交通事故の被害者がすべき事故対応|示談交渉で損をしない行動を解説

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交通事故の被害者になったら

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

交通事故の被害者になってしまった方は、今後何をすればいいのか、何をしてはいけないのかといった不安を抱えておられるのではないでしょうか。

この記事では、交通事故の発生から解決までの間に被害者がすべき対応を解説しています。

交通事故の被害者が適切な賠償金を受け取るためには、おさえておくべきポイントがあります。

「示談金が本来受け取れるはずの金額よりも低くなってしまった」
「すべき対応がわからず、加害者側の主張に流されてしまった」

そんな後悔をしないための情報をまとめているので、ぜひご活用ください。

目次

交通事故の被害者がすべき事故直後の対応

交通事故が発生した直後、被害者がすべき対応は以下のとおりです。

  1. ケガ人を救護し、現場の安全を確保する
  2. 警察に連絡する
  3. 加害者と情報を交換する
  4. 証拠を確保する
  5. 警察の調査に協力する
  6. 保険会社に連絡する
  7. たとえケガがなくても病院で診察を受ける【重要】

それぞれの対応で気をつけるべきポイントを解説します。

(1)ケガ人を救護し、現場の安全を確保する

交通事故が発生したら、まずはケガ人の救護と交通事故現場の安全確保を何よりも優先して行います。

なお、ご自身がケガをしている場合には、無理に動かないようにして救護を待ってください。

ご自身にケガがなく、動いても問題ない状態であれば、以下のようにケガ人の救護、交通事故現場の安全確保を行いましょう。

ケガ人を救護する方法

ご自身にケガがなく、周りにケガをしている人がいた場合には、次の手順で対応しましょう。

  1. ケガ人の意識を確認する
  2. 救急車を呼ぶ
  3. 救急車が到着するまで、必要に応じてケガ人を移動させたり、応急処置をしたりする

ケガ人の意識を確認するときは、軽く肩をたたきながら声をかけます。
このとき、相手の体を揺さぶらないよう軽くたたくということに気を付けてください。

ケガ人を移動させるときには、首や頭に負担や衝撃を与えないよう注意しましょう。

また、ケガ人の意識がない、頭部・頸部からの出血がある、首の後ろに痛みやしびれがあるといった場合は、ケガ人を動かさず、発煙筒などを使ってその場を安全に保ちましょう。

現場の安全を確保する方法

交通事故の現場は、できるだけ事故発生時のままにしておくことが望ましいです。

しかし、事故発生時のままにしておくことで新たな事故が起こる可能性がある場合は、車などを安全な場所に移動させる必要があります。

車などを安全な場所に移動させるときは、移動前の状態を写真に残したり、もともと車があった位置に印をつけたりするとよいでしょう。

車が動かせない場合には、発煙筒などを使い、新たな事故の発生を防いでください。

(2)警察に連絡する

交通事故が発生したら、必ず警察に連絡しましょう。

交通事故を警察に連絡することは、道路交通法で定められた義務です。
警察への報告を怠ると、道路交通法違反として懲役3ヵ月以下または5万円以下の罰金が科されます(道路交通法72条1項)。

また、警察に届け出なかった場合、損害賠償請求や保険金請求の際に必要な「交通事故証明書」を発行してもらえません。

なお、ケガをしている場合は、必ず人身事故として届け出るようにしましょう。

(3)加害者と情報を交換する

ケガ人の救護や現場の安全確保を終え、警察への連絡も済ませたら、次は加害者と情報交換をしましょう。

なお、加害者と交換すべき情報は連絡先だけではありません。
被害者の方が加害者に確認しておくべきことは、次のとおりです。

  • 住所、氏名、電話番号やメールアドレスなどの連絡先
  • 勤務先の名称、連絡先
  • 加害者の自賠責保険や任意保険の会社、契約番号

単に上記の情報を確認するだけではなく、運転免許証や車検証、自賠責保険証明書を見せてもらって写真に残したり、名刺を受け取ったりすることが望ましいです。

加害者が他人の車を借りていた場合

また、加害者が他の人の車を借りていたという場合は、車の所有者名、運転目的、通常の使用状況も確認するようにしましょう。

車の所有者に対しても、「運行供用者」として損害賠償請求できる可能性があるからです。

詳しくは『運行供用者責任とは?わかりやすく具体例つきで解説』で解説しているので、加害者が他人から車を借りて運転していた場合は読んでみてください。

(4)証拠を確保する

交通事故の証拠は、以下のようにして確保するとよいでしょう。

  • 現場周辺の写真を撮る
  • 加害者の発言を録音する
  • 目撃者と連絡先を交換する

交通事故が発生した直後の現場周辺の状態は、写真に撮って保存しておきましょう。
スマートフォンのカメラなどで撮影しても大丈夫です。

また、加害者の発言についても記録しておきましょう。
スマートフォンの録音機能や、ボイスレコーダーを利用することをおすすめします。

加害者の発言を記録しておくのは、事故発生から時間が経つと、加害者が自己保身のために態度や発言を変えるケースがあるためです。
加害者の主張が変わった場合、示談交渉の際に争いになる可能性があります。

加えて、交通事故の目撃者がいる場合には、連絡先を交換しておきましょう。

示談交渉や裁判で事故当時の状況が争点になった場合、証人として協力してもらうことになるかもしれません。
そのため、目撃者の方には証人として協力してもらう可能性もあらかじめ伝えておくようにしましょう。

(5)警察の調査に協力する

警察に連絡を行えば、現場に駆け付けた警察官が事故の原因を調査します。
これを「実況見分」と言います。

実況見分では、事故の当事者は警察官から質問を受けることになります。
質問を受けたら、自身で認識している事実を正直に答えるようにしましょう。

実況見分で聞かれる内容や所要時間、注意点については、『実況見分の流れや注意点は?』の記事で事前に確認しておくと、安心して対応できるでしょう。

なお、実況見分の結果は「実況見分調書」にまとめられます。
実況見分調書は、示談交渉で過失割合を判断する際の重要な証拠となります。
よって、実況見分にはしっかり協力するようにしましょう。

(6)保険会社に連絡する

保険約款には、「交通事故が発生したら速やかに保険会社に連絡する」ことが記載されていることがほとんどです。

よって、交通事故が発生した旨を、自身が加入している保険会社に連絡しましょう。
また、加害者にも加害者が加入している保険会社に連絡してもらうように依頼しましょう。

自身が加入している保険会社に連絡する際は、使える保険をあわせて確認することをおすすめします。

交通事故に遭ったとき、状況によっては「人身傷害補償保険」「車両保険」「弁護士費用特約」といった被害者自身の保険も利用することになるからです。

(7)たとえケガがなくても病院で診察を受ける【重要】

交通事故の直後の対処がひととおり終わったら、必ず病院で診察を受けてください。

ケガがないように思える場合や、病院に行く必要がないほど軽傷に思える場合も、念のため受診しておくことを強くおすすめします。

交通事故後は興奮状態にあり、ケガや痛みに気づかないことがあるためです。
また、交通事故によるケガは、当初は軽傷に思えても、少しずつ症状が悪化していくこともあります。

交通事故後すぐに医師に診てもらっておけば、ケガの悪化を防げる可能性があるので、必ず病院で医師の診察を受けるようにしましょう。

また、交通事故の発生からしばらく経ったあとに受診した場合、ケガと交通事故との因果関係を疑われ、補償を受けられない可能性もあるので、注意が必要です。

治療を開始してから解決までの対応

次に、交通事故の治療を開始してから、示談金(賠償金)を受け取って解決となるまでの対応を解説します。

交通事故の解決までの流れは以下のとおりです。

事故発生から示談金回収までの流れ
  1. 入通院治療を行う
  2. 後遺症が残ったら後遺障害等級認定を受ける
  3. 示談交渉で解決を目指す
  4. 示談不成立ならADRや裁判で解決を目指す

それぞれの項目で具体的にどのようなことを行うのか、詳しく解説していきます。

(1)入通院治療を行う|治療費を支払うのは誰?

まずは、交通事故によるケガが「完治」または「症状固定」と医師に判断されるまで、治療を行いましょう。

交通事故の治療については、医師の指示に従うことが大切です。
自己判断で治療をやめたり、通院頻度を下げたりすると、示談金の減額につながるおそれがあります。

また、治療は基本的に病院で受けるようにしましょう。
もし、整骨院で治療を受けたい場合は、事前に医師の承諾を得る必要があります。

交通事故で整骨院を受ける際の流れや注意点については、『交通事故で整骨院に通院する際の注意点』の記事を参考にしてみてください。

交通事故の治療費を支払うのは誰?

交通事故によるケガの治療費は、基本的に加害者側が負担することになるでしょう。
治療費が支払われる方法には、以下の2通りがあります。

  • 加害者側が病院に直接治療費を支払う
  • 被害者が一旦治療費を立て替え、治療終了後に加害者側に請求する

加害者が任意保険に加入している場合、加害者側の任意保険会社が病院に直接治療費を支払うことが多いです。
これを「任意一括対応」と言います。

加害者側の任意保険会社の方針で任意一括対応を拒否された場合や、加害者が任意保険に入っていない場合は、被害者が一旦治療費を立て替え、治療終了後に請求することになるでしょう。

任意一括対応の仕組みや、任意一括対応を拒否されるケースについては、『交通事故の任意一括対応とは?注意点や拒否・打ち切りへの対処法も解説』の記事で解説しています。

(2)後遺症が残ったら後遺障害等級認定を受ける

交通事故で受けたケガの治療を続けても、残念ながら後遺症が残ってしまうことがあります。

治療を続けても症状の改善が見込めない状態である「症状固定」と判断されたら、後遺障害等級認定の申請を行いましょう。

後遺障害等級認定とは、交通事故の後遺症が、第1級から第14級まである「後遺障害等級」に認められることを言います。

後遺障害等級の認定を受ければ、「後遺障害慰謝料」や「後遺障害逸失利益」といった新たな示談金の費目が請求できるようになります。

どのような症状が後遺障害等級に認定されるかについては、『後遺障害等級の一覧表』の記事をご確認ください。

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後遺障害等級認定の申請で気をつけるポイントは?

後遺障害等級は、申請すれば必ず認定されるものではありません。

後遺障害等級認定の審査は書面で行われます。
よって、適切な後遺障害等級に認定されるためには、提出書類を精査し、認定されやすくなるための工夫をする必要があるのです。

後遺障害等級認定の申請をする際は、交通事故に精通した弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

交通事故に精通した弁護士であれば、後遺障害に関する専門知識やこれまでの認定例をもとに、提出書類にどのような工夫をすればよいのか判断してくれるでしょう。

その結果、被害者自身で後遺障害等級認定の申請をするよりも認定率が上がるのです。

後遺障害等級認定の申請方法や、なぜ申請を弁護士に任せた方がよいかについては、関連記事で詳しく解説しています。
交通事故で後遺症が残ってしまった方は、ぜひあわせてご確認ください。

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(3)示談交渉で解決を目指す

交通事故で負ったケガが完治するか、後遺障害等級認定の申請結果が出るかしたら、交通事故によって生じたすべての損害が確定します。

交通事故によって生じたすべての損害が確定したら、加害者側と損害に対する賠償金を決めていきましょう。

交通事故の賠償金は、加害者側と裁判外で話し合う「示談交渉」で決まることが多いです。

示談交渉を重ね、被害者側と加害者側の双方が示談の内容に合意したら、示談成立となり賠償金が支払われます。
このとき支払われる賠償金は、示談で決まったことから「示談金」と呼ばれることも多いです。

示談交渉は示談金額を決める非常に重要なフェーズです。
示談交渉の注意点などは、次章で詳しく解説します。

(4)示談不成立ならADRや裁判で解決を目指す

被害者側と加害者側の双方が主張を譲らず、示談不成立となった場合は、以下の手段で交通事故の解決を目指すことになるでしょう。

  • 裁判外紛争解決手続き(ADR)
  • 民事調停
  • 民事裁判

ただし、上記の方法は、いずれも示談より解決までの期間が長くなることが予想されます。
また、民事調停や民事裁判については、解決にあたって費用がかかることもデメリットになるでしょう。

示談交渉でなかなか合意に至れない場合は、上記の方法をとるのもよいですが、弁護士に示談交渉を依頼することも選択肢のひとつになります。

被害者が弁護士を立てることによって、加害者側の態度が軟化し、早期かつ被害者にとって有利な条件で示談成立となることは珍しくありません。

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備考|被害者が亡くなった場合の遺族の対応

ここで、残念ながら被害者が亡くなってしまった場合の対応についても確認していきます。

死亡事故の場合に遺族がする必要がある対応は、以下のとおりです。

  1. 通夜や葬儀における加害者への対応
  2. 警察や検察による取調べへの協力
  3. 刑事裁判への参加
  4. 相続人の決定
  5. 加害者側との示談交渉

それぞれの対応の具体的な方法を確認していきます。

(1)通夜や葬儀における加害者への対応

死亡事故の場合、加害者や加害者の代理人が通夜や葬儀への参列を申し出てくることが考えられます。

加害者側の参列を望まない場合は、その旨を伝えるようにしましょう。

また、加害者側が通夜や葬儀に参列する場合は、香典を受け取るかどうかも事前に検討しておきましょう。

香典を受け取るのであれば、香典は慰謝料や賠償金とは別物であることを加害者側に確認することが重要です。

加害者側が慰謝料や賠償金の前払いのつもりで香典を用意していた場合、のちの示談交渉でもめる可能性があるためです。

(2)警察や検察による取調べへの協力

死亡事故では、事故現場に遺族が居合わせていなくても、警察や検察による取調べに協力する場合があります。

取り調べで主に尋ねられるのは、生前の被害者の様子や、加害者に対する処罰感情です。

警察や検察は、遺族の話をもとに、裁判や示談交渉で重要な証拠となる書類を作成します。

亡くなった被害者について話すのは辛いと思われますが、取調べにはできるだけ協力することが望ましいです。

(3)刑事裁判への参加

死亡事故では、被害者の遺族は「被害者参加制度」を使って刑事裁判に参加できます。

刑事裁判に参加すれば、裁判所に対して意見を述べたり、証人や被告人に質問をしたりすることが可能です。

被害者参加制度を利用する場合は、検察に申し出て裁判所からの許可を得る必要があります。

(4)相続人の決定

死亡事故の損害賠償請求は、遺族から選ばれた「相続人」が行います。

よって、少なくとも加害者側との示談交渉を開始する前には、相続人を決定しておく必要があるのです。

誰が相続人になるかは、被害者の家族構成によって異なります。

交通事故における遺産分割について解説した記事『交通事故の慰謝料|遺産分割できる相続人は?相続分はどれくらい?』では、相続人の決め方や、遺産分割の例を紹介しています。
相続人を決める際は、ぜひあわせて参考にしてください。

(5)加害者側との示談交渉

死亡事故では、相続人が被害者に代わって示談交渉を行います。

示談交渉は葬儀の終了後から始められます。
しかし、一般的には四十九日を過ぎたころから始めることが多いでしょう。

死亡事故の場合、加害者側が請求できる賠償金は、主に以下のとおりです。

  • 死亡慰謝料
    亡くなった被害者本人および遺族の精神的苦痛の補償
  • 死亡逸失利益
    亡くならなければ被害者が将来的に得ていたであろう収入の補償
  • 葬祭関連費
    通夜や葬儀、位牌などの費用

※交通事故の発生から亡くなるまでに一定期間の治療を受けていた場合は、治療に関する補償も請求できる。

死亡事故の場合、示談金が高額になりやすいため、示談交渉で加害者側と争いになる可能性が高いです。
適切な示談金を速やかに受け取るためには、弁護士に依頼することをおすすめします。

死亡事故の慰謝料の相場や、遺族が受け取れる賠償金をさらに知りたい方は、関連記事『死亡事故で慰謝料はいくらもらえる?慰謝料相場と遺族がもらえる損害賠償金を解説』をあわせてご覧ください。

示談金額を左右する!示談交渉のポイント

この章では、交通事故の解決までに必要な対応のうち、とくに重要な示談交渉について掘り下げて解説していきます。

示談交渉は、交通事故の賠償金(示談金)を決める大切なフェーズです。
示談金をもれなく受け取るためにも、示談交渉のポイントをおさえておきましょう。

示談交渉とは?

示談とは、民事上の争いについて当事者同士が裁判外で話し合い、合意することで解決を図る手続きのことを言います。

つまり、交通事故における示談交渉とは、「交通事故で生じた損害賠償問題の解決を図るため、被害者側と加害者側が話し合うこと」を言うのです。

示談交渉は、基本的に次のような流れで進められます。

  1. 交通事故で生じたすべての損害が確定する
  2. 加害者側の任意保険会社から示談案が送られてくる
    (送られてこなければ、加害者側の任意保険会社に督促する)
  3. 示談書の内容を確認する
    (示談案を受け入れる場合は、示談書を作成して示談成立となる)
  4. 電話、メール、FAXなどで交渉を重ねる
  5. 双方が示談内容に合意する
  6. 加害者側の任意保険会社から示談書が送られてくる
  7. 示談書の内容を確認し、問題なければ署名・捺印して返送する
  8. 加害者側の任意保険会社における事務手続きが終われば、示談金が振り込まれる
    (示談書を返送してから、2週間程度かかることが多い)

示談金として請求できる費目は?

示談交渉の際、示談金として加害者側に請求できる費目は以下のとおりです。

  • 傷害に関する費目
    • 入通院慰謝料
      ケガを負った精神的苦痛の補償
    • 休業損害
      交通事故の影響で仕事を休んだことにより減った収入の補償
    • 治療関係費
      診察代、手術代、薬代など、ケガの治療に要した費用の補償
    • 入院雑費
      入院中のガーゼ代、電話代など、入院中に要した費用の補償
    • 付き添い看護費
      入通院に近親者や職業付添人が付き添った費用の補償
    • 通院交通費
    • 診断書作成費 など
  • 後遺障害に関する費目
    • 後遺障害慰謝料
      後遺障害を負った精神的苦痛の補償
    • 後遺障害逸失利益
      後遺障害を負ったため減った将来的な収入の補償
  • 物損に関する費目
    • 車両の修理費 など

※死亡に関する費目を除く

示談金のうち、慰謝料と逸失利益の相場を知りたい場合は、以下の計算機をご利用ください。
入通院期間や年齢、事故前の収入などを入力するだけで、簡単に相場がわかります。

また、交通事故の示談金の相場は『交通事故の示談金相場は?』の記事でも解説しています。
示談金の相場がわかる事例集や、示談金の計算方法も解説しているので、ぜひご一読ください。

示談金を増額させる方法は?

交通事故の示談金を増額させる方法として、弁護士を立てることが挙げられます。

示談金の算定基準は以下のとおり複数あり、弁護士が用いる基準で計算したとき、最も示談金が高くなるからです。

示談金の3つの算定基準

自賠責基準自賠責保険会社が用いる算定基準。
被害者に補償される最低限の金額となる。
任意保険基準任意保険会社が用いる算定基準。
各保険会社が独自に設定しており、公開されていない。
自賠責基準とほぼ同額か、自賠責基準よりやや高額となる。
弁護士基準
(裁判基準)
弁護士や裁判所が用いる計算基準。
過去の判例に基づいて設定されており、法的にも適正。
3つの基準で最も高額となる。
慰謝料金額相場の3基準比較

加害者側の任意保険会社が提示する示談金は、多くの場合、任意保険基準で計算されています。
提示された示談金を弁護士基準で計算し直すと、2倍~3倍の金額になることも多いのです。

ただし、弁護士基準で計算した示談金を支払うよう、被害者自身が主張しても、加害者側の任意保険会社が認めることはほとんどありません。

「同じような事故でこれくらいの金額になっている」「この金額が支払える上限である」などと反論されてしまい、合意に至れないことが大半なのです。

しかし、弁護士を立てれば、加害者側の任意保険会社は態度を軟化させます。
その背景には、弁護士を立てられたことにより裁判への発展を危惧するため、保険会社の内部ルールで弁護士を立てられたら譲歩すると決まっているため、といった事情があります。

交通事故の示談金を最大限に受け取りたい場合は、弁護士に依頼することを検討してみるとよいでしょう。

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示談成立前にお金を受け取りたい場合は?

交通事故の示談金は、基本的に示談成立後に支払われます。
よって、示談交渉が長引くと、示談金の受け取りが遠のいてしまいます。

示談成立前にお金が必要な場合は、加害者側の自賠責保険会社に「被害者請求」をするとよいでしょう。

交通事故の損害は、一定の金額までは自賠責保険会社が補償し、その金額を超えた分は任意保険会社が補償することになっています。

通常は、任意保険会社が自賠責保険会社の分も一括して被害者に支払い、あとから自賠責保険会社に請求するという方法を取ります。

被害者請求をすれば、示談金のうち自賠責保険会社が支払う分を、示談成立前に受け取れるのです。

被害者請求の仕組み

被害者請求の手続きや、受け取れる金額については、『交通事故の被害者請求とは?』の記事でご確認ください。

交通事故の被害者がやってはいけない対応

交通事故の被害者になったとき、以下の対応をするのは避けた方がよいでしょう。

  • 交通事故の直後に示談してはいけない
  • ケガをしたのに物損事故として届け出てはいけない
  • 自己判断で治療をやめたり通院頻度を下げたりしてはいけない
  • 損害賠償請求権の時効を忘れてはいけない
  • 保険会社の提案に安易に応じてはいけない【重要】

それぞれの対応について、なぜやってはいけないのか、詳しく解説していきます。

交通事故の直後に示談してはいけない

交通事故の直後に示談してしまうと、あとから新しい損害が発覚しても加害者側に請求できない状況に陥りかねません。

原則的に、示談は1度成立したら撤回したり再交渉したりすることができません。

よって、交通事故から時間が経ってから痛みが出てきて入通院するようになったり、後遺症が残ったりしても、1度示談してしまっていたら追加で損害賠償を受け取るのが極めて困難になるのです。

示談は、交通事故で生じたすべての損害が確定してから行うようにしましょう。
交通事故で生じたすべての損害が確定するタイミングは以下のとおりです。

交通事故で生じた損害が確定するタイミング

事故の種類損害が確定するタイミング
物損事故修理費用などの見積もりが終わってから
人身事故
(後遺障害なし)
治療が終わってから
人身事故
(後遺障害あり)
後遺障害等級認定の結果が出てから
死亡事故四十九日などの法要が終わってから

ケガをしたのに物損事故として届け出てはいけない

警察に届け出る際、加害者側から物損事故として処理するよう頼まれるケースがあります。
しかし、ケガをしているのであれば、人身事故として届け出るようにしましょう。

ケガがあるのに物損事故として届け出てしまうと、受け取れる示談金が大幅に減額されてしまう可能性が高くなるからです。

物損事故として届け出た場合、書面上では人的被害が発生していないことになります。
よって、治療費や慰謝料が請求できなくなる可能性があるのです。

人身事故の賠償金について解説した記事『交通事故|人身事故の賠償金相場と計算方法!物損事故との違いは何?』では、物損事故として届け出ることで生じるリスクについても詳しく紹介しています。

物損事故から人身事故への切り替えは可能?

もし、加害者に頼まれて物損事故として届け出てしまったり、交通事故からしばらく経ってからケガが発覚した場合は、物損事故から人身事故に切り替えることが可能です。

物損事故から人身事故へ切り替えるためには、病院で診断書を作成してもらい、警察へ提出するようにしましょう。

なお、診断書の提出は交通事故の発生から10日以内に行うのが望ましいです。

交通事故から時間が経ってから診断書を提出すると、ケガと交通事故の関連性を疑われ、切り替えを拒否される可能性があるためです。

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自己判断で治療をやめたり通院頻度を下げたりしてはいけない

交通事故で負ったケガの治療をしているとき、自己判断で治療をやめたり通院頻度を下げたりすると、本来なら治るはずのケガが治らないことがあります。

また、自己判断で治療をやめたり、通院頻度を下げたりすることで、示談金が減額される可能性があることにも注意しなければなりません。

交通事故の示談金のうち、入通院慰謝料については、入通院の期間や頻度をもとに金額が算定されます。

自己判断で治療をやめることで、入通院期間が本来よりも短くなってしまうと、その分入通院慰謝料は減ってしまうのです。

また、通院頻度があまりにも低いと、加害者側に「すでに完治しているのではないか」ととらえられてしまい、実際に通院した期間よりも短い期間で入通院慰謝料を計算されてしまうことがあります。

交通事故で負ったケガの治療は、医師の指示に従い、完治または症状固定と判断されるまで継続するようにしましょう。

損害賠償請求権の時効を忘れてはいけない

交通事故の損害賠償請求権には、消滅時効が存在します。

交通事故の被害に遭ったら、損害賠償請求権の時効が完成するまでに示談を成立させる必要があるのです。

損害賠償請求権の時効は、以下のとおりです。

損害賠償請求権の消滅時効
(2017年4月1日以降に発生した事故の場合)

損害の例時効期間
物損に関する損害事故発生日の翌日から3年
人身に関する損害
(後遺障害による損害以外)
事故発生日の翌日から5年
人身に関する損害
(後遺障害による損害)
症状固定日の翌日から5年
人身に関する損害
(死亡による損害)
死亡した日の翌日から5年
加害者不明の損害事故発生日の翌日から20年※

※2017年3月31日以前に発生した事故にも適用される可能性がある。
 また、途中で加害者が判明した場合は、判明した日の翌日を起算日とし、物損部分は3年、人身部分は5年で時効となる。

なお、保険会社に対する保険金の請求は、上記の表に関わらず起算日から3年で時効が完成します。

時効の成立が近づいている場合は、時効の完成を阻止する措置を行う必要があります。

交通事故の示談の期限や、時効の完成を阻止する方法については、『交通事故示談は期限(時効)までに成立を!期限の長さや時効の延長方法を解説』の記事もあわせてご覧ください。

保険会社の提案に安易に応じてはいけない【重要】

交通事故の被害にあったとき、加害者側の任意保険会社の提案に安易に応じるのはとくに避けた方がよいでしょう。

加害者側の任意保険会社は、支払う金額を下げるために、被害者にとって不利な内容を提案してくることがあります。
具体的には、以下のような内容が想定されます。

ケガの治療中

  • 治療費支払いの打ち切りや、症状固定を提案してくる

示談交渉中

  • 示談金について、相場より低い金額を提案してくる
  • 示談金について、本来なら請求できる費目を除いて提案してくる
  • 過失割合について、被害者にとって不利な内容を提案してくる など

加害者側の任意保険会社から何らかの提案があった場合は、即答せず、慎重に検討してから回答するようにしましょう。

被害者自身では判断が難しい場合は、各弁護士事務所が実施している無料法律相談を利用し、弁護士のアドバイスを受けることをおすすめします。

交通事故で加害者側の任意保険会社とトラブルになる状況や、その解決方法については、『交通事故で相手方保険会社とのトラブルを解決する方法!状況別の対応策』の記事で詳しく解説しています。

交通事故の被害者に弁護士への相談をおすすめしたい3つの理由

交通事故の被害者になってしまったときは、1度弁護士に相談しておくことをおすすめします。
弁護士への相談をおすすめする理由は、以下の3つです。

  • 示談金の大幅な増額が見込める
  • 示談交渉や各種手続きを一任できる
  • 交通事故の速やかな解決が期待できる

それぞれの理由について、具体的に解説していきます。

また、弁護士に依頼するメリットについては『交通事故を弁護士に依頼するメリット8選』の記事でも詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

理由(1)示談金の大幅な増額が見込める

先述のとおり、示談交渉時に加害者側の任意保険会社が提示してくる金額は、相場よりも大幅に低いことが多いです。

加害者側の任意保険会社の基準で計算した示談金は、弁護士の基準で計算し直せば、2倍~3倍に増額されることが珍しくないのです。

ここで、アトム法律事務所が受任した事例から、示談金が大幅に増額された事例を3つご紹介します。

増額事例(1)むちうちで後遺障害なし

傷病名頸椎捻挫
後遺障害等級非該当
当初の提示額67万円
最終的な回収額182万円
(115万円の増額)

増額事例(2)骨折で後遺障害11級

傷病名12胸骨圧迫骨折
後遺障害等級11級7号
当初の提示額468万円
最終的な回収額960万円
(492万円の増額)

増額事例(3)脳挫傷などで後遺障害1級

傷病名脳挫傷、くも膜下出血、頭蓋骨骨折
後遺障害等級1級1号
当初の提示額1,193万円
最終的な回収額3,500万円
(2,307万円の増額)

被害者自身が増額交渉をしても、加害者側の任意保険会社が受け入れることはほぼありません。

「この金額が上限である」と拒否されたり、専門用語を多用してはぐらかされたり、微々たる金額しか上乗せしてもらえなかったりすることがほとんどなのです。

しかし、弁護士が示談交渉を行えば、加害者側の任意保険会社は態度を軟化させます。

交通事故の示談金を最大限に受け取り、被害の回復を図りたいならば、1度弁護士に相談しておくことをおすすめします。

理由(2)示談交渉や各種手続きを一任できる

交通事故の被害者になったら、治療や日常生活への復帰と並行して、以下のように多くの手続きを行わなければなりません。

  • 交通事故の発生から解決に至るまで加害者側の任意保険会社とのやり取り
  • 治療費打ち切りなどの対応
  • 休業損害の申請
  • 後遺障害等級認定の申請
    • 後遺障害等級認定に必要な書類の収集
    • 後遺障害等級認定にあたっての必要な検査の検討
    • 書類のブラッシュアップにあたっての主治医との交渉
    • 認定結果に納得がいかなかったときの異議申し立て
  • 加害者側の自賠責保険会社への被害者請求
  • 示談金の算定
  • 示談交渉で過失割合を主張するための証拠の収集
  • 示談交渉
  • 示談交渉が進まないときのADR、調停、裁判の検討

弁護士に依頼すれば、上記のような交通事故の損害賠償に関する手続きを一任できます。

被害者の方は、各種手続きの手間やストレスから解放され、ケガの治療や日常生活への復帰に専念することができるのです。

とくに示談交渉では、加害者側の任意保険会社が被害者の主張を拒否したり、高圧的な言動を取ったりするケースが散見されます。

加害者側との任意保険会社とのやり取りに大きなストレスを覚え、弁護士に相談される相談者の方は決して珍しくありません。

交通事故の紛争処理に関するストレスを減らし、日常生活への速やかな復帰を目指すためには、弁護士への相談が有効なのです。

理由(3)交通事故の早期解決が期待できる

弁護士に依頼すれば、交通事故の早期解決も期待できるでしょう。

後遺障害等級認定や被害者請求などの申請、示談金の算定や根拠の収集、示談交渉といった手続きは、被害者自身で行おうとするとどうしても時間がかかってしまいます。

交通事故に多く携わってきた弁護士であれば、各種手続きや加害者側とのやり取りを効率的かつ適切に行えるのです。

また、加害者側の任意保険会社の態度が軟化し、示談交渉がスムーズに進みやすくなるのも、早期解決が期待できる理由の1つと言えるでしょう。

交通事故を早期解決することで、示談金を早めに受け取ることができます。

「交通事故に関するもろもろのストレスや不安から一刻も早く解放されたい」「示談金を早く受け取りたい」と思われる方は、弁護士に相談してみるとよいでしょう。

【弁護士費用が不安な方へ】費用倒れを防ぐ方法とは?

「弁護士への相談を考えているが、弁護士費用が不安」という方には、以下の方法をおすすめします。

  • 「弁護士費用特約」を利用する
  • 各弁護士事務所が実施している無料法律相談で見積もりをとる

「弁護士費用特約」を利用する

弁護士費用特約とは、保険会社が弁護士費用を負担してくれる特約のことです。

弁護士費用特約を利用すれば、弁護士費用の合計300万円まで、相談料の合計10万円までを、保険会社が負担してくれます。

示談金が最終的に数千万円にのぼらない限り、弁護士費用が300万円を超えることはほとんどありません。
よって、弁護士費用特約を使えば、弁護士費用が実質無料になると言えるのです。

弁護士費用特約とは弁護士費用を保険会社が負担してくれる特約のこと

弁護士費用特約は、自動車保険だけではなく、火災保険やクレジットカードなどにも付帯されていることがあります。

また、被害者自身だけではなく、被害者の家族の保険に付帯されている場合も使用できることが多いです。

弁護士費用が不安なときは、まず保険契約状況を確認してみることをおすすめします。

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各弁護士事務所が実施している無料法律相談で見積もりをとる

弁護士費用特約が利用できない場合は、各弁護士事務所が実施している無料法律相談を活用するとよいでしょう。

無料相談では、弁護士費用や、弁護士に依頼することで示談金がどれくらい増額するかの見積もりを作ってもらえます。

弁護士に依頼したことで得られる利益を弁護士費用が上回る「費用倒れ」にならないか、事前に確認することができるのです。

弁護士費用をさらに抑えたい場合は、複数の弁護士事務所から見積もりをとることも検討するとよいでしょう。

電話やメール、LINEで無料相談できる弁護士事務所もあります。
交通事故に関する悩み事を相談するついでに、弁護士費用の見積もりをとってみるとよいでしょう。

交通事故の被害者になったら一度弁護士に相談しておこう

交通事故を弁護士に依頼すれば、示談金の増額、示談交渉や各種手続きの代理やサポート、交通事故の早期解決などが期待できます。

加害者側との示談が1度成立すると、原則的に撤回することはできません。

あとから「本来ならもっと多くの示談金をもらえたはずなのに…」と悔やむことを防ぐためにも、交通事故の被害者になったら、1度弁護士に相談しておくことをおすすめします。

アトム法律事務所では、電話・LINEによる無料相談を実施しています。

スキマ時間で相談できるので、治療や日常生活への復帰に忙しい方も気軽にご利用ください。
もちろん、無料相談のみのご利用でも大丈夫です。

相談予約は24時間365日受け付けています。
まずはお気軽にお問合せください。

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