レンタカーで事故!保険と自己負担はどうなる?外国人のレンタカーと事故にあったら?

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レンタカーで事故

レンタカーであっても、車を運転する以上は常に事故に遭う可能性があります。むしろ、自家用車と車高や車幅、操作性が違う点から、運転にはさらに注意が必要といえるでしょう。

レンタカー運転中の事故は、原則としてレンタカー会社が加入する自賠責保険や任意保険を使って相手に対するケガの賠償やレンタカーの修理をします。

また観光目的の訪日外国人が運転するレンタカーとの事故についても、誰に賠償請求するのか、どういった事故リスクが高いのかを知っておきましょう。

レンタカーとカーシェアは別物です。カーシェアで事故に遭った場合は『カーシェアで事故が発生したら?保険の補償内容や示談交渉の注意点』をご確認ください。

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レンタカー乗車中の事故はレンタカーの保険で対応

レンタカーで事故を起こした場合、事故相手への賠償はレンタカー会社が加入する保険でカバーできることがほとんどです。

ただし、保険にも免責額が設けられていたり、保険の補償範囲を超えている場合には自己負担が必要となるので注意しましょう。

レンタカーには保険が付いている

レンタカー会社は自賠責保険や任意保険に加入しており、保険料はレンタカーの料金に含まれています。

そのため、レンタカーで事故を起こした場合、事故相手への損害賠償は原則としてレンタカー会社が加入する保険が適用されます。

レンタカーの代表的な補償として、対人補償や対物補償を知っておきましょう。

対人補償とは、事故で人が死傷した場合の補償です。
事故で人が亡くなったり、重い障害を負って働けなくなったりした場合は、慰謝料や逸失利益といった高額な賠償金が発生する可能性が高いため、一般的に対人補償の補償額は上限がなく無制限となっています。

対物補償とは、事故で物が損壊した場合の補償です。対物補償は無制限のものもありますが、3000万円までなど補償額の上限額が設定されている場合もあります。
そのほか、運転者や同乗者が負傷した場合の治療費を補償する人身傷害補償や、事故でレンタカーが損傷した場合に修理代を補償する車両補償などがあります。

自身が加入している保険が使えることもある

レンタカーの補償が受けられない場合、損害の全額を自己負担しなければならないのでしょうか?

実は、万が一レンタカーの補償が使えなくなった場合でも、自分が加入している自動車の任意保険が使える可能性があります。

使える可能性があるのは、一般に他車運転特約と呼ばれている補償です。他車運転特約とは、自分が加入している自動車ではなく、他人の車を運転して事故を起こした場合に、自分の任意保険を使って保険金を支払うことができる特約になります。

他車運転特約を使うことができれば、レンタカーの補償が使えない場合でも、自分の任意保険を使って賠償金などを支払うことが可能です。

注意点は、他車運転特約だけで全ての損害を賄えるとは限らず、利用すると保険料が増額することです。また、飲酒運転で事故を起こした場合など、他車運転特約の補償対象外になるケースもあります。

万が一の事態に備えて、レンタカーを借りる前に自分の任意保険に他車運転特約が存在するのか、および、特約の補償内容を確認しておきましょう。

レンタカーの保険で補償してくれない範囲を紹介

レンタカーで交通事故が起きた際は、レンタカーの保険により補償がなされます。しかし、すべての損害を補償してくれるわけではないので、補償されない範囲について理解しておく必要があります。

保険の免責額や限度額を超える範囲

レンタカーの保険には免責額が設定されています。免責額とは、治療費や修理代として支払われる保険金のうち、レンタカーの利用者が自己負担しなければならない金額のことです。

免責額は、一般的に対人と対物でそれぞれ5万円程度に設定されているでしょう。

たとえば、レンタカーを運転中に車と衝突事故を起こし、相手に怪我をさせて相手の車も壊した場合、レンタカーの保険から治療費や修理代が支払われますが、レンタカーの利用者は対人と対物の免責額として、合計10万円を支払わなければなりません。

また、保険の補償範囲が無制限ではなく限度額があるとき、その限度額を超えた分は自己負担です。

レンタカーによる営業ができない損害

事故でレンタカーが損壊して使用できなくなった場合、レンタカーの修理が終わるまでや、新しい車両が到着したりするまでは、レンタカー会社はそのレンタカーを使用する営業ができなくなります。
レンタカーが損壊せずに営業すれば本来は得られたであろう利益を、事故を起こした利用者が支払うのがノンオペレーションチャージといい、レンタカーの保険では通常補償されません。

ノンオペレーションチャージの費用は、損傷したレンタカーが自走できる場合は2万円程度、自走できないほど損壊した場合は5万円程度になることが多いでしょう。

なお、事故を起こした場合だけでなく、禁煙車でタバコを吸って臭いをつけた場合や、車のシートをひどく汚してしまった場合なども、ノンオペレーションチャージが発生することがあります。

その他に対象外となりうる損害として、ロードサービス代やレッカー費用などが考えられます。

補償の対象外となる事故では自己負担も発生

レンタカーで事故を起こした際に一定の行為をしてしまうと、補償の対象外になる場合があります。

補償の対象外になった場合、レンタカーの保険が全て使えなくなり、損害の全額を自己負担しなければならなくなるので、禁止されている行為は絶対にしないようにしましょう。

一般に補償の対象外になる行為として、以下のものがあります。

  • 契約者以外の方が運転して事故を起こした
  • 無免許運転や飲酒運転で事故を起こした
  • レンタカーの返却期限を過ぎて延滞している間に事故を起こした
  • 警察やレンタカー会社に事故の連絡をしなかった
  • 事故の相手と勝手に示談をした
  • レンタル契約の約款に違反した

なお、補償の対象外になる行為の詳細はレンタカーサービスによって異なる場合があるので、レンタカー利用を開始する前に必ず確認しておきましょう。

レンタカー事故の損害を負担する場合の流れ

レンタカー事故により生じた損害を負担する場合は、主に以下のような2通りの流れが考えられます。

  1. レンタカーを返却後にレンタカー会社が見積もりを行い、負担額を決めて支払いの請求を行う
  2. まずはノンオペレーションチャージ費用や免責額を請求し、見積もり後に残額を請求

レンタカー会社と話し合いながら進めていきましょう。

レンタカーの事故に備えて行うべきこと

自家用車と勝手が違ったり、慣れない場所を走ったりと、レンタカーの利用には事故のリスクも伴います。どういった点に注意すればレンタカー事故に備えられるのかをみていきましょう。

補償される範囲を広げよう

レンタカーの保険で免責されるため自己負担となる範囲については、契約のオプションである免責補償制度を利用することで自己負担を回避することができます。
免責補償制度はCDWともよばれ、レンタカーで事故を起こした場合に自己負担となる部分を支払わなくてもよくなる制度です。

免責補償制度を利用するには、通常のレンタカー料金のほかに追加費用を支払う必要があります。費用は24時間ごとに1000円程度で、事故を起こした場合の自己負担に比べるとはるかに少額です。事故が不安な場合は加入しておくことをおすすめします。

免責補償制度と同様に、ノンオペレーションチャージも追加費用を支払うことで免責される制度が用意されている場合があるので、レンタカーを借りる前に確認しておきましょう。

出発前にレンタカーの状態を確認しよう

レンタカーを借りる際には、出発前にレンタカーの状態を確認しましょう。
レンタカーを返却した際に、出発時点で確認できなかった傷やへこみがあると、レンタカーの利用者に修理代金が請求されてしまうためです。

修理代金については免責補償制度を利用していないと、自己負担が生じてしまいます。
そのため、レンタカーを借りる際にはレンタカーの状態をしっかりと確認し、レンタルを始めた時点で傷やへこみがある場合は、レンタカー会社のスタッフに伝えておきましょう。

こうすることで、身に覚えのない傷やへこみによる修理代について責任を負う恐れが減少することになります。

訪日外国人が運転するレンタカーと事故にあったら?

観光目的の訪日外国人の増加に伴い、外国人とのレンタカー事故も増加傾向にあります。

訪日外国人の観光客の増加に伴い,レンタカーを利用する訪日外国人は,平成23年から27年までの5年間で約4倍増加している。

内閣府「訪日外国人観光客事故防止対策について

ここからは訪日外国人のレンタカーと事故にあってしまった時の賠償請求先や注意点、交通ルールへの理解について考えていきます。

訪日外国人レンタカーとの事故における賠償請求先

レンタカーは通常、任意保険に加入しているので、任意保険会社が対応してくれるでしょう。

仮に、レンタカーを借りた訪日外国人の運転に問題があるなどして任意保険が使えず補償が十分にもらえないような状況でも、運行供用者としてレンタカー会社に損害賠償請求する方法もあります。

現場で当人同士の金銭のやり取りをすることは避けるようにしましょう。

訪日外国人レンタカーとの事故における注意点

事故相手が外国人であっても、日本国内で生じた交通事故ならば、日本の法律に則った損害賠償請求が可能です。基本的には、外国人との交通事故であっても、日本人同士の交通事故と同じ処理になると考えればよいでしょう。

事故後の対応は本記事の「レンタカーで事故が起きたらすべきこと」をお読みください。

外国人が事故相手の場合は安易にイエス・ノーを回答しないことに留意し、まずはお互いの保険会社に事故発生と状況を連絡して指示に従いましょう。

訪日外国人は日本の交通ルールへの理解度が低い可能性あり

訪日外国人は正しく交通ルールを理解しておらず、事故につながっている可能性があります。

総務省中部管区行政評価局における地域計画調査等の実績「レンタカー事業に関する行政評価・監視―訪日外国人等の利用対策を中心として―」によると、訪日外国人の日本の交通ルールへの正答率は以下の通りでした。

訪日外国人の日本の各交通ルール等の認知状況

交通ルール正答率
走行車線の左右70.1%
赤信号時の左折可否83.8%
「最高速度」標識97.4%
「一時停止」標識29.9%
「徐行」標識35.9%
「駐車禁止」標識35.0%
「車両進入禁止」標識51.3%
ガソリンスタンドの給油ノズルの色と油種57.3%

※出典:総務省中部管区行政評価局における地域計画調査等の実績より抜粋して作成

つづいて、走行車線の左右の違いがあること、標識の意味を理解しづらいことが、どのように事故のリスクとなるのかを説明します。

走行車線の左右の違いがあること

日本において車両は左側通行ですが、外国では右側通行のルールであることも多いです。

右側通行の外国においては、右折する際に対向車がいません。そのため、交差点右折時における注意・確認の重要性が異なり、日本において右直事故発生の可能性があるのです。

なお、基本的な右直事故の場合は直進側の過失が小さくなる傾向にあります。

標識の意味を理解しづらいこと

標識の意味を理解できずに日本の交通ルールに違反してしまい、事故が起こってしまうこともあるでしょう。

たとえば交差点における「一時停止」を知らない場合、出会い頭事故のリスクが高まります。

また「徐行」についても、工事現場付近や通学路などスピードを出すべきではない場所に設置されていることも多く、意味を知らないと重大な事故につながりかねません。

まとめ

交通事故は双方に一定の過失がつく可能性があり、外国人レンタカー側に全責任があるとは言えません。事故相手の国籍に限らず、色々な状況を想定して事故を未然に防ぐことが大切です

訪日外国人レンタカーとの事故リスクが高い状況での過失割合は関連記事も参考にしてください。

レンタカーで事故が起きたらすべきこと

レンタカー乗車中の事故対応は、交通事故が起こったときの一般対応と基本的には同じです。ただし、レンタカー会社にも事故の発生をすみやかに報告する必要がある点に注意しましょう。

レンタカー事故後の対応

  1. 負傷者の救護活動
  2. 警察に通報
  3. レンタカー会社へ事故を報告
  4. ケガの治療

こうした対応について掘り下げて解説します。

(1)負傷者の救護活動

レンタカー運転中に事故にあったら、まずは車を安全な場所に停車して、負傷者がいるかどうかを確認します。

負傷者がいれば安全な場所に移動させてすぐに救急車を呼びましょう。必要に応じて周囲の人々に助けを求めることも大切です。

(2)警察に通報

事故現場での作業が一通り済んだら、必ず警察に通報しましょう。人身事故か物損事故かに関わらず、事故の当事者は警察に報告しなければならないことが法律で義務付けられているからです。

警察に報告しなかった場合、道路交通法違反の罰則の対象になるだけでなく、レンタカーの保険が適用外となる可能性があります。損害内容や事故規模の大小問わず、必ず警察に報告しましょう。

警察への通報を行う際の注意点については『交通事故後は警察への報告義務がある|伝える内容や連絡後の流れも解説』の記事をご覧ください。

(3)レンタカー会社へ事故を報告

警察への通報が済んだら、レンタカー会社にも事故の報告をしてください。すみやかにレンタカー会社に連絡することが、保険適用の条件になっているケースがあるので忘れずに連絡しましょう。

レンタカーでの事故では、レンタカーの保険がきちんと適用されることが重要なので、基本的にはレンタカー会社の指示に従って行動することが大切です。

ポイント

  • 事故現場で事故相手と勝手にお金のやり取りをしたり、安易に示談したりしない

示談は事故の当事者間が合意すると成立してしまう性質をもっています。示談が成立すると、原則的には撤回できないので注意してください。

相手が日本人か外国人か、言葉が通じるか通じないかに関わらず、注意すべきです。その場の示談で生じるリスクについては『交通事故の示談はその場でしてはいけない|リスク回避についても解説』の記事が参考になります。

(4)ケガの治療

交通事故後は速やかに病院を受診して、検査と治療を受けてください。

大した痛みではない、よく知らない土地だから、と病院の受診をためらう人もいるでしょう。しかし、事故直後には分からなくてもケガをしていて、後から何らかの症状が出てきたり、実は骨折していたと後日発覚するケースもあるのです。

事故から日が空いて受診しても、事故との因果関係を疑われて、適正な損害賠償を受けられない可能性がでてきます。また、警察に人身事故として届け出る際には診断書が必要です。

まずは事故現場付近の病院を受診しておき、後から自宅や職場付近の病院へ通院先を変更することは、論理的な理由があるものとしてほぼ認められるでしょう。

病院での治療費は、相手の任意保険会社が直接病院に支払うことで、被害者の窓口負担がないことも多いです。しかし、病院を受診するタイミングや事故態様によっては、被害者がいったん治療費を支払うケースもあります。そうした場合には健康保険を使うことで窓口での負担を減らすことも可能です。

健康保険の利用にあたっては一定の手続きが必要になるので、関連記事『交通事故で健康保険は使える!使えないケースやデメリットも解説』も参考にしてください。

示談前に一度弁護士へ相談しよう

レンタカーの事故に関する補償について説明を行いましたが、実際にいくら支払う必要があるのかどうかという点については、専門知識を有する弁護士に相談するのが最も確実です。

慰謝料は増額できる可能性が高い

レンタカー事故でケガをした場合、治療費や慰謝料といった損害賠償金を請求していきましょう。示談交渉は主に相手の任意保険会社と進めることになり、示談案も相手から提示されるのが基本です。

相手方が提示する示談金額は、あくまで相手の任意保険会社が算出したもので、増額の余地は多くあります。いかに保険会社の担当者が親身に対応してくれていても、金額についてはシビアに考え、示談をしてしまう前に一度弁護士に見積もってもらいましょう

弁護士が代わりに示談交渉を行うことで、被害者が本来なら受け取れるはずの妥当な慰謝料まで引き上げることができます。

慰謝料金額相場の3基準比較

また、弁護士に依頼すれば、弁護士が代理人として、レンタカー会社とのやりとりや事故の相手方との示談交渉などを代わりに行うことが可能です。トラブル時には適切な対応を取ってくれるため、精神的な負担が軽くなり、安心できるというメリットがあります。

無料相談からはじめよう

レンタカー事故で怪我を負った場合は、アトム法律事務所の弁護士との無料相談も検討しましょう。

保険会社が提示するままの示談金を受け入れてはいけません。増額の余地があるか弁護士に聞いてみましょう。弁護士との無料相談をご希望の場合、まずは下記バナーより相談予約をお取りください。

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まとめ

レンタカーで事故を起こした場合、通常の交通事故と同様に負傷者の救助や警察への通報をするのに加えて、レンタカー会社にも連絡する必要があります。

事故の損害はレンタカー会社が加入している保険から支払われますが、免責額やノンオペレーションチャージなど、自己負担が発生する場合もあるので注意しましょう。

万が一、レンタカーの保険が適用できないケースであるとして、事故の損害を自己負担するように要請された場合は、交通事故に知見のある弁護士に相談して、最善の方法を検討することが重要です。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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