学生の交通事故|慰謝料の計算方法や相場を解説

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学生の事故|慰謝料の金額は?

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

学生が交通事故の被害にあった場合、事故で負った損害に応じて「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」を請求できます。

また、交通事故のため減った収入の補償である「休業損害」や、将来的に減る収入の補償である「逸失利益」も、被害者が学生であっても請求可能です。

加害者側の任意保険会社は、慰謝料が低額になる計算方法を用いることが多いです。
適切な慰謝料を支払ってもらうためには、慰謝料の計算方法を知っておく必要があります。

この記事では、学生の交通事故で請求できる慰謝料・賠償金の計算方法を解説しています。
慰謝料の自動計算機や、学生の慰謝料・賠償金の実例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

1分でわかる学生の慰謝料【自動計算機つき】

この記事で解説する「学生の交通事故の慰謝料」の要点は以下のとおりです。

学生の交通事故の慰謝料

  • 慰謝料とは?
    賠償金の費目の一部で、「精神的苦痛」を金銭に換算したもの。
  • 学生が請求できる慰謝料の種類は?
    「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3種類。
    なお、慰謝料の金額や請求の可否に、学生であるかどうかは関係ない。
  • 慰謝料の計算方法は?
    • 入通院慰謝料の計算方法
      入院期間と通院期間をもとに金額を決める。
    • 後遺障害慰謝料の計算方法
      「後遺障害等級」ごとに金額が定められている。
    • 死亡慰謝料の計算方法
      家庭内の立場ごとに金額が定められている。
    • なお、上記は過去の判例をもとにした慰謝料の計算方法。
      加害者側は別の計算方法を用いて低い金額にすることがあるので要注意
  • 学生が請求できる慰謝料以外の賠償金は?
    • アルバイトの休業や就職の遅れが生じた場合
      減収の補償である「休業損害」を請求できる可能性がある。
      ただし、自己判断でアルバイトを休んだなら対象外となる可能性が高い。
    • 後遺障害が残った場合
      将来にわたる減収の補償である「逸失利益」を請求できる可能性がある。
    • 休学や留年をした場合
      余分に必要となった学費や下宿代などを請求できる可能性がある。
    • 上記の他に、治療費や通院交通費なども請求できる。
  • 慰謝料や賠償金の請求手続きは誰がする?
    • 被害者が未成年(18歳未満)の場合
      基本的に親権者が法定代理人として慰謝料を請求する。
      なお、法定代理人を立てる際、特別な手続きは必要ない。
    • 被害者が成人している場合
      被害者自身で慰謝料を請求する。

慰謝料の金額の目安を知りたいときは、以下の計算機をお使いください。
過去の判例をもとにした、慰謝料の金額の目安がわかります。

交通事故の慰謝料は、弁護士に依頼すれば大幅に増額できる可能性があります。
加害者側に適正な金額を支払ってもらえるか不安なときは、各弁護士事務所が実施している無料法律相談を使って弁護士に相談してみましょう。

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学生が請求できる慰謝料

交通事故の被害にあったとき、事故による精神的苦痛の補償として慰謝料を請求できます。

学生が交通事故にあったとき請求できる慰謝料は、「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3種類です。

入通院慰謝料は入通院期間をもとに計算し、後遺障害慰謝料は後遺障害等級をもとに計算します。なお、計算方法は被害者が学生であってもなくても変わりません。

それぞれの慰謝料を請求できる条件や、詳しい計算方法を確認していきましょう。

なお、交通事故の慰謝料が増額・減額されるケースをはじめ、交通事故の慰謝料に関してより網羅的に基本的な情報を知りたい方は、『交通事故の慰謝料|相場や計算方法など疑問の総まとめ』の記事もあわせてお読みください。

前提知識|慰謝料は算定基準によって金額が変わる

慰謝料の計算方法をお伝えする前に、前提知識として慰謝料の算定基準を解説します。

慰謝料は交通事故の賠償金の一部で、「精神的苦痛」を金銭に換算したものです。
しかし、精神的苦痛の大きさは目に見えませんし、人によって感じ方もさまざまです。

よって、精神的苦痛を金銭に換算するためのルールとして「慰謝料の算定基準」が定められています。ルールはひとつに統一されておらず、次の3つが存在します。

慰謝料の算定基準

自賠責基準は、すべての自動車に加入が義務付けられている「自賠責保険」から支払われる慰謝料を算定するため用いる基準です。

自賠責保険は、加害者にお金がなくても被害者が最低限の補償を受けられるように作られたものです。よって、自賠責基準で計算した慰謝料は、最低限の金額になります。

任意保険基準は、ドライバーが任意で加入する「任意保険」から支払われる慰謝料を算定するため用いる基準です。

任意保険からは、自賠責保険の上限額を超えた部分が補償されます。ただし、任意保険基準で計算した金額は、自賠責基準とほぼ同額か、自賠責基準よりやや高額な程度です。

弁護士基準は、弁護士や裁判所が慰謝料を算定するときに用いる基準です。

過去の判例をもとにした基準であるため、最も法的正当性が高いと言えます。弁護士基準で計算した金額は、自賠責基準や任意保険基準の2倍~3倍になることも珍しくありません

交通事故の慰謝料は「示談交渉」という話合いで決まることが多いです。

示談交渉で加害者側から任意保険基準の慰謝料を提示されたら、弁護士を立てて弁護士基準で計算した慰謝料を主張するとよいでしょう。

なお、示談交渉については『交通事故の示談手順|流れや手続きの基礎知識を解説』で解説しているので、参考にしてみてください。

それでは、交通事故で請求できる「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の弁護士基準における計算方法を確認していきましょう。

(1)入通院慰謝料の計算方法

入通院慰謝料が補償するのは「ケガを負って入通院したことで生じる精神的な苦痛」です。
たとえば次のような精神的苦痛は、入通院慰謝料によって補償されます。

  • ケガが痛む
  • 交通事故時に怖い思いをした
  • 治療や手術の際に恐怖や苦しみ、不安を感じた
  • 入通院によって時間的・身体的拘束が生じ、不便な思いをした

入通院慰謝料は算定表で計算する

弁護士基準の入通院慰謝料は、算定表を用いて計算します。
算定表には軽傷用と重傷用の2種類があり、以下のように使い分けます。

  • 軽傷用:むちうちや軽い打撲、挫創などの場合に用いる
  • 重傷用:軽傷に当たらないケガの場合に用いる

入通院慰謝料の算定表(軽傷用)

軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表

入通院慰謝料の算定表(重傷用)

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

算定表の使い方

  • 入院月数と通院月数の交わる箇所が慰謝料の相場
  • 月数は暦にかかわらず「1月=30日」とする
  • 入院期間が40日など、30日で割り切れない場合は、日割計算を行う

なお、脳の損傷や内臓の損傷、生命の危険が非常に高く長期間の絶対安静を必要とする傷害などは、慰謝料額が2割程度増額されることがあります。

岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
弁護士

加害者側の保険会社は、上記の算定表で計算した金額よりも低い金額を提示してくることがほとんどです。

示談は一度成立すると撤回できないため、保険会社の主張を鵜呑みにしてしまうと、本来受け取れる金額を受け取れなくなってしまいます。

保険会社に低い金額を提示されているときは、弁護士に相談してみてください。

(2)後遺障害慰謝料の計算方法

後遺障害慰謝料が補償するのは、「後遺障害を負ったことによる精神的な苦痛」です。
具体的には次のような精神的苦痛が、後遺障害慰謝料によって補償されます。

  • 後遺障害が残った悔しさや不安、怒り
  • 将来にわたって感じ続ける不便さや苦痛

後遺障害慰謝料について気を付けなければならないのは、「単に後遺症が残っただけでは後遺障害慰謝料は請求できない」ということです。

後遺症に対して「後遺障害等級」が認定されてはじめて、後遺障害慰謝料を請求できるようになるのです。

よって、交通事故で後遺症が残った場合は、後遺障害等級の認定を受けなければなりません。認定を受ける方法は『交通事故の後遺障害認定|認定の確率を上げるポイントと手続きを解説』で解説しているので、ご確認ください。

後遺障害慰謝料は後遺障害等級で決まる

後遺障害慰謝料の金額は、認定された後遺障害等級に応じて変わります。
弁護士基準における後遺障害慰謝料の金額は、以下のとおりです。

等級 慰謝料金額
1級・要介護2800万円
2級・要介護2370万円
1級2800万円
2級2370万円
3級1990万円
4級1670万円
5級1400万円
6級1180万円
7級1000万円
8級830万円
9級690万円
10級550万円
11級420万円
12級290万円
13級180万円
14級110万円

たとえば、むちうちで後遺症が残った場合、後遺障害等級12級または14級に認定される可能性があります。後遺障害慰謝料の金額は、12級なら290万円、14級なら110万円です。

後遺障害認定を受ける方法や、どのような後遺症が何級に認定される可能性があるのかは、以下の関連記事で解説しています。

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(3)死亡慰謝料の計算方法

死亡慰謝料が補償するのは、「被害者が死亡したことによる、被害者本人と近親者の精神的苦痛」です。

被害者本人だけではなく、法律上で近親者とされる父母、配偶者、子の精神的苦痛に対しても死亡慰謝料が支払われます。

なお、遺族から選ばれる「相続人」が被害者の代わりに慰謝料・賠償金を請求し、被害者分の慰謝料・賠償金を相続します。

死亡事故の慰謝料について解説した記事『死亡事故の慰謝料相場はいくら?遺族が請求すべき損害賠償金の解説』において、相続人の選び方や相続の割合などについても紹介しているので、ご参考ください。

死亡慰謝料は家庭内の立場で決まる

弁護士基準では、死亡慰謝料の金額は被害者の立場ごとに定められています。
なお、以下の金額は被害者本人分と遺族分をあわせた金額になります。

被害者の立場金額
一家の支柱2800万円
母親・配偶者2500万円
その他の場合(学生を含む)2000万円~2500万円

学生が交通事故で亡くなった場合の慰謝料の相場は、2000万円~2500万円です。

ただし、事故の加害者に故意や重大な過失がある場合、加害者の態度が著しく不誠実な場合などは、慰謝料が相場よりも増額されることがあります。

なお、被害者の近親者として認められるのは、通常、父母、配偶者、子です。
兄弟姉妹など他の親族であっても、父母、配偶者、子と実質的に同じような身分関係があり、被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた場合には、補償の対象になることがあります。

学生が請求できる慰謝料以外の賠償金

学生が請求できる慰謝料以外の賠償金には、治療費、休業損害、逸失利益などがあります。

それぞれの費目について、どのような損害の補償なのか、どのように計算するのかを確認していきましょう。

学生が請求できる慰謝料以外の賠償金の費目一覧

交通事故の被害者が学生の場合、慰謝料以外に請求できる可能性のある費目は以下の通りです。

  • 休業損害
    交通事故の影響により収入が減ったことへの補償
  • 逸失利益
    交通事故の影響により将来的な収入が減ったことへの補償
  • 治療関連費
    診察費、投薬費、手術費、入通院交通費など
  • 物損に関する補償
    車・バイク・自転車の修理費用など
  • その他
    交通事故の影響で留年・休学したため余分に必要になった学費、下宿代など

休業損害や逸失利益は、交通事故の影響で減収が生じた場合に請求できる費目のため、学生は請求できないと思われがちです。

しかし、休業損害は条件を満たせば学生でも請求できます。
また、逸失利益は基本的に学生でも請求可能です。

ここからは、「休業損害」「逸失利益」「その他の学費、下宿代など」に焦点をあてて、請求できる条件や計算方法を解説していきます。

(1)休業損害|アルバイトや就職遅れに関する減収の補償

休業損害とは、交通事故によって仕事ができない期間の減収を補償するものです。

基本的には、休業損害はすでに社会人として働いている会社員や自営業者、家事労働をしている主婦などに対して支払われます。

しかし、学生でも以下のケースに当てはまるなら休業損害を請求できる可能性があります。

  • 交通事故によりアルバイトができない期間が生じ、収入が減ったケース
    • 生活費や学費だけではなく、交際費や遊興費を得るためのアルバイトも対象となる
  • 交通事故による留年や内定取り消しなどにより、就職時期が遅れたケース
    • 仮に就職が1年遅れたとすると、1年分の収入が得られなくなってしまうので、その補償として休業損害を請求できる

実際に就職が遅れたりアルバイトができなくなったりして休業損害が認められた判例を紹介します。

就職遅れによる休業損害

専門学生(男・事故時18歳、右目失明・外貌醜状等で併合5級)につき、事故がなければ翌々年4月から就労開始予定であったとして、賃セ男性高専短大卒20歳から24歳平均を基礎に、就労開始予定時から症状固定までの約40月分、989万円余を認めた

大阪地判平24. 7. 30 交民45・4・933

アルバイト収入に関する休業損害

高校生(男・固定時22歳、後遺時脳機能障害等7級)につき、事故当時のアルバイト収入及び事故後進学した大学の同級生のアルバイト収入を参考に、月額6万2000円を基礎に、症状固定までの1113日間、229万円余を認めた

福岡地判平28. 4. 25 自保ジ1980・20
岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
弁護士

就職遅れによる休業損害の請求は、加害者側ともめることも多いです。

たとえば、「事故にあってなくても留年していた可能性が高い」と主張されたり、「参考にする基礎収入はもっと低いはずだ」と反論されたりすることがあるでしょう。

加害者側ともめてしまった場合は、弁護士のアドバイスを受けてみてください。

学生の休業損害の計算方法

休業損害は、以下の計算式を用いて計算します。

休業損害の計算式

基礎収入(日額)×休業日数

基礎収入日額の計算方法と、休業日数の考え方を確認していきましょう。

基礎収入日額の計算方法

アルバイトを休業した場合は、「事故前3ヶ月分の給与÷90日」で基礎収入日額を算出します。

就職が遅れた場合は、就職先が決まっているのであれば、就職先で得られたはずの給料から日額を計算します。

就職先が決まっていなかった場合は、学歴別・男女別の平均賃金をもとに日額を計算することになるでしょう。大卒ならば20歳~24歳の平均値、高卒ならば18歳~19歳の平均値を参照されることが多いです。

なお、平均賃金は厚労省が発表している「賃金構造基本統計調査」に基づいた「賃金センサス」を参考にします。

休業日数の考え方

休業日数は、実際に仕事を休んだ日数ではなく、治療のために仕事を休むことが相当と言える日数を対象とします。

具体的には、入院した日や通院した日などが休業日数として認められます。
自己判断で休業した日は休業日数に含まれない可能性があるので注意しましょう。

また、就職が遅れた場合の休業日数は、ケガがなければ仕事を始めていたと言える日から治療終了日または症状固定日までとなります。

症状固定とは、「これ以上治療を続けてもケガの大幅な改善は見込めないと判断されること」、つまり、後遺症が残ったと判断されることです。

症状固定

学生の休業損害請求で必要な書類

休業損害の請求には源泉徴収票と休業損害証明書が必要になります。

源泉徴収票とは、事故前の収入を証明するための書類です。

アルバイトをしている場合は、勤務先に発行してもらいましょう。
また、源泉徴収票がない場合は、給与明細など事故前3か月間の収入がわかる書類でも代用できます。

休業損害証明書とは、実際に休業したことを証明するための書類です。

加害者側の任意保険会社から送られてくるので、勤務先に記入してもらいましょう。

(2)逸失利益|将来にわたる減収の補償

逸失利益とは、交通事故にあわなければ将来働いて得られていたであろう収入のことです。

逸失利益には、次の2種類があります。

  • 後遺障害逸失利益
    交通事故による後遺障害により労働能力が減少したため減った将来的な収入
  • 死亡逸失利益
    交通事故で亡くなったことで得られなくなった将来的な収入
逸失利益とは

すでに働いている社会人の場合、後遺障害が残ったため異動や転職を余儀なくされたり、出世が難しくなったりして生涯収入が減る可能性があります。
また、死亡してしまった場合は、それ以降の収入が一切得られなくなります。
このような損害を補償するのが逸失利益です。

学生であっても、基本的に逸失利益を請求できます。
学生の場合、交通事故の時点では働いていないことが多いですが、以下のような点から将来の収入に影響が出ると考えられるためです。

  • 後遺障害の影響で就ける仕事の幅が狭まる
  • 後遺障害の影響で本来の労働能力が発揮できない
  • 死亡してしまっため働いて収入を得ること自体ができない

学生の逸失利益の計算方法

後遺障害逸失利益と死亡逸失利益の計算方法は、それぞれ以下の通りです。

後遺障害逸失利益

基礎収入×労働能力喪失率×(労働能力喪失期間の終期までの年数に対応するライプニッツ係数-就労開始年齢までの年数に対応するライプニッツ係数)

死亡逸失利益

基礎収入×(1-生活費控除率)×(労働能力喪失期間の終期までの年数に対応するライプニッツ係数-就労開始年齢までの年数に対応するライプニッツ係数)

被害者が高校生以下の学生の場合、基礎収入は原則として賃金センサスの学歴計・男女別・全年齢平均の金額を基準にします。

被害者が大学生の場合や、高校生以下でも大学進学の可能性が高かったと認められる場合は、大卒者の平均賃金を基準にするケースも多いです。

令和3年の調査における平均賃金は、以下の通りです。

学歴計(男性)546万4200円
学歴計(女性)385万9400円
大卒者(男性)631万400円
大卒者(女性)454万3000円

逸失利益については、関連記事でより詳しく解説しています。
ただし、学生の場合、ライプニッツ係数の確認方法が社会人とは異なり複雑です。

よって、逸失利益については弁護士に計算してもらうことをおすすめします。
アトム法律事務所ではLINEや電話で無料相談を実施しているので、気軽にご相談ください。

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(3)その他|休学や留年による損害の補償

交通事故の影響で学校を長期間にわたって休んだり留年したりした場合は、次のような費目も加害者側に請求できる可能性があります。

  • 余分に必要になった学費や教材代
  • 余分に必要になった下宿代
  • 休学中の遅れを取り戻すための塾・家庭教師代

実際に、休学や留年によって生じた損害額の請求が認められた判例として、次のものがあります。

事故のため1年間留年した大学生につき、学費97万円余及び1年分のアパート賃借料55万円余を認めた

岡山地判平9.5.29 交民30・3・796

(略)大学生(男・事故時33歳)につき、秋学期の欠席はやむを得ないとし、支払った大学授業料83万円余を認めた

東京地判平22.10.13 交民43・5・1287

休学や留年による賠償金の請求がどの程度認められるかは、加害者側との示談交渉によって決まります。

加害者側は少しでも支払う慰謝料・賠償金を少なくしたいと考えています。
被害者自身による示談交渉では十分な金額を支払ってもらえない可能性が高いので、弁護士に相談することをおすすめします。

学生の慰謝料・賠償金の実例

次に、学生の交通事故で慰謝料・賠償金がどのくらいになったかの実例を紹介します。

過去の判例から、被害者が大学生のケースと高校生のケースをそれぞれ紹介しますので、参考にしてみてください。

(1)大学生の例|就職に影響が出てしまったケース

事故の概要

  • 被害者:21歳男性・大学生
  • 事故状況
    加害車両(普通乗用自動車)が交差点を左折しようとしたところ、同じ車線の左後方から交差点を直進しようとしてきた被害車両(自動二輪車)と衝突。
  • 被害
    右肩甲骨骨折、右肩挫滅創、腕神経叢麻痺
  • 後遺障害等級:4級
  • 裁判所・判決日:大阪地方裁判所・平成17年12月9日

事故の被害者は、もともとの能力があれば希望する職種に就ける可能性が高かったものの、後遺障害によりその職種に就けなくなりました。

この事故における慰謝料と賠償金の金額は以下のとおりです。

慰謝料1910万円
休業損害70万8282円
逸失利益8573万3796円
その他費目*を含めた合計額8973万2627円

*過失相殺による減額、既払い金の差し引きあり

なお、過失相殺とは、被害者側に過失があった場合、その過失割合の分を慰謝料や賠償金から減額することを言います。

(2)高校生の例|丁字路での衝突事故のケース

事故の概要

  • 被害者:16歳男性・高校生
  • 事故状況
    交通整理の行われていないT字路交差点で、加害車両(普通乗用車・直進)と被害者(原付自転車・右折)が出会いがしらに衝突。
  • 被害
    • びまん性脳損傷で約7ヶ月間入院し、1年間リハビリのため通院
    • 高次脳機能障害、右同名半盲及び複視の後遺障害が残る
  • 後遺障害等級:4級
  • 裁判所・判決日:東京地方裁判所・平成16年9月22日

この交通事故では、被害者が2人乗りであったことや、右方を十分注視していなかったことなどから、被害者側に7割の過失があるとされました。

慰謝料や賠償金の金額は以下のとおりです。

慰謝料350万円
逸失利益9370万5433円
将来介護費1381万8316円
その他費目*を含む合計額4421万6382円

*過失相殺による減額あり

岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
弁護士

上記の例からもわかるとおり、被害者の学生に後遺症が残った場合、逸失利益が高額になりやすいです。金額をめぐって示談交渉が難航し、民事裁判に発展するケースもあるでしょう。

後遺症が残るような事故では、弁護士に弁護活動を依頼することをとくにおすすめします。

学生の交通事故でよくある質問

次に、学生が交通事故にあった場合のよくある質問に回答していきます。

Q1.慰謝料を請求するのは学生本人と親のどちら?

交通事故にあった学生が未成年(18歳未満)の場合は、基本的に親権者が法定代理人として慰謝料・賠償金を請求します。

未成年者は法律行為(契約など)に制限がかけられています。
交通事故に関する示談も法律行為にあたるので、法定代理人を立てる必要があるのです。

なお、親権者を法定代理人にするにあたり、委任状などの特別な手続きは必要ありません。

一方、交通事故にあった学生が成人している場合は、学生自身で慰謝料を請求します。

また、18歳未満のときに事故にあい、治療を終えて示談交渉を開始するときには18歳以上になっていたようなケースでは、学生自身で慰謝料・賠償金を請求することになるでしょう。

Q2.学生に多い「自転車事故」の注意点は?

学生の交通事故として多いのが、通学中に自転車に乗っていて被害にあうケースです。

自転車に乗っていて交通事故にあったときの主な注意点は、以下のとおりです。

  • 過失割合の参考となる判例が少ないため、加害者側ともめやすい
  • 慰謝料・賠償金が高額になりやすいため、加害者側ともめやすい
  • 加害者も自転車に乗っていた場合、無保険の可能性がある
  • 加害者も自転車に乗っていた場合、後遺障害等級認定の受け方が異なる

過失割合について

過失割合とは、「事故が起きた責任が被害者と加害者にどれくらいあったのか」をあらわす割合のことです。過失割合は加害者側との示談交渉で決めることになるでしょう。

自転車事故の場合、過失割合を決めるにあたって参考にする判例が少なく、ゼロベースで交渉をする必要があるため、加害者側ともめやすくなるのです。

慰謝料・賠償金の高額化について

自転車に乗っていて事故にあった場合、衝撃が身体に直接伝わる可能性が高くなります。その結果、頭や脊髄を損傷し、重大な後遺障害が残ることがあるのです。

後遺障害が残ると、慰謝料・賠償金が高額化しやすいため、支払う金額を下げたい加害者側と対立が起こりやすくなります。

加害者側も自転車の場合について

また、加害者も自転車に乗っていた場合、保険に加入しておらず慰謝料・賠償金を支払ってもらえない可能性があります。

自転車事故にあい、加害者側とトラブルが生じている場合は、交通事故に精通した弁護士に相談し、対策してもらうことをおすすめします。

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Q3.学生に多い「初心者ドライバー」は何らかの配慮を受けられる?

学生の場合、自動車免許を取ったばかりの初心者の状態で事故にあうこともあるでしょう。

基本的に、初心者ドライバーであるため特別な配慮を受けられることはありません。

ただし、初心者マークをつけていたなら、加害者側の過失割合が増え、結果的に被害者側の過失割合が減ることはあります。

初心者マークをつけている車には、周囲の車は一定の注意をしなければいけません。
加害者が注意を怠ったため事故が起きたような場合は、その分、加害者側の過失割合が重くなるのです。

具体的には、以下のような事故では加害者側の過失割合が10%高くなり、被害者側の過失割合が10%低くなります。

  • 前方の車が進路変更・幅寄せをして後方の車(初心者マークつき)と事故を起こした場合

※「別冊判例タイムズ38」(東京地裁民事交通訴訟研究会編)を参照

過失割合をどのように決めるか詳しく知りたい場合は、以下の関連記事がおすすめです。

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学生の交通事故について弁護士に依頼するとどうなる?

交通事故にあったとき、弁護士に依頼すると以下のようなメリットが得られます。

  1. 慰謝料・賠償金が2倍~3倍に増える可能性がある
  2. 加害者側とのやりとりや各種手続きを弁護士に任せられる
  3. 早期の解決が期待できる

また、「弁護士費用特約」という保険のオプションを使えば弁護士費用が実質無料になるのも重要なポイントです。

上記のメリット・ポイントについて詳しく解説していきます。

(1)慰謝料・賠償金が2倍~3倍に増える可能性がある

先述のとおり、交通事故の慰謝料には3つの算定基準があります。

加害者側の任意保険会社は、当初は「任意保険基準」で計算した慰謝料・賠償金を提示してくるでしょう。
この金額は、弁護士基準で計算し直せば2倍~3倍に増える可能性があるのです。

ただし、被害者自身で弁護士基準で計算した慰謝料を支払うよう交渉しても、加害者側の任意保険会社が認めてくれることはほとんどありません。
「今回の事故ではこの金額が上限である」と拒否されたり、専門用語を多用してはぐらかされたりしてしまうケースが非常に多いのです。

一方、弁護士に依頼すると、加害者側の任意保険会社は増額を認める可能性が高いです。

弁護士ありの示談交渉は増額幅・増額可能性が高い

なぜならば、被害者が弁護士を立てることは、「裁判に発展することも辞さない」という姿勢を見せることでもあるためです。

裁判に発展すれば、加害者側の任意保険会社は弁護士基準で計算した金額を払わざるを得なくなるうえ、時間も労力もかかってしまいます。
よって、「裁判に発展するくらいなら示談交渉で増額を認めよう」と判断されるのです。

交通事故で加害者側からより多くの慰謝料・賠償金を受け取りたいときは、弁護士に依頼することをおすすめします。

(2)加害者側とのやりとりや各種手続きを弁護士に任せられる

加害者側とのやりとりや、交通事故の損害賠償に関わる手続きを任せられるのも、弁護士に依頼するメリットのひとつです。

交通事故の加害者は、以下のように多くの手続きを行う必要があります。

  • 休業損害の申請
  • 後遺障害等級認定の申請
    • 必要な書類の収集・内容の確認・改善
    • 必要な書類の改善にむけた主治医との交渉
    • 認定結果に不満があるときの異議申し立て
  • 慰謝料・賠償金の算定
  • 示談交渉で過失割合を主張するための証拠の収集
  • 示談交渉
  • その他、治療費打ち切りといったトラブルへの対処 など

いずれの手続きも、適切に行わなければ受け取れる慰謝料・賠償金が減ってしまうリスクが生じてしまいます。

また、加害者側とのやりとりで、相手が高圧的だったり、慰謝料・賠償金を減らすために配慮のない主張をされたりして、大きなストレスを抱えてしまう方も少なくありません。

弁護士に依頼すれば、加害者側とのやりとりや各種手続きを一任し、被害者自身は治療や学生生活への復帰に集中できるようになるのです。

交通事故に精通した弁護士であれば、各種手続きを適切に行い、知らず知らずのうちに慰謝料が減ってしまうような状況を防げるのも重要なポイントです。

(3)早期の解決が期待できる

弁護士が示談交渉を行えば、被害者自身で示談交渉を行うよりも早期に解決できる可能性が高いです。

交通事故に精通した弁護士であれば、各種手続きの方法、示談交渉のポイントなどを熟知しており、効率的かつ適切にこなすことができます。

また、加害者側に主張を認めてもらえやすいため、示談交渉が長引かない可能性が高いことも、早期解決が期待できる理由のひとつです。

早期解決するということは、慰謝料・賠償金が早く受け取れるということでもあります。

慰謝料・賠償金を早めに受け取り、交通事故に関するストレスや不安から解放されたいと思っている方は、弁護士に相談してみるとよいでしょう。

【ポイント】保険のオプションを使えば弁護士費用は実質無料

「弁護士に依頼したら、弁護士費用がかかって逆に損をするのでは?」と不安に感じる方には、保険のオプションのひとつである「弁護士費用特約」の利用をおすすめします。

弁護士費用特約とは、保険会社に弁護士費用を一定金額まで負担してもらえる特約です。
弁護士費用の合計300万円まで、相談料の合計10万円までを負担してもらえることが一般的になります。

慰謝料・賠償金の合計が数千万円にならない限り、弁護士費用が300万円を超えることは少ないです。
よって、弁護士費用特約を使えば、弁護士費用が実質無料になると言えるのです。

学生の場合、親の自動車保険に付帯している弁護士費用特約を使えることが多いので、確認してみてください。

弁護士費用特約の対象者

弁護士費用特約については、『交通事故の弁護士費用特約|使い方とメリット&デメリット』の記事で詳しく解説しています。

学生でも安心!アトム法律事務所の電話・LINE無料相談

学生が交通事故にあって慰謝料・賠償金の請求をする際、被害者ひとりで対応するのは難しいです。時間や労力がかかり、ストレスを感じる方も少なくありません。

また、親権者が法定代理人として慰謝料・賠償金を請求するときも、専門家のアドバイスやサポートを受けながら対応した方が、より高い金額を受け取れる可能性が高くなります。

アトム法律事務所では、交通事故の被害者の方にむけて電話・LINEによる無料相談を実施しています。学生の方もご利用いただけますので、お気軽にご相談ください。

無料相談では、下記のような内容について弁護士からアドバイスを受けられます。

  • 慰謝料・賠償金の請求
  • 通院中の治療費や休業損害、慰謝料に関する不安・疑問
  • 後遺障害等級の認定
  • その他、加害者側の任意保険会社とのトラブルなど

相談のみのご利用でも問題ありませんので、気兼ねなくご連絡ください。

相談予約は24時間365日受け付けています。皆様からのお問合せをお待ちしています。

満足度90%超え

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」「ネット削除依頼」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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