自転車事故の慰謝料相場はいくら?被害者がすべき対応や高額賠償事例
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警察庁によると、自転車関連事故は3年連続で増加、全事故に占める割合も増加傾向にあります。
自転車事故の慰謝料相場は、打撲や擦り傷など軽傷事故なら通院1ヶ月で19万円、通院3ヶ月で53万円ほどです。
ただし重傷(例:骨折)のケースでは通院1ヶ月で28万円、通院3ヶ月で73万円と、軽傷と比べて高額が見込まれます。
自転車事故による死亡慰謝料は2,000万円以上、後遺障害慰謝料は110万円~2,800万円となる見込みです。
自転車事故の慰謝料算定はもちろん、ご自身や大切な家族が自転車事故に巻き込まれてしまった場合の対応も解説しますので、ご本人やご家族の方もお役立てください。
自転車事故の賠償金は、あくまで個別事情により結果が異なります。
自転車事故は死亡や重傷を負う被害者も多いことが特徴で、これまで自転車と歩行者による事故で1億円近い高額な賠償事例もあります。
個別の自転車事故による賠償金については、弁護士に直接相談されることをおすすめします。
目次
自転車事故の被害者が知っておきたい損害賠償の基本
自転車事故の慰謝料は3種類ある
自転車事故における慰謝料には、入通院慰謝料(傷害慰謝料)、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3つがあります。
死亡慰謝料は死亡した方のみ、後遺障害慰謝料は治療しても一定の後遺症が残った方のみです。入通院慰謝料に関しては、事故で治療を受けた方全員を対象に請求が認められています。
交通事故における慰謝料とは、被害者の負った精神的苦痛を緩和するための金銭になります。
交通事故の慰謝料は「弁護士基準」で請求
慰謝料は、過去の判例に沿った弁護士基準(裁判基準)を用いて計算することが重要です。法的正当性の高い基準であり、被害者が本来得るべき慰謝料は弁護士基準で算定すべきといえます。
裁判所や弁護士といった法律の専門家は、これまでの判例にもとづく弁護士基準で算定します。
しかしながら、事故相手は弁護士基準ではなく、相当低い水準で金額を提示してくる可能性が高いです。
下表は、自転車事故にかぎらず、交通事故で用いられる慰謝料の3つの算定基準を示しています。慰謝料は目に見えない精神的苦痛に対する金銭であるため、「誰が」計算するかで様々であることが実情です。
基準名 | 概要 |
---|---|
自賠責基準 | 国が定める最低限の算定基準 (車・バイクが絡む事故) |
任意保険基準 | 各任意保険会社独自の基準 自賠責基準と同程度 |
弁護士基準 | 過去の判例に基づく算定基準 裁判所も用いる |
※任意保険基準は現在非公開
「弁護士基準」で計算しないかぎり、不当に低い金額で終わってしまう危険性があります。
自転車事故の被害者が弁護士基準の慰謝料を手にするために必要なことは、弁護士が慰謝料の請求と交渉をおこなうことです。
弁護士が交渉の場に立つことで、この後の裁判も辞さないという意思を伝えることができ、「いずれ裁判で受け入れる金額なら、示談で認めよう」と、保険会社の態度が和らぐ可能性が高まるからです。
自転車事故の被害者がすべき対応
自転車事故の被害者がすべき対応は以下のとおりです。
自転車事故の被害者がすべき対応
- 警察に事故発生を報告
- 病院で治療を受ける
- 人身事故として警察に届け出る
- 完治したら示談を開始
後遺症が残っているときは後遺障害申請
出会い頭で自転車と衝突したり、曲がり角で自転車に巻き込まれたりと、自転車事故は突然巻き込まれてしまうものです。
自転車と歩行者、あるいは自転車と自転車の事故、乗り物にかかわらず必ず警察へ事故発生を報告しましょう。
決してその場で連絡先を交換するだけで済ませたり、相手がいい人そうだからとうやむやにしてはいけません。
被害者向けのアドバイス
事故現場の示談はとても危険です。
事故直後は軽傷だと思っていても次第に痛みが強くなり、骨が折れていた、頭を打っていたということもありえます。
また、事故相手が「後から必ず連絡を入れる」という言葉もうのみにすべきではありません。
家族が自転車事故にあったときのサポート
自転車との事故は本当に身近なもので、お子さんからお年寄りまで、日常生活の中で被害者となってしまう恐れがあります。
たとえば、子どもが被害者であれば、事故当時の状況をゆっくり思い出させて聞き取ってあげる、大人と同じように痛みを訴えることができない恐れがあるので病院でもしっかり検査を受けさせるといった対応があげられるでしょう。
とくに死亡事故や意思表示ができないほどの重体事故の場合、あるいは成人していない子が被害者となったときは、家族としてできることをまとめた以下の記事をお役立てください。
自転車事故の慰謝料相場
入通院慰謝料の相場|慰謝料計算機も紹介
自転車事故の慰謝料相場額を知るためには、以下の慰謝料算定表を使います。慰謝料算定表には2つありますが、基本的には別表Ⅰを使用し、打撲や切り傷などの「軽傷」は別表Ⅱを使用します。
1月を30日として、端数が生じた場合には日割り計算を行います。
たとえば、重傷に該当し、入院が30日(1月)、通院が60日(2月)のケースでは、入通院慰謝料額は98万円となります。
もし1日4,300円や8,600円といった金額提示を受けている場合は、自賠責基準や相手の任意保険基準による金額で、まだ増額の余地が残されている可能性が高いです。
入通院慰謝料の計算については以下の慰謝料計算機を使えば簡単に算定可能です。過失割合を考慮しない目安額になりますが、参考程度にご活用ください。
後遺障害慰謝料の相場
後遺障害慰謝料は、第1級から第14級まで区分された等級に応じてあらかじめ金額が決まっています。
障害の程度が最も重い第1級の2,800万円から、障害の程度が最も軽い第14級の110万円までとなっています。
等級 | 弁護士 |
---|---|
1級・要介護 | 2,800 |
2級・要介護 | 2,370 |
1級 | 2,800 |
2級 | 2,370 |
3級 | 1,990 |
4級 | 1,670 |
5級 | 1,400 |
6級 | 1,180 |
7級 | 1,000 |
8級 | 830 |
9級 | 690 |
10級 | 550 |
11級 | 420 |
12級 | 290 |
13級 | 180 |
14級 | 110 |
※()内は2020年3月31日以前に発生した事故の場合
最も低い等級である14級であっても110万円と高額です。ケガが完治せず、後遺症が残った場合には、適切な後遺障害等級の認定を受けることが非常に重要といえます。
ご自身が自転車に乗っていて自動車とぶつかったという方は、後遺障害等級認定の手続きに関する『交通事故の後遺障害とは?認定されたらどうなる?認定の仕組みと認定率の上げ方』の記事をご覧ください。
死亡慰謝料の相場
弁護士基準を用いた死亡慰謝料相場は、亡くなった被害者の家庭内の立場に応じて2,000万円から2,800万円となります。
被害者の立場 | 金額 |
---|---|
一家の支柱 | 2,800万円 |
母親・配偶者 | 2,500万円 |
その他の場合 | 2,000万円~2,500万円 |
弁護士基準による死亡慰謝料は、被害者本人に対する金額だけでなく、遺族が請求できる固有の金額も含めたものになります。
慰謝料の計算は慣れないと複雑に感じたり、注意すべきポイントが多かったりするので、わからないことがあれば弁護士に相談してみましょう。
死亡事故の慰謝料請求や家族がすべき対応については、くわしい関連記事をお役立てください。
自転車事故の賠償金内訳
自転車事故で請求できる主な賠償金の一覧は、以下のとおりです。
費目 | 概要 |
---|---|
治療費 | 通院や入院に要した費用 |
通院交通費 | 公共の運賃や自家用車のガソリン代など |
入通院慰謝料 | 入院や通院で生じる精神的苦痛に対する補償 |
後遺障害慰謝料 | 後遺障害による精神的苦痛に対する補償 |
死亡慰謝料 | 死亡した本人や遺族の精神的苦痛に対する補償 |
休業損害 | 事故による休業で失った減収分の損害 |
逸失利益 | 労働能力低下による将来的な減収分の損害 |
※ 被害者の状況などにより請求できる項目は異なる
治療費・入院費や通院交通費は、原則として実費が認められます。
ただし休業損害や逸失利益は分かりにくく、知識の有無で結果が大きく変わる可能性もあるため、交渉時には注意が必要です。
たとえば、休業損害は事故による休業で収入が失われた場合に請求できる費目ですが、金銭収入を得ていない主婦であっても請求が可能になります。
「主婦に休業損害は出せない」と言ってくる保険会社も考えられますが、主婦であることを理由に逸失利益の請求が却下されることは適切ではありません。
また、逸失利益については、被害者の将来にわたる収入の補償となるため、着実に受け取っておかないと生活に支障が出てしまいます。
逸失利益は事故発生時に働いていない年少者であっても請求できますが、金額の妥当性について争いになる可能性は十分あります。
交通事故で相手から受け取るべき損害は慰謝料だけではありません。損害賠償全体を着実に請求していくことで、被害者が泣き寝入りしないようにしましょう。
自転車事故の示談・賠償請求でもめやすい理由
自転車事故においては、損害賠償金を決める示談交渉で次の点についてもめる傾向にあります。
自転車事故でもめやすい理由
- 加害者が保険に加入していない恐れがある
- 賠償金が加害者の保険上限額を超えることがある
- 過失割合でもめる傾向にある
- 後遺障害等級の認定機関がない
- 加害者が未成年である場合が多い
いずれも自転車事故特有の注意点なので、確認していきましょう。
加害者が保険に加入していない恐れがある
加害者が自転車の場合、無保険で以下のようなトラブルが生じる可能性があります。
- 損害賠償金を支払いたくない加害者が、示談交渉に応じない
- 加害者が損害賠償金を支払わない、あるいは支払えない
交通事故の損害賠償金は、基本的には加害者が加入している保険から支払われます。損害賠償金が高額になってもきちんと支払いを受けられるのは、このためです。
しかし、自転車の場合は自動車における自賠責保険のように、全国共通で強制加入とされる保険がありません。一部地域では自転車保険の加入が義務化されていますが、そうではない地域もあるのです。
こうした事情から、加害者本人が示談交渉や損害賠償金の支払いに対応することになり、上記のようなトラブルが生じる恐れがあります。
加害者が示談に応じない場合は、内容証明郵便で示談を申し入れるなどの対策が必要です。加害者から賠償金が適切に支払われない場合は、自身の保険を使うことも検討してみましょう。
加害者が賠償金を支払えない場合の対処法については、後ほど詳しく解説します。
加害者に自己破産されたらどうなる?
加害者が賠償金を集められない場合、最終的に自己破産を選ぶケースもあるでしょう。
自己破産されてしまうと、事故の内容によっては加害者が賠償金を支払わなくてよくなり、適切な賠償金がもらえない可能性があります。
もっとも、故意または重過失で発生した自転車事故の場合、自己破産されたとしても支払い義務は残ります。
加害者が自己破産したからといって、必ずしも被害者が賠償金を受け取れなくなるわけではありませんが、万が一の可能性も考えて被害者自身の保険でも補償されるように準備しておいた方がいいでしょう。
賠償金が加害者の保険上限額を超えることがある
加害者が保険に入っていたとしても、損害賠償金の支払いに使われる「対人賠償保険」の補償上限額を超えた分は、加害者本人から支払ってもらうことになります。
この場合、加害者の誠意や資力の問題から、上限超過分の賠償金を受け取れない可能性があります。
のちほど実例も紹介しますが、自転車事故では損害賠償金が非常に高額になることもあります。加害者が加入する対人賠償保険が「無制限」なら問題ありませんが、補償額に上限がある場合は注意が必要です。
示談交渉時には、加害者側が損害賠償金をなんとか上限額に収めようとして話し合いが難航することも考えられます。事前に弁護士に相談しておくことがおすすめです。
過失割合でもめる傾向にある
自転車事故の場合、以下の点で過失割合の交渉でもめる可能性があります。
- お互いに自転車だと、ドライブレコーダーの映像が残っておらず事故状況がはっきりしない
- 自転車同士の事故に関する判例が少なく、過失割合の算定で参考にできる材料が乏しい
過失割合は「事故発生に対する責任が、加害者側と被害者側それぞれにどれくらいあるか」を割合で示したものです。事故状況や過去の判例を参考に算定されます。
自身についた過失割合分、受け取れる損害賠償金が減額される(過失相殺)ので、過失割合の交渉はもともともめやすいポイントです。
自転車事故が起こりやすい交差点での出会い頭や、自転車同士の事故の過失割合の考え方を解説しています。
なお『交通事故の過失割合でもめる4ケース&対処法|証拠が無い時どうする?』では、過失割合でもめやすいケースとその対応を説明しています。
後遺障害等級の認定機関がない
事故により後遺症が残ってしまった場合、加害者が自動車であれば、通常は自賠責損害調査事務所という機関が後遺障害等級認定を認定します。
これに対して、自転車事故(加害者が自転車の事故)の場合は、自賠責損害調査事務所のような第三者機関が認定をおこなってくれるわけではありません。
加害者が自転車だった場合、被害者は自分自身で後遺障害があることを証明していかなければならないのです。
つまり、後遺障害が自転車事故によって発生したということの客観的証拠を自分で収集し、加害者側を納得させる必要があります。
また、後遺障害を認めてもらうためには医学的根拠も必要になるため、後遺障害の存在が伝わるような後遺障害診断書が欠かせません。
後遺障害認定につながる後遺障害診断書の内容について詳しくは『後遺障害診断書のもらい方と書き方は?自覚症状の伝え方と記載内容は要確認』の記事をご覧ください。
ポイント
交通事故に精通している弁護士であれば、後遺障害診断書についても的確なアドバイスが可能です。
後遺障害等級に基づく適正な慰謝料請求のためには、弁護士に相談のうえ手続きをおこなった方が無難でしょう。
加害者が未成年である場合が多い
自転車は自動車と異なり免許が不要であるため、多くの未成年が利用しています。そのため、未成年が加害者になる可能性が自動車よりも大きくなります。
原則として、加害者が未成年であると支払い能力がないため、親への請求が現実的です。ただし、責任能力の有無によって異なる法的根拠を用いて検討せねばなりません。
加害者が未成年の場合、責任能力がない未成年と責任能力がある未成年とに分けて、くわしくみていきましょう。
なお、一般的には未成年の責任能力がないと判断される年齢は11~12歳までといわれています。
未成年加害者に責任能力がない場合
未成年に責任能力が認められない場合は、法的に未成年を監督する義務を負う立場にある監督義務者が責任を負うことになります。基本的には、未成年の親へ請求を行うことになるでしょう。
ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても事故が起こっていた場合を除きます。
過去最高額の賠償金が認められたケースとして話題になった自転車事故では、加害者である小学生に責任能力は認められず、賠償金の支払い義務は小学生の親が負うことになりました。
未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。
民法 第712条
前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
民法 第714条
監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う。
未成年加害者に責任能力がある場合
未成年に責任能力が認められる場合、民法714条による請求はできません。責任能力があるのであれば、未成年者であろうと加害者本人が責任を負うことになります。
しかし、未成年者のほとんどは未就労であることから、加害者本人に請求したところで賠償金の支払いは期待できません。
そこで、監督義務者の監督が不十分であったために未成年者による自転車事故が発生し、被害者に損害が生じたとして、監督義務者である未成年者の親に損害賠償請求できることがあります。
これは、監督義務違反という不法行為によって損害が生じたとして、民法709条を根拠に請求を行うものとなります。
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
民法 第709条
自転車事故の加害者が賠償金を払えない時はどうする?
自転車保険に加入していない加害者との事故の場合、被害者は加害者本人に対して賠償金を請求することになります。
加害者から損害賠償金をすんなり払ってもらえるとは限りません。こうした場合の対処法を解説していきます。
被害者自身の保険が使えるか確認する
加害者から賠償金の支払いが期待できない場合、まずは被害者自身の保険が使えるか確認しましょう。
自転車保険は主に損害保険会社が取り扱っており、一般的に自転車保険、個人賠償責任保険、傷害補償保険があります。
保険 | 相手のケガ | 相手のモノ | 自分のケガ |
---|---|---|---|
自転車保険 | ○ | ○ | ○ |
個人賠償責任保険 | ○ | ○ | × |
傷害補償保険 | × | × | ○ |
それぞれの詳細を解説します。
自転車保険
自転車保険は、自転車事故に特化した保険です。
加入する保険商品により異なりますが、自転車保険の補償範囲は「事故相手のケガやモノに対する補償」と「自分のケガに対する補償」に大きくわけられます。
被保険者の家族の補償まで受けられる場合があり、示談交渉サービスもついていることもあるでしょう。
個人賠償責任保険
個人賠償責任保険は、自転車事故だけでなく日常リスクまで広く対応する保険です。具体的には、店の商品を損壊してしまった場合の損害金、自転車乗車中の事故(対人)、友人宅の家電製品を壊してしまった際の補償など、補償の範囲が広いです。
傷害補償保険
傷害補償保険は、自分自身のケガに対する補償のみで、相手の治療費などの補償はすべて対象外となります。
TSマークが自転車にあるか確認する
自転車保険に加入していないと思い込んでいても、自転車にTSマークがついているか確認してください。TSマークがある自転車なら、TSマーク付帯保険を利用できるでしょう。
TSマークとは
TSマークとは、自転車安全整備士が点検をした自転車に貼付されるもの。青色マーク(第一種)と赤色マーク(第二種)があり、それぞれ賠償内容が異なる。
TSマークは「普通自転車」に付帯されています。「普通自転車」とは、 道路交通法令に定められた基準を満たす自転車をいい、車体の大きさが、長さ190cm・幅60cm以下で、車輪が2輪または3輪であることが条件です。
マーク種別 | 死亡 もしくは 後遺障害(1級~7級) |
---|---|
青色 | 1,000万円 |
赤色 | 1億円 |
マーク種別 | 死亡 もしくは 後遺障害(1級~4級) | 15日以上の入院 |
---|---|---|
青色 | 30万円 | 1万円 |
赤色 | 100万円 | 10万円 |
TSマーク付帯保険の特徴としては、まず補償の範囲が重度の後遺障害等級に限定されていることがわかります。
また、補償の額は一律になっており、損害が大きいほど充分な補償が受けられない可能性があります。
関連記事『自転車事故の保険請求の流れや補償内容|どんな保険が使える?』でも自転車保険の特徴や、保険の選び方などについて解説していますので、あわせてご確認ください。
仕事中や通勤中の自転車事故か確認する
自転車事故が仕事中や通勤中に発生したのであれば、労災保険が使える場合もあります。
自転車事故で負ったケガが業務災害や通勤災害として認定されると、療養補償給付(療養給付)・休業補償給付(休業給付)・障害補償給付(障害給付)といった補償が支給されます。
関連記事は自動車事故を想定した解説になっていますが、労災保険の基本的な情報や労災保険を利用する際の注意点については参考になるでしょう。あわせてご確認ください。
自転車事故における高額賠償事例を紹介
自動車事故と同様に、自転車事故であっても損害が大きいケースでは賠償金の額も高額になります。過去には、1億円近い高額賠償を認めた自転車事故の事例もありました。
ここからは、高額な賠償金が認められた事例を紹介します。
高額賠償事例|自転車と歩行者の事故
自転車と歩行者が衝突した事故における高額な賠償事例です。
高額賠償事例(1)
賠償金額:9521万円
男子小学生(当時小5)が運転する自転車と、歩行中の女性(当時60代)が衝突した事故。裁判所は、男子小学生が安全を図るべき基本的注意義務を怠り、走行スピードも20~30キロだったことなどから、監督義務違反者にあたる母親に対して賠償金を認めた。被害を受けた女性は意識不明の重体となった。
(神戸地裁 平成25年7月4日判決)
高額賠償事例(2)
賠償金額:6779万円
夕方、男性がペットボトルを片手に下り坂を自転車で走行。男性はスピードを落とすことなく交差点に進入し、横断歩道を横断中の女性と衝突した。女性は脳挫傷などにより、3日後に死亡した。
(東京地裁 平成15年9月30日判決)
高額賠償事例(3)
賠償金額:6223万
男性(当時77歳)が歩行中に、前方不注視の自転車と衝突。男性は事故により、著しい判断力の低下や情緒の不安定をともない、日常生活は自宅内と限定される生活を強いられた。後遺障害2級3号に認定。
(大阪地裁 平成23年7月26日判決)
高額賠償事例(4)
賠償金額:5438万円
男性(当時37歳)が信号表示を無視して自転車で走行し、横断歩道を横断中の女性と衝突した。男性は、高速度でスピードを落とすことなく走行し、被害を受けた女性は11日後に死亡した。
(東京地裁 平成19年4月11日判決)
高額賠償事例(5)
賠償金額:3000万円
男子中学生(当時15歳)が無灯火で歩道を走行中、歩行中の男性(当時62歳)と衝突した。男性は頭部を強く打ち、後に死亡。
男子中学生は、ふだんから危険な運転をしていたなどの事故歴はなく、親権者に監督責任は問われなかった。被害を受けた男性が保険に加入していたため、保険会社が男子中学生に求償し訴訟を提起した。
(東京地裁 平成19年7月10日判決)
賠償金が高額になるケースでは、主に将来の介護費用・後遺障害逸失利益・後遺障害慰謝料などの費目が大部分を占めることになるでしょう。
たとえば、賠償金額9521万円の高額賠償事例(1)では、被害を受けた女性は専業主婦でした。事故にあわなければ家事に従事できたことから、平均寿命の半分の期間において基礎収入が得られなかったものとして「逸失利益」が認められています。
主婦が交通事故に巻き込まれた場合には、『主婦の交通事故|慰謝料がすぐ計算できる!休業損害の相場もわかる』もあわせて参考にしてください。
高額賠償事例|自転車同士の事故
自転車同士の事故における高額な賠償事例です。
高額賠償事例(1)
賠償金額:9266万円
男子高校生(当時高3)が運転する自転車と、会社員の男性(当時24歳)が運転する自転車が衝突した事故。会社員の男性は言語機能喪失・右上肢機能全廃・右下肢機能全廃の障害が残った。
(東京地裁 平成20年6月5日判決)
高額賠償事例(2)
賠償金額:2253万円
自転車同士の正面衝突。被害者は介護士の男性(当時36歳)で、後遺症により左肩が上がらなくなったことなどから、本来の介護職に従事することができなくなり、年収は約50万円ほどおちこんだ。
介護の会社を辞職し、家事援助などをおこなう会社への転職を余儀なくされた。
(大阪地裁 平成28年9月16日判決)
自転車事故であることを理由として、賠償金が低額になるということはありません。
自転車事故であっても高額な賠償金が発生することがある以上、賠償金額がいくらになるのかという点については、慎重に判断すべきでしょう。
高額な賠償金となっても、被害者側に過失割合がつくと減額されてしまいます。事故状況を正確に反映した過失割合でなければ、最終的に受け取る賠償金の金額が妥当とはいえません。
自転車事故の賠償金請求は弁護士依頼がベスト
妥当な賠償金を手にしたいなら弁護士相談からはじめよう
自転車事故においては、自動車事故以上に検討しなければならない要素が多数存在します。
加害者が保険に加入していても、保険会社が提示する慰謝料や賠償金をそのまま鵜呑みにしてはいけません。被害者が本来受け取れる妥当な金額よりも低く提示している可能性があります。
自転車事故の被害者になってしまった場合には、保険会社との示談交渉や、賠償金の額で泣き寝入りしないためにも、一度弁護士にご相談されることをおすすめします。
アトム法律事務所の無料相談案内
アトム法律事務所では、24時間365日、相談のご予約を受け付けております。
専門のオペレーターが、被害者様の状況を把握したうえで適宜ご案内をさせていただいております。
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まとめ
- 自転車事故の賠償金は、自動車事故の賠償金と区別されているわけではない
- 自転車事故でも高額な賠償金が認められることもある
- 自転車事故で加害者に資力がないと賠償金を全額回収できない恐れがある
- 自転車事故では加害者が保険に加入していない恐れがある
- 自転車事故は過失割合でもめやすかったり後遺障害等級の認定機関がなかったりするため、個別事情を検討する要素が多くなる
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了