交通事故の慰謝料計算機|示談前に確認できる簡単計算ツールをご紹介
計算機の慰謝料は弁護士基準・過失0の場合を基準に計算しています。弁護士基準まで慰謝料を増額するためには弁護士に相談するのが最短・最適の方法です。
計算ソフト利用上の注意点
・主婦の方は、「年収」の欄で「301~400」を選択してください。
・逸失利益は、失業中の方、大学生の方について計算の対象外としています。
・本計算機は、個別事情を考慮せず、一般的な計算方法に基づいて慰謝料等を計算しています。正確な慰謝料額を知りたい重傷の被害者やご家族の方は、当事務所の電話無料相談サービス(0120-434-911)をご利用ください。
記事冒頭の「慰謝料計算機」で計算した慰謝料と、加害者側が提示してきた慰謝料の金額に差がある方が多いのではないでしょうか。
加害者側の任意保険会社は、相場よりも低い慰謝料を提示してくることがほとんどです。なぜなら慰謝料の適正相場と、任意保険会社の提示額では、慰謝料の計算基準が異なるからです。
慰謝料の種類や、金額を左右する3つの計算基準ごとの計算方法などについて解説していきます。損しないために正しい慰謝料の金額や計算方法を知っておきましょう。
慰謝料の支払い時期を知りたい方や早く支払いを受けたい方は、関連記事『交通事故の慰謝料はいつもらえる?流れともらうまでの期間を早める方法』をお読みください。
加害者側が提示する慰謝料は低額
加害者側は低い計算基準を使う|慰謝料の基準3つ
加害者側の任意保険会社が提示してくる慰謝料が低額な理由は、「任意保険基準」で計算された金額だからです。
対して、記事冒頭の慰謝料計算機でも用いている「弁護士基準」で計算した慰謝料が、適正相場かつ最も高い金額になる計算基準です。
慰謝料の計算基準3つ
- 自賠責基準:国が定める最低限の補償
- 任意保険基準:任意保険会社ごとに定める基準
- 弁護士基準:裁判の判例をもとにした基準
相場通りの慰謝料をもらう方法
相場通り(弁護士基準)の慰謝料がもらえる可能性を高めるためには、弁護士依頼が最も有力です。理由を解説します。
まず弁護士基準は、裁判で認められる慰謝料の計算基準です。
しかし、交通事故の慰謝料請求で裁判までもつれこむケースは少ないため、加害者側の任意保険会社は「被害者本人が裁判を起こす可能性は低いから、わざわざ弁護士基準の慰謝料を払わなくてもいい」と考えます。
そのため弁護士基準の慰謝料は、被害者本人が増額交渉をしても認められないことがほとんどなのです。
弁護士基準の慰謝料を獲得するためには、弁護士に示談交渉を依頼して、加害者側の任意保険会社に「このままだと裁判に発展するかもしれない…」と思わせる必要があります。
裁判になれば加害者側の任意保険会社にも大きな負担がかかるため、弁護士基準の慰謝料を払った方がコストがかからないと考え、慰謝料の増額に応じてくれるようになるのです。
弁護士費用が心配な方へ
弁護士費用特約が使える場合、被害者本人の金銭的負担はゼロになるケースが多いです。弁護士費用特約について詳しくは、本記事内「弁護士費用特約があれば安心して依頼できる」をお読みください。
慰謝料計算機で適正な金額を知ることからはじめよう
加害者側の任意保険会社が提示してきた金額がすでにわかっている方は、記事冒頭で紹介した「慰謝料計算機」という自動計算ツールをご利用ください。
慰謝料計算機は、「被害者が通常、受け取ることのできる慰謝料の額」を自動計算する、慰謝料のシミュレーションツールです。
慰謝料計算機の結果と、加害者側から提示された慰謝料金額に差がある場合は、弁護士に依頼することで増額できる可能性があります。
まずは弁護士への無料相談で「弁護士が介入することでどのくらい慰謝料増額が見込めるか」をご確認ください。
交通事故の慰謝料を計算する|シミュレーション付き
まずは慰謝料の意味と3つの種類を確認
慰謝料とは精神的苦痛を慰謝するために支払われる損害賠償金をいいます。
物損事故の場合は修理などにより損害を回復させることが可能なので、通常、慰謝料は発生しません。
また、慰謝料は交通事故の損害賠償金として支払われる示談金の一部です。示談金のなかには、慰謝料のほか、治療費・休業損害・逸失利益などが含まれます。
なお、交通事故の慰謝料は「入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料」の3つの種類に分けられます。
それでは3つの慰謝料の中身について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
入通院慰謝料
入通院慰謝料とは、交通事故により入院や通院をしたことによって支払われる慰謝料です。入通院慰謝料は、「傷害慰謝料」ともいわれます。
交通事故によるケガを負ってしまった場合、被害者は大変な苦痛をともないます。入通院慰謝料は、ケガを負ってしまった苦痛に対して金額を算定していくことになります。
しかし、精神的苦痛の程度は人によってさまざまなので、苦痛そのものを金額に換算することはできません。
そこで、入通院慰謝料は、入通院日数や期間により金額を設定しています。
また、入通院慰謝料の計算基準は一概に決まっているわけではありません。
計算基準は3つあり、そのうちいずれかの計算基準を使って算定していくことになります。
どの計算基準を使うかで、入通院慰謝料の金額は「大きく」変わります。(後ほど、入通院慰謝料の計算方法を3つの基準ごとに詳しく説明しますので、引き続きお読みください。)
条件を満たしていれば、入院なし・通院のみの場合でも請求できます。
通院のみの慰謝料については『通院のみなら交通事故慰謝料はいくら?』が参考になります。
あわせてお読みください。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料とは、交通事故の後遺症により、後遺障害が残ったことに対して支払われる慰謝料です。
後遺症とは「傷害が完治せずに残存した障害」をいい、その後遺症を後遺障害というためには、後遺障害等級に認定されなければいけません。
後遺障害等級に認定された場合、後遺障害慰謝料に加えて逸失利益も請求できるようになります。
後遺障害等級は、後遺症の程度により1級から14級まで区分されており、後遺障害慰謝料も1級から14級ごとに金額が区分されています。
なお、等級に該当しない場合は「非該当」とされ、非該当であれば後遺障害慰謝料の金額は原則0円になります。
しかし、等級が非該当の場合でも、後遺障害に相当する症状が残っていると判断されれば、慰謝料を認められたというケースもあります。
後遺障害等級認定を受けるためには、後遺障害の有無を証明する医師の正確な後遺障害診断書が欠かせません。後遺障害の認定につながる充実した内容の後遺障害診断書にするには工夫が必要なので、『後遺障害診断書のもらい方と書き方は?自覚症状の伝え方と記載内容は要確認』の記事もあわせてご確認ください。
また、後遺障害慰謝料は、被害者本人のみならず近親者に対しても認められることがあります。
判例によれば、重度の後遺症の場合であって、死亡に匹敵するような精神的苦痛を受けたときに認められてることがあるでしょう。
近親者固有の後遺障害慰謝料が認められた判例
(裁判要旨) 不法行為により身体を害された者の母は、そのために被害者が生命を害されたときにも比肩すべき精神上の苦痛を受けた場合、自己の権利として慰藉料を請求しうるものと解するのが相当である。
(最判昭和33年8月5日民集12巻12号1901頁)https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52849
死亡慰謝料
死亡慰謝料とは、被害者が交通事故で死亡してしまった場合、その精神的苦痛に対して支払われる慰謝料をいいます。
死亡慰謝料は、被害者の立場や地位により金額が変わってきます。
たとえば、被害者が「一家の支柱」であった場合と、「一家の支柱以外」であった場合で金額に差があります。
被害者が一家の支柱であった場合、死亡したことによって経済的な支柱をも失うと考えられているためです。
また、死亡慰謝料には、被害者本人に対するものと遺族に対するものとがあります。被害者本人が被る精神的苦痛と、遺族が被る精神的苦痛は別物と考えられているのです。
原則として、死亡慰謝料を受け取ることのできる遺族は、被害者の配偶者(事実婚の配偶者を含む)、子、父母に限られています。
ここまでは、慰謝料の計算基準について説明しましたが、加害者側の保険会社の提示する金額は、適正でない可能性が非常に高いことがお分かりいただけたと思います。
つづいては、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料が3つの計算基準ごとにどのように計算されるのかみていきましょう。
どのように計算されるのかを知っておくことで、任意保険会社から提示される金額が適正でないことをご自身の目で確認することができます。
入通院慰謝料の計算方法
まず、入通院慰謝料の計算方法をみていきましょう。
自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準でそれぞれ計算し、金額にどのくらいの違いがあるのかを確認できます。
相手方から慰謝料を提示されている被害者の方は、その金額と見比べてみてください。
事故例
交通事故の被害に遭い、骨折などの傷害を負った。
治療期間180日間のうち、入院日数は30日、実通院日数は60日であった。
※慰謝料の算定では、1ヶ月=30日と考えます。
では、事故例に沿ってぞれぞれの基準で計算していきます。
自賠責基準
はじめに、最も低額な自賠責基準で計算してみましょう。
自賠責基準で入通院慰謝料を計算する場合、以下の2つの計算式のうち金額が少ない方を採用します。
- [入院日数 + (実通院日数 × 2)]× 4,300円
- [治療期間]× 4,300円
※ 2020年3月31日までに起きた事故については1日あたり4,200円で計算します。
※ 慰謝料の対象となる日数は、被害者の傷害の態様、実治療日数その他を勘案して決まります。
事故例を、自賠責基準の計算式にあてはめてみましょう。(4,300円の支払い基準で計算します。)
- [30+(60× 2)]× 4,300円=645,000円
- 180× 4,300円=774,000円
金額の少ない方を採用するため、自賠責基準で計算された入通院慰謝料は645,000円になります。
任意保険基準
任意保険基準については、任意保険会社により異なります。
示談をおこなう保険担当者によって慰謝料の金額が変わる可能性もあるでしょう。
ここでは、過去に任意保険会社が用いていた「旧任意保険基準」を参考に慰謝料を出してみます。
事故例を、旧任意保険基準にあてはめてみましょう。
入院日数は30日間のため1ヶ月です。治療期間180日間から入院日数30日間を除くと、通院期間150日間が求められます。
したがって、通院期間150日間は5ヶ月です。
入院月数1月と通院月数5月が交差するマスは、769,000円となっています。
自賠責保険の645,000円よりかは上回る金額となりました。
弁護士基準(裁判基準)
弁護士基準での入通院慰謝料は、「赤い本」を参考にします。
弁護士基準では、むちうちなどの軽傷ケースと、重傷ケースによって用いる算定表が変わるので注意しましょう。
事故例は「骨折などの傷害」という設定のため、重傷ケースの算定表を用いてください。(軽傷ケースの代表例である「むちうち」に関しては、関連記事『交通事故によるむちうちの症状・治療期間・後遺症|慰謝料相場も解説』にて深掘り解説しています。)
事故例を、弁護士基準にあてはめてみましょう。
入院日数は30日間のため1ヶ月です。治療期間180日間から入院日数30日間を除くと、通院期間150日間が求められます。
したがって、通院期間150日間は5ヶ月です。
入院月数1月と通院月数5月が交差するマスは、1,410,000円となります。
任意保険基準の769,000円をはるかに上回る金額となりました。
計算結果|計算基準ごとに入通院慰謝料を比較
3つの計算基準で計算された金額をまとめると、以下の通りです。
基準 | 入通院慰謝料の額 |
---|---|
自賠責基準 | 645,000円 |
任意保険基準 | 769,000円 |
弁護士基準 | 1,410,000円 |
自賠責基準や任意保険基準と比較すると、弁護士基準で計算された入通院慰謝料の額は桁違いに高額です。
いかに弁護士基準で慰謝料を計算するのが大切かがお分かりいただけると思います。
ここまでで説明した入通院慰謝料の計算方法がすこし複雑だと感じた方は「慰謝料計算シート」をお使いください。計算シートを使えば、入通院慰謝料をもっと簡単にご自分で計算できるでしょう。
やはり自分で計算するのが苦手だという方は、慰謝料の自動計算が可能な「慰謝料計算機」で金額をシミュレーションしてみてください。
後遺障害慰謝料の計算方法
後遺障害慰謝料の金額についても、3つの計算基準を用いて算定をおこないます。
3つの基準を表にまとめてみました。
等級 | 自賠責基準 | 任意保険基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|---|
1 | 1,150万円 (1,100万円) | 1,300万円 | 2,800万円 |
2 | 998万円 (958万円) | 1,120万円 | 2,370万円 |
3 | 861万円 (829) | 950万円 | 1,990万円 |
4 | 737万円 (712万円) | 800万円 | 1,670万円 |
5 | 618万円 (599万円) | 700万円 | 1,400万円 |
6 | 512万円 (498万円) | 600万円 | 1,180万円 |
7 | 419万円 (409万円) | 500万円 | 1,000万円 |
8 | 331万円 (324万円) | 400万円 | 830万円 |
9 | 249万円 (245万円) | 300万円 | 690万円 |
10 | 190万円 (187万円) | 200万円 | 550万円 |
11 | 136万円 (135万円) | 150万円 | 420万円 |
12 | 94万円 (93万円) | 100万円 | 290万円 |
13 | 57万円 | 60万円 | 180万円 |
14 | 32万円 | 40万円 | 110万円 |
※ 表中()は2020年3月31日以前発生の事故に適用
※ 任意保険基準は「旧任意保険基準」(現在は各保険会社が独自に設定)
たとえば、障害の程度が最も重い後遺障害等級1級の慰謝料額をみてください。最も低額な自賠責基準と最も高額な弁護士基準を比べると、1,600万円以上の差が生じています。
後遺障害慰謝料の金額や後遺障害等級認定については、『後遺障害慰謝料の相場はいくら?等級認定で支払われる金額と賠償金の種類』もご覧ください。
交通事故の被害者に被扶養者がいる場合
交通事故の被害者に被扶養者がいる場合、被扶養者に対しても慰謝料が支払われます。
自賠責基準では、後遺障害慰謝料の金額が以下のように増額するという形で支払われるでしょう。
- 後遺障害1級の場合なら1,350万円(1,300万円)
- 後遺障害2級の場合なら1,168万円(1,128万円)
- 後遺障害3級の場合なら1,005万円(973万円)
※()内は2020年3月31日以前発生の事故に適用
被扶養者がいた場合の弁護士基準での後遺障害慰謝料については、個別具体的に判断されます。
被扶養者がいた場合に支払われた後遺障害慰謝料の判例は以下の通りです。
【1級の事例】
民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準
高次脳機能障害(1級3号)の大学院生(男・固定時27歳・博士課程在学)につき,障がい分600万円のほか,本人分3000万円,父母各400万円の後遺障害分合計3800万円を認めた。
(事故日平9.4.24 東京地判平16.6.29 交民37・3・838)
【2級の事例】
民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準
高次脳機能障害(2級3号)の専門学校生・アルバイト(男・固定時20歳)につき,傷害分300万円のほか,本人分2,600万円,母200万円の後遺障害分合計2800万円を認めた。
(事故日平12.10.22 大阪地判平19.6.20 自保ジ1705・7)
交通事故の被害者が要介護者になった場合
交通事故の被害者に介護が必要となった場合についても、金額に差が出てきます。
後遺障害等級の要介護1級・要介護2級については、要介護者として慰謝料が増額されるのです。
自賠責基準での慰謝料額は以下のようになります。
- 後遺障害1級の場合なら1,650万円(1,600万円)
被扶養者がいる場合は1,850万円(1,800万円) - 後遺障害2級の場合なら1,203万円(1,163万円)
被扶養者がいる場合は1,373万円(1,333万円)
※()内は2020年3月31日以前発生の事故に適用
弁護士基準での要介護者の慰謝料については、個別具体的に判断されます。
死亡慰謝料の計算方法
死亡慰謝料の金額についてもこれまでと同様、3つの計算基準を用いて算定をおこないます。
ぞれぞれの基準で計算すると、金額にどのくらいの違いがあるのかみていきましょう。
自賠責基準
自賠責基準では、死亡した被害者本人に対する慰謝料と、遺族に対する慰謝料がそれぞれ設定されているので、それらを合計した金額が死亡慰謝料となります。
自賠責基準では、死亡した被害者本人に対して400万円(350万円)の死亡慰謝料が払われます。
また、自賠責基準では被害者の立場によって金額差はもうけられていません。
死亡した被害者が、一家の支柱であってもなくても、死亡した被害者本人に対する金額は一律なのです。
遺族分の慰謝料は、被扶養者がいる場合といない場合で受け取れる金額が異なります。
慰謝料 | |
---|---|
被害者本人 | 400万円(※350万円) |
+ | |
遺族1人 | 550万円(※※750万円) |
遺族2人 | 650万円(※※850万円) |
遺族3人 | 750万円(※※950万円) |
※ 2020年3月31日以前発生の事故に適用
※※ 被扶養者がいる場合の金額
たとえば、死亡した被害者に扶養されていた遺族が1人いた場合、自賠責基準では400万円+750万円=1,150万円ということになります。
任意保険基準
任意保険基準で支払われる死亡慰謝料は、あくまで推定金額となります。
一般には非公開とされている基準のため、おおよその金額であることを前提にご覧ください。
被害者の立場 | 慰謝料 |
---|---|
一家の支柱 | 1,700万円程度 |
配偶者・母親 | 1,500万円程度 |
それ以外 | 1,500万円程度 |
※保険会社により異なります
任意保険基準で設定された死亡慰謝料の金額は、遺族分をすでに含んだものと考えられています。
たとえば、死亡した被害者に扶養されていた遺族が1人いた場合、任意保険基準では1,700万円程度ということになるのです。
弁護士基準(裁判基準)
弁護士基準では、被害者の立場によって金額差がもうけられています。
被害者の立場 | 慰謝料 |
---|---|
一家の支柱 | 2,800万円 |
配偶者・母親 | 2,500万円 |
それ以外 | 2,250万円 |
※表中「それ以外」は、独身の男女、子供、幼児等をいいます。
弁護士基準で設定された死亡慰謝料の金額は、遺族分をすでに含んだものと考えられています。
たとえば、死亡した被害者に扶養されていた遺族が1人いた場合、弁護士基準では2,800万円ということになるのです。
計算結果|計算基準ごとに死亡慰謝料を比較
死亡した被害者に扶養されていた遺族が1人いた場合、3つの計算基準で計算された金額をまとめると以下の通りです。
基準 | 死亡慰謝料の額 |
---|---|
自賠責基準 | 1,150万円 |
任意保険基準 | 1,700万円程度 |
弁護士基準 | 2,800万円 |
※ 死亡した被害者に扶養する遺族が1人いた場合を想定
※ 自賠責基準は2020年4月1日以降発生の事故を想定
自賠責基準・任意保険基準と弁護士基準を比べると、弁護士基準の方が1.6~2.4倍ほど高い金額であることがわかります。
死亡慰謝料は金額も大きいので、慎重に示談を進める必要があるでしょう。
交通事故の慰謝料相場についてさらに具体的に知りたい方は、関連記事『交通事故の慰謝料相場』もおすすめです。死亡事故はもちろん症状別に慰謝料相場を紹介しています。
交通事故の慰謝料に関するよくある疑問
交通事故の慰謝料を請求するにあたって、さまざまな疑問が生じるでしょう。よくある疑問をまとめて紹介していきます。
Q1.主婦でも慰謝料を請求できる?
慰謝料は精神的苦痛に対する損害賠償金と位置付けられているので、被害者の立場にかかわらず請求可能な賠償金です。
つまり、主婦でも交通事故の慰謝料は請求できます。
慰謝料の請求に関しては、専業でも兼業でも関係ありません。
また、性別による差異もなく、男性の主夫に対しても慰謝料は支払われます。(本記事では便宜上、専業主婦・兼業主婦、専業主夫・兼業主夫のすべてを「主婦」と表して説明を進めます。)
慰謝料の計算方法についても、主婦であることで変わりはありません。
もっとも、主婦の場合、休業損害や逸失利益といった補償の請求に関して、主婦という立場が影響してくるので注意しましょう。
入通院慰謝料 | ない |
後遺障害慰謝料 | ない |
死亡慰謝料 | ある |
休業損害 | ある |
後遺障害逸失利益 | ある |
死亡逸失利益 | ある |
主婦が交通事故の被害者となった場合に特化した以下の関連記事では、計算方法はもちろん、主婦手当と呼ばれる休業損害の計算方法など、主婦特有の疑問をまとめて解説しています。
主婦(主夫)向けの解説記事
Q2.学生や無職でも慰謝料を請求できる?
学生や無職であっても慰謝料を請求することが可能です。
もっとも、主婦の場合と同じように、休業損害や逸失利益といった補償の請求に関しては、事故当時の立場(年齢、学歴など)が影響してくるので注意しましょう。
Q3.整骨院に通院しても慰謝料はもらえる?
整骨院への通院も、医師の指示があるのであれば慰謝料は認められます。
ただし、事故後、いきなり整骨院に行くのではなく、まずは病院を受診するようにしましょう。
そして、病院の医師から整骨院への通院許可をもらってください。
整骨院への通院がはじまっても、病院への定期的な通院も継続して行うことが大切です。
関連記事『交通事故の治療を整骨院で受けても慰謝料はもらえる』では、整骨院へ通う場合の注意点についてわかりやすく解説しています。
Q4.休業損害や逸失利益は慰謝料とどう違う?
休業損害や逸失利益は慰謝料と全く異なる補償です。慰謝料は「精神的苦痛に対する補償」である一方、休業損害と逸失利益はどちらも簡単に述べると「収入に関する補償」です。
休業損害は交通事故のケガで仕事を休んだことで失った収入のことをいい、逸失利益は交通事故がなければ得られたはずの将来的な収入のことをいいます。
休業損害について
休業損害は「基礎収入×休業日数」で計算します。
ただし、基礎収入の求め方は、用いる計算基準と職業によって異なります。
休業損害の詳しい計算方法については関連記事『交通事故の休業損害|計算方法や休業日の数え方、いつもらえるかを解説』が参考になります。こちらの関連記事では、休業損害に特化した計算機も紹介していますのであわせてご確認ください。
逸失利益について
逸失利益は、後遺障害等級に認定された場合に請求できる後遺障害逸失利益と、死亡事故の場合に請求できる死亡逸失利益に分けられます。
後遺障害逸失利益と死亡逸失利益は用いる計算式が異なり、被害者が若年の未就労者の場合も計算式が変わってくるので注意が必要です。
逸失利益は記事冒頭の「慰謝料計算機」で自動計算できますので、ぜひご活用ください。
逸失利益の詳しい計算方法については関連記事『交通事故の逸失利益とは?職業別の計算方法!早見表・計算機で相場も確認』をご確認ください。
慰謝料以外に請求できる損害
交通事故の被害者は、慰謝料・休業損害・逸失利益の他に、以下のような損害について請求が可能です。
- 治療関係費
治療のために必要となった投薬代、手術費用、交通費など - 介護費用
被害者の介護に必要となる費用。将来分も請求可能 - 葬儀費用
死亡事故の場合における被害者の葬儀のための費用 - 物損
自動車の修理費用や代車費用など
具体的な計算方法については『交通事故の損害賠償請求とは?賠償金の費目範囲や相場・計算方法を解説』の記事をご覧ください。
Q5.過失割合は慰謝料にどう影響する?
そもそも過失割合とは、交通事故が発生した当事者双方の過失(責任)の割合を数値で示したものです。
過失割合に応じて慰謝料を含めた損害賠償金が減額されることになるので、過失割合がどのくらいになるのかは非常に重要です。
過失割合はどのように決められるのかや、事故態様別の過失割合については、関連記事『交通事故の過失割合とは?パターン別の過失割合と決め方の具体的な手順』にて解説しています。
交通事故の慰謝料請求は弁護士に相談・依頼しよう
被害者だけで保険会社と示談交渉を進めても、被害者が本来手にできるはずの慰謝料額を得られる可能性は非常に低いです。
適正で妥当な慰謝料を得るためには、弁護士の存在が欠かせません。
適正な慰謝料計算や請求は弁護士に依頼すべき
加害者側の任意保険が提示する慰謝料を含む示談金の金額は適正ではありません。
適正な慰謝料といえるのは、弁護士基準で計算した慰謝料です。
もっとも、弁護士基準で計算して適正な金額を算出するには、事故における個別事情を考慮することが必要な場合があるため、機械的に算出できるとは限りません。
弁護士であれば、事故における個別事情を考慮したうえで、適正な金額を算出することが可能です。
弁護士なら適正な金額で示談することができる
加害者側の任意保険会社が提示する慰謝料を含む示談金の金額は、基本的に適正な金額ではないため、示談交渉において増額交渉が必要です。
しかし、示談交渉にプロである任意保険会社相手に増額交渉を行っても、知識や経験の差から、任意保険会社はほとんど増額には応じてくれません。
弁護士基準で算出した適正な金額に増額したいのであれば、専門家である弁護士に依頼して示談交渉を行ってもらいましょう。
専門家である弁護士による根拠のある主張であることや、増額に応じない場合には裁判に発展する恐れがあることから、任意保険会社が増額に応じる可能性が高くなるのです。
交通事故の示談の基本的な内容や、弁護士に示談交渉を頼むメリットなどについて解説した関連記事『交通事故の示談とは?交渉の進め方と注意点、避けるべき行動』もあわせてごらんください。
弁護士費用特約があれば安心して依頼できる
弁護士に依頼した方がいいとわかっても、気になるのは弁護士費用の存在です。
弁護士費用が高くつくと、依頼する必要もないと思われるかもしれません。
そんな時は、ご自身が加入する任意保険に「弁護士費用特約」が付帯されているか確認してみましょう。
弁護士費用特約が付いていれば、上限はあるものの弁護士費用を自己負担することなく弁護士に依頼することができます。
弁護士費用特約の特徴については、関連記事『交通事故の弁護士費用特約とは?メリット・使い方・使ってみた感想を紹介』で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
アトムの無料相談を活用しよう
弁護士費用特約がなかったり、弁護士費用を払ってまで依頼すべき案件かどうかわからないような場合は、アトム法律事務所の無料相談をご活用ください。
交通事故の被害者の方を対象に、弁護士による法律相談を無料で受け付けています。
- 任意保険会社が提示してきた慰謝料の金額が妥当か意見を聞きたい
- 弁護士に依頼したらどのくらい慰謝料が増額する見込みがあるのか教えてほしい
- 任意保険会社とのやり取りに疲れたので代わりに対応してほしい
慰謝料に関することはもちろん、交通事故で被害を受けた方のあらゆる悩みに対して弁護士が真摯にお答えします。
まずは予約受付窓口にお問い合わせいただき、無料相談の予約をお取りいただくところからお願いしています。予約受付窓口は24時間いつでも受付中なので、空いた時間を使って気軽にお問い合わせください。
まとめ
- 慰謝料の提示を受けたら、まずは便利な自動計算ツール「慰謝料計算機」でシミュレーションする
- 任意保険会社の提示する慰謝料を鵜呑みにしてはいけない
- 交通事故の慰謝料と計算方法はそれぞれ3つある
- 慰謝料の金額は計算方法により桁違いのものになり、最も高額な基準は弁護士基準である
- 適正で妥当な慰謝料を得るには、弁護士に相談・依頼するのがおすすめ
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了