交通事故の慰謝料は通院日数が影響する?治療期間で計算が重要

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慰謝料と通院日数

交通事故にあい入院・通院した人の中には、次のような疑問を持つ人が多いです。

「交通事故の慰謝料は通院日数で決まる?」
「通院日数を増やせば慰謝料も増える?」

交通事故の慰謝料のうち、「入通院慰謝料」は通院日数が直接的に金額に影響してきます。
ただし、通院日数を増やせば金額が高くなるのではなく、ケガの状況に応じた治療を受けているかどうかが大切です。

また、後遺症に関する「後遺障害慰謝料」は、通院日数が間接的に金額に影響してきます。通院日数や治療期間が少ないと、後遺障害慰謝料がもらえる条件である後遺障害等級が認定されない可能性が高まってしまうのです。

この記事では慰謝料と通院日数・治療期間の関係について解説していくので、しっかり確認しておきましょう。

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通院日数は交通事故の慰謝料に影響する

交通事故の慰謝料は、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料の3つがあります。
この中で、通院日数が影響するのは入通院慰謝料と後遺障害慰謝料です。

ただし、入通院慰謝料は通院日数が直接的に影響しますが、後遺障害慰謝料は通院日数が間接的に影響します。
それぞれどのように通院日数が影響していくのかみていきましょう。

入通院慰謝料は通院日数が直接的に影響する

入通院慰謝料は、交通事故でケガを治療する際の精神的苦痛を補償するものです。入通院慰謝料は、傷害慰謝料と呼ばれることもあります。

精神的苦痛を補償するといっても、苦痛の大きさは目には見えませんし、感じ方にも個人差があるものです。
そこで、実通院日数や治療期間を基準に入通院慰謝料の金額が計算されます。

つまり、入通院慰謝料は実通院日数や治療期間による影響を直接的に受けるということです。

実通院日数実際に病院に通院した日数
治療期間治療開始日~治癒・症状固定日までが基本

実通院日数をもとに慰謝料を計算するか、治療期間をもとに慰謝料を計算するかは、計算に用いる基準によって異なります。

もっとも、基本的には実通院日数よりも治療期間の方が重要になるので、のちほど入通院慰謝料の計算方法を解説するときに合わせて説明します。

後遺障害慰謝料は通院日数が間接的に影響する

後遺障害慰謝料は、交通事故によって後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対して支払われるものです。

後遺症に対して認定される「後遺障害等級」に応じて後遺障害慰謝料の金額が決められているので、通院日数や治療期間による影響を直接的に受けることはありません。

たとえば、最も障害の程度が重い介護を要する後遺障害1級なら2,800万円、最も障害の程度が軽い後遺障害14級なら110万円の後遺障害慰謝料が交通事故の被害者が手にできる妥当な金額として決められています。

ただし、通院日数が少なすぎたり治療期間が短すぎたりすると、後遺障害等級が認定されない事態となってしまうので、そもそも後遺障害慰謝料の請求ができない可能性があります。

つまり、後遺障害慰謝料は通院日数や治療期間による影響を間接的に受けるということです。

入通院慰謝料の計算方法と通院日数の数え方

慰謝料の計算方法は複数|3つの算定基準

交通事故の慰謝料のうち、入通院慰謝料は実通院日数や治療期間の影響を直接的に受けると解説しました。

もっとも、具体的な計算方法を解説する前に、交通事故の慰謝料には自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準という3つの算定基準があることを理解しておく必要があります。

  • 自賠責基準
    自動車損害賠償保障法によって定められ、自賠責保険会社が用いる基準
    3つの算定基準の中で最も低額かつ最低限の補償
  • 任意保険基準
    任意保険会社が独自に設定している、任意保険会社が用いる基準
    自賠責基準と同じ水準か、やや上回る程度の補償
  • 弁護士基準(裁判基準)
    過去の判例をもとにして定められ、弁護士や裁判所が用いる基準
    3つの算定基準の中で最も高額かつ法的正当性の高い金額

これらの基準はそれぞれ計算方法が異なり、金額も違います。

目安として、弁護士基準は自賠責基準や任意保険基準の2倍~3倍程度高額になることが多いといわれています。
そのため、交通事故の被害者は、弁護士基準の金額獲得を目指すべきといえるでしょう。

慰謝料金額相場の3基準比較

3つの算定基準について理解したところで、各基準における入通院慰謝料の計算方法を見ていきましょう。

基準ごとに通院日数の数え方も変わってくるので、あわせて解説します。

自賠責基準は実通院日数か治療期間で計算

自賠責基準における入通院慰謝料の計算では、実通院日数を用いる場合と治療期間を用いる場合があります。

自賠責基準|慰謝料の計算式

  • 日額(4300円) × 対象日数
  • 対象日数は、次のうちどちらか短い方とする
    • 治療期間
    • 実通院日数×2

なお、自賠責基準における治療期間は、必ずしも「治療開始日~完治・症状固定日」とはなりません。
起算日と終了日について下記のような考え方をするので、注意してください。

治療期間の起算日

起算日
事故後、7日以内に治療を開始事故日
事故の8日後以降に治療を開始治療開始日の7日前

治療期間の終了日

終了日
治療最終日から7日以内に治癒治癒日
治療最終日の8日後以降に治癒治癒日の7日前
症状固定と診断症状固定日

自賠責保険の「7日加算」といった治療期間の特殊な扱いについては、関連記事『交通事故の慰謝料の7日加算とは?適用ケースや自賠責保険の慰謝料の特徴』を確認してみてください。

自賠責基準の慰謝料計算例

治療期間3ヶ月、実通院日数50日という事例における慰謝料を自賠責基準で計算してみます。

  • 治療期間3ヶ月は90日、実通院日数50日×2は100日なので、短い方の90日を対象日数に採用する
  • 4,300円×90 日=38万7,000円

任意保険基準は保険会社ごとの基準で計算

任意保険基準による計算方法は、各保険会社の独自ルールとなっており、詳しい計算方法は公開されていません。
これまでの傾向では、自賠責基準とほとんど同じ水準か、やや自賠責基準を上回る程度の金額になります。

以下は、かつて全ての任意保険会社に適用されていた「旧任意保険支払基準」で、治療期間から金額を算出するようになっています。

今でも任意保険会社の支払基準として採用されている場合もありますので参考にしてください。

旧任意保険支払基準による入通院慰謝料
旧任意保険支払基準による入通院慰謝料

旧任意保険支払基準表は、よこ軸が入院期間、たて軸が通院期間を示します。
月は30日単位です。

慰謝料を任意保険基準で計算する時には、次のようなステップを踏みます。

  1. 入院期間と通院期間の日数を把握する
  2. 30日を1月として、入院・通院の月数を求める
    入院60日なら入院2月、通院30日なら通院1月
  3. 入院月と通院月の交わるところが入通院慰謝料になる

任意保険基準の慰謝料計算例

入院60日・通院120日の場合は、入院2月・通院4月の交わる89万5,000円が慰謝料です。

ただし、繰り返しになりますが、あくまで旧任意保険支払基準を利用した金額ですので、保険会社の支払基準しだいで金額は変わります。

任意保険基準についてより詳しく知りたい場合は、『交通事故慰謝料の「任意保険基準」とは?』もご覧ください。

弁護士基準は治療期間(入院・通院期間)で計算

弁護士基準でも、旧任意保険基準と同じような表を使い、治療期間(入院期間と通院期間の合計)をもとに入通院慰謝料を算定します。

ただし、弁護士基準の場合は軽傷用の表と重傷用の表とに分かれています。

基本的には重傷用の算定表を使い、むちうち(頸椎捻挫・腰椎捻挫など)・打撲などの比較的軽度のケガに関しては軽傷用の算定表で金額を算定しましょう。

弁護士基準の慰謝料算定表(軽傷)

軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表

弁護士基準の慰謝料算定表(重傷)

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

弁護士基準の慰謝料算定表は、よこ軸が入院期間、たて軸が通院期間を示します。
月は30日単位です。

慰謝料を弁護士基準で計算する時には、次のようなステップを踏みます。

  1. ケガが重傷か軽傷かを検討する
    むちうち・打撲・打ち身・擦り傷などは軽傷に分類
  2. 入院期間と通院期間の日数を把握する
  3. 30日を1月として、入院・通院の月数を求める
    入院60日なら入院2月、通院30日なら通院1月
  4. 入院月と通院月の交わるところが入通院慰謝料になる

弁護士基準の慰謝料計算例

骨折で入院30日・通院150日の場合は、重傷の慰謝料算定表を使い、入院1月・通院5月の交わる141万円が慰謝料です。

なお、通院期間や入院期間に端数がある場合は、日割り計算が必要になります。
以下の自動計算機からも弁護士基準の慰謝料額がわかるので、使ってみてください。

実通院日数よりも治療期間が重要な理由

すでにお伝えした通り、最も高額かつ正当な慰謝料額は弁護士基準に基づいたものです。
そして、弁護士基準の金額は、原則として実通院日数ではなく治療期間で計算されます。

入通院慰謝料において実通院日数よりも治療期間の方が重要というのは、こうした事情があるためです。

ただし、弁護士基準の場合、治療期間に対してあまりにも実通院日数が少ないと、治療期間ではなく「実通院日数の3.5倍(軽症の場合は3倍)」を用いて慰謝料を算定することがあります。

よって、通院日数もまったく気にしなくて良いというわけではありません。

弁護士基準における計算方法については、『交通事故の慰謝料は弁護士基準で請求』でも詳しく解説しているのでご覧ください。

入通院慰謝料が増額されるケース

入通院慰謝料は、実通院日数や治療期間から算出した相場よりも増額される可能性があります。
慰謝料の増額事由となりうるケースの具体例は、以下の通りです。

  • 事故時・入通院時の苦痛が特に大きいと判断される場合
    • 生死が危ぶまれる状態が継続した
    • 麻酔なしでの手術を余儀なくされた
    • 手術を何度も繰り返して受けた
  • 加害者の責任が極めて大きいと判断される場合
    • 加害者が虚偽の証言や暴言を繰り返して事故の解決が進まない
    • 加害者の故意により交通事故が引き起こされた
    • 加害者の重過失によって事故が起きた(無免許、ひき逃げ、飲酒運転、著しいスピード違反・信号無視・薬物を服用しての運転)
      関連記事:飲酒運転は事故被害者の慰謝料が相場より増額される

慰謝料の基準額や相場はあくまで目安です。
だからこそ、示談交渉では慰謝料額をめぐって争いになりやすいと言えます。
被害者一人ひとりの事情を反映させた妥当な金額とするためには、過去の判例の知識やノウハウをもつ経験豊富な弁護士への依頼をおすすめします。

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【通院日数別】通院1~9ヶ月の慰謝料一覧表

入通院慰謝料の計算方法がわかったところで、通院1ヶ月~9ヶ月までの入通院慰謝料を表にして紹介します。
なお、通院頻度が低いと入通院慰謝料が減額される可能性もあるので、注意すべき通院頻度についても言及していきます。

(1)通院1ヶ月・2ヶ月・3ヶ月の慰謝料

通院1ヶ月・通院2ヶ月・通院3ヶ月の慰謝料を、弁護士基準で計算すると次の通りです。

入通院慰謝料の相場(弁護士基準)

通院期間重傷軽傷
1ヶ月28万円19万円
2ヶ月52万円36万円
3ヶ月73万円53万円

入院期間があればさらに増額される可能性があります。

通院頻度が少ない場合のリスク

弁護士基準は治療期間を重視しますが、治療が長期間にもかかわらず通院日数が少ないと、治療内容やケガの状況なども踏まえて減額される可能性もあります。
具体的には、通院3ヶ月なら実通院30日未満の場合に減額のリスクがあります。

それぞれの治療期間について、さらに詳しい慰謝料計算の方法・相場を知りたい方は、関連記事をお役立てください。

(2)通院4ヶ月・5ヶ月・6ヶ月の慰謝料

通院4ヶ月・通院5ヶ月・通院6ヶ月の慰謝料を、弁護士基準で計算すると次の通りです。

入通院慰謝料の相場(弁護士基準)

通院期間重傷軽傷
4ヶ月90万円67万円
5ヶ月105万円79万円
6ヶ月116万円89万円

入院期間があればさらに増額される可能性があります。

通院頻度が少ない場合のリスク

治療が長期にわたる場合には、通院頻度、治療内容、症状などから総合的に判断されて相場から減額されることもあります。治療が長期化するほど、加害者側の保険会社は通院頻度に注目することを覚えておきましょう。

具体的には、通院4ヶ月なら実通院40日未満、通院5ヶ月なら実通院50日未満、通院6ヶ月なら実通院60日未満の時、減額のリスクがあります。

それぞれの治療期間について、さらに詳しい慰謝料計算の方法・相場を知りたい方は、関連記事をお役立てください。

(3)通院7ヶ月・8ヶ月・9ヶ月の慰謝料

通院7ヶ月・通院8ヶ月・通院9ヶ月の慰謝料を、弁護士基準で計算すると次の通りです。

入通院慰謝料の相場(弁護士基準)

通院期間重傷軽傷
7ヶ月124万円97万円
8ヶ月132万円103万円
9ヶ月139万円109万円

入院期間があればさらに増額される可能性があります。

通院頻度が少ない場合のリスク

通院7ヶ月・8ヶ月・9ヶ月という長期の治療期間に対して、通院の頻度、治療内容、症状が見合っているのか注意しましょう。治療期間に対して通院頻度などが見合っていないと判断されると、慰謝料が相場から減額される可能性もあります。

具体的には、通院7ヶ月なら実通院70日未満、通院8ヶ月なら実通院80日未満、通院9ヶ月なら実通院90日未満の時、相場通りの金額が認められない恐れがあります。

それぞれの治療期間について、さらに詳しい慰謝料計算の方法・相場を知りたい方は、関連記事をお役立てください。

通院日数の数え方に関する補足

すでに解説した通り、基本的に通院日数とは実際に病院に通院した日数、治療日数とは治療開始日~治癒・症状固定日までのことを指します。

また、自賠責基準では治療日数の数え方に注意が必要であることもお伝えしました。
ここではさらに、通院日数の数え方に関するよくある質問について補足的に答えていきます。

リハビリは通院日数に含まれる

リハビリ目的の通院も通院日数・治療期間に含めることが可能です。

たとえば、骨折箇所の骨自体がくっついても、動かしづらさが残っている場合はリハビリをして、動かしやすくなるようにしなければなりません。
このように、リハビリは事故にあう前の状態に戻す「治療」の一環であるため、リハビリ通院も治療日数に数えることができるのです。

ただし、症状固定後(状態がこれ以上良くならないと主治医に判断された後)のリハビリや、示談した後のリハビリに関しては、原則として慰謝料・治療費の対象外となります。

リハビリ期間に対する慰謝料・損害賠償金については『交通事故の慰謝料はリハビリでももらえる』で詳しく解説しているのでご覧ください。

念のため受診した日も通院日数に含まれる

交通事故にあった日に念のため通院した場合も通院日数や治療期間に含まれます。
慰謝料はもちろん、治療費や通院交通費も1日から請求できます。

1日で病院をはしごしても通院日数は1日

治療箇所や治療部位が異なるなど、受診目的に応じて病院を変えることは珍しくありません。1日で複数の病院をはしごするという方も多いでしょう。

1日のうちに複数の病院をはしごしても、通院日数や治療期間は1日としてカウントします。
1日に2回通院したからといって、通院日数を2日とはカウントしないので注意してください。

ただし、受診目的が異なる場合、治療費に関しては受診先でかかったそれぞれの治療費の請求が認められます。

治療期間が実際よりも多く数えられるケースがある

次のような場合は事情を勘案し、実際の通院日数や治療期間にみなしの日数が加算されたり、実際には入院していなくても入院日数にカウントされたりすることがあります。

  • ギプスをつけるなど絶対安静で自宅療養していた
  • 育児のために幼い子を持つ母親が退院時期を早めた
  • どうしても仕事に穴があけられずに早く退院した
  • 病院が満床で入院待期期間があった

ただし、保険会社が率先して事情を汲み、治療期間や通院日数を多めに数えてくれるとは限りません。
事情があって治療期間・通院日数が短くなった場合は、被害者側から事情を考慮してもらうよう主張することが重要です。

後遺障害慰謝料に通院日数が間接的に影響する理由

後遺障害慰謝料に通院日数が間接的に影響することは先述しました。

しかし、なぜ通院日数が少ないと後遺障害等級が認定されない可能性が高まってしまうのでしょうか。その理由について解説していきます。

通院日数が少ないと後遺障害等級認定が危ぶまれる

交通事故で後遺症が残り、後遺障害慰謝料をもらうためには、「後遺障害等級」の認定を受けなければなりません。

しかし、治療期間に対して通院日数が少ないと、後遺障害等級が認定されない可能性が高くなります。
ポイントは、治療に対して積極的な姿勢があるかどうかです。

後遺障害等級が認定されない可能性が高くなる理由

  • 被害者がもっと積極的に通院していれば完治したはずのケガなのではないか
  • 少ない通院日数で良かったということは、後遺障害等級に該当するほどの症状ではないのではないか

このように、治療に対して消極的だと、後遺障害が残っていないと判断されかねません。
医師から指示されたペースで通院するようにしましょう。

さらに、後遺障害等級が認定されないと、後遺障害慰謝料のみならず「後遺障害逸失利益」も請求できません。
後遺障害等級に認定されるかどうかは、手にできる補償の金額を大きく左右します。

後遺障害逸失利益

後遺障害が労働能力に影響することで減ってしまう、生涯収入に対する補償。

関連記事:【逸失利益の計算】職業別の計算方法を解説!早見表・計算機つき

治療期間が短いと慰謝料をもらえない可能性

たとえ適切な頻度で通院していても、6ヶ月未満の治療期間で症状固定になった場合、後遺障害等級が認定されず、後遺障害慰謝料がもらえない可能性が高いです。

脚の切断など、治療期間にかかわらず明らかに後遺障害が残っていると判断できる場合を除き、基本的に治療期間が6ヶ月未満だと後遺障害等級の認定はむずかしいと思った方がいいでしょう。

とくにむちうちは治療期間6ヶ月未満になりやすい

交通事故ではむちうちになるケースが多く、中にはしびれや痛みといった後遺症が残る人もいます。
しびれや痛みといった後遺症が後遺障害12級13号に認定されれば290万円、後遺障害14級9号に認定されれば110万円の後遺障害慰謝料がもらえます。

等級認定のポイント
12級14号しびれや痛みの残存が、各種検査結果など他覚的根拠を以て証明できる
関連記事:後遺障害12級の症状・認定基準
14級9号しびれや痛みの残存が、医学的に推測できる
関連記事:後遺障害14級の認定基準と慰謝料|75万円は低い!認定率や通院日数も解説

しかし、むちうちの平均的な治療期間は3ヶ月なので、6ヶ月に満たないことが多いです。
むちうちの後遺症は外からは見えず、自覚症状がメインです。このような状態で、6ヶ月未満の治療期間だと、後遺障害等級の認定を受けるのは非常に厳しいでしょう。

治療期間が6ヶ月未満でまだ症状が残っている場合は、通院治療を継続してみましょう。通院6ヶ月後も治らない場合は、主治医の見解をたずねてみてください。

被害者が通院時に気を付けたいこと

交通事故の被害者が通院・治療期間中に気を付けるべきことを解説していきます。
通院・治療期間中は、知らない間に慰謝料減額につながる原因を作ってしまいがちです。

慰謝料減額につながる原因を作ってしまうと、あとから示談交渉をいくら頑張っても挽回できない可能性があるので注意しましょう。

ひと月10日以上の通院を|過剰通院に注意

弁護士基準では入院期間や通院期間をもとに入通院慰謝料を算定しますが、通院頻度も重要視されます。

たとえば、通院8ヶ月中に「10日間通院した人」と「120日通院した人」を比べてみると、通院頻度が大きく異なります。通院頻度が異なるのに、同じ金額の慰謝料が認められるのは不公平です。

あまりにも通院頻度が低いと、「もうケガは治っているのではないか」、「適切な治療を受けていないから長引いているのではないか」など疑われてしまい、慰謝料が減額される可能性があります。

通院は継続的に行い、最低でも1ヶ月(30日間)のうち10日間は通院するようにしましょう。

ただし、過剰に通院しないように注意してください。
治療の必要がないにも関わらず毎日のように通院すると、入通院慰謝料の増額を狙って過剰診療していると判断され、治療費の支払い拒否や、慰謝料額で加害者側ともめるといった恐れがあります。

医師と相談しつつ、適切な通院頻度で通院するようにしてください。

通院頻度について問題がないか不安がある方は一度、弁護士に相談してください。

通院中は示談や慰謝料の交渉に応じない

通院治療の途中で保険会社から示談を持ち掛けられても応じてはいけません。

示談

民事上の争いごとについて、裁判ではなく当事者間の話し合いによって解決すること。

示談を始めるのは、どんなに早くても通院治療が終了してからです。
通院治療が終了しなければ治療費や慰謝料、休業損害などの金額が確定しませんし、後遺障害が残るかどうかもまだわかりません。

一度でも示談を結ぶと、原則、後から追加の賠償請求・示談内容の修正をすることは不可能です。
「後遺症のことは別途協議する」という一文を入れたうえで示談することも可能ですが、基本的にはすべての損害が明らかになってから示談を開始しましょう。

また、交通事故の示談は口頭の合意でも成立しますが、あとから示談内容をめぐって争いになる可能性もあるので、示談書を作成することが重要です。

交通事故の示談とはそもそも何か、スムーズな示談をむかえるためのポイント・注意点は、関連記事『交通事故の示談とは?交渉の進め方と注意点、避けるべき行動』を読んで知っておきましょう。

治療費の打ち切りは安易に受け入れない

加害者側の任意保険会社は、被害者の治療費を代わりに負担してくれることがあります。
しかし、治療期間が長期化してくると、治療費の負担を打ち切ることがあるのです。

加害者側の保険会社から治療費の打ち切りを提案されても、ただちに受け入れる必要はありません。まだ治療が必要なのに治療終了としてしまうと、以下のデメリットが生じる可能性があります。

  • 治療期間が短くなるので、入通院慰謝料が減る
  • 後遺症が残っても後遺障害等級が認定されず、後遺障害慰謝料がもらえないリスクが高まる

治療費の打ち切りを打診されたら、まずは医師に相談して、治療の必要性を確かめましょう。
主治医から「まだ治療が必要である」と判断を受けた場合は、保険会社にその内容を伝えて、治療費の支払い継続を交渉してください。

治療費打ち切りの延長が認められない場合も、治療を続けるようにしてください。

打ち切り後は、健康保険や被害者自身の保険を使って、出費を抑えながら治療を続けると良いでしょう。
治療の必要性が後からでも認められれば、治療費を支払ってもらえるかもしれません。

治療費の領収書などは無くさずに保管しておき、示談交渉時に立て替えておいた治療費を請求しましょう。

整骨院・接骨院は主治医と保険会社に事前相談

むちうちなど軽いケガの場合は、立地や営業時間の観点から、整形外科よりも整骨院・接骨院の方が通いやすいと感じる人もいるでしょう。

整骨院・接骨院を利用した費用も、加害者側に請求可能です。
しかし、整骨院・接骨院は病院ではないので、治療費として認められるのか、通院期間としてカウントしてよいのかという点について加害者側とトラブルになる場合もあります。

上記のようなトラブルとならないために、主治医と保険会社に事前相談しておくことがポイントです。

  • 主治医に整骨院・接骨院の利用が妥当であると認めてもらう
  • 保険会社に事前連絡を入れておく

整骨院を利用する際の注意点については『交通事故で整骨院に通院する際の注意点|整形外科との違いは?』の記事をご覧ください。

慰謝料以外に請求できる費目も把握しておく

入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料という3つの慰謝料は、被害者の精神的損害に対する金銭です。
しかし、被害者が損害賠償請求するべきお金は慰謝料だけでなく多岐にわたります。

保険会社から提示される示談金の内訳には漏れがある可能性もあるので、通院・治療期間中に、被害者側でも慰謝料以外に請求できる費目を把握しておきましょう。

損害賠償請求すべきお金

  • 治療費用(診察料、投薬料、手術費用、入院費用等)
  • 通院交通費、転院・入退院費
  • 看護料(入院中および自宅)
  • 柔道整復等の費用(整骨院・接骨院など)
  • 松葉づえ・義肢・歯科補てつなど装具費
  • 休業損害
  • 逸失利益
  • 介護費用(将来介護費)
  • 葬儀費用
  • 修理費用

もし既に示談の提案を受けているなら、請求漏れがないか調べることをおすすめします。

セルフチェックができる「人身事故損害賠償請求チェックリスト」もご活用ください。損害賠償請求すべきお金について不明点等ございましたら、気軽に弁護士にご相談ください。

交通事故の示談金についてさらに詳しく知りたい方は、『交通事故の示談金相場は?一覧表や増額のコツ』の記事もおすすめです。

交通事故の慰謝料は弁護士介入で増額する

交通事故の慰謝料を被害者自身で増額しようにも限界があるといわざるを得ません。
慰謝料の増額を実現するには、示談交渉を弁護士に任せる必要があります。

弁護士費用を支払ってまで弁護士に依頼する必要があるのかと思われがちですが、弁護士費用を支払ったとしても最終的な金額が増額すれば弁護士に依頼する意味は十分あるでしょう。

また、弁護士費用の負担を軽くする方法もあるので紹介していきます。

相場の慰謝料額獲得に弁護士は必要

最も高額かつ相場である弁護士基準で計算された金額を得るには、示談交渉で弁護士を立てることが必要です。

被害者自身で示談交渉をした場合、保険会社の提示する金額は自賠責基準や任意保険基準の金額にとどまります。示談交渉を交通事故問題の解決実績が豊富な弁護士に任せることで、慰謝料増額の可能性が高まるのです。

弁護士による示談交渉なら慰謝料増額の可能性が高まる

弁護士に依頼を行うと、慰謝料が増額する以外にも以下のようなメリットがあります。

  • 後遺障害等級認定申請のサポートを受けられる
  • 示談交渉を代わりに行ってもらえるので治療に専念できる
  • 通院方法に問題がないかどうかを教えてもらえる

その他のメリットやその具体的な内容については、関連記事『交通事故を弁護士に依頼するメリットと必要な理由|弁護士は何をしてくれる?』で解説しています。

弁護士への相談タイミングは早ければ早いほど良いですが、お困りのタイミングは人それぞれです。相談のタイミング別にメリットを解説した『交通事故で弁護士に相談・依頼するベストタイミングは?』の記事もおすすめなので、あわせてご確認ください。

アトム法律事務所の無料相談が選ばれる理由

アトム法律事務所は、交通事故の被害者が正当な金額の慰謝料・示談金を獲得できるように努めてまいりました。

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保険会社独自の
低い基準の提示額

裁判所が認める
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示談交渉のメリット

保険会社の
言いなりに

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各種手続のメリット

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治療のメリット

示談や手続きに
煩わされる

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後遺障害認定のメリット

後遺障害等級が
認定されない・低い

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たとえ無料でも、交通事故問題の解決実績が豊富な弁護士が慰謝料増額の可能性について丁寧にお話しします。

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弁護士費用特約の具体的な補償範囲や使い方については、関連記事『交通事故の弁護士費用特約とは?メリット・使い方・使ってみた感想を紹介』にて詳しく解説中です。

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弁護士費用の仕組みについては、関連記事『交通事故の弁護士費用相場はいくら?』をご確認ください。

アトム法律事務所では、弁護士費用特約が使えない方の場合でも、基本的に相談料・着手金が無料となります。

無料相談をご希望の場合、まずは相談の予約をお取りください。予約受付は、24時間365日いつでも可能です。
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まとめ

この記事で解説してきたことをまとめると、次の通りです。

  • 慰謝料の本来の相場となる弁護士基準では、通院日数ではなく治療期間を重視して計算する
  • 治療期間が不十分だと、後遺症が残っても後遺障害に対する補償がもらえない可能性がある
  • 保険会社は本来の相場より低額な金額の慰謝料を提示しているため、そのまま受け入れてはいけない

交通事故による通院日数・治療期間は、慰謝料額にも影響を及ぼす大切な要素になります。
アトム法律事務所の場合、ご相談は初診後から可能です。
すでに示談交渉の段階にある方はもちろん、まだ治療中の方でも、一度お気軽にご連絡ください。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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ご相談者と社会に安心と希望を提供したい。