示談後、撤回や追加請求は可能?後遺障害があとから発覚したら?
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示談後の追加請求や示談の撤回などは、原則としてできません。
示談後に新たな後遺障害が発覚したなど一部のケースでは追加請求が認められるケースもありますが、再交渉にあたっては加害者側とトラブルになる可能性も十分考えられます。
この記事では、示談後に追加請求・示談の撤回ができるケースや示談後のトラブルを防ぐ方法を解説します。
示談後に追加請求・示談の撤回を巡ってトラブルにならないよう、しっかり確認していきましょう。
示談後に追加請求や撤回は可能?
示談後の追加請求や撤回は原則不可
示談後は、原則として損害賠償金を追加請求したり、合意内容を撤回したり、示談をやり直したりはできません。
交通事故の示談は被害者側・加害者側双方の合意により成立するものであり、「示談金額を確定させ、これを以て損害賠償問題は解決・終結とする」という意味を持つからです。
もし、一度成立した示談の撤回や賠償金の追加請求が可能だったら、事故当事者は示談後も、「いつかまた賠償金の追加請求をされるのではないか」「納得いく内容で示談できたのに撤回されるのではないか」という不安を抱え続けることになります。
そのため、お互いが合意して成立した示談なのであれば、示談後に追加請求や撤回はできないのが原則になっているのです。
例外的に示談後の追加請求や示談の撤回が認められることも
「あとから後遺障害が発覚した」「示談成立の過程でトラブルや問題点があった」という場合は示談後の追加請求・示談の撤回ができることがあります。
詳しくは本記事内「示談後でも追加請求や撤回できる5ケース|具体例つき」で解説しますが、その前に示談後に追加の賠償請求や示談撤回ができない理由をより詳しく見ていきましょう。
示談後に追加請求や撤回ができない理由
示談後に追加請求や撤回ができない理由としては、以下のような点があげられます。
- 示談書の清算条項の効力のため
- 損害賠償請求権には消滅時効があるため
示談書の清算条項の効力のため
加害者側の任意保険会社から送られてくる示談書には、一般的に以下の示談条件が書かれています。
- 示談交渉で合意した慰謝料・賠償金の金額
- 加害者側は示談書記載の金額を被害者に支払う旨
- 清算条項・権利放棄条項
示談後に新たに損害賠償金を請求できない理由は、一番下の「清算条項・権利放棄条項」にあります。
清算条項とは
示談書に記載してあるもの以外について、当事者双方に債権(金銭を受け取る権利)や債務(金銭を支払う義務)はない、あったとしても放棄するということを確認する項目
これにより、後日どちらかが「実は請求し忘れていたお金があった」「やっぱり損害賠償金額を減額してほしい」「損害賠償金が足りないからもっと欲しい」と言い出して、争いが蒸し返されることはなくなります。
示談書に署名・捺印すると、清算条項を含めた示談書の項目内容が効力を持ちます。
そのため、署名・捺印をするときには、本当にその内容で良いか、記載に間違いはないかについてよく確認しましょう。
損害賠償請求権には消滅時効があるため
交通事故の被害者は、加害者側に損害賠償を請求する権利(損害賠償請求権)を有しています。ただし、この権利には時効があります。
損害賠償請求権の消滅時効は次の通りです。
人身事故 (後遺障害なし) | 交通事故発生日から5年 |
人身事故 (後遺障害あり) | 症状固定日から5年 |
死亡事故 | 死亡日から5年 |
いずれも2017年4月1日以降に発生した交通事故の場合
事故日・症状固定日・死亡日から5年が経ってしまうと、損害賠償請求権の消滅時効という観点から、追加の賠償請求が不可能になります。
示談後に追加請求や撤回ができる5ケース|具体例つき
示談後は基本的に追加請求や合意内容の撤回はできないと説明しましたが、一部には追加請求や撤回が可能な場合もあります。
示談後でも追加請求や撤回できる5ケースを紹介します。一見すると難しい言葉が並んでいるように見えますが、わかりやすく解説していきますので、一つずつ確認していってください。
(1)示談後に後遺障害が発覚したケース
示談後に新たな後遺障害が発覚した場合、後遺障害慰謝料や逸失利益などを追加請求できる場合があります。
ただし、発覚した後遺障害が「示談成立時には気付き得なかったもの」であり、なおかつ「交通事故を原因とするもの」だと認められることが必要です。
実際に過去の裁判例を見てみると、軽い怪我だと思い早急に少額で示談したものの、後から後遺障害が発覚し、示談後に生じた再手術・後遺障害ぶんの損害賠償請求が認められたものがあります。
全損害を正確に把握し難い状況のもとにおいて、早急に小額の賠償金をもつて満足する旨の示談がされた場合においては、示談によつて被害者が放棄した損害賠償請求権は、示談当時予想していた損害についてのもののみと解すべきであつて、その当時予想できなかつた不測の再手術や後遺症がその後発生した場合その損害についてまで、賠償請求権を放棄した趣旨と解するのは、当事者の合理的意思に合致するものとはいえない。
最高裁判所昭和43年3月15日判決
また、脳が損傷して高次脳機能障害という後遺障害が残った場合、怒りっぽくなる(易怒性)など人格変化の症状が出ることがあります。
この症状は外見からは分からず、程度もさまざまなので見過ごされやすいです。示談後に「実は交通事故による後遺障害だった」と発覚することもあるでしょう。
こうした場合も、示談後に改めて追加の賠償請求が認められる可能性があります。
ただし、「示談成立時には予測し得ない後遺障害であったこと」を証明するのは簡単ではありません。また、交通事故から時間が経っていると、事故と症状との因果関係の証明も難しくなっていることが多いです。
再交渉の可否をめぐって加害者側と揉めることは十分考えられるでしょう。
示談後に発覚した後遺障害について賠償金を追加請求をしたい場合は、一度弁護士にご相談ください。
高次脳機能障害についてはこちら:事故後の記憶障害・性格が変わる・言語障害…高次脳機能障害の症状とは?
示談書の清算条項があっても追加請求が認められうる理由は?
通常、示談書には「示談書に書いてあるもの以外の損害賠償請求権を放棄する」という清算条項が書かれています。
しかしこの清算条項は、「示談当時に予想できた損害についてのみ、損害賠償請求権を放棄する」という双方の合理的意思に基づいて書かれたと解釈するのが自然です。
よって、示談後に新たな損害が発覚した場合は追加請求ができる可能性があります。
(2)不当な内容・方法で示談させられたケース|公序良俗に反する
「法外な金額で示談を成立させられた」「弱みに付け込んで、一方的な内容で示談させられた」という場合、公序良俗に反すると認められれば示談の撤回・再交渉ができる可能性があります。
公序良俗とは
公共の秩序と善良な風俗のこと。
「倫理」「社会的道徳」などと言い換えることができる。
実際に、保険会社が交通事故被害者の無知につけこみ、以下のような方法で損害賠償金を相場より低く算定していたことがあります。
- 慰謝料を相場の半額以下とする
- 後遺障害逸失利益を不当に低く計算する
- 示談書にサインしなければ保険金が受け取れないと不十分な説明をしていた
この事案では、損害賠償金額全体としては500万円程度相場よりも安く算定され、そのうち後遺障害部分については半額ほどで算定されていました。
このように示談金を不当に低くした示談は公序良俗に反し無効である、と判断されました。
交通事故の被害者は、これまで交通事故や賠償請求に縁がなく、知識もあまりない人が多いです。
そうした知識不足に付け込まれ、常識の範囲を超えた金額で合意してしまったという場合には、弁護士にご相談ください。
(3)示談を成立させる意思がなかったケース|心裡留保
示談を成立させる意思がなく、かつ、意思がないことを相手方が知っていた場合には、法律上にいう心裡留保が存在するため示談が無効となります。
心裡保留は少しわかりにくいので、例を見ながら理解していきましょう。
心裡留保(しんりりゅうほ)とは
本音・本心(心裡)を隠す(留保)こと。
心裡留保の例
交通事故の刑事裁判では、示談が成立していると加害者に下される判決が軽くなることがあります。
そのため加害者のBは、被害者のAさんに対して「示談が成立した体で示談書に署名・捺印してくれませんか?裁判で提出するためであって、本当の示談交渉はちゃんとやりますから。」と頼みました。
AさんはBに対する処罰感情があまりなかったこともあり、Bの申し出を受けて「とりあえずの示談書」に署名・捺印しました。
ところが、Bは後になって偽の示談書のことを本物の示談書だと主張してきました。
この例では、被害者であるAさんは「示談を成立させるつもりはない」という本心とは裏腹に、示談書に署名・捺印をしました。
これが、心裡留保にあたります。
民法において、心裡留保による示談成立は原則として有効とされるのですが、相手方もそれが心裡留保だと知っていた場合には、無効と主張することが可能です。
この場合も、確かにAさんは心裡留保によって示談書に署名・捺印しましたが、加害者であるBもAさんの署名・捺印が心裡留保によるものだと知っていました。
そのため、この例のような場合は示談成立を無効にできる可能性があります。
(4)示談内容を勘違いしていたケース|錯誤
示談内容について勘違いしており、法律上の錯誤があったと判断された場合は示談の撤回や追加請求が可能となります。
交通事故の示談で錯誤に当たるケースとは、「そのことを知っていれば示談をしなかったといえるような、示談の前提や重要な事実について、誤った理解をしたまま合意したときで、誤った理解をしたことにつき重過失がない場合」を指します。
錯誤とは
あやまり、間違いのこと。
具体的には、次のような例が該当します。
- まだ支払われていない損害賠償金について、既に支払われていると勘違いしていた
- 相手方が任意保険会社に加入していたにも関わらず、自賠責保険の上限分しか損害賠償できないと勘違いしていた
こうした場合には、錯誤に当たり示談の取り消しが可能であるとして、再交渉ができる可能性があります。
示談後に、示談について大きな誤解をしていたと気づいた場合には、ぜひ弁護士にご相談ください。
(5)示談で詐欺・脅迫が行われたケース
詐欺や脅迫によって示談書に署名・捺印してしまった場合にも、合意内容を撤回できます。
合意しなければ危害を加えるなど、脅迫を受けて示談書に署名・捺印してしまったという場合には、弁護士にご相談ください。
後遺障害発覚などによる示談後のトラブル回避法
ここまで、例外的に示談での合意内容が撤回できる場合や追加請求ができる場合について解説してきました。
しかし、実際には示談の撤回や追加請求が可能であるとしても、加害者側の任意保険会社が反対し、もめてしまう恐れがあります。
ここからは、示談後のトラブルを避けるためにできる対策を紹介していきます。
「示談後に後遺障害が発覚したら再交渉する」と示談書に明記
後から思いがけない事情により合意内容の撤回・追加請求が発生することを想定して、示談書には「今後新たな後遺障害が発覚した場合には、再交渉を行う」などの文言を盛り込むようにしましょう。
たとえば高次脳機能障害について、後遺障害認定を行う損害保険料率算出機構も次のように提唱しています。
ただし、加害者側と示談が成立し、損害賠償請求権を放棄すると、加害者および自賠責保険への請求は原則としてできなくなります。示談書を取り交わす時には、障害が悪化した場合や示談後に上位の等級が認定された場合に再度請求できる主旨の条項を盛り込むことが重要です。
脳外傷による高次脳機能障害の後遺障害認定について
示談後、加害者側の任意保険会社から届いた示談書に再交渉に関する記載がない場合には、署名・捺印する前に、追加してほしい文言を伝えてください。
もっとも、保険会社が作成する示談書の書式はさまざまです。初めて見る書面の内容を判断することは難しいでしょう。
示談書にサインをする前に一度弁護士に内容を確認してもらうことをおすすめします。交通事故の被害者の方に向けては、無料の法律相談を実施する弁護士事務所も多いので、活用してみましょう。
示談書の内容については『交通事故の示談書の書き方と記載事項!テンプレート付きで注意点も解説』の記事が参考になりますので、あわせてご覧ください。。
疑問は示談成立前に弁護士へ相談|示談後の手遅れは多い
わからないことや納得のいかないことを解消しないまま示談を成立させてしまうと、あとから「こんなつもりじゃなかったのに…」という事態になる可能性があります。
しかし、いくら示談交渉中に被害者が疑問点を質問しても、加害者側の任意保険会社から十分な説明をしてもらえないことも多いです。
示談交渉中、少しでもわからないこと、納得できないこと、引っかかることがある場合には、お気軽に弁護士にお尋ねください。
提示された金額が適正なのかどうか分からず話だけでもと思い、法律事務所に相談することにしました。結果、納得できずにいた問題もすっきり解決して頂き示談金は3倍にもなりました。
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示談後、慰謝料はいつもらえる?
交通事故の慰謝料・賠償金は基本的に示談後に振込みにより支払われますが、どれくらい待てばよいのでしょうか。
ここでは、示談後から支払いまでの期間と流れ、早く慰謝料・賠償金を得る方法について紹介していきます。
示談後から支払いまでの期間
示談後、慰謝料や賠償金が支払われるまでには約2週間かかります。
ただし、中には示談成立前に支払われる賠償金もあるため、ここで慰謝料・賠償金がもらえる時期を整理しておきましょう。
示談後成立後2週間程度で支払われるもの
- 入通院慰謝料
交通事故の入通院で受けた精神的苦痛に対する補償。 - 後遺障害慰謝料
交通事故で後遺障害が残ったことで、今後も受け続ける精神的苦痛に対する補償。 - 死亡慰謝料
交通事故で死亡した被害者とその遺族の精神的苦痛に対する補償。 - 後遺障害逸失利益
後遺障害により労働能力が低下したことで得られなくなった、将来の収入に対する補償。 - 死亡逸失利益
交通事故で死亡したことにより得られなくなった、将来の収入に対する補償。 - 物損に対する賠償金
車の修理費など。
示談成立前に支払われるものも含め、交通事故の慰謝料・賠償金全般について知りたい方は『交通事故|人身事故の賠償金相場と計算方法!物損事故との違いは何?』をご覧ください。
計算方法や相場金額がわかります。
後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益は、後遺症に対して「後遺障害等級」が認定されれば請求可能です。
関連記事『交通事故の後遺障害とは?認定されたらどうなる?認定の仕組みと認定率の上げ方』では、後遺障害認定の流れや認定を受けるためのポイントを詳しく解説しています。
示談成立前に支払われる可能性があるもの
- 治療費
治療と並行し、加害者側の任意保険会社が病院に直接支払うことがあります。
加害者側の任意保険会社による支払いがない場合は、一旦被害者が立て替え、示談後に加害者側から立て替えた分をもらうことになります。 - 休業損害
交通事故により休業した日の収入に対する補償。
すでに損害として生じたことが明らかな部分について支払いを受けられることがあります。 - 通院交通費
通院するのにかかった費用で示談成立前でも保険会社に請求できます。
治療費を一旦被害者が立て替える場合には、交通事故であっても健康保険を使うことが可能です。交通事故における健康保険の使い方は、『交通事故で健康保険は使える!メリットや健保に切り替えてと言われた時の対処法』をご確認ください。
休業損害は、給与所得者や自営業者はもちろん主婦や学生でも請求できます。休業損害の計算方法や1日あたりの休業損害額(日額)の求め方は以下の解説記事を参考にしてみてください。
示談後から支払いまでの流れ
示談が成立してから慰謝料・賠償金が支払われるまでの流れをみていきましょう。
- 示談後、加害者側の任意保険会社から示談書が届く
- 示談書の内容を確認したら、署名・捺印
- 示談書を加害者側の任意保険会社に返送
- 任意保険会社内で事務手続きをした後、慰謝料・賠償金が振り込まれる
冒頭でもお伝えした通り、示談成立から慰謝料・賠償金が支払われるまでの期間は2週間程度です。
ただし、加害者側の任意保険会社で事務手続きがスムーズに進まないなど何かしらのトラブルがあると、支払いが遅れる場合があります。
連絡がないまま支払いが遅れている場合には、加害者側の任意保険会社に確認をしてみましょう。
慰謝料・賠償金を早くもらう方法
交通事故の慰謝料・賠償金をできるだけ早くもらいたいという場合には、次の方法をとることができます。
- 仮渡金の支払いを請求する
- 被害者請求をする
それぞれがどのようなものなのか、詳しくみていきましょう。
仮渡金の支払いを請求する
仮渡金とは
示談成立前に加害者側の自賠責保険から支払われるお金。
金額は、怪我の程度に応じて5万円・20万円・40万円のいずれかになる。
請求から1週間程度で振り込まれる。
仮渡金は示談金の前払いという扱いになるため、示談後は仮渡金として受け取った金額を差し引いた金額が振り込により支払われまれます。
仮渡金額が示談金額を超えた場合には、超過分を返さなければなりません。
被害者請求をする
被害者請求とは
加害者側の自賠責保険会社に対して、被害者が慰謝料・賠償金を直接請求すること
上記の用語説明だけでは少しつかみにくいので、ゆっくりかみ砕いていきましょう。仮渡金との違いも解説していきます。
交通事故の慰謝料・賠償金は、最低限の金額が加害者側の自賠責保険会社から、それを超える部分が加害者側の任意保険会社から支払われるという2層構造になっています。
通常はどちらも示談後に、加害者側の任意保険会社から一括で支払われます。
しかし、示談成立前に加害者側の自賠責保険会社の支払い分だけを請求することが可能です。このような請求を、「被害者請求」といいます。
「仮渡金」も「被害者請求」も、示談前に加害者側の自賠責保険からお金を支払ってもらうという点では同じです。
ここで、「仮渡金」と「被害者請求」で支払ってもらえるお金は何が違うの?と思った方もいらっしゃるでしょう。
「仮渡金」と「被害者請求」の違いを表にして比較しますので、ご確認ください。
支払われる金額 | 【被害者請求】 慰謝料・賠償金のうち自賠責保険から支払われる金額 【仮渡金】 5万円、20万円、40万円のいずれかがケガの程度に応じて決まる |
支払われる時期 | 【被害者請求】 請求から1ヶ月程度 【仮渡金】 請求から1週間程度 |
被害者請求の場合、申請後に加害者側の自賠責保険が調査したうえで慰謝料・賠償金の金額が決められるため、支払いまでに1ヶ月程度かかります。
慰謝料・賠償金のうち自賠責保険から支払われる金額については、『自賠責保険から慰謝料はいくらもらえる?計算方法や支払い限度額を解説』で詳しく解説していますので、ご覧ください。
交通事故の示談は弁護士に相談を
示談後のトラブルを避けるためには、示談交渉の段階から弁護士に相談しておくことが大切です。
ここからは、弁護士に相談・依頼することでどんな安心が得られるのか、弁護士費用はどれくらいなのかについて解説していきます。
弁護士相談・依頼で得られる3つの安心
示談について弁護士に相談・依頼すると、次の3つの安心を得られます。
- 示談中・示談後のトラブル対処に関する安心
- 慰謝料・賠償金額の納得度に関する安心
- 慰謝料・賠償金の受け取り時期に関する安心
それぞれについて、もう少し詳しく解説していきます。
(1)示談中・示談後のトラブル対処に関する安心
示談交渉中や示談後は、加害者側の任意保険会社との間にトラブルが起きやすいです。
具体的には、次のトラブルが起こる可能性があります。
示談交渉中のトラブル
- 交渉が行き詰まる
- 被害者側の主張がほとんど受け入れられない
- 強引に交渉が進められる
- 加害者側の任意保険会社が心無い言動をとる
示談後のトラブル
- 慰謝料・賠償金が支払われない
- 示談の撤回や追加請求が必要になったのに加害者側に拒否される
上記のようなトラブルが発生した場合、被害者自身で対応することは決して簡単ではありません。
トラブルにうまく対処できないと、本来なら受け入れられるべき被害者側の主張が認められず、泣き寝入りすることになる可能性があります。
また、慰謝料や賠償金を得るまでに多大な時間・労力が必要になり、体力や神経を消耗してしまう可能性もあります。
しかし、困ったときに弁護士に相談・依頼をしていれば、こうしたトラブルの対処を全て代理してもらえます。
さらに、弁護士なら今後起こりうるトラブルを予測し、先回りすることでトラブルを未然に防ぐこともできます。
(2)慰謝料・賠償金額の納得度に関する安心
交通事故の慰謝料・賠償金額は、示談交渉によって決まります。
交渉を有利に進められれば高額な示談金も期待できますが、主導権を加害者側の任意保険会社に握られた場合には、相場より低い金額になる可能性もあります。
示談交渉を有利に進めるための鍵は、「示談交渉を弁護士に依頼すること」です。
示談交渉で弁護士を立てるか否かにより、以下のような違いが出ることがあるからです。
弁護士を立てない場合
加害者側の任意保険会社は、被害者自身が示談交渉をする場合には強めの姿勢をとる傾向にあります。よって、ほぼ任意保険会社の思うとおりに交渉が進められることが多いです。
弁護士を立てる場合
被害者が弁護士を立てた場合には、加害者側の任意保険会社の態度は軟化することが多く、弁護士の提示した金額がそのまま認められることも珍しくありません。
弁護士に示談交渉を依頼した場合、依頼しなかった場合よりも慰謝料・賠償金が多くなることがほとんどなので、納得のいく内容で示談を成立させられます。
弁護士に示談交渉を任せた場合、慰謝料の増額がどれくらいになるのか知りたい場合は、目安が簡単にわかる「慰謝料計算機」がおすすめです。
慰謝料の計算方法は、関連記事『交通事故の慰謝料の計算方法|正しい賠償金額がわかる』にて詳しく解説しています。入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料額の決まり方を知りたい方は、あわせてご確認ください。
(3)慰謝料・賠償金の受け取り時期に関する安心
交通事故の慰謝料・賠償金は、基本的には示談後に支払われます。
ただ、示談はいつ成立するかわかりません。
交渉が長引けばその分示談成立も遅れ、なかなか慰謝料や賠償金を得ることはできないのです。
しかし弁護士に示談交渉を依頼すれば、早く示談が成立する可能性が高まります。
すでにお伝えした通り、弁護士が示談交渉をすると加害者側任の意保険会社の態度が軟化するので、話が進みやすくなるうえ、弁護士はスムーズに交渉を進めるテクニックも持っているからです。
たとえ弁護士による交渉でも長引くことはありますが、その場合には仮払や被害者請求について教えてもらうこともできるので、安心です。
弁護士費用を自己負担0円にする方法がある
示談に関することは弁護士に相談すれば安心とはいうものの、弁護士費用が心配…。
そう思っている方もご安心ください。
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弁護士費用特約とは
被害者が加入している保険会社が、弁護士費用を負担する制度。
任意保険や火災保険にオプションとしてついている。
多くの弁護士費用特約は、法律相談料10万円、弁護士費用300万円を補償上限としています。そして、交通事故の弁護士費用でこの補償上限を超えるケースは多くありません。
ほとんどの交通事故の解決にかかる弁護士費用がすべて弁護士費用特約の範囲におさまっているのです。そのため、弁護士費用特約を使うことで、自己負担ゼロで弁護士を立てることができます。
弁護士費用特約は、たとえ被害者本人の保険に付帯していなくても、家族の保険に付帯していれば使えることがあります。
弁護士費用特約について詳しくは、『交通事故の弁護士費用特約とは?メリット・使い方・使ってみた感想を紹介』をご確認ください。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了