タクシー事故の慰謝料や請求先は?めんどくさい理由と示談の対策!

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タクシー事故慰謝料請求先はどこ?

タクシー事故がめんどくさいと言われる理由には、タクシー乗車中の事故で慰謝料請求の相手がわかりにくいことや、タクシーとの事故における示談交渉相手は「タクシー共済」になったりすることがあります。

タクシーに乗っていて事故に巻き込まれたなら、事故の過失割合によって慰謝料の請求相手が異なることを知っておきましょう。

そして、タクシーとの事故については、示談交渉の相手となる「タクシー共済」との交渉は相当シビアで、支払いを渋る傾向について知っておくことが大切です。

こうしためんどくさい事態への対処法に加えて、タクシー事故の慰謝料請求先や請求するときの注意点、慰謝料の相場なども解説します。

目次

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タクシー事故にあったら知っておくべきこと

タクシー事故は、事故相手がタクシーである交通事故と、タクシー乗車中の交通事故との2つに分かれます。

この2つの大きな違いは、誰に事故の慰謝料を請求するかということです。その部分に、タクシー事故が面倒だと言われる理由も含まれているので、順番に整理していきましょう。

タクシーとの事故|一般車両とは示談交渉相手が違う

交通事故で被害者に損害を負わせたことで、民法709条にもとづく不法行為責任を負うため、タクシー運転手には損害賠償の義務があります。

そして、そのタクシー運転手への使用者責任(民法715条)や運行供用者責任(自動車損害賠償保障法3条)によって、タクシー会社に対する賠償請求も可能です。

もっとも、タクシー会社がタクシー共済に加入しているときには、タクシー共済に対して損害賠償請求することになります。

タクシー共済とは

タクシーが事故を起こした際の損害賠償問題を解決するため、一定数のタクシー事業者が結成している共済協同組合のこと。タクシーにおける任意保険のようなもの。

ただし、タクシー共済には「物損事故で損害額が30万円以下の場合は保険を利用できない」といった免責事項が付されている場合もあります。

よって、損害額が30万円以下の物損事故であれば、タクシー共済ではなくタクシーの運転手もしくはタクシー会社への請求になる見通しです。

POINT

もしタクシー側が共済未加入であるときには、支払い能力の点より、タクシー運転手ではなくタクシー会社への請求が一般的といえます。

関連記事『運行供用者責任とは?わかりやすく具体例つきで解説』では運行供用者責任について具体的に説明していますので、タクシー会社への請求を検討している方はお役立てください。

タクシー乗車中の事故|誰に損害賠償請求すべきか

タクシーに乗っていて他の車との事故がおこった場合、乗客が損害賠償請求できる相手は過失割合によって以下のとおりです。

請求相手

  • タクシーに全過失がある場合
  • 相手車両に全過失がある場合
  • タクシーと相手車両の双方に過失がある場合

順番に説明します。

タクシーに全過失がある場合

乗車していたタクシーにすべての過失がある場合には、タクシー側(タクシー運転手とタクシー会社)に賠償請求します。

もっとも、タクシー側が加入しているタクシー共済から賠償を受けることになるため、損害賠償請求相手もタクシー共済となることがほとんどです。

こんな事故の例がある

  • タクシー側が赤信号を見落として交差点に進入、青信号で進入してきた車両と衝突した
  • タクシー側がセンターラインを越えて対向車両と正面衝突した

相手車両に全過失がある場合

乗車していたタクシーに全く過失がない場合には、相手車両の運転手に賠償請求します。

相手方が任意保険に加入しているときには、任意保険会社の担当者と連絡を取りながら、治療費や休業補償、慰謝料といった賠償を受ける流れです。

こんな事故の例がある

  • タクシー側が信号待ちで停車中に後方から追突された
  • タクシー側が走行中に、対向車線から車が突っ込んできた

タクシーと相手車両の双方に過失がある場合

タクシー側(タクシー運転手とタクシー会社)と相手車両の運転手に賠償請求可能です。

このとき、どちらかに全額請求しても、双方に何割かずつ請求しても問題ありません。実際の負担額は双方の間で後ほど話し合って精算されますが、被害者に関係のないことです。

たとえば、交通事故の相手とタクシーの過失割合が9対1だったとします。

このとき、交通事故を起こした原因を被害者がもたないときには、被害者は過失の影響を受けず、満額、どちらに請求してもよいということです。

タクシー事故が面倒とされる理由はタクシー共済との交渉にある

タクシー共済は支払いを渋る傾向が強い

タクシー共済が支払う賠償金の財源は、タクシー会社が支払う保険料にあります。

タクシー共済は一般車両の任意保険に比べると契約者が少ないため、財源もやや小規模であり、簡単には大きな金額を支払えない傾向があるのです。

タクシー共済が支払う賠償金は、最初のうちは本来自賠責保険の補償部分をかわりに払ってくれているだけなので、タクシー共済の懐が痛まない分、比較的スムーズに支払ってくれます。

しかし、自賠責保険からの支払い上限を超えると、タクシー共済側が支払いを渋ってくることはよくあります。通院が長期にわたっている人重傷の人は注意しましょう。

自賠責保険の支払い範囲については、ケガの部分について120万円、後遺障害については障害等級に応じて75万円から3,000万円など定められています。くわしい解説は関連記事をご覧ください。

タクシー会社の利益を守ることを優先

タクシー共済は複数のタクシー会社が独自に組織・運営しており、加入会社同士の相互扶助組織という側面が強いので、タクシー会社の利益を守ることを第一方針とします。

タクシー側の言い分を通そうと、過失割合の交渉を試みてくる可能性も考えられるでしょう。あるいは交通事故の発生自体を否定されるといった可能性もあります。

そうなると、目撃者への協力要請や現場付近の防犯カメラ映像の確認が必要になるなど、被害者に大きな負担がかかってしまうのです。

もしご自身の車両にドライブレコーダーが搭載されているなら、データが上書きされないように保存しておきましょう。

任意保険会社と違って行政の監督下にない

一般車両の任意保険は金融庁の監督下にあるのに対し、タクシー共済は行政の監督を受けていません。

タクシー共済側は一般車両の任意保険会社と比べて、よりタクシー側に立った姿勢で渋ってくる可能性があります。

タクシー事故の5つの注意点と解決までの流れ

タクシー事故が発生した際の対応における注意点は、以下のようなものとなります。

タクシー事故発生時の注意点

  1. その場で示談しない
  2. 警察への届け出を必ず行う
  3. ケガをしている場合には人身扱いにする
  4. 事故後はすぐに病院で診てもらう
  5. タクシーの代車に乗る前に証拠を保全する

タクシー事故においても、行うべきことは通常の交通事故と基本的に変わりません。ひとつずつ確認していきましょう。

(1)その場で示談しない

交通事故が起きた際に、ケガがなく、物的損害も大したことがないとして、その場で示談を持ちかけられても応じてはいけません。

事故によって生じた損害額が確定していない時点で示談してしまうと、あとから新たな損害が発覚しても原則として追加の請求はできないからです。

交通事故の示談とは?

交通事故の示談とは、裁判外で、事故の当事者同士で譲歩しながら話し合い、トラブルの解決を図る方法をいいます。

交通事故においては、損害賠償額や過失割合を決めていくことです。

人身部分はケガの完治もしくは後遺障害等級認定後、物損部分は修理費についての損害算定ができる段階になるまで、示談すべきではありません。

(2)必ず警察に届け出る

警察への連絡は、タクシーの単独事故でも相手方がいる事故でも、物損事故でも人身事故でも必要です。

タクシー側が連絡をするだろう、自分は乗客で無関係だからと現場から黙って立ち去ってしまうことは不適切です。

警察に連絡を入れなければその後の賠償請求・保険金請求で必要な「交通事故証明書」が発行されません。もしタクシー運転手から警察に届け出ないように言われても応じないようにしてください。

交通事故証明書の入手方法については『交通事故証明書とは?もらい方と目的、後日取得の期限やコピーの可否』の記事で確認可能です。

(3)ケガをしているなら人身扱いにする

タクシー事故では、タクシーの運転手やタクシー会社から「物損扱いにしてほしい」と言われることがあります。

しかし、ケガをしているのに人身扱いにしないと、書面上は人身の被害が生じていないことになり、警察による実況見分もありません。

具体的には、以下のようなデメリットが生じます。

人身扱いにしないデメリット

  • あとから治療費や慰謝料の支払いを拒否される可能性がある
  • 追加の資料提出が必要な場合がある
  • 相手方が過失割合について誤った主張をしてきても反論が難しくなる

あとから治療費や慰謝料の支払いを拒否される可能性がある

治療費や慰謝料というのは、人のケガの部分、つまり人身部分の損害に対して支払われます。

書類上は「物損事故」として届け出ている場合、支払いを拒否や支払いを渋られる可能性が高まってしまうのです。

物損事故と届け出るくらい軽傷だったのだろうとして、早々に治療費や休業損害を打ち切られてしまう可能性もあります。

追加の資料提出が必要な場合がある

交通事故においては、相手が支払いを渋ったり、示談より先に一部の賠償金を受け取ったりする目的で、事故相手の自賠責保険会社へ賠償請求する場合があります。

こうした手続きを「被害者請求」といいますが、被害者請求の際には人身事故扱いの交通事故証明書が必要です。

人身事故扱いの交通事故証明書がないときには、「人身事故証明書入手不能理由書」を書き添える必要があり、被害者にとってひと手間かかってしまいます。

人身事故証明書入手不能理由書についての詳細は記事『人身事故証明書入手不能理由書とは?理由の記入例と注意点【見本あり】』でご確認ください。

相手方が過失割合について誤った主張をしてきても反論が難しくなる

交通事故が「人身事故」であるとき、警察は実況見分をおこない、事故の詳細な状況を示す証拠である実況見分調書を作成します。

しかし「物損事故」においては実況見分は実施されないため、実況見分調書は作成されません。

相手方との主張が食い違ったときには警察が作成した実況見分調書がひとつの証拠資料となりえますが、物損事故ではこうした資料を欠くことになるのです。

たとえ「物損扱いにしてもきちんと治療費や慰謝料は支払う」と言われたとしても、後からトラブルになる可能性もあるため、ケガをしているなら必ず人身扱いにしましょう。

人身事故への切り替え方法を知りたい方、過失割合の交渉を知りたい方は関連記事も参考にご覧ください。

(4)事故直後に病院へ行っておく

できるだけ早く病院で診察を受け、ケガをしていると診断を受けた場合には、診断書を作成してもらいましょう。

一見ケガがないように思えても、あとから首や腰に痛みが出てむちうちが発覚するようなケースもあります。

初診が遅れると事故とケガとの関連性が曖昧になり、のちの交渉で不利になる場合があるので、早期の受診が大切となるのです。

(5)代車利用前に運転手名やナンバーなどを記録

タクシーの乗客として事故にあった場合、タクシー会社が代車を手配してくれることがあります。急ぎの用であれば代車で目的地へ向かっても構いません。

しかし、後日警察の捜査に協力するまでの間にタクシーを修理されてしまうと、警察は事故による被害を正確に把握できなくなります。

示談交渉・損害賠償請求にも支障が出る可能性があるので、代車に乗ってその場を離れる前に、運転手の名前やタクシーのナンバー、事故直後のタクシーの様子などを記録しておいてください。

タクシー事故解決までの流れ|示談前には慰謝料計算機を活用

タクシー乗車中に事故にあった、もしくはタクシーと事故になったとき、事故現場での対応を終えたら治療を開始します。

タクシー事故の解決までの流れ

  1. ケガの治療を開始
  2. 症状固定(後遺症が残った)なら後遺障害認定を申請
  3. 示談交渉が成立したら示談金を受け取る
示談金の受け取りまでの流れ

治療開始後の流れは、完治した場合と症状固定(後遺症が残った)の場合とで異なる点をおさえておきましょう。

症状固定とは

交通事故によるケガが良くも悪くもならない状態になったこと

症状固定の時期になると、治療を続けても改善が見込めないとして治療が終わるのです。治療費・休業損害の支払いは終わり、身体に残った後遺症への補償の準備を進めていくことになります。

具体的には、後遺障害等級認定の申請が必要です。後遺障害等級によって賠償額が変わってくるので、しっかり準備して申請しましょう。認定結果が出てから示談を始めるようにしてください。

もし後遺症が残らずに完治した場合には、通院終了とともに示談を始める準備をします。タクシー共済から損害賠償額を示す案を受け取ることになりますので、その内容を確認してください。

ただし、提示金額をすぐに受け入れてはいけません。以下の慰謝料計算機を使えば、おおよその慰謝料相場が分かりますので、確かめてみてください。

慰謝料計算機を使った金額に疑問がある方、増額を目指したい方は一度弁護士に相談してみてください。

タクシー事故で請求できる慰謝料相場や賠償金費目

タクシー事故の被害者が請求できる内容は、基本的に通常の交通事故の場合と同じです。
具体的な費目は以下のとおりです。

タクシー事故で請求できる主な費目

  • 慰謝料
    • 入通院慰謝料
    • 後遺障害慰謝料
    • 死亡慰謝料
  • 治療関係費
    • 治療費
    • 器具・装具費(松葉づえ代など)
    • 整骨院の施術費
    • 通院交通費
    • 付添看護費
    • 入院雑費 など
  • 事故による減収の補償
    • 休業損害
    • 逸失利益
  • 物的損害の補償
    • 車や所持品の修理費など

示談金に含まれる各費目のより詳しい内容は、『交通事故の示談金|内訳・金額から示談交渉まですべて解説』で説明しているのであわせてご覧ください。

それぞれの費目の相場などを確認していきましょう。

(1)慰謝料|種類と相場額

慰謝料とは、事故による精神的苦痛を金銭化したものです。

交通事故にあったときは、事故の被害に応じて、「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」を請求可能です。なお、物損事故では基本的に慰謝料は請求できません

交通事故の慰謝料
  • 入通院慰謝料
    事故でケガを負い、入通院した精神的苦痛の補償
  • 後遺障害慰謝料
    事故で後遺障害を負った精神的苦痛の補償
  • 死亡慰謝料
    事故で亡くなった精神的苦痛の補償

それぞれの慰謝料の相場を確認していきましょう。

慰謝料にはいくつかの計算基準がありますが、ここでは「自賠責保険が用いる慰謝料の基準(自賠責基準)」と「弁護士や裁判所が用いる慰謝料の基準(弁護士基準)」により算出される金額を紹介します。

自賠責基準は加害者側の提示額に近い金額、弁護士基準は法的正当性の高い相場の金額と考えてください。

入通院慰謝料の相場額

入通院慰謝料は入院や通院の期間に応じて金額が決まります。計算基準ごとの具体的な金額は以下の通りです。

入通院慰謝料の相場

通院期間自賠責※弁護士※※
1ヶ月12.9万円重:28万円
軽:19万円
2ヶ月25.8万円重:52万円
軽:36万円
3ヶ月38.7万円重:73万円
軽:53万円
4ヶ月51.6万円重:90万円
軽:67万円
5ヶ月64.5万円重:105万円
軽:79万円
6ヶ月77.4万円重:116万円
軽:89万円

※2020年4月1日以降に発生した事故の場合
※※軽はむちうち・すり傷・打撲などの軽傷、重はそれ以外の重傷

タクシー事故の慰謝料相場は、通院1ヶ月のケガであれば軽傷で19万円、重傷で28万円程度が相場です。

あるいは、通院6ヶ月におよぶケガの場合には軽症で89万円、重傷で116万円の相場となり、入通院の期間が長いほど慰謝料は高額になるでしょう。

後遺障害慰謝料の相場

後遺障害慰謝料の金額は、後遺障害の程度に応じて認定される後遺障害等級に基づいて決まります。
後遺障害等級ごとの具体的な金額は、以下の通りです。

後遺障害慰謝料の相場

後遺障害等級 自賠責※弁護士
1級・要介護1,650万円2,800万円
2級・要介護1,203万円2,370万円
1級1,150万円2,800万円
2級998万円2,370万円
3級861万円1,990万円
4級737万円1,670万円
5級618万円1,400万円
6級512万円1,180万円
7級419万円1,000万円
8級331万円830万円
9級249万円690万円
10級190万円550万円
11級136万円420万円
12級94万円290万円
13級57万円180万円
14級32万円110万円

※2020年4月1日以降に発生した事故の場合

タクシー事故で残った後遺症について、後遺障害認定を受けた場合、後遺障害慰謝料相場は110万円から2,800万円です。

死亡慰謝料の相場

死亡慰謝料の金額は、被害者の家庭内の立場に応じて異なります。
具体的な金額は、以下の通りです。

死亡慰謝料の相場

被害者の立場自賠責※弁護士
一家の支柱400万円2,800万円
母親・配偶者400万円2,500万円
独身の男女400万円2,000万円~2,500万円
子ども400万円2,000万円~2,500万円
幼児400万円2,000万円~2,500万円
以下は該当する場合に加算
遺族1名550万円
遺族2名650万円
遺族3名750万円
被扶養者あり200万円

※2020年4月1日以降に発生した事故の場合

タクシー事故によって死亡した場合、弁護士が交渉する時の慰謝料相場は2,000万円から2,800万円です。

もっとも、交通事故の被害者に最低限の金額として認められている自賠責基準からは、400万円から1,350万円の範囲で給付されます。

弁護士基準で示談するには弁護士に依頼すべき

示談交渉では、相手方は「自賠責保険が用いる慰謝料の基準」とほぼ同額~やや高額な慰謝料を提示してくるでしょう。

しかし、被害者が本来受け取るべきなのは、より法的に妥当と言える「弁護士や裁判所が用いる慰謝料の基準」の金額です。

法律の専門家である弁護士に依頼すれば、示談交渉の段階で「弁護士や裁判所が用いる慰謝料の基準」に近い金額を受け取ることも可能です。提示された慰謝料に納得できない方は、弁護士への依頼を検討してみてください。

ご自身のケースにより即した「弁護士や裁判所が用いる慰謝料の基準」の相場は、以下の計算機からも確認できます。

(2)治療関係費|費目と相場額

タクシー事故にあったときは、治療のための費用も相手方に請求することが可能です。

実際に請求できる主な費目と相場を見ていきましょう。なお、実費以外の金額が認められる費目については、「弁護士や裁判所が用いる基準」にそった金額になります。

治療関係費の費目と相場

費目相場
治療費実費
器具・装具費実費
整骨院の施術費実費
通院交通費実費
付添看護費入院:日額6,500円※
通院:日額3,300円※
入院雑費日額1,500円

※家族が付き添った場合

整骨院の施術費

基本的に医師が整骨院への通院を認めた場合のみ請求可能です。
交通事故で整骨院に通院するときの慰謝料などの扱いについては、『交通事故の治療を整骨院で受けても慰謝料はもらえる』の記事をご覧ください。

通院交通費

基本的に公共交通機関の料金になります。

ただし、必要性が認められれば自家用車のガソリン代やタクシー運賃も支払ってもらえることがあります。

付添看護費

医師の指示で家族や職業看護人が被害者の入通院に付き添った場合に認められる費目です。

なお、職業看護人が付き添った場合、基本的に実費が認められます。

(3)事故による減収の補償

タクシー事故でケガをして仕事を休んだことによる減収や、タクシー事故で後遺障害を負ったため将来的に発生する減収なども、相手方に請求できます。

事故による減収の補償には以下の種類があります。なお、物損事故ではいずれの費目も基本的に請求できません

  • 休業損害
    事故でケガをしたため仕事を休んだことによる減収の補償
  • 逸失利益
    • 後遺障害逸失利益
      事故で後遺障害を負ったため減った将来的な収入の補償
    • 死亡逸失利益
      事故で亡くなったため得られなくなった将来的な収入の補償

休業損害は事故前3ヶ月分の平均賃金など、逸失利益は事故前の年収などをもとに計算します。詳しい計算方法や相場については、以下の関連記事をご参照ください。

関連記事

事故時に収入がない人は?

実際に収入を得ていない専業主婦の方でも、休業損害・逸失利益を請求できます。これは、家事労働が賃金労働と同様に評価されるためです。

また、事故発生の時点では働いていない学生の方、求職中の方なども、条件がそろえば休業損害・逸失利益を請求できる可能性があります。

気になる方はこちら

(4)物損に関する補償

タクシーに乗車中の事故で壊れた物品の買い替え費用、タクシーとの接触事故で壊れた車の修理費用なども、基本的に実費で請求することが可能です。

ただし、支払ってもらえるのはあくまで交通事故との因果関係が認められる範囲に限られます。事故前からあった傷や、事故後に生じた故障などについては、当然ながら補償を受けられません。

また、必ずしも新品の価格を支払ってもらえるわけではないことにも注意しましょう。購入から時間が経っていたなら市場価値が下がっていると思われるので、その分支払ってもらえる金額は低くなります。

タクシー事故への対応でよくある疑問

タクシーの急ブレーキでケガをしたときは?

基本的に示談交渉はタクシー会社が加入するタクシー共済と行います。

「タクシーが他の車両やガードレールなどに衝突したわけではないけれど、急ブレーキや急カーブによって乗客がケガをした」という場合、乗客が損害賠償請求できる相手はタクシー運転手とタクシー会社です。

タクシーが自損事故を起こしたら?

タクシーが電柱やガードレールに衝突した事故では、タクシー運転手とタクシー会社に損害賠償請求します。

基本的にはタクシー会社が加入するタクシー共済の担当者と示談交渉することになるでしょう。

タクシーの乗客でも賠償請求されることはある?

タクシーの乗客として交通事故にあった場合、基本的に乗客には事故に対する過失はないとされ、賠償請求されることは原則ありません。

しかし、以下のような場合は事故発生のきっかけを作ったとして過失がつき、タクシー側や事故の相手車両から車の修理費や治療費などを請求される可能性があります。

  • 乗客がタクシー運転手を急かしていた
  • 乗客がタクシー運転手を驚かせるなど安全運転の妨げになることをしていた

ただし、乗客に100%の過失がある場合を除き、請求されるのは損害賠償金の一部となるでしょう。

請求される費目は、車両の修理費や、運転手の治療費、慰謝料、休業損害などです。タクシー側からは「休車損害」も請求される可能性があります。

これは、タクシーを修理に出すことで稼働台数が減り、タクシー会社の収益に支障が出た場合の補償です。

タクシー事故はめんどくさそうと感じたら弁護士に依頼

タクシー事故にかかわらず、交通事故の被害者が事故相手から適切な賠償を受けることには様々なハードルがあります。

タクシー事故においては、一般車両の保険会社ではなくタクシー共済を相手にすることからさらに面倒に感じることも多いといえるのです。

タクシー事故の被害にあった場合は、法律の専門家である弁護士への依頼も検討することをおすすめします。その理由を解説していきます。

弁護士は被害者の代わりに示談交渉できる

タクシー事故では示談交渉の相手がタクシー共済になることが多いです。

タクシー共済は、行政の監督を受けていない、財源が小規模であるといった理由から、さまざまな事由を述べて相場どおりの賠償金を支払うことを拒否してくる傾向にあります。

法律知識が不十分な場合、タクシー共済側が納得するような主張を行うことは難しく、タクシー側に強気な態度を取られるなど、適切な金額で示談することは容易ではありません。

法律の専門家である弁護士に依頼すれば、正確な法律知識に基づいて相場の賠償金を支払うよう交渉してもらえます

タクシー共済側も、専門家による主張であれば態度を軟化させる可能性が高いので、賠償金への増額が成功しやすいでしょう。

増額交渉(弁護士あり)

また、タクシー共済側の態度が変わらないのであれば、裁判を起こして損害賠償金を回収してもらうことも可能です。

どういった方針が被害者にとって最適なのか、弁護士が事案ごとに判断してサポートします。

弁護士に任せると時間的・精神的負担も減らせる

タクシー側との示談交渉では、以下のような理由から、被害者の方が強いストレスを覚えることも少なくありません。

  • 交渉が長期化するうえ、平日の日中に連絡に対応しなければいけない
  • タクシー側がなかなか非を認めようとしない
  • タクシー側の心無い言動で傷ついてしまう
  • タクシー側が専門用語を多用し、強引に交渉を進めようとする など

弁護士に依頼すれば、タクシー側とのやりとりを一任することも可能です。

その結果、被害者はタクシー側とのやりとりによるストレスに煩わされることなく、治療や仕事、子育てなどに専念できるようになるのです。

また、弁護士のサポートを受けることで、示談交渉の早期成立も目指せるでしょう。

弁護士に依頼するメリットについては『交通事故を弁護士に依頼するメリットと必要な理由|弁護士は何をしてくれる?』の記事でも紹介しています。ぜひあわせてご一読ください。

弁護士費用特約を活用して費用負担を減らす

タクシー事故で納得のいく賠償金を受け取りたい場合、弁護士に依頼することが効果的です。しかし、弁護士に依頼する費用が気になる方も多いのではないでしょうか。

実は、弁護士費用の負担は以下の方法によって軽減することが可能です。

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  • 弁護士費用特約を活用する
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弁護士費用特約とは

弁護士費用は弁護士費用特約の補償額内に収まることも多いので、自己負担なく、弁護士に対応を依頼できる場合もあるのです。

弁護士費用特約の利用方法については、『交通事故の弁護士費用特約とは?メリット・使い方・使ってみた感想を紹介』の記事をご覧ください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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