自転車事故の保険請求の流れや補償内容|自賠責保険が使えない場合に備えよう

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自転車事故で保険補償内容がわかる

自転車事故にあった後、保険から補償を受け取るまでの流れは、大きく分けて「事故連絡→使える保険の確認→治療と損害確定→示談交渉→示談成立後の支払い」という6ステップで進みます。

自転車には自動車のような自賠責保険がないため、相手方が任意の自転車保険に加入していない場合は、ご自身やご家族が加入する保険でカバーする手順を踏むことが多いのが特徴です。

この記事では、自転車事故にあった後の保険請求の流れ、使える保険の種類、保険会社対応のポイントまでを順を追って解説します。

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目次

自転車事故の保険請求の流れ|6ステップで全体像を把握

自転車事故にあった後、保険から補償を受け取るまでの全体の流れは次の通りです。

自動車事故と似た部分もありますが、自賠責保険がない点や相手方が無保険のケースが少なくない点で異なります。

自転車事故の保険請求の流れ

  1. 事故発生直後の対応と警察への通報
  2. 自身が使える保険を確認する
  3. 相手方と相手方の保険会社へ連絡
  4. 治療と損害の確定
  5. 示談交渉
  6. 示談成立後の保険金支払い

ステップ1:事故発生直後の対応と警察への通報

自転車事故が発生したら、まずケガ人の救護と二次被害の防止を行い、ただちに警察へ通報します。警察への届出がないと、後の保険請求に必要な「交通事故証明書」が発行されません。

警察を待つ間に、相手方の氏名・連絡先、自転車事故の場合は相手方の自宅住所などを控え、事故現場や自転車の損傷状況を写真で残しておくと、後の交渉で役立ちます。目撃者がいれば連絡先を伺っておくとよいでしょう。

ケガがあれば、軽傷に思えても病院を受診してください。診断書を警察に提出することで人身事故として扱われ、実況見分調書が作成されます。これがないと、事故状況をめぐって相手方と意見が食い違った際に立証が難しくなります。

ステップ2:自身が使える保険を確認する

事故直後に動けるようになったら、ご自身やご家族が加入している保険のうち、自転車事故で使えるものを確認しておきましょう。

自転車には自動車のような自賠責保険がないため、ご自身やご家族が加入する保険・特約まで含めて、使える補償を漏れなく確認しておくことが、適正な補償につながるからです。

自転車事故では、いわゆる「自転車保険」だけでなく、自動車保険・火災保険・傷害保険・クレジットカード付帯保険などに付帯した「個人賠償責任保険」「人身傷害補償保険」「弁護士費用特約」が使えるケースがあります。

ステップ3:相手方と相手方の保険会社へ連絡

相手方が保険に加入していれば保険会社に連絡してもらい、保険会社・証券番号・担当者の連絡先を確認します。

相手方が「自転車保険には入っていない」と話していても、自動車保険や火災保険に付帯する個人賠償責任保険でカバーできるケースがあるため、相手方やご家族の保険を一通り確認するよう求めるのが一案です。

相手方が任意の保険に加入していた場合は、その後の連絡窓口は基本的に相手方の保険会社になります。

ステップ4:治療と損害の確定

ケガの治療を続け、自転車・衣類・所持品の修理費見積もりや、休業による損害額の集計を行います。

損害額の交渉ができるのは、原則として治療が一区切りつき(完治または症状固定)、損害の全体像が見えてからです。治療の途中で示談を急ぐと、後から発覚した症状や追加治療費を請求できなくなる可能性があります。

治療費の支払い方法は、相手方の保険会社が病院へ直接支払うパターンと、被害者が立替えて後日まとめて請求するパターンがあります。

ステップ5:示談交渉

治療終了後、相手方の保険会社から「示談案」「損害賠償案」として金額提示を受けます。

提示された金額は、必ずしもすべての損害項目を含んだ十分な金額とは限らないため、内訳をよく確認してください。休業損害・通院交通費・将来の介護費用などは、被害者側から書類をそろえて請求しないと算入されない場合があります

後遺症が残った場合は、後遺障害の主張・立証も並行して行います。後遺障害の主張にあたっては、医証(診断書・画像所見・医師の意見書など)をそろえることが重要である点は、自動車事故の場合と変わりません。

ただし、自転車事故では相手方に自賠責保険がないため、後遺障害等級認定制度による認定を経ることができません。そのため、相手方の保険会社との協議の中でしかるべき等級に相当する後遺障害が残っていることを主張・立証していく手順をとることになります。

ステップ6:示談成立後の保険金支払い

示談書を取り交わした後、相手方の保険会社から保険金が振り込まれるまでの期間は、おおむね2週間程度が目安です。

なお、相手方が保険に未加入の場合や、ご自身にも一定の過失がある場合は、相手方の保険からの補償額だけでは損害をまかないきれないことがあります。

その場合、ご自身が加入する自転車保険・人身傷害補償保険・傷害保険などからの補償も併用することを検討します。

自転車事故に備えた保険加入の必要性

自転車事故の保険対応がなぜ自動車事故より複雑になりやすいのかは、自転車をめぐる保険制度の特徴に理由があります。

請求の流れを正しく理解するために、まず保険制度の基礎をおさえておきましょう。

自転車事故は6万件規模で発生し全交通事故の約2割を占める

警察庁の統計によると、2024年(令和6年)の自転車乗用中の交通事故件数は67,531件で、全交通事故件数に占める割合は23.2%と、毎年2割超で推移しています。

年数件数全交通事故に占める割合
2017年90,407件19.1%
2018年85,641件19.9%
2019年80,473件21.1%
2020年67,673件21.9%
2021年69,694件22.8%
2022年69,985件23.3%
2023年72,339件23.5%
2024年67,531件23.2%

出典:日本損害保険協会『知っていますか?自転車の事故~安全な乗り方と事故への備え~』

誰もが自転車事故にあう可能性がある中、相手方の保険加入状況によって補償を受けるまでの流れが変わるため、ご自身の備えも重要になります。

自転車事故では数千万円規模の高額賠償命令が出た裁判例もある

死亡事故や重い後遺障害が残った事故では、自転車側にも数千万円規模の賠償責任が認められた裁判例があります。代表的な事例は次の通りです。

判決認容額(※)事故の概要
9,521万円男子小学生(11歳)が夜間、帰宅途中に自転車で走行中、歩道と車道の区別のない道路において歩行中の女性(62歳)と正面衝突。女性は頭蓋骨骨折等の傷害を負い、意識が戻らない状態となった。(神戸地方裁判所平成25年7月4日判決)
9,330万円男子高校生が夜間、イヤホンで音楽を聞きながら無灯火で自転車を運転中に、パトカーの追跡を受けて逃走し、職務質問中の警察官(25歳)と衝突。警察官は、頭蓋骨骨折等で約2か月後に死亡した。(高松高等裁判所令和2年7月22日判決)
9,266万円男子高校生が昼間、自転車横断帯のかなり手前の歩道から車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(24歳)と衝突。男性会社員に重大な障害(言語機能の喪失等)が残った。(東京地方裁判所平成20年6月5日判決)
6,779万円男性が夕方、ペットボトルを片手に下り坂をスピードを落とさず走行し交差点に進入、横断歩道を横断中の女性(38歳)と衝突。女性は脳挫傷等で3日後に死亡した。(東京地方裁判所平成15年9月30日判決)
5,438万円男性が昼間、信号表示を無視して高速度で交差点に進入、青信号で横断歩道を横断中の女性(55歳)と衝突。女性は頭蓋内損傷等で11日後に死亡した。(東京地方裁判所平成19年4月11日判決)

※上記裁判における判決文で加害者が支払いを命じられた金額
出典:日本損害保険協会『自転車事故と保険』

自賠責保険のような強制加入の保険が自転車にはない

自動車やバイクには法律で加入が義務付けられた自賠責保険があるのに対し、自転車には強制加入の保険制度がありません

そのため、相手方が任意の自転車保険にも加入していなかった場合、相手方本人(未成年の場合は親)へ直接損害賠償を請求することになります。

相手方に十分な資力がなければ、分割払いや回収困難に陥る可能性があり、結果として被害者が自己負担せざるをえないリスクが残ります。

保険加入を義務化・努力義務化している自治体が増えている

こうした事情を背景に、自転車事故の被害者救済を目的として、自転車損害賠償責任保険等への加入を条例で義務化する自治体が増えています。2026年6月時点で、34都府県が条例で加入を義務化、10道県が努力義務化しています

  • 自転車保険等への加入義務がある自治体(34都府県)
    • 宮城県、秋田県、山形県、福島県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、長野県、新潟県、静岡県、岐阜県、愛知県、三重県、石川県、福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、岡山県、広島県、山口県、香川県、愛媛県、福岡県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県
  • 自転車保険等への加入が努力義務である自治体(10道県)
    • 北海道、青森県、岩手県、茨城県、富山県、和歌山県、鳥取県、徳島県、高知県、佐賀県

※参考:国土交通省「自転車損害賠償責任保険等への加入促進について

ただし、加入義務がある自治体でも、義務違反に対する罰則は定められていません。

なお、加入義務のない自治体に住んでいる人が、加入義務のある自治体において自転車を利用する場合も加入義務の対象となりうる点に注意してください。

自転車保険の補償内容

一般的に「自転車保険」として販売されている、自転車事故を対象とした保険がセットになっている保険商品(自転車向け保険)の補償内容を紹介します。以下は自転車保険の主な補償内容です。

  • 事故の相手方への補償(個人賠償責任保険)
  • 自身のケガへの補償(傷害保険)
  • 示談交渉で役立つ補償
  • 盗難などトラブルに備える補償

ここで紹介するのはあくまで一般的な補償内容です。保険会社やプランによって補償内容の差異はあるので、実際に保険に加入したり補償を受けたりする際は、契約内容をよくご確認ください。

(1)事故の相手方への補償(個人賠償責任保険)

個人賠償責任保険とは、自転車事故を起こした際、相手方に支払う損害賠償金を補償してもらえる保険のことです。

自転車事故を起こし、相手方に損害を与えた場合、治療費や入院費、慰謝料、自転車や車の修理費などを請求されることになります。個人賠償責任保険に入っていれば、このような損害賠償金を保険でまかなえるのです。

なお、個人賠償責任保険には上限額が設定されていることも多いです。自転車事故の損害賠償金は高額になり、限度額を超える支払い義務が生じるケースもあることを鑑みて、加入前によく保険会社ごとの比較・検討をおすすめします。

(2)自身のケガへの補償(傷害保険)

傷害保険とは、自転車事故によって加入者自身が死傷した場合に補償してもらえる保険のことです。

傷害保険には、交通事故によるケガのみを補償するタイプもあります。

傷害保険に加入していた場合、一般的に以下のような保険金を受け取れるでしょう。

傷害保険の種類と概要

種類概要
通院保険金自転車事故により通院した日数に応じて、定額の保険金が支払われる
入院保険金自転車事故により入院した日数に応じて、定額の保険金が支払われる
手術保険金自転車事故により手術を受けた場合に支払われる
後遺障害保険金自転車事故により後遺障害が残った場合に支払われる
死亡保険金自転車事故により死亡した場合に支払われる

なお、上記はいずれも、事故日から180日以内に生じた通院・入院・手術・後遺障害・死亡を対象としている場合が多いです。

(3)自転車事故の示談交渉で役立つ補償

自転車事故にあった際は、基本的に相手方と「示談交渉」をして損害賠償金の金額などを決めていくことになります。

示談交渉とは、「裁判外で話し合いによって損害賠償問題の解決を目指す方法」のことです。

自転車保険には、示談交渉で役立つ以下のような補償が付帯されていることがあります。

  • 弁護士費用特約
    弁護士に相談・依頼する際の費用を保険会社に負担してもらえる
  • 示談代行サービス(示談交渉サービス)
    示談交渉を保険会社の担当者に代行してもらえる

弁護士費用特約を使えば、上限の範囲内で相談料や弁護士費用を保険会社にまかなってもらえます。
上限の金額は相談料が10万円まで、弁護士費用が300万円となっていることが多く、実際に生じる費用はこの上限内に収まることが珍しくありません。

そのため、弁護士費用特約を利用すると、基本的に自己負担なく弁護士に相談・依頼することが可能となるのです。

弁護士費用特約

弁護士費用特約と示談代行サービス、どちらがいい?

「弁護士費用特約は、示談代行サービスがあるなら必要ない?」「弁護士費用特約と示談代行サービスをどちらも使えるなら、どちらを優先した方がいい?」といった疑問を抱かれる方も多いでしょう。

自転車事故による示談交渉を行う場合は、示談代行サービスを使って保険会社の担当者に代行してもらうより、弁護士費用特約を使って弁護士に委任することをおすすめします。
その理由は以下の通りです。

  • 示談代行サービスは、加入者に過失がないときは利用できない
  • 弁護士に交渉してもらった方が、獲得できる金額が大幅に増える傾向がある
  • 弁護士に依頼すれば、示談交渉以外にもさまざまなサポートを受けられる

とくに注目したいのは、弁護士に依頼すると賠償金の増額が期待できることです。

たとえばケガによる辛さや痛みに対して支払われる慰謝料の額は、治療期間をベースに算定します。
しかし、同じ治療期間であっても、保険会社が慰謝料を算定する場合より、弁護士が慰謝料を算定する場合のほうが高額になる可能性が高いです。

増額交渉(弁護士あり)

さらに、専門知識と国家資格を持つ弁護士に任せる方が、効果的かつ幅広いサポートを期待できるのです。弁護士に依頼するメリットについては、『交通事故を弁護士に依頼するメリット9選|弁護士依頼のメリットを最大化する方法』の記事もあわせてご覧ください。

(4)盗難などトラブルに備える補償

自転車保険には、以下のような自転車に関するトラブルに備える補償も付帯されている場合があります。

  • 自転車盗難特約
    自転車の盗難被害にあった場合、補償を受けられる
  • ロードサービス
    トラブルで自転車を動かせなくなった場合、無料で希望の地点まで搬送してもらえる

自転車盗難特約で補償を受けられる金額は、プランによりさまざまです。中には、自転車の後付けパーツも補償の対象としているプランもあります。

購入金額が一定以上でないと加入できないプランもあるので、事前に条件をよく確認するようにしましょう。

ロードサービスは、以下のようなトラブルに見舞われた際に役立ちます。

  • タイヤがパンクした
  • 電動アシスト自転車のバッテリーが切れた
  • 自転車のスポークが折れた
  • 夜なのに自転車のライトが点灯しなくなった

サイクリングで遠出をする機会の多い人はもちろん、通勤・通学や買い物などで自転車に乗る人にとっても役立つサービスと言えるでしょう。

相手方の保険会社へ請求する際の注意点

自転車事故の保険請求は、相手方の保険会社とのやり取りが中心になります。流れの中で押さえておきたいポイントを整理します。

相手方が自動車・バイクの場合|自賠責保険+任意保険の二重構造

相手方が自動車やバイクの場合、自賠責保険への加入が義務付けられているため、最低限の補償を受けられる可能性が高くなります。任意保険にも加入していれば、原則として相手方の任意保険会社が窓口となり、自賠責部分も含めて一括して対応します。

このため、任意保険会社と示談が成立すると、その後に自賠責保険へ追加請求することは原則できません。提示された金額に不明点がある場合は、示談前に内訳をよく確認しましょう。

相手方が自転車・歩行者の場合|任意の保険のみが補償源

相手方が自転車や歩行者の場合は、強制保険がないため、相手方が任意で加入している自転車保険や個人賠償責任保険のみが補償源となります。

相手方は単独で自転車保険に入っていなくても、ご家族の自動車保険・火災保険に付帯する個人賠償責任保険でカバーできることがあります。「保険に入っていない」と言われても、家族分まで含めて確認するよう求めるのが一案です。

提示額をそのまま受け入れず内訳を確認する

相手方の保険会社から示談案として提示される金額には、休業損害・通院交通費・将来の介護費用などが含まれていないことがあります。

これらは被害者側から書類をそろえて請求する必要があるため、提示書面の内訳と、ご自身が把握している損害項目を突き合わせて確認してください。

提示額が適切かどうか分からない場合は弁護士への相談も検討してください。

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自転車事故で使える自転車保険以外の保険

自転車事故にあった際は、一般的な「自転車保険」だけではなく、加入しているさまざまな保険を利用することが可能です。請求の流れの中で、自身が使える保険を漏れなく確認しておくことが大切です。

  • 自動車保険の特約
  • 火災保険・傷害保険・団体保険などの特約
  • 労災保険・健康保険

ここからは、自転車事故で使える代表的な保険をご紹介します。

(1)自動車保険の特約

自動車保険に付帯されている保険や特約の種類によっては、自転車事故の補償を受けられることがあります。具体的には、以下のような保険や特約が挙げられます。

  • 個人賠償責任保険(日常生活賠償保険)
  • 人身傷害補償保険
  • 自転車特約

しかし、上記の保険や特約ですべての事故状況・補償をカバーできるわけではない点には注意が必要です。それぞれの保険や特約でどのような補償を受けられるのか、確認していきましょう。

個人賠償責任保険

自動車保険の個人賠償責任保険(日常生活賠償保険)では、事故の相手方への損害賠償金を補償してもらえます

自動車保険の個人賠償責任保険は、自動車事故以外の日常生活における事故において、加入者が他人の身体を傷つけたり、モノを破損したりした場合に利用可能です。自転車運転中に事故を起こした場合も補償対象となるでしょう。

人身傷害補償保険

自動車保険の人身傷害補償保険では、加入者自身が死傷した際、治療費や休業損害といった補償を受けられます

基本的には契約車両に搭乗中であった場合に利用できる保険ですが、プランによっては自転車運転中や歩行中に自動車と事故になった場合にも利用可能です。

ただし、人身傷害補償保険を利用できるのは対自動車の事故のみです。自転車同士の事故や自転車と歩行者との事故では利用できないことが多いので、注意する必要があります。

人身傷害補償保険については『人身傷害補償特約は必要?いらない?補償内容や他の保険との違いとは』の記事でも詳しく解説しているので、あわせてご一読ください。

自転車特約

自動車保険に付帯できる自転車特約は、保険会社によって補償内容が異なります

大きく、事故の相手方への補償のみ受けられるもの、自身のケガへの補償のみ受けられるもの、両方の補償を受けられるものの3つがあるため、加入前に補償内容を詳細に確認するようにしましょう。

また、自転車特約は一般的に記名被保険者本人だけではなく、その配偶者、同居の親族、別居の未婚の子供も補償範囲に含まれるので、重複のないよう、自分自身で加入している保険だけではなく、家族が加入している保険の補償内容も確認するようにしましょう。

なお、各自治体が加入を義務付けている保険は、自転車事故の相手方への賠償を行える保険です。「自転車特約という名前だから自転車保険に入っていることになるだろう」と誤って判断しないようにご注意ください

弁護士費用特約の有無を確認しておこう

保険の補償内容について確認する際は、弁護士費用特約が付帯されているかどうかについても確認しておきましょう。

実際に自転車事故が起きた際に、相手方へ損害賠償請求を行う際には、弁護士に相談・依頼を行う方がよい結果となる場面は多いです。

また、弁護士費用特約が複数の保険に付帯しているなら、保険料を必要以上に負担していることになるので、契約内容が重複していないのかについても確認しておくべきでしょう。

(2)火災保険・傷害保険・団体保険などの特約

自転車事故で利用できるのは、自転車保険・自動車保険だけではありません。

以下のような保険に個人賠償責任保険(日常生活賠償保険)が付帯されていれば、自転車事故の相手方への損害賠償金を補償してもらえるでしょう。

  • 火災保険
  • 傷害保険
  • 団体保険(会社・学校・PTAなどで加入している保険)
  • クレジットカード
  • 各種共済 など

上記のような保険から自転車事故の相手方への賠償を受けられるなら、いわゆる「自転車保険」に加入する必要はありません。
ただし、保険のプランによっては上限額が低く、十分な補償を受けられない可能性もある点には注意してください。

また、傷害保険や団体保険の契約内容によっては、自身のケガなどへの補償も受けられるでしょう。

(3)労災保険・健康保険

自転車事故にあった場合、労災保険や健康保険から、自身のケガなどへの補償を受けることも可能です。

労災保険は、勤務中または通勤中に自転車事故にあった場合に補償を受けられます。労災保険からは「特別支給金」も受け取れるので、他の保険との併用を検討してもよいでしょう。

また、治療費を被害者自身で支払ったり、一旦立て替えたりする必要がある場合は、健康保険の利用も可能です。
なお、労災保険を利用できる場合は健康保険を利用できない点には注意が必要です。

自転車事故の保険に関するよくある質問

Q.自転車事故で健康保険は使えますか?

自転車事故のケガでも健康保険を使うことはできます。健康保険を使うと自己負担が3割となり、被害者にも過失がある場合は実質的な自己負担を抑えられます。

健康保険組合に「第三者行為による傷病届」を提出する必要がある点と、労災保険が使える事故では原則として健康保険を併用できない点に注意してください。

Q.相手方が「自転車保険には入っていない」と言っています。本当に補償は受けられないのでしょうか?

相手方が単独で自転車保険に加入していなくても、補償を受けられる可能性は残っています。

自動車保険・火災保険・クレジットカード・各種共済に付帯する個人賠償責任保険でカバーできるケースがあるためです。

同居のご家族の保険まで含めて確認するよう、相手方に依頼してみてください。

Q.ヘルメット未着用だと保険がおりませんか?

2023年4月1日から施行された道路交通法の改正により、すべての人が、自転車に乗るときにはヘルメットを着用するように努めるとされています。

あくまで努力義務にあたる現段階では、ヘルメット未着用だけを理由に保険金請求を断られるケースはないでしょう

ただし、今後ヘルメット着用の扱いが変わることで、保険約款が変わることもありますので、注意が必要です。

自転車保険がおりないケース

自転車保険がおりないケースとしては、たとえば、飲酒運転や薬物服用など、正常に自転車を運転できる状態になかった場合があげられます。

そのほかにも故意に事故を起こしたと見なされたり、家族間での事故では、保険金がおりない可能性があるでしょう。その他具体的には、加入する自転車保険の約款に従うことになります。

Q.自転車事故の被害者が保険未加入だとどんな損がある?

自転車事故の被害者になった場合、治療費や慰謝料は加害者側に請求することになります。
しかし、加害者の保険加入状況によっては、十分な補償をすぐに受けられない可能性があるのです。

例として、以下のようなケースが挙げられます。

  • 加害者が自動車に関する任意保険に未加入で、自賠責保険にしか入っていない
  • 加害者が自転車に関する保険に入っていない

このようなケースでは、加害者本人にも損害賠償を請求する可能性が高いでしょう。
そのため、加害者が十分にお金を持っていない場合は支払いが分割になったり踏み倒されたりするリスクが生じるのです。

しかし、自身が保険に入っていれば、その保険から補償を受けられます。
よって、自転車事故の被害にあった際に泣き寝入りになってしまう可能性を減らせるのです。

自転車事故においてどのような損害について請求できるのか、賠償額がいくらになりうるのかについて知りたい方は『自転車事故の慰謝料・示談金の相場はいくら?賠償金の内訳と高額事例も紹介』の記事をご覧ください。

Q.TSマーク付帯保険とは?

TSマークとは、自転車安全整備店で整備士が点検整備した自転車に貼付されるマークのことです。

TSマークの貼付を受けた自転車は、マークの色に応じて次の三井住友海上火災保険株式会社の保険に加入していることになります。

マークの種類保険の種類
青色マーク
(第一種TSマーク)
賠償責任補償(事故の相手方への補償)
傷害補償(自分自身への補償)
赤色マーク
(第二種TSマーク)
賠償責任補償(事故の相手方への補償)
傷害補償(自分自身への補償)
被害者見舞金

TSマーク付帯保険によって補償される保険金額は、以下の通りです。

  • 青色マーク(第一種TSマーク)
    • 賠償責任補償(死亡もしくは後遺障害1級~7級):1,000万円
    • 傷害補償(死亡もしくは後遺障害1級~4級):30万円
    • 傷害補償(15日以上の入院):1万円
  • 赤色マーク(第二種TSマーク)
    • 賠償責任補償(死亡もしくは後遺障害1級~7級):1億円
    • 傷害補償(死亡もしくは後遺障害1級~4級):100万円
    • 傷害補償(15日以上の入院):10万円
    • 被害者見舞金:10万円

TSマーク付帯保険のメリットは、人ではなく自転車単位での契約となるため、ひとつの自転車を複数人で共有している場合に便利なことです。

一方、賠償責任補償の範囲が重度の後遺障害に限定されていることや、補償される金額が一律であることには注意した方がよいでしょう。状況によっては、TSマーク付帯保険だけでは十分な補償を受けられない可能性があります。

なお、TSマーク付帯保険の保険期間は、TSマーク記載の点検基準日から1年間です。TSマーク付帯保険を利用したい場合は、毎年点検を受ける必要があることに注意しましょう。

自転車事故の被害にあったときの相談窓口

アトムは24時間365日無料相談のご予約を受付中

自転車事故の被害にあった場合は、弁護士への相談もご検討ください。

一般的に、事故の相手方は損害賠償金を低めに計算して提示してくる傾向にあります。弁護士が交渉を行えば、提示された金額の2倍~3倍に増額できるケースも少なくありません

アトム法律事務所では、弁護士への無料相談を電話・LINEで実施しています。以下のようなお悩みがある方は、ぜひお気軽にご利用ください。

  • 相手方の保険会社から提示された金額が少ない気がする
  • 過失割合が不当に高い気がする
  • できるだけ早く交渉を終わらせ、保険金を受け取りたい
  • 相手方とのやりとりが負担になっている
  • 弁護士費用が不安なので、あらかじめ見積もりを取りたい

アトム法律事務所の弁護士費用

アトム法律事務所では、基本的に相談料・着手金無料の料金体系を取っています。法律相談だけなら無料ですし、ご依頼いただく際にも初期費用は原則かかりません。

弁護士費用体系のポイント

  • 弁護士費用特約を使った場合
    • 法律相談料や弁護士費用については保険会社が支払ってくれる
      特約の補償範囲でおさまることが多いため、被害者の自己負担は基本的にゼロ
  • 弁護士費用特約がない場合
    • 法律相談料は無料、依頼時の着手金も原則無料
      示談成立までには原則費用がかからない、初期費用ゼロ

弁護士費用特約は、自転車保険以外にも、自動車の保険やクレジットカード、火災保険などにも付帯されている場合があります。ご自身ではなく、家族が加入していても使えるケースもあるので、一度保険会社に確認してみてください。

なお、弁護士費用特約の有無問わず、法律相談は無料で利用していただけます。相談予約は24時間365日いつでも受け付けているので、まずは気軽にお困りごとをお聞かせください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律税務グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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