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交通事故の保険金はいくら?慰謝料が支払われる流れと計算方法を全解説

更新日:

交通事故の保険金と慰謝料

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

交通事故で怪我や損害を受けた場合、その怪我や損害に対して保険会社から保険金が支払われます。
保険会社が支払う保険金は、果たして適正な金額なのでしょうか。

もし、保険会社が提示した保険金が適正な相場に足りない金額であるのならば、保険金が増額する可能性が見込めます

この記事では、保険金の増額方法保険金をいつ受け取れるのか事故から保険金が支払われるまでの流れその他、保険金にまつわる疑問などを解説しています。適正な保険金の金額を自動で計算する計算機も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

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交通事故の保険金ってそもそも何?

被害者が受け取るお金は示談金(損害賠償金)

保険の基本的な考え方として、保険金を受け取るのは保険に加入する被保険者です。(その他、約款で決まった範囲の人も保険金を受け取ることはあります。)

一方、交通事故で生じた損害賠償問題を解決するにあたって、加害者が任意で加入する保険会社は、被保険者である加害者に代わって被害者と示談交渉をし、保険会社から被害者へ直接お金を支払う流れになります。

したがって、交通事故の被害者が保険会社から受け取るお金を正確に表すと、保険金ではなく「示談金」といいます。示談金とは交通事故で生じた損害賠償問題を話し合いで解決するために支払われるお金のことで、「損害賠償金」ともいわれます。

もっとも、保険金と示談金や損害賠償金の正確な言葉の使い分けはわかりにくいのではないでしょうか。
そこで、本記事では加害者側の保険会社から支払われるお金のことを一般用語の「保険金」とし、解説をすすめていきます

ちなみに、交通事故で生じた損害を補てんするために、被害者ご自身が加入する保険を利用することもあるでしょう。このように、ご自身が被保険者となる保険を利用するのであれば、受け取るお金は保険金ということになります。
ご自身が加入する保険について詳しく解説したこちらの記事『交通事故で使える保険|被害者がもらえる金額を増やすための方法』もあわせてご覧ください。

示談金の一部として慰謝料が含まれる

保険金と示談金の違いがわかったところで、次に気になるのが「慰謝料」の意味だと思います。慰謝料も交通事故の損害賠償問題で支払われるお金で、保険金や示談金と全く同じような意味合いで用いられることが多いですが、正確な意味としては異なります。

交通事故の慰謝料

交通事故により被った精神的苦痛を緩和するために支払われるお金のこと

保険金、示談金、慰謝料という言葉がもつ意味をすべて同じであるように勘違いされることも多いのですが、慰謝料は示談金を構成する一部です。

交通事故の慰謝料

慰謝料・治療費・休業損害などさまざまな損害項目を合計したものが、保険金や示談金となります。

交通事故の保険金は結局いくらもらえる?

交通事故の慰謝料計算機|10秒で自動計算!

交通事故の被害者が本来もらえる適正な金額よりも、保険会社が提示する保険金の金額は低額である可能性が非常に高いです。
適正な保険金の金額はどのくらいなのか、自動計算してくれる計算機を紹介します。

保険金の金額を計算機で概算するにあたって、必要な要素を入力してください。

  • 入通院期間
  • (後遺障害が残った場合)後遺障害等級
  • 年齢
  • 年収

以上の要素がわかっていれば、自動で保険金の相場を計算することが可能です。

相手方の保険会社から示談書が届いたけど金額が正しいのかわからない、そんなときはまずこちらの計算機を使って確認してみましょう。

計算機ご利用の際の注意事項

本記事で紹介した計算機は、保険会社との示談交渉に弁護士が介入することで増額する可能性が特に高い項目のみを計算しています。

  • 入通院慰謝料
  • 後遺障害慰謝料
  • 後遺障害逸失利益

ですが、実際の保険金はこれらの項目だけで構成されていません。

  • 休業損害
  • 治療費
  • 看護費
  • 将来介護費
  • 入院雑費
  • 通院交通費
  • 物損の損害賠償金
    など

計算機で計算できる項目の金額に加え、これらの項目も実際の保険金に含まれるため、最終的な支払い金額はより多くなります。

また、入通院の日数について特別な事情があった場合なども、保険金の金額として考慮されます。
例えば、育児の必要から早めに入院を終えたような場合は、治療費や入通院慰謝料の面で調整がなされる可能性があります。

そのような事情まではこの計算機で反映されないため、もしもより正確な保険金の相場が知りたい場合は弁護士に相談をしてみましょう。

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交通事故の治療が終わり、相手方の保険会社から見積もりが提示された場合であれば、一層正確な回答を得ることが出来るでしょう。

交通事故で受け取る保険金を増やす方法は?

それでは、交通事故後に受け取れる保険金を増やすために出来ることは何なのでしょうか。

被害者の立場からでもできる、病院への通院方法や保険会社への申請などにしぼってポイントをお伝えします。

保険金や示談金全般について増額したいとお考えの方は、以下の記事もご参考ください。

交通事故の保険金を算定する3つの基準

前提として、そもそも相手方の保険会社から提示された金額よりも多く受け取れることがあるというのは、どういった理由なのでしょうか。

それは、「保険会社内部の支払い基準(自賠責基準・任意保険基準)」と「裁判で争った場合に認められうる基準(弁護士基準)」に大きな差があり、弁護士に交渉させることで弁護士基準に近い額が支払われるようになる、というからくりなのです。

慰謝料金額相場:自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準

したがって、弁護士に依頼して弁護士基準にもとづいた交渉をさせれば、保険金全体での金額アップが見込めます。

交通事故の保険金で増額可能な項目

交通事故で被害者に支払われる保険金のうち、増額可能といえる項目は以下の通りです。

  • 入通院慰謝料
  • (後遺障害が残った場合)後遺障害慰謝料
  • (被害者が死亡した場合)死亡慰謝料
  • 付添看護費
  • 入院雑費
  • 将来介護費
  • 休業損害
  • 後遺障害逸失利益

これ以外は、支払った分の実費を受け取るものが大半です。

それでは、これら増額可能といえる項目にしぼって、保険金を増額していく方法を考えていきましょう。

交通事故の保険金を増額させる項目別の計算方法

入通院慰謝料の増額は通院の仕方が大切

入通院慰謝料
交通事故で生じた怪我のために入院・通院をすることになった精神的苦痛に対する補償。入通院慰謝料は、傷害慰謝料ともいう。

入通院慰謝料は、全体の治療期間・入院日数・通院日数・怪我の重さなどの要素で決定されます。

基本的には、入通院期間が延びるほど支払われる慰謝料は高くなります。

ですが、治療が十分終了したのに、必要が無いのにも関わらず通院を行っても、その分の慰謝料は認められない可能性があります。
また、極端に通院日数が少ない場合も慰謝料の支払いで不利にはたらくため、週数回程度の頻度で通院を行う必要があります。

自賠責基準では、通院1日あたり4,300円で入通院慰謝料を計算します。(2020年3月31日以前に発生した事故の場合は、通院1日あたり4,200円で入通院慰謝料を計算します。)

一方、弁護士基準では、以下の表に従って慰謝料額を決定します。

軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表

例えば、交通事故でむちうちになり通院3ヶ月、入院期間無しの場合、表に従って530,000円の入通院慰謝料が支払われることになります。

自賠責基準では、仮に3ヶ月毎日通院したとしても4,300×3×30=387,000円にしかならないため、弁護士基準と自賠責基準の差額の大きさがよくわかります。

もし、骨折や脱臼を伴う重傷であれば、軽傷より金額の高い表が用いられます。

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

また、実際の運用にあたっては表そのままを活用するわけではありません。

特に通院がおおよそ1年以上にわたる場合は症状、治療内容、通院頻度を踏まえて、実際に通院した日数×3.5日(重傷の場合は×3日)を通院期間の目安とすることがあります。

その他の考慮要素などによっても金額は細かに変動しますので、より具体的な見積もりは弁護士に相談するようにしましょう。

後遺障害慰謝料の増額は適正な後遺障害等級を得る

後遺障害慰謝料
治療を十分行っても治らない「後遺障害」が残った精神的苦痛に対する補償

怪我をしても治らない後遺障害が残った場合、その重さや部位などに応じて「後遺障害等級」が認定され、等級にしたがって後遺障害慰謝料が支払われます。

よって後遺障害慰謝料を増やすには、より高い後遺障害等級に認定されればいいということになります。

等級 自賠責*弁護士
1級・要介護 1,650
(1,600)
2,800
2級・要介護1,203
(1,163)
2,370
1級1,150
(1,100)
2,800
2級998
(958)
2,370
3級861
(829)
1,990
4級737
(712)
1,670
5級618
(599)
1,400
6級512
(498)
1,180
7級419
(409)
1,000
8級331
(324)
830
9級249
(245)
690
10級190
(187)
550
11級136
(135)
420
12級94(93)290
13級57(57)180
14級32(32)110

※()内は令和2年3月31日以前の交通事故に適用
※単位は万円

後遺障害等級は14段階に区分され、1級に近づくほど重い症状で、14級に近づくほど比較的軽い症状となっています。

例えば「手首が曲がりにくくなった」という症状ですと、健常な可動域と比べて3/4以下は12級、1/2以下なら10級……という風に、細かに基準が決まっているため、本来12級の症状を10級などに上げるということは困難です。

ですが、客観的な症状が等級認定に十分なものであっても、後遺障害診断書の書き方によっては認定されないことがあったりします。

つまり、検査方法や検査結果の記載が不十分だったため、本来であれば認められたはずの後遺障害よりも低い等級しか認められなかったり、等級非該当となってしまうことがあるのです。

想定より低い等級になったり、等級非該当になったりすることを避けることが、実質的に後遺障害慰謝料を増額する方法であるといえるでしょう。

しかし、残念なことに、医師は怪我の治療を専門としていても、必ずしも後遺障害の専門家ではありません。

認定のために必要な検査や、後遺障害診断書の記載などについては交通事故を専門とする弁護士からアドバイスを受けるのが確実です。

適切な後遺障害認定を得るための手順やポイントなどについては、以下の記事を参照にしてください。

死亡慰謝料の増額は弁護士基準で計算する

死亡慰謝料
被害者が死亡したことに対する、被害者本人ならびにその近親者の精神的苦痛に対する補償

被害者が死亡した場合にも、その精神的苦痛に対して慰謝料が支払われます。

死亡した本人の慰謝料請求権は遺族が相続して実質的な死亡慰謝料の受取人となります。

また、被害者の近親者(父母、配偶者、子)も固有の慰謝料請求権を有します。

ここでの死亡慰謝料の総額は、被害者の家庭内での立ち位置のほか、残された家族の人数などによって決定されます。

被害者の家庭内での立ち位置や遺族の人数といった要素は後から操作できないため、通常は死亡慰謝料を増額することはできません。

ですが、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料と同様に、弁護士に依頼することにより弁護士基準でより高額の死亡慰謝料を獲得できる可能性が高まります。

以下、自賠責基準での死亡慰謝料と弁護士基準での死亡慰謝料の差を見てみましょう。

死亡慰謝料の金額|自賠責基準と弁護士基準

自賠責基準での死亡慰謝料の総額は、以下の通りになっています。

被害者本人の死亡慰謝料400万円*
慰謝料請求権者**が1名+550万円
慰謝料請求権者が2名+650万円
慰謝料請求権者が3名以上+750万円
被害者に被扶養者***がいるときさらに+200万円

*令和2年4月1日以降に死亡した場合
**被害者の父母・配偶者・子
***未成年の子など

一方で、弁護士基準での死亡慰謝料は以下の通りになっています。

一家の支柱である場合2800万円
母親、配偶者の場合2500万円
その他2000~2500万円

自賠責保険での死亡慰謝料が最大限・満額出たとしても1350万円にとどまるのに対して、弁護士基準の方が相当高額になっていることがわかります。

また、後述する「その他、慰謝料が増額する要因」を主張して認められた場合、死亡慰謝料が増額する可能性がありますので、それらの主張立証をすることも考えてみましょう。

付添看護費の増額は弁護士基準で計算する

付添看護費
被害者の入通院に際し、付添が必要だった場合に支払われる手当。付き添い看護費は、入通院付添費ともいう。

例えば交通事故の被害者が子供であった場合、足を怪我して移動が難しい場合など、その治療に家族などの付添人が必要となる場合があります。

付添看護費とは、このような付添人の付添に対する手当です。

付添看護費も、弁護士に依頼することによって自賠責基準の金額から増額することが可能となります。

自賠責基準弁護士基準
入院付添費4200円近親者の場合6500円
職業付添人の場合は実費
通院付添費
または
自宅看護費
2100円3300円

※自賠責基準は令和2年4月1日以降の交通事故における金額
※1日あたりの金額

弁護士に依頼することで、自賠責基準からおよそ1.5倍の付添費を獲得することができるようになります。

入院雑費の増額は弁護士基準で計算する

入院雑費
入院中にかかる様々な雑費

交通事故の怪我で入院する場合、入院の間に日用雑貨品や通信費、新聞雑誌代など、細かな雑費がかかります。

このような雑費でかかった実際の支出額を計算するのではなく、1日あたりいくらの入院雑費として計算されます。

入院雑費も損害賠償金の一項目として、入院日数に応じて支払われます。

自賠責基準弁護士基準
入院雑費1100円1500円

※1日あたりの金額

やはり、入院雑費においても1日あたりの支給額には自賠責基準と弁護士基準で差があり、弁護士に示談交渉を依頼することで増額が見込めます。

将来介護費の増額は弁護士基準で計算する

将来介護費
被害者が将来に受ける介護のための費用

交通事故により被害者に重篤な後遺障害が残ったような場合、将来的にも長く介護を受ける必要性が生じる場合があります。(重篤な後遺障害とは、後遺障害1級または2級が目安になります。)

将来的に必要になってくる介護費用を被害者自身の損害として、損害賠償金のなかでまとめて支払われるのが将来介護費です。

将来介護費は弁護士に依頼することで、単独の費目として請求することが可能となります。

将来介護費自賠責基準弁護士基準
近親者の介護定めなし8000円
職業付添人の介護定めなし12000円~20000円
1日あたりの金額

なお、上記は目安であり、介護の状況によって増額・減額する可能性もあります。

例えば、常時の介護ではなく随時で済む場合は、上記よりも低い金額で将来介護費が認定されることがあります。

休業損害の増額は適正な基礎収入で計算する

休業損害
仕事を休んだことによる収入の喪失

休業損害は1日あたりの基礎収入×休業日数で計算します。

つまり、休業損害を増額するには、基礎収入がより高く認められればいいということになります。

例えば、実際には収入が無い主婦について、基礎収入は女性労働者の平均賃金のデータをもとに算出されます。そのため、自身で思っているよりも高い基礎収入が認められることもあります。
また、役員報酬の一部なども休業損害として認められた例があります。

給与所得者に関しては、基礎収入そのものを高くするのは困難ですが、1日あたりの基礎収入をどうやって算定するかでも金額が変わってきます。例えば、月収30万円の場合で1日あたりの基礎収入を求める際に、単純に1ヶ月で割るか、会社が指定する実際の稼働日数で割るかで1日あたりの金額が変わってきます。

月収30万円、稼働日数20日の場合

  • 30万円÷30日=1万円
  • 30万円÷20日=1.5万円

30万円を30日で割るか、20日で割るかで1日あたりの基礎収入が5000円も変わってきます。給与所得者の方でも、弁護士が示談交渉に入ることで1日あたりの基礎収入が増額する可能性が高まります。

休業損害の面でも増額を目指す場合は、弁護士など専門家と話し合って実際の就業形態など諸事情を勘案し、示談交渉にあたるとよいでしょう。

後遺障害逸失利益の増額は弁護士基準で計算する

後遺障害逸失利益
労働能力が一部または全部喪失する後遺障害が残る場合、それにより見込まれる収入の喪失

例えば、後遺障害で手の痺れなどが残った場合、指先を細かく使う仕事や長時間の労働が困難になり、その分の得られたはずの収入を補償するものが後遺障害逸失利益です。

これについては、先ほどの後遺障害等級に従って「〇%の労働能力を喪失した」と推定されます。
ですので、後遺障害慰謝料と同様に、等級が上がるほど逸失利益の金額も増えます。

それだけではなく、被害者の仕事によっては、他の業務では大したことのない障害も重大な障害となる場合があります。

例えば、顔の傷という障害が残ったような場合、事務仕事よりも営業など人前に出る仕事の方が影響は大きくなりえます。

さらに、実際に収入が減っていなかったとしても、それが被害者本人の懸命な努力によるような場合には、考慮されてしかるべきです。

そのような事情も含めて交渉すれば、逸失利益の増額も見込むことが可能です。

その他、慰謝料が増額する要因

これまで述べた入通院日数や後遺障害等級など以外にも、以下のような要因が慰謝料増額事由となることがあります。

  • 事故態様が悪質(飲酒運転、無免許運転、著しい速度違反)
  • 事故後の対応が不誠実(ひき逃げ、証拠隠滅、不当に争う姿勢を見せる)
  • 複数人が同時に死傷するような事故

交通事故の保険金を受け取るタイミングは?

保険金の受け取りは「示談した後」

交通事故の保険金は、その全ての損害額や慰謝料が確定してから支払われます。したがって、それらの金額全てについて交渉がまとまり、示談が成立してからの支払いとなります。

示談
当事者間の話し合いにより、紛争に関してこれ以上争わないことを合意すること

よって、合意をしてしまえば原則としてそれ以降「やはり金額に納得がいかない」などの主張は認められません。

ですから早く保険金が欲しいからといって、精査せずに示談をしてしまえば結局は被害者にとって損となります。
事故現場や事故直後に相手方が示談を求めてきても、安易に応じないようにしましょう。

交通事故の保険金を受け取るまでの期間

示談交渉は怪我の治療や後遺障害の認定が終わってからとなります。

そのため保険金を受け取るまでにかかる期間は、治療期間+後遺障害などの認定期間+交渉期間となります。

交渉は当事者間に争いのない、軽微な事故であれば1カ月程度、事故が大きいものであったり、当事者間に対立があるような場合には半年以上かかることもあります。

それでは、実際に保険金が支払われるまでの一連の流れを確認してみましょう。

交通事故の保険金が支払われるまでの流れ

(1)交通事故が起こった時の加害者・警察・保険会社への対応

交通事故の保険金を受け取るまで:負傷者の救護、警察への通報、保険会社に連絡

交通事故が起こった場合、まず重要なのは自分自身含む怪我人の救護です。

怪我人がいる場合、119番に電話をし、事故現場や状況を伝えるようにしましょう。

交通事故発生時は興奮状態で痛みを感じていなくとも、落ち着いてから痛み出すということはよくあります。

事故から日が経てば経つほど、「交通事故によって怪我をした」ということの証明が困難になります。素人判断で楽観視せず、事故後は病院で診てもらうようにしましょう。

また、後続車を巻き込まないよう可能であれば事故車を安全な場所に移動させましょう。

加害者への対応

交通事故の場にあってはお互い動揺することもありますが、事故の相手方について確認をとらなければならない事項がいくつかあります。

  • 相手方の運転免許証
  • 氏名、年齢、電話番号などの連絡先
  • 加害車両のナンバー
  • 自賠責保険証、任意保険証などから相手方の保険会社と証明書番号
  • 自動車の所有者、管理者

相手方が保険の等級を下がることを恐れて非協力的であったりする場合もあります。

ですが今後賠償を請求するために、相手方の情報は必要不可欠です。

もし難しければ警察の協力も借りて、上記の情報を得られるようにしましょう。

警察への対応

自動車事故の保険金請求にあたっては、原則として交通事故証明書が必要です。

この交通事故証明書は、警察への届出がないと発行されません。そのため、事故が起こったら必ず警察署に届け出るようにしてください。

なお、届出は正しくする必要があります。具体的には怪我人が出るような「人身事故」である場合、必ずそのことを伝えなければなりません。

中には、大事になるのを恐れて「物損事故(怪我人がおらず、損害が車のみの事故)として届けてください」相手方が頼んできたり、または警察の方から「物損事故でいいですか」などと言われることがあります。

ですが実態に見合った届出をしなければ後々の保険金請求で不利になりますから、安易に物損だと答えないようにしましょう。

また、相手方に怪我人などが発生している場合、警察に通報しないと「ひき逃げ」の事案にあたることがありますのでその点も注意が必要です。

保険会社への対応

第三節 第1条

保険契約者、被保険者または保険金請求者は、事故、損害または傷害が発生したことを知った場合は、下表の右欄のことを履行しなければなりません。

(中略)②事故発生の通知

事故の発生の日時、場所および事故の概要を直ちに当会社に通知すること

東京海上日動 トータルアシスト自動車保険

各保険会社では、主に約款で「交通事故後、速やかに保険会社に連絡する」ことが義務付けられています。

このような規定に反し、直ちに事故の報告をしなかった場合は保険金の支払いから保険会社が定める割合が控除されることがあります。

適正な保険金の請求のためにも、必ず保険会社には通知をするようにしましょう。

事故現場の確認

事故現場の様子をメモや写真で保存しておくことは重要です。

何故なら、後から「どちらが信号無視をしたのか」「スピードオーバーしていたのはどちらか」など、事故現場の状況が争いとなり、それによって保険金の額が決定されうるためです。

そのため、客観的な証拠として事故現場を確認できる手段をとっておくことは重要です。

また、事故の目撃者がいるような場合は連絡先を聞くなどして、後日証人になってもらえるようにしておくと安心でしょう。

(2)交通事故被害者の怪我の治療

保険金の内訳として治療費や入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、休業損害などを確定させるには、まず怪我の治療を終わらせる必要があります。

なお、交通事故での怪我ではまず「整形外科」を最初に受診するのがセオリーです。念のため他の診療科も受けられるような大学病院で受診すると一層安心です。

あるいは診療時間や距離などの問題から、お近くの整骨院や接骨院に行くことも考えるかもしれませんが、初診は必ず病院に行くようにしましょう。

何故ならば怪我の診断書を作成できるのは医師だけであるため、ずっと整骨院に通っているだけでは「怪我をした」ということが証明できなくなり、後の保険金請求の際に不利になるからです。

初診以外でも、整骨院・接骨院に通院したい時は医師の了解を得てから行くのが無難です。無断で病院ではなく整骨院・接骨院に通院すると、その分の治療費が満額支払われない場合もあります。

先に述べた「入通院慰謝料」での注意点に気を付けつつ、通院を行いましょう。

交通事故の治療費は誰が払ってくれるの?

通常、交通事故被害者の治療費は相手方の任意保険会社が支払ってくれるのが原則です。これを任意一括対応といいます。

治療費支払いの流れ(任意一括対応)

ですが、相手方が非協力的で保険会社に連絡をしていない場合や、あるいはそもそも任意保険に加入していない場合などは、任意一括対応が受けられません。

  • 被害者が治療費の立て替えをし、加害者本人や加害者の自賠責保険に請求する
  • 被害者自身の自動車保険(人身傷害保険)に治療費を支払ってもらえるよう手配する

などの選択肢を考える必要があります。

また、一時的に治療費を立て替える時は健康保険を利用して通院するのがよいでしょう。

一時的とはいえ立替を行う以上、あまりに高額な治療費となると被害者にとっての負担となり、病院から足が遠ざかってしまう原因になるためです。

また、自賠責保険の支払いなどでは保険金の支払い上限が決まっていますので、治療費をあまりに高額にしすぎると、自賠責保険金から治療費以外の金銭が十分に受け取れなくなってしまうことがあります。

(3)相手方の保険会社との示談交渉

治療が終了すると、保険会社から示談金(保険金)の見積もりが出され、その金額に不服がある場合は示談交渉に入っていくことになります。

弁護士無しで示談交渉をしても、増額の可能性は低い

ですが保険会社の担当者も交渉の場数を踏んでおり、かつ被害者のことだけではなく会社全体としての利益を考えなければならない立場にあります。

そのため、被害者本人やその家族が示談交渉を行っても、大幅な増額が見込めないことがほとんどです。

弁護士に依頼することで、増額の可能性はぐんとあがる

ですが弁護士に依頼し、請求書を作成・交渉してもらうことで保険金が増額される可能性は大幅にアップします。

保険会社は多数の事故案件を取り扱っていますから、交渉が決裂し裁判にまで発展して、大変な時間と労力がかかってしまうのを恐れています。

弁護士に依頼し、いざとなれば裁判で争えるのだという姿勢を見せることで、被害者側の主張が通る可能性はぐっとあがるのです。

(4)保険金の支払い

示談が締結されると、保険会社から保険金が支払われます。

多くの会社では、被害者の手続きや申請から30日以内に振り込むと定められているのが一般的です。

担当者に質問することができれば、より詳細な振込期日を知ることができるでしょう。

交通事故の保険金にまつわる疑問

交通事故の保険金に税金はかかる?確定申告は必要?

原則として、交通事故の保険金は非課税であり、確定申告の必要もありません。

所得税や相続税は通常、その人の得た財産に対して課せられるものです。

ですが交通事故の保険金は、「交通事故で生じた損害を補償する」という性質のものであり、新たに財産が増えるという性質のものではないため、非課税となるのです。

相続した保険金には税金がかかる?

一方で例外的に、財産が増えたとみなされるような場合には課税対象となることがあります。

具体的には、以下のような保険金があてはまることがあります。

課税対象となることがある保険金

  • 損害に対して高額な保険金
  • 給与の代わりとして会社から支払われた見舞金
  • 被害者が生前受け取ることが決まっていたが、受け取る前に死亡したときの保険金
  • 人身傷害保険の保険金のうち、被害者の過失割合部分

以上のものは、財産とみなされて課税対象となる場合があります。

例えば高額な保険金や見舞金は、損害の賠償ではなく「得られた財産」としての性質が強いと推定された場合は課税対象となることがあります。

またごく稀ですが、被害者と加害者との間で示談が成立し、その後保険金を受け取る前に亡くなってしまう場合があります。

そのとき、遺族は金額が確定した保険金請求権を相続したことになるので、その保険金は課税対象となります。

最後に人身傷害保険の保険金は、過失の有無に関係なく一定額が支給されます。

ですが被害者の過失部分については、被害者の損害に対する補償であるとは言えないため、課税対象となります。

大きな交通事故の交渉は長引きやすく、その間に死亡者が出てしまうこともままあります。交渉の泥沼化を避けるためにも、専門家の弁護士に手続きを一任してしまうことも手段の一つです。

交通事故の保険金と税金の関係についてさらに詳しくは、こちらの『交通事故の慰謝料に税金はかかるのか|課税の有無を解説』の記事もあわせてご覧ください。

交通事故の保険金は損益相殺されるの?

損益相殺
損害を受けた者が同一の事由で利益を得ている場合、損害賠償額から利益分を差し引く処理のこと

例えば、交通事故により怪我をして損害を負ったが、それにより国民年金から障害基礎年金を受け取ったような場合を考えてみましょう。

被害者は交通事故により損害を受けていますが、同じ事故により年金という利益を得ています。

そのような場合、損益相殺として、損害賠償金から受け取った年金額分を差し引いたものが最終的な支払いとなります。

具体的には、以下のようなものが損害賠償金から差し引かれます。

  • 自賠責保険から受け取った自賠責保険金
  • 任意保険会社から先に支払われた治療費など
  • 各種社会保険の給付
  • 被害者側が加入している保険会社から支払われた保険金

つまり、どのような機関から支払われたのであれ、被害者の損害額が最終的に補填されているのならば問題ないということになります。

なお、以下のものは損益相殺の対象となりません。必ずしも同一の事由から生じた利益であるとは言えないためです。

  • 加害者から受け取った一般的な見舞金や香典
  • 生命保険金
  • 労災保険上の特別支給金
  • 一部の公的給付

交通事故の保険金増額を目指すなら弁護士に相談する

交通事故の保険金には様々な性質の金銭が含まれ、ただがむしゃらに「〇万円欲しい」「ネットで見た金額より安い」と主張しても、交渉にのってもらえることは困難です。

増額交渉(弁護士なし)

交渉の際にはその根拠を、事例と証拠をもってしっかりと主張していく必要があります。

増額交渉(弁護士あり)

相手方や保険会社と交渉する際は、是非、弁護士の力を借りることを考えてみてください。

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代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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