自転車同士の事故状況別の過失割合|損害賠償請求と事故後の対応も解説

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自転車同士の事故

自転車同士の事故では、さまざまな疑問が生じがちです。

「どちらの方が悪いのか?」
「損害賠償金の種類や請求方法は自動車事故と同じで良いのか?」

詳しくは本記事で解説しますが、簡単に疑問に答えると、どちらが悪いのかは「過失割合」によって判断されます。損害賠償金や請求方法については自動車事故と同じ部分もあれば違う部分もあります。

自転車同士の事故ならではの重要な注意点もあり、一般的な自動車事故と同じように対応しているとトラブルが生じる恐れもあるので、この記事を通してしっかり確認していきましょう。

なお、自転車同士の事故を起こした加害者向けの記事としては『自転車事故の加害者になったらどうすればいいの?』があります。

目次

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自転車同士の事故状況別の過失割合

2014年2月に公表された「自転車同士の事故の過失相殺基準の第一次試案」をベースに、自転車同士の事故の基本の過失割合を解説します。

自転車同士の事故ではなく、車と自転車の事故や、バイクと自転車の事故における過失割合を知りたい方は、以下の関連記事をご確認ください。

過失割合(1)交差点の出会い頭での事故

自転車同士が交差点の出会い頭で接触事故を起こした場合、「信号のある交差点」と「信号のない交差点」で過失割合が変わってきます。

信号のある交差点で起きた自転車同士事故の過失割合

自転車同士が信号のある交差点で出会い頭に接触事故を起こした場合の過失割合は、信号の色によって判断されます。

たとえば、一方の信号が青でもう一方が赤だった場合は当然、赤信号を無視して交差点に進入した方が悪いとして、過失割合は「青:赤=0%:100%」となります。

信号のある交差点で起きた事故の過失割合

信号の色
(A:B)
AB
青:赤0%100%
黄:赤20%80%
赤:赤50%50%

信号のない交差点で起きた自転車同士事故の過失割合

一方、自転車同士が信号のない交差点で出会い頭に接触事故を起こした場合、過失割合は一時停止規制の有無や道幅次第といえます。

たとえば、一時停止規制がある交差点で事故が起こった場合、一時停止規制があった方の責任がより重いとされ、過失割合は「一時停止規制ある:ない=70%:30%」の見込みとなるでしょう。

あるいは、一時停止規制がなかったとしても、道幅が同じであれば原則としては左方が優先です。そのため、左方から進行する自転車の方が過失が少ないとされ、過失割合は「左方車:右方車=45%:55%」となります。

信号のない交差点で起きた事故の過失割合

道路状況
(A:B)
AB
一時停止規制
ある:ない
70%30%
同じ道幅の道路
左方車:右方車
45%55%

過失割合(2)丁字路での事故

自転車同士が丁字路で接触事故を起こした場合、過失割合は一時停止規制の有無や、一時停止規制の有無や道幅次第といえます。

一時停止規制がある丁字路では、一時停止規制がある方の過失が大きいとされるので、過失割合は「一時停止規制がある:ない=75%:25%」の見込みとなるでしょう。

また、丁字路では基本的に左方優先です。そのため、一時停止規制がない同じ道幅の丁字路では、直進車側の方が過失割合が小さくなり、過失割合は「直進車:右左折車=40%:60%」となります。

丁字路で起きた事故の過失割合

道路状況
(A:B)
AB
一時停止規制
ある:ない
75%25%
同じ道幅の道路
直進車:右左折車
40%60%

なお、直進車側の道路の方が道幅が広い、優先道路であったなどの場合は、直進車側の過失割合がより小さく、右左折者側の過失割合がより大きくなります。

過失割合(3)対向自転車との正面衝突の事故

事故の場所が車道であっても歩道であっても、正面衝突の事故における過失割合は「50%:50%」が基本です。

正面衝突事故の過失割合

道路状況
(A:B)
AB
歩道上50%50%
車道上50%50%

ただし、一方の自転車に明らかな危険運転などがあれば、危険運転していた側に過失割合が加算されます。

過失割合(4)同方向を走る自転車との追突事故

追突事故の場合、基本的に追突された側に過失がないとされ、過失割合は「被追突車:追突車=0%:100%」となります。

追突事故の過失割合

状況被追突車追突車
追突事故0%100%
先行車の進路変更による追突事故60%40%
追越しで先行車の前に出た際の追突事故100%0%

しかし、前の自転車が進路変更したことで後ろの自転車がぶつかった場合や、追越し後に追突された場合は、過失割合が付くので注意しましょう。

自転車同士の事故はどっちが悪い?過失割合の決め方

どっちが悪いかは話し合いで決める

そもそも過失割合とは「事故の当事者がそれぞれどのくらい悪くて交通事故が起きてしまったのかを数字で示したもの」です。

基本的に、過失割合は事故の当事者同士による話し合いで決められます。通常、事故相手が加入する任意保険会社から過失割合を提示されることで話し合いがはじまるでしょう。

この時、必ずしも正しい過失割合を任意保険会社が提示しているとは限らないので、安易に受け入れないでください。

過失割合が付くとその割合分、「過失相殺」により損害賠償金が減額されてしまうので、正しい過失割合にしておくことは重要なのです。

過失割合に影響する修正要素も重要

前章で紹介した自転車同士の事故状況別の過失割合は、基本の過失割合です。基本の過失割合を基準にしつつ、「修正要素」によって過失割合を微調整していきます。

修正要素とは、さまざまな事故の事情を過失割合に反映させるものです。たとえば、どちらかが突然飛び出してきた、夜なのにライトをつけていなかった、かなりの高速で交差点に進入してきたなどのことをいいます。

修正要素の一例として、著しい過失・重過失の内容を確認してみましょう。

著しい過失・重過失

  • 片手運転
  • 音楽を聴きながらの走行(イヤホンなど)
  • 二人乗り
  • 著しい前方不注意
  • 携帯電話の通話や操作などのながら運転
  • 酒気帯び運転、酒酔い運転
  • 制動装置の不良

こうした著しい過失・重過失が認められた側には10%~30%の過失割合が加算され、より過失割合が高くなります。

また、次のような状況で事故が起こった場合には、基本の過失割合に影響を与えます。

その他の修正要素

  • 高速での交差点侵入
  • 夜間の無灯火
  • 児童や高齢者が自転車の運転をしていたこと
  • 交差点への一方の明らかな先入り

以上のような修正要素は基本の過失割合を増減させ、最終的な過失割合が決まっていくのです。

過失割合は双方の交渉力にも左右される

過失割合は事故の細かい状況まで考慮して柔軟に調整されるため、明確な答えがありません。よって、最終的には加害者側との交渉次第となります。

とくに、自転車同士の事故の場合はもめる可能性も高いです。交渉に左右される部分が、以下の点のように大きいからです。

  • 過失割合を決める際に一般的に参考にされる「別冊判例タイムズ38」(東京地裁民事交通訴訟研究会編)には、自転車同士の事故に関する記載がない
  • 上記理由により数多くある判例を参考に過失割合を決めることになるが、どの判例をどのように参考にするか判断するのは非常に難しい

このように自転車同士の過失割合の算定は自動車事故の場合より難しく、専門知識を要するため、弁護士に相談することをおすすめします。

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過失割合は被害者側の示談金減額にも関わってくるので、適切な過失割合になるようしっかり対策すべきです。

過失割合がもめた場合は弁護士相談をおすすめしますが、被害者にもできることはあります。過失割合でもめても、関連記事『交通事故の過失割合でもめる4ケース&対処法』をお読みいただければ、合理的で効果的な対策がわかりますのであわせてご確認ください。

自転車同士でぶつかった後の対応は?

自転車同士での交通事故が起こった後にすべきことは次の通りです。

事故後の流れ

  1. 怪我人の救護と周囲の安全確保
  2. 警察に連絡|自転車同士の事故も必須
  3. 保険に加入していれば保険会社にも連絡
  4. ケガの治療を受ける
  5. 損害賠償請求(示談・調停・訴訟)

ここからは各段階でのポイントを解説します。

(1)怪我人の救護と周囲の安全確保

交通事故が発生し、怪我人がいたら速やかに救護して救急車を呼びましょう。怪我人を安全な場所に移動させたり、必要があれば応急処置を施したりしてください。

もし、ご自身が自転車から転倒して頭を打ったりしているような場合は、無理に動かず救護を待ちましょう。

また、事故の二次被害を防ぐためにも、周囲の安全確保も行うようにしてください。

(2)警察に連絡|自転車同士の事故も必須

自転車同士の事故の場合、自動車事故ほど大規模ではないことも多いため警察への届け出を迷う人も多いです。

しかし、たとえ軽微な自転車事故であっても、警察への届け出は必須です。

道路交通法上、自転車は軽車両として扱われています。自転車は、自動車と同じように車両に該当するので、車両が交通事故を起こした場合、警察へ連絡しなければなりません。

少しでもケガをしたなら人身扱いにしよう

警察に事故を届け出る際、少しでもケガをしているなら人身事故として届け出るようにしましょう。
ごく軽傷のみの場合、警察側から「物損扱いにしませんか?」と言われることがありますが、以下の点から人身扱いにすることが重要です。

  • 警察で物損扱いになっていると、ケガの治療費や慰謝料の請求がスムーズに進まない可能性がある
  • 物損扱いだと、過失割合を決める際に参考資料となる「実況見分調書」を作成してもらえない

もし、すでに物損扱いで届け出をしてしまっていても、あとから人身扱いに変更できます。具体的な変更方法は『物損から人身への切り替え方法と手続き期限!切り替えるべき理由もわかる』をご確認ください。

(3)保険に加入していれば保険会社にも連絡

お住まいの自治体によっては、自転車に関しても自転車保険等への加入が義務付けられている地域もあります。

自転車事故で使える保険に加入していれば、加害者と被害者がそれぞれ加入する保険会社にも連絡するようにしましょう。

(4)ケガの治療を受ける

ケガをしているなら、たとえ軽傷でも病院に行って治療を受けるようにしましょう。病院で検査すると、隠れた重大なケガが発覚することもあります。

また、事故現場では無傷だと思っても、後から痛み出すことも珍しくありません。本当に無傷なのかどうかは、病院で検査を受けてから判断してください。

事故発生から病院に行くまでに間が空くと、事故とケガの因果関係が疑われてしまいます。因果関係を証明できなければ、適切な補償がもらえません。

事故に巻き込まれたら、念のためでも病院を受診するようにしてください。

(5)損害賠償請求(示談・調停・訴訟)

治療を続けたことでケガが治った場合は、損害賠償額を算定できるようになります。事故による損害賠償額の算定が出来たら、加害者側に対して損害賠償請求を行いましょう。

交通事故における損害賠償請求では、まず話し合いで解決を図る示談交渉が選択されます。示談交渉が決裂した場合、調停や訴訟へと進む流れが通常です。

もっとも、損害賠償請求において重要なことは請求のタイミングといえます。もし何らかの後遺症が残っているなら、損害賠償請求額を確定できません。後遺症が残ったときの対応について続けましょう。

自転車同士の事故における損害賠償請求

後遺症が残ったら等級認定を受ける

自転車同士の事故で後遺症が残った場合には、損害賠償請求の前に「後遺障害等級」の認定審査を受ける必要があります。

後遺障害等級

後遺症の症状・程度に応じて認定される等級。

等級が認定されれば後遺障害慰謝料・逸失利益がもらえる。
審査の結果等級が認定されなければ、後遺障害残存に対する補償は原則として受け取れない。

自動車やバイクとの事故であれば、等級認定の審査は「損害保険料率算出機構」がおこないます。しかし、自転車同士の事故による後遺症の審査は、原則としてこの機関ではおこなってもらえません。

自転車同士の事故においては「加害者が自転車保険に入っている場合」「被害者が人身傷害保険に入っている場合」「加害者も被害者も無保険の場合」ごとに後遺障害認定の受け方が異なるので確認しておきましょう。

(1)加害者が自転車保険に入っている場合

加害者が自転車保険に入っていれば、その保険会社が医師の意見を聞きながら、後遺障害認定の審査をしてくれる可能性があります。

加害者の自転車保険会社を通して、自動車事故と同様に損害保険料率算出機構による認定審査を受けられる場合もあるので、確認してみましょう。

(2)被害者が人身傷害保険に入っている場合

被害者が自動車保険の人身傷害保険に入っていれば、その保険会社による後遺障害認定を受けることが可能です。保険会社を通して損害保険料率算出機構の認定審査を受けられることもあります。

ただし、この場合、示談交渉で加害者側が審査結果の妥当性を否定してくる可能性があります。認定された等級に応じた後遺障害慰謝料・逸失利益が得られないことも考えられるので、事前に弁護士に相談しておくことがおすすめです。

(3)被害者・加害者ともに無保険である場合

被害者も加害者も自転車事故で利用できる保険に加入していない場合、後遺障害認定を行ってくれる機関がないので、訴訟を起こして裁判所に判断してもらうしかありません。

裁判を起こすための具体的な流れは、『交通事故の裁判の起こし方や流れ|費用・期間や裁判になるケースを解説』で解説しています。

自転車同士の事故で請求できる費目と相場

自転車同士の事故で請求できる慰謝料・損害賠償金は、自動車やバイクとの交通事故の場合と同じです。

ケガした場合の費目

  • 入通院慰謝料
    入院や通院をする中で生じた精神的苦痛に対する補償。入通院日数・期間に応じて金額が決まる。
  • 治療関係費
    治療費や通院交通費など。通院交通費は、必要性があればタクシー代も認められる。
  • 休業損害
    交通事故によりやむを得ず仕事を休んだことで生じた減収額に対する補償。主婦や就職遅れが生じた学生、事故がなければ今頃働いていたと思われる無職者も請求できる。

休業損害の詳しい計算方法は、被害者の職業や肩書によって変わってきます。また、学生の場合は上記に加えて休学などに関連する費目も請求できる場合があります。

主婦についても、家事労働ができないことへの休業損害請求が可能です。詳しくは、以下の関連記事から確認してみてください。

後遺障害が残った場合の費目

後遺障害が残った場合の費目は、原則として後遺症に対して「後遺障害等級」が認定された場合のみ請求できます。

  • 後遺障害慰謝料
    後遺障害が残ったことで今後も感じ続ける精神的苦痛に対する補償。後遺障害等級ごとに金額が違う。
  • 後遺障害逸失利益
    後遺障害が残り労働能力が低下することで減ってしまう、生涯収入に対する補償。まだ働いていない子供や学生、就労の見込みが十分あると考えられる無職者であっても請求できる。

死亡事故の費目

死亡事故の場合は、被害者本人に代わってご遺族が損害賠償請求をしたり、受け取った損害賠償金を分配したりする必要があります。

  • 死亡慰謝料
    交通事故により死亡した被害者とその遺族の精神的苦痛に対する補償。遺族とは基本的に、養父母含む親、配偶者、養子含む子供を指す。
  • 死亡逸失利益
    死亡しなければ今後得ていたであろう収入に対する補償。被害者が子供や学生、就労の見込みが十分に認められる無職者の場合も請求できる。

死亡事故においてご遺族がすべきことは、『死亡事故の慰謝料相場は?被害者の死亡で遺族が請求すべき損害賠償金』の記事でわかりやすく解説しています。参考にしてみてください。

今すぐ簡単に相場がわかる計算機

以下の計算機を使えば、慰謝料・逸失利益の相場が簡単にわかります。

詳しい個人情報を入力する必要はなく、治療日数や後遺障害等級などを入力するだけで計算ができます。厳密な相場は弁護士に問い合わせることをおすすめしますが、相場の目安を確認する際にご活用ください。

慰謝料の詳しい計算方法については『交通事故の慰謝料を正しく計算する方法』の記事で詳しく解説しています。

自転車同士の事故でよくある質問

自転車同士の事故でよくある質問を集めました。

Q.自転車同士の事故で警察を呼ばないと問題は生じる?

自転車同士の事故を警察に届け出なかった場合、次のような問題・トラブルが起こりえます。

  • 道路交通法違反となり、3か月以下の懲役または5年以下の罰金が科される
  • 加害者への賠償請求や自身の保険への保険金請求で必要な「交通事故証明書」が発行されない
  • 人身事故であれば行われるはずの実況見分が行われないため、事故状況を証明する書類が作成されず過失割合の交渉が難航する

たとえ加害者が立ち去ってしまった場合でも、警察に届け出ておくと、加害者が自首してきた場合に連絡をもらえます。

また、同様の事故が多発している場合には同一犯の可能性があるとして捜査してもらえる可能性もあるので、警察には届け出をしておきましょう。

警察への連絡時に読みたい記事

運転講習の受講命令を受けたら従おう|無視は罰金

過去3年以内に自転車での危険行為や自転車事故で取り締まりを受けたことがあり、今回の事故でも危険行為が確認された場合は、事故被害者であっても自転車運転講習の受講命令を受ける可能性があります。

自転車運転講習

自転車の運転による交通の危険を防止するための講習(自転車運転者講習)制度は、自転車の交通ルール遵守を徹底するため、自転車の運転に関し一定の違反行為(危険行為)を3年以内に2回以上行った者に対し、都道府県公安委員会が講習の受講を命ずるもの。
(引用:警視庁公式ホームページ「自転車運転者講習制度」)

自転車の危険行為としては、信号無視や通行禁止違反、酒酔い運転など15類型が定められています。受講命令に従わないと5万円以下の罰金が発生するので、受講するよう指示された場合は必ず参加しましょう。

Q.自転車同士の事故で加害者が立ち去ったらどうする?

接触のあと加害者が立ち去った、いわゆる当て逃げ・ひき逃げ事故の場合は、すぐに加害者が特定されるとは限りません。

加害者がすぐに見つからない場合には、治療費や自分の自転車の修理費・買い替え費用などはひとまず自己負担しておくことになります。

この際、自身の保険を使えば負担が軽減されるので有効活用してみてください。

健康保険や自転車保険の他、自動車保険・火災保険・傷害保険などの特約、業務中や通勤時の事故には労災保険も利用可能です。詳しくは『自転車事故の保険請求の流れや補償内容|どんな保険が使える?』で解説しています。

加害者特定はいつまでに?自転車同士の事故の時効

自転車同士の事故で加害者が立ち去った場合、事故から20年以内に加害者がわかれば損害賠償請求ができます。

ただし、加害者特定後は5年以内に人身被害に関する費目を、3年以内に物損被害に関する費目を請求しましょう。それを過ぎてしまうと、損害賠償請求の権利を失ってしまいます。

なお、事故後に相当時間が経ってから加害者が判明した場合は、当事者同士の記憶があいまいになっており、事故時の様子も確認しにくくなっているため、示談交渉が難航する可能性があります。

自転車の当て逃げ犯は見つかる?

自転車の場合、車のようにナンバープレートがありませんし、ドライブレコーダーも搭載されていないので加害者特定が難しい傾向にあります。

加害者特定率を上げるためにできることや、加害者が見つからなかった場合の対応については『自転車の当て逃げ犯を特定できる確率は?』で解説しているので参考にしてみてください。

Q.自転車同士の事故で加害者が自転車保険未加入だとどうなる?

加害者が自転車保険未加入だと、交渉相手は加害者本人になります。

加害者本人との示談交渉では、資力が不十分で損害賠償金がきちんと支払われなかったり、そもそも示談交渉に応じてもらえなかったりする可能性が高いです。

こういった無保険の状態で事故が発生した場合は、ご自身が加入する人身傷害保険などに保険金を請求するなどして補償を受け取りましょう。人身傷害保険について詳しくは『人身傷害保険ってどんな保険なの?慰謝料も受け取れる保険について解説』の記事をご確認ください。

Q.通勤中に自転車同士の事故が起こったらどうする?

自転車事故の発生が通勤中であった場合、労災保険の適用事業に雇用されている労働者であれば、労災保険を利用できます。業務中の自転車事故でも同様です。

労災保険に請求手続きをし、労災として認められれば、療養(補償)給付や休業(補償)給付などの補償がもらえます。

特に、加害者が自転車保険に未加入だったり、自転車保険による補償が不十分な場合、労災保険から補償がもらえると安心です。

通勤中の事故については、『通勤や業務中の交通事故で労災保険と任意・自賠責を両方使うメリット』で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。

Q.ヘルメットなしで事故にあったら過失割合に影響する?

2023年4月1日から施行された道路交通法の改正により、自転車を利用するすべての人にヘルメットの着用が努力義務化されました。

施行されたばかりなので断言はしにくいですが、今後、裁判所の判断によって「ヘルメットを着用していなかった点が過失として扱われる」可能性が十分に考えられます。

ヘルメット着用と過失割合の関係について、今後の動向を注視していく必要があるでしょう。

もっとも、ヘルメットの着用は、万一の事故による頭部への致命傷リスク低減につながります。過失割合への影響も重要ですが、命を守るためにもヘルメットを適切に着用していきましょう。

自転車同士の事故特有の注意点と弁護士相談

自転車同士の事故は特有の注意点が多いので、賠償問題で困ったら弁護士に相談しましょう。

自転車同士の事故ではどのような注意点が多いのか

自転車同士の事故後の対応には、以下のような難しさや注意点があります。

  • 過失割合の算定が通常の事故よりも難しい
  • 後遺障害認定の申請が複雑かつ難しい
  • 被害者が加入する人身傷害保険と後遺障害慰謝料・逸失利益に関して争いになっている

※いずれの注意点も、受け取れる損害賠償金額に影響する重要なもの

対策や対処法をあいまいにしたまま対応に当たると、適切な損害賠償金を得られない可能性があります。自転車同士の事故で、疑問や不安が少しでもある場合は一度弁護士にご相談ください。

自転車事故で弁護士に相談・依頼することで得られるメリットなどについてより詳しくは『自転車事故で弁護士が必要な理由』の記事が参考になります。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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