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交通事故の慰謝料は通院日数より治療期間で計算!相場はいくら?

更新日:

交通事故 慰謝料と通院日数

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

交通事故にあい入院・通院した人の中には、次のような疑問を持つ人が多いです。

「交通事故の慰謝料って通院日数で決まるの?」
「通院日数を増やせば慰謝料も増えるの?」

確かに交通事故慰謝料のうち「入通院慰謝料」は、通院日数をもとに計算されることがあります。しかし、通院日数ではなく治療期間をもとに計算した金額の方が正しいので、通院日数に基づく金額で合意してしまうと損してしまう可能性が高いです。

また、後遺症に関する慰謝料・損害賠償金は、通院日数や治療期間が少ないともらえないことがあります。
この記事では慰謝料と通院日数・治療期間の関係について解説していくので、しっかり確認しておきましょう。

目次

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慰謝料と通院日数の関係は?

交通事故の慰謝料には3つの種類があります。
まずは、各慰謝料と通院日数・治療期間の関係を紹介していきます。

入通院慰謝料|通院日数・治療期間をもとに計算

入通院慰謝料は、交通事故でケガを負ったことによる身体的・精神的苦痛を補償するもので、傷害慰謝料と呼ばれることもあります。

しかし、苦痛の大きさは目には見えませんし、感じ方にも個人差があります。
そこで、入通院慰謝料は実通院日数や治療期間を基準に金額が計算されます。

つまり、実通院日数や治療期間による影響を大いに受けるということです。

実通院日数実際に病院に通院した日数
治療期間基本的には治療開始日~治癒・症状固定日まで

実通院日数をもとに金額を計算するか、治療期間をもとに金額を計算するかは場合によってさまざまですが、基本的には実通院日数よりも治療期間の方が重要です。

この点については、のちほど入通院慰謝料の計算方法を解説するときに合わせて説明します。

後遺障害慰謝料|通院日数や治療期間が影響することも

後遺障害慰謝料は、交通事故によって後遺障害が残ったことによる身体的・精神的苦痛に対して支払われるものです。

後遺障害慰謝料の金額は、下で紹介する表からもわかる通り、後遺症に対して認定される「後遺障害等級」に応じて決められます。よって、通院日数や治療期間が金額に直接影響することはありません。

ただし、通院日数が少なすぎたり治療期間が短すぎたりすると、後遺障害等級が認定されず、後遺障害慰謝料の請求ができない可能性があります。

つまり、通院日数や治療期間は、後遺障害慰謝料がもらえるか、もらえないかという点に影響する可能性があるということです。

後遺障害等級と慰謝料額

自賠責基準は最低限の金額、弁護士基準は過去の判例に基づく金額です。

等級 自賠責基準*弁護士基準
1級・要介護1,650
(1,600)
2,800
2級・要介護1,203
(1,163)
2,370
1級1,150
(1,100)
2,800
2級998 (958)2,370
3級861 (829)1,990
4級737 (712)1,670
5級618 (599)1,400
6級512 (498)1,180
7級419 (409)1,000
8級331 (324)830
9級249 (245)690
10級190 (187)550
11級136 (135)420
12級94 (93)290
13級57 (57)180
14級32 (32)110

※慰謝料の単位:万円
※()内の金額は2020年3月以前に発生した交通事故に適用

死亡慰謝料|通院日数・治療期間に左右されない

交通事故の慰謝料にはもうひとつ、死亡慰謝料があります。これは、事故によって死亡した被害者とその家族に対して支払われるものです。

死亡慰謝料の金額は、亡くなった被害者が家庭で果たしていた役割や扶養の有無によって決まるので、通院日数や治療期間は関係ありません。

ただし、死亡までの間に入通院期間があった場合は、入通院慰謝料も請求できます。

死亡慰謝料の相場

被害者自賠責弁護士
一家の支柱400(350)2,800
母親・配偶者400(350)2,500
独身の男女400(350)2,000~2,500
子ども400(350)2,000~2,500
幼児400(350)2,000~2,500
以下は該当する場合のみ
+ 遺族1名550
+ 遺族2名650
+ 遺族3名以上750
+ 被扶養者あり200

※慰謝料の単位:万円
※※遺族:被害者の配偶者、子、両親(認知した子、義父母などを含む)
※※※( )内の金額は2020年3月31日以前に発生した交通事故に適用

自賠責基準とは、交通事故被害者に補償される最低限の金額を指します。
弁護士基準は、弁護士や裁判所が慰謝料を計算する場合に用いる基準です。

入通院慰謝料は通院日数・治療期間で金額が決まる

交通事故慰謝料のうち、入通院慰謝料は実通院日数や治療期間の影響を大いに受けると解説しました。
また、実通院日数よりも治療期間の方が重要だともお伝えしたので、それについて詳しく解説していきます。

交通事故慰謝料の3つの算定基準が解説のカギとなるので、まずは3つの算定基準の話から始めましょう。

慰謝料には3つの算定基準がある

交通事故の慰謝料には自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準という3つの算定基準があり、それぞれで計算方法が違います。

まずは、3つの算定基準の概要について確認しておきましょう。

自賠責基準とは

自賠責基準は、加害者側の自賠責保険会社が用いる慰謝料損害算定方法で、自動車損害賠償保障法によって定められています。

自賠責保険は自動車の運転手に加入が義務付けられているもので、被害者救済のため最低限の補償を行うことを目的としています。
よって、自賠責基準による慰謝料額は3基準の中でもっとも低くなっています。

なお、自賠責保険からの支払額には上限があり、入通院慰謝料・治療費・休業損害といった傷害分の費目であれば、上限は120万円です。上限を超す部分は加害者側の任意保険会社または加害者自身に請求しなければなりません。

自賠責保険の上限額については、『自賠責保険から慰謝料はいくらもらえる?』で詳しく解説しています。

任意保険基準とは

任意保険基準は加害者側の任意保険会社が独自に設定している慰謝料損害算定方法です。

交通事故の慰謝料額は、加害者側の任意保険会社との示談交渉で決められます。
この示談交渉時に、加害者側の任意保険会社から提示されるのが任意保険基準の金額なのです。

示談交渉を経て慰謝料やその他の賠償金額が決まったら、自賠責保険の上限額までは相手方自賠責保険会社から、それを超える部分は相手方任意保険会社から支払われます。

任意の自動車保険と自賠責保険の関係

ただし、任意保険に加入義務はありません。
事故相手が任意保険未加入(無保険)の場合、示談交渉相手や自賠責保険の上限額を超える金額の支払元は加害者本人となります。

示談交渉に応じてもらえなかったり、示談金の支払いを踏み倒されたりするリスクがあるので、関連記事『交通事故の相手が無保険ならどうする?』にて注意点や対処法をご確認ください。

弁護士基準とは

弁護士基準(裁判基準)は、弁護士や裁判所が用いる慰謝料算定方法で、詳しい内容は書籍『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』(別称:赤い本)に掲載されています。

過去の判例をもとにして定められた基準なので、3つの算定基準の中でもっとも高額かつ法的正当性の高い金額と言えます。
目安としては、任意保険基準の2倍~3倍程度といわれることが多いです。

交通事故被害者は、弁護士基準の金額獲得を目指すべきといえるでしょう。

慰謝料金額相場の3基準比較

交通事故慰謝料の3つの算定基準について理解したところで、各基準における入通院慰謝料の計算方法を見ていきましょう。
基準によって、通院日数を用いるのか、治療期間を用いるのかが違います。

自賠責基準で計算|実通院日数か治療期間を用いる

自賠責基準における入通院慰謝料の計算では、実通院日数を用いる場合と治療期間を用いる場合があります。

自賠責基準|慰謝料の計算式

  • 日額(4300円) × 対象日数
  • 対象日数は、次のうちどちらか短い方とする
    • 治療期間
    • 実際に治療した日数×2

なお、自賠責基準における治療期間は、必ずしも「治療開始日~完治・症状固定日」とはなりません。
起算日と終了日については次のような考え方をするので、注意してください。

治療期間の起算日

  • 交通事故後、7日以内に治療を開始:事故日を起算日とする
  • 交通事故の8日後以降に治療を開始:治療開始日の7日前を起算日とする

治療期間の終了日

  • 治療最終日から7日以内に治癒とされた:治癒日を終了日とする
  • 治療最終日の8日後以降に治癒とされた:治癒日の7日前を終了日とする
  • 症状固定と診断された:症状固定日を終了日とする

自賠責基準については、他にも過失相殺や素因減額などに関して特殊な扱いがあります。
詳しくは『自賠責の交通事故慰謝料|7日加算・限度額・過失相殺も徹底解説!』を確認してみてください。

自賠責基準の慰謝料計算例

治療期間3ヶ月、実通院日数が50日の慰謝料を自賠責基準で計算してみます。

  • 治療期間は90日、実通院日数×2は100日なので、日額に90日をかける
  • 90 日× 4,300円=38万7,000円

任意保険基準で計算|保険会社ごとに異なる

任意保険基準による計算方法は、各保険会社の独自ルールとなっており、詳しい計算方法は公開されていません。これまでの傾向では、自賠責基準とほとんど同じ水準か、やや自賠責基準を上回る程度の金額になります。

以下は、かつて全ての任意保険会社に適用されていた「旧任意保険支払基準」で、治療期間から金額を算出するようになっています。

今でも任意保険会社の支払基準として採用されている場合もありますので参考にしてください。

旧任意保険支払基準による入通院慰謝料
旧任意保険支払基準による入通院慰謝料

任意保険基準についてより詳しく知りたい場合は、『交通事故慰謝料の「任意保険基準」とは?』もご覧ください。

任意基準の慰謝料計算の仕方

旧任意保険支払基準の表の見方を説明します。

旧任意保険支払基準表は、よこ軸が入院期間、たて軸が通院期間を示します。
月は30日単位になります。

入院60日・通院120日の場合は、入院2月・通院4月の交わる89万5,000円が慰謝料です。

ただし、繰り返しになりますが、あくまで旧任意保険支払基準を利用した金額ですので、相手方の支払基準しだいで金額は変わります。

弁護士基準で計算|治療期間を用いるが例外もある

弁護士基準でも、旧任意保険基準と同じような表を使い、治療期間をもとに入通院慰謝料を算定します。

ただし、弁護士基準の場合は重傷用の表と軽症用の表とに分かれています。

基本的には重傷用の算定表を使い、むちうち(頸椎捻挫・腰椎捻挫など)・打撲などの比較的軽度のケガに関しては軽傷用の算定表で金額を算定しましょう。

弁護士基準の慰謝料算定表(重傷)

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

弁護士基準の慰謝料算定表(軽傷)

軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表

実通院日数よりも治療期間が重要な理由

すでにお伝えした通り、最も高額かつ正当な慰謝料額は弁護士基準に基づいたものです。
そしてその弁護士基準の金額は、原則として実通院日数ではなく治療期間で計算されます。

入通院慰謝料において実通院日数よりも治療期間の方が重要というのは、こうした事情があるためです。

ただし、弁護士基準の場合、治療期間に対してあまりにも実通院日数が少ないと、治療期間ではなく「実通院日数の3.5倍(軽症の場合は3倍)」を用いて慰謝料を算定することがあります。

よって、通院日数もまったく気にしなくて良いというわけではありません。

弁護士基準における計算方法については、『交通事故の慰謝料は弁護士基準で計算!』でも詳しく解説しているのでご覧ください。

弁護士基準の慰謝料計算の仕方

慰謝料を弁護士基準で計算する時には、次のようなステップを踏みます。

  1. ケガが重傷か軽傷かを検討する
    むちうち・打撲・打ち身・擦り傷などは軽傷に分類
  2. 入院期間と通院期間の日数を把握する
  3. 30日を1月として、入院・通院の月数を求める
    入院60日なら入院2月、通院30日なら通院1月
  4. 入院月と通院月の交わるところが入通院慰謝料になる

  • 骨折で入院30日、通院150日
    骨折は重傷の慰謝料算定表を使います。
    入院30日は1月、通院150日は5月なので、入通院慰謝料は141万円です。

なお、通院期間や入院期間に端数がある場合は、日割り計算が必要になります。
以下の計算機からも弁護士基準の慰謝料額がわかるので、使ってみてください。

慰謝料が通院日数・治療期間以上の金額になるケース

入通院慰謝料は、実通院日数や治療期間から算出した相場よりも増額される可能性があります。
慰謝料の増額事由となりうるケースの具体例は、以下の通りです。

(1)事故時・入通院時の苦痛が特に大きいと判断される場合

次のような、事故時・入通院時の苦痛が特に大きいと判断される場合は、入通院慰謝料が増額される可能性があります。

  • 生死が危ぶまれる状態が継続した
  • 麻酔なしでの手術を余儀なくされた
  • 手術を何度も繰り返して受けた

慰謝料の基準額や相場はあくまで目安です。
だからこそ、示談交渉では慰謝料額をめぐって争いになりやすいと言えます。
被害者一人ひとりの事情を反映させた妥当な金額とするためには、これまでの判例やノウハウをもつ経験豊富な弁護士への依頼をおすすめします。

(2)加害者の責任が極めて大きいと判断される場合

加害者の態度が悪質である場合や、運転が正常でなかった場合には、加害者に重大な過失があると判断され、慰謝料増額が認められる可能性があります。具体的には次のようなケースです。

  • 加害者が虚偽の証言や暴言を繰り返して事故の解決が進まない
  • 加害者の故意により交通事故が引き起こされた
  • 加害者の異常な運転によって事故が起きた

通院日数・治療期間の数え方

すでに解説した通り、基本的に通院日数とは実際に病院に通院した日数、治療日数とは治療開始日~治癒・症状固定日までのことを指します。

また、自賠責基準では治療日数の数え方に注意が必要であることもお伝えしました。
ここではさらに、通院日数や治療期間の数え方についてよくある質問にお答えしていきます。

リハビリで通院した場合は通院日数・治療期間に含まれる?

リハビリ目的の通院も通院日数・治療期間に含めることが可能です。

例えば、骨折箇所の骨自体がくっついても、動かしづらさが残っている場合はリハビリをして、動かしやすくなるようにしなければなりません。
このように、リハビリは事故にあう前の状態に戻す「治療」の一環であるため、リハビリ通院も治療日数に数えることができるのです。

ただし、症状固定後(状態がこれ以上良くならないと主治医に判断された後)のリハビリや、相手方と示談をした後のリハビリに関しては、原則慰謝料・治療費の対象外となります。

リハビリ期間に対する慰謝料・損害賠償金については『交通事故の慰謝料はリハビリでももらえる!』で詳しく解説しているのでご覧ください。

事故当日に念のため受診した日も通院日数・治療期間に含まれる?

交通事故にあった日に念のため通院した場合も通院日数や治療期間に含まれます。
慰謝料はもちろん、治療費や通院交通費も1日から請求できます。

1日で病院をはしごした場合の通院日数・治療期間の数え方は?

1日における通院回数が複数となっても、通院日数や治療期間は1日としてカウントします。
1日に2回通院したからといって、通院日数を2日と考えることはありません。

ただし、治療費に関しては、受診目的(治療箇所・治療部位)が異なる場合は、それぞれの受診先でかかった治療費の請求が認められます。

治療期間・通院日数が実際よりも多く数えられることはある?

次のような場合は事情を勘案し、実際の通院日数や治療期間にみなしの日数が加算されたり、実際には入院していなくても入院日数にカウントされたりすることがあります。

  • ギプスをつけるなど絶対安静で自宅療養していた
  • 育児のために幼い子を持つ母親が退院時期を早めた
  • どうしても仕事に穴があけられずに早く退院した
  • 病院が満床で入院待期期間があった

ただし、相手側が率先して事情を汲み、治療期間や通院日数を多めに数えてくれるとは限りません。
事情があって治療期間・通院日数が短くなった場合は、被害者側から事情を考慮してもらうよう主張することが重要です。

治療期間1ヶ月~9ヶ月の慰謝料額一覧表

入通院慰謝料の計算方法がわかったところで、通院1ヶ月~9ヶ月までの入通院慰謝料を表にして紹介します。
なお、通院頻度が低いと入通院慰謝料が減額される可能性もあるので、注意すべき通院頻度についても言及していきます。

(1)通院1ヶ月・2ヶ月・3ヶ月の慰謝料

通院1ヶ月・通院2ヶ月・通院3ヶ月の慰謝料を、弁護士基準で計算すると次の通りです。

入通院慰謝料の相場(弁護士基準)

通院期間重傷軽傷
1ヶ月2819
2ヶ月5236
3ヶ月7353

※慰謝料の単位:万円

通院1ヶ月のとき、重傷なら28万円、軽傷なら19万円が相場です。通院2ヶ月ならば重傷時52万円、軽傷時36万円が相場です。通院3ヶ月では重傷時73万円、軽傷時には53万円が相場です。入院期間があればさらに増額される可能性があります。

通院頻度が少ない場合のリスク

弁護士基準は治療期間を重視しますが、治療が長期間にもかかわらず通院日数が少ないと、治療内容や怪我の状況なども踏まえて減額される可能性もあります。
具体的には、通院3ヶ月なら実通院30日未満の場合に減額のリスクがあります。

それぞれの治療期間について、もっと詳しい慰謝料計算の方法・相場を知りたい方は、関連記事をお役立てください。

(2)通院4ヶ月・5ヶ月・6ヶ月の慰謝料

通院4ヶ月・通院5ヶ月・通院6ヶ月の慰謝料を、弁護士基準で計算すると次の通りです。

入通院慰謝料の相場(弁護士基準)

通院期間重傷軽傷
4ヶ月9067
5ヶ月10579
6ヶ月11689

※慰謝料の単位:万円

通院4ヶ月の慰謝料相場は、重傷時で90万円、軽傷時で67万円です。通院5ヶ月では重傷時105万円、軽傷時79万円が慰謝料相場です。通院6ヶ月では重傷時116万円、軽傷時には89万円が相場です。入院期間があればさらに増額される可能性があります。

通院頻度が少ない場合のリスク

治療が長期にわたる場合には、通院頻度、治療内容、症状などから総合的に判断されて相場から減額されることもあります。治療が長期化するほど、加害者側の保険会社は通院頻度に注目することを覚えておきましょう。

具体的には、通院4ヶ月なら実通院40日未満、通院5ヶ月なら実通院50日未満、通院6ヶ月なら実通院60日未満の時、減額のリスクがあります。

それぞれの治療期間について、もっと詳しい慰謝料計算の方法・相場を知りたい方は、関連記事をお役立てください。

(3)通院7ヶ月・8ヶ月・9ヶ月の慰謝料

通院7ヶ月・通院8ヶ月・通院9ヶ月の慰謝料を、弁護士基準で計算すると次の通りです。

入通院慰謝料の相場(弁護士基準)

通院期間重傷軽傷
7ヶ月12497
8ヶ月132103
9ヶ月139109

※慰謝料の単位:万円

7ヶ月通院した時の慰謝料は、重傷時で124万円、軽傷時で97万円程度が相場です。通院8ヶ月なら重傷時には132万円、軽傷時には103万円が相場となります。通院9ヶ月では重傷で139万円、軽傷で109万円程度が相場とされます。入院期間があればさらに増額される可能性があります。

通院頻度が少ない場合のリスク

通院7ヶ月・8ヶ月・9ヶ月という長期の治療期間に対して、通院の頻度、治療内容、症状が見合っているのか注意しましょう。治療期間に対して通院頻度などが見合っていないと判断されると、慰謝料が相場から減額される可能性もあります。

具体的には、通院7ヶ月なら実通院70日未満、通院8ヶ月なら実通院80日未満、通院9ヶ月なら実通院90日未満の時、相場通りの金額が認められない恐れがあります。

それぞれの治療期間について、もっと詳しい慰謝料計算の方法・相場を知りたい方は、関連記事をお役立てください。

後遺障害慰謝料と通院日数・治療期間の関係

次に、後遺障害慰謝料と通院日数・治療期間の関係について解説していきます。
後遺障害慰謝料の場合は、金額というよりも「もらえるか、もらえないか」という部分に関わってくるので、しっかり確認していきましょう。

通院日数が少ないと、慰謝料がもらえないことも

交通事故で後遺症が残り、後遺障害慰謝料をもらうためには、「後遺障害等級」の認定を受けなければなりません。
しかし、治療期間に対して通院日数が少ない、つまり通院頻度が低すぎると、以下の理由から等級認定の審査に落ちてしまう可能性があります。

  • 被害者がもっと積極的に通院していれば完治したはずのケガなのではないか
  • 少ない通院日数で良かったということは、後遺障害等級に該当するほどの症状ではないのではないか

なお、後遺障害等級が認定されないと、後遺障害慰謝料のみならず「後遺障害逸失利益」ももらえなくなります。

後遺障害逸失利益

後遺障害が労働能力に影響することで減ってしまう、生涯収入に対する補償。

関連記事:逸失利益の計算|後遺障害14級や12級の逸失利益はいくら?

医師から指示された通院日数は必ず守り、治療に対して消極的だと判断されないよう注意しましょう。

治療期間が6ヶ月未満だと慰謝料がもらえない可能性が高い

たとえ適切な頻度で通院していても、治療期間が6ヶ月未満で症状固定となっていると、後遺障害等級が認定されず、後遺障害慰謝料がもらえない可能性が高いです。

脚の切断など、治療期間にかかわらず明らかに後遺症が残っていると判断できる場合は別ですが、基本的には治療期間6ヶ月未満の後遺症で後遺障害等級の認定を受けるのは難しいのです。

とくにむちうちは治療期間6ヶ月未満になりやすい

交通事故ではむちうちになる被害者が多く、中にはしびれや痛みといった後遺症が残る人もいます。
しびれや痛みといった後遺症が残ると、後遺障害12級13号に認定されれば290万円、後遺障害14級9号に認定されれば110万円の後遺障害慰謝料がもらえます。

等級認定のポイント
12級14号しびれや痛みの残存が、各種検査結果など他覚的根拠を以て証明できる
関連記事:後遺障害12級の認定をとる方法と認定基準
14級9号しびれや痛みの残存が、医学的に推測できる
関連記事:後遺障害14級の主な症状と等級認定のポイント

しかし、むちうちの平均的な治療期間は3ヶ月であり、6ヶ月に満たないことが多いです。
むちうちの後遺症は外からは見えず、自覚症状がメインとなるので、治療期間6ヶ月未満で後遺障害等級の認定を受けるのは非常に厳しいと言わざるをえません。

治療期間が6ヶ月未満でまだ症状が残っている場合は、通院治療を継続してみましょう。そして通院6ヶ月後も治らない場合は、主治医の見解をたずねてみてください。

後遺障害慰謝料が相場以上になるケース

被害者に残った後遺障害が死にも比肩すると判断される場合、別途親族への慰謝料が認められ、結果として相場以上の金額が得られる可能性があります。
実際の事例を見てみましょう。

脳挫傷後の後遺障害(1級1号)の中学生(女・固定時15歳)につき、(略)本人分2800万円、子の将来の成長への楽しみを奪われ将来に不安を抱きながら介護する生活を余儀なくされた父母各500万円、後遺障害分合計3800万円を認めた

事故日平15.8.7 金沢地判平18.10.11 自保ジ1705・2

ただし、被害者の後遺障害に関して家族分の慰謝料を請求するのは、容易ではありません。
家族分の慰謝料も請求したい場合は、一度弁護士に相談することをおすすめします。

後遺障害認定の申請フロー|慰謝料獲得のため必須

後遺障害認定を受けるには、これから紹介する手続きによって、次の4つの条件を満たしていることを審査機関に証明しなければなりません。

  1. 傷病と交通事故に因果関係がある
  2. 将来的に回復が見込めない
  3. 医学的に後遺障害の残存が認められる
  4. 労働能力の喪失を伴う

後遺障害認定を受けるための申請方法は、次の2通りです。

  1. 事前認定
  2. 被害者請求

事前認定とは、加害者側の任意保険会社に申請の大部分を任せる方法です。
被害者が「後遺障害診断書」を医師に作成してもらい、加害者側の任意保険会社に提出すると、残りの書類集めや手続きは加害者側の任意保険会社がしてくれます。

しかし、加害者側の任意保険会社が必ずしも被害者の立場を考えて全力を尽くしてくれるとは限りません。
また、想定している結果が得られなかった時、「加害者側の任意保険会社に不備があったのではないのか?」と不満や後悔が残るかもしれません。

こうした点から、基本的には「被害者請求」の方がおすすめです。

被害者請求のメリット

被害者請求では、被害者側がすべての必要書類を用意し、加害者側の自賠責保険会社に提出します。するとそこから、書類が審査機関に渡る仕組みです。

書類準備の手間はかかりますが、すべての書類に被害者が関与できるので、事前認定よりも結果に納得がしやすいといったメリットがあります。

また、必要に応じて追加書類を添付することで、より詳細に後遺症の症状・状態をアピールする工夫もできます。

被害者請求の流れ

被害者請求のフロー

  1. 医師に後遺障害診断書を作成してもらう
  2. 被害者自身が全ての必要書類をそろえる
  3. 必要書類(後遺障害診断書含む)を相手の自賠責保険会社に提出
  4. 損害保険料率算出機構で審査
  5. 相手の自賠責保険会社から審査結果が届く

弁護士は、手間のかかる被害者請求のサポートも行っております。
後遺障害認定には、被害者請求と弁護士依頼のセットで、納得のいく結果を目指しましょう。

関連記事

後遺障害申請は被害者請求と弁護士依頼が正解

被害者が通院・治療期間中に気を付けること

続いて、交通事故の被害者が通院・治療期間中に気を付けるべきことを解説していきます。
通院・治療期間中は、知らない間に慰謝料減額につながる原因を作ってしまいがちです。

ここで慰謝料の減額原因を作ってしまうと、あとからいくら示談交渉を頑張っても挽回できない可能性があるので注意しましょう。

ひと月に10日以上の通院頻度が望ましい

弁護士基準では、入院期間や通院期間をもとに慰謝料を算定します。
しかし、例えば通院8ヶ月中に10日間通院した人と、120日通院した人とでは、同じ慰謝料は認められるでしょうか。

あまりにも通院頻度が低いと、「もうケガは治っているのではないか」や「適切な治療を受けていないから長引いているのではないか」など疑われてしまい、慰謝料が減額される可能性があります。

通院は継続的に行い、最低でも1ヶ月(30日間)のうち10日間は通院するようにしましょう。
現時点での通院日数が少なくてお困りの方・ご不安がある方は、一度弁護士にお話を聞かせてください。

通院中は示談や慰謝料の交渉に応じない

事故現場や通院治療の途中で相手方から示談を持ち掛けられても応じてはいけません。

示談

民事上の争いごとについて、裁判ではなく当事者間の話し合いによって解決すること。

示談を始めるのは、どんなに早くても通院治療が終了してからです。
そうでなければ治療費や慰謝料、休業損害などの金額が確定しませんし、後遺障害が残るかどうかもまだわかりません。

一度示談を結ぶと、原則、後から追加の賠償請求・示談内容の修正をすることは不可能です。
「後遺症のことは別途協議する」という一文を入れたうえで示談することも可能ですが、基本的にはすべての損害が明らかになってから開始しましょう。

また、交通事故の示談は口頭の合意でも成立しますが、あとから示談内容をめぐって争いになる可能性があるので、示談書を作成することが重要です。

示談とはそもそも何か、スムーズな示談をむかえるためのポイント・注意点は、関連記事『交通事故の示談前に読もう!知られざる示談成功のヒミツ』を読んで知っておきましょう。

治療費の打ち切りは安易に受け入れない

加害者側の保険会社から治療費の打ち切りを提案されても、ただちに受け入れる必要はありません。まだ治療が必要なのに治療終了としてしまうと、以下のデメリットが生じる可能性があります。

  • 治療期間が短くなるので、入通院慰謝料が減る
  • 後遺症が残っても後遺障害等級が認定されず、後遺障害慰謝料がもらえないリスクが高まる

治療費の打ち切りを打診されたら、まずは医師に相談をして、治療の必要性を確かめましょう。
そして、主治医から「まだ治療が必要である」と判断を受けた場合は、加害者側の保険会社にその内容を伝えて、治療費の支払い継続を交渉してください。

治療費打ち切りの延長が叶わなかった場合は、健康保険や被害者自身の保険を使って、出費を抑えながら通院を続けなくてはなりません。治療費の領収書などは無くさずに保管しておき、示談交渉時に立て替えておいた治療費を請求しましょう。

整骨院・接骨院は2ヶ所に事前相談

むちうちなど軽いケガの場合は、立地や営業時間の観点から、整形外科よりも整骨院・接骨院の方が通いやすいと感じる人もいるでしょう。

事故被害者が整骨院・接骨院を利用した費用も、加害者側に請求可能です。
しかし、整骨院・接骨院は病院ではないので、かかった費用の請求をめぐって加害者側とトラブルになる場合もあります。

スムーズに費用を請求するためには、主治医に整骨院・接骨院利用が適当であると認めてもらうこと相手方の保険会社に事前連絡を入れることがポイントです。

整骨院を利用する際の注意点については『交通事故で整骨院に通院!整形外科との違い、慰謝料請求する際の注意点』の記事をご覧ください。

慰謝料以外に請求できる費目も把握しておく

入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料という3つの慰謝料は、被害者の精神的損害に対する金銭です。
しかし、被害者が損害賠償請求するべきお金は精神的損害だけでなく多岐にわたります。

相手方から提示される示談金の内訳には漏れがある可能性もあるので、通院・治療期間中に被害者側でも請求できる費目を確認しておきましょう。

損害賠償請求すべきお金

  • 入通院慰謝料
  • 応急手当費、診察料
  • 投薬料、手術費用
  • 通院交通費、転院・入退院費
  • 看護料(入院中および自宅)
  • 入院費用・入院雑費
  • 柔道整復等の費用(整骨院・接骨院など)
  • 松葉づえ・義肢・歯科補てつなど装具費
  • 診断書作成費用
  • 休業損害
  • 後遺障害慰謝料
  • 逸失利益
  • 介護費用(将来介護費)
  • 死亡慰謝料、死亡逸失利益
  • 葬儀費用
  • 修理費用

もし既に示談の提案を受けているなら、請求漏れがないかを調べることをおすすめします。

セルフチェックができる「人身事故損害賠償請求チェックリスト」をご活用ください。そして、ご不明点等ございましたらお気軽に弁護士にお問い合わせください。

損害賠償請求のチェックリスト

交通事故の示談金についてもっと詳しく知りたい方は『交通事故の示談金相場は?計算方法・増額・交渉の注意点』をあわせてお読みください。

慰謝料のお見積りは実績豊富なアトム法律事務所まで

最後に、アトム法律事務所のご紹介です。
弁護士費用がネックだと思われやすいですが、弁護士費用を実質無料にする方法もあるので、最後まで確認してみてください。

弁護士基準の慰謝料獲得に弁護士は必要

アトム法律事務所は、交通事故被害者の方が正当な金額の慰謝料・示談金を獲得できるように努めてまいりました。

この記事でも解説した通り、交通事故の慰謝料には、3種類の算定基準があります。
もっとも高額かつ正当な弁護士基準の金額を得るには、示談交渉で弁護士を立てることが必要です。

被害者自身で示談交渉をした場合、加害者側の提示する任意保険基準に近い金額にならざるを得ないので、示談交渉はぜひ、交通事故問題の実績豊富なアトム法律事務所の弁護士にお任せください。

なお、弁護士に示談交渉を任せるメリットには、慰謝料増額以外にもたくさんあります。
具体的なメリットや相談のタイミングについては以下の関連記事で詳しく解説しているのでご覧ください。

関連記事

弁護士無料相談で期待できる

5つのメリット

慰謝料のメリット

保険会社独自の
低い基準の提示額

裁判所が認める
適正な金額に増額

示談交渉のメリット

保険会社の
言いなりに

示談交渉のプロである
弁護士が交渉窓口

各種手続のメリット

書類や資料を
揃えるのが大変

弁護士にお任せ
スムーズに完了

治療のメリット

示談や手続きに
煩わされる

治療に
専念できる

後遺障害認定のメリット

後遺障害等級が
認定されない・低い

納得のいく
後遺障害等級認定

弁護士費用の負担は大幅に減らせる

弁護士に相談・依頼したくても、弁護士費用がネックだというお声もよく耳にします。
たとえば、「弁護士を雇って慰謝料を増額させても、弁護士費用を支払ったら逆に損をしてしまうんじゃないか」という声です。

ご心配頂く必要はありません。
多くの場合、次のいずれかの方法によって弁護士費用をおさえることができます。

  • 弁護士費用特約があれば自己負担0円で弁護士を雇える
  • 相談料・着手金無料の法律事務所を選ぶ

弁護士費用特約は自動車保険などについている特約で、利用すれば弁護士費用を保険会社に負担してもらえます。

相談料・着手金は、弁護士費用の中でも示談金獲得前に支払わなければならない費用なので、これらが無料であれば、すぐに大きなお金を用意できなくても安心です。

アトム法律事務所では、弁護士費用特約を使っての相談・依頼が可能です。
弁護士費用特約が使えない方の場合は、基本的に相談料・着手金が無料となります。

まずはお気軽に、電話やLINE、メールからご連絡ください。

関連記事

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まとめ

この記事で解説してきたことをまとめると、次の通りです。

  • 慰謝料の本来の相場(弁護士基準)は通院日数ではなく治療期間を重視して計算する
  • 毎日通院したからといって慰謝料は増えない
  • 治療期間が不十分だと、後遺症が残っても後遺障害に対する補償がもらえない可能性がある
  • 保険会社はあくまで保険会社の算定方法で慰謝料を提示しているため、そのまま受け入れてはいけない

交通事故による通院日数・治療期間は、慰謝料額にも影響を及ぼす大切な要素です。
アトム法律事務所の場合、ご相談は初診後から可能です。
すでに示談交渉の段階にある方はもちろん、まだ治療中の方でも、一度お気軽にご連絡ください。

代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点