交通事故の過失割合とは?決め方の具体的な手順とパターン別の過失割合

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交通事故の過失割合

交通事故の過失割合は事故の状況によって様々です。以下より、ご自身の事故パターンに近いものをご選択ください。交通事故の基本的な過失割合がわかります。

交通事故が起こったら、事故の当事者双方にどの程度の不注意があったのか、事故当時はどんな状況だったのかなど、事故原因となった責任の大きさを判断する必要があります。

責任の大きさは数値で表すことから、交通事故の過失割合は9対1、8対2、7対3といった表現になることが基本です。そして事故の過失割合は損害賠償金額に直結します。

相手方から「あなたも悪い」「事故はお互い様」などと言われ、何となく合意してしまうと、受けとる損害賠償金の金額が減る可能性が高くなってしまうでしょう。

この記事を読めば、過失割合の決め方や事故パターン別の基本的な過失割合がつかめます。あるいは弁護士との法律相談で過失割合の見込みをお伝えすることも可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

なお、本記事は「別冊判例タイムズ38」(東京地裁民事交通訴訟研究会編)に記載されている情報をベースにすることとします。

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過失割合の決め方|誰がどのように決める?

過失割合の話し合いは、基本的には相手の保険会社から提案を受け、その提案内容について検討して決定する流れです。

過失割合決定の手順は、まず過去の判例を参照して「基本の過失割合」を選定し、つづいて事故個別の要素を反映する「修正要素」を加えて修正していく方法になります。

過失割合決定の流れと手順についてくわしくみていきましょう。

過失割合は当事者同士の話し合いによって決まる

過失割合は事故の当事者同士の話し合いを通して示談時に決まるのが通常で、警察は関わりません。

事故の加害者が任意保険に入っている場合は、加害者側の保険会社と話し合うことになることが多いでしょう。

過失割合や損害賠償金(示談金)といった賠償問題について、話し合いで解決しようとする手続きのことを「示談」といいます。

一度成立した示談のやり直しは基本的にできません。過失割合や慰謝料の金額など、示談の内容に納得していない場合は安易に合意しないようにしましょう。

示談をするうえで注意すべきポイントや示談の進め方については、関連記事『交通事故の示談とは?交渉の進め方と注意点』が参考になります。

通常は加害者側の保険会社の提示で話し合いがはじまる

示談交渉は、基本的に加害者側の保険会社から過失割合が提示されることではじまります。

このとき、被害者側の過失割合を多めに見積もられていることは多いです。

保険会社からの提示は、過失割合の最終的な決定ではありません。「保険会社が言うのだから間違いないだろう」と鵜呑みにせず、被害者自身でも妥当な過失割合を調べ、交渉していく必要があります。

それでは、妥当な過失割合はどのようにすればわかるのでしょうか。次節からは、過失割合の詳しい決め方を紹介していきます。

過失割合を決める手順

過失割合は、以下のような手順で導き出されます。

  1. 事故状況を明確にする
  2. 過去の判例を参照し、「基本の過失割合」を選ぶ
  3. 「修正要素」を加えて最終的な過失割合を決める

過失割合が話し合いで決まると言っても、何の基準もなくただやみくもに話し合うわけではありません。過失割合は、過去の交通事故に関する裁判例を基準にし、実際の事故状況を照らし合わせることで決められます。

具体的にどのようなことをすればよいのか、確認していきましょう。

(1)事故状況を明確にする

まずは、事故状況について当事者双方の認識を確認し、認識のすり合わせを行っていくことで、事故状況を明確にしていきます。
確認内容は以下のようなものとなるでしょう。

  • 信号の色がどうなっていたのか
  • どちらが優先道路であったのか
  • 一時停止を守っていたのか
  • 右左折の合図を出していたのか

認識が食い違っている部分については、証拠をもとにして確認し、事故状況を明確にしていきます。

(2)過去の判例を参照し、「基本の過失割合」を選ぶ

明確となった事故状況について、過去の判例から類似する事故類型を選定し、「基本の過失割合」を確認します。

たとえば、「信号機なしの交差点における直進車と右折車の事故(自動車同士)」の場合、過去の判例を参照すると、基本の過失割合は「直進車:右折車=20:80」になります。

過去の判例を参照する際は、以下のような書籍を参考にするとよいでしょう。

過失割合の参照元

  1. 別冊判例タイムズ
  2. 交通事故の赤い本

上記の書籍は3000円~5000円程度で、一般の方でも購入することが可能です。
ただし、どちらも専門書であるため、交通事故の知識が少ない場合は適切に事故類型を選定できなかったり、後述する「修正要素」を反映できなかったりすることがあるでしょう。

その場合、適切な過失割合にならないおそれもあるので、弁護士の力を借りることも検討してみてください。

(3)「修正要素」を加えて最終的な過失割合を決める

事故類型ごとに定められた「基本の過失割合」を選定したら、事故個別の事情を反映するための「修正要素」を加えて最終的な過失割合が決まります

同じようなパターンの事故と言っても、さまざまな態様が考えられます。
たとえば、同じ信号機なしの交差点における直進車と右折車の事故でも、どちらか片方が注意義務を怠ったまま交差点に進入していた、速度違反をしていたといった個別の事情があるでしょう。

そこで、事故個別の事情を過失割合に反映するため、「修正要素」が考慮されることになります。修正要素があれば、基本の過失割合から「+10」「+20」「-5」といった具合に加算・減算が行われるのです。

修正要素は事故の時間や場所、事故当事者の車種や運転状況などさまざまなものがあります。ここでは一例を確認しておきましょう。

修正要素の一例

  • 夜間
    日没時から日出時までの時間
  • 幹線道路
    歩車道の区別があり道路幅が広く交通量が頻繁な道路
  • 住宅街・商店街
    人の横断や通行が多い場所
  • 直前直後横断・佇立・後退
    歩行者が車両等の直前直後で横断したり、特段の事情なく立ち止まったり後退したりする
  • 急な飛び出し、ふらふら歩き
    歩行者が車両等の進路の前に急に飛び出したり、予想外にふらふら歩いたりする
  • 被害者の属性
    • 児童(6歳以上13歳未満の者)
    • 高齢者(おおむね65歳以上の者)
    • 幼児(6歳未満の者)
    • 身体障害者(車いすの者、目が見えない者、耳が聞こえない者など)
  • 著しい過失
    • わき見運転におる前方不注視
    • 携帯使用のながら運転など
  • 重過失
    以下のような状態で正常な運転が不可能など
    • 酒酔い運転
    • 居眠り運転
    • 無免許運転
    • 速度違反
    • 過労・病気・薬物

関連記事『交通事故の過失割合は誰がいつ決める?修正要素や決め方もわかる』でも過失割合の決め方や決める時期について説明しているので、あわせてお読みください。

過失割合の求め方の具体例

それでは、モデルケースをもとに、実際に過失割合を導き出してみましょう。

たとえば、図のように駐停車中の自動車(B)に後方から走行してきた自動車(A)がぶつかった追突事故では、基本の過失割合は「A:B=100:0」になります。

過失割合10対0の修正要素例

しかし、駐停車中の自動車Bに駐停車方法が不適切といった過失があれば、基本の過失割合100:0に「-10~20」の修正要素が加えられ、最終的な過失割合は「90:10」や「80:20」になります。

参照|別冊判例タイムズ38号【157】抜粋

追突車両A駐停車車両B
基本の過失割合1000
駐停車方法の不適切-10~20+10~20

※車両は駐停車する時道路の左側に沿い、他の交通の妨害となってはいけない(道路交通法第47条1項、2項

このように、まず類似する事故類型の基本の過失割合を確認し、そこに事故類型ごとに設定された修正要素を反映することで、過失割合は調整されていくことになります。

過失割合が適正なものかどうかを判断するには、事故類型と修正要素のそれぞれが妥当であるか確認しなければなりません

交通事故発生状況別の過失割合

交通事故の過失割合は、どんな状況で事故が発生したのかで基本的な過失割合が決まってきます。交通事故の発生状況別に過失割合をみていきましょう。

対向車との正面衝突事故

対向車との正面衝突においては、原則、センターラインをはみ出した側に全過失が認められます。

しかし、事故当時の状況次第では被害者側にもある程度の過失がついてしまうケースもあるでしょう。たとえば、センターラインのない道路であったり、被害者側の速度違反や不注意などが認められる場合などです。

関連記事『対向車が突っ込んできた事故の過失割合。センターオーバーによる正面衝突の対処法』では、より個別具体的なケースについて解説しています。正面衝突事故の過失割合についてもめている方は、一度参考にお読みください。

玉突き事故

複数の車両による追突事故が起こったときには「玉突き事故」と表現されることがあります。

たとえば下図のように、一番後方のC車がB車に追突し、押し出されるようにA車とB車が接触した事故であれば、A車(先頭車):B車(中間車):C車(最後車)=0:0:100が基本の過失割合です。

玉突き事故の過失割合例

しかし、玉突き事故の事故パターンや事故の原因次第では、複数の車両が過失割合を分散して負うことも考えられます。

よりくわしい過失割合のパターンは、関連記事『玉突き事故の過失割合や損害賠償責任を負う人は?追突の順番や原因別に解説』をお読みください。

巻き込み事故

車両が右左折する際に走行しているバイクや自転車を巻き込むようにして起こる事故は「巻き込み事故」ともいわれています。

巻き込んだ側の不注意や交通ルール違反が事故原因に大きくかかわるとして、基本的に巻き込まれた側は過失割合が低くなるでしょう。

具体的には、先を走っている車両が左折した際に、後方を直進していたバイクを巻き込んで事故が起こったなら、基本の過失割合は自動車:バイク=8:2です。

ただし双方が走行中であることから、速度違反、進路変更可能な場所であったかなど様々な修正要素が検討されてもめる可能性もあります。

もっとくわしいパターン別の解説や修正要素を知りたい方は、関連記事『巻き込み事故とは?過失割合を被害車両の種類別・事故要因別に詳しく解説』をお読みください。

バイクのすり抜け事故

バイクによる追い越しや追い抜き時に車両と接触する事故のパターンは多く、すり抜け事故ともいわれています。

すり抜け事故が起こりやすい状況として、直進中の車の横をバイクがすり抜けた際の接触が考えられますが、基本的な過失割合は定められていません。

これまでの裁判では大型自動二輪車と自動車のすり抜け事故において、自動車側には過失がないと判断した例もあります。

すり抜け事故の過失割合は状況次第ですので、一度弁護士に相談することも視野に入れるべきでしょう。

バイクのすり抜け事故に関する過失割合についてもっと詳しく知りたい方は、関連記事『バイクのすり抜け事故|過失割合や損害賠償請求の流れ、違反になるケースもわかる』もお役立てください。

車線変更による事故

車線変更は、他の車両との接触の危険性が高まるタイミングです。

前方を走行する車両が車線変更をおこない、後方を走行する車両と接触した場合には、基本の過失割合は「前方車:後方車=7:3」です。

関連記事『車線変更事故の過失割合|合流地点の事故は?よくあるケースごとに解説』では、具体的な事故状況に応じて説明していますので、併せてお読みください。

一時停止無視による事故

道路標識に従って走行することは前提ですが、一時停止すべきところを無視して事故が起こってしまうケースがあります。

一時停止無視をした方の車両の過失割合が高くなる可能性はありますが、一部被害者にも過失がつく可能性は十分あるでしょう。

なぜなら、被害者側にも事故を回避できた可能性があると判断される恐れがあるからです。

もし一時停止無視による事故の被害にあい、過失割合に関して疑問があるならば、関連記事『一時停止無視による事故の過失割合!停止線のみ・標識なしの場合も解説』もお読みください。よりくわしい過失割合の決まり方と注意点について説明しています。

交通事故の過失割合で被害者が知っておきたい5つの基本

被害者にも過失割合がついた場合、損害を公平に分担するために、被害者の過失割合分が差し引かれます。

第七百二十二条
2 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

民法722条2項

過失割合は民法722条2項について定められているとおり、被害者の損害賠償金額にかかわる重要な要素のひとつです。

この章では、交通事故の被害者がとくに知っておきたい過失割合の基本を5つ紹介します。

(1)過失がつくと損害賠償金が減額される

交通事故では、過失割合が大きい方の当事者を事故の加害者、過失割合が小さい方の当事者を事故の被害者と呼ぶのが一般的です。

先述のとおり、少しでも過失があると認められれば、たとえ被害者でも「過失相殺」という形で過失割合に応じた責任を負うことになります。

過失相殺とは?

過失相殺とは、過失割合に応じて受け取れる損害賠償金(示談金)が減額されること

交通事故の怪我により損害を負った場合、治療費・慰謝料・入通院慰謝料などを合計した損害賠償金を事故相手に請求可能です。
しかし、自分に過失があるのなら、損害賠償金を全額受け取ることはできません。過失割合に応じて過失相殺されてしまうのです。

過失割合の程度が大きくなればなるほど、過失相殺される金額が大きくなり、受け取れる金額は少なくなります。
つまり、過失割合は最終的に受け取れる損害賠償金額を大きく左右するのです。

過失相殺がどのように影響するのか、計算例で見てみましょう。

過失相殺の計算例

AB
過失割合80%20%
損害額100万円
相手に請求できる金額80万円
(=100万円×80%)

Bの過失は2割なので、損害額100万円を過失相殺すると2割の20万円が差し引かれ、Aに請求できる金額は80万円となります。差し引かれた20万円は、Bが自己負担しなければいけません。

事故相手にも損害がある場合

事故相手にも損害がある場合、過失相殺されるだけではなく、自身の過失割合に応じて相手の損害を賠償する必要も生じます

このような場合の損害賠償金の支払い方法には、お互いが支払う金額を相殺する「相殺払い」、相殺せずにお互いに支払いあう「クロス払い」といった形があります。

相殺払いをする場合の損害賠償の例を見ていきましょう。

相手方にも損害がある場合の計算例(相殺払いの場合)

AB
過失割合80%20%
損害額50万円100万円
相手に請求できる金額10万円
(=50万円×20%)
80万円
(=100万円×80%)
相殺後の金額70万円
(=80万円-10万円)

Bの過失は2割なので、Aの損害額50万円の2割にあたる10万円を負担しなければいけません。
Aの過失相殺後の金額80万円から、Bの過失相殺後の金額10万円を差し引いた結果、最終的に支払ってもらえる金額は70万円に減ってしまいました。

このように、過失割合は最終的に受け取れる金額に大きく影響します。

(2)過失がゼロなら自分の保険会社は示談代行できない

被害者の過失が全くないと損害賠償金は減額されないので、とくに注意する点はないように思えます。

しかし、過失割合10対0の場合、任意保険に加入していても保険会社による示談代行サービスが利用できないので、被害者が自力で示談交渉を行わなければなりません

損害賠償金の金額に納得いかなかったり、示談交渉の対応に不安があったりする場合は、弁護士に相談するとよいでしょう。

過失割合10対0になるケースについては、以下の関連記事をご確認ください。加害者側から過失割合9対1や8対2などと言われ、10対0に変更できないかとお考えの方にも、参考になる内容を記載しています。

過失割合を9対0とすることもできる

過失割合を9対0や8対0にして、交通事故の損害賠償問題を解決する方法のことを片側賠償と言います。片側賠償は、事故の当事者双方に過失があるものの、一方のみが損害賠償を行うことです。

片側賠償は、示談交渉で当事者双方の主張がまとまらなかった時の折衷案として用いられる方法と言えます。

片側賠償を認めると、加害者側に対して損害賠償金を支払う必要はありませんが、被害者が受け取れる金額が減ることは理解しておきましょう。

片側賠償については、『交通事故の過失割合9対0とは?片側賠償のメリットや過失相殺の計算例を紹介』で詳しく解説しています。

(3)相手方の提案する過失割合が正しいとは限らない

相手方の保険会社は被害者側の過失割合をあえて多く見積もるといったケースも散見されます。

保険会社は営利企業です。交通事故の被害者に対して支払う損害賠償金は、加害者側の保険会社にとっては大きな支出となります。
そのため、保険会社は利益を上げるために、少しでも損害賠償金を減らして支出を抑えようとすることがあるのです。

過失割合は弁護士に確認してもらうべき

事故の過失割合は、加害者側の保険会社の主張を鵜呑みにするのではなく、一度弁護士に適切か確認してもらうことが非常に大切です。

過失割合を正しく判断できるのは、法律の専門家である弁護士です。交通事故案件を取り扱っている弁護士であれば、過去の判例を適切に読み解くことができますし、過去の判例に当てはまらない特殊な事故や複雑な事故にも対応できます。

加害者側の保険会社が主張する過失割合がもし適正な過失割合でなかったとしたら、本来得られるはずだった損害賠償額よりも低い金額になってしまう可能性が高くなってしまいます。

このような事態を防ぐためにも、加害者側の保険会社が主張する過失割合に不満や疑問がある場合は、弁護士に一度相談し、法的に正しい過失割合を確認してみてください。

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(4)交通事故当時の状況を示す証拠も重要

示談交渉において適正な過失割合を主張していくとき、ただやみくもに「7対3ではなく9対1にすべきだ」と伝えても認められることは難しいです。

示談交渉で適切な過失割合が認められるには、その過失割合を証明するような、事故当時の状況を示す証拠の有無が非常に大切になります。

事故当時の状況を示す証拠としては、主に以下のようなものがあげられます。

  • 刑事記録
    • 実況見分調書
    • 供述調書
  • 証言記録など
    • 目撃者の証言
    • ドライブレコーダー など

もっとも、刑事記録を入手しても過失割合の証明にどう役立てるのかがポイントです。刑事記録のどの部分が自身の主張する過失割合を立証するのか、論理立てて説明しなければなりません。

また、被害者自身ですべての証拠を集めようとすると、膨大な手間と時間がかかることが予想されます。

弁護士に依頼すれば、刑事記録の取り付けだけではなく、そもそもどういった証拠が有効で、証拠をどのように活用するかの検討も任せられます。

(5)相手の保険会社と過失割合でもめやすいケースがある

交通事故の過失割合でもめやすいのは、以下のようなケースです。

  • 損害賠償額が大きい
  • 交通事故の状況を示す証拠がない
  • 事故状況が既存のよくあるケースに当てはまらない
    (駐車場内で起きた事故、自転車事故など)

損害賠償額が大きいケースでは、加害者側が支払う金額を減らすべく、被害者側にとって不利な過失割合を主張してゆずらないことがあります。その結果、過失割合でもめてしまうことが多くなります。

また、事故状況を示す証拠がないケースや、既存のよくある事故状況に当てはまらないケースでは、どのような過失割合にすべきか主張が食い違ってしまうことが多いでしょう。

関連記事『交通事故の過失割合でもめる4ケース&対処法』では、加害者側と過失割合でもめやすいパターン別に対処法を解説しているので、こちらもご覧いただくと、より深い理解が可能です。

過失割合に不満がある場合の対処法

示談交渉で加害者側が提示してきた過失割合に不満があるが、なかなか被害者側の主張する過失割合を認めてもらえない場合、以下のような対処法をとるとよいでしょう。

対処法

  • 弁護士を味方につける
  • ADR・調停・裁判を利用する

対処法それぞれの特徴を見ていきます。

弁護士を味方につける|過失割合以外にもメリットあり

過失割合に不満がある場合の一つ目の対処法は、弁護士に依頼することです。

交通事故の示談交渉で不利にならないようにするには、交通事故の専門知識が豊富な保険会社の担当者と対等に交渉できるのかがポイントになってきます。

法律の専門家である弁護士に示談交渉を依頼することで、被害者自身では対応しきれない問題を解決してくれるでしょう。

弁護士に依頼した場合、以下のようなメリットを得られることが期待できます。

  • 適切な過失割合を主張できる
  • 面倒な示談交渉を任せられる
  • 慰謝料・損害賠償金が増額する

それぞれの項目について、詳しく確認していきましょう。

適切な過失割合を主張できる

加害者側が提示する過失割合を変更するよう交渉する際、過失割合に不満があるから変えてほしいと単に主張しても聞く耳を持ってくれないでしょう。

適切な過失割合で合意するためには、過失割合が正当だと証明できる客観的な証拠や、判例や証拠を読み解く法的知識、加害者側に納得させる交渉力が必要です。

この点、弁護士は法律の専門家であり、交渉ごとにも長けています。交通事故事案を扱っている弁護士なら、過失割合を示すための証拠についても精通しているでしょう。

弁護士による交渉で、実際に過失割合が変わった事例は多数あります。
関連記事『交通事故の過失割合に納得いかない!過失割合変更のコツとゴネ得対策』で実例を紹介していますので、過失割合に納得がいかないときの対策とあわせてご確認ください。

面倒な示談交渉を任せられる

加害者側の保険会社と示談交渉をする場合、仕事や子育てをしている日中に何度も連絡がかかってくることがあります。

また、担当者に専門用語を多用される、高圧的な態度を取られる、不親切な回答しかしてくれないといった状況で、示談交渉をストレスに感じてしまう方も少なくありません。

弁護士に依頼すれば、示談交渉を一任してしまうことも可能です。

被害者の方は保険会社の担当者とのやりとりから解放され、仕事や子育て、怪我の治療に時間を使えるようになるのです。

もちろん、示談交渉だけではなく、証拠の収集や各種手続きも弁護士に任せられます。

慰謝料・損害賠償金が増額する

保険会社が慰謝料や損害賠償金を計算する方法と、弁護士や裁判所が計算する方法は異なります。計算方法が異なる結果、金額は約2~3倍ほど変わるケースも多いです。

慰謝料金額相場の3基準

弁護士に依頼するメリットは「過失割合が適正になり、過失相殺の幅が減る」ことだけではありません。そもそもの金額自体を増額できる可能性が高いことも理由のひとつになります。

慰謝料の増額交渉を弁護士に任せたとき、どのくらいの慰謝料増額が期待できるのかを知りたい方は、以下の「慰謝料計算機」をご利用ください。

慰謝料の計算の仕組みを具体的に知りたい方には、関連記事『交通事故の慰謝料を正しく計算する方法』をお役立ていただけます。

ADR・調停・裁判を利用する

過失割合に不満がある場合の二つ目の対処法として、ADR・調停・裁判を利用する方法があります。

ただし、各方法にはメリットとデメリットがあることを知り、ご自身の意向にそって方法を選ぶべきでしょう。

示談・裁判・ADRの違い

もし過失割合について示談交渉がうまく進んでいないという方は、一度弁護士に相談してみてください。

弁護士が介入することで示談交渉が前に進む可能性も十分あります。

あるいは弁護士と相談して示談交渉での解決が難しいと判断された場合は、弁護士にアドバイスをもらってから異なる方法を選択することも有効です。

それぞれの方法は下記の関連記事でくわしく解説していますので、あわせてお読みください。

【アトム法律事務所の解決実績】過失割合対応の事例多数あり

これまでアトム法律事務所に寄せられたご相談のなかには、過失割合への疑問や不安がきっかけとなった相談も多いです。

アトム法律事務所の弁護士による解決実績の一部を紹介します。そのほか「交通事故の解決実績」のページではケガの部位や障害等級ごとの解決実績を掲載しているので、弁護士依頼を検討されている方は参考にしてください。

弁護士による交渉が相手の譲歩につながった事例

この事故は交差点での右直事故であり、バイク同士のものでした。被害者の方は相手方に重い責任があると感じ、現状の過失割合を変更したいという相談から、正式なご依頼に至ったのです。

ご依頼を受けてから8か月間、ねばり強い交渉を続けた結果、相手方の譲歩を引き出すことになり示談成立となりました。

後遺障害14級というつらい後遺障害を負う結果となりましたが、354万円にて示談成立となったのです。

ドライブレコーダーから適切な過失割合を交渉した事例

この事故はバイクと自動車の、出会い頭の衝突事故でした。被害者は左肋骨骨折、右小指関節骨折などの重傷を負ったのです。

過失割合に関する双方の主張が異なっていましたが、弁護士はドライブレコーダーの映像をもとに適切な過失割合を主張したところ、こちらの主張が認められる結果になりました。

過失割合のお悩みは弁護士に無料で相談しよう

過失割合についてお困りの場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。
交通事故の案件を取り扱う弁護士なら、実際の事故状況を適正に反映した過失割合を主張していくことが可能です。

弁護士へ相談というと費用が気になるかと思いますが、無料で相談できる窓口もあるのでご確認ください。

交通事故被害者のための無料相談窓口

過失割合に関するお悩みをお持ちの方は、アトム法律事務所の弁護士による無料相談をご利用ください。

アトム法律事務所は、交通事故案件の解決実績が豊富であり、過失割合のお悩みについても多く相談・依頼を受けてきました。

「加害者側の主張する過失割合が不当な気がする」
「提示された過失割合で合意していいのかわからない」
「事故当時のこの状況は、過失割合の修正要素になる?」

上記のようなお悩みに対し、過去の事例や法的知識をもとに、弁護士が適切に回答します。

来所せずとも弁護士の見解を聞くことができるので、ぜひ気軽にご利用ください。もちろん、無料相談のみの利用でも大丈夫です。

相談予約は24時間365日受け付けています。下記フォームより気兼ねなくお問い合わせください。

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(前略)いろいろ私どもにとって、最良と思われる方向性を丁寧に教えて戴きました。一人で悩んでいたところを救われた想いです。大変感謝しております。ありがとうございました。

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心配事があり連絡を入れてから直ぐに時間をとって頂き相談に乗って貰えました。思い切って電話して良かったです。

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弁護士さんに相談することは初めてで、最初はとても勇気が要りましたが、優しい対応で安心できました。ありがとうございます。(後略)

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弁護士費用の不安は弁護士費用特約で解決できる

望ましい過失割合を得たいなら、弁護士に依頼し、示談交渉を代理してもらうのが効果的です。
しかし、弁護士費用が高くつきそうだと不安に思われる方も多いでしょう。

弁護士費用について不安があるなら、ご自身が加入されている保険に弁護士費用特約が付帯されているかを確認してみてください。

弁護士費用特約を使えば、多くの場合で300万円を上限に、保険会社が弁護士費用を負担してくれます。弁護士費用を自己負担することなく依頼できることも珍しくありません

弁護士費用特約のメリット

弁護士費用特約は、自動車保険だけではなく、火災保険やクレジットカードに付帯されているものも利用できることが多いです。

また、被害者自身の保険だけではなく、被害者の家族が加入している保険に付帯されているものも利用できる場合があります。

弁護士費用特約を利用しても、基本的に翌年以降の保険料が上がることはないのでご安心ください。

弁護士費用特約の概要や使い方を詳しく知りたい方は、『交通事故の弁護士費用特約を解説|使い方は?メリットや使ってみた感想も紹介』の記事をご確認ください。

被害者に過失がある場合も弁護士費用特約は利用できる?

被害者に過失が認められるケースにおいても多くの場合は利用可能ですが、被害者の過失が大きい場合には利用できない恐れがあります。
事故の発生について被害者にも過失がある場合には、利用の可否について事前に確認しておくと良いでしょう。

弁護士費用特約がない場合は?

弁護士費用特約を使えない場合でも、弁護士に一度相談してみることをおすすめします。
なぜなら、弁護士費用を支払っても、弁護士に依頼した方が最終的に手元に入る金額が増えるケースは多いからです。

アトム法律事務所の法律相談は、弁護士費用特約の有無関係なく、無料で利用できます。

弁護士による増額が見込まれる金額と弁護士費用とのバランスを見て、弁護士に依頼すべき事案かどうか検討できますので、まずは電話・LINEで無料相談についてお問い合わせください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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