カーシェアで事故が発生したら?保険の補償内容や示談交渉の注意点

更新日:

カーシェア事故

カーシェア利用中の事故でも、事故発生時の初期対応は、基本的にはマイカ―での事故と同じです。

ただし、カーシェア利用中の事故では、必ずカーシェア会社に連絡しなければならない点に注意してください。

カーシェア利用中の事故の初期対応(簡略版)

  1. クルマを安全な場所に移動
  2. 救急車の手配(TEL:119番)、安全確保
  3. 警察に連絡(TEL:110番)
  4. 事故の当事者同士で連絡先を交換
  5. カーシェア会社・保険会社へ連絡

本記事では、カーシェア利用中に事故が発生したときの対処法、使える保険やその補償内容、注意点について解説していきます。

交通事故の無料法律相談
相談料 無料
毎日50件以上のお問合せ!

カーシェア利用中の事故の初期対応

(1)クルマを安全な場所に移動

カーシェア中に事故をおこしてしまった場合、まずは、安全な場所にクルマを移動します。

そして、発煙筒や三角停止板等を用いて、状況に応じて、適切な安全措置をとります。

(2)救急車の手配(119番)、安全確保

事故にあってケガ人がいる場合、まずはケガ人を救護してください。

必要に応じて、ケガ人を安全な場所に移動させたり、応急処置を行います。

ケガ人の意識を確認し、119番通報して、救急車を呼びましょう。

さらに、二次被害を防ぐために、周りの安全を確保してください。

ご自身がケガしている場合、可能な限り早く病院で治療を受けましょう。

こちらもチェック

(3)警察へ連絡(110番)

ケガ人の救護と周りの安全確保が済んだら、事故の程度を問わず、すみやかに警察に連絡します。

たとえ、カーシェア車両を軽く擦っただけのような事故であっても、必ず警察に連絡するようにしてください。警察への事故報告は義務であると法律で定められています。

警察への事故報告を怠ると交通事故証明書が発行されません。
今後、補償を受けるにあたって交通事故証明書は必要になるので、必ず警察に連絡してください。

警察が到着すると実況見分が行われるので、可能な限り協力しましょう。
場合によって、実況見分は後日行われることもあります。

(4)事故の当事者同士で連絡先を交換

カーシェアで事故がおきた場合、事故の相手方がいるときは、当事者同士の連絡先の交換も必要です。

たとえば、相手方の住所、氏名、電話番号、車種・ナンバーなどを確認します。

ただし、事故現場での示談は禁物です。通常、カーシェアの事故の場合は、カーシェア会社が示談交渉に関与することになるので、当事者間で無断で示談をおこなうことは避けてください。

こちらもチェック

(5)カーシェア会社の事故受付窓口に連絡

警察への連絡が済んだら、カーシェア会社の事故受付窓口に連絡してください。窓口のオペレーターから保険会社に連絡をしてもらえます。

カーシェア会社によっては先に保険会社に連絡することもあるようなので、どのようにすればいいか事前に確認しておきましょう。

カーシェア利用中の事故を、カーシェアの会社への連絡するときの注意点

カーシェア会社の連絡先(大手9社一覧)

カーシェア事故が発生した場合、カーシェア会社への連絡も必要です。

参考までに、2025年6月17日現在、日本全国各地でシェアを広げているカーシェア会社の連絡先について、まとめました。

場合によっては、別途、保険会社への連絡も必要なケースもあります。

最新の連絡先は、カーシェア会社の利用の手引き等で必ずご確認ください。

窓口連絡先
オリックスカーシェア
オリックスカーシェア事故トラブル専用窓口
0120-094-024
ホンダエブリゴー
EveryGoコールセンター
0120-830-092
カリテコ
カリテコ・ロードサービス
0120-477-668
やさしい カーシェアリングサービス
お問い合わせ窓口
0120-27-8341
EARTHCAR
EARTHCARお客様お問い合わせ窓口
0800-555-1960
タイムズのカーシェアリング
事故受付番号
0120-72-5656
050-3786-0458
三井のカーシェアーズ

(1)保険会社への連絡
0120-258-365
※「三井のカーシェアーズのクルマ」と伝えて事故受付

(2)サポートセンターへの連絡(※会員ページ・車内マニュアル等参照)
D‐Share(大和リースのカーシェアリング
コールセンター
0120-556-282
トヨタのカーシェアサービス
TOYOTA SHAREお問い合わせ窓口
0800-666-2077

カーシェア事故を連絡すべきケース

カーシェア会社ごとの利用規約によりますが、通常、車体についた傷の大小にかかわらず、事故をおこした場合は基本、カーシェア会社に連絡が必要です。

カーシェア事故を連絡しなかった場合のリスク

カーシェア会社への連絡を怠ると、保険の適用対象外になったり会員資格がはく奪されたりする可能性があります。

カーシェアでの事故の場合は、警察への連絡とあわせてカーシェア会社への連絡も忘れないようにしてください。

交通事故の無料法律相談
相談料 無料
毎日50件以上のお問合せ!

カーシェア利用中の事故で請求できる賠償金・使える保険

カーシェア事故における損害賠償の内容

カーシェア事故において被害者自身が請求できる損害の内容や、被害者が請求される恐れのある損害の内容について解説します。

カーシェア事故において請求できる損害の内容

カーシェア事故においてケガを負った場合には、加害者に対して治療費、休業損害、慰謝料などを請求することができます。

車の修理代については、カーシェア会社から加害者に請求することになるでしょう。

具体的な費目は一般的な交通事故の場合と同様です。詳しくは『交通事故の示談金|内訳・金額から示談交渉まですべて解説』をご確認ください。

カーシェア事故において請求される恐れのある損害の内容

カーシェアで事故に遭った場合には、カーシェア会社や事故相手から、以下のような損害について請求される恐れがあるでしょう。

  • カーシェア会社から請求される可能性がある損害
    • 車の修理費
    • ノンオペレーションチャージ
  • 事故相手から請求される可能性のある損害
    (被害者側にも過失が認められる場合)
    • 治療費用、慰謝料などの人的損害
    • 車の修理費用や代車費用などの物的損害

ノンオペレーションチャージとは、車が損傷してカーシェア会社が営業できなくなったことで生じる損害の補てんのために請求されます。

ノンオペレーションチャージは、大体2万円~5万円程度を設定しているカーシェア会社が多いようです。

ノンオペレーションチャージの一般的な金額

事故車両金額
自走可能な場合2万円程度
自走不能な場合5万円程度

重過失や規約違反があれば会員資格がはく奪される

カーシェアの利用者に重過失があって事故が起きた場合や、利用規約違反があった場合には、カーシェアの会員資格がはく奪される可能性があります。

  • 重過失による事故
  • 貸渡約款など利用規約違反があった
  • 事故解決に協力しなかった
  • 事故後の対応を怠った(救護義務違反、報告義務違反)
  • 虚偽の報告をした
  • 事故の申告を怠った
  • 一定期間内に複数回の事故を起こした

重過失は、酒気帯び運転や薬物使用など、道路交通法で定める安全運転義務に違反する行為を行った場合に認められる可能性があります。

※ 実際の内容はカーシェア会社により異なることがあります。

カーシェア事故ではカーシェア会社の保険を利用

カーシェア利用中の事故では、カーシェア会社が加入している保険による補償を受けることができます。

カーシェアの利用料金には自動車保険料(任意保険)が含まれているためです。

そのため、万が一事故に遭っても、カーシェア会社の自賠責保険や任意保険を使って損害賠償金を支払うことができます。

また、自身が受けた損害に対する補償も、カーシェア会社が加入する任意保険から受けられるでしょう。

カーシェア会社ごとに補償内容は異なるので、ここでは一般的な内容について解説します。

カーシェア会社の補償一例

内容限度額
対人賠償保険事故相手を死傷させた場合の補償無制限(自賠責保険を含む)
対物賠償保険事故相手の車などを壊した場合の補償無制限
車両保険カーシェア車両を壊した場合の補償時価額
人身傷害補償保険カーシェア利用者や同乗者が死傷した場合の補償無制限(保険約款に基づき決められる)

※ 実際の補償内容や限度額はカーシェア会社ごとに異なるので契約内容を確認してください。限度額に制限のある保険もあります。

カーシェアの事故ではこのような保険の利用により、自身で賠償金を用意する必要がないケースも多いでしょう。

ただし、カーシェア会社が加入する任意保険では、ノンオペレーションチャージは補償されません。

もっとも、事故時のノンオペレーションチャージを免除するサービスを実施しているところもあるので、カーシェアの契約内容を確認しましょう。

利用者自身の保険が利用可能な場合も

上記で解説した通り、カーシェアで事故が起きた場合には、カーシェアの保険を利用することとなります。

しかし、利用者が他車運転危険補償特約がある任意保険に加入している場合には、カーシェアの保険より優先して利用することが可能です。

カーシェアが加入している保険だけでは不安な場合には、他車運転危険補償特約の利用を検討しましょう。

利用規約違反があると保険適用外の可能性がある

カーシェア会社はそれぞれ利用規約を設けていますので、利用規約に違反があると保険が適用外となる可能性があります。

  • 事故を警察に報告していない
  • 会員以外が運転していた(又貸ししていた)
  • 事故をカーシェア会社に報告していない
  • 相手方と直接示談した
  • 飲酒運転など法令違反による事故 など

上記は一例です。各カーシェア会社の利用規約をご確認ください。

カーシェア利用中の事故で示談交渉をするときの注意点

勝手に示談交渉しない!カーシェア会社の指示を仰ぐ

カーシェアで事故に遭っても、勝手に相手と示談交渉しないようにしましょう。

勝手に相手方と直接示談してしまうと、カーシェア会社が加入する保険の適用対象外となっていまします。使えたはずの保険が使えないとなると、相手方との示談交渉はおろか、相手方への損害賠償も自分自身で行わねばなりません。

カーシェアで事故に遭ったらカーシェア会社に報告して、まずはカーシェア会社や保険会社の指示に従うようにしてください。

また、事故現場ですぐに示談交渉するなど不適切なタイミングで交渉すると、適正な賠償金がわからず後からトラブルになる可能性も高いです。

関連記事『交通事故の示談はその場でしてはいけない!理由や示談を求められた時の対処法』では、カーシェアで事故にあった方もご確認いただきたい、その場で示談するリスクについて解説しています。

事故相手の提示額を鵜呑みにせず弁護士に相談を

事故にあってケガを負った場合、相手方から提示された示談金の金額が妥当かは弁護士に相談して確認しましょう。

示談金のうち、慰謝料の金額については、以下の慰謝料計算機で妥当な金額かどうかを知ることができます。

相手方から提示された慰謝料の金額が、慰謝料計算機の計算結果より低い場合には、ぜひ一度弁護士に相談してみてください。

弁護士に依頼し、示談交渉について弁護士が介入することで、示談金増額の可能性が高まります

弁護士に依頼すれば、示談金増額以外にも様々なメリットが得られるでしょう。
詳しく知りたい方は『交通事故を弁護士に依頼するメリット9選と必要な理由|弁護士は何をしてくれる?』の記事をご覧ください。

弁護士費用特約を利用すれば、相談・依頼の費用を抑えることが可能

弁護士費用特約とは、弁護士に支払う相談料や依頼により生じる費用を保険会社が代わりに負担してくれるというものです。
基本的に、相談料は10万円まで、依頼による費用は300万円までを負担してくれるでしょう。

限度額以上の相談料や依頼による費用が発生することは少ないため、弁護士費用特約があれば、弁護士への相談料や依頼による費用を気にすることなく相談や依頼を行うことができます。

弁護士費用特約とは

カーシェアの保険に弁護士費用特約まで含まれているかは契約内容によりますが、カーシェアの保険ではなく、家族が加入する弁護士費用特約が使える場合もあります。ご家族の保険内容を確認してみてください。

弁護士費用特約について詳しくは、『交通事故の弁護士費用特約とは?メリット・使い方・使ってみた感想を紹介』の記事が参考になります。

弁護士費用特約の補償対象者

弁護士費用特約がないという方もご安心ください。弁護士が介入することで回収できる金額は増額するため、弁護士費用を差し引いても費用倒れにならないケースもあります。

アトム法律事務所の無料相談では、費用倒れの可能性がないかも検討させていただきますので、気軽にお問い合わせください。
アトム法律事務所の弁護士費用については「交通事故の弁護士費用|相談無料・着手金無料」のページで確認できます。

カーシェア利用中の事故は弁護士に相談を

まとめの一言

カーシェア利用中に事故が起きた場合でも、カーシェア会社は自賠責保険と任意保険に加入しているので、もしもの時も安心です。

しかし、カーシェアで事故が発生したら、ケガ人の救護・警察への報告はもちろん、カーシェア会社への事故報告も忘れてはいけません。カーシェア会社への報告を怠ると、保険による補償が受けられなくなってしまいます

カーシェアを利用する場合は、事故後の対応や注意点をよく理解しておきましょう。

アトムの弁護士相談:24時間受付中

アトム法律事務所では、交通事故被害者の方のご相談を24時間受け付けています。

ご自身がケガを負った場合、安易に示談に応じてしまう前に弁護士に一度相談することをおすすめします。妥当な示談金かどうか弁護士に聞いてみましょう。

交通事故の無料法律相談
相談料 無料
毎日50件以上のお問合せ!

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

突然生じる事故や事件に、
地元の弁護士が即座に対応することで
ご相談者と社会に安心と希望を提供したい。