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交通事故|人身事故の賠償金相場と計算方法!物損事故との違いは何?

更新日:

人身事故の賠償金|相場 計算方法

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

この記事では、人身事故の被害者に向けて、損害賠償金の相場や内訳、より多額の損害賠償金を得るためのポイントについて解説しています。

人身事故の被害者の中には、以下のような状況にある方もいらっしゃいます。

  • 加害者から物損事故として届け出るよう頼まれた
  • 物損事故として届け出た後にけがが発覚した
  • 人身事故と物損事故の賠償金の違いを知りたい

上記のようなお悩みを持つ方に向けて、人身事故と物損事故はどう違うのか、物損事故から人身事故への変更は可能なのかということについても解説しています。

また、人身事故の慰謝料増額方法を知りたいという方は、類似記事『人身事故の慰謝料を多くもらいたい|相場・計算方法は?過失割合を事例付き解説』をお読みください。

目次

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人身事故の損害賠償金の相場と種類

自動計算機で人身事故の賠償金相場をチェック

こちらの計算機では、交通事故の賠償金のうち、慰謝料・逸失利益の金額を計算できます。年収や性別、年齢などを入力すると簡単に結果がわかります。

実際に受け取れる金額は示談交渉で決まるので、この計算機で算出されるのは交通事故被害者がもらえる最も理想的な金額だとお考えください。(この記事でご紹介する弁護士基準の金額です。)

また、交通事故の個別的な事情に応じた増額・減額も合わせたより正確な相場金額について知りたい場合は、関連記事『交通事故の慰謝料|相場や計算方法など疑問の総まとめ』を参考にして頂くか、弁護士に問い合わせることをおすすめします。

人身事故の損害賠償金の種類

交通事故の賠償金には次の5種類があり、人身事故であれば基本的に全て請求することができます。

治療関係費治療費、入院費、入院雑費、看護費、介護費、通院のための交通費など。
慰謝料交通事故により被害者が受けた精神的苦痛に対する補償。
入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料。
休業損害交通事故にあい休業したことによる減収に対する補償。
逸失利益交通事故により減った生涯年収に対する補償。
後遺障害逸失利益、死亡逸失利益。
物損の賠償金車両の修理費、評価損、代車費用、休車費用、積載物に対する賠償金。

次の章からは、上記の損害賠償金の計算方法について解説していきます。

人身事故の治療関係費の計算方法

治療関係費は基本的に実費を加害者に請求できます。ただし、入院雑費・看護費・介護費の金額は計算方法が決まっています。

関連記事では、治療費の支払いに関する5つのポイントを説明しています。
治療費がどのように支払われるのかなど、具体的に知りたい方は、関連記事をお役立てください。

入院雑費の計算方法

入院雑費は日額を1,500円として、入院日数分の金額が支払われます。
入院雑費とは、交通事故による入院で必要になった包帯やガーゼなどの備品代、電話代などのことです。

看護費の計算方法

看護費とは、交通事故にあい、入院や通院に看護が必要になった場合に請求できる賠償金です。請求できる金額は、家族による入院看護で6,500円、通院看護で3,300円です。

家族による看護入院看護:6,500円/日
通院看護:3,300円/日
職業看護人による看護実費

家族が仕事を休んで入院の付添看護をした場合、家族の1日当たりの給与が6,500円以下であれば6,500円が認められます。家族の給与が6,500円以上であれば、家族の1日当たりの給与と同じ金額が支払われます。ただし後者の場合は、職業看護人を雇った場合の費用を上限とします。

なお、付添看護費は医師が看護が必要と認めた場合のみ支払われます。

介護費の計算方法

介護費とは、交通事故の被害者が重傷を負ったり重い後遺障害が残ったりして、介護が必要になった場合に請求できる賠償金です。介護費として請求できる金額は、日額8,000円です。

家族による介護8,000円/日
職業介護人による介護実費

重い後遺障害などで将来にわたって介護が必要になった場合には、将来分の介護費用も請求できます。

人身事故の慰謝料・休業損害の計算方法

慰謝料・休業損害には3つの金額基準がある

交通事故の慰謝料・休業損害には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準という3つの金額基準があります。

自賠責基準交通事故の被害者が最低限もらえる金額基準
任意保険基準示談交渉で加害者側任意保険会社が提示してくる金額基準
弁護士基準示談交渉で被害者側弁護士が主張できる金額基準
慰謝料金額相場の3基準

実際に交通事故の被害者が受け取れる慰謝料・休業損害の金額は、示談交渉により任意保険基準~弁護士基準の間になります。
任意保険基準に近い金額になるか、弁護士基準に近い金額になるかは交渉次第です。

では、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料・休業損害の計算方法を紹介していきます。

ただし、任意保険基準の計算方法は各社で異なり非公開です。任意保険基準の金額は自賠責基準の金額と同じくらいか、少し上乗せした程度と言われていますので、参考にしてください。

入通院慰謝料の計算方法

入通院慰謝料は、交通事故による入通院で被害者が受けた精神的苦痛に対する補償のことを言います。
入通院慰謝料の金額は、自賠責基準であれば計算式で、弁護士基準であれば「入通院慰謝料算定表」という表を使って算定されます。

自賠責基準の場合

まず、自賠責基準での計算式をご紹介します。

自賠責基準での入通院慰謝料計算

4,300円×入通院期間
※2020年3月31日以前の事故については、4300円ではなく4,200円

入通院期間は、次の2つのうち少ない方を適用

  • 入院日数+通院期間
  • 入院日数+実通院日数×2

自賠責基準の場合は、「7日加算」など入通院日数の数え方が特殊になることもあります。

自賠責保険の慰謝料の相場や計算方法について知りたい方は、関連記事を役立ててください。

弁護士基準の場合

続いて、弁護士基準で用いる入通院慰謝料算定表をご紹介します。入通院慰謝料算定表には、軽傷用と重傷用の2種類があります。

軽傷用の入通院慰謝料算定表

軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表

重傷用の入通院慰謝料算定表

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

入通院慰謝料の増額事由

入通院慰謝料は、次の場合には増額される可能性があります。

  • 仕事や子育てなどやむを得ない事情で入通院期間を短縮した
  • 加害者の態度が不誠実

また、ギプスでの自宅待機期間があった場合には、その期間を入院日数をして数える場合もあります。
詳しくは『通院のみなら交通事故慰謝料はいくら?相場と計算方法、増額されるケース』をご覧ください。

一方、通院頻度が低いと減額されてしまう場合もあります。通院頻度は最低でも月1回以上として、可能であれば月10回以上、定期的に通院しましょう。

後遺障害慰謝料の計算方法

後遺障害慰謝料とは、交通事故で後遺障害が残ったことにより今後も受け続ける精神的苦痛に対する補償です。後遺障害慰謝料を受け取るためには、次の2つの条件を満たす必要があります。

交通事故にあい後遺障害等級が認定されると、等級に応じて次の金額を加害者側に請求できます。

等級 自賠責*弁護士
1級・要介護1,650
(1,600)
2,800
2級・要介護1,203
(1,163)
2,370
1級1,150
(1,100)
2,800
2級998 (958)2,370
3級861 (829)1,990
4級737 (712)1,670
5級618 (599)1,400
6級512 (498)1,180
7級419 (409)1,000
8級331 (324)830
9級249 (245)690
10級190 (187)550
11級136 (135)420
12級94 (93)290
13級57 (57)180
14級32 (32)110

(単位:万円)
*()内は2020年3月31以前に起きた事故に対する金額

症状別の慰謝料相場金額についてくわしく知りたい方は、関連記事『交通事故の慰謝料相場|症状別の相場金額』を、各後遺障害等級の認定基準は関連記事『後遺障害等級の一覧表|症状別の具体的な認定基準と認定の流れ』をご覧ください。

後遺障害慰謝料の増額事由

後遺障害慰謝料は、次のような場合には増額される可能性があります。

  • 加害者の態度が不誠実
  • 植物状態など、死にも比肩するような後遺障害が残った

死亡慰謝料の計算方法

死亡慰謝料は、交通事故により死亡した被害者とその遺族の精神的苦痛に対する補償のことです。対象になる遺族とは、親(養父母含む)、配偶者、子(養子含む)です。

ただし、兄弟姉妹や内縁の妻でも、親や配偶者、子と同じくらい被害者と近しい関係で、その悲しみも深いと判断されれば、死亡慰謝料の対象となる場合があります。

自賠責基準の計算方法

まず自賠責基準の死亡慰謝料金額を紹介します。
自賠責基準では、死亡した被害者本人に対して400万円(2020年3月31日以前の交通事故であれば350万円)が支払われます。そのうえで、遺族の人数に応じて次の金額が支払われます。

遺族死亡慰謝料
1人550万円
2人650万円
3人以上750万円

被害者に被扶養者がいる場合には、さらに200万円が上乗せされます。

弁護士基準の計算方法

続いて、弁護士基準での死亡慰謝料です。弁護士基準の場合は、以下の金額に被害者本人分の金額も遺族分の金額も含まれています。

被害者死亡慰謝料
一家の支柱2,800万円
母親・配偶者2,500万円
独身者・子供2,000万円~2,500万円

死亡慰謝料の増額事由

弁護士基準の場合、一家の支柱で扶養家族が4人以上いる場合には、上記の表の金額よりも死亡慰謝料が高額になる可能性があります。

また、次のような場合にも死亡慰謝料が増額される可能性があります。

  • 加害者の態度が不誠実
  • 被害者の死により遺族が精神疾患を患った
  • 小さな子供が事故現場を目撃してしまった

死亡事故の慰謝料についてもっと詳しく知りたい方は『死亡事故で慰謝料はいくらもらえる?慰謝料相場と遺族がもらえる損害賠償金を解説』をあわせてお読みください。

休業損害の計算方法

交通事故の休業損害は、次のように計算されます。

自賠責基準6,100円×休業日数
※2020年3月31日以前の交通事故については6,100円ではなく5,700円
弁護士基準1日当たりの給与×休業日数

弁護士基準の計算で使われる1日当たりの給与は、次のように計算されます。

  • 給与所得者:事故前3カ月間の給与÷事故前3カ月間の実労働日数
  • 自営業者:事故前年の所得÷365日
  • 主婦:女性の全年齢平均給与額から算出した日額(令和元年の女性労働者の全年齢平均給与額は3,880,000円)

このように、被害者の立場や職業によって休業損害の計算方法は異なります。休業損害の計算について、被害者の属性別に解説している関連記事『交通事故の休業損害はいつもらえる?相場はいくら?職業別の計算方法を解説』もあわせてお読みください。

人身事故の逸失利益の計算方法

交通事故の逸失利益とは

交通事故の逸失利益には、後遺障害逸失利益と死亡逸失利益があります。どちらも、交通事故にあって減ってしまった生涯年収に対する補償です。

逸失利益とは
後遺障害逸失利益交通事故で後遺障害が残ったことで減ってしまった生涯年収に対する補償。
後遺障害等級が認定された場合のみ請求可能。
死亡逸失利益交通事故で死亡したことで減ってしまった生涯年収に対する補償。

後遺障害逸失利益の計算方法

後遺障害逸失利益の計算方法は次のようになります。

収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数

労働能力喪失率は、後遺障害等級に応じて決まっています。ただし、必ずこの表のとおりの労働能力喪失率が適用されるとは限りません。

実際の仕事への影響を考慮して、表よりも高い労働能力喪失率が適用されることもあれば、低い労働能力喪失率が適用されることもあります。

等級労働能力喪失率
1100%
2100%
3100%
492%
579%
667%
756%
845%
935%
1027%
1120%
1214%
139%
145%

ライプニッツ係数とは、逸失利益を預金・運用することで将来的に生じる利子・利益をあらかじめ差し引くための数値です。

後遺障害逸失利益の場合は、基本的に症状固定時~67歳までの年数(労働能力喪失期間)に応じた係数を用います。ただし、むちうちで後遺障害14級に認定されている場合は、労働能力喪失期間が上限5年とされる場合もあります。

労働能力喪失期間ライプニッツ係数
1年0.97
5年4.58
10年8.53
20年14.88
30年19.60

※2020年4月1日以降の交通事故に適用されるもの

死亡逸失利益の計算方法

死亡逸失利益は、次のように計算されます。

死亡逸失利益=年収×(1‐生活費控除率)×死亡により就労できなくなった年数に対するライプニッツ係数

生活費控除率とは、被害者が将来消費していたであろう金額を死亡逸失利益から差し引くための数値で、以下のようになっています。

一家の支柱
(扶養家族1人)
40%
一家の支柱
(扶養家族2人以上)
30%
女性30%
男性50%

ライプニッツ係数は、後遺障害逸失利益と同様のものを用います。死亡により就労できなくなった年数とは基本的に、死亡時~67歳までとされます。

物損に関する賠償金の金額

物損に関する賠償金は、基本的に、加害者側に実費を請求します。評価損は、車の修理費の10%~30%となることが多いです。

評価損

交通事故により車に修理歴や欠陥が残り、車の価値が下がったことに対する補償。格落ち、事故落ち、査定落ちともいう。

人身事故の損害賠償金は過失割合が重要

交通事故の過失割合とは

過失割合とは、交通事故の責任が、被害者と加害者それぞれにどれだけあるかを割合で示したものです。

被害者側にも過失割合がついた場合、その割合分、受け取れる損害賠償金額が減額されてしまいます。
例えば、被害者側の過失割合が2割だった場合、受け取れる損害賠償金額が2割減額されるということです。

過失割合は交通事故発生時の状況に応じて決められます。
追突事故(被害車両である被追突車が停車していた場合)の場合は、基本的に被害者の過失割合は0とされます。一方、その他のケースでは、ほとんどの場合で被害者にもいくらかの過失割合がつきます。

例|追突・出会い頭・追い越し事故の過失割合

ここで、いくつかの事故パターンの過失割合を紹介します。
ただし、事故のパターンは多数あります。飛び出しやスピード違反の有無などの細かい事情に応じて過失割合は変わる可能性がありますので、正確な過失割合については弁護士に確認することをおすすめします。

追突事故

追突車:被追突車=100:0

※被追突車が停車していた場合

事故状況図

《交差点の出会い頭での直進車同士の事故》左方車:右方車=40:60

事故状況図

追い越しによる事故

後続直進車:進路変更車=30:70

事故状況図

人身事故と物損事故の賠償金に関する違い

慰謝料・治療費等は人身事故の場合のみ請求可能

交通事故示談金の内訳

交通事故の損害賠償金に含まれる慰謝料や治療費は、基本的に人身事故の場合のみ加害者側に請求できます。

交通事故の慰謝料は、被害者の身体の損傷によって生じた精神的苦痛に対する補償であるため、被害者の身体に被害がない物損事故の場合は請求できません。
同じ理由で、被害者の身体の損傷によって生じる治療関係費や逸失利益、休業損害も、物損事故の場合は請求できません。

物損事故の場合に加害者側に請求できるのは、基本的に車両の修理費、評価損、代車費用、休車費用、積載物に対する賠償金のみになります。

人身事故なら賠償金請求に有利な書類を作ってもらえる

人身事故の場合、交通事故後、警察によって供述調書・実況見分調書という書類が作成されます。

供述調書*警察が事故の当事者から聞き取った、事故当時の状況や認識をまとめた書類
実況見分調書警察が事故当事者の立ち会いの下、事故現場を捜査した内容をまとめた書類

*供述調書は、物損事故でも酒気帯び運転や無免許運転など、道路交通法に違反する場合であれば作成される

示談交渉で過失割合について話し合うときは、交通事故発生時の状況をめぐって加害者側と意見が対立しやすいです。

加害者側と交通事故発生時の状況について意見が対立した場合、目撃者がいれば正しい状況を証言してもらえます。

しかし、目撃者がいない場合には被害者と加害者どちらの主張が正しいのか客観的に証明することが難しくなり、交渉が長引いたり、正しい主張が認められなかったりする可能性があります。

そんな時、警察が作成した供述調書や実況見分調書は有力な証拠となります。
そのため、たとえ軽傷でも警察に人身事故として届け出をして、書類を作成してもらうことは大切です。

人身事故の賠償金は2つの保険会社から払われる

人身事故の賠償金は、基本的に加害者側の自賠責保険会社と任意保険会社から支払われます。

任意の自動車保険と自賠責保険の関係

自賠責保険は強制加入ですが、任意保険は強制加入ではありません。
加害者が任意保険に入っていなかった場合には、損害賠償金は加害者側自賠責保険会社と加害者自身から支払われることになります。

万が一加害者が任意保険未加入で損害賠償金を支払わなくても、加害者側自賠責保険会社から最低限の損害賠償金は受け取れるということです。

それに対して物損事故の損害賠償金は、加害者側任意保険会社からしか支払われません。
そのため、もし加害者が任意保険に加入していなかったら、損害賠償金は全額加害者自身に支払ってもらうことになります。

物損事故の損害賠償金は人身事故のものよりも低額であることがほとんどですが、それでも加害者側から損害賠償金を回収できないリスクは高くなります。

人身事故の損害賠償金獲得までの流れ

(1)治療終了後、完治または症状固定

けがの治療が終了したら、完治または症状固定の診断を受けます。
症状固定とは、交通事故によるけがに対してこれ以上治療を続けても、大幅な改善は見込めないと判断されることです。

基本的に、症状固定となったら、加害者側からの治療費や休業損害の支払いは終了します。症状固定の時期は加害者側任意保険会社から打診されることもありますが、基本的には医師の判断が重要視されます。

症状固定の詳細は、関連記事『症状固定時期と後遺障害等級認定の手続き|症状固定後の治療費やトラブルも解説』にて解説中です。

(2)症状固定の場合は後遺障害等級認定の申請

症状固定の診断を受けた場合には、後遺障害等級認定の申請を行います。
審査の結果、後遺障害等級が認定されると、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を加害者側に請求できるようになります。

後遺障害等級認定の申請方法には、被害者請求と事前認定の2種類があります。それぞれメリットとデメリットがあるので、ご自身の状況に応じてより良い申請方法を選びましょう。

(3)加害者側から示談案が届いたら交渉開始

示談交渉が始められる段階になったら、加害者側任意保険会社から提示額を記載した示談案が届きます。

提示額について増額交渉をしたい場合には、電話やFAXを通じて加害者側任意保険会社との交渉が始まります。

(4)示談書に署名・捺印後、賠償金振り込み

示談が成立したら、加害者側任意保険会社から合意内容を記載した示談書が届きます。

内容に間違いがなければ、示談書に署名・捺印をして加害者側任意保険会社に返送しましょう。
一度示談書に署名・捺印すると、基本的には再交渉や追加の損害賠償請求はできなくなるためご注意ください。

示談書の返送後、基本的に2週間程度で口座に損害賠償金が振り込まれます。

人身事故の損害賠償請求でのお困りごと4選

(1)物損から人身へ切り替えたい

すでに交通事故を物損事故として届け出てしまったという場合でも、あとから人身事故に切り替えることが可能です。
人身事故への切り替え方法は、次のようになります。

  1. 病院で診察を受け、診断書を受け取る
  2. 診断書を警察に提出する

物損から人身への切り替えに期限はありませんが、交通事故のあと時間がたってから切り替えを申請しても受け入れてもらえない可能性があります。そのため、交通事故後10日以内に病院で診察を受け、警察に診断書を提出することがおすすめです。

警察に診断書を提出する際には、次のことを求められる場合があります。

  • 加害者も人身事故への切り替え手続きに同行すること
  • 事故車両も警察署に持ってくること
  • 事前に警察署に連絡し、アポイントメントをとっておくこと

物損から人身への切り替え手続きをしたい場合は、管轄の警察署のホームページで事前に持ち物などを確認しておきましょう。

なお、加害者の同行が必要なのに加害者に拒否されたという場合には、1人で警察署に行き、同行を拒否された旨を伝えてください。

(2)治療費の支払いを打ち切られた

完治または症状固定と診断されていない時点で、加害者側任意保険会社から治療費の打ち切りを伝えられることがあります。

たとえ加害者側任意保険会社から治療費を打ち切られても、理論上は完治または症状固定まで治療費を負担してもらえますので、治療は続けましょう。
治療費打ち切りを理由に完治・症状固定前に治療をやめてしまうと、その分入通院慰謝料が減ったり、後遺障害等級が認定されにくくなったりしてしまいますので注意が必要です。

ただしこのようなケースでは、治療費に関して示談交渉でもめることが予想されます。
最悪の場合、治療費打ち切り~完治・症状固定までにかかった治療費を回収できない可能性もあるため、事前に弁護士に相談しておくことをおすすめします。

治療費打ち切りへの対応を知りたい方は、『交通事故の治療費打ち切りとは?打ち切り対処法も解説』でわかりやすく解説しています。

(3)示談交渉がまとまらない

交通事故の示談交渉では、話し合いが行き詰まってしまうこともあります。
このような場合は、弁護士に介入してもらいましょう。

弁護士が入ることで加害者側任意保険会社の態度が軟化し、交渉が進みだすことも考えられるからです。
また、交渉がまとまらなかった場合には、調停や裁判などの手段をとることもあります。弁護士がついていれば、最善の手段を助言してもらうことができます。

(4)誰が賠償請求するべきかわからない

交通事故の賠償請求は、基本的に被害者本人が行います。しかし、被害者が死亡している、未成年であるなど賠償請求できない事情がある場合には、本人以外が請求人となります。
また、示談交渉の際には弁護士を代理人として立てることも可能です。

被害者が死亡した場合

死亡事故で被害者が死亡した場合には、被害者の相続人が賠償請求を行います。相続人は、配偶者に加えてもう1人、次の順番で決められます。

  1. 被害者の子。子がいなければ孫。
  2. 子や孫がいなければ親。
  3. 親がいなければ兄弟姉妹。兄弟姉妹がいなければその子。

死亡事故で相続人が賠償金を受け取る際、相続税がかかることは基本的にありません。しかし、示談成立後に被害者が亡くなった場合には、相続税がかかります。

被害者が未成年である場合

未成年は単独で賠償請求や示談ができません。そのため、法定代理人である親権者が、被害者に代わって賠償請求を行います。

その他被害者に賠償請求できない事情がある場合

被害者に知的障害がある、交通事故によって寝たきりになってしまったなど、賠償請求できない事情がある場合には、家庭裁判所が定める成年後見人が被害者に代わって賠償請求を行います。

より多くの損害賠償金獲得の方法

適切な後遺障害等級を獲得する

より多くの損害賠償金を獲得するためには、適切な後遺障害等級の認定を受けることが重要です。
後遺障害等級が認定されなければ、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求できなくなり、その分損害賠償金が減ってしまいます。

また、後遺障害慰謝料は、等級が1級違うだけでも金額が大幅に変わります。そのため、適切な等級を獲得することが重要です。

適切な等級を獲得するためには、後遺障害等級認定の審査の仕組みを踏まえたうえでの対策が必要です。また、もし後遺障害等級認定の結果に納得がいかない場合は、異議申し立てにより再審査をしてもらうことも可能です。

後遺障害等級認定の対策や異議申し立てについては、後遺障害等級認定のサポート経験がある弁護士に尋ねることをおすすめします。

弁護士基準での損害賠償金額を主張する

より多くの損害賠償金を得るためには、弁護士基準に近い金額で示談を成立させることが重要です。

ただし、弁護士基準は加害者側任意保険会社の提示額よりも大幅に高額であることから、弁護士が主張しないと受け入れられにくい傾向にあります。

示談交渉を被害者自身で行った場合、加害者側任意保険会社の提示額をベースに金額を決めていくことになってしまうため、示談交渉は弁護士に依頼することをおすすめします。

示談交渉を弁護士に任せることで、被害者には多くのメリットがあります。
もっと詳しく知りたい方は関連記事『人身事故は弁護士に任せて時短と増額|弁護士選びと費用倒れの避け方』をお役立てください。

正しい過失割合を主張する

加害者側任意保険会社から提示される過失割合は、必ずしも正しいとは限りません。
加害者側任意保険会社は、加害者から聞き取った偏った情報のみをもとに過失割合を算出している場合があるからです。

実際アトム法律事務所でも、弁護士が実況見分調書を確認したところ加害者側任意保険会社が重要な点を見落としていて、被害者に不利な過失割合になっていたと発覚したケースがありました。

過失割合を算出する際には、その事故ごとの個別的な事情を柔軟に反映させる必要があります。加害者側任意保険会社でも正しい過失割合の算出が難しいこともあるのです。

過失割合に納得がいかないと感じた場合には、改めて弁護士に過失割合の算出を依頼することをおすすめします。

無料弁護士相談のご案内と実績紹介

実質無料で弁護士に相談・依頼できる方法

交通事故にあい、弁護士に相談や依頼をしようと思うと、通常弁護士費用がかかります。その金額は法律事務所によりさまざまですが、決して安いものではありません。

しかし、無料相談を受け付けている法律事務所に相談をしたり、弁護士費用特約を利用したりすれば、弁護士費用を実質無料にできる場合もあります。

アトム法律事務所では、電話やLINEでの無料相談を受け付けています。

  • 本当に弁護士に依頼するか決めかねている
  • セカンドオピニオンとして相談できる法律事務所を探している
  • 弁護士事務所まで出向いての相談ができない
  • 対面や電話でのやり取りは緊張する

上記のような方は、ぜひアトム法律事務所の無料相談をご利用ください。

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交通事故賠償金の増額事例|アトム法律事務所

150万円から364万円へ増額

傷病名足指骨折
後遺障害の内容足の小指を欠損
後遺障害等級14級8号

加害者側任意保険会社は、後遺障害逸失利益の計算で労働能力喪失期間を短く見積もっていました。正しい労働能力喪失期間を主張し受け入れられた結果、賠償金額が増額しました。

600万円から900万円へ増額

傷病名左上腕骨外科頸骨折
後遺障害の内容左肩の可動域制限
後遺障害等級12級7号

示談交渉開始後、加害者側任意保険会社からは800万円の提示がありました。しかし弁護士は、それでもまだ増額の余地があると判断し、さらなる増額交渉を行いました。その結果、900万円への増額に成功しました。

123万円から250万円へ増額

傷病名左足関節捻挫、左腓骨神経麻痺
後遺障害の内容左足の知覚鈍麻・しびれ
後遺障害等級14級9号

加害者側任意保険会社が提示してきた賠償金額を弁護士が計算し直し、裁判でも認められるであろう正当な金額を主張した結果、増額に成功しました。

まとめ

交通事故にあいけがをした場合には、たとえ軽傷であっても人身事故として届け出をするべきです。
人身事故として届け出をすると、物損事故よりも請求できる賠償金の費目が多くなり、示談交渉における重要書類も作成してもらえます。その結果、受け取れる賠償金額が多くなるのです。

一度は物損事故として届け出をしてしまった場合でも、人身事故に切り替えることは可能です。

  • 加害者に物損事故として届け出るよう頼まれて困っている
  • 物損から人身への切り替えでわからないことがある
  • 人身事故としての賠償金請求をサポートしてほしい

このような方は、ぜひ一度、アトム法律事務所にご相談ください。

代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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