交通事故で慰謝料はいくらもらった?事例や相場から増額のポイントまで解説
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交通事故の慰謝料相場は治療期間やケガの程度によりさまざまで、軽傷の入通院慰謝料の場合、2週間程度で約9万円、1か月程度で約19万円、3か月程度で約53万円となります。
ただし、厳密な慰謝料相場は様々な要素によって変動するため、実際の慰謝料の事例も参考にするとよいでしょう。
この記事では、軽傷事例から重篤な後遺障害の事例、死亡事故の事例まで、さまざまな交通事故の慰謝料の事例を紹介します。
保険会社から提示された金額と増額後の金額を記載しているので、示談交渉次第でもらえる金額にどれほど差が出るのかもわかるでしょう。
あわせて、慰謝料金額を左右する要素や慰謝料の計算方法、増額を実現させるためのヒントも紹介します。交通事故の慰謝料を請求する段階にいる方は、ぜひこの記事をお役立てください。
目次
交通事故の慰謝料をいくらもらった?実際の事例5選
まずは、軽傷事例、重傷事例、死亡事例など、さまざまなケースで他の人は交通事故の慰謝料をいくらもらったのか、アトム法律事務所の実例を紹介していきます。
事例(1)軽傷で100万円もらった事例
* 過失相殺・既往症による減額後の金額であり、アトム相談前に回収済の金額は含まれていません。
交通事故でむちうち(頸椎捻挫)を負い、完治した事例です。ご依頼時には慰謝料を含む示談金として61万円が提示されていましたが、アトム法律事務所の弁護士が交渉し、100万円まで増額されました。
上記の事例では、ご依頼者さまは「弁護士費用特約」を利用されたため、ご自身が費用を負担せずに弁護士のサポートを受けられました。
軽傷でなおかつ完治した場合でも、弁護士に依頼することで慰謝料の増額を目指せます。
軽傷の慰謝料事例や増額のポイントについては、『軽傷の交通事故慰謝料はどれくらい?十分にもらう方法と症状別の相場』の記事もあわせてご覧ください。
事例(2)むちうちで309万円もらった事例
* 過失相殺・既往症による減額後の金額であり、アトム相談前に回収済の金額は含まれていません。
アトム法律事務所への相談時にはすでに後遺障害14級9号に認定されていました。加害者側から提示された金額に増額の見込みがあったため、弁護士が交渉を行ったものです。
弁護士による交渉の結果、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、逸失利益、休業損害の増額に成功し、当初の提示額171万円から309万円への増額が実現できました。
後遺障害が残ったときには、弁護士による交渉で増額できる項目が増えるため、増額幅も大きくなりやすいです。
むちうちの慰謝料の計算方法については、『交通事故のむちうちの慰謝料はいくら?慰謝料が倍増する方法を紹介』の記事も参考になります。
事例(3)鎖骨の骨折で2,300万円もらった事例
鎖骨骨折の増額事例
弁護活動の成果
提示額の621万円から、最終的な受取金額が2300万円まで増額された。
年齢、職業
40代、会社員
傷病名
鎖骨骨折
後遺障害等級
10級10号
* 過失相殺・既往症による減額後の金額であり、アトム相談前に回収済の金額は含まれていません。
バイクで走行中のご依頼者様が、交差点で信号無視のバイクに衝突されて左肩の鎖骨骨折という重傷を負われた事例です。左腕が上がらない後遺症が残ってしまい、後遺障害10級10号に認定されていました。
ご依頼者様ははじめ、示談金額として621万円を提示されていましたが、アトム法律事務所の弁護士が交渉した結果、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料といった主要な損害項目について増額が実現しました。
その結果、最終的に2,300万円を獲得できたのです。
なお、被害者ご本人が重傷かつ遠方だったため、LINE相談などで増額見込みをお伝えし、ご依頼いただきました。
骨折の慰謝料相場は事例によってさまざまです。関連記事『交通事故による骨折の慰謝料相場はいくら?骨折部位や後遺症別の賠償金』もあわせてご一読ください。
事例(4)脳挫傷で3,500万円もらった事例
脳挫傷の増額事例
弁護活動の成果
提示額の1193万円から、最終的な受取金額が3500万円まで増額された。
年齢、職業
10代、学生
傷病名
脳挫傷、くも膜下出血
後遺障害等級
1級1号
* 過失相殺・既往症による減額後の金額であり、アトム相談前に回収済の金額は含まれていません。
10代の学生の方が交通事故に遭い、1級1号という重い後遺障害に認定された事例です。
被害者の方に先天性の既存障害があったことから、加害者側は将来介護費の支払いを認めていませんでした。
しかし、弁護士が間に入った結果、加害者側が将来介護費を認めたのです。
こうして、当初の提示額1,193万円から最終的な受取金額3,500万円へと増額できました。
交通事故による脳挫傷の後遺障害等級、慰謝料については『交通事故で脳挫傷を負ったら?症状や後遺障害等級、慰謝料の相場』の記事をお役立てください。
事例(5)死亡事故で3,200万円もらった事例
* 過失相殺・既往症による減額後の金額であり、アトム相談前に回収済の金額は含まれていません。
軽自動車を運転していた女性が信号無視の大型トラックに衝突され、残念ながら亡くなられた事例です。ご遺族は本件の刑事裁判の結果に不服を感じており、民事裁判において遺族の主張を加害者側に伝えたいというご意向を強くお持ちでした。
最終的に、被害者本人とご遺族の慰謝料を弁護士基準まで増額した上、遅延損害金と弁護士費用を上乗せした和解案が裁判所から提示されました。
当初に保険会社から提示していた金額よりも1,000万円以上増額し、和解となったのです。
保険会社から提示された死亡事故の慰謝料は、一見すると高額に見えますが、弁護士や裁判所から見ると低額である可能性が高いのです。
死亡事故の正しい慰謝料相場や、その他に請求できる費目については、『死亡事故の慰謝料・賠償金の相場や平均は?示談の流れや保険金も解説』の記事をご覧ください。
アトム法律事務所の慰謝料事例はこちらから
アトム法律事務所では解決事例の紹介ページを設けております。
解決事例のページでは、後遺障害等級の有無、受傷部位、被害者の職業などさまざまな切り口から、実際に慰謝料がいくらもらえたのか事例の確認が可能です。
さらに多くの事例を知りたい方は、以下の解決事例のページをご覧ください。
慰謝料の事例集はこちら
慰謝料・賠償金をいくらもらえるか左右する要素
「他の人が実際に慰謝料をいくらもらったのか」は自分自身の慰謝料額を知る参考になりますが、厳密な金額はケースにより異なります。
慰謝料がいくらもらえるかは主に以下の要素によって変わってきます。
慰謝料額を左右する3つの要素
- 3つの算定基準のうちどれを用いるか
- 慰謝料の増額事由・減額事由はあるか
- 過失相殺はどの程度あるか
- 加害者側に対して有利な交渉ができるか
いずれも重要な要素なので、1つずつ確認していきましょう。
(1)3つの算定基準のうちどれを用いるか
交通事故の慰謝料の計算方法(算定基準)は3種類あり、どの基準を用いるかによって、慰謝料の金額は大きく変わります。
慰謝料の3つの基準とは、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準のことです。

慰謝料の3つの算定基準
- 自賠責基準
国が定めた最低限の基準。 - 任意保険基準
任意保険会社が各社で独自に定める基準。非公開だが、自賠責基準に近いことが多い。 - 弁護士基準(裁判基準)
過去の判例に基づく基準。
示談交渉の際、加害者側の任意保険会社は自賠責基準や任意保険基準の金額を提示してきます。
しかし、法的正当性が高く妥当な相場だと言えるのは弁護士基準の金額です。
例えば、むちうちの後遺障害で後遺障害14級に認定された場合の慰謝料は、自賠責基準では32万円ですが弁護士基準なら110万円にもなります。
提示された金額をいかに弁護士基準近くまで増額させられるかによって、実際に慰謝料がいくらもらえるのかは大きく変わってくるでしょう。
慰謝料の計算方法は本記事内でも後ほど解説しますが、各基準ごとの慰謝料の計算方法を詳しく知りたい方は、『交通事故の慰謝料の計算方法|正しい賠償金額がわかる』の記事もお役立てください。
(2)慰謝料の増額事由・減額事由はあるか
交通事故の慰謝料は、被害者の精神的苦痛を補償するものです。よって、被害者の精神的苦痛が通常よりも大きくなるような事情があれば、もらえる慰謝料は相場よりも多くなることがあります。
一方で、もらえる慰謝料が減額されてしまう事由もあります。
こうした増額事由・減額事由の有無も、慰謝料をいくらもらえるかに関わってきます。主な増額事由・減額事由を見ていきましょう。
慰謝料の増額事由
慰謝料の増額事由には、被害者の精神的苦痛がより大きなものとなった事情が該当します。慰謝料増額の具体的な事由は以下のとおりです。
- 加害者側の不誠実な言動がみられた
- 生死を彷徨った、麻酔なしで手術を受けたなど通常以上の苦痛があった
- 加害者側に飲酒運転、大幅なスピード違反などの重大な過失があった
- 交通事故の影響で流産・中絶した
- 交通事故の影響で婚約が破談になった
- 交通事故の影響で失職・転職した
- 交通事故の影響で留年・内定取り消しとなった
- 死亡事故で被害者の無念がことさらに大きい
ただし、上記の事由から慰謝料の増額を主張しても、加害者側が認めようとしない可能性があります。また、増額が認められたとしても、具体的にいくら増額するかは交渉次第です。
もらえる慰謝料を増額させるには、増額させるべき根拠や増額させるべき金額について、過去の判例や事例なども用いて主張する必要があります。
十分な増額を望む場合は事前に弁護士に相談することが重要です。
交通事故の慰謝料を増額させる方法をもっと具体的に知りたい方は、関連記事『交通事故の慰謝料は増額できる?上乗せの方法をまとめて公開!』をお読みください。
慰謝料の減額事由
慰謝料の減額事由には、精神的苦痛の発生について被害者の気質などが考慮される場合に起こり得ます。
具体的には以下のケースが該当します。
- 交通事故前から、今回の受傷に関連する既往症があった
- 被害者が人一倍痛みに敏感であるが故に治療が長引いた
- 被害者が治療に消極的で通院を怠ったために治療が長引いた
上記のように、被害者の事故前からの素因(既往症やもともとの性格・気質)が交通事故による被害・精神的苦痛に影響している場合、そのすべてを加害者側が補償するのは公平ではありません。
そのため、こうした素因の影響分は、もらえる慰謝料から減額されることがあるのです。こうした減額を「素因減額」といいます。
ただし、どのような素因によってどの程度慰謝料を減額すべきかは交渉次第です。
場合によっては、素因減額の対象とならない要因について、加害者側が素因減額を主張してくることもあるでしょう。
素因減額によってもらえる慰謝料が少なくなりそうな場合は、弁護士に相談して減額の正当性や対策について確認しておくと良いでしょう。
素因減額の詳細については『素因減額とは?減額されるケースや判断基準がわかる【判例つき】』でご確認ください。
(3)過失相殺はどの程度あるか
過失相殺も、慰謝料がいくらもらえるかに大きく影響する要素です。
交通事故では、自身に過失割合(事故が起きた責任がどの程度あるのか割合で示したもの)がつくと、その分もらえる慰謝料・賠償金が減額されてしまいます。これが過失相殺です。
例えば被害者側に過失割合が2割あるとされると、慰謝料・賠償金は2割減額されてしまいます。
本来の慰謝料・賠償金が100万円だったとしても、過失が2割なら、実際にもらえる金額は80万円になってしまうということです。
交通事故では、被害者側に過失割合がつき、過失相殺が適用されることも珍しくありません。ただし、加害者側は過失相殺を狙って、実際以上に被害者側の過失割合を大きく主張してくることがあります。
提示された過失割合を鵜呑みにするのではなく、過失割合を小さくするために交渉することもポイントです。
(4)加害者側に対して有利な交渉ができるか
慰謝料がいくらもらえるかは、算定基準・素因減額・過失相殺といった要素によって左右されます。ただし、いずれの要素についてもどの程度慰謝料額に影響するかは、示談交渉次第です。
示談交渉がうまくいけば、弁護士基準に近い金額となり、素因減額や過失相殺が最小限に抑えられ、もらえる慰謝料は多くなるでしょう。
ただし、示談交渉の相手となるのは基本的に加害者側の任意保険担当者です。
保険担当者は、プロとして日々様々な被害者や弁護士と交渉しています。そのような相手に対して、被害者自身で有利に交渉を進めることは難しいと言わざるを得ません。

弁護士を立てるなど有効な対策を取り、いかに交渉を有利に進めるかが、慰謝料を多くもらうために最も重要であると言っても過言ではないでしょう。
自身の保険に「弁護士特約」がついていれば、弁護士費用を保険会社に負担してもらえます。より多くの慰謝料をもらうためにも、弁護士への相談・依頼をご検討ください。
交通事故の慰謝料でもらえる相場の計算方法
続いて、交通事故の慰謝料は実際いくらもらえるのか、具体的な計算補法を解説します。
先述の通り、慰謝料には3つの算定基準があります。
任意保険基準は各社で異なり非公開なので、ここでは弁護士基準(法的正当性の高い基準)と自賠責基準(最低限の基準)を見ていきましょう。
任意保険基準の金額については、自賠責基準に近いという点を目安として考えてみてください。
入通院慰謝料はいくらもらえる?
ケガや治療で生じる精神的苦痛を補償する入通院慰謝料は、治療期間をベースとして金額が決まります。
弁護士基準の場合
弁護士基準では、入通院慰謝料は表を用いて算定します。
表には軽傷・むちうち用と重傷用(軽傷・むちうち以外のケースで利用)があるので、順にみていきましょう。
軽傷・むちうち用の表

重傷用の表

入院期間・通院期間の交わる部分が、入通院慰謝料の金額となります。月数については、暦に関係なく「1月=30日」と考えてください。
ただし、「通院期間が3ヶ月と10日だった」など端数がある場合は、上記の表をもとに別途計算が必要です。
以下の計算機からも慰謝料額の目安がわかるので、ご活用ください。
自賠責基準の場合
自賠責基準では、以下の計算式によって入通院慰謝料が算定されます。
4,300円×対象日数
対象日数は、以下のうち少ない方を採用する。
- 治療期間
- 実治療日数(実際に入院や通院をした日数)×2
入通院慰謝料については、以下の関連記事でも解説しています。より詳しく知りたい場合はご確認ください。
関連記事
- 通院日数の数え方や通院に関する注意点について:交通事故の慰謝料は通院日数の数え方が影響する?治療期間で計算が重要
- 通院期間ごとの慰謝料がわかる記事
- 受傷部位や年齢から相場がわかる:交通事故の慰謝料相場|怪我・事故状況・被害者の属性別にわかる金額
後遺障害慰謝料はいくらもらえる?
後遺障害が残ったことによる精神的苦痛を補償する後遺障害慰謝料は、「後遺障害等級」ごとに金額が決まっています。
たとえば、むちうちでしびれや痛みといった神経症状が残った場合、認定されうる等級は12級または14級です。
等級ごとに、慰謝料がいくらもらえるかをまとめた表は次の通りです。
後遺障害慰謝料の相場
| 等級 | 自賠責* | 弁護士 |
|---|---|---|
| 1級・要介護 | 1,650(1,600) | 2,800 |
| 2級・要介護 | 1,203(1,163) | 2,370 |
| 1級 | 1,150(1,100) | 2,800 |
| 2級 | 998(958) | 2,370 |
| 3級 | 861(829) | 1,990 |
| 4級 | 737(712) | 1,670 |
| 5級 | 618(599) | 1,400 |
| 6級 | 512(498) | 1,180 |
| 7級 | 419(409) | 1,000 |
| 8級 | 331(324) | 830 |
| 9級 | 249(245) | 690 |
| 10級 | 190(187) | 550 |
| 11級 | 136(135) | 420 |
| 12級 | 94(93) | 290 |
| 13級 | 57(57) | 180 |
| 14級 | 32(32) | 110 |
どのような後遺障害で後遺障害何級に認定されうるのかは、関連記事『症状ごとの後遺障害等級の認定基準や適切な等級を獲得する方法を解説』にて詳しく解説しています。
死亡慰謝料はいくらもらえる?
死亡慰謝料は、交通事故で亡くなった被害者とその遺族(主に配偶者・子・親)の精神的苦痛を補償するものです。
弁護士基準では被害者の家族内での立場ごとに、あらかじめ遺族分も含めた金額が設定されています。
一方、自賠責基準では被害者本人分の金額に、遺族の人数や扶養の有無に応じた金額を加算していき金額が算定されます。
| 被害者 | 自賠責 | 弁護士 |
|---|---|---|
| 一家の支柱 | 400 (350) | 2,800 |
| 母親 配偶者 | 400 (350) | 2,500 |
| 独身の男女 | 400 (350) | 2,000~2,500 |
| 子ども | 400 (350) | 2,000~2,500 |
| 幼児 | 400 (350) | 2,000~2,500 |
| 遺族1名※ | + 550 | – |
| 遺族2名※ | + 650 | – |
| 遺族3名以上※ | + 750 | – |
| 被扶養者有※ | + 200 | – |
慰謝料の単位:万円
遺族:被害者の配偶者、子、両親(認知した子、義父母などを含む)
( )内の金額は2020年3月31日以前に発生した交通事故に適用
※該当する場合のみ
慰謝料以外に示談金として請求できるもの
交通事故の被害者は、慰謝料以外にもさまざまな費目を加害者側に請求できます。どのような費目を請求できるのか把握し、請求漏れを防ぐことも大切です。
請求できる主な費目は、以下のとおりです。
交通事故の損害賠償請求費目
| 費目 | 概要 |
|---|---|
| 入通院慰謝料 | 入通院した精神的苦痛の補償 |
| 治療関連費 | 応急手当費、診察費など |
| 休業損害 | 事故で仕事を休んだことによる減収の補償 |
| 後遺障害慰謝料 | 後遺障害による精神的苦痛の補償 |
| 後遺障害逸失利益 | 後遺障害による将来的な減収の補償 |
| 介護費用 | 家族の介護費用や職業介護人にかかる費用 |
| 死亡慰謝料 | 事故で亡くなった精神的苦痛の補償 |
| 死亡逸失利益 | 亡くなったため失われた将来的な収入の補償 |
| 葬儀費用 | 通夜・葬儀代、火葬費など |
加害者側はあえて一部の費目を除外して示談金を計算している可能性があります。
もし、提示された示談金に請求できるはずの費目が含まれていない場合は、被害者側から支払いを求めるようにしましょう。
もらえる慰謝料を多くするための3つのポイント
ここからは、もらえる慰謝料を多くするためにポイントとして、以下の5つを解説していきます。
- 事故直後~症状固定まで適切に治療しよう
- 万全の対策のうえ後遺障害認定の申請をしよう
- 弁護士からアドバイスを受けておこう
(1)事故直後~症状固定まで適切に治療しよう
事故直後から完治または症状固定と医師に判断されるまで、適切に通院することは非常に重要です。
特に重要なポイントは、以下の通りです。
- 事故後すぐに病院で受診する
- 完治または症状固定と診断されるまで治療を続ける
- 適切な頻度で通院する
- 勝手に整骨院に通わない
上記の点を守れていなかった場合、それを理由に慰謝料が減額される可能性があります。治療の段階で慰謝料減額の要因をつくってしまうと、後でいくら交渉しても挽回が難しいこともあるでしょう。
上記の点を守れていなかった場合、なぜ慰謝料が減額されうるのか、1つずつ見ていきましょう。
事故後すぐに病院で受診しなかった場合
ケガと事故との関連性が証明できず、慰謝料の請求が認められない場合があります。
「このケガは事故ではなく、その後の生活の中で負ったものではないか?それなら、慰謝料をはじめ、治療費や休業損害などの対象にはならない」と判断されてしまうのです。
ごく軽いケガに思えたり、怪我がないように思えたりしても、極力事故当日中に病院へ行くようにしましょう。遅くとも、事故から10日以内の受診が望ましいです。
完治または症状固定と判断される前に治療を終えた場合
入通院慰謝料は基本的に治療期間に応じて決まるため、治癒(完治)または症状固定(後遺症が残った)前に治療をやめると治療期間が短くなり、慰謝料減額につながる恐れがあるでしょう。
さらに、症状固定の診断を受ける前に治療を終え、後遺症が残ったとして後遺障害認定を受けようとしても、後遺障害等級が認定される可能性は低くなります。
その結果、後遺障害慰謝料についてはそもそも請求もできないという事態になりかねません。
治療の途中で加害者側の保険会社から「治療費の打ち切り」を打診されるケースもありますが、あわてて治療をやめるべきではありません。
まだ治療の効果が感じられることを伝え、治療費支払いの延長を希望しましょう。
関連記事
通院頻度が多すぎる場合
過剰診療による保険金詐欺を疑われてしまう可能性があります。そうすると、慰謝料はおろか、治療費や休業損害の支払いも拒否される事態になりかねません。
通院頻度は医者の指示を守りましょう。慰謝料の観点から言えば、3日に1回程度の通院でも十分適正な金額請求が可能です。
関連記事『交通事故の被害者は毎日通院した方がいい?通院頻度や期間と慰謝料の関係』も参考になりますので、通院頻度が気になる方はあわせてお読みください。
通院頻度が少なすぎる場合
無理やり通院期間を延ばしている、もしくは漫然とした治療しか受けていない場合、もう治っているのではと思われ、慰謝料が減ってしまう可能性があります。
あるいは被害者が治療に消極的だったせいで治療が長引いたと勘違いされる可能性もあるでしょう。
勝手に整骨院のみ通院していた場合
整骨院での治療は厳密には医療行為ではありません。そのため、必要不可欠な治療ではないと判断され、治療費や慰謝料を請求できない恐れがあります。
必要な治療と認められるために、整骨院で治療を行ったときは、その場合も必ず病院での治療を続けるようにすること、事前に医師の許可を得ること、相手の保険会社に連絡することなどの慎重な対応が欠かせません。
整骨院に通いたい場合は、関連記事『交通事故で整骨院に通院するには?慰謝料・治療費などへの影響は?』にて事前に手順をご確認ください。
(2)万全の対策のうえ後遺障害認定の申請をしよう
交通事故によるケガの治療を続け、症状固定と診断された場合は、残った後遺症について後遺障害認定の申請を行いましょう。
後遺障害認定を受ければ、後遺障害慰謝料・逸失利益の請求ができるようになるので、獲得金額が大幅に増加します。
後遺障害認定は基本的に書類審査なので、書類対策をしっかりすることがポイントです。そのために、以下のポイントを押さえましょう。
- 申請は「被害者請求」で
- 後遺障害等級の認定基準を把握する
申請は「被害者請求」で
後遺障害認定の申請方法には、「被害者請求」と「事前認定」があります。
被害者請求では、被害者側が必要書類の全てを用意し、加害者側の自賠責保険会社を介して書類を審査機関に提出します。

一方、事前認定では後遺障害診断書以外の書類は、加害者側の任意保険会社が用意して審査機関に提出してくれます。

被害者請求なら、書類のブラッシュアップや追加書類の添付などができます。
事前認定では被害者は書類のほとんどに関与できないため、必要最低限の種類・質の書類での申請となる可能性が高いでしょう。
後遺障害等級認定の関連記事
後遺障害等級の認定基準を把握する
後遺障害認定を受けるには、主に以下の点を審査機関伝えることが重要です。
- 後遺障害の存在・程度
- 症状に一貫性・継続性があること
- 後遺障害等級の認定基準を満たしていること
中でも、「後遺障害等級の認定基準」は症状の種類や程度によって異なります。
例えば同じ「むちうちによる神経症状(痛み・しびれなど)」でも、12級を狙うのか14級を狙うのかでアプローチが以下のように違ってくるのです。
- 12級を狙う場合
レントゲン写真やMRI画像、CT画像などの画像所見で、神経の圧迫など具体的な異常を示す必要がある - 14級を狙う場合
神経学的検査(患部に刺激を与えて反応を見る検査)などで、「神経症状が残っていると判断するのが妥当」と主張する必要がある
狙うべき等級を適切に判断し、その認定基準を理解したうえで対策しなければ、的外れな対策になりかねません。
(3)弁護士からアドバイスを受けておこう
慰謝料を多くもらうには、後遺障害認定や示談交渉について、専門家である弁護士に相談することもポイントです。
どちらも専門知識や過去の事例を踏まえた対策が必要であり、これまで交通事故の損害賠償問題に関わったことのなかった被害者の方が、急に十分な対応をするのは難しいと言わざるを得ません。
弁護士に相談すれば、個別の事例を考慮したうえで、以下のようなアドバイスをしてもらえます。
- 適切な慰謝料などの金額はいくらか
- 適切な過失割合はいくらか
- 適切な後遺障害等級は何級か
- 本来請求できる費目を漏らしていないか
- 治療期間中に慰謝料を減額されないため注意することは何か
後遺障害の対策・申請や示談交渉まで任せれば、より良い結果が期待できるでしょう。
交通事故の被害者に向け、無料相談を実施している弁護士事務所も多いです。事務所に行かずとも、電話やメールで弁護士のアドバイスを受けられる場合もあるので、示談前に一度利用しておくことをおすすめします。
▼アトム法律事務所は電話・LINEで無料相談を実施しています。無料相談のみの利用でも問題ないので、気軽にご利用ください。
弁護士依頼の検討に役立つ記事
- 交通事故を弁護士に依頼するメリット9選と必要な理由|弁護士は何をしてくれる?
- 交通事故で弁護士依頼するデメリット4つ!意味ないと感じる前に判断基準を確認
- 交通事故で弁護士に相談・依頼するタイミングは?
交通事故の慰謝料請求についてよくある質問
次に、交通事故の慰謝料を請求する際によく生じる疑問にお答えしていきます。
Q1.自分のケースで慰謝料がいくらもらえるかすぐに知る方法は?
慰謝料計算機や、電話・LINEでの法律相談がおすすめです。
計算機で慰謝料がいくらもらえるか確認したい場合は、以下をご利用ください。治療期間や年齢、後遺障害等級などを入力するだけで、簡単に慰謝料の目安がわかります。
なお、計算機で出力されるのは、弁護士基準で計算した金額です。また、過失相殺といった諸事情は考慮されていないのでご了承ください。
もっと厳密な慰謝料額を知りたい方は、無料相談を利用して弁護士に確認することをおすすめします。アトム法律事務所は無料相談の予約を年中無休で受け付けています。
Q2.保険会社にこれ以上の増額は無理と言われたら?
弁護士を立てて交渉すると、これ以上は増額できないと言われた金額をさらに増額できる可能性があります。
保険会社がこれ以上の増額は無理と主張するのは、保険会社が支払う金額を減らすための方便であることも少なくありません。
実際に、過去の裁判では、保険会社が主張する金額を超える慰謝料が認められてきました。
裁判まで起こさずとも弁護士が出てくると、保険会社は裁判への発展をおそれ、被害者側の主張を認めることが多いです。また、「弁護士が出てきたらこの金額まで増額を認める」といった社内ルールを設けている保険会社もあります。
弁護士に示談交渉を依頼した場合、相手方の対応がどのように変化するかについては、『交通事故の示談交渉は弁護士に依頼!依頼のメリットや方法がわかる』の記事でも紹介しています。あわせてご一読ください。
Q3.交通事故の判例と同じ金額の慰謝料はもらえる?
交通事故の判例で認められた金額が、そのままあなたの慰謝料になるとは限りません。判例もすべて一定の金額ではなく、ケースバイケースです。
ただし、事故の状況が似ている、争点が似ているといった場合には参考になる部分は多いでしょう。
もっとも被害者みずからで膨大な判例を調べることは非常に大変なことです。判例は難解な書き方をしていることも多く、判例の読解には慣れが必要になります。
また、判例を参考にして保険会社へ請求しても、示談交渉の段階から認められることは難しいでしょう。なぜなら保険会社は「裁判になっていない段階」で裁判の水準を認めることがほぼないためです。
弁護士が交渉すれば、裁判も辞さないという姿勢を示すことができ、相手の保険会社の態度が変わる可能性もあります。

交通事故の判例を読んでみたいという方は、いくつかまとめた関連記事を参考にしてみてください。
弁護士は交通事故被害者の強い味方|慰謝料増額も目指せる!
交通事故の損害賠償問題のような法律に関する問題は、「知らない人が損をしてしまう」ことが往々にしてあります。その点、法律の専門家である弁護士は、交通事故の被害者の方の強い味方になり得ます。
弁護士依頼のメリットを再確認するとともに、弁護士にお得に依頼する方法も紹介していきましょう。
弁護士依頼で慰謝料が2倍~3倍になった事例も多い
弁護士に依頼すれば、慰謝料の大幅な増額が期待できます。
弁護士が介入することで、慰謝料が提示された金額の2倍~3倍に増えることも珍しくありません。
加害者側の保険会社が用いる「自賠責基準」「任意保険基準」で計算した金額と、「弁護士基準」で計算した金額には、それほどの差があるのです。
実際にアトム法律事務所に相談して慰謝料が増額された事例における、ご依頼者様の声を紹介します。
この度はありがとうございました。初めての交通事故で、保険会社とのやりとりがわからず、保険会社からの金額も妥当なものかわからなかったので相談しました。結果、4倍もの金額が出て、おどろきました。本当にありがとうございました。
ご依頼者からのお手紙
常に迅速丁寧にご対応いただき感謝しています。想定以上の賠償金を受け取れました。自分一人で対応していたら絶対に不可能な金額だったと思います。この度は本当にありがとうございました。
ご依頼者からのお手紙
思っていた金額の倍以上の示談金を交渉していただき、感謝に耐えません。依頼していなければ、10分の1程度の示談金になったであろうと考えると、依頼して本当によかったと思います。老後資金の助けとして大切に使っていきたいと考えています。本当にありがとうございました。
ご依頼者からのお手紙
示談が成立すると、あとから撤回や再交渉をすることは原則的にできません。「本来ならもっと多い慰謝料を受け取れていたのに…」と後悔しないためにも、弁護士への依頼も検討してみてください。
弁護士費用特約を使えば費用負担なく弁護士に依頼できる
弁護士への依頼を検討するとき気になるのが、弁護士費用がかかることです。
しかし、弁護士費用特約を使えば、基本的に弁護士費用を合計300万円まで、相談料を合計10万円まで、保険会社に負担してもらえます。
最終的な獲得金額がよほど高額にならない限り、弁護士費用が300万円を超えることは珍しいです。つまり、弁護士費用特約を使えば、基本的に費用負担なしで弁護士に依頼できると言えます。

任意保険に加入している本人(記名被保険者)だけではなく、被保険者の配偶者や親族でも弁護士費用特約を使える場合があります。
また、弁護士費用特約を使用したとしても、任意保険のノンフリート等級が下がり、翌年以降の保険料が上がることは基本的にありません。
弁護士費用特約を使える状況ならば、積極的に使って弁護士に示談交渉などを任せるとよいでしょう。弁護士費用特約について詳しくは、『交通事故の弁護士特約とは?使い方・使ってみた感想やデメリットはあるかを解説』の記事が参考になります。
無料相談のみの利用もOK!アトムの電話・LINE相談
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アトム法律事務所では、電話・LINEによる弁護士への無料相談を受け付けています。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

