交通事故で通院7ヶ月となった場合の慰謝料相場と増額のコツ
交通事故により通院7ヶ月となった場合の慰謝料相場額は、重傷で124万円、軽傷で97万円程度となります。
交通事故の慰謝料とは、被害者が負った精神的苦痛を緩和するために加害者に請求する金銭のことです。
7ヶ月という長期の通院、本当に大変な苦労をされたことでしょう。
つらい思いをされた分、今度の生活のためにも相手から正当な金額の慰謝料をもらいたいと思うのは当然のことです。
しかし、残念ながら加害者側保険会社から提案される慰謝料の金額は、被害者にとって十分なものではありません。
相場の慰謝料を得るためには、被害者側から適切な請求を行う必要があるのです。
この記事を読めば、7ヶ月通院した時の慰謝料相場、慰謝料を高額にする方法、慰謝料獲得までの流れが分かります。
より納得できる示談の実現へ向けてスタートしましょう。
弁護士に依頼するとどれくらい増額できるのか今すぐ知りたい方は、慰謝料の相場が簡単に分かる「慰謝料計算機」がおすすめです。
目次
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交通事故の慰謝料|通院7ヶ月の相場
通院7ヶ月の慰謝料早見表
通院7ヶ月における慰謝料相場は重傷時で124万円、軽傷時で97万円くらいです。
相場の金額は、被害者が弁護士をつけた時や、加害者へ裁判を起こした時に認められる可能性があります。
重傷 | 軽傷 |
---|---|
124万円 | 97万円 |
*2020年4月1日以降に発生した事故を想定した金額
**低額になる可能性あり
通院7ヶ月前後(6、8、9ヶ月)の慰謝料早見表
以下の表でご紹介している金額は相場の金額であり、相場の金額は入通院期間に応じて決まります。
通院7ヶ月前後の場合に慰謝料がいくらになるのか、目安を見てみましょう。
まずは、重傷時の慰謝料相場です。
入院 | 通院 | 入通院慰謝料 |
---|---|---|
なし | 6ヶ月 | 116万円 |
なし | 7ヶ月 | 124万円 |
なし | 8ヶ月 | 132万円 |
なし | 9ヶ月 | 139万円 |
1ヶ月 | 6ヶ月 | 149万円 |
1ヶ月 | 7ヶ月 | 157万円 |
2ヶ月 | 7ヶ月 | 188万円 |
慰謝料表からみると、入院期間があると金額がより高額化することが分かります。
つづいて、軽傷時の入通院慰謝料です。むちうち、すり傷、打撲など比較的軽傷時には次のような金額相場となります。
入院 | 通院 | 入通院慰謝料 |
---|---|---|
なし | 6ヶ月 | 89万円 |
なし | 7ヶ月 | 97万円 |
なし | 8ヶ月 | 103万円 |
なし | 9ヶ月 | 109万円 |
1ヶ月 | 6ヶ月 | 113万円 |
1ヶ月 | 7ヶ月 | 119万円 |
2ヶ月 | 7ヶ月 | 139万円 |
通院7ヶ月前後の慰謝料について、通院6ヶ月、通院8ヶ月、通院9ヶ月のケースを解説した関連記事をご紹介します。より詳しい慰謝料の相場や計算、増額のポイントなどをまとめていますので、あわせてご覧ください。
傷病ごとの慰謝料についてもっと詳しく知りたい方は、関連記事をお役立てください。より詳しく解説しています。
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通院7ヶ月の慰謝料を請求する際の注意点
保険会社が提示する慰謝料は低額
交通事故の慰謝料計算には、次の3つの算定基準があります。
- 自賠責基準
自賠責保険が支払う慰謝料を計算する際の算定基準。
支払基準は3基準の中で最も低く、支払い上限も存在する。 - 任意保険基準
任意保険会社が慰謝料の金額を計算する際の算定基準。
具体的な金額は、自賠責基準と同程度か多少増額したものとなる。 - 弁護士基準
過去の判例をもとにした慰謝料を計算する算定基準。
3基準の中でもっとも高額であり相場の金額といえる。
任意保険会社の提示額は各社が独自に定めた任意保険基準に基づいているので、正確な金額は実際に提示を受けてみなければわかりませんが、自賠責基準と同程度か、少し高い金額となることが大半です。
いずれにせよ、本来の相場である弁護士基準を超えた金額提示を受けることはないと言えます。
保険会社は慰謝料をこう計算している
任意保険会社の慰謝料計算方法は、各保険会社独自のルールとなり、公開されていません。
しかし、一般的には自賠責基準による金額や、以前に保険会社で使われていた統一基準から計算される金額に近い金額となるでしょう。
そのため、自賠責基準や統一基準の計算方法を知ることで、おおまかな予想を立てることはできます。
自賠責基準の計算方法
自賠責基準における入通院慰謝料の計算式は次の通りです。
自賠責基準における入通院慰謝料は、1日あたり4,300円です。また、2020年3月31日以前に発生した交通事故の場合は、1日あたり4,200円となります。
この日額を踏まえ、自賠責基準の入通院慰謝料は以下のうち、少ない方とされます。
- [入院日数 + (実通院日数 × 2)]× 4,300円(※4,200円)
- [治療期間]× 4,300円(※4,200円)
※2020年3月31日までに発生した事故は日額4,200円
※慰謝料の対象となる日数は、被害者の傷害の態様、実治療日数その他を勘案して決まります。
この内容は法令で定められていますので、自賠責保険会社に増額交渉をしても増額されることはありません。
自賠責基準の計算例
治療期間7ヶ月(210日)、入院日数30日、実通院日数130日の場合
自賠責基準の慰謝料計算式
- [30 + (130 × 2)]× 4,300円(※4,200円)
- [210]× 4,300円(※4,200円)
※2020年3月31日までに発生した事故は日額4,200円
2つの計算式で、結果の少ない方を採用しますので結果は2式となります。
- 210×4,300 = 90万3,000円
統一基準による計算方法
以前、保険会社で使われていた統一基準では、以下のような表から計算を行います。
入院0月 | 入院1月 | 入院2月 | 入院3月 | |
---|---|---|---|---|
通院0月 | 0 | 25.2 | 50.4 | 75.6 |
通院1月 | 12.6 | 37.8 | 63 | 85.7 |
通院2月 | 25.2 | 50.4 | 73.1 | 94.5 |
通院3月 | 37.8 | 60.5 | 81.9 | 102.1 |
通院4月 | 47.9 | 69.3 | 89.5 | 108.4 |
通院5月 | 56.7 | 76.9 | 95.8 | 114.7 |
通院6月 | 64.3 | 83.2 | 102.1 | 119.7 |
通院7月 | 70.6 | 89.5 | 107.1 | 124.7 |
※慰謝料の単位:万円
「月」は30日単位です。
「入院30日・通院60日」であれば「入院1月・通院2月」の交わる50万4,000円が入通院慰謝料になります。
相場の慰謝料額の計算方法
相場の慰謝料額を算定する弁護士基準では、治療にかかった期間の長さと被害者の傷病の程度によって金額が変わります。
具体的には、以下の算定表を用いて計算がなされるのです。
算定表には重傷用と軽症用があるので、まずはそれぞれを紹介していきます。
基本的には通院月数と入院月数の交わる部分を見ればよいのですが、通院7ヶ月と10日といったように端数がある場合は、端数分を日割り計算する必要があります。
具体例として、むちうちで入院なし・通院7ヶ月10日だった場合の計算例は、以下の通りです。
- 入院0月、通院7月の慰謝料額を確認すると、97万円
- 通院8月目の10日間に対する慰謝料額を計算する
入院0月・通院8月の金額から、入院0月・通院7月の金額を差引いたものを日割り計算する
(103万円-97万円)÷30日×10日=2万円 - (1)と(2)を足すと、入院0月・通院7月10日の慰謝料額がわかる
97万円+2万円=99万円
慰謝料が相場より低くなるケース
原則、弁護士基準による慰謝料額は実通院日数には左右されません。
しかし、通院期間が長くなった時には、実通院日数を慰謝料計算に用いることで、慰謝料額が少なくなる可能性があります。
通院期間が長期にわたる場合、症状、治療内容、通院頻度をふまえて、通院期間が短縮されます。
- むちうちなど比較的軽微な傷病は実通院日数の3倍を通院期間とする
- 上記以外は実通院日数の3.5倍を通院期間とする
例えば、むちうちで7ヶ月通院していても、実通院日数が10日間しかなく、症状、治療内容、通院頻度の観点から期間が短縮されてしまうと、通院期間は30日(10日の3倍)とみなされてしまいます。慰謝料の大幅減額につながりますので、十分注意しましょう。
通院7ヶ月の場合は毎月10日以上、少なくとも通院日数70日程度が望ましいです。
通院したが後遺症・死亡の場合の慰謝料
7ヶ月間の通院を行うと、通院期間に応じて入通院慰謝料を請求することができます。
しかし、通院してもケガが完治せずに後遺症が残ってしまったり、通院中にケガが原因で被害者が死亡してしまうこともあるでしょう。
このようなケースでは、入通院慰謝料以外の慰謝料を請求できる可能性があります。
そのため、以下において後遺症が残った場合や被害者が死亡した場合に請求できる慰謝料について解説を行います。
後遺症が残った場合に請求できる慰謝料
治療を行ってもケガが完治しない場合、医師から症状固定になったという診断を受けます。
症状固定とは、これ以上治療を続けても改善が見込めない後遺症が残ったこと意味します。
医師から症状固定の診断を受けたら、「後遺障害認定」の申請を行いましょう。
後遺障害認定により後遺障害等級が認められれば、後遺障害慰謝料・後遺障害逸失利益の請求が可能になります。
後遺障害認定の申請
後遺障害認定とは、事故が原因で残った後遺症が、自賠法施行令の定める後遺障害等級に該当するかの認定手続きをいいます。
審査は自賠責保険の損害保険料率算出機構が行い、後遺障害に該当する場合は、後遺障害の程度に応じて1級~14級の等級が認定されるのです。
後遺障害認定を受けるには、まず医師に「後遺障害診断書」の作成を依頼しましょう。この書類は、医師によっては書き慣れない書式です。
また、医師も多忙な中で作成してくれますので、時間に余裕をもって、早めに依頼しましょう。
後遺障害認定の申請方法には「事前認定」と「被害者請求」の2つがあります。どちらの方法で申請をするかは、被害者が決めます。
おすすめは「被害者請求」ですが、おひとりで申請するには少々手間のかかる方法です。
弁護士に依頼すると後遺障害認定サポートを受けることができるでしょう。煩雑な書類準備などをお手伝ってもらい、被害者の手間を減らすことができます。
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後遺障害部分の金額を検討する
後遺障害が認定された場合の補償は、後遺障害慰謝料と逸失利益に大別されます。
費目 | 内容 |
---|---|
後遺障害慰謝料 | 後遺障害等級に応じて支払われる慰謝料 |
逸失利益 | 後遺障害のために減った将来の収入 |
後遺障害慰謝料は、後遺障害等級に応じて次のように金額の目安が設定されています。
等級 | 自賠責* | 弁護士 |
---|---|---|
1級・要介護 | 1,650(1,600) | 2,800 |
2級・要介護 | 1,203(1,163) | 2,370 |
1級 | 1,150(1,100) | 2,800 |
2級 | 998(958) | 2,370 |
3級 | 861(829) | 1,990 |
4級 | 737(712) | 1,670 |
5級 | 618(599) | 1,400 |
6級 | 512(498) | 1,180 |
7級 | 419(409) | 1,000 |
8級 | 331(324) | 830 |
9級 | 249(245) | 690 |
10級 | 190(187) | 550 |
11級 | 136(135) | 420 |
12級 | 94(93) | 290 |
13級 | 57(57) | 180 |
14級 | 32(32) | 110 |
※自賠責基準()内は2020年3月31日までの金額
逸失利益とは
逸失利益とは、後遺障害が残ったことで減ってしまう将来の収入を補償してもらうものです。
逸失利益は、以下の場合でも認められます。
- 被害者が家事労働に従事する主婦であり、実際には金銭的収入がない場合
- 本人や雇用主の努力で実際には減収していない場合
また、被害者が事故時点では働いていない子供・学生であった場合でも、将来就労していることが通常考えられる場合などは、逸失利益の請求が可能です。
逸失利益の金額は、被害者の事故前年収入(基礎収入)、年齢、後遺障害等級などの複数の要素で決まります。
詳しい計算の仕組みを知りたい方は、『【逸失利益の計算】職業別の計算例や早見表・計算機つき|もらえない原因と対処法』をご覧ください
通院中に死亡してしまった場合の慰謝料
交通事故が原因となり、入通院の末に死亡してしまう方もいらっしゃいます。
交通事故との因果関係が認められた場合には、7ヶ月分の入通院慰謝料と死亡慰謝料の両方を請求可能です。
死亡慰謝料も、保険会社から提案される金額と、弁護士が交渉して目指す金額には大きな乖離があります。
被害者 | 自賠責 | 弁護士 |
---|---|---|
一家の支柱 | 400(350) | 2,800 |
母親・配偶者 | 400(350) | 2,500 |
独身の男女 | 400(350) | 2,000~2,500 |
子ども | 400(350) | 2,000~2,500 |
幼児 | 400(350) | 2,000~2,500 |
以下は該当する場合のみ | ||
+ 遺族1名 | 550 | – |
+ 遺族2名 | 650 | – |
+ 遺族3名以上 | 750 | – |
+ 被扶養者あり | 200 | – |
※慰謝料の単位:万円
※※遺族:被害者の配偶者、子、両親(認知した子、義父母などを含む)
※※※( )内の金額は2020年3月31日以前に発生した交通事故に適用
弁護士基準では、被害者が家庭で果たしていた役割を重視します。
一家の支柱として経済的に家庭の中心人物であった場合、その方が命を落とすことで与える影響も大きいものと判断されるためです。
そこで、一家の支柱であれば2,800万円、母親・配偶者には2,500万円、その他の属性には2,000万円~2,500万円が死亡慰謝料の相場とされています。
通院終了から慰謝料額確定までの流れ
(1)治療のための通院終了(完治または症状固定)
慰謝料は、入院・通院期間や日数に応じて決まります。
そのため、最終的な金額は、治療が終わらないと確定できません。
治療は、ケガが完治した場合または症状固定となった場合に終了となるので、医師から完治または症状固定との診断を受けるまで通院を続けましょう。
入院日数・通院日数をきちんと数える
入院日数・通院日数を適切に数えることも大切です。
入院日数・通院日数は単純に入院・通院した日数を数えればよいとは限りません。たとえば下記のようなケースでは、実際の入院期間より長い日数が認定される可能性があります。
- 幼い子をもつ母親が育児のために入院期間を短縮した場合
- やむを得ず仕事の事情で入院期間を短縮した場合
- 入院待機期間
- ギプス固定中など安静を要する自宅療養期間
入通院の日数から入通院慰謝料を請求するので、治療期間を適切にカウントすることが大事です。
通院日数と慰謝料の関係は関連記事『交通事故の慰謝料は通院日数が影響する?治療期間で計算が重要』でわかりやすく解説しています。
(2)完治または後遺障害認定後に示談交渉を
ケガが完治した場合には、相手方任意保険会社との示談交渉が可能になります。治療終了の連絡をすると相手方から示談案が届きますので、内容を確かめてください。
示談案で提示される金額は、保険会社の基準で計算されています。弁護士基準で算定し直し、交渉していきましょう。
示談書のポイント
示談書には交通事故当時者の情報、交通事故の詳細、示談条件や支払遅滞時も記されています。
示談をするということは、示談内容をもって争いをやめることです。(関連記事『交通事故の示談書の書き方|記載すべき重要7項目を解説』)
一度示談が成立すると、内容の変更は原則できません。示談書の内容については、示談前に弁護士に確認してもらうと安心です。
休業損害の請求も重要
交通事故のケガの痛みや治療のため、働けなくなったことへの補償を休業損害といいます。
給与所得者(サラリーマン)や自営業者なら、源泉徴収票、休業損害証明書、確定申告書などを提出することで、事故前年の収入や仕事を休んでいた事実を証明できます。
また、収入のない専業主婦であっても休業損害の請求が可能です。
休業損害の計算方法や、どのような立場であれば請求できるのかという点については『交通事故の休業損害|計算方法や休業日の数え方、いつもらえるかを解説』の記事で詳しく知ることができます。
症状固定になった場合は後遺障害認定の申請を
症状固定となり後遺症が残ったならば、示談交渉に入る前に「後遺障害認定」の申請が必要です。
後遺障害認定の結果に応じて決まる、後遺障害慰謝料や逸失利益の金額を明らかにしたうえで、示談交渉を行いましょう。
そのため、症状固定となり後遺症が残ったならば、示談開始は後遺障害認定の結果が出てからになります。
症状固定の時期は非常に重要です。症状固定について、詳しくは『症状固定とは?時期や症状固定と言われた後にする後遺障害認定と示談』の記事をご覧ください。
(3)示談金を確定させる
交通事故の示談金の内訳には、治療中・治療終了後の人身部分から、修理費などの物損部分まで幅広く様々な金銭が含まれます。
示談交渉では慰謝料額のみならず、そうしたさまざまな費目の金額が検討されます。
損害賠償チェックリストを使うことで、示談金の内容を網羅的に調べることができます。チェックリストには弁護士基準の相場も併記していますので、加害者側の保険会社から金額提案を受けている場合は、比較にご利用ください。
さらに詳しく示談金の相場が知りたい場合は、『交通事故の示談金相場は?一覧表や増額のコツ』をご覧ください。
示談交渉が不安なら
一人で悩まず、専門知識を有する弁護士に意見を聞いてみることがおすすめです。
アトム法律事務所の法律相談は無料でご利用いただけますので、ちょっとした疑問を解消するのに役立ちます。
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慰謝料に関係するトラブル対応
治療費が打ち切られた時の対応
対応
- まず主治医に治療の状況を確認する
- 主治医の見解を保険会社に伝えて治療継続を要望する
- もし治療費が打ち切られても治療を続けるなら健康保険を使う
加害者側の任意保険会社のサービスのひとつに、「任意一括払」があります。
このサービスによって、被害者は通院先の病院で治療費などを支払う必要がなくなります。加害者側の任意保険会社が病院に直接支払ってくれるためです。
裏を返せば、加害者側の任意保険会社は被害者が受けている治療内容・治療経過を把握できる立場にあります。
- 通院頻度があいてきた
もう治療は終了したのでは?痛くないのでは? - 治療内容が漫然としている
本当に必要な治療を受けていないのでは? - 治療費の金額が予定より高額になってきた
できるだけ支出を減らしたい
加害者側の任意保険会社は、上記のような様々な理由で被害者に治療費の打ち切りを打診する場合があります。
治療費打ち切りを提案された場合は焦らず、まず主治医に治療の要否をたずねましょう。
主治医が「まだ治療が必要」と判断したなら、加害者側の任意保険会社にも伝えてください。
もし主治医にも「そろそろ治療は終わり」と言われた場合には、治療費の打ち切りを避けることは難しくなります。その後も治療を続けるならば健康保険を使うなどして、被害者自身の出費を抑えるようにしてください。
打ち切り後であっても、医学的に治療が必要であったといえる範囲の治療費は、加害者側に請求することが可能です。
治療費の金額がわかる領収書を保管しておいて、後ほどの交渉で支払いを求めていきましょう。
健康保険の利用方法については『交通事故で健康保険は使える!使えないケースやデメリットも解説』の記事で確認可能です。
過失割合でもめたときの対応
対応
- 過失割合の根拠を明らかにする
- 自身の主張は客観的な材料をそろえて主張する
交通事故の過失割合は、当事者同士でもめやすい部分です。
過失割合
交通事故で生じた損害に対する被害者・加害者の責任の割合
被害者側にも過失割合が付くと、以下の影響が生じる
- 被害者が受け取れる示談金額が、被害者側の過失割合分、減額される(過失相殺)
- 加害者から損害賠償請求されている場合、そのうち被害者の過失割合分を支払わなければならない
過失割合は、事故発生時の状況(道路状況、スピード、信号の色、ウィンカーの有無)などを考慮して決定されます。
過失割合でもめる理由はただ一つ、示談金の金額を左右するからです。
加害者側は過失相殺によって示談金額を減らすために、被害者の過失割合を多めに見積もることがあります。
過失割合の根拠を明らかにする
加害者側が主張する過失割合に納得できない時は、まず根拠を尋ねてみましょう。
一般的に、保険会社は「別冊判例タイムズ38|民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」という書籍をもとに過失割合を決めています。
この書籍には過失割合事例が網羅的に掲載されています。その事例集の中から、あなたの事故と類似した事故類型の過失割合を提案してきているのです。
まず、「参考にした事故類型がそもそも自分の事故と同じ状況なのか」から確認すべきです。参考にするべきでない事故の過失割合を根拠とされている可能性があります。
次に、過失割合を変更しうる要因(修正要素)の有無を調べてください。
たとえば、あなたの事故の過失割合が「80:20」が基本だとしましょう。
しかし事故が起こった道路の状況や、被害者の属性(社会的弱者である高齢者や幼児)などの条件で、被害者の過失割合が下げられる可能性は十分あります。
自身の主張は客観的な材料をそろえて主張する
自身の過失割合に納得がいかない場合は、ドライブレコーダーの記録、現場付近の防犯カメラの映像、第3者の目撃証言など、できるだけ客観的な材料をそろえて過失割合の変更を主張してください。
過失割合について交渉するためには、過失割合の決まり方をよく理解しておく必要があります。詳しくは、『交通事故の過失割合とは?決め方の具体的な手順』にて解説しています。
そのほかのトラブルにも注意
保険会社とのトラブルには、他にもさまざまなものがあります。
実際にどのようなトラブルが起こるかはわかりませんが、事前によくあるトラブルについて把握しておけば、いざという時の対応がしやすくなるでしょう。
起こりうるトラブルのいくつかはこの後紹介していきますが、より詳しくは、『保険会社の対応が悪い!対処法と取ってはいけない対処法を状況別に解説』でご確認ください。
慰謝料に関する不安は弁護士に相談しよう
弁護士に相談・依頼を行うメリット
7ヶ月通院の上、慰謝料を請求する場合には、一度弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談や依頼を行うと、相場の金額で示談できる可能性が高まるのです。
加害者側は少しでも支払う金額を下げるため、相場よりも低い金額で示談するよう交渉してくるでしょう。
そのため、被害者側は増額交渉を行う必要がありますが、適切な法的根拠を示さなくてはならず、簡単ではありません。
特に、加害者が任意保険会社に加入していると、交渉相手は経験豊富な任意保険会社の担当者となるので、増額交渉を行っても反対に言いくるめられてしまう可能性が高いでしょう。
一方、弁護士に依頼して弁護士から示談交渉を行ってもらえれば、適切な根拠にもとづいて主張してくれるため、相場に近い金額まで増額したうえで示談できる可能性が高くなります。
この他にも、弁護士に相談や依頼により、以下のようなメリットが得られるでしょう。
- 認定されている後遺障害等級が妥当かどうかがわかる
- 依頼すると適切な後遺障害等級認定を得るためのサポート受けられる
- 依頼すると被害者の代わりに示談交渉をしてもらえる
弁護士に依頼することで得られるメリットについては『交通事故を弁護士に依頼するメリット8選|弁護士は何をしてくれる?』の記事で確認可能です。
相談や依頼の費用は弁護士費用特約を利用しよう
弁護士に相談や依頼する際のデメリットである費用が気になる方は、弁護士費用特約が利用できるのかどうかを検討してください。
弁護士費用特約とは、弁護士に支払う相談料や依頼による費用を保険会社が代わりに負担してくれるというものです。
負担の範囲には上限がありますが、相談料や依頼の費用が上限の範囲内で収まることは珍しくないので、多くのケースで金銭的な負担なく弁護士への相談や依頼が可能となります。
弁護士費用特約に関して詳しく知りたい方は『交通事故の弁護士費用特約を解説|使い方は?メリットや使ってみた感想も紹介』の記事をご覧ください。
アトム法律事務所では無料の法律相談が可能
アトム法律事務所の無料相談は、24時間・365日、ご予約を受け付けています。
ご相談方法は、電話・LINE・メールの3種類があります。
- 慰謝料の金額が何となく低いように思う
- このまま示談していいか悩む
- 後遺障害等級認定を受けたいけどやり方が分からない
このような疑問がある方は、是非弁護士へご相談ください。
アトム法律事務所の弁護士は、これまで多数の交通事故事案に携わってまいりました。
そのノウハウを最大限に生かし、納得のいく結果を迎えられるように全力で支援いたします。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
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士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了