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示談成立後、交通事故慰謝料はいつ振り込まれる?撤回や再請求は可能?

更新日:

2020年4月1日改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

交通事故で示談が成立すると「これで安心」と思いがちですが、あとからトラブルや問題、新たな後遺障害などが発生し、次のような疑問がわいてくることもあります。

  • 示談成立後、どれくらい待てば慰謝料・賠償金が振り込まれる?
  • 示談成立後の撤回・再請求は可能?

結論からお伝えすると、慰謝料や賠償金は、示談成立から約2週間で振り込まれます。
そして、一度示談が成立すると、原則として撤回や再請求はできません。

しかし例外もあります。
そこでこの記事では、「示談成立後」にフォーカスを当てた内容を解説していきます。

難しい言葉も出てきますが、事例などを用いながら丁寧にわかりやすく解説していきますので、読んでみてくださいね。

示談成立後、慰謝料はいつもらえる?

交通事故の慰謝料・賠償金は基本的に示談成立後に振り込まれますが、どれくらい待てばよいのでしょうか。
ここでは、示談成立から振り込みまでの期間と流れ、早く慰謝料・賠償金を得る方法についてご紹介していきます。

示談成立後から振り込みまでの期間

示談成立後、慰謝料や賠償金が支払われるまでには約2週間かかります。
ただし、中には示談成立前に支払われる賠償金もあるため、ここで慰謝料・賠償金がもらえる時期を整理しておきましょう。

示談後成立後2週間程度で振り込まれるもの

  • 入通院慰謝料
    交通事故の入通院で受けた精神的苦痛に対する補償。
  • 後遺障害慰謝料
    交通事故で後遺障害が残ったことで、今後も受け続ける精神的苦痛に対する補償。
  • 死亡慰謝料
    交通事故で死亡した被害者とその遺族の精神的苦痛に対する補償。
  • 後遺障害逸失利益
    後遺障害により労働能力が低下したことで得られなくなった、将来の収入に対する補償。
  • 死亡慰謝料
    交通事故で死亡したことにより得られなくなった、将来の収入に対する補償。
  • 物損に対する賠償金
    車の修理費など。

示談成立前に振り込まれるものも含め、交通事故の慰謝料・賠償金全般について知りたい方は『交通事故|人身事故の賠償金の相場・計算方法は?物損の賠償金との違いも』をご覧ください。
計算方法や相場金額がわかります。

後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益は、後遺症に対して「後遺障害等級」が認定されれば受け取ることができます。
後遺障害等級の認定を受ける方法については、『交通事故の後遺障害等級認定|申請手続きや認定される症状、認定のポイントを解説』で詳しく解説しています。

示談成立前に振り込まれるもの

  • 治療費
    基本的には治療と並行し、加害者側任意保険会社が病院に直接支払う。一旦被害者が立て替え、示談成立後に加害者側から立て替えた分を返してもらうこともある。
  • 休業損害
    交通事故により休業した日の収入に対する補償。

治療費を一旦被害者が立て替える場合には、健康保険を使うことが可能です。
詳細は『交通事故の被害者向け|事故対応や治療中・示談交渉の注意点をご紹介!』で解説しています。
治療頻度や治療内容に関する注意点もご紹介しているので、ぜひご覧ください。

休業損害は、主婦や学生でも請求できます。
詳しい計算方法は『交通事故の休業損害はいつもらえる?計算方法を職業別に解説』で解説しているので、確認してみてくださいね。

示談成立後から振込までの流れ

示談が成立してから慰謝料・賠償金が振り込まれるまでの流れを見ていきましょう。

  1. 示談成立後、加害者側任意保険会社から示談書が届く
  2. 示談書の内容を確認したら、署名・捺印
  3. 示談書を加害者側任意保険会社に返送
  4. 任意保険会社内で事務手続きをした後、慰謝料・賠償金が振り込まれる

冒頭でもお伝えした通り、示談成立から慰謝料・賠償金が振り込まれるまでの期間は2週間程度です。
ただし、加害者側任意保険会社での事務手続きがスムーズに進まないなど何かしらのトラブルがあると、振り込みが遅れる場合があります。

連絡がないまま振り込みが遅れている場合には、加害者側任意保険会社に確認をしてみましょう。

慰謝料・賠償金を早くもらう方法

交通事故の慰謝料・賠償金をできるだけ早くもらいたいという場合には、次の方法をとることができます。

  • 仮渡金の支払いを請求する
  • 被害者請求をする

それぞれがどのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。

仮渡金の支払いを請求する

仮渡金とは

示談成立前に加害者側自賠責保険から支払われるお金。
金額は、怪我の程度に応じて5万円・20万円・40万円のいずれかになる。
請求から1週間程度で振り込まれる。

仮渡金は示談金の前払いという扱いになるため、示談成立後は仮渡金として受け取った金額を差し引いた金額が振り込まれます。
仮渡金額が示談金額を超えた場合には、超過分を返さなければなりません。

仮渡金についての詳細は『交通事故慰謝料はいつ支払われる?支払いを早める方法をご紹介!』で詳しくご紹介しているので、気になる方は確認してくださいね。

被害者請求をする

被害者請求とは

加害者側自賠責保険会社に対して、被害者が慰謝料・賠償金を直接請求すること

上記の用語説明だけでは少しつかみにくいので、ゆっくりかみ砕いていきましょう。仮渡金との違いも解説していきます。

交通事故の慰謝料・賠償金は、最低限の金額が加害者側自賠責保険会社から、それを超える部分が加害者側任意保険会社から支払われるという2層構造になっています。

任意の自動車保険と自賠責保険の関係

通常はどちらも示談成立後に、加害者側任意保険会社から一括で支払われます。

しかし、示談成立前に加害者側自賠責保険会社の支払い分だけを請求することもできます。それが、「被害者請求」なのです。

「仮渡金」も「被害者請求」も、示談前に加害者側自賠責保険からお金を支払ってもらうという点では同じです。

ここで、「仮渡金」と「被害者請求」で支払ってもらえるお金は何が違うの?と思った方もいらっしゃるでしょう。

「仮渡金」と「被害者請求」の違いを表にして比較しますので、ご確認ください。

被害者請求と仮払金の違い

支払われる金額●被害者請求
慰謝料・賠償金のうち自賠責保険から支払われる金額
●仮渡金
5万円、20万円、40万円のいずれか(怪我の程度に応じて決まる)
支払われる時期●被害者請求
請求から1ヶ月程度
●仮渡金
請求から1週間程度

被害者請求の場合、申請後に加害者側自賠責保険で慰謝料・賠償金の計算などが行われるため、振り込みまでに1ヶ月程度かかります。

慰謝料・賠償金のうち自賠責保険から支払われる金額ついては『自賠責の交通事故慰謝料|7日加算・限度額・過失相殺も徹底解説!』で詳しく解説していますので、ご覧ください。

示談成立後の再請求ができない理由

示談成立後のトラブルとして考えられるのが、「あとから後遺症が発覚した」「事情があり示談での合意内容を撤回したい」ということです。

しかし、一度示談が成立してしまうと、原則として追加で賠償請求をしたり、合意内容を覆したりすることはできません。その理由について見ていきます。

示談書の効力のため

加害者側任意保険会社から送られてくる示談書には、一般的に以下の内容が書かれています。

  • 示談交渉で合意した慰謝料・賠償金の金額
  • 加害者側は示談書記載の金額を被害者に支払う旨
  • 被害者はこれ以上加害者に賠償請求をしない旨

示談書に署名・捺印すると、上記の内容が効力を持ちます。

もし加害者側が、署名・捺印したはずの示談書の内容を簡単に覆し、「示談で決まった金額を支払いません」と主張してきたら困りますよね。

それと同じで被害者も、一度署名・捺印した示談書の内容を簡単に覆すことはできないのです。

署名・捺印をするときには、本当にその内容で良いか、記載に間違いはないか、よく確認しましょう。

損害賠償請求権には消滅時効があるため

交通事故の被害者には、加害者側に損害賠償を請求する権利(損害賠償請求権)がありますが、この権利には時効があります。

損害賠償請求権の消滅時効は次の通りです。

人身事故
(後遺障害なし)
事故日から5年
人身事故
(後遺障害あり)
症状固定日から5年
死亡事故死亡日から5年

いずれも2017年4月1日以降に発生した交通事故の場合

事故日・症状固定日・死亡日から5年が経ってしまうと、損害賠償請求権の消滅時効という観点から見ても、追加の賠償請求は不可能となるのです。

示談成立後でも再請求できる4ケース

示談成立後は基本的に追加の賠償請求・合意内容の撤回はできないとご説明しましたが、中には可能な場合もあります。
それぞれ一見すると難しい言葉が並んでいるように見えますが、かみ砕いてわかりやすく解説していきますので、ゆっくり確認していってくださいね。

①公序良俗に反するケース

公序良俗とは

公共の秩序と善良な風俗のこと。
「倫理」「社会的道徳」などと言い換えることができる。

公序良俗に反するケースには、「法外な金額で示談を成立させること」「相手の弱みに付け込んで、一方的に有利な内容で示談を成立させること」が当たります。

交通事故の被害者は、これまで交通事故や賠償請求に縁がなく、知識もあまりない人が多いです。

そうした知識不足に付け込まれ、常識の範囲を超えた金額で合意してしまったという場合には、弁護士にご相談ください。

②心裡留保(虚偽表示)にあたるケース

心裡留保(しんりりゅうほ)とは

本音・本心(心裡)を隠す(留保)こと。

心裡保留は少しわかりにくいので、例を見ながら理解していきましょう。

心裡留保の例

交通事故の刑事裁判では、示談が成立していると加害者に下される判決が軽くなることがあります。

そのため加害者のBは、被害者のAさんに対して「示談が成立した体で示談書に署名・捺印してくれませんか?裁判で提出するためであって、本当の示談交渉はちゃんとやりますから。」と頼みました。

AさんはBに対する処罰感情があまりなかったこともあり、Bの申し出を受けて「とりあえずの示談書」に署名・捺印しました。

ところが、Bは後になって偽の示談書のことを本物の示談書だと主張してきました。

この例では、被害者であるAさんは「偽の示談書の内容で示談を成立させるつもりはない」という本心(心裡)とは裏腹に、示談書に署名・捺印をしました。
これが、心裡留保にあたります。

原則としては心裡留保による示談成立は有効とされるのですが、相手方もそれが心裡留保だと知っていた場合には、無効と主張することができます。

この場合も、確かにAさんは心裡留保によって示談書に署名・捺印しましたが、加害者であるBもAさんの署名・捺印が心裡留保によるものだと知っていました。

そのため、この例のような場合は示談成立を無効にできる可能性があります。

③錯誤に当たるケース

錯誤とは

あやまり、間違いのこと。

交通事故の示談で錯誤に当たるケースとは、「示談の前提や重要な事実について、誤った理解をしたまま合意した場合」のことを指します。

具体的には、次のような例が該当します。

  • 示談交渉時には把握しえなかった後遺障害があとから発覚した
  • 示談交渉時には知りえなかった重大な過失が発覚した

こうした場合には、錯誤に当たるとして再交渉ができる可能性があります。
示談成立後に新たな後遺障害が発覚したなど、錯誤に当たる可能性がある場合には、ぜひ弁護士にご相談ください。

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④詐欺・脅迫に当たるケース

詐欺や脅迫によって示談書に署名・捺印してしまった場合にも、合意内容を撤回できます。

合意しなければ危害を加えるなど、脅迫を受けて示談書に署名・捺印してしまったという場合には、弁護士にご相談ください。

示談成立後のトラブルを防ぐために

ここまで、例外的に示談での合意内容が撤回できる場合、追加の損害賠償請求ができる場合について解説してきました。
しかし、実際には加害者側任意保険会社が再交渉・追加の賠償請求に反対し、もめてしまうことが考えられます。

ここからは、示談成立後のトラブルを避けるためにできる対策をご紹介していきます。

示談書の文言に注意しよう

後から思いがけない事情により合意内容の撤回・追加の賠償請求が発生することを想定して、示談書には「今後新たな後遺障害が発覚した場合には、再交渉を行う」などの文言を盛り込むようにしましょう。

加害者側任意保険会社から届いた示談書にそうした記載がない場合には、署名・捺印はせず、追加してほしい文言を伝えてください。

困ったことや疑問点は弁護士に確認しよう

わからないことや納得のいかないことを解消しないまま示談を成立させてしまうと、あとから「こんなつもりじゃなかったのに…」という事態になる可能性があります。

しかし、いくら示談交渉中に被害者が疑問点を質問しても、加害者側任意保険会社から十分な説明をしてもらえないことも多いです。

示談交渉中、少しでもわからないこと、納得できないこと、引っかかることがある場合には、お気軽に弁護士にお尋ねください。

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交通事故の示談は弁護士に相談を

示談成立後のトラブルを避けるためには、示談交渉の段階から弁護士に相談しておくことが大切です。
ここからは、弁護士に相談・依頼することでどんな安心が得られるのか、弁護士費用はどれくらいなのかについて解説していきます。

弁護士相談・依頼で得られる3つの安心

示談について弁護士に相談・依頼すると、次の3つの安心を得られます。

  1. 示談中・示談後のトラブル対処に関する安心
  2. 慰謝料・賠償金額の納得度に関する安心
  3. 慰謝料・賠償金の受け取り時期に関する安心

それぞれについて、もう少し詳しく解説していきますね。

①示談中・示談後のトラブル対処に関する安心

示談交渉中や示談成立後は、加害者側任意保険会社との間にトラブルが起きやすいです。
具体的には、次のトラブルが起こる可能性があります。

示談交渉中のトラブル

  • 交渉が行き詰まる
  • 被害者側の主張がほとんど受け入れられない
  • 強引に交渉が進められる
  • 加害者側任意保険会社が心無い言動をとる

示談成立後のトラブル

  • 慰謝料・賠償金が振り込まれない
  • 再交渉・追加の賠償請求が必要になったのに加害者側に拒否される

上記のようなトラブルが発生した場合、被害者自身で対応することは決して簡単ではありません。

トラブルにうまく対処できないと、本来なら受け入れられるべき被害者側の主張が認められず、泣き寝入りすることになる可能性があります。

また、慰謝料や賠償金を得るまでに多大な時間・労力が必要になり、体力や神経を消耗してしまう可能性もあります。

しかし、困ったときに弁護士に相談・依頼をしていれば、こうしたトラブルの対処を全て代理してもらえます。

また弁護士なら、今後起こりうるトラブルを予測し、先回りすることでトラブルを未然に防ぐこともできます。

②慰謝料・賠償金額の納得度に関する安心

交通事故の慰謝料・賠償金額は、示談交渉によって決まります。

交渉を有利に進められれば高額な示談金も期待できますが、主導権を加害者側任意保険会社に握られた場合には、相場より低い金額になる可能性もあります。

示談交渉を有利に進めるための鍵は、「示談交渉を弁護士に依頼すること」です。

加害者側任意保険会社は、被害者が示談交渉をする場合には強めの姿勢をとることが多く、ほぼ加害者側任意保険会社の思うとおりに交渉が進められることが多いです。

それに対して被害者が弁護士を立てた場合には、加害者側任意保険会社の態度は軟化することが多く、弁護士の提示した金額がそのまま認められることも珍しくありません。

弁護士に示談交渉を依頼した場合、依頼しなかった場合よりも慰謝料・賠償金が多くなることがほとんどなので、納得のいく内容で示談を成立させられます。

③慰謝料・賠償金の受け取り時期に関する安心

交通事故の慰謝料・賠償金は、基本的には示談成立後に振り込まれます。

ただ、示談はいつ成立するかわかりません。
交渉が長引けばその分示談成立も遅れ、なかなか慰謝料や賠償金を得ることはできないのです。

しかし弁護士に示談交渉を依頼すれば、早く示談が成立する可能性が高まります。

すでにお伝えした通り、弁護士が示談交渉をすると加害者側任意保険会社の態度が軟化するので、話が進みやすくなるうえ、弁護士はスムーズに交渉を進めるテクニックも持っているからです。

たとえ弁護士による交渉でも長引くことはありますが、その場合には仮払や被害者請求について教えてもらうこともできるので、安心です。

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代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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