治療費を打ち切ると言われた!症状固定とは?

DMK136という業界用語があります。
打撲1か月、むちうち3か月、骨折6か月の略語です。
これらは、各症状の完治もしくは症状固定に至る目安の期間を示したものとされています。

症状固定とは?

これ以上ケガの治療を続けても症状の改善が期待できない、という状況になることを症状固定といいます。
症状固定後に残ってしまった症状は、後遺症と呼ばれます。

完治もしくは症状固定は、交通事故の賠償にあたって非常に重要な意味を持ちます。
症状固定後、後遺障害(後遺症のうち補償の対象となる症状)の申請などが終われば、その時点で損害の全額が確定します。
保険会社との本格的な示談交渉がはじまるわけです。

後遺症の認定についてくわしく知りたい方は、「後遺症認定4つのポイント」の記事をご覧ください。

任意保険会社としては、なるべく早期に損害を確定させ、示談交渉を終わらせて紛争を解決したいと考えています。
また、治療が長引けばその分支払わなくてはならない治療費も増大していくことでしょう。
そのためまだ治療が終了していないにも関わらず、打撲なら1か月、むちうちなら3か月、骨折なら6か月で症状固定したものとして、治療費の打ち切りを打診してくることがあるのです。

治療費打ち切りの引き延ばし方

保険会社から治療を打ち切るよう言われても、その段階で治療がまだ必要なら当然病院での治療を継続すべきです。
治療費打ち切りを打診されたときには、打ち切りの引き延ばし交渉を行うと良いでしょう。

具体的には担当医に治療継続の必要性を示した診断書を作成してもらい、保険会社に提出するなどの対応が挙げられます。
また弁護士に依頼し、症状固定時期を明確にした上で交渉すれば、1か月程度なら治療費の打ち切りを延長してくれる場合もあります。

治療費を打ち切られたあとの対応策

治療費の打ち切りは完全に相手方任意保険会社の裁量に依ってしまうのが実情です。
治療費が打ち切られた場合には、一旦被害者が治療費を立て替えて、示談交渉時に自身の支払った治療費を請求するという流れをたどることでしょう。

先述の通り、健康保険を利用すれば立て替え費用の削減が期待できます。(交通事故の治療費に健康保険を適用する方法
また、金銭的に立て替えが厳しいという事であれば、自賠責保険に仮渡金を請求するのも手となります。

交通事故治療費の費目や示談の流れ

交通事故治療費の費目と支払われる範囲

交通事故の治療費は、交通事故と因果関係のある範囲で認められます。
治療で発生した金額すべてが無条件で賠償の対象になる、というわけではないのです。
治療費の費目と、賠償として認められるか認められないかよく争いになる費目などをここで見ていきましょう。

交通事故の治療関係費は、主に以下の通りとなります。

治療関係費の主な費目

治療費

応急手当費、診察料、投薬料、手術料など。

付添看護費

医師による付き添いの指示があったとき、入院1日につき6500円、通院1日につき3300円相当が認められる。
幼児や児童のケガについては、ケガの状態などに関わらず支給される。

診断書などの文書料

通院交通費

装具・器具購入費

これら費目のほか、特に争いとなりやすい費用というのもあります。
一個ずつ挙げて、どのような範囲で賠償が認められ得るのかを見ていきましょう。

なお解説はすべて、裁判基準(弁護士基準)での解説となります。
裁判基準とは、過去蓄積されてきた交通事故裁判から分析された賠償金算定の基準です。
この基準は日本弁護士連合会(日弁連)の交通事故相談センターによって書物にまとめられており、全国の交通事故実務に携わる弁護士のあいだで共有されています。

自賠責保険での基準、相手方の任意保険会社が持つ基準では、下記の基準よりも金額は低くなります。

①病院の部屋代

医師の指示がある場合、または症状が重篤であるとか空室が無い等の特別の事情がある場合を除き、病院の個室代は賠償の対象として認められないことが多いです。
基本的には大部屋の料金の範囲で認められると考えるべきでしょう。

②鍼灸・マッサージ・電気治療・整骨院での治療費

これらについては、症状により有効かつ相当な場合、賠償の対象として認められます。
より具体的にいうと、基本的には医師の指示の元での治療であれば認められます。

医師の指示がない場合、症状や治療の状況など諸般の状況が見られ判断されることになります。
ただ、医師の指示がないという事実は、相手方任意保険会社との交渉がこじれる要素にもなり得ます。

整骨院などの治療費について詳しく知りたい方は「整骨院で治療を受ける流れと注意点」をあわせてごらんください。

③温泉治療費

医師の勧めがあり、治療上有効かつ必要性がある場合に、賠償の対象として認められます。
ただ、仮に賠償の対象として認められたとしても、その全額が常に認められるのかと言えば、そんなことはありません。
現実的には、賠償の対象として認められる金額は制限されてしまうことでしょう。

④入院雑費

入院期間中に要した雑費すべてが賠償の対象として認められるわけではありません。
実務上は、1日あたりの金額で定額化されており、その金額は1日1500円です。

⑤医師などへの謝礼

社会通念上相当なものであれば賠償として認められるとされています。

⑥被害者の近親者の交通費

基本的には付添看護費や入院雑費に含まれるとして認められないケースが多いです。
ただ、遠隔地かつ見舞いや看護が必要で相当だと認められる場合や、被害者について危篤状態が続いた場合などでは、別途近親者の交通費が認められる場合もあります。

交通事故の治療後の示談交渉の流れとは?

先述の通り、ケガが完治するか症状固定に至った後は、本格的な示談交渉が始まります。

交通事故の賠償金は、治療費のほかにも様々な費目があります。
示談交渉では、休業損害、慰謝料、逸失利益など治療費以外の費目についても算定が行われ、相手方保険会社から賠償金の金額の提示が行われます。
被害者の方は、この提示金額について検討し、納得できない金額であれば増額を要求。
その後、金額のすり合わせを行っていくという流れをたどります。

賠償金の費目や示談の流れなどについてくわしく知りたい方は、「交通事故の賠償金|費目や請求の流れなどポイントを解説」の記事をご覧ください。

交通事故治療費について弁護士に相談するメリット

メリット① 治療に専念できる

交通事故の被害者になってしまったときには、一度弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士への依頼は事故被害者の方にとって様々なメリットがあります。

交通事故に遭うという機会は、人生の中でそうそうあるものではありません。
それにも関わらず、事故の紛争解決に至る道程は複雑で煩雑なものです。
事故被害者となり治療を受けなくてはならないような状況に追い込まれながら、相手方保険会社への対応や各種種類の作成・届出などに奔走しなくてはならなくなるのです。

弁護士に依頼すれば、これら煩雑な手間を軽減することができます。
弁護士は書類の作成や届け出などを代理することができ、また交通事故の実務に対する専門知識も有しているため、書類の作成や保険会社への対応に間違いが生じる可能性も低くなります。

メリット② 治療費打ち切りに対抗しやすくなる

先述の通り、相手方任意保険会社は治療が終了していない段階から治療費の打ち切りを打診してくることがあります。
依頼者から任意保険会社に対して打ち切りの引き延ばしを交渉することもできます。
ただ相手方任意保険会社の担当者はこの手の交渉事に慣れていますし、また実務の上でも、治療費をその都度払うかどうかというのはすべて任意保険会社の判断が尊重されるようになっています。

弁護士は治療費打ち切り延長の可能性を高めることができます。
弁護士もまた交通事故の交渉事に慣れており、治療費打ち切りへの対抗策についても熟知しています。
どのような書類を作成しどのような交渉を行えば相手方任意保険会社が首を縦に振りやすいか、知っているというわけです。

メリット③ 賠償金の増額が見込める

治療終了後、示談交渉が行われるというのは先述の通りです。
相手方任意保険会社は、自社で定めた独自の基準「任意保険基準」で賠償金を算定しようとします。
この算定基準は、被害者の方が本来もらうべき賠償金の算定基準「弁護士基準(裁判基準)」よりも低額な基準です。

ただ、事故被害者の方ご自身の口から増額交渉をしても、任意保険会社はこれに応じない可能性が高いです。
裁判基準での金額を示したところで、相手方任意保険会社は首を縦に振らず、再度任意保険基準での提示をしてくることでしょう。
交渉が長引けば「はやく賠償金を貰って面倒な手続きから解放されたい」という心理も湧いてきます。
事故被害者ひとりの力だけでは、増額交渉はうまく行かないケースが大半なのです。

弁護士に依頼すれば、過去の裁判例や類似事故の過去の増額事例など、増額すべき具体的根拠を提示できるようになります。
また、事故被害者が弁護士に依頼したという事実は、相手方任意保険会社からすればある種のプレッシャーとして機能します。
「交渉がこじれれば民事裁判を起こされるかもしれない」という心理がはたらきますし、仮に裁判となれば弁護士基準(裁判基準)での支払いを求められることは必定です。

弁護士に依頼すれば、増額交渉もうまく行く可能性が高いというわけです。
弁護士基準での賠償金の支払いを受けたいならば、弁護士に相談するべきといえるでしょう。

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代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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