自転車事故の被害者がもらえる賠償金はいくら?高額賠償事例と慰謝料相場

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自転車事故の賠償金いくらもらえる?

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

警察庁のデータによれば、令和4年の交通事故データのうち、交通事故全体に占める自転車関連事故の割合は約19%になるという結果が出ています。

自転車を運転する方のなかには、自動車免許を取得したことがなく、交通ルールを十分に知らない方も少なくありません。そのため、ご自身や大切な家族が自転車事故に巻き込まれてしまった場合、自動車事故とは異なったさまざまな問題に対処する必要があります。

当記事では、自転車事故の被害者の方が賠償金としていくらもらえるのか、賠償金を請求する際に知っておくべきことなどについて解説を行っています。
自転車事故の被害にあってしまった方は、ご自身のケースに当てはめてみてください。

自転車事故の賠償金は、あくまで個別事情により結果が異なります。

個別の自転車事故による賠償金については、弁護士に直接相談されることをおすすめします。

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自転車事故で請求できる賠償金とは?

賠償金の費目一覧、最終的な賠償金の額を左右する過失割合について解説しています。

自転車事故で請求できる賠償金の費目一覧

自動車事故と同じように、自転車事故の被害者は加害者に対して賠償金の請求が可能です。賠償金とは、事故で被った「損害金」の全体をいいます。

賠償金の内訳は、慰謝料や休業損害など多岐に渡ります。自転車事故の被害者が請求しうる代表的な賠償金の費目は以下のとおりです。

賠償金の費目一覧

治療費・入院費通院や入院に要した費用
通院交通費通院に要した交通費(公共の運賃や自家用車のガソリン代)
入通院慰謝料入院や通院に対する慰謝料(傷害慰謝料ともいう)
後遺障害慰謝料後遺障害等級に該当する後遺症が残ったことへの慰謝料
死亡慰謝料死亡に対する慰謝料
休業損害事故による休業で請求できる減収分の損害
逸失利益後遺障害の残存で請求できる将来的な減収分の損害

※ 被害者の状況などにより請求できる項目は異なる

自転車事故の賠償金の範囲や金額は、事故類型や乗り物別で区別されているわけではありません。また、自転車事故であることから賠償金の金額が低下することもないです。

賠償金の金額は過失割合も影響する

事故の過失割合も、賠償金の金額に影響します。

自転車事故をはじめとしたあらゆる事故では、事故の当事者一方のみに過失が認められるケースばかりではありません。事故の当事者双方になんらかの過失があるケースがほとんどです。

被害者にも過失があった場合、公平な賠償責任を図るため、過失割合分に応じて被害者の賠償金が減額されることになります。

たとえば、被害者の賠償金が100万円で10%の過失があった場合、加害者に対して請求できる金額は90万円にとどまります。

過失割合は、最終的に手にできる賠償金の金額に大きな影響を与えるので非常に重要です。

過失割合に関する基本的な情報については、関連記事『交通事故の過失割合とは?決め方と示談のコツ』をご確認ください。

自転車事故における慰謝料の計算と相場

自転車事故における慰謝料は、賠償金に含まれる費目のうちのひとつです。

精神的苦痛という目に見えない損害に対する賠償金であるため、被害者が受け取るべき妥当な相場が決まっています。

ここからは、慰謝料はどうやって計算されるのか、妥当な慰謝料相場を紹介します。

自転車事故の慰謝料は「弁護士基準」で計算すべし

自転車事故で被害者が加害者に請求できる賠償金は、基本的に自動車事故と同じです。

自動車事故であっても自転車事故であっても、慰謝料をはじめとした賠償金は「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」という3つの算定基準の中からいずれかを用いて算定されます。

弁護士基準による算定が最も高額

3つの基準のうち、自賠責基準が最も低額で、弁護士基準の算定が最も高額です。
また、弁護士基準は裁判においても利用されることから、最も適切な算定基準といえます。

つまり、自転車事故の賠償金は「弁護士基準」で計算すべきであるといえるのです。

自転車事故の慰謝料相場

自転車事故で請求できる慰謝料は、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料という3つの種類の慰謝料にわけられます。

  • 入通院慰謝料(傷害慰謝料)
    事故による怪我とその治療で受けた精神的苦痛に対する補償。金額は入通院期間を基に計算される。
  • 後遺障害慰謝料
    事故による後遺症で受けた精神的苦痛に対する補償で、後遺障害等級の認定により請求が可能になる。金額は障害の程度で14段階に区分された等級に応じて決まっている。
  • 死亡慰謝料
    事故で死亡したことによる精神的苦痛に対する補償。金額は死亡した被害者が家庭内でどのような立場にあったかによって異なる。本人分だけでなく遺族の慰謝料も認められる。

それでは、ここからは最も高額になる「弁護士基準」を用いた場合の慰謝料を確認していきましょう。

入通院慰謝料の金額

弁護士基準を用いた場合の入通院慰謝料は、入通院期間を基礎として「損害賠償額算定基準」(通称:赤い本)に掲載されている別表Ⅰ・Ⅱを使用します。

基本的には別表Ⅰを使用し、むちうちなどの「軽傷」は別表Ⅱを使用します。別表は、以下の通りです。

別表Ⅰ(重傷、下記の軽症のケースに該当しない場合)

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

別表Ⅱ(軽い打撲、挫傷などの軽傷)

軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表

1月を30日として、端数が生じた場合には日割り計算を行います。

たとえば、重傷に該当し、入院が30日(1月)、通院が60日(2月)のケースでは、入通院慰謝料額は98万円となるのです。

後遺障害慰謝料の金額

弁護士基準を用いた場合の後遺障害慰謝料は、第1級から第14級まで区分された等級に応じてあらかじめ金額が決まっています。

慰謝料額の幅は、障害の程度が最も重い第1級の2800万円から、障害の程度が最も軽い第14級の110万円までとなっています。等級ごとの慰謝料は、以下の通りです。

等級 金額(万円)
1級・要介護2,800
2級・要介護2,370
1級2,800
2級2,370
3級1,990
4級1,670
5級1,400
6級1,180
7級1,000
8級830
9級690
10級550
11級420
12級290
13級180
14級110

最も低い等級である14級であっても慰謝料額が110万円と高額になるため、ケガが完治せず、後遺症が残った場合には、適切な後遺障害等級の認定を受けることが非常に重要といえます。

後遺障害等級認定の手続きに関して詳しく知りたい方は『交通事故の後遺障害|認定確率アップのコツと審査の仕組みがわかる』の記事をご覧ください。

死亡慰謝料の金額

弁護士基準を用いた死亡慰謝料は、亡くなった被害者の家庭内の立場に応じて金額が決まっています。具体的な死亡慰謝料の金額は、以下の通りです。

被害者の立場金額
一家の支柱2800万円
母親・配偶者2500万円
その他の場合2000万円~2500万円

弁護士基準による死亡慰謝料は、被害者本人だけでなく、遺族が請求できる固有の慰謝料の金額を含めた金額になります。

慰謝料の計算は慣れないと複雑に感じたり、注意すべきポイントが多かったりするので、わからないことがあれば弁護士に相談してみましょう。

また、自転車事故の加害者側から賠償金の提示を受けた際に、慰謝料の金額が妥当なものか今すぐ確認したい場合は、以下の慰謝料計算機がおすすめです。

その他、慰謝料の基本的な情報について知りたい場合は『交通事故の慰謝料|相場や計算方法など疑問の総まとめ』の記事がおすすめです。

自転車事故における高額賠償事例を紹介

自動車事故と同様に、自転車事故であっても損害が大きいケースでは賠償金の額も高額になります。過去には、1億円近い高額賠償を認めた自転車事故の事例もありました。

ここからは、高額な賠償金が認められた事例を紹介します。

高額賠償事例|自転車と歩行者の事故

自転車と歩行者が衝突した事故における高額な賠償事例です。

高額賠償事例(1)

賠償金額:9521万円

男子小学生(当時小5)が運転する自転車と、歩行中の女性(当時60代)が衝突した事故。裁判所は、男子小学生が安全を図るべき基本的注意義務を怠り、走行スピードも20~30キロだったことなどから、監督義務違反者にあたる母親に対して賠償金を認めた。被害を受けた女性は意識不明の重体となった。
(神戸地裁 平成25年7月4日判決)

高額賠償事例(2)

賠償金額:6779万円

夕方、男性がペットボトルを片手に下り坂を自転車で走行。男性はスピードを落とすことなく交差点に進入し、横断歩道を横断中の女性と衝突した。女性は脳挫傷などにより、3日後に死亡した。
(東京地裁 平成15年9月30日判決)

高額賠償事例(3)

賠償金額:6223万

男性(当時77歳)が歩行中に、前方不注視の自転車と衝突。男性は事故により、著しい判断力の低下や情緒の不安定をともない、日常生活は自宅内と限定される生活を強いられた。後遺障害2級3号に認定。
(大阪地裁 平成23年7月26日判決)

高額賠償事例(4)

賠償金額:5438万円

男性(当時37歳)が信号表示を無視して自転車で走行し、横断歩道を横断中の女性と衝突した。男性は、高速度でスピードを落とすことなく走行し、被害を受けた女性は11日後に死亡した。
(東京地裁 平成19年4月11日判決)

高額賠償事例(5)

賠償金額:3000万円

男子中学生(当時15歳)が無灯火で歩道を走行中、歩行中の男性(当時62歳)と衝突した。男性は頭部を強く打ち、後に死亡。
男子中学生は、ふだんから危険な運転をしていたなどの事故歴はなく、親権者に監督責任は問われなかった。被害を受けた男性が保険に加入していたため、保険会社が男子中学生に求償し訴訟を提起した。
(東京地裁 平成19年7月10日判決)

賠償金が高額になるケースでは、主に将来の介護費用・後遺障害逸失利益・後遺障害慰謝料などの費目が大部分を占めることになるでしょう。

たとえば、賠償金額9521万円の高額賠償事例(1)では、被害を受けた女性は専業主婦でした。事故にあわなければ家事に従事できたことから、平均寿命の半分の期間において基礎収入が得られなかったものとして「逸失利益」が認められています。

主婦が交通事故に巻き込まれた場合には、『主婦の交通事故|慰謝料がすぐ計算できる!休業損害の相場もわかる』もあわせて参考にしてください。

高額賠償事例|自転車同士の事故

自転車同士の事故における高額な賠償事例です。

高額賠償事例(1)

賠償金額:9266万円

男子高校生(当時高3)が運転する自転車と、会社員の男性(当時24歳)が運転する自転車が衝突した事故。会社員の男性は言語機能喪失・右上肢機能全廃・右下肢機能全廃の障害が残った。
(東京地裁 平成20年6月5日判決)

高額賠償事例(2)

賠償金額:2253万円

自転車同士の正面衝突。被害者は介護士の男性(当時36歳)で、後遺症により左肩が上がらなくなったことなどから、本来の介護職に従事することができなくなり、年収は約50万円ほどおちこんだ。
介護の会社を辞職し、家事援助などをおこなう会社への転職を余儀なくされた。
(大阪地裁 平成28年9月16日判決)

自転車事故であることを理由として、賠償金が低額になるということはありません。

自転車事故であっても高額な賠償金が発生することがある以上、賠償金額がいくらになるのかという点については、慎重に判断すべきでしょう。

高額な賠償金となっても、被害者側に過失割合がつくと減額されてしまいます。事故状況を正確に反映した過失割合でなければ、最終的に受け取る賠償金の金額が妥当とはいえません。関連記事『自転車同士の事故状況別の過失割合|損害賠償請求と事故後の対応も解説』をご確認いただき、自転車同士の事故における過失割合についても理解を深めておきましょう。

自転車事故の加害者が賠償金を払えない時はどうする?

自転車保険に加入していない加害者との事故の場合、被害者は加害者本人に対して賠償金を請求することになります。

先述した高額賠償の事例をご覧いただくとわかる通り、被害者が亡くなったり、重い後遺障害を負ったりしたような場合、何千万円もの賠償金になる可能性が十分にあります。加害者がお金持ちであるような例外的な場合を除いて、高額な賠償金をすんなり払ってもらえることは期待できません。

自転車事故の加害者が賠償金を払えない時はどうしたらいいのでしょうか。

被害者自身の保険が使えるか確認する

加害者から賠償金の支払いが期待できない場合、まずは被害者自身の保険が使えるか確認しましょう。

自転車保険は主に損害保険会社が取り扱っており、主に自転車保険、個人賠償責任保険、傷害補償保険があります。

自転車保険

自転車保険は、自転車事故に特化した保険です。

加入する保険商品により異なりますが、自転車保険の補償範囲は「事故相手のケガやモノに対する補償」と「自分のケガに対する補償」に大きくわけられます。

被保険者の家族の補償まで受けられる場合があり、示談交渉サービスもついていることもあるでしょう。

個人賠償責任保険

個人賠償責任保険は、自転車事故だけでなく日常リスクまで広く対応する保険です。具体的には、店の商品を損壊してしまった場合の損害金、自転車乗車中の事故(対人)、友人宅の家電製品を壊してしまった際の補償など、補償の範囲が広いです。

傷害補償保険

傷害補償保険は、自分自身のケガに対する補償のみで、相手の治療費などの補償はすべて対象外となります。

まとめ|保険ごとの補償有無

保険相手のケガ相手のモノ自分のケガ
自転車保険
個人賠償責任保険×
傷害補償保険××

TSマークが自転車にあるか確認する

自転車保険に加入していないと思い込んでいても、自転車にTSマークがついているか確認してください。TSマークがある自転車なら、TSマーク付帯保険を利用できるでしょう。

TSマークとは

TSマークとは、自転車安全整備士が点検をした自転車に貼付されるもの。青色マーク(第一種)と赤色マーク(第二種)があり、それぞれ賠償内容が異なる。

TSマークは「普通自転車」に付帯されています。「普通自転車」とは、 道路交通法令に定められた基準を満たす自転車をいい、車体の大きさが、長さ190cm・幅60cm以下で、車輪が2輪または3輪であることが条件です。

賠償責任補償 (相手への補償)

マーク種別死亡
もしくは
後遺障害(1級~7級)
青色1,000万円
赤色1億円

傷害補償 (自分自身に対しての補償)

マーク種別死亡
もしくは
後遺障害(1級~4級)
15日以上の入院
青色30万円1万円
赤色100万円10万円

TSマーク付帯保険の特徴としては、まず補償の範囲が重度の後遺障害等級に限定されていることがわかります。
また、補償の額は一律になっており、損害が大きいほど充分な補償が受けられない可能性があります。

関連記事『自転車事故の保険請求の流れや補償内容|どんな保険が使える?』でも自転車保険の特徴や、保険の選び方などについて解説していますので、あわせてご確認ください。

仕事中や通勤中の自転車事故か確認する

自転車事故が仕事中や通勤中に発生したのであれば、労災保険が使える場合もあります。

自転車事故で負ったケガが業務災害や通勤災害として認定されると、療養補償給付(療養給付)・休業補償給付(休業給付)・障害補償給付(障害給付)といった補償が支給されます。

関連記事『通勤中の交通事故には労災保険を使おう』は自動車事故の場合を想定して解説していますが、労災保険の基本的な情報や労災保険を利用する際の注意点については参考になるでしょう。あわせてご確認ください。

自転車事故の賠償金請求で特有の問題

加害者が保険に加入していない恐れがある

車やバイクなどの車両には、自賠責保険という強制加入の保険が存在します。一方、自転車には自賠責保険のような強制加入の保険が存在しません。

自転車保険の加入が義務付けられている自治体もありますが、一部の自治体に限られるため、加害者が保険に加入していない恐れがあります。

自転車保険への加入が義務付けられている自治体は以下の通りです。

  • 宮城県
  • 秋田県
  • 山形県
  • 福島県
  • 栃木県
  • 群馬県
  • 埼玉県
  • 千葉県
  • 東京都
  • 神奈川県
  • 山梨県
  • 長野県
  • 新潟県
  • 静岡県
  • 岐阜県
  • 愛知県
  • 三重県
  • 石川県
  • 福井県
  • 滋賀県
  • 京都府
  • 大阪府
  • 兵庫県
  • 奈良県
  • 広島県
  • 岡山市(岡山県)
  • 香川県
  • 愛媛県
  • 福岡県
  • 熊本県
  • 大分県
  • 宮崎県
  • 鹿児島県

以下の自治体では自転車保険への加入は努力義務にとどまります。

  • 北海道
  • 青森県
  • 岩手県
  • 茨城県
  • 富山県
  • 和歌山県
  • 鳥取県
  • 徳島県
  • 高知県
  • 佐賀県

※ 出典:国土交通省「自転車損害賠償責任保険等への加入促進について
※ 2023年4月時点でのデータ

ただし、自転車保険への加入が義務付けられている自治体であっても、加入義務に違反(条例違反)した場合の罰則規定はありません。
そのため、加入義務のある自治体に居住しているにもかかわらず、自転車保険に加入していない人も多く存在すると考えられます。

以上から、自転車事故では、加害者が保険に加入していないため、保険会社ではなく加害者自身に賠償金を請求する必要があるケースが自動車事故よりも多くなるのです。

加害者が保険に加入していない場合、被害者自身が加入する保険を使うこともあるでしょう。この場合、逸失利益に関しては保険約款で決まった範囲内の支払いに止まることになりますが、保険会社は約款の範囲内にしても低額な逸失利益を提示してくる可能性があります。

弁護士が見直せば、約款の範囲内とはいえ最大限の逸失利益にできる可能性が高まるでしょう。専門家である弁護士に相談してみてください。

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加害者が保険に加入していても注意が必要

自転車事故の加害者が保険に加入していた場合、対人賠償保険が「無制限」であれば、通常は保険金で損害を補てんしてもらえるでしょう。

一方、加害者の保険で損害のすべてに対応ができないような場合、賠償金の回収は結局のところ加害者の資力に依存することになります。このような場合、一般の方が自転車事故での賠償金を適切に回収することはむずかしいと言わざるをえません。

もしも自転車事故にあった被害者の方が、加害者と賠償金の交渉を直接している場合、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

また、対人賠償保険が「無制限」の場合であっても、保険会社の提示する賠償金が本来受け取ることのできる賠償金であるとは限りません。
保険会社が提示する賠償金は、被害者にとって適正価格でないことが少なくないのです。

アトムの無料相談のご案内

賠償金の金額については、示談前に弁護士にご相談ください。
アトム法律事務所は、交通事故の被害者からのご相談を無料でお受けしております。
示談書がすでに加害者側から送られてきている場合、お手元にある示談書をご用意のうえ、無料相談希望のお問い合わせをいただくとスムーズなご案内が可能です。

無料相談の詳しい特徴については、「交通事故の無料相談」のページでわかりやすくまとめています。

加害者に自己破産されたらどうなる?

加害者が賠償金を集められない場合、最終的に自己破産を選ぶケースもあるでしょう。
自己破産されてしまうと、事故の内容によっては加害者が賠償金を支払わなくてよくなり、適切な賠償金がもらえない可能性があります。

もっとも、故意または重過失で発生した自転車事故の場合、自己破産されたとしても支払い義務は残ります。

加害者が自己破産したからといって、必ずしも被害者が賠償金を受け取れなくなるわけではありませんが、万が一の可能性も考えて被害者自身の保険でも補償されるように準備しておいた方がいいでしょう。

過失割合でもめやすい傾向にある

交通事故の過失割合は、過去に行われた数多くの判例を参考にして決めていきます。そもそも過失割合は交渉事でもめやすい要素の一つなのですが、自転車事故では特に判例の数が少ないことも相まって、よりもめやすい傾向にあります。

過失割合でもめてしまうと、示談交渉が進まず解決までに時間がかかってしまいやすいです。

後遺障害等級認定機関がない

事故により後遺症が残ってしまった場合、自動車被害事故であれば、通常は自賠責損害調査事務所という機関が後遺障害等級認定を認定します。

これに対して、自転車事故(加害者が自転車の事故)の場合は、自賠責損害調査事務所のような第三者機関が認定をおこなってくれるわけではありません。

加害者が自転車だった場合、被害者は自分自身で加害者側に対して後遺障害があることを証明していかなければならないのです。
つまり、後遺障害が自転車事故によって発生したということの客観的証拠を自分で収集し、加害者側を納得させる必要があります。

また、後遺障害を認めてもらうためには、医学的根拠も必要になるため、的を射た後遺障害診断書が欠かせません。後遺障害認定につながる後遺障害診断書の内容について詳しくは『後遺障害診断書のもらい方と書式は?費用負担や書き方などの基本情報』の記事をご覧ください。

ポイント

交通事故に精通している弁護士であれば、後遺障害診断書についても的確なアドバイスが可能です。
後遺障害等級に基づいた適正な慰謝料を請求するためには、弁護士に相談のうえ手続きをおこなった方が無難でしょう。

加害者が未成年である場合が多い|賠償金請求の相手は?

自転車は自動車と異なり免許が不要であるため、多くの未成年が利用しています。

そのため、未成年が加害者になる可能性が自動車よりも大きくなるのです。

加害者が未成年の場合は、誰に対して賠償金を請求することになるのでしょうか。

加害者が未成年の場合、責任能力がない未成年と責任能力がある未成年とに分けて考える必要があります。それぞれ詳しくみていきましょう。

未成年加害者に責任能力がない場合

未成年に責任能力が認められない場合は、法的に未成年を監督する義務を負う立場にある監督義務者が責任を負うことになります。基本的には、未成年の親へ請求を行うことになるでしょう。
ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときを除きます。

過去最高額の賠償金が認められたケースで話題になった自転車事故において、加害者である小学生に責任能力は認められず、賠償金の支払い義務は小学生の親が負うことになりました。

一般的に、未成年の責任能力がないと判断される年齢は11~12歳までといわれています。

未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。

民法 第712条

前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う。

民法 第714条

未成年加害者に責任能力がある場合

未成年に責任能力が認められる場合、民法714条による請求はできません。責任能力があるのであれば、未成年者であろうと加害者本人が責任を負うことになります。

しかし、未成年者のほとんどは未就労であることから、加害者本人に請求したところで賠償金の支払いは期待できません。

そこで、監督義務者の監督が不十分であったために未成年者による自転車事故が発生し、被害者に損害が生じたとして、監督義務者である未成年者の親に損害賠償請求できることがあります。

これは、監督義務違反という不法行為によって損害が生じたとして、民法709条を根拠に請求を行うものとなります。

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

民法 第709条

自転車事故の賠償金請求は弁護士依頼がベスト

妥当な賠償金を手にしたいなら弁護士相談からはじめよう

自転車事故においては、自動車事故以上に検討しなければならない要素が多数存在します。

加害者が保険に加入していても、保険会社が提示する慰謝料や賠償金をそのまま鵜呑みにしてはいけません。被害者が本来受け取れる妥当な金額よりも低く提示している可能性があります。

自転車事故の被害者になってしまった場合には、保険会社との示談交渉や、賠償金の額で泣き寝入りしないためにも、一度弁護士にご相談されることをおすすめします。

アトム法律事務所の無料相談案内

アトム法律事務所では、24時間365日、相談のご予約を受け付けております。
専門のオペレーターが、被害者様の状況を把握したうえで適宜ご案内をさせていただいております。
被害者の方は、安心してお電話ください。
なお、弁護士とのLINEでのご相談も承っております。

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岡野武志弁護士

まとめ

  • 自転車事故の賠償金は、自動車事故の賠償金と区別されているわけではない
  • 自転車事故でも高額な賠償金が認められることもある
  • 自転車事故で加害者に資力がないと賠償金を全額回収できない恐れがある
  • 自転車事故では加害者が保険に加入していない恐れがある
  • 自転車事故は過失割合でもめやすかったり後遺障害等級の認定機関がないため、個別事情を検討する要素が多くなる

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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