交通事故の示談でもめる8ケースと保険会社とのトラブル対策・解決法

交通事故の示談交渉では、慰謝料・示談金の額が少ない、過失割合に納得できない、主張を聞き入れてもらえない、示談後に後遺症が判明するなどトラブルに発展するケースがあります。
また、治療費の打ち切り、任意保険の担当者の対応が悪いこと等も、もめる原因です。
この記事では、任意保険会社との示談交渉で起こりうるトラブルと、その対処法を詳しく解説していきます。示談交渉をこれから始める方も、すでにトラブルで悩んでいる方も、ぜひ参考にしてください。

目次
交通事故の示談でもめるトラブル8ケースと対処法
交通事故の示談交渉でもめる原因となるトラブルとして、以下の8つが挙げられます。
- 示談金が低額!増額交渉に応じてくれない
- 過失割合が不利で、示談交渉が進まない
- 損害と交通事故の因果関係を否定される
- 治療の必要性を疑われ、示談金が減額される
- 治療費の打ち切りを宣告された
- 加害者側(本人・任意保険会社)の態度が悪い
- 示談後に後遺障害が発覚する
- 示談が進まず時効が迫ってくる
具体的にどのようなトラブルなのか、なぜもめてしまうのか、ひとつずつ確認していきましょう。
(1)示談金が低額!増額交渉に応じてくれない
交通事故の示談交渉で最も多いトラブルの一つが、加害者側から提示された示談金が相場よりも低く、増額を求めても聞き入れられないというケースです。
そもそもなぜ提示額が低いかというと、加害者側の任意保険会社は独自に設定した基準(任意保険)に沿って計算をしているからです。
任意保険基準は各社で異なり非公開ですが、国が設定した最低限の基準(自賠責基準)に近いことも多いです。過去の判例をもとにした法的正当性の高い「弁護士基準」の金額と比較すると、決して十分な金額とは言えません。

たとえばむちうちで後遺障害14級に認定された場合の後遺障害慰謝料は、弁護士基準では110万ですが、自賠責基準だと32万円です。任意保険基準でも自賠責基準に近いことが多いでしょう。
しかし、そのように低い金額を増額させようと交渉しても、簡単には聞き入れられません。
弁護士基準は基本的に裁判で認められる金額なので、「専門家でもない人が主張しても説得力がない」「そんなに高い金額を求めるなら、裁判をしてください」などと言われてしまい、もめる原因になるのです。
トラブル回避の事前対策
あらかじめ弁護士を立てて示談交渉に臨むことがポイントです。
本来裁判で認められるような弁護士基準の金額でも、弁護士が主張すれば以下の点から、近い金額で合意しやすくなります。
- 加害者側の任意保険会社からすると、弁護士の主張を拒否し続けると本当に裁判を起こされ、時間と労力がかかった挙句、弁護士基準の金額を支払うことになるリスクがある
- 専門家である弁護士の主張である以上、根拠がないなどと否定しにくい
(2)過失割合が不利で、示談交渉が進まない
示談金額と同じくらい示談交渉で争点となりやすいのが、過失割合です。
過失割合とは
交通事故が起きた責任が、加害者側と被害者側それぞれにどれくらいあるのか割合で示したもの。
自身についた過失割合分、受け取れる示談金が減額される。(過失相殺)
過失割合は事故時の状況をもとに算定しますが、以下の点から加害者側が主張するものは正しくない場合があります。
- 被害者の過失割合が大きくなればその分示談金が減額されるため、加害者側は被害者の過失を大きくしたい
- 実況見分調書などの客観的・中立的な証拠を確認せず、加害者の証言のみに基づいて過失割合を算定していることがある
しかし、被害者側が過失割合の訂正を求めても、十分に聞き入れられないこともあります。
過失割合は事故の細かい状況まで考慮して柔軟に算定するものなので、算定者によっても判断・考えが分かれやすいことが理由です。
また、過失割合の訂正を求めるには類似する判例などを根拠として示すことが多いですが、「被害者は専門家ではないため、判例解釈に説得力がない」などと言われて取り合ってもらえず、もめることも予想されます。
トラブル回避の事前対策
過失割合についての交渉をスムーズに進めるには、事前に事故の状況がわかる証拠や過去の判例などを用意しておくことがポイントです。
例えばドライブレコーダー映像や実況見分調書、目撃者の証言などがあれば、過失割合算定のベースとなる事故時の状況についてもめることを防ぎやすくなります。
しかし、判例などは先述のように、被害者の主張では説得力がないと言われる可能性があります。厳密な過失割合とその根拠は弁護士に確認し、交渉まで任せておくとよいでしょう。
過失割合に納得いかないときの対処法は、『交通事故の過失割合が納得いかない!おかしいと感じたら弁護士を通じて交渉を』の記事が参考になります。ぜひあわせてお役立てください。
(3)損害と交通事故の因果関係を否定される
示談交渉では、「被害者が主張する損害は本当に交通事故が原因で生じたものか」といった、損害と交通事故の因果関係をめぐってもめることもあります。
交通事故と損害との関連性が十分に認められなければ、その損害に関する慰謝料・賠償金が減額されたり、まったく支払われなくなったりします。
例えば以下の場合は、損害と事故との因果関係についてトラブルになる可能性があります。
- 交通事故発生後、しばらくしてからケガが発覚して診察を受けた
- 交通事故による治療期間中、1ヶ月以上通院が途絶えた時期がある
- 交通事故で負ったケガと類似・関連する既往症がある
具体的な傷病名を挙げると、うつ病や高次脳機能障害は事故との関連性が問題になりやすいです。
高次脳機能障害については『交通事故で記憶障害に|記憶喪失・性格が変わる・言語障害も高次脳機能障害?』で解説しているので、あわせてご確認ください。
トラブル回避の事前対策
損害と事故との因果関係が問題になりそうな場合は、以下の証拠を用意しておきましょう。
- 初診時からの治療経過がわかる診断書や各種検査値
- 事故とケガとの関連性について記載された医師の意見書
- 事故時の状況や、事故による車の損傷部位・程度などがわかる資料
ただし、上記のような証拠を提示しても、十分にケガと事故との関連性を証明できるとは限りません。事前に弁護士に相談し、対策について聞いておくことがおすすめです。
(4)治療の必要性を疑われ、示談金が減額される
交通事故で入通院治療をすると、治療費や通院交通費、入通院慰謝料などを加害者側に請求できます。
しかし、加害者側が示談交渉で「必ずしも必要な治療ではなかった」と治療の必要性を否定してきて、もめることがあります。
必要性の低い治療だと認められれば、加害者側が被害者に支払う治療費や交通費、入通院慰謝料が少なく済むからです。
しかし、被害者側としては交通事故のせいで発生した治療関連費や、精神的苦痛を補償する慰謝料は当然しっかり払ってもらいたいものです。こうした両者の考えの対立によって、もめることもあります。
とくに、以下のようなケースでは治療の必要性を疑われることが多いです。
- 通院頻度が低い
すでに治っているのに治療を続けていると判断される可能性がある。 - 漫然治療
薬や湿布の処方だけ、マッサージを受けるだけの治療を続けると、治療の必要性がないと判断される可能性があります。
トラブル回避の事前対策
治療の必要性を疑われないためには、最低でも月1回以上、可能であれば月10回以上治療を受けるのが望ましいでしょう。
また、治療の必要性に関して医師に意見書を書いてもらうのも一つの手です。
漫然治療に感じられる治療が続く場合には、一度弁護士に相談してみてください。
(5)治療費の打ち切りを宣告された
交通事故によるケガの治療費は、治療と並行して、加害者側の任意保険会社が病院に直接支払うケースがほとんどです。
ただ、中にはまだ治療が必要な状態なのに、加害者側の任意保険会社から治療費の打ち切りを言い渡されることがあります。

この場合、治療費打ち切り後は一旦被害者側で費用を負担しつつ、示談交渉時に残りの治療費を請求します。
しかし、加害者側は残りの治療費の支払いを認めようとせず、トラブルになることがあります。
その主な理由は、加害者側の任意保険会社が「治療費を打ち切った時点でこれ以上の治療は不要と判断しており、打ち切り以降の治療に必要性・相当性があるとは言えない。」と主張するためです。
トラブル回避の事前対策
ケガの痛みがまだあるのに加害者側の任意保険会社から治療費の打ち切りを打診されたら、その時点で治療期間の延長を交渉することが重要です。
被害者1人での交渉では聞き入れてもらえない場合でも、「まだ治療が必要」とする医師の意見書を提出したり、弁護士を介したりすれば、治療期間の延長が認められる可能性があります。
もし治療費を打ち切られてしまったら、その時点で弁護士に相談し、示談交渉で残りの治療費を回収する方法について話し合うのがおすすめです。
治療費の打ち切りを理由に、必要な治療を途中でやめるのは避けましょう。
治療を中断するデメリットや治療費打ち切りへの対処法については、『交通事故で治療費打ち切りの連絡が保険会社から来た!阻止するための対応方法』で詳しく解説しています。
(6)加害者側(本人・任意保険会社)の態度が悪い
交通事故の示談交渉では、加害者や加害者側の任意保険会社が不誠実な態度をとることがあります。具体的には次のような態度が予想されます。
- 加害者から謝罪がない
- 加害者側の任意保険会社が高圧的な態度をとってくる
- 加害者側の任意保険会社が専門用語を多用し、被害者に情報を与えないまま交渉を進めようとする
「少しでも被害者に支払う示談金を少なくしよう」という態度が見えたり、被害者を「示談交渉の素人」とみなして誠実に交渉しない姿勢を感じたりすると、不快に感じるのも当然です。
しかし、その結果として交渉で感情的になってしまうと、話し合いがまとまりにくくなりトラブルに発展するおそれもあります。
トラブル回避の事前対策
加害者側の態度が悪かったとしても、感情的になると交渉に悪影響が出かねません。
弁護士に示談交渉を一任するか、そんぽADRセンターに相談することを検討しましょう。
なお、加害者の態度があまりにも悪い場合は、精神的苦痛が増大したとして慰謝料を増額できることもあります。
詳しくは『交通事故加害者に誠意がない時、慰謝料増額は可能?謝罪に来ず不誠実で許せない時の対処法』をご覧ください。
(7)示談後に後遺障害が発覚する
まれに、示談が成立したあとに後遺障害が発覚することもあります。
示談は一度成立すると原則として再交渉・追加の賠償請求はできません。しかし、あとから後遺障害が発覚した場合は「錯誤」に当たり、たとえ示談成立後でも後遺障害慰謝料・逸失利益に関する交渉が可能になります。
錯誤とは
示談の前提や重要な事実について、誤った理解をしたまま合意してしまうこと
ただし、実際には加害者側の任意保険会社が再交渉・追加の賠償請求を拒否し、トラブルとなることが多いです。
トラブル回避の事前対策
トラブルを防ぐためには、あらかじめ示談書に「留保条項」を記載しておくのが有効です。留保条項とは、「示談成立後に思いがけず新たな損害が発覚することに備える条項」です。
それでもトラブルに発展してしまった場合、被害者自身での解決は難しい可能性が高いので、弁護士に相談することをおすすめします。
示談成立後の再交渉・合意内容の撤回については、『交通事故の示談後、撤回や追加請求は可能?後遺障害があとから発覚したら?』の記事で詳しく解説しています。
(8)示談が進まず時効が迫ってくる
交通事故の示談がなかなか進まない場合、時効が完成してしまい、加害者側に対して損害賠償を請求する権利(損害賠償請求権)が消滅してしまう可能性があります。
交通事故における損害賠償請求権の消滅時効は、以下の通りです。
| 人身事故 (後遺障害なし) | 事故日の翌日から5年 |
| 人身事故 (後遺障害あり) | 症状固定日の翌日から5年 |
| 死亡事故 | 死亡日の翌日から5年 |
| 物損事故 | 事故日の翌日から3年 |
※いずれも2017年4月1日以降に発生した交通事故の場合
※ひき逃げなど加害者不明の場合は、上記と異なる期間となる
時効が近づいてきた場合、加害者側の任意保険会社は「そろそろ示談を成立させなければならない」という被害者側の焦りを利用し、より一層強い態度で交渉してくる可能性があります。
被害者側としては「時効が迫っているとはいえ、さすがにその内容では合意できない」「時効という弱みに付け込む態度が許せない」といった気持ちになり、交渉が難化してトラブルになる可能性もあるでしょう。
トラブル回避の事前対策
上記の表に関わらず保険会社に対する保険金請求の時効は起算日から3年となります。
示談がなかなか進まない場合は、弁護士に相談し、スピード解決を目指してもらうことが有効です。また、そんぽADRセンターに相談してみてもよいでしょう。
弁護士に相談すれば、時効成立を阻止する手続きを取ってもらえる可能性もあります。時効が迫っている場合は、早めに弁護士にご相談ください。
示談が進まないときの対応については、『交通事故で示談が進まない・難航したときどうする?原因と対処法まとめ』の記事も参考にしてみてください。
保険会社との示談かどうかでも、予想されるトラブルは違う
交通事故の示談交渉は、誰と交渉するかによっても進め方や注意点が異なります。
多くのケースでは加害者が加入している「任意保険会社」が相手となりますが、場合によっては加害者本人と直接交渉することもあります。
それぞれのケースで想定されるトラブルを確認しておきましょう。
任意保険会社と交渉する場合によくあるトラブル
加害者が任意保険に加入している場合、示談交渉の窓口は基本的に加害者側の任意保険会社になります。
保険契約に「示談代行サービス(示談交渉代理)」が含まれているため、保険会社が加害者に代わって示談交渉を行う仕組みです。
加害者側の任意保険会社にとって、被害者に支払う示談金は支出です。契約者である加害者のためにも、会社のためにも、示談金は極力少なくしたいと考えます。
そのため、これまで解説してきたトラブルに加え、以下のような点でもめる可能性があるでしょう。
- 知識量に差があることを利用して、「こういうものだから」で主張を通そうとしてくる
- 専門家ではない被害者の主張に説得力はないとしてとりあってくれない
- 被害者のちょっとした発言を理由に、示談金の減額などを主張してくる
任意保険会社との交渉は、相手が専門家であるために知識・立場の差が生じやすいのが特徴です。
不利な条件で示談をまとめてしまわないよう、金額や過失割合に少しでも疑問を感じた時点で、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
加害者本人と交渉する場合によくあるトラブル
以下のような場合、示談交渉は法律上の知識が乏しい加害者本人と行うことになります。
- 加害者が任意保険に加入していない
- 加害者は任意保険に入っているが、示談代行サービスを使わない
お互いに専門知識も示談交渉経験も少ない状態であるため、任意保険会社を相手にする場合とは性質の異なるトラブルが生じやすくなります。
具体的には次の通りです。
感情的な対応で交渉が進まない
加害者の中には、「自分は悪くない」「被害者にも原因がある」と感情的になって交渉してくる人もいます。
「加害者の主張を飲まないと、怖い」「このままでは示談がまとまらない」などの思いで泣く泣く不利な条件で合意してしまうケースや、被害者側も感情的になりトラブルに発展するケースがあります。
法的知識の欠如による誤解や混乱
加害者本人と被害者本人との交渉では、お互いに専門知識がないため、どれくらいの示談金額が妥当なのかわからない状態で話し合いをすることになります。
本当はもっと請求できるはずなのに低い金額で合意してしまったり、正しい金額を主張しているのに、正当な根拠なく反論され続けて話がまとまらなかったりといったトラブルが予想されます。
示談書の作成ミス・不備
示談書は、交渉で決まった示談金額や支払期限などを記載した重要なものです。
しかし、専門家を挟まず示談交渉をすると記載ミスや記載漏れなどの不備があり、以下のようなトラブルが生じる可能性があります。
- 示談金がなかなか支払われない
- 示談成立後に話を蒸し返されてもめる
支払い能力の不足
加害者が任意保険に入っていない場合、示談金は加害者本人に支払ってもらいます。
任意保険未加入の被害者でも、強制加入である自賠責保険には加入していることが多いです。その場合、自賠責保険から示談金を受け取れますが、上限額があります。
そのため、上限額を超える部分は加害者本人からの支払いになりますが、資力などの問題できちんと支払われないというトラブルが起きかねません。

示談交渉をもめずにスムーズに進めるための対策
示談交渉でよくあるトラブルやもめる原因が分かったところで、もめずにスムーズに示談するための対策も確認していきましょう。
もめやすい論点を把握しておく
交通事故の示談交渉で特にもめやすいのは、慰謝料・逸失利益・過失割合の3点です。
いずれも賠償金全体に大きく関わる項目であり、保険会社と被害者で主張が食い違いやすい部分でもあります。
- 慰謝料:加害者側は自社基準、被害者は弁護士基準を主張するため、金額差が生じやすい
- 逸失利益:収入・就労状況など、算定条件をめぐって争いになりやすい
- 過失割合:同じ事故でも、判断基準や証拠の見方によって割合が変わることがある
他にも、以下のケースではもめる可能性があるので、不安がある場合は一度弁護士に相談しておくことがおすすめです。
- 専業主婦として、休業損害を請求したい
- 被害者が学生であり、休学で余分に必要になった学費や下宿代などを請求したい
- 重い後遺障害が残り、将来的に必要になる介護費用も請求したい
事前に「どの部分で争いが起きやすいか」を理解しておくだけでも、交渉の見通しが立てやすくなります。
不安がある場合は、事故直後の段階で弁護士に相談し、どの点を重視すべきか助言を受けておくと安心です。
交渉内容・やりとりを記録する
加害者側や保険会社とのやり取りは、必ず記録に残しておくことが重要です。
示談交渉は電話やメールで進むことが多く、「言った」「言わない」といったトラブルに発展しやすいからです。
- 電話で話した内容は、日時・担当者名・要点をメモに残す
- メールやLINEなどのやり取りは削除せず保存しておく
これらの記録は、交渉がこじれた際や、弁護士に依頼することになった場合に重要な証拠資料となります。
また、交渉の経過を整理しておくことで、自分でも冷静に状況を把握しやすくなるでしょう。
示談金相場を弁護士基準で確認しておく
示談交渉で弁護士を立てるか否かに関係なく、示談交渉前に弁護士に相談し、適正な慰謝料額や過失割合を確認しておくことも、非常に重要です。
慰謝料や過失割合は事故の個別的な事情も考慮して算定されるため、被害者が自分で正確に把握するのは難しいと言わざるを得ません。
そのことを加害者側の任意保険会社もわかっているからこそ、示談交渉で被害者が何かを主張しても、「説得力がない」として退けられてしまうのです。
事前に弁護士に慰謝料や過失割合を確認し、その根拠まで把握しておけば、示談交渉で説得力のある主張がしやすくなります。
また、示談交渉の途中で弁護士を立てることになった場合でも、示談前からコンタクトをとっている弁護士がいればスムーズに依頼ができるでしょう。
示談トラブルが起きてしまった!法的に解決する方法
交通事故の示談交渉でもめるトラブルが起こった際は、弁護士に相談するとよいでしょう。
他にもADR機関の利用や調停の活用といった方法があるので、この点についても解説します。
早い段階で弁護士に相談する
示談交渉でトラブルが発生したら、それ以上問題がこじれる前に弁護士にご相談ください。
自力でなんとかしようとすると、さらに不利な立場に追い込まれてしまい、挽回が難しくなる可能性があります。
弁護士なら、以下の点から迅速なトラブル対応が可能です。
- 加害者側の任意保険会社と対等に交渉ができる
- 弁護士ならではの主張・対処ができる
上記2点について、より詳しく解説していきます。
加害者側の任意保険会社と対等に交渉ができる
加害者側の任意保険会社との示談交渉トラブルを解決するためには、相手方と対等にやり取りをすることが大切です。
加害者側の任意保険会社が被害者の主張を聞き入れなかったり、不愉快な言動をとったりするのは、被害者を経験や知識に乏しい「素人」とみなしているからです。
被害者側に専門家であり交渉のプロである弁護士が介入すれば、加害者側の任意保険会社と対等に交渉ができます。その結果、被害者側の主張を通しやすくなるのです。
また、弁護士が介入した場合、加害者側の任意保険会社は裁判への発展を懸念するようになります。
裁判に発展した場合、非常に時間がかかるうえに弁護士基準で計算した金額の支払いを命じられる可能性があります。そのため、加害者側の任意保険会社の態度が軟化することも多いのです。
弁護士ならではの主張・対処ができる
示談交渉を弁護士に依頼すると、弁護士だからこそできる主張・対処をしてもらえるでしょう。具体的には、次のような主張・対処が挙げられます。
- 弁護士基準の金額の主張
- 正しい過失割合の主張
- 法的根拠に基づいた説得力のある主張・対処
弁護士基準の示談金額についてはすでにお話した通りですが、この金額は、専門家である弁護士が主張しなければ受け入れられにくいのです。
また、過失割合は交通事故に関する細かい事情まで考慮して決められるものなので、正確な過失割合は弁護士でないと判断・主張できません。
他にも示談交渉では、治療費の打ち切りや損害賠償請求権の消滅時効に関するトラブルが起こる可能性があります。このようなトラブルに対しても、弁護士なら法的根拠に基づいた主張・対処をすることが可能です。
関連記事
交通事故の示談交渉は弁護士に依頼!依頼のメリットや方法がわかる
ADRや調停といった方法もある
加害者側ともめて示談交渉が進まなくなったら、ADRの利用や調停の活用といった手段も検討できます。
- ADR
問題について相談し、必要性が認められれば間に弁護士を入れて示談の斡旋をしてもらえる。 - 調停
裁判官と調停員が間に入り、被害者側と加害者側が合意に至れるよう仲立ちしてくれる。
ADRでも調停でも、加害者との間に弁護士や裁判官、調停員が入ってくれるため、こう着していた交渉が動き出す可能性があります。
ただし、ADRでも調停でも、弁護士や裁判官、調停委員は中立的な立場として間に入ります。
被害者の側に立ってサポートしてくれるわけではない点には注意しましょう。
示談でもめるのを防ぎたい!トラブル回避についてよくある質問
ここまで解説してきたとおり、示談でもめるケース・原因はさまざまありますが、いずれにしても弁護士を立てると安心です。
しかし、トラブル回避のために弁護士に依頼しようと思っても、費用などが気になり踏み出せない方も多いです。そこでここでは、以下の点についてお答えしていきます。
- 示談でトラブルになった場合、自力で対処できる?
- 示談を任せるなら自分の保険会社と弁護士、どちらが良い?
- 示談成立後のトラブルも弁護士に相談できる?
- 弁護士費用の負担を抑える方法は?
示談でトラブルになった場合、自力で対処できる?
トラブルになった状態から、被害者自身での対応で交渉を有利に進めていくのは難しいでしょう。
加害者側からの提示額が低い、加害者側が主張を聞き入れてくれないなどのトラブルが起きた時点で、被害者側は不利な状態だと言えます。
そこから、交渉のプロである任意保険会社を相手に巻き返しを図るのは、簡単ではありません。
特に、人身事故や後遺障害が絡むケースでは、法律や判例などの知識が不足していると不利な条件で示談してしまうおそれがあります。
少しでも「金額が低い」「対応に納得できない」と感じたら、早めに弁護士へ相談することが重要です。
示談を任せるなら自分の保険会社と弁護士、どちらが良い?
より幅広いサポートや、弁護士基準の金額獲得を望むのであれば、弁護士への依頼をおすすめします。
自分の任意保険担当者に示談を任せられる「示談代行サービス」では、あくまでも示談を任せられるのみです。それに対して弁護士には、後遺障害認定などその他のサポートも依頼できます。
また、自身の任意保険担当者は自社の任意保険基準に沿った金額を主張するため、弁護士基準の金額獲得は期待できません。
そのため、より幅広いサポートや弁護士基準の金額獲得を目指すのであれば、弁護士のほうがおすすめです。
弁護士費用の負担を抑える方法は?
相談料・着手金無料の事務所を選ぶ方法や、弁護士費用特約を使う方法があります。
相談料・着手金が無料の事務所なら、依頼時の初期費用を抑えられます。示談金獲得後に、成功報酬などを支払うのみなので、費用負担を軽減できるでしょう。
それよりもさらに費用を抑えたいなら、弁護士費用特約がおすすめです。これは、自身の任意保険に弁護士費用を負担してもらえる特約です。
負担してもらえる金額には上限がありますが、弁護士費用が上限内に収まることは多いです。
詳しくは関連記事『交通事故の弁護士特約とは?使い方・使ってみた感想やデメリットはあるかを解説』で解説しています。

示談成立後のトラブルも弁護士に相談できる?
基本的には、示談が成立してしまうと再交渉や示談の取り消しはできません。
そのため、示談成立後に弁護士に相談しても、受けられるサポートがない可能性があります。
しかし、示談成立前には把握しえなかった損害が発覚した場合や、脅迫などによって示談が成立した場合など、一部のケースにおいては示談成立後の再交渉ができることもあります。
こうした場合は、弁護士に対応を相談・依頼できる可能性があるでしょう。
詳しくは、『交通事故の示談後、撤回や追加請求は可能?後遺障害があとから発覚したら?』の記事もご覧ください。
交通事故の示談トラブルは弁護士に相談して解決しよう
交通事故の示談は、任意保険会社の担当者が交渉相手となることが多いです。被害者自身が過失ゼロの場合は、示談代行サービスを使えないため、自分で事故相手の任意保険会社担当者と示談交渉をしなければなりません。
保険会社は日常的に交通事故の示談交渉を行っているため、もっともらしい理屈を並べて示談を成立させようとしてきます。
そのため、被害者は法的に正当な金額を請求できず、妥協してしまうケースもあります。
弁護士基準による示談交渉を行うことで、任意保険会社とのトラブルをスムーズに解決できます。まずは無料の弁護士相談から始めてみましょう。
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アドバイスして頂いた通り納得できる回答を加害者側保険担当者様からいただきました。ありがとうございました
弁護士相談の受付は、24時間365日うけたまわっています。ご都合のよろしいお時間にご連絡ください。
アトムの解決実績
過去にアトム法律事務所が取り扱った交通事故の解決事例について、プライバシーに配慮したかたちで一部ご紹介します。
むちうちの増額事例
弁護士相談の段階で後遺障害等級が既に認定済だったものの、慰謝料などの金額に増額の余地があったケース。

弁護活動の成果
提示額の137万円から、最終的な受取金額が312万円まで増額された。
年齢、職業
20~30代、会社員
傷病名
むちうち
後遺障害等級
14級9号
死亡事故の増額事例
軽自動車に信号無視の大型トラックが突っ込み、軽自動車を運転していた女性が亡くなったケース。

弁護活動の成果
最終的に当初の保険会社提示額より1000万円以上の増額で和解に至った。
年齢、職業
40~50代、主婦・主夫
傷病名
死亡事故
後遺障害等級
死亡事故
鎖骨骨折の増額事例
交差点で信号無視のバイクに衝突されて左肩の鎖骨骨折という重傷を負った事案

弁護活動の成果
当初の提示額の3.7倍に増額、2300万円で示談が成立した。
年齢、職業
40~50代、会社員
傷病名
鎖骨骨折
後遺障害等級
10級10号

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
