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巻き込み事故ってどんな交通事故?過失割合や事故を防ぐコツを解説

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巻き込み事故

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

毎日様々な交通事故が発生しますが、交通事故の一形態として、巻き込み事故があります。巻き込み事故の特徴は、文字通りに他の車輌を巻き込むような形で事故が起こることです。

巻き込み事故が発生する主な要因や防止するコツ、巻き込み事故でよくあるケースの過失割合などを解説します。

巻き込み事故とは

巻き込み事故とは、主に交差点を曲がろうとした自動車が、後方や側方から直進してきたバイクや自転車に気づかずに接触してしまう事故のことです。

曲がろうとした自動車が、接近してきたバイクや自転車を巻き込むようにして事故が発生することから、巻き込み事故と呼ばれます。

自動車が左折しようとした際に発生するケースが多いことから、左折巻き込み事故と呼ばれることもあり、車両同士の交通事故の中では、巻き込み事故は約18%の割合を占めるといわれます。また、巻き込み事故の被害者が歩行者や自転車の場合は、死亡事故など重大な結果が発生することもあるので注意が必要です。

この他にも、前方にいるバイクや自転車を追い越して、自動車が左折しようとして接触した場合や、バイクや自転車が左折しようとしたところ、後方の自動車と接触した場合も巻き込み事故といわれています。

巻き込み事故の主な要因

巻き込み事故の概要は理解していただけたと思います。それでは、そもそもなぜ巻き込み事故が発生してしまうのでしょうか?

巻き込み事故が発生する主な原因として、以下のものがあります。

後方をきちんと確認していない

巻き込み事故が発生する主な原因の一つは、前方車が後方をきちんと確認していないことです。

前方車が右左折をしようとする際に後方を確認しなかったために、後続車や歩行者に気づかずに巻き込み事故が発生してしまいます。

後方をきちんと確認するには、サイドミラーやルームミラーを確認することはもちろん、見通しが悪い場合など必要に応じて目視で確認することも大切です。

方向指示器をきちんと操作していない

方向指示器(ウインカー)は、自分の車両がどのような動きをするかを周囲に伝えるための重要な装置です。方向指示器の操作を誤ると、車両がどのように動くかを周囲が誤解してしまうので、事故が発生しやすくなります。

巻き込み事故でよくある操作の誤りは、方向指示器を出すタイミングが遅いことです。前方の車が直進すると思い込んでいるところに急にウインカーを出されると、速度を十分に落とすことができずに事故につながります。

右左折する際には、周囲の安全をよく確認した後に、適切なタイミングで方向指示器を出すことが大切です。また、方向指示器を出す方向を間違えないように注意しましょう。

内輪差が原因の巻き込み事故

内輪差とは、四輪以上の車輪を有する車両が曲がる際に、前輪と後輪が描くアーチの半径に差が生じる現象のことです。

内輪差は事故の原因になることがあります。車両が交差点で曲がる際などに内輪差が生じると、歩行者やバイクなどが後輪に衝突し、巻き込み事故が発生する危険性があるからです。特に、大型のトラックやバスなどは内輪差が大きいため、より事故が発生しやすくなります。

内輪差による巻き込み事故を防止するには、内輪差が生じやすい後方内側をサイドミラーでよく確認する、方向指示器にブザーや音声を加えて周囲に通知しやすくするなどの工夫が重要です。

巻き込み事故を防ぐ方法

巻き込み事故に陥りやすい原因がわかったところで、次は巻き込み事故を防ぐ方法をご紹介します。

曲がることをきちんと知らせる

巻き込み事故が発生する原因の一つは、前方車が曲がろうとしていることを後方の車両や歩行者が認識できていないことです。

車が曲がることをきちんと伝えることができれば、後方が警戒して事故を防ぎやすくなります。

車両が曲がることを知らせるコツは、交差点の30メートル前くらいで早めに方向指示器を出すことです。

また、実際に曲がる際には、後方をよく確認したうえで徐々に路肩に幅寄せすると、車両が曲がることを知らせやすくなります。

左折する際に自動車をしっかりと左に寄せよう

交差点を左折する際に巻き込み事故の原因になりやすいのが、後方のバイクや自転車が前方車両の左サイドに侵入し、それに気づかない前方車が左折する際に接触してしまうことです。

左サイドに侵入したバイクとの巻き込み事故を防ぐには、左折する際に車の左側をよく確認することも重要ですが、バイクがすり抜けられないように車を十分に左側に寄せておくのもポイントです。

また、車体の左側をすり抜けようとするバイクを発見した場合は、無理に左折しようとするのではなく、バイクを先に行かせてから改めて左折すると事故を防ぎやすくなります。

自動車の死角に注意する

自動車には死角があるため、運転者から見えている部分だけにバイクや歩行者がいるとは限りません。
大型の車両や電柱の陰など、死角になっている箇所に気づかずに巻き込み事故を起こしてしまう危険性があります。

死角を原因とする巻き込み事故を防ぐには、まず死角が存在すること自体をきちんと把握することです。
死角に歩行者やバイクがいる可能性を意識しつつ、交差点前では徐行しながら周囲を確認するのがポイントといえます。

巻き込み事故の過失割合

どれだけ注意しても、巻き込み事故を起こしてしまう可能性はあります。

巻き込み事故の当事者になった場合に重要なのは、加害者と被害者のそれぞれの責任の割合を示す数値である、過失割合です。
過失割合が多いほど自分の責任が重くなり、支払われる損害賠償金の金額に影響してきます。

そこで、「別冊判例タイムズ38」(東京地裁民事交通訴訟研究会編)に記載されている情報をベースにして、巻き込み事故における過失割合について解説します。

巻き込み事故を起こしてしまった場合の対処法や責任内容については、『交通事故加害者が行うべきことや負うべき3つの責任を紹介』の記事を確認してください。

巻き込み事故の基本過失割合

巻き込み事故における基本的な過失割合について、事故の内容ごとに解説します。

先行する自動車が左折中に直進するバイクを巻き込んだ

方向指示器を出して交差点を左折しようとした自動車に、直進してきた後続のバイクが接触するという事故です。

このような事故の基本的な過失割合は左折する自動車が8割、直進するバイクが2割になります。

道路交通法では左折車よりも直進車が優先されるため、左折しようとして直進車の走行を妨げた自動車側に多くの過失が認められるでしょう。

一方、自動車は左折しようとする際に十分な距離で方向指示器を出しているはずであり、バイクが自動車の合図や動きにきちんと注意していれば、巻き込み事故を回避できた可能性があるので、直進車であるバイクの側にもある程度の過失が認められます。

また、巻き込まれたのがバイクではなく自転車である場合は、左折する自動車が9割、直進する自転車が1割となります。
自転車は、バイクよりも交通弱者であることから強く保護されるためです。

バイクを追い越して左折しようとした自動車にバイクが巻き込まれた

交差点を直進しようとしているバイクを追い越して左折しようとした自動車に、直進するバイクが接触したという事故です。

このような事故の基本的な過失割合は左折する自動車が9割、直進するバイクが1割になります。

道路交通法では交差点手前30メートル以内は追い越しが禁止されているのにもかかわらず、自動車がバイクを追い越しているため、自動車側に大きな過失が認められるのです。

また、巻き込まれたのがバイクではなく自転車である場合は、左折する自動車が10割、直進する自転車が0割となります。

先行するバイクが左折中に直進する自動車を巻き込んだ

先行しているバイクが、交差点の手前で左折の合図を出したうえで左折を開始したものの、後方から直進しようとした自動車と衝突したという事故です。

このような事故の基本的な過失割合は左折するバイクが6割、直進する自動車が4割になります。

このような事故が起きるのは、先行するバイクが左折前に道路の左側によらずに左折するという大回り左折を行っていたことが原因となるでしょう。そのため、先行するバイクの過失割合が大きくなります。

自動車を追い越して左折しようとしたバイクに自動車が巻き込まれた

直進しようとする自動車を追い越して左折しようとしたバイクに、自動車が衝突したという事故です。

このような事故の基本的な過失割合は左折するバイクが8割、直進する自動車が2割になります。

左折しようとしたバイクは、道路交通法で禁止されている交差点の手前で追い越しと大回り左折を行っているため、バイクの過失割合が大きくなるのです。

過失割合の修正要素

先程の過失割合はあくまで基本形であり、状況によって過失割合は修正されます。過失割合が修正される主な要素は、以下のとおりです。

  • 自動車が大回りで左折した:自動車の過失+1割
  • 自動車が徐行しなかった:自動車の過失+1割
  • 自動車の左折の合図が遅れた:自動車の過失+0.5割
  • 自動者が左折の合図をしなかった:自動車の過失+1割
  • バイクの著しい前方不注意:バイクの過失+1割
  • バイクの15km以上の速度違反:バイクの過失+1割
  • バイクの30km以上の速度違反:バイクの過失+2割

過失割合は、事故形態に応じて「基本の過失割合」があり、個々の状況によって「修正要素」にしたがって過失割合を修正していくイメージです。

過失割合についてもっと色々なパターンを知りたい方や、過失割合に不満がある時の対処法は関連記事を参考にしてください。

巻き込み事故の被害者になったら

巻き込み事故の被害者が請求できるものとは

巻き込み事故の被害者は、損害賠償請求権にもとづいて、以下のような請求を行うことが可能となります。

  • 入通院慰謝料
    怪我の治療をするために入院や通院したことで請求できる慰謝料
  • 後遺障害慰謝料
    後遺症の症状が後遺障害に該当すると認定された場合に請求できる慰謝料
  • 死亡慰謝料
    事故により被害者が死亡した場合に請求できる慰謝料
  • 治療費
    治療をするために必要となった費用
    手術代や入院代などを含む
  • 入通院交通費、付添費用
    入院や通院をするための交通費
    入通院の際に付添が必要な場合は付き添い費用を請求可能
  • 休業損害
    治療のために仕事ができなかったことで生じる損害
  • 逸失利益
    後遺障害の症状により労働能力が低下したため、将来得られたはずの収入が得られないという不利益
    被害者が死亡した場合も、将来得られたはずの収入が得られなくなるため請求可能
  • 物的損害
    バイクや自転車の修理費用など

請求金額の相場を知っておこう

巻き込み事故の被害者は、バイクや自転車を運転しています。
そのため、体がむき出しであり、自動車との事故であることから、大きな怪我を負うことが珍しくありません。

基本的に大きなけがであればあるほど、請求できる金額も高額になるので、加害者側は少しでも請求金額を安くするよう抵抗してくるでしょう。
加害者に対して適切に対応するために、巻き込み事故の被害者は、自身がどの程度の金額を請求できるのかをしっかりと理解しておく必要があります。

バイクを運転中に巻き込み事故の被害にあった人については『バイク事故の慰謝料相場と計算方法!いくらもらったか請求事例も解説』の記事をご覧ください。

自転車を運転中に巻き込み事故の被害にあった人については『交通事故|自転車と車の事故の慰謝料相場!被害者が知るべき計算方法』の記事で相場額を確認可能です。

また、具体的な慰謝料の金額については、自動計算機を利用することで簡単に知ることができます。

まとめ

巻き込み事故とは、交差点を曲がる際などに後方から直進してきたバイクなどを巻き込んで接触してしまう事故のことです。

事故が発生する主な要因は、後方をきちんと確認していない、方向指示器のタイミングが遅い、内輪差によって事故が生じるなどがあります。

巻き込み事故を防止するには、方向指示器を早めに出して曲がることを知らせる、左折する際に車体を十分に寄せておく、車の死角に注意して周囲の確認をするなどです。

要因を理解して対策をすれば巻き込み事故を防ぎやすくなりますので、安全運転を心がけましょう。

代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」「ネット削除依頼」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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