交通事故の示談交渉で保険会社ともめる原因とトラブル解決方法を解説

示談とは、裁判をせず、当事者同士の話し合い(示談交渉)によって和解することをいいます。
交通事故の示談交渉は、基本的に加害者側の任意保険会社が相手となりますが、もめるケースも少なくありません。
たとえば、交通事故の示談のトラブルには、慰謝料・示談金の額が少ない、過失割合に納得できない、示談後に後遺症が判明する等があります。また、治療費の打ち切り、任意保険の担当者の対応が悪いこと等ももめる原因です。
このような示談交渉でのトラブルを解決するには、交通事故に詳しい弁護士への相談が近道です。
この記事では、任意保険会社との示談交渉でおこりうるトラブルや、そのトラブルの対処法を詳しく解説していきます。交通事故の示談交渉をはじめる方も、今現在トラブルで困っている方も、ぜひ参考にしてみてください。
目次

交通事故の示談は任意保険ともめる?
交通事故の示談とは
交通事故の示談とは、加害者と被害者が損害の賠償問題について話し合い(示談交渉をおこない)、和解することをいいます。
通常、交通事故の示談交渉は、保険会社同士がおこなうことが多いです。
ただし、被害者は自身の過失がゼロの場合、示談代行サービスを使えません。そのため、被害者自身で加害者側の保険会社と直接、示談交渉をする必要があります。
なお、示談代行サービスについては、『示談代行サービスで保険会社に任せっきりでも大丈夫?任せるメリットとデメリット』の記事で解説しています。
交通事故の示談で任意保険会社と話し合う内容
交通事故の示談で任意保険会社と話し合うことは、主に示談金の金額と、事故の過失割合についてです。
交通事故の示談金の内容
交通事故の示談金の主な内訳としては、以下のようなものになります。

治療関係費 | 交通事故によるケガの入院費、治療費、通院交通費、介護費など |
休業損害 | 交通事故によるケガで休業し、減収した分の補償 |
入通院慰謝料 | 交通事故で入通院せざるを得なくなった精神的苦痛に対する補償 |
逸失利益 | 交通事故による後遺障害・死亡で、減少した生涯年収に対する補償 |
後遺障害慰謝料 | 交通事故による後遺障害が残ったこ精神的苦痛に対する補償 |
死亡慰謝料 | 交通事故で死亡した被害者・その遺族の精神的苦痛に対する補償 |
葬祭費 | 通夜や葬儀、位牌などの費用 |
物損 | 車の修理費、代車費用など |
各費目の計算方法や、どのような条件で請求できるかは、交通事故の損害賠償について解説した記事『交通事故の損害賠償請求とは?賠償金の費目範囲や相場・計算方法を解説』をご覧ください。
加害者側(任意保険会社を含む)は示談金を支払う側、被害者は示談金を受けとる側となります。そのため、これらの賠償の内容について、もめることが多いです。
交通事故の過失割合
交通事故の過失割合とは、事故の当事者のどちらに、どのくらい、事故をおこした責任があるのかを示した割合を指します。
過失割合に応じて、示談金は少なくなります。
損害額100万円の場合の示談金額の例
- 加害者100%:被害者0%のケース
→示談金額100万円 - 加害者80%:被害者20%のケース
→示談金額80万円
示談で解決する場合は、過去の裁判例の相場(「判例タイムズ38」等)を参考にして、当事者で話し合って、過失割合を決めます。
追突事故の過失割合は「加害者100:被害者0」になることも多いですが、出会い頭の事故では被害者側にも何割か過失が認められるケースが少なくありません。
交通事故の過失割合について詳しく知りたい方には『交通事故の過失割合とは?パターン別に何%か調べる方法と決め方の手順』の記事もおすすめです。
交通事故の示談の流れ(任意保険会社との場合)

事故が発生し、交通事故で負傷したときは、まず速やかに病院で、入通院治療を受けることが大切です。
ケガの程度によって治療期間は異なり、軽傷なら数か月、重傷なら6か月以上、場合によっては年単位に及ぶこともあります。そして、完治した場合、示談交渉に進みます。
一方で、症状が完治しなかった場合は、「後遺障害」の申請を行います。後遺障害として等級が認定されると、その等級に応じて賠償金を追加で請求できます。
加害者側の任意保険会社との示談交渉については、以下のような流れになります。
示談交渉(開始から解決まで)の流れ
- 加害者側の任意保険会社から示談案が届く
- 示談交渉(過失割合、示談金額等の交渉)
- 示談成立後、加害者側の任意保険会社から示談書が届く
- 示談書に署名・捺印して加害者側の任意保険会社に返送する
- 2週間程度で慰謝料・賠償金が振り込まれる
示談交渉でのやりとりは、基本的に電話やFAXなどで行われ、実際に面と向かって交渉することはほとんどありません。
一見、精神的な負担が少ないように思われがちですが、そうとも限りません。保険会社から、電話口で強い口調で主張されたり、一方的な通知が書面で届いたりすると、不安や戸惑い、苛立ちを覚えることも少なくないからです。
しかも、最初から納得できる金額が提示されることはほとんどなく、トラブルになり、長期間もめることもよくあります。
示談交渉でもめる原因やよくあるトラブル|事前対策は?
交通事故の示談交渉でもめる原因となるトラブルとして、以下の8つが挙げられます。
- 加害者側の提示額が低いのに、増額に応じてもらえない
- 過失割合で意見が食い違う
- 損害と交通事故との因果関係が疑われる
- 治療に必要性・相当性があったか疑われる
- 治療費を打ち切られ、残りの治療費を示談で請求する
- 加害者側の態度が悪い
- あとから後遺障害が発覚する
- 示談が進まず時効が迫ってくる
具体的にどのようなトラブルなのか、なぜもめてしまうのか、ひとつずつ確認していきましょう。
(1)示談金が低額!増額交渉に応じてくれない
示談交渉の際、加害者側は相場よりも低い金額を提示してきますが、増額を求めても簡単には応じてもらえないことが多いです。これが、示談交渉でよくあるトラブルの1つ目です。
交通事故において、被害者が本来受け取るべき慰謝料額は「弁護士基準(裁判基準)」と呼ばれる基準に沿ったものです。弁護士基準は過去の判例をもとに設定されており、法的正当性が高くなっています。
しかし、加害者側の任意保険会社は、弁護士基準ではなく自社独自の基準(任意保険基準)に沿った金額を提示してきます。
任意保険基準は各社で異なり非公開ですが、おおむね弁護士基準の半分から3分の1程度と低額です。

※自賠責基準は「国が定めた最低限の金額基準」を指す。
当然被害者側は増額してほしいと考えますが、弁護士基準は本来なら裁判で認められるような金額なので、被害者が示談交渉で主張しても、加害者側は簡単には増額に応じません。
よって、増額をしてほしい被害者側と増額に応じない加害者側の任意保険会社とで合意に至れず、もめてしまうのです。
弁護士基準における慰謝料の計算方法は、『交通事故の慰謝料は弁護士基準(裁判基準)で請求』で詳しく解説しています。
トラブル回避の事前対策
事前対策としては、あらかじめ弁護士を立てて示談交渉に臨むことがポイントです。
いくら被害者側が根拠をそろえて適切な慰謝料額を主張しても、示談交渉経験や損害賠償金に関する知識量は加害者側の任意保険会社の方が圧倒的に豊富です。
「専門家ではないから説得力がない」「被害者は判例の解釈を間違えている」などとして反論されてしまうことが予想されます。
加害者側の任意保険会社と対等に交渉するには、被害者側も専門家を立てることが重要なのです。
(2)過失割合が不利で、示談交渉が進まない
示談金額と同じくらい示談交渉で争点となりやすいのが、過失割合です。
過失割合とは
交通事故が起きた責任が、加害者側と被害者側それぞれにどれくらいあるのか割合で示したもの。
自身についた過失割合分、受け取れる示談金が減額される。(過失相殺)
過失割合は事故当時の状況をもとに決めるものですが、加害者側の任意保険会社が提示する割合が必ずしも正しいとは限りません。その理由は以下の通りです。
- 加害者側の任意保険会社は、過失割合を加害者の言い分のみをもとに算出していることがあるから
- 支払う金額を減らすために、わざと被害者の過失割合を多めに見積もっていることがあるから
加害者側の任意保険会社は、必ずしも事故当時の状況を客観的に検証したうえで過失割合を算出しているとは限りません。警察が捜査内容をまとめた「実況見分調書」を確認すると、加害者側の任意保険会社も知らない加害者の過失が判明するといったこともあるのです。
しかし、被害者が加害者側の任意保険会社に過失割合の訂正を求めても受け入れられない場合も多く、双方の言い分が対立することは少なくありません。
トラブル回避の事前対策
過失割合についての交渉をスムーズに進めるには、事前に事故の状況がわかる証拠や過去の判例などを用意しておくことがポイントです。
しかし、過失割合には事故の個別的な事情も多く反映されるため、適切な過失割合を知るには専門知識が必要です。
事前に弁護士に相談し、厳密な過失割合とその根拠を確認しておくことをおすすめします。
過失割合に納得いかないときの対処法は、『交通事故の過失割合が納得いかない!おかしいと感じたらゴネ得を許さず対処』の記事が参考になります。ぜひあわせてお役立てください。
(3)交通事故との因果関係を否定される
示談交渉では、「被害者が主張する損害は本当に交通事故が原因で生じたものか」といった、損害と交通事故の因果関係をめぐってもめることもあります。
交通事故と損害との関連性が十分に認められなければ、その損害に関する慰謝料・賠償金が減額されたり、まったく支払われなくなったりします。
例えば以下の場合は、損害と事故との因果関係が疑われやすいです。
- 交通事故発生後、しばらくしてからケガが発覚して診察を受けた
- 交通事故による治療期間中、1ヶ月以上通院が途絶えた時期がある
- 交通事故で負ったケガと類似・関連する既往症がある
具体的な傷病名を挙げると、うつ病や高次脳機能障害は事故との関連性が問題になりやすいです。
高次脳機能障害については『事故後の記憶障害・性格が変わる・言語障害…高次脳機能障害の症状とは?』で解説しているので、あわせてご確認ください。
トラブル回避の事前対策
損害と事故との因果関係が問題になりそうな場合は、以下の証拠を用意しておきましょう。
- 初診時からの治療経過がわかる診断書や各種検査値
- 事故とケガとの関連性について記載された医師の意見書
- 事故時の状況や、事故による車の損傷部位・程度などがわかる資料
ただし、上記のような証拠を提示しても、十分にケガと事故との関連性を証明できるとは限りません。事前に弁護士に相談し、対策について聞いておくことがおすすめです。
(4)治療の必要性を疑われ、示談金が減額に
交通事故で入通院治療をすると、治療費や通院交通費、入通院慰謝料などを加害者側に請求できます。
しかし、加害者側が示談交渉で「必ずしも必要な治療ではなかった」と治療の必要性を否定してきて、もめることがあります。
必要性の低い治療だと認められれば、加害者側が被害者に支払う治療費や交通費、入通院慰謝料が少なく済むからです。
とくに、以下のようなケースでは治療の必要性を疑われることが多いです。
- 通院頻度が低い
すでに治っているのに治療を続けていると判断される可能性がある。 - 漫然治療
薬や湿布を処方してもらうだけ、マッサージを受けるだけといった治療を続けると、必要不可欠な治療とは言えないと判断される可能性がある。
トラブル回避の事前対策
治療の必要性を疑われないためには、最低でも月1回以上、可能であれば月10回以上治療を受けるのが望ましいでしょう。
漫然治療に感じられる治療が続く場合には、一度弁護士に相談してみるのも良いでしょう。
(5)治療費の打ち切り
交通事故によるケガの治療費は、治療と並行して、加害者側の任意保険会社が病院に直接支払ってくれることがほとんどです。
しかし中には、まだ治療が必要な状態なのに、加害者側の任意保険会社から治療費の打ち切りを言い渡されることがあります。
この場合、治療費打ち切り後は一旦被害者側で費用を負担しつつ、示談交渉時に残りの治療費を請求します。
しかし、加害者側は残りの治療費の支払いを認めようとせず、トラブルになることがあるのです。
「加害者側の任意保険会社としては、治療費打ち切りの時点でこれ以上の治療は不要と判断していた。したがって、打ち切り以降の治療に必要性・相当性があるとは言えない。」というのが主な理由です。
トラブル回避の事前対策
治療費打ち切り後の治療費についてもめないためには、打ち切りを打診された時点で打ち切り延長を交渉することが重要です。
被害者1人での交渉では聞き入れられなくても、「まだ治療が必要」とする医師の意見書を提出したり、弁護士を挟んだりすると聞き入れられる可能性があります。
もし治療費が打ち切られてしまったら、その時点で弁護士にコンタクトを取り、示談交渉で残りの治療費を回収する方法について相談することがおすすめです。
治療費が打ち切りを受け、まだ必要な治療を終わらせることは避けましょう。
治療を中断するデメリットや治療費打ち切りへの対処法については、『交通事故で保険会社から治療費打ち切りの連絡!阻止するための対応方法を紹介』で詳しく解説しています。
(6)加害者側(本人・任意保険会社)の態度が悪い
交通事故の示談交渉では、加害者や加害者側の任意保険会社が不誠実な態度をとることがあります。具体的には次のような態度が予想されます。
- 加害者から謝罪がない
- 加害者側の任意保険会社が高圧的な態度をとってくる
- 加害者側の任意保険会社が専門用語を多用し、被害者に情報を与えないまま交渉を進めようとする
基本的に加害者側の任意保険会社は、被害者を「素人」と見なして交渉をしてきます。そのために不快な思いをさせられ、強いストレスを感じる被害者の方も珍しくありません。
トラブル回避の事前対策
加害者側の態度が悪かったとしても、感情的になると交渉に悪影響が出かねません。
弁護士に示談交渉を一任してしまうか、そんぽADRセンターに相談することを検討しましょう。
なお、加害者側の態度があまりにも悪い場合は、精神的苦痛が増大したとして慰謝料を増額させられることもあります。
詳しくは『交通事故加害者に誠意がない時、慰謝料増額は可能?不誠実で許せない時の対処法』をご覧ください。
(7)示談後に後遺障害が発覚する
まれに、示談が成立したあとに後遺障害が発覚することもあります。
示談は一度成立すると原則として再交渉・追加の賠償請求はできません。しかし、あとから後遺障害が発覚した場合は「錯誤」に当たり、たとえ示談成立後でも後遺障害慰謝料・逸失利益に関する交渉が可能になります。
錯誤とは
示談の前提や重要な事実について、誤った理解をしたまま合意してしまうこと
ただし、実際には加害者側の任意保険会社が再交渉・追加の賠償請求を拒否し、トラブルとなることが多いです。
トラブル回避の事前対策
トラブルへの発展を防ぐためには、あらかじめ示談書に「留保条項」を記載しておくことが有効になるでしょう。留保条項とは、「示談成立後に思いがけず新たな損害が発覚することに備える条項」のことです。
それでもトラブルに発展してしまった場合、被害者自身での解決は難しい可能性が高いので、弁護士に相談することをおすすめします。
示談成立後の再交渉・合意内容の撤回については、『交通事故の示談後、撤回や追加請求は可能?後遺障害があとから発覚したら?』の記事で詳しく解説しています。
(8)示談が進まず時効が迫ってくる
交通事故の示談がなかなか進まない場合、時効が完成してしまい、加害者側に対して損害賠償を請求する権利(損害賠償請求権)が消滅してしまう可能性があります。
交通事故における損害賠償請求権の消滅時効は、以下の通りです。
人身事故 (後遺障害なし) | 事故日の翌日から5年 |
人身事故 (後遺障害あり) | 症状固定日の翌日から5年 |
死亡事故 | 死亡日の翌日から5年 |
物損事故 | 事故日の翌日から3年 |
※いずれも2017年4月1日以降に発生した交通事故の場合
※ひき逃げなど加害者不明の場合は、上記と異なる期間となる
時効が近づいてきた場合、加害者側の任意保険会社は「そろそろ示談を成立させなければならない」という被害者側の焦りを利用し、より一層強い態度で交渉してくる可能性があります。
トラブル回避の事前対策
なお、保険会社への保険金請求の時効は、上記の表に関わらず起算日から3年となります。
示談がなかなか進まない場合は、弁護士に相談し、スピード解決を目指してもらうことが有効です。また、そんぽADRに相談してみてもよいでしょう。
また、弁護士に相談すれば、時効成立を阻止する手続きを取ってもらえる可能性もあります。時効が迫っている場合は、早めに弁護士にご相談ください。
示談が進まないときの対応については、『交通事故で示談が進まないときどうする?原因と対処法まとめ』の記事も参考にしてみてください。
示談交渉でトラブルが起きやすい背景
示談交渉では被害者側と加害者側との折り合いがつかずにトラブルになることがありますが、そこにはさまざまな背景があります。
示談交渉でもめやすいタイミングやもめやすい項目も合わせて、見ていきましょう。
示談交渉でトラブルが起きやすい背景事情
交通事故の示談交渉でトラブルが起きやすい背景事情として、「加害者側の交渉人が任意保険担当者であることが多い」という点が挙げられます。
加害者側の任意保険会社は、以下の点から少しでも示談金額を低くしようとシビアな態度で交渉に臨んできます。
- 増額を認めると、保険会社としての支出が多くなってしまう
- 増額を認めると、顧客(保険加入者)である交通事故加害者の意に反することになる
- 示談交渉の結果は、保険担当者自身の業績にも影響する
こうした点から、たとえ被害者の主張が正しかったとしても、すんなり聞き入れることはなくもめやすいのです。
交通事故の示談交渉でもめやすいポイント
交通事故の示談交渉では、特に慰謝料や逸失利益、過失割合についてもめることが多いです。
慰謝料や逸失利益は示談金の中でも特に高額になりやすい費目であり、過失割合は示談金の総額に影響する項目だからです。
他にも、以下のケースではもめる可能性があるので、不安がある場合は一度弁護士に相談しておくことがおすすめです。
- 専業主婦として、休業損害を請求したい
- 被害者が学生であり、休学で余分に必要になった学費や下宿代などを請求したい
- 重い後遺障害が残り、将来的に必要になる介護費用も請求したい
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交通事故の示談交渉でトラブルが起きたらどうする?
交通事故の示談交渉でもめるトラブルが起こった際は、弁護士に相談するとよいでしょう。
他にもADR機関の利用や調停の活用といった方法があるので、この点についても解説します。
こじれる前に弁護士に相談することが重要
示談交渉でトラブルが発生したら、それ以上問題がこじれる前に弁護士にご相談ください。
自力でなんとかしようとすると、さらに不利な立場に追い込まれてしまい、挽回が難しくなる可能性があります。
弁護士なら、以下の点から迅速なトラブル対応が可能です。
- 加害者側の任意保険会社と対等に交渉ができる
- 弁護士ならではの主張・対処ができる
上記2点について、より詳しく解説していきます。
加害者側の任意保険会社と対等に交渉ができる
加害者側の任意保険会社との示談交渉トラブルを解決するためには、相手方と対等にやり取りをすることが大切です。
加害者側の任意保険会社が被害者の主張を聞き入れなかったり、不愉快な言動をとったりするのは、被害者を経験や知識に乏しい「素人」とみなしているからです。
被害者側に専門家であり交渉のプロである弁護士が介入すれば、加害者側の任意保険会社と対等に交渉ができます。その結果、被害者側の主張を通しやすくなるのです。
また、弁護士が介入した場合、加害者側の任意保険会社は裁判への発展を懸念するようになります。
裁判に発展した場合、非常に時間がかかるうえに弁護士基準で計算した金額の支払いを命じられる可能性があります。そのため、加害者側の任意保険会社の態度が軟化することも多いのです。
弁護士ならではの主張・対処ができる
示談交渉を弁護士に依頼すると、弁護士だからこそできる主張・対処をしてもらえるでしょう。具体的には、次のような主張・対処が挙げられます。
- 弁護士基準の金額の主張
- 正しい過失割合の主張
- 法的根拠に基づいた説得力のある主張・対処
弁護士基準の示談金額についてはすでにお話した通りですが、この金額は、専門家である弁護士が主張しなければ受け入れられにくいのです。
また、過失割合は交通事故に関する細かい事情まで考慮して決められるものなので、正確な過失割合は弁護士でないと判断・主張できません。
他にも示談交渉では、治療費の打ち切りや損害賠償請求権の消滅時効に関するトラブルが起こる可能性があります。このようなトラブルに対しても、弁護士なら法的根拠に基づいた主張・対処をすることが可能です。
ADRや調停といった方法もある
加害者側ともめて示談交渉が進まなくなったら、ADRの利用や調停の活用といった手段も検討できます。
- ADR
問題について相談し、必要性が認められれば間に弁護士を入れて示談の斡旋をしてもらえる。 - 調停
裁判官と調停員が間に入り、被害者側と加害者側が合意に至れるよう仲立ちしてくれる。
ADRでも調停でも、加害者との間に弁護士や裁判官、調停員が入ってくれるため、こう着していた交渉が動き出す可能性があります。
ただし、ADRでも調停でも、弁護士や裁判官、調停委員は中立的な立場として間に入ります。
被害者の側に立ってサポートしてくれるわけではない点には注意しましょう。
示談交渉でもめたくない!事前にできる対策
示談交渉で加害者側ともめるのが不安、トラブルになりたくないという場合は、事前に以下の対策をしておきましょう。
- やり取りや交渉は記録に残す
- 事前に弁護士に示談金相場などを確認する
それぞれの重要性について、解説します。
事前対策(1)やりとりや交渉は記録に残す
加害者側とのやり取りや交渉は、メモなどの記録に残しておきましょう。
そうすることで、あとから「言った」「言っていない」で揉めることを防げます。また、加害者側の発言に矛盾点やおかしな点がないか、後から振り返って確認しやすくなるため、もめてしまった時の対策を考えやすくなるでしょう。
また、加害者側とのやり取りを記録しておけば、トラブルになり弁護士への依頼が必要になった際、スムーズに状況や経緯を説明できます。
事前対策(2)事前に弁護士に示談金相場などを確認する
示談交渉で弁護士を立てるか否かに関係なく、示談交渉前に弁護士に相談し、適正な慰謝料額や過失割合を確認しておくことも、非常に重要です。
慰謝料や過失割合は事故の個別的な事情も考慮して算定されるため、被害者が自分で正確に把握するのは難しいと言わざるを得ません。
そのことを加害者側の任意保険会社もわかっているからこそ、示談交渉で被害者が何かを主張しても、「説得力がない」として退けられてしまうのです。
事前に弁護士に慰謝料や過失割合を確認し、その根拠まで把握しておけば、示談交渉で説得力のある主張がしやすくなります。
また、示談交渉の途中で弁護士を立てることになった場合でも、示談前からコンタクトをとっている弁護士がいればスムーズに依頼ができるでしょう。
もめないための事前対策・トラブル対処は弁護士にお任せ
任意保険会社との示談交渉についてのまとめ
交通事故の賠償問題は、最初から裁判をおこすのではなく、まずは示談交渉による解決を目指します。
事故相手が任意保険に加入している場合、任意保険会社の担当者との示談交渉になります。
被害者自身の過失がゼロの場合など「示談代行サービス」を利用できないケースでは、自分で事故相手の任意保険会社担当者と交渉をしなければなりません。
保険会社は常日頃、業務として交通事故の示談交渉にあたっているため、もっともらしい理屈をならべたり、交渉ごと特有の手法を用いたりして話をまとめようとしてきます。
そのため、被害者は自身が請求可能である法的正当性のある金額を請求できずに、示談に応じてしまうケースも少なくありません。
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アトムの解決実績(任意保険との示談交渉)
こちらでは、過去にアトム法律事務所が取り扱った交通事故の解決事例について、プライバシーに配慮したかたちで一部ご紹介します。
むちうちの増額事例
弁護士相談の段階で後遺障害等級が既に認定済だったものの、慰謝料などの金額に増額の余地があったケース。

弁護活動の成果
提示額の137万円から、最終的な受取金額が312万円まで増額された。
年齢、職業
20~30代、会社員
傷病名
むちうち
後遺障害等級
14級9号
死亡事故の増額事例
軽自動車に信号無視の大型トラックが突っ込み、軽自動車を運転していた女性が亡くなったケース。

弁護活動の成果
最終的に当初の保険会社提示額より1000万円以上の増額で和解に至った。
年齢、職業
40~50代、主婦・主夫
傷病名
死亡事故
後遺障害等級
死亡事故
鎖骨骨折の増額事例
交差点で信号無視のバイクに衝突されて左肩の鎖骨骨折という重傷を負った事案

弁護活動の成果
当初の提示額の3.7倍に増額、2300万円で示談が成立した。
年齢、職業
40~50代、会社員
傷病名
鎖骨骨折
後遺障害等級
10級10号
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弁護士費用特約とは
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ご連絡お待ちしています。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了