交通事故被害者がすべき対応の流れ|示談や慰謝料も解説
交通事故が起きて被害者になってしまった方は、今後何をすればいいのか、何をしてはいけないのかといった不安を抱えておられるのではないでしょうか。
交通事故の被害者となった場合に対応を誤ると、本来得られるはずの損害賠償金が得られなくなる恐れがあるため、注意が必要です。
この記事では、交通事故の発生から解決までの間に被害者がすべき対応を解説しています。
交通事故被害者がすべきでない対応や、使うと便利な保険についても紹介しているので、参考にしてみてください。
目次
交通事故の被害者がすべき対応の流れ一覧
事故発生から示談締結までに交通事故の被害者がすべき対応の流れは以下の通りです。
交通事故被害者がすべき対応の流れ
- 現場の安全を確保し、警察や保険会社に連絡
- 加害者と情報交換
- 警察の捜査に協力
- ケガの有無に関わらず病院を受診
- 完治か症状固定まで治療を続ける
- 後遺症が残ったら後遺障害等級認定
- 加害者側から届く示談案を確認
- 納得いかない点は示談交渉
交通事故に遭ったら、適切な対応をしていかなければのちに示談交渉で悪影響が出ることがあります。
それぞれのフェーズについて、「事故直後」「治療」「後遺障害認定」「示談交渉」に分けて詳しく解説するので、確認してみてください。
被害者向け交通事故の対応(1)事故直後
事故直後に交通事故の被害者がすべき事故対応は、以下のとおりです。
- 現場の安全を確保し、警察や保険会社に連絡
- 加害者と情報交換
- 警察の捜査に協力
それぞれの対応について、注意点やポイントを解説します。
現場の安全を確保し、警察や保険会社に連絡
事故直後には、現場の安全確保と警察・保険会社への連絡をします。
現場の安全確保の方法
事故が発生したら、事故現場ではケガ人の救護を最優先して現場の安全を確保しましょう。
ケガ人の意識を確認したり移動させたりする場合は、身体や頭部をなるべく揺さぶらないよう気をつけてください。
また、ケガ人の意識がない場合や頭部・頸部に出血やしびれがある場合は動かさず、発煙筒などで後続車に注意を促しましょう。
安全確保のため事故車などを動かす場合は、可能であれば事故時の状態を写真に残しておくことが望ましいです。
ケガ人の救護や現場の安全確保の方法は、『交通事故にあったら初期対応の手順は?事故を起こしたらまずすること』の記事で詳しく解説しています。
警察・保険会社への連絡の方法
ケガ人や現場の安全が確保できたら、警察に110番通報します。
事故現場の場所やケガ人の人数など、基本的には警察の方から質問されるので冷静に答えてください。
なお、警察への連絡は以下の点から必須です。
- 交通事故を警察に連絡することは道路交通法上の義務であり、怠ると3年以下の懲役または5万円以下の罰金に処されることがある
- 交通事故を警察に連絡しないと、「交通事故証明書」が発行されず、損害賠償請求・保険金請求に支障が出ることがある
- 交通事故を警察に連絡しないと、事故現場の捜査結果をまとめた書類が作成されず、示談交渉で不利になることがある
警察への連絡に関しては、『交通事故後は警察への報告義務がある|伝える内容や連絡後の流れ』にてご確認ください。
警察への連絡が終わったら、自身の保険会社にも連絡を入れておきましょう。
ただし、警察が到着するまでの間に、警察側から折り返し電話がかかってくることがあります。
保険会社へはアプリなどで連絡を入れるか、警察が到着してから連絡を入れることがおすすめです。
加害者と情報交換
警察に連絡したら、警察が到着するまでの間に加害者側と連絡先などを交換しましょう。交換すべき情報は以下の通りです。
- 氏名
- 住所
- 電話番号
- メールアドレス
- 保険会社名
- 保険証券番号
加害者側に自身の情報を教えるのが怖いと感じる人もいるかもしれませんが、どのみちその後の手続きの中で、被害者側の情報は加害者側に伝わります。
加害者と解散後に連絡がつかなくなることを防ぐためにも、情報交換はしておきましょう。
加害者との情報交換に不安がある場合は、『交通事故後は当事者同士で連絡を取る?電話の注意点やトラブル対処法も解説』の記事をご覧ください。
住所を教えても安全を確保するための方法も紹介しています。
警察の捜査に協力
事故現場に警察が到着したら、実況見分捜査や聞き取り捜査が行われます。
- 実況見分捜査
関係者立ち会いのもと、事故現場を捜査すること。基本的に人身事故の場合のみ行われる。 - 聞き取り捜査
事故時の状況について、事故当事者や目撃者などから聞き取る捜査のこと。
捜査の結果は、実況見分調書や供述調書にまとめられます。のちの示談交渉で事故状況を証明する資料にもなりえるので、捜査にはできる限り協力しましょう。
なお、被害者や加害者のケガの状態などによっては、こうした捜査は後日行われることもあります。
実況見分捜査の流れや内容、所要時間などは、『実況見分の流れや注意点!聞かれる内容や過失割合への影響』にて解説しています。
被害者向け交通事故の対応(2)治療
事故直後の対応が終わったら、治療をします。
治療をどのように受けるかは今後の示談交渉にも影響することがあるので、ポイントをしっかり確認しておきましょう。
ケガの有無に関わらずすぐに受診する
交通事故後、ケガがないように思えても、念のために病院を受診しましょう。
「かすり傷程度だから」「どこもにも痛みを感じないから」と、自己判断で病院を受診しない方も多いですが、後から重大なケガが発覚することもあります。
また、交通事故から期間が経過した後にケガに気づいて受診した場合、交通事故とケガとの間に因果関係がなかったと疑われ治療費などの請求が拒否される恐れがあります。
こうした点からも、早期の受診は非常に重要です。
病院の何科を受診すべきかについては『交通事故で病院の何科をいつまでに受診すべき?』の記事が参考になります。
治療は完治か症状固定まで続ける
治療は、医師から完治または症状固定の診断を受けるまで続けましょう。
症状固定とは、「これ以上治療を続けても、大幅な回復は見込めない」と判断されることです。つまり、後遺症が残ったと判断されることだといえます。
症状固定と判断された場合、このあと解説する「後遺障害認定」を受けることになります。
これは、後遺障害関連の慰謝料・賠償金を請求するために必要です。
しかし、症状固定と診断される前に自己判断で治療を終えてしまうと、「きちんと最後まで治療していれば完治していた可能性がある」として後遺障害認定されないリスクが高まります。
治療は必ず最後まで受けましょう。
被害者向け交通事故の対応(3)後遺障害認定
交通事故で後遺症が残り、症状固定の診断を受けた場合は、後遺障害認定の申請をしましょう。
後遺障害認定の審査を経て、後遺障害に対して1〜14級の後遺障害等級が認定されれば、後遺障害慰謝料と逸失利益を請求できるようになります。
- 後遺障害慰謝料
後遺障害が残った精神的苦痛に対する補償。例えばむちうちで後遺障害14級に認定された場合、過去の判例に基づく相場は110万円。 - 逸失利益
後遺障害により労働能力が低下し、減ってしまう生涯収入への補償。
後遺障害認定の審査を受けるためには、必要書類を審査機関に提出しなければなりません。
この際、加害者側の自賠責保険会社を経由する「被害者請求」か、加害者側の任意保険会社を経由する「事前認定」のどちらかを選択します。
それぞれで用意すべき書類やメリット・デメリットが異なるため、詳しくは関連記事『交通事故で後遺障害を申請する』をご確認ください。
後遺障害慰謝料・逸失利益を知りたい場合はこちら
被害者向け交通事故の対応(4)示談交渉
ケガが完治して治療が終了したり、後遺症が残り後遺障害認定の結果が出たりしたら、加害者側との示談交渉に入ります。
以下の流れに沿って、ポイントを見ていきましょう。
- 加害者側から届く示談案を確認
- 納得いかない点は示談交渉
加害者側から届く示談案を確認
ケガが完治、または後遺障害認定の結果が出たら、加害者側が示談金・過失割合を記載した示談案を提示してくるでしょう。
示談案を確認し、問題なければそのまま合意して示談を成立させることも可能です。しかし、多くの場合示談案には交渉すべきポイントもあるので、示談金額や過失割合は正しいかよく確認しましょう。
慰謝料の計算機や示談交渉時の注意点は、本記事内「交通事故の被害者がもらえる慰謝料や保険金は?」で解説します。
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なお、弁護士への法律相談では示談案の内容は適切かも確認できます。
納得いかない点は示談交渉
加害者側の示談案に問題がある場合は、交渉に入ります。示談交渉の基本的なポイントを見ておきましょう。
- 交渉相手
- 加害者が任意保険に入っていれば加害者側の任意保険担当者
※加害者側の任意保険会社が弁護士を立てることもある - 加害者が任意保険未加入ならば加害者本人または加害者が立てた弁護士
- 加害者が任意保険に入っていれば加害者側の任意保険担当者
- 交渉手段
- 電話やFAXなどが一般的で、よほど大きな事故の場合を除き、対面交渉はあまりない
- 示談の時効
- 示談自体には時効はないが、加害者に損害賠償請求できる権利には消滅時効があるため、それまでに示談する必要がある
損害賠償請求権の消滅時効の期間は、次の通りです。
損害の例 | 時効成立期間 |
---|---|
物損に関する損害 | 事故発生日の翌日から3年 |
人身に関する損害 (後遺障害による損害以外) | 事故発生日の翌日から5年 |
人身に関する損害 (後遺障害による損害) | 症状固定日の翌日から5年 |
人身に関する損害 (死亡による損害) | 死亡した日の翌日から5年 |
加害者不明の損害 | 事故発生日の翌日から20年※ |
※2017年3月31日以前に発生した事故にも適用される可能性がある。
※途中で加害者が判明した場合は、判明した日の翌日を起算日とし、物損部分は3年、人身部分は5年で時効となる。
※保険会社に対する保険金の請求は、上記の表に関わらず起算日から3年で時効が完成する
示談の具体的な手順については『交通事故の示談の流れと手順!示談交渉が進まない時の対処法』の記事で詳しく解説しています。
被害者が亡くなった場合の遺族の対応
被害者が亡くなった死亡事故の場合は、事故後の対応をご遺族がしなければなりません。死亡事故の場合にご遺族がする必要がある対応は、以下のとおりです。
- 通夜や葬儀における加害者への対応
- 加害者に参列してほしくなければ、断っても問題ない
- 香典を受け取る場合は、慰謝料とは別物であることを明確に確認しておく
- 警察や検察による取調べへの協力
- 被害者の生前の様子(注意深い人だった、ここを通るときはいつも左右をよく確認していた、など)や加害者への処罰感情を述べる
- 刑事裁判への参加
- 検察に申し出て裁判所から許可が下りれば、被害者参加制度で出廷し、裁判官に意見を述べたり、加害者・証人に質問したりできる
- 相続人の決定
- 示談交渉は相続人が代わりに行う(弁護士に任せることも可能)
- 被害者分の慰謝料・損害賠償金も、相続人間で分割される
- 加害者側との示談交渉
- 一般的には四十九日を過ぎたころに始められる
死亡事故の場合に加害者側に請求する示談金は、次の通りです。
死亡慰謝料 | 亡くなった被害者本人およびご遺族の精神的苦痛の補償 |
死亡逸失利益 | 亡くならなければ被害者が将来的に得ていたであろう収入の補償 |
葬祭関連費 | 通夜や葬儀、位牌などの費用 |
※交通事故の発生から亡くなるまでに一定期間の治療を受けていた場合は、治療に関する補償も請求できる
死亡事故の場合、示談金が高額になりやすいため、示談交渉で加害者側と争いになる可能性が高いです。
大事な家族を亡くした状態で、相手方の対応をするとさらに心労が増します。交渉過程では被害者側にも非があったなど、心無いことをいわれてしまうこともあるでしょう。
また、死亡事故では、被害者の亡くなるタイミングによっては慰謝料に対して相続税がかかる可能性がある点に注意してください。
弁護士を立てると、相手方からの連絡をすべて弁護士に一本化できます。
適切な示談金の受け取りや税金関係への対処だけでなく、ご家族の精神的ストレスを少しでも和らげるためにも、弁護士への依頼を検討しましょう。
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こんな時どうする?交通事故対応でよくあるお困りごと
続いて、交通事故の被害者が事故対応についてよく悩む以下の点について、お答えしていきます。
- 事故現場で加害者が示談を持ちかけてきたら?
- ケガをしているのに物損事故として届け出てしまったら?
- 仕事などの都合で治療をやめたり、頻度を落としたりしたい時は?
- 加害者の示談案の内容は正しいか、どう判断する?
事故現場で加害者が示談を持ちかけてきたら?
事故現場では、示談に応じてはいけません。
事故現場のみならず、交通事故の損害が確定するより前に示談交渉に入るのは避けてください。
原則として、示談は1度成立したら撤回や再交渉はできず、あとから新たな損害が発覚しても、追加の請求はできないからです。
事故の種類 | 損害確定のタイミング |
---|---|
物損事故 | 修理費用などの見積もり後 |
人身事故 (後遺障害なし) | 治療終了後 |
人身事故 (後遺障害あり) | 後遺障害等級認定の結果通知後 |
死亡事故 | 四十九日などの法要後 |
示談は口頭でも成立してしまうので、加害者側から示談を持ちかけられ、その場しのぎでひとまず合意しないようにしましょう。
事故後にその場で示談するリスクや示談を求められた時の対処法は、関連記事『交通事故の示談はその場でしてはいけない』にて詳しく解説しています。
ケガをしているのに物損事故として届け出てしまったら?
ケガをしているのに物損事故として届け出てしまったり、物損事故として届け出た後にケガが発覚したりした場合は、人身事故への切り替え手続きをしましょう。
人身事故への切り替え手続きをしていないと、加害者側から治療費や慰謝料といった人身被害に関する賠償請求を否定されるなど、トラブルが生じるおそれがあるからです。
また、物損扱いでは警察による「実況見分調書」も作成されず、事故状況を示す資料が少なくなります。その結果、示談交渉で不利になることも考えられます。
同様の理由で、もし加害者側や警察から物損事故として届け出るよう言われたとしても、ケガをしているなら人身事故として届け出るようにしてください。
物損事故として届け出ることで生じるリスクについては、人身事故の賠償金について解説した記事『交通事故|人身事故の賠償金相場と計算方法!物損事故との違いは何?』も併せてお読みください。
物損事故を人身事故として届出直す方法
物損事故から人身事故へ切り替えるためには、病院で診断書を作成してもらい、警察へ提出するようにしましょう。
ただし、事故から時間が経ちすぎているとケガと交通事故の因果関係を疑われ、切り替えを拒否される可能性があります。
よって、人身事故への切り替え手続きは交通事故の発生から10日以内におこなうのが望ましいです。
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仕事などの都合で治療をやめたり、頻度を落としたりしたい時は?
どのような事情があっても、原則として医師の指示通りに通院するようにしましょう。
交通事故によるケガの治療では、自己判断で治療をやめたり通院頻度を下げると以下のようなリスクが生じるからです。
- 本来なら治るはずのケガが治らない
- 後遺症が残っても後遺障害認定されず、後遺障害関連の費目を請求できない
- 入通院の期間・頻度をもとに金額が算定される「入通院慰謝料」が低額になったり、減額されたりする
もしやむを得ない事情でどうしても治療頻度を落としたい、治療を終了したいとお悩みであれば、通いやすい病院に変わることも可能です。
また、治療費の関係で通院の継続が厳しい場合は、以下のような対処を行いましょう。
- 加害者側の自賠責保険に治療費等の請求を行う(被害者請求)
- 自身の健康保険を利用して治療費の負担を抑える
- 自身の加入している任意保険から支払いを受ける
治療をやめたい場合の対処法を知りたい方は『交通事故の通院はいつまで?ケガ別のやめるタイミング目安と対処法』の記事を参考にしてみてください。
加害者の示談案の内容は正しいか、どう判断する?
加害者側が提示する示談案の内容は、正しくないことが多いため、まず鵜呑みにしないようにしてください。
そのうえで、適切な示談金額などを確認したい場合は、弁護士にご相談ください。
交通事故慰謝料の計算方法やおおまかな相場はご自身で調べることも可能ですが、実際の相場は事故の個別的な事情に応じて柔軟に変わります。
「インターネットで調べた相場はもっと高かった」という主張では加害者側には聞き入れてもらえないため、専門家である弁護士への相談をおすすめします。
例えばアトム法律事務所では無料電話・LINE相談を行っており、示談案の内容に関するご相談も可能です。
交通事故被害者が知っておきたい慰謝料の仕組み
続いて、交通事故慰謝料に関して、以下の内容を解説していきます。
- 被害者が請求できる慰謝料・示談金一覧
- 交通事故慰謝料の3つの相場と、最も高い相場額を得る方法
- 交通事故被害者が活用すべき保険
被害者が請求できる慰謝料・示談金一覧
交通事故の被害者が請求できる示談金の内訳は、損害の内容により異なります。ここでは、一般的なものを見てみましょう。
- 傷害に関する費目
- 入通院慰謝料
ケガを負った精神的苦痛の補償 - 休業損害
交通事故の影響で仕事を休んだことにより減った収入の補償 - 治療関係費
診察代、手術代、薬代など、ケガの治療に要した費用の補償 - 入院雑費
入院中のガーゼ代、電話代など、入院中に要した費用の補償 - 付き添い看護費
医師の指示により入通院に近親者や職業付添人が付き添った費用の補償 - 通院交通費
- 診断書作成費 など
- 入通院慰謝料
- 後遺障害に関する費目
- 後遺障害慰謝料
後遺障害を負った精神的苦痛の補償 - 後遺障害逸失利益
後遺障害を負ったため減った将来的な収入の補償
- 後遺障害慰謝料
- 物損に関する費目
- 車両の修理費 など
※死亡に関する費目を除く
慰謝料には相場が3種類ある|最も高い相場を得るには
交通事故の慰謝料には、相場が以下の3種類あります。
- 国が定める最低限の基準に基づく相場(自賠責基準)
- 各保険会社が独自に定める基準に基づく相場(任意保険基準)
- 過去の判例に基づき、裁判所や弁護士も用いる基準に基づく相場(弁護士基準)
加害者側の任意保険会社は、自賠責基準や任意保険基準で算出した慰謝料額を提示してきます。
自賠責基準や任意保険基準は弁護士基準よりも大幅に低額なので、示談交渉で弁護士基準に近い金額になるよう交渉しなければなりません。
しかし、加害者側の任意保険会社は日々仕事として示談交渉をしているプロです。簡単には増額交渉に応じません。
また、弁護士基準は本来「裁判を起こした場合に認められうる金額基準」なので、示談交渉時点で被害者が主張しても、受け入れられる可能性は低いです。
だからこそ、示談交渉で弁護士基準に近い金額を獲得するには、示談交渉で弁護士を立てることが重要です。
詳しくは、関連記事『交通事故の慰謝料は弁護士基準で請求!慰謝料相場と増額成功のカギ』にてご確認ください。
交通事故被害者は保険も有効活用しよう
交通事故に遭った被害者が使える保険には、以下のものがあります。
- 健康保険
治療費を一旦被害者側で立て替える時に使うと、立て替え負担が減る。 - 労災保険
業務中・通勤中の交通事故であれば使える。 - 人身傷害補償特約
上限額内で、実際の損害賠償額と同じ金額を受け取れる。(保険金額は、加入する保険会社の基準で計算) - 搭乗者傷害保険
被害者だけでなく、事故時に車に同乗していた人も保険金を受け取れる。 - 車両保険
車の修理費などに関する保険金を受け取れる。加害者不明の事故や、加害者が任意保険未加入の事故で使える。 - 無保険車傷害保険
加害者不明の事故や、加害者が任意保険未加入の事故で、被害者が死亡または後遺障害を負った場合に使える。
使える保険は、被害者自身の保険加入状況によっても異なります。
『交通事故で使える保険の種類と請求の流れ』も参考にしつつ、詳細はご自身の保険会社にお問い合わせください。
めんどくさい事故後の対応や示談は弁護士へ依頼
ここまで交通事故被害者がすべき事故対応を解説してきましたが、ケガの治療や日常生活への復帰などもある中、スムーズかつ適切に対応するのは難しいものです。
そこでおすすめなのが、弁護士に対応を依頼することです。
弁護士に対応を依頼すべき理由や、弁護士費用の負担を軽減する方法を解説します。
交通事故被害者が弁護士に相談・依頼すべき3つの理由
交通事故の被害者になってしまったときは、弁護士を立てて対応を任せることも検討してみてください。
弁護士への依頼をおすすめする理由は、以下の3つです。
- 示談金の大幅な増額が見込める
- 示談交渉や各種手続きを一任できる
- 交通事故の速やかな解決が期待できる
それぞれの理由について、具体的に解説していきます。
また、弁護士に依頼するメリットについては『交通事故を弁護士に依頼するメリットと必要な理由|弁護士は何をしてくれる?』の記事でも詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
理由(1)示談金の大幅な増額が見込める
先述の通り、加害者側の任意保険会社が提示する慰謝料額は低く、弁護士基準で算定し直すと2倍~3倍も高額になることは珍しくありません。
ただし、弁護士基準で計算した示談金を支払うよう被害者自身が主張しても、加害者側の任意保険会社が認めることはほとんどないでしょう。
しかし、弁護士を立てれば以下の理由により被害者側の主張が通りやすくなり、弁護士基準に近い金額の獲得も期待できるのです。
- 加害者側の任意保険会社は裁判への発展を恐れて示談交渉で話をまとめようとする
- 弁護士が出てきたら譲歩の姿勢をとるという方針をとっている保険会社もある
実際に、アトム法律事務所では以下のような示談金大幅増額の実績があります。
傷病名 | 頸椎捻挫 |
後遺障害等級 | 非該当 |
当初の提示額 | 67万円 |
最終的な回収額 | 182万円 (115万円の増額) |
傷病名 | 12胸骨圧迫骨折 |
後遺障害等級 | 11級7号 |
当初の提示額 | 468万円 |
最終的な回収額 | 960万円 (492万円の増額) |
傷病名 | 脳挫傷、くも膜下出血、頭蓋骨骨折 |
後遺障害等級 | 1級1号 |
当初の提示額 | 1,193万円 |
最終的な回収額 | 3,500万円 (2,307万円の増額) |
この他にも、アトム法律事務所は多くの事案を解決に導いてきました。アトムの弁護士が実際に解決した事例については「交通事故の解決事例」のページでまとめています。あわせてご確認ください。
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理由(2)示談交渉や各種手続きを一任できる
交通事故の被害者になったら、治療や日常生活への復帰と並行して、以下のように多くの手続きを行わなければなりません。
- 交通事故の発生から解決に至るまで加害者側の任意保険会社とのやり取り
- 治療費打ち切りなどの対応
- 休業損害の申請
- 後遺障害等級認定の申請
- 加害者側の自賠責保険会社への被害者請求
- 示談金の算定
- 示談交渉で過失割合を主張するための証拠の収集
- 示談交渉
- 示談交渉が進まないときのADR、調停、裁判の検討
手続きの手順や流れを詳しく知らない被害者本人が行うことは、非常に困難といえるでしょう。
弁護士に依頼すれば、上記のような交通事故の損害賠償に関する手続きを一任できます。
被害者の方は、各種手続きの手間やストレスから解放され、ケガの治療や日常生活への復帰に専念することができるのです。
とくに示談交渉では、加害者側の任意保険会社が被害者の主張を拒否したり、高圧的な言動を取ったりするケースが散見されます。
加害者側の任意保険会社とのやり取りに大きなストレスを覚え、弁護士に相談される方は決して珍しくありません。
交通事故の交渉ごとに関するストレスを減らし、日常生活への速やかな復帰を目指すためには、弁護士への相談が有効なのです。
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理由(3)交通事故の早期解決が期待できる
弁護士に依頼すれば、交通事故の早期解決も期待できるでしょう。
後遺障害等級認定や被害者請求などの申請、示談金の算定や根拠の収集、示談交渉といった手続きは、被害者自身で行おうとするとどうしても時間がかかってしまいます。
交通事故に多く携わってきた弁護士であれば、各種手続きや加害者側とのやり取りを効率的かつ適切に行えるのです。
また、加害者側の任意保険会社の態度が軟化し、示談交渉がスムーズに進みやすくなるのも、早期解決が期待できる理由の1つといえるでしょう。
交通事故を早期解決することで、示談金を早めに受け取ることができます。
実際にアトム法律事務所にご依頼いただいた方からのお手紙を紹介します。
ご依頼者様からのお手紙
毎日毎日頭の中の不安から開放され、やっと新しいスタートを切れます。(神経症状、醜状障害の増額事例)
このご依頼者様は、相手方の任意保険会社の対応の遅さに納得がいかず、できるだけ早期の解決を求めてアトム法律事務所へご相談いただきました。すでに後遺障害認定済ということで、弁護士基準での補償を求めた交渉を進め、ご依頼から2ヶ月というスピードで示談が成立したのです。
【弁護士費用が不安な方へ】費用負担を減らす方法とは?
弁護士に依頼をするメリットがわかったとしても、弁護士を入れた増額分と、弁護士費用の差額が気になる方もおられるでしょう。
たとえば弁護士を入れて10万円増額できても、弁護士に支払う報酬が20万円だとすると、結局弁護士を入れて余計に費用が掛かった「費用倒れ」という状態に陥っています。
「弁護士への相談を考えているが、弁護士費用が不安」という方には、以下の方法をおすすめします。
- 「弁護士費用特約」を利用する
- 各弁護士事務所が実施している無料法律相談で見積もりをとる
「弁護士費用特約」を利用する
弁護士費用特約とは、保険会社が弁護士費用を負担してくれる特約のことです。
補償の上限額は保険によって異なることもありますが、基本的に、弁護士費用の合計300万円まで、相談料の合計10万円までを、保険会社が負担してくれます。
示談金が最終的に数千万円にのぼらない限り、弁護士費用が300万円を超えることはほとんどありません。
よって、弁護士費用特約を使えば、多くの場合、弁護士費用の負担がないといえるのです。
弁護士費用特約は、自動車保険だけではなく、火災保険やクレジットカードなどにも付帯されていることがあります。
また、被害者自身だけではなく、被害者の家族の保険に付帯されている場合も使用できることが多いです。
弁護士費用が不安なときは、まず保険契約状況を確認してみることをおすすめします。
特に、被害者自身に過失のないもらい事故の場合には被害者側が任意保険会社の示談代行サービスを利用できないことから、弁護士費用特約を利用して弁護士に示談交渉を行ってもらうべきでしょう。
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弁護士費用特約が利用できない場合は、各弁護士事務所が実施している無料法律相談を活用するとよいでしょう。
無料相談では、弁護士費用や、弁護士に依頼することで示談金がどれくらい増額するかについて確認できます。
弁護士に依頼したことで得られる利益を弁護士費用が上回る「費用倒れ」にならないか、依頼する前の段階で知ることができるのです。
弁護士費用をさらに抑えたい場合は、複数の弁護士事務所から見積もりをとることも検討するとよいでしょう。
電話やメール、LINEで無料相談できる弁護士事務所もあります。
交通事故に関する悩み事を相談するついでに、弁護士費用の見積もりをとってみるとよいでしょう。
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交通事故被害者の対応についてアトムの無料相談を受けよう
交通事故を弁護士に依頼すれば、示談金の増額、示談交渉や各種手続きの代理やサポート、交通事故の早期解決などが期待できます。
加害者側との示談が1度成立すると、原則的に撤回することはできません。
あとから「本来ならもっと多くの示談金をもらえたはずなのに…」と悔やむことを防ぐためにも、交通事故の被害者になったら、1度弁護士に相談しておくことをおすすめします。
アトム法律事務所では、電話・LINEによる無料相談を実施しています。
すべての損害が確定したタイミングであれば、示談金算定も可能です。
スキマ時間で相談できるので、治療や日常生活への復帰に忙しい方も気軽にご利用ください。
もちろん、無料相談のみのご利用でも大丈夫です。
相談予約は24時間365日受け付けています。
まずはお気軽にお問合せください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了