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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
交通事故慰謝料は、入通院慰謝料なら通院期間、後遺障害慰謝料なら後遺障害等級をもとに計算します。これは、被害者が学生であっても学生でなくても同じです。
ただし、加害者側の保険会社は慰謝料が低額になる計算方法を用いるので、示談交渉の際に正しい金額を主張する必要があります。
また、学生だと請求できないと思われがちな休業損害・逸失利益も、実は請求可能です。
この記事では、交通事故にあった学生が請求できる慰謝料・損害賠償金の種類や計算方法について解説しているので、適切な金額を得る参考にしてください。
目次
この記事では、交通事故にあった学生が請求できる慰謝料の種類や計算方法などについて解説していきますが、その前に慰謝料計算の要点を紹介しておきます。
学生の交通事故慰謝料
以下は、交通事故の慰謝料計算機です。
交通事故被害者が受け取るべき金額である「弁護士基準」の慰謝料相場が簡単にわかるので、使ってみてください。
交通事故の慰謝料には、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料の3種類があります。
それぞれの慰謝料は学生であるかどうかに関係なく請求できます。
各慰謝料を請求できる具体的なケースは、以下の通りです。
交通事故の慰謝料
慰謝料は「精神的苦痛を補償するもの」ですが、どのような精神的苦痛に対して支払われるのかは慰謝料の種類ごとに異なります。
それぞれの慰謝料が補償する精神的苦痛を順番に見ていきましょう。
入通院慰謝料が補償するのは、「ケガを負い、入通院したことで生じる精神的な苦痛」です。
たとえば次のような精神的苦痛は、入通院慰謝料によって補償されます。
後遺障害慰謝料が補償するのは、「後遺障害を負ったことによる精神的な苦痛」です。
具体的には次のような精神的苦痛が、後遺障害慰謝料によって補償されます。
後遺障害慰謝料についてひとつ気を付けなければならないのは、「単に後遺症が残っただけでは後遺障害慰謝料は請求できない」ということです。
後遺症に対して「後遺障害等級」が認定されてはじめて、後遺障害慰謝料を請求できるようになるのです。
よって、交通事故によって後遺症が残った場合は、後遺障害等級の認定審査を受けなければなりません。
手続きの方法は『交通事故の後遺障害認定とは?認定されるには?認定の条件やポイント』で解説しているので、読んでみてください。
死亡慰謝料が補償するのは、「事故被害者が死亡したことによる、被害者本人とその遺族の精神的苦痛」です。
被害者本人だけではなく、法律上近親者とされる父母、配偶者、子の精神的苦痛に対しても死亡慰謝料が支払われます。
なお、死亡事故では被害者は亡くなっているので、遺族から選ばれる「相続人」が代わりに慰謝料請求し、被害者分の慰謝料・損害賠償金を相続します。
相続人の選び方や相続の割合などについては、『死亡事故の慰謝料相場はいくら?遺族が請求すべき損害賠償金の解説』で解説しているので、読んでみてください。
これら3つの慰謝料はどれかひとつしか請求できないわけではなく、重複して請求できる場合もあります。
慰謝料の重複請求
学生の慰謝料計算について解説する前に、慰謝料の3つの算定基準を解説しておきます。
すでに解説したとおり、慰謝料とは「精神的苦痛」を金銭に換算したものです。
しかし、精神的苦痛の大きさは目に見えませんし、人によって感じ方もさまざまです。
そんな精神的苦痛を金銭に換算するために定められた基準・ルールが、慰謝料の算定基準です。
ただし、そのルールはひとつに統一されておらず、次の3つが存在します。
自賠責基準は交通事故被害者に補償される最低限の金額、任意保険基準は示談交渉で相手方が提示してくる金額、弁護士基準は被害者が受け取るべきもっとも妥当な金額となります。
「そもそも自賠責保険や任意保険って?」「どうして弁護士基準が妥当だと言えるの?」といった疑問もあるかと思いますので、もう少し詳しく解説します。
自賠責基準は「自賠責保険会社が慰謝料を計算する際に用いる算定基準」で、最低限の金額となります。
自賠責保険とは以下のようなものです。
自賠責保険は、たとえ交通事故の加害者が損害賠償金を支払える状態になくても、被害者が最低限の補償を受けられるようにするためのものといえます。
よって、そんな自賠責基準で算出される慰謝料は最低限の金額となっています。
なお、自賠責基準による慰謝料の計算方法は、国によって定められています。
任意保険基準とは、「各任意保険会社が独自に設定している算定基準」です。
すでに解説した通り、交通事故の慰謝料のうち最低限の金額は加害者側の自賠責保険から支払われます。
しかし、それでは不十分なので、足りない部分を補てんするのが加害者側の任意保険会社なのです。
自賠責保険からの支払額は国が定めていますが、任意保険からの支払額は示談交渉で決められます。
その示談交渉で加害者側の任意保険会社が提示してくるのが、「任意保険基準」に基づく金額なのです。
なお、任意保険基準の金額は、自賠責保険の支払額も含んだものとなっています。
任意保険基準や任意保険については、次の点に注意してください。
弁護士基準とは、弁護士や裁判所が慰謝料計算で用いる算定基準です。
弁護士基準は過去の判例をもとに設定されているので、弁護士基準に基づく金額はもっとも法的正当性が高いと言えます。
弁護士基準の金額は、任意保険基準の2倍~3倍であることも多いです。
よって、示談交渉で加害者側の任意保険会社から提示された金額をそのまま受け入れてしまうと、大幅増額の余地を残してしまうことになります。
必ず弁護士基準の慰謝料額を知ったうえで、提示された金額を受け入れるかどうか、どこまでの増額を目指すべきかを判断するべきです。
示談交渉については『交通事故の示談手順|流れや手続きの基礎知識を解説』で解説しているので、参考にしてみてください。
学生の慰謝料は、弁護士基準の場合、次のように計算されます。
では、弁護士基準における慰謝料の計算方法を詳しく見ていきましょう。
任意保険基準や自賠責基準は弁護士基準の半分~3分の1程度であることが多いですが、詳しい計算方法を知りたい場合は、以下の関連記事を読んでみてください。
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弁護士基準の入通院慰謝料は、慰謝料算定表を用いて算定していきます。
表には軽傷用と重傷用とがあり、使い分け方は以下の通りです。
まず、軽傷用の表を紹介します。
1ヶ月を30日として表を確認し、端数が生じた場合には日割りで計算を行います。
続いて、重傷用の表です。
なお、脳の損傷や内臓の損傷、生命の危険が非常に高く長期間の絶対安静を必要とする傷害などは、慰謝料額が2割程度まで増額されることもあります。
後遺障害慰謝料の金額は、後遺障害等級に応じて変わります。
弁護士基準における後遺障害慰謝料額は、以下の通りです。
等級 | 慰謝料金額 |
---|---|
1級・要介護 | 2800万円 |
2級・要介護 | 2370万円 |
1級 | 2800万円 |
2級 | 2370万円 |
3級 | 1990万円 |
4級 | 1670万円 |
5級 | 1400万円 |
6級 | 1180万円 |
7級 | 1000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
たとえばむちうちで後遺症が残った場合、後遺障害等級12級または14級に認定される可能性があります。
後遺障害慰謝料は、12級なら290万円、14級なら110万円です。
後遺障害認定を受ける方法や、どのような後遺症が何級に認定される可能性があるのかは、以下の関連記事で解説しています。
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弁護士基準により算定される死亡慰謝料額は、近親者と被害者本人分とを合わせ、被害者の立場ごとに定められています。
被害者の立場 | 金額 |
---|---|
一家の支柱 | 2800万円 |
母親・配偶者 | 2500万円 |
その他の場合 | 2000万円~2500万円 |
学生の場合は、まだ仕事も結婚もしていない人が大半のため、「その他の場合」に該当し、死亡慰謝料額は2000万円~2500万円となるでしょう。
被害者の近親者として認められるのは、通常、父母、配偶者、子です。
ただ兄弟姉妹など他の親族であっても、父母、配偶者、子と実質的に同じような身分関係があり、被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた場合には補償の対象になります。
交通事故慰謝料は、実際には事故の個別的な事情を考慮して、慰謝料が増額・減額されることもあるので、厳密な慰謝料相場は弁護士に相談することがおすすめです。
アトム法律委事務所では、電話やLINEでの無料相談を行っています。
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なお、交通事故の慰謝料が増額・減額されるケースについては『交通事故の慰謝料|相場や計算方法など疑問の総まとめ』の中でも解説しているので、読んでみてください。
慰謝料とは被害者に生じた精神的苦痛を金銭に換算したものであるため、その他の損害は別の費目として請求します。
学生の場合、慰謝料以外に請求できる可能性のある費目は以下の通りです。
休業損害や逸失利益は交通事故で減収が生じる場合に請求できるものなので、学生は請求できないと思われがちです。
しかし、休業損害は条件を満たせば学生でも請求できますし、逸失利益は基本的に学生であっても請求できます。
学生の休業損害・逸失利益について詳しく見ていきましょう。
休業損害とは、交通事故によって仕事ができない期間分の減収を補償するものです。
基本的にはすでに社会人として働いている会社員や自営業者、家事労働をしている主婦などに対して支払われるものですが、学生でも以下の場合は請求できます。
実際に就職が遅れたりアルバイトができなくなったりして休業損害が認められた判例を紹介します。
就職遅れによる休業損害
専門学生(男・事故時18歳、右目失明・外貌醜状等で併合5級)につき、事故がなければ翌々年4月から就労開始予定であったとして、賃セ男性高専短大卒20歳から24歳平均を基礎に、就労開始予定時から症状固定までの約40月分、989万円余を認めた
大阪地判平24. 7. 30 交民45・4・933
アルバイト収入に対する休業損害
高校生(男・固定時22歳、後遺時脳機能障害等7級)につき、事故当時のアルバイト収入及び事故後進学した大学の同級生のアルバイト収入を参考に、月額6万2000円を基礎に、症状固定までの1113日間、229万円余を認めた
福岡地判平28. 4. 25 自保ジ1980・20
休業損害の計算方法は以下の通りです。
基礎収入日額×休業日数
基礎収入日額の計算方法と休業日数の考え方を詳しく確認していきます。
基礎収入日額の計算方法
アルバイトを休業した場合は、「事故前3ヶ月分の給与÷90日」で基礎収入日額を算出します。
就職が遅れた場合は、内定が決まっているのであれば、内定先で得られたはずの給料から日額を計算してください。
就職先が決まっていなかった場合には、賃金センサスの学歴別の平均賃金を採用して基礎収入日額を算定します。
令和2年であれば、男性は545万9500円、女性は 381万9200円です。
休業日数の考え方
休業日数は、実際に仕事を休んだ日数ではなく、治療のために仕事を休むことが相当であるといえる日数をいいます。
自己判断で休んだ日は休業日数に含まれない可能性があるので注意しましょう。
就職が遅れた場合の休業日数は、基本的にケガがなければ仕事を始めたといえる日から治療終了日・症状固定日までとされます。
症状固定とは、「これ以上治療を続けてもケガの大幅な改善は見込めないと判断されること」、つまり、後遺症が残ったと判断されることです。
休業損害の請求には源泉徴収票と休業損害証明書が必要なので、用意してください。
源泉徴収票 | 事故前の収入を証明するための書類。 アルバイト先に伝えて用意してもらいましょう。 源泉徴収票がない場合は、給与明細など、事故前3か月間の収入がわかる書類を用意してください。 |
休業損害証明書 | 実際に休業したことを証明するための書類。 加害者側の保険会社から送られてくるので、アルバイト先に記入してもらいましょう。 |
逸失利益とは、事故がなければ将来働いて得られていたであろう収入のことを言い、次の2種類があります。
すでに働いている社会人の場合、後遺障害が労働能力に影響し、異動や転職を余儀なくされたり、出世が難しくなったりして生涯収入が減る可能性があります。
また、死亡してしまった場合は、それ以降の収入が一切得られなくなります。
そうした損害を補償するのが逸失利益なのです。
学生は基本的に交通事故時点では働いていませんが、以下の点で将来の収入に影響が出る可能性があるので、逸失利益を請求できます。
後遺障害逸失利益と死亡逸失利益の計算方法は、それぞれ以下の通りです。
後遺障害逸失利益
基礎収入×労働能力喪失率×(労働能力喪失期間の終期までの年数に対応するライプニッツ係数-就労開始年齢までの年数に対応するライプニッツ係数)
死亡逸失利益
基礎収入×(1-生活費控除率)×(労働能力喪失期間の終期までの年数に対応するライプニッツ係数-就労開始年齢までの年数に対応するライプニッツ係数)
高校生以下の学生の場合、基礎収入は原則として賃金センサスの学歴計・男女別全年齢平均の賃金額を基準にします。
被害者が大学在学中の場合や、高校生以下でも大学進学の可能性が高かったと認められるような場合には、大卒者の平均賃金を基準にするケースも多いです。
令和2年の調査における平均賃金は、以下の通りです。
学歴計(男性) | 545万9500円 |
学歴計(女性) | 381万9200円 |
大卒者(男性) | 637万9300円 |
大卒者(女性) | 451万800円 |
逸失利益については下記関連記事でより詳しく解説しています。
ただし、学生の場合、ライプニッツ係数の確認方法が社会人とは異なり複雑です。
よって、逸失利益については弁護士に計算してもらうことをおすすめします。
アトム法律事務所ではLINEや電話による無料相談窓口を設けているので、お気軽にご連絡ください。
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交通事故によって長期間学校を休んだり留年したりした場合は、次のような費目も加害者側に請求できる可能性があります。
実際に、休学や留年によって生じた損害額の請求が認められた判例として、次のものがあります。
事故のため1年間留年した大学生につき、学費97万円余及び1年分のアパート賃借料55万円余を認めた
岡山地判平9.5.29 交民30・3・796
(略)大学生(男・事故時33歳)につき、秋学期の欠席はやむを得ないとし、支払った大学授業料83万円余を認めた
東京地判平22.10.13 交民43・5・1287
ただし、休学や留年による損害額の請求がどの程度認められるかは、加害者側との示談交渉次第です。
加害者側は少しでも慰謝料・損害賠償金を少なくしたいと思っています。
被害者自身による示談交渉では十分な金額を支払ってもらえない可能性が高いので、弁護士に相談することをおすすめします。
事故の概要
この被害者は、もともとの能力があれば希望する職種に就ける可能性が高かったものの、後遺障害によりその職種に就けなくなりました。
この事故における慰謝料・損害賠償額は以下の通りです。
慰謝料 | 1910万円 |
休業損害 | 70万8282円 |
逸失利益 | 8573万3796円 |
その他費目*を含めた合計額 | 8973万2627円 |
*過失相殺による減額、既払い金の差し引きあり
補足|過失相殺とは?
過失相殺とは、被害者側に過失があった場合、その過失割合の分を、慰謝料や損害賠償金から減額することです。
事故の概要
この交通事故では、被害者が2人乗りであったことや、右方を十分注視していなかったことなどから、被害者側に7割の過失があるとされました。
慰謝料や損害賠償金額は以下の通りです。
慰謝料 | 350万円 |
逸失利益 | 9370万5433円 |
将来介護費 | 1381万8316円 |
その他費目*を含む合計額 | 4421万6382円 |
*過失相殺による減額あり
学生が交通事故にあって慰謝料・損害賠償請求をする際、初めから最後までひとりで対応するのは非常に難しいです。
たとえ親権者が法定代理人として慰謝料請求していくとしても、専門家のアドバイスやサポートを受けながら対応していかなければ、本来受け取るべき十分な金額は得られないでしょう。
そこでここでは、学生でも安心して利用できる、慰謝料の無料相談窓口を4つ紹介します。
上記の「法律事務所(アトム弁護士事務所の場合)」にて紹介している弁護士費用特約とは、弁護士費用を保険会社に負担してもらえる特約です。
学生の場合、親の自動車保険に付帯している弁護士費用特約を使えることが多いので、確認してみてください。
弁護士費用特約については、『交通事故の弁護士費用特約とは?』で詳しく解説しています。
アトム法律事務所では、慰謝料請求に関すること以外にも、通院中の疑問・不安や後遺障害等級認定に関するご相談を受け付けています。
無料相談のみのご利用も可能なので、お気軽にご連絡ください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」「ネット削除依頼」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
英語:TOEIC925点
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