学生・大学生の交通事故慰謝料|計算方法と相場、学費・就職の損害も解説

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学生が交通事故に!

学生が交通事故にあった場合、通院や入院をしたなら「入通院慰謝料」、後遺症が残れば「後遺障害慰謝料」、亡くなられた場合は「死亡慰謝料」などを請求します。

さらに、学生ならではの事情、たとえば休学・留年で増えた学費、就職の遅れによる減収、バイト代の減少なども、慰謝料や損害賠償として補償される可能性があります。

ただし、これらの補償をきちんと受け取るには、請求の根拠や計算方法を正しく理解しておくことが欠かせません。

この記事では、学生が交通事故で受け取れる慰謝料の種類・計算方法に加えて、大学生や高校生などが直面しやすい損害の補償や、弁護士に相談すべき理由についても丁寧に解説していきます。

不安や疑問を残さないよう、ぜひ最後までチェックしてみてください。

目次

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学生が交通事故で請求できる慰謝料の種類と計算基準

学生が交通事故にあった場合、慰謝料にはどんな種類があり、いくらもらえるのでしょうか?
この章ではまず、慰謝料の「3つの種類」と、それぞれの「計算基準」によって金額がどう変わるのかを解説します。

「学生だから慰謝料が少なくなる?」と不安に感じている方も、ここで基本をおさえることで、全体像がしっかり見えてきます。

3種類の慰謝料とは?

交通事故で受け取れる慰謝料は、大きく分けて3種類あります。
いずれも「精神的な苦痛」に対する補償ですが、ケガの程度や結果によって分類され、それぞれの意味合いや金額が異なります。

交通事故の慰謝料3種

  • 入通院慰謝料:ケガの痛みや通院・入院にともなう不便さなどへの補償
  • 後遺障害慰謝料:後遺症が残ったことによる将来への不安や不便さへの補償
  • 死亡慰謝料:亡くなった被害者本人およびご遺族の精神的苦痛に対する補償

特に学生の場合、交通事故でケガをすると日常生活や学業への影響が大きいため、精神的負担も無視できません。状況に応じて、適切な金額が請求できるよう理解を深めましょう。

慰謝料は「計算基準」によって金額が大きく変わる

同じように骨折して同程度の期間入院・通院したケースでも、ある人は 50万円、別の人は100万円…。

こうした違いが出る理由は、「どの基準で計算するか」によって金額が大きく変わるからです。
交通事故の慰謝料には、以下の3つの基準が存在します。

  • 自賠責基準:国が定めた最低限の補償額。最も金額が低い。
  • 任意保険基準:加害者側の保険会社が提示してくる基準。自賠責基準に近いことが多いが、詳細は非公開。
  • 弁護士基準:過去の判例にもとづく、最も金額が高く正当性の高い基準。
慰謝料金額相場の3基準比較

示談交渉では、保険会社が任意保険基準で慰謝料を提示してきます。しかし、正当な金額を受け取るには弁護士基準での計算が重要です。
学生だからといって安くされるべきではありません。

後悔しないためにも、まずはこの3つの基準の違いを知っておきましょう。

示談交渉では、どの基準で金額が決まるの?

交通事故の慰謝料がどの基準のものになるかは「示談交渉」次第です。
示談交渉では、被害者本人またはその家族、もしくは代理人が、加害者側の保険会社と慰謝料の金額についてやりとりすることになります。

このとき保険会社は、ほぼ例外なく「任意保険基準」という低めの金額を提示してきます。
しかし、実際に正当な金額をもらうには「弁護士基準」で計算した金額になるよう、交渉が必要です。

なお、慰謝料や賠償金は基本的に、加害者側の自賠責保険会社と任意保険会社から支払われますが、通常はすべてまとめて、加害者側の任意保険から一括で支払われることが多いです。

学生の場合、「保険会社と交渉する」という経験がない方も多いでしょう。示談交渉については『交通事故の示談の流れと手順!うまく進めるポイントも解説』の関連記事も参考にしてみてください。

入通院・後遺障害・死亡慰謝料の計算方法と相場一覧【学生向け】

ここからは、交通事故被害者が本来得るべき金額(弁護士基準)の計算方法を解説していきます。自賠責基準や任意保険基準が気になる場合は以下の記事をご覧ください。

入通院慰謝料の計算方法

ケガで通院や入院が必要になった場合、「入通院慰謝料」を請求できます。
この慰謝料は、治療中の痛みや不安・通院による不便さといった、精神的な苦痛をお金に換算して補償するものです。

学業やバイトなどを両立し忙しく過ごしていた大学生にとって、通院は大きなストレスになります。
「事故に遭わなければ、この時間で勉強したり、友達と遊んだりできたのに…」と感じてしまうこともあるでしょう。

だからこそ、状況に合った適正な金額を受け取ることが大切です。

慰謝料は「通院・入院の期間」に応じて決まる

入通院慰謝料は、主に「入院月数」と「通院月数」に応じて決まります。
弁護士基準では、下記のような「算定表」を使って金額を導き出します。

  • 軽傷用:むちうちや軽い打撲、挫創など軽いケガのとき
  • 重傷用:軽傷に当たらないケガのとき

入通院慰謝料の算定表(軽傷用)

軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表

入通院慰謝料の算定表(重傷用)

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

たとえば、通院2ヶ月・入院なしの場合、軽傷用なら28万円程度が相場になります。

算定表の使い方

  • 入院・通院は「1ヶ月=30日」としてカウント
  • 入院40日など割り切れない場合は日割り計算される
  • 通院頻度が著しく低い場合は、みなし通院日数(実通院日数×3または×3.5)で慰謝料が算定されることがある

脳の損傷や内臓の損傷、生命の危険が非常に高く長期間の絶対安静を必要とする傷害などは、慰謝料額が2割程度増額されることがあります。

後遺障害慰謝料の計算方法

ケガが完治せずに後遺症が残ってしまった場合は、「後遺障害慰謝料」を請求できる可能性があります。
この慰謝料は、後遺障害が原因で今後も続く精神的な苦痛に対して支払われるものです。

「体が元通りにならなかった」という事実に対するショックは、本人にとって非常に大きなものです。
その苦しさを軽くするためにも、正当な金額の慰謝料をしっかり受け取ることが大切です。

後遺障害慰謝料は後遺障害等級で決まる

後遺障害慰謝料の金額は、認定された後遺障害等級に応じて変わります。
弁護士基準での相場は、以下のとおりです。

等級 慰謝料金額
1級・要介護2800万円
2級・要介護2370万円
1級2800万円
2級2370万円
3級1990万円
4級1670万円
5級1400万円
6級1180万円
7級1000万円
8級830万円
9級690万円
10級550万円
11級420万円
12級290万円
13級180万円
14級110万円

たとえば、同じ「むちうち」でも後遺症の程度によって14級なら110万円、12級なら290万円と大きな差が出ます。

1等級違うだけで何百万円も変わることもあるため、後遺障害の正確な等級認定はとても重要です。

症状別に該当しうる後遺障害等級を知りたい場合は、『【後遺障害等級表】認定される後遺症・症状の一覧と等級認定の仕組み』をご確認ください。

後遺障害慰謝料の請求には「後遺障害認定」が必要

後遺障害慰謝料は、単に後遺症が残っただけでは請求はできません。

後遺障害慰謝料を請求するには、専門の機関で「後遺障害等級」の認定を受ける必要があります。

後遺障害等級の認定を受けるには、必要書類を審査機関に提出し、審査を受けましょう。詳しい方法は以下の関連記事で確認してみてください。

関連記事

自分の症状でどの等級が見込めるのだろう、どう準備すればスムーズに認定が受けられるのだろう?

このように迷うときは早めに弁護士にご相談ください。等級の判断や申請サポートも含め、正当な慰謝料を受け取るための後押しになります。

死亡慰謝料の計算方法

交通事故によって被害者が亡くなってしまった場合、遺族(相続人)は「死亡慰謝料」を加害者に請求できます。

これは、事故で命を奪われた本人が受けた精神的苦痛に加え、家族(両親・配偶者・子など)の深い悲しみに対して支払われるものです。

つまり、死亡慰謝料は被害者本人だけではなく、法律上の近親者(主には父母、配偶者、子)に対しても支払われます。

適切な金額の慰謝料を受け取るためにも、制度や相場について正確に知っておくことが大切です。

死亡慰謝料は家庭内の立場で決まる

死亡慰謝料の金額は、被害者が家庭内でどのような立場だったかによって相場が変わります。

被害者が学生の場合は、以下表の「その他」に分類され、遺族分の金額も合わせて2,000万円~2,500万円が死亡慰謝料の相場です。

被害者の立場金額
一家の支柱2,800万円
母親・配偶者2,500万円
その他の場合(学生を含む)2,000万円~2,500万円

なお、次のような事情があれば、慰謝料が増額される可能性もあります。

  • 加害者に故意や著しい過失があった
  • 加害者の態度が誠実でない(謝罪がない、対応が遅いなど)

このような判断は、過去の裁判例や示談事例を元に検討されます。
「うちのケースは増額の余地があるのか?」と感じたら、早めに弁護士に相談してみてください。

死亡した被害者本人文の慰謝料は誰が受け取る?

被害者が死亡した場合、死亡慰謝料や賠償金の請求・受け取りは遺族(相続人)がおこないます。

一般的には、両親・配偶者・子が該当しますが、場合によっては兄弟姉妹が請求を認められたケースもあります。

死亡事故の慰謝料について解説した記事『死亡事故の慰謝料相場と賠償金の計算は?示談の流れと注意点』では、相続人の選出方法も解説しているのでご確認ください。

大学生・高校生が請求できる【学生特有】の賠償費目

学生が交通事故の被害にあった場合、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料だけでなく、「学生ならではの損害」も補償の対象になることがあります。

例えば以下の通りです。

  • 事故で留年し、余分な学費や下宿代がかかった
  • ケガの影響で通学手段が変わり、交通費が増えた
  • アルバイトができず、収入が減った
  • 内定を取り消され、就職が遅れた
  • 勉強が遅れて、塾や家庭教師を利用した
  • 入院や通院に、親の付き添いが必要になった

社会人とは違い、学校関連や進路などに関する損害も出るのが学生の事故です。
こうした損害は「慰謝料とは別枠」で賠償請求できるケースも多くあります。

このあと、各ケースをくわしく見ていきましょう。

休学や留年による学費・下宿代

交通事故の影響で休学や留年を余儀なくされた場合、そのぶん余計にかかった学費や下宿代なども賠償の対象になることがあります。

実際に、裁判でも次のような賠償が認められた例があります。

判例(1)

大学生が事故により1年間留年したケースで、「学費 約97万円+アパート代 約55万円」の請求が認められた。
(岡山地判平9.5.29 交民30・3・796) 

判例(2)

事故で秋学期を欠席した大学生に対し、「大学の授業料 約83万円」の請求が認められた
(東京地判平22.10.13日 交民43・5・1287)

このように、実際に支払った金額や休学・留年の事情が明確であれば、学費や家賃も損害として賠償請求できる可能性があります。

ただし、加害者側は「休学は本人の責任だ」などと主張してくることもあるため、示談交渉には専門知識と交渉力が必要です。

慰謝料と違い、こうした「実費ベースの損害」は証明資料も重要になります。
支払った学費の領収書や休学届などを整理して、早めに弁護士に相談しておくとスムーズです。

通学方法の変更による交通費

交通事故でケガをすると、「電車に乗るだけでもつらい」「階段の上り下りができない」などの理由でいつもの通学方法が使えなくなることもあります。
その結果、バスやタクシーなどの交通費が余分にかかる場合には、差額分を加害者側に請求できるケースがあります。

例えば

  • 普段は徒歩通学だったが、ケガでバスを使うことになった
  • 電車通学をしていたが、事故後はタクシーでしか移動できなくなった
  • 自転車通学をしていたが、事故をきっかけに恐怖心から乗れなくなり、バスを利用した

ポイントは、「通学手段を変えた理由が事故によるケガと合理的につながっているか」です。
医師の診断書や本人の状況を示す資料があれば、請求が認められる可能性が高まります。

通学交通費についても、証明方法や請求額の目安は弁護士にご相談ください。

実際に通学交通費の請求が認められた事例を紹介:交通事故の通院交通費|請求できる条件や慰謝料との違い、他の交通費は?

バイト欠勤や就職遅れによる休業損害

学生であっても、交通事故によりアルバイトができなくなったり、就職時期が遅れたりした場合には、
「休業損害」として収入の減少分を請求できる可能性があります。

とくに大学生や専門学生の場合、学費や生活費の一部をアルバイトで賄っているケースも多いため、
事故による減収は無視できない損害といえるでしょう。

休業損害の対象になりうるケース

  • ケガや入院によりアルバイトを休業した
    (※生活費や交際費を得るためのアルバイトも対象になる場合があります)
  • 事故によって留年や内定取り消しが発生し、就職時期が予定よりも遅れた

判例(1)就職遅れ

専門学生(18歳男性)が交通事故により右目失明などの重傷を負い、就職が遅れたケースにおいて、本来の就労開始予定時から症状固定までの約40月分の賃金(約989万円)の請求が認められました。

大阪地判平24. 7. 30 交民45・4・933

判例(2)アルバイトの休業

高校生が事故によりアルバイト収入を得られなくなった事例では、月額6.2万円を基礎として、1113日間分、約229万円の休業損害が認められています。

福岡地判平28. 4. 25 自保ジ1980・20

ただし、休業損害の請求にあたっては、被害者側の主張に対して加害者側(保険会社)から反論を受けることもあります。
たとえば、「事故がなくても就職が遅れた可能性があるのではないか」などの指摘がされることも少なくありません。

そのため、適切な主張や資料の準備、過去の判例をもとにした交渉が重要になります。
不安がある場合は、早めに交通事故に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。

学生の休業損害の計算方法

学生の休業損害は、「1日あたりの収入(アルバイトの収入や内定先の給料などから算定)×休業日数」で計算されます。

休業損害の計算式

基礎収入(日額)×休業日数

(1)基礎収入、(2)休業日数、(3)必要書類の3点について解説します。

(1)基礎収入日額の計算方法

状況計算の考え方
アルバイトをしていた事故前3か月の給与 ÷ 90日(または実出勤日数)
就職遅れ(内定あり)就職先の給与をベースに算定
就職遅れ(内定なし)賃金センサス(学歴・年齢別の平均賃金)をもとに算定

就職先が決まっていなかった場合の基礎収入日額は、大卒ならば20歳~24歳の平均値、高卒ならば18歳~19歳の平均値を参照されることが多いです。

なお、平均賃金は厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」に基づいた「賃金センサス」を参考にします。

(2)休業日数の考え方

休業日数は、実際に仕事を休んだ日数ではなく、治療のために仕事を休むことが相当と言える日数を対象とします。

具体的には、入院した日や通院した日などが休業日数として認められます。
自己判断で休業した日は休業日数に含まれない可能性があるので、注意しましょう。

また、就職が遅れた場合の休業日数は、「ケガがなければ仕事を始めていたと言える日から治療終了日または症状固定日(後遺症が残ったと診断された日)まで」となります。

(3)休業損害請求で必要な書類

休業損害の請求には源泉徴収票と休業損害証明書が必要になります。

  • 源泉徴収票:事故前の収入を証明するための書類
    • アルバイトをしている場合は、勤務先に発行してもらいましょう。
    • 源泉徴収票がない場合は、給与明細など事故前3か月間の収入がわかる書類でも代用できます。
  • 休業損害証明書:実際に休業したことを証明するための書類

将来の収入に影響する逸失利益

大学生や高校生などの学生が事故によって後遺障害を負ったり、命を落としたりした場合、将来的に働いて得られるはずだった収入が失われることになります。

逸失利益とは

学生にとっての「逸失利益」とは?(例)

  • 後遺障害の影響で、将来の職業選択の幅が狭まる
  • 本来の能力を活かせず、昇進やキャリア形成が妨げられる
  • 事故が原因で命を落とし、収入を得る機会そのものが失われる

上記のような理由で減ってしまう、生涯収入を逸失利益といいます。

逸失利益には、次の2種類があります。

  • 後遺障害逸失利益
    交通事故による後遺障害により労働能力が減少したため減った将来的な収入
  • 死亡逸失利益
    交通事故で亡くなったことで得られなくなった将来的な収入

学生の逸失利益の計算方法

逸失利益の計算式は以下の通りです。

  • 後遺障害逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×(労働能力喪失期間の終期までの年数に対応するライプニッツ係数-就労開始年齢までの年数に対応するライプニッツ係数)
  • 死亡逸失利益=基礎収入×(1-生活費控除率)×(就労可能年数の終期までの年数に対応するライプニッツ係数-就労開始年齢までの年数に対応するライプニッツ係数)

基礎収入は以下のように算定します。

状況基礎収入の決め方
高校生以下学歴計・全年齢平均(男女別)で算定
大学生/大学進学の見込みあり大卒の平均賃金が採用されることも多い

平均賃金は以下の通りです。(令和5年 賃金センサスより)

  • 大卒男性:約655万円/大卒女性:約470万円
  • 学歴計(男性):約570万円/女性:約400万円

逸失利益の計算はやや複雑で、後遺障害の等級に応じた労働能力喪失率、労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数を適用する必要があります。
とくに学生の場合は、就労開始時期や進路がまだ定まっていないため、保険会社との交渉でも争点になりやすい項目です。

適正な金額で請求するには、弁護士に計算や主張のサポートを依頼するのが望ましいでしょう。

逸失利益の計算については、『交通事故の逸失利益とは?計算方法を解説!早見表・計算機で相場も確認』でより詳しく解説しています。

塾や家庭教師など学習補填の費用

交通事故によって学校を欠席し、授業に遅れが生じた学生は、学習の遅れを補うために塾や家庭教師を利用することがあります。

こうした費用についても、事故による損害として請求が認められる場合があります。

たとえば、以下のようなケースが考えられます。

  • 通院や入院で長期欠席し、成績が下がったために塾に通うようになった
  • 授業の理解が追いつかず、家庭教師を依頼した
  • 進路に影響が出ないよう、補習の必要が出た

このように、「事故がなければ発生しなかった学習費用」であることが明確であれば、加害者側に賠償を求められる可能性があります

なお、請求が認められるかどうかは、事故の影響の程度や教育費用の妥当性などによって個別に判断されます。
迷った場合は、弁護士に相談することで判断の目安を得られるでしょう。

入通院・通学に付き添った家族への補償

学生が交通事故で入院や通院をする際、身体的・精神的な理由から、親などの付き添いが必要になることがあります。
また、事故の影響で通学にも付き添いが必要になるケースもあるでしょう。

このような付き添いにかかった費用は、加害者側に対して「付き添い看護費」などの名目で請求できることがあります。

シーン相場の目安
入院付き添い1日あたり 6,500円
通院付き添い1日あたり 3,300円

付き添い看護費が認められうるケース

  • 通学時に安全確保のために親が同行する必要があった場合
  • 被害者が未成年で単独での受診が難しい場合
  • 精神的な不安や身体的な制約により、家族のサポートが医療的に必要と判断された場合

職業的な看護人など、両親以外の人が付き添った場合も、必要性や費用の妥当性が認められれば補償されることがあります
ただしこの場合は、支払い基準や金額が変わるため、具体的な条件は個別に確認が必要です。

詳しくは『交通事故の付添費|付き添いに認められる範囲と相場は?』をご確認ください。

学生が交通事故にあったときによくある質問

次に、学生が交通事故にあった場合のよくある質問に回答していきます。

Q1.慰謝料請求は学生本人がする?

交通事故で被害にあった学生が慰謝料を請求する際、
「誰が請求手続きをするのか」は、その学生が未成年かどうかによって変わります。

未成年(18歳未満)の場合

未成年者は契約などの法律行為に制限があるため、交通事故に関する慰謝料の請求や示談は、原則として親権者(父母など)が法定代理人として手続きします

この場合、委任状や特別な書類は不要で、親権者がそのまま対応できます。

なお、未成年のときに事故に遭い、その後成人してから示談交渉を始めるケースでは、原則として本人が対応する形となります。

成人(18歳以上)の場合

すでに成人している大学生や高校3年生の場合は、学生本人が慰謝料請求や示談交渉をおこないます

たとえば高校卒業後に大学へ進学し、交通事故にあったタイミングが18歳以上だった場合などは、保護者ではなくご本人が主導で手続きを進めることになります。

Q2.学生に多い「自転車事故」の慰謝料請求での注意点は?

学生が関わる交通事故では、自転車に乗っていて事故に遭うケースも少なくありません。
しかし、自転車事故は通常の車同士の事故とは異なる注意点がいくつかあります。

それぞれについて詳しく解説します。

過失割合でもめやすい

自転車事故は判例が少なく、過失割合の基準が曖昧な場合があります。
相手が車でも自転車でも、「どちらにどれだけ責任があるか」を決める話し合いでもめるケースが多いです。

被害者側にも過失があると判断されれば、受け取れる慰謝料や賠償金が減額される可能性があります。

過失割合の決め方については『交通事故の過失割合とは?パターン別に何%か調べる方法と決め方の手順』で詳しく解説しています。

慰謝料が高額になることもある

自転車は車よりも身体への衝撃が大きく、頭部や脊髄に重大な後遺障害を負うケースもあります
この場合、後遺障害慰謝料や逸失利益が高額になるため、加害者側と金額交渉で揉めやすくなります。

加害者が無保険のこともある

自転車同士の事故では、加害者が保険に加入していないケースも少なくありません。
慰謝料の支払いを拒否されたり、実際に支払能力がなかったりする事態も想定されます。

関連記事

自転車事故は、慰謝料の相場も責任の割合も判断が難しく、保険会社や加害者とトラブルになりやすい分野です。
不安な場合は、交通事故に詳しい弁護士に早めに相談することで、損を防げる可能性が高まります。

Q3. 歩行者・自転車・自動車で慰謝料額に違いはある?

結論から言うと、被害者や加害者が徒歩・自転車・自動車のいずれであっても、慰謝料の計算そのものには違いはありません。

ただし、「最終的に受け取れる慰謝料の金額」に違いが出ることはあります。
その主な要因は、過失割合です。

【慰謝料の計算基準は共通】
慰謝料の算出には、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」といった3つの基準があり、これは被害者が歩行者でも自転車でも自動車でも変わりません。

【過失割合によって慰謝料が減額されることがある】
交通事故では、加害者と被害者それぞれにどれだけ責任があるか(=過失割合)をもとに、慰謝料の金額が調整される場合があります。

例えば「加害者が自動車・被害者が自転車」の場合よりも、「加害者が自動車・被害者が徒歩」の方が、加害者に対する被害者の立場は弱くなります。

このことが考慮され、被害者側の過失割合が少なくなることがあるのです。

このように、過失割合によって受け取れる金額に差が出ることがあるため注意が必要です。

Q4.学生に多い「初心者ドライバー」は何らかの配慮を受けられる?

結論から言えば、学生であることや運転歴が浅いこと自体が、慰謝料に直接影響することは基本的にありません。

ただし、「初心者マーク」をつけていた場合は、過失割合に一定の配慮がなされるケースがあります。

たとえば以下のような状況では、初心者であることが過失割合に影響します。

  • 前方の車が進路変更や幅寄せをして、後方の初心者ドライバーの車と接触した
    → 加害者側の過失割合が10%高くなり、被害者側の割合が10%低くなるケースもある

※「別冊判例タイムズ38」(東京地裁民事交通訴訟研究会編)を参照

「初心者だから優遇される」というわけではありませんが、事故の状況によっては「初心者であること”」考慮されることもあります。

大学生・高校生の交通事故慰謝料・賠償金の実例紹介

(1)大学生の例|就職に影響が出てしまったケース

後遺障害によって希望通りの就職の道が絶たれたことで、「逸失利益」が非常に大きな金額で認められたケースです。

事故の概要

  • 被害者:21歳男性・大学生
  • 事故状況
    加害車両(普通乗用自動車)が交差点を左折しようとしたところ、同じ車線の左後方から交差点を直進しようとしてきた被害車両(自動二輪車)と衝突。
  • 被害
    右肩甲骨骨折、右肩挫滅創、腕神経叢麻痺
  • 後遺障害等級:4級
  • 裁判所・判決日:大阪地方裁判所・平成17年12月9日

事故の被害者は、もともとの能力があれば希望する職種に就ける可能性が高かったものの、後遺障害によりその職種に就けなくなりました。

この事故における慰謝料と賠償金の金額は以下のとおりです。

慰謝料1910万円
休業損害70万8282円
逸失利益8573万3796円
その他費目*を含めた合計額8973万2627円

*過失相殺による減額、既払い金の差し引きあり

なお、過失相殺とは、被害者側に過失があった場合、その過失割合の分を慰謝料や賠償金から減額することを言います。

(2)高校生の例|丁字路での衝突事故のケース

高校生でも、重度の後遺障害によって将来にわたる介護費や逸失利益が大きく認められたケースです。

事故の概要

  • 被害者:16歳男性・高校生
  • 事故状況
    交通整理の行われていないT字路交差点で、加害車両(普通乗用車・直進)と被害者(原付自転車・右折)が出会いがしらに衝突。
  • 被害
    • びまん性脳損傷で約7ヶ月間入院し、1年間リハビリのため通院
    • 高次脳機能障害、右同名半盲及び複視の後遺障害が残る
  • 後遺障害等級:4級
  • 裁判所・判決日:東京地方裁判所・平成16年9月22日

この交通事故では、被害者が2人乗りであったことや、右方を十分注視していなかったことなどから、被害者側に7割の過失があるとされました。

慰謝料や賠償金の金額は以下のとおりです。

慰謝料350万円
逸失利益9370万5433円
将来介護費1381万8316円
その他費目*を含む合計額4421万6382円

*過失相殺による減額あり

上記の例からもわかるとおり、被害者の学生に後遺症が残った場合、逸失利益が高額になりやすいです。金額をめぐって示談交渉が難航し、民事裁判に発展するケースもあるでしょう。

後遺症が残るような事故では、弁護士に弁護活動を依頼することをとくにおすすめします。

学生だからこそ知っておきたい「弁護士に相談するメリット」

交通事故の被害にあった学生の方からは、「弁護士に頼むなんて大げさでは?」「費用が高そうで相談しにくい…」といった不安の声をよく耳にします。

ですが実際は、学生でも弁護士に相談するメリットは大きく、費用面での負担も抑えられるケースが多いのです。

この章では、知っておくと安心できる情報として以下の内容をまとめています。

  • 弁護士費用をカバーできる保険があること
  • 弁護士に依頼した方が、最終的に受け取れる慰謝料・賠償金が増える可能性があること
  • 「できるだけ早く・スムーズに解決したい」場合こそ弁護士が頼れること

「相談するだけ」でも無料でできる方法があるので、ぜひ参考にしてください。

(1)学生でも弁護士費用の負担を軽くする方法がある

「弁護士に頼むと高そう…」と思って、相談をためらっている学生の方も多いかもしれません。

ですが、「弁護士費用特約」という仕組みを活用すれば、自己負担なしで相談・依頼ができるケースがほとんどです。

弁護士費用特約とは?

自分や家族が加入している自動車保険や、クレジットカード・火災保険などについている補償の一種で、交通事故の相談・依頼にかかる弁護士費用を最大300万円まで保険会社が負担してくれる制度です。

保険の等級が下がることもありません。

  • 着手金や報酬金 → 最大300万円まで補償
  • 相談料 → 最大10万円まで補償

※細かい補償内容は保険の規約をご確認ください。

弁護士費用特約

ポイントは「自分が契約者でなくても使える」ことが多い点です。

ご家族の保険やクレジットカードの保険、火災保険についている弁護士費用特約でも使えることがあるので、忘れず確認してみましょう。

ただし、自動車保険以外の保険についている弁護士費用特約を使う場合は、交通事故も対象になっているか確認してください。

弁護士費用特約の補償対象者

弁護士費用特約の内容や補償対象者などについては、『交通事故の弁護士費用特約とは?メリット・使い方・使ってみた感想を紹介』の記事でより詳しく解説しています。

アトム法律事務所では「無料相談」も受付中!

電話・LINEで気軽に相談できるので、「契約するかは未定だけれど、とりあえず話を聞きたい」というだけでも大歓迎です。

弁護士費用特約が使えなかった場合でも、かかる弁護士費用や、最終的に手元に残る示談金額の目安もわかります。

(2)自力・自身の保険会社の交渉より示談金が増える可能性が高い

交通事故の示談交渉では、加害者側の保険会社が「任意保険基準」と呼ばれる金額で慰謝料を提示してくるのが一般的です。
この金額は、弁護士が使う「弁護士基準」に比べて大きく低くなる傾向があります。

そのため増額交渉が必要ですが、自力の交渉や保険会社を立てた交渉では、十分な増額ができない可能性が高いです。

【自分で交渉しても、金額を大きく引き上げるのは難しい】

  • 保険会社は交渉のプロなので、個人では太刀打ちしにくい
  • 「このまま交渉が進まなかったらどうしよう」と不安になり、泣き寝入りする人も

【自身の保険会社に示談代行してもらっても、限界がある】

  • 示談代行では、「任意保険基準」の範囲内での交渉にとどまる
  • 弁護士のように、「弁護士基準」で主張して大幅な増額を勝ち取ることはできない
  • 保険会社同士のやりとりになるため、強く主張しにくい場面もある

一方、示談交渉で弁護士を立てると、以下の点から大幅な示談金増額が期待できます。その理由は次のとおりです。

  • 「過去の判例に基づいた適正な金額」で交渉できる
  • 加害者側も、弁護士が出てきたことで裁判リスクを意識し、譲歩しやすくなる
  • 結果的に、慰謝料・賠償金が2〜3倍以上に増額するケースも珍しくない
弁護士ありの示談交渉は増額幅・増額可能性が高い

実際に、アトム法律事務所へのご依頼で示談金が大幅に増額したご依頼者様のお手紙を紹介します。

(略)保険会社と私の話し合いでは限界、と言われた金額の約3倍も金額の変動があり、びっくりしました。今回、アトム法律事務所へ相談できて本当に良かったです。本当にありがとうございました。

アトム法律事務所のご依頼者様のお手紙

最初に主人と一緒に保険会社からの示談金の説明を受けた時、疑問点を質問しましたが、「こういうもの」と言われたらどうしようもなく上積みできたのはせいぜい20万程度でした。提示された金額が適正なのかどうか分からず話しだけでもと思い、法律事務所に相談することにしました。結果、納得できずにいた問題もすっきり解決して頂き示談金は3倍にもなりました。(略)

アトム法律事務所のご依頼者様のお手紙

(3)おおごとにしたくない・早く解決したいならなおさら弁護士が効果的

交通事故の被害にあっても、「これ以上大ごとにしたくない」「忙しいから、なるべく早く終わらせたい」と考える人も多いのではないでしょうか。

とくに学生は、就活や授業、実習などで時間の余裕がない人も少なくないはずです。

しかし実際には、交通事故後にはやるべき手続きが多くあります。

  • 休業損害や治療費の申請
  • 必要書類の収集・作成
  • 保険会社とのやりとり
  • 後遺障害等級の申請
  • 示談交渉(過失割合や慰謝料の交渉)

しかし、こうした手続きは弁護士に一任できます。

損害賠償請求にも影響する重要な手続きは弁護士に任せつつ、自分自身は治療や学生生活への復帰や就職活動に専念できるのです。

学生でも安心!電話・LINE無料相談はこちらから

交通事故でお困りの学生の方は、ぜひ一度アトム法律事務所の無料相談をご利用ください。

無理に依頼をすすめることはありません。

アトム法律事務所では、まず無料の電話・LINE相談で状況をお伺いし、以下の点も丁寧にご説明します。

  • 今後の進め方のアドバイス
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電話相談の場合はまず専任のオペレーターが対応し、改めて弁護士からご連絡いたします。LINE相談の場合はおともだち登録後、ご状況や相談内容をお送りください。弁護士から返信が届きます。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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ご相談者と社会に安心と希望を提供したい。