交通事故のむちうちの慰謝料はいくら?慰謝料が倍増する方法を紹介

交通事故でむちうちと診断された場合、保険会社から提示される慰謝料と本来の慰謝料相場は以下の通りです。
入通院慰謝料の早見表
1ヶ月あたり10日間通院した場合の、むちうちによる入通院慰謝料
通院期間 | 保険会社の提示 | 本来の相場 |
---|---|---|
1ヶ月 | 8万6,000円 | 19万円 |
2ヶ月 | 17万2,000円 | 36万円 |
3ヶ月 | 25万8,000円 | 53万円 |
4ヶ月 | 34万4,000円 | 67万円 |
5ヶ月 | 43万円 | 79万円 |
6ヶ月 | 51万6,000円 | 89万円 |
※本来の相場とは、弁護士基準(裁判基準)と呼ばれる計算方法で算定した金額。実際の示談では、この8割~9割程度で決着することが多い。
この記事では交通事故でむちうちとなった方へ向けて、適正な慰謝料を受け取るための方法を解説していきます。


交通事故のむちうちの【入通院慰謝料】の相場
むちうちの慰謝料増額が可能なのは3つの基準があるから
そもそも、なぜ保険会社から提示される慰謝料と、適正な慰謝料が異なるのでしょうか。
それは、慰謝料の計算方法に自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3種類があるためです。
概要 | |
---|---|
自賠責基準 | 自賠責保険の支払いで用いられる基準 最低限の金額となる |
任意保険基準 | 保険会社の内部基準 自賠責基準とほぼ同等 |
弁護士基準 | 裁判で用いられる基準 最も高額になる |
被害者本人と事故相手の保険会社が交渉を行う場合、保険会社は任意保険基準で金額提示をしてきます。
この金額を受け入れてもよいですが、弁護士を代理人にたて、弁護士基準で慰謝料の請求を行うことで、弁護士基準をベースにして示談交渉することが可能になるのです。
治療期間別・むちうちの入通院慰謝料の相場
それでは、総治療期間別にむちうちの慰謝料相場を見ていきましょう。
総治療期間
- 事故日から最後の通院日までの期間 または
- 事故日から症状固定(それ以上通院しても症状が改善しない状態)までの期間
比較・むちうちの慰謝料
総治療期間 | 自賠責基準※ | 弁護士基準※※ |
---|---|---|
1ヶ月 | 8万6000円 | 19万円 |
2ヶ月 | 17万2000円 | 36万円 |
3ヶ月 | 25万8000円 | 53万円 |
4ヶ月 | 34万4000円 | 67万円 |
5ヶ月 | 43万円 | 79万円 |
6ヶ月 | 51万6000円 | 89万円 |
※3日に1回ペースで通院したものとする
※※実際の示談の場では、この金額の8割~9割で示談となることが多い
自賠責基準・任意保険基準の慰謝料の計算方法
自賠責基準の慰謝料計算方法は以下の通りです。
- 4,300円×実治療日数の2倍
- 4,300円×治療期間
- いずれか金額の少ない方
任意保険基準は、各任意保険会社が社内で定めている基準で公にはされていません。
もっとも、自賠責基準の計算結果とほとんど同じか、わずかに高い金額であることが多いです。
相手方任意保険会社から提案される金額は、被害者に対する最低限の補償にすぎず、実際には増額の余地が残っている、ということになります。
関連記事
自賠責保険の慰謝料計算や限度額を解説|任意保険からも両方もらえる?
弁護士基準の慰謝料の計算方法
被害者が弁護士に交渉を委任した場合、裁判を前提とした弁護士基準をベースに交渉することが可能になります。
弁護士基準では、以下の表をもとに、入院月・通院月で慰謝料額が決まります。
入院・通院の交わる部分が慰謝料の金額です。
弁護士基準の算定表(1)
むちうちなど、レントゲンやMRI画像に異常が写らない場合はこの表を使う

- 入院なし、通院1ヶ月のとき慰謝料額は19万円
- 入院なし、通院6ヶ月のとき慰謝料額は89万円
- 入院1ヶ月、通院3ヶ月のとき慰謝料額は83万円
この表を使うと、弁護士基準の入通院慰謝料はすぐに分かります。
慰謝料計算機で増額の目安がスピーディーに分かる
慰謝料計算機を使えば、弁護士が示談交渉で目指す金額が分かります。
使い方も簡単で、手間をかけずに慰謝料シミュレーションが可能です。
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交通事故のむちうちの【後遺障害慰謝料】の相場
むちうちで6ヶ月以上通院したものの、首の痛みや倦怠感、手足のしびれといった症状が完治せず残ってしまうこともあります。
そのような症状が後遺障害として認定された場合は、通常の入通院慰謝料に加えて、後遺障害慰謝料を請求することができます。
等級別・むちうちの後遺障害慰謝料の相場
むちうちの後遺障害慰謝料の金額は、後遺障害等級で決定されます。
具体的な後遺障害慰謝料の金額は、以下の通りです。
比較・むちうちの後遺障害慰謝料
後遺障害等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準※※ |
---|---|---|
12級13号 | 94万円(※224万円) | 290万円 |
14級9号 | 32万円(※75万円) | 110万円 |
非該当 | 0円 | 0円 |
※後遺障害慰謝料のほか、後遺障害逸失利益もまとめた自賠責保険金の額
※※実際の示談の場では、この金額の8割~9割で示談となることが多い
むちうちの後遺障害等級
むちうちの症状で後遺障害申請をする場合、以下の等級に認定される可能性があります。
後遺障害等級 | 後遺障害の内容 |
---|---|
後遺障害12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの (症状の原因を医学的に証明可能) |
後遺障害14級9号 | 局部に神経症状を残すもの (症状の原因を医学的に説明可能) |
認定にあたっては、6ヶ月以上通院していること、症状が一貫していること、MRIなどの画像検査結果や、スパーリングテスト・ジャクソンテストなどの検査結果が重要です。
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むちうちの【慰謝料以外の示談金・保険金】
保険会社から支払われる示談金(損害賠償金・保険金)は、慰謝料以外にも様々な費目があります。
むちうちの治療費
むちうちの治療にかかる様々な費用は、治療関係費として請求可能です。
- 治療費、投薬代、手術代、入院費用など
- 整骨院の施術費用
- 診断書などの文書代
これらの費用は、大抵の場合は保険会社が直接病院に対して支払うため、被害者に負担は生じません。
しかし、以下のような場合には、被害者の方が実費で治療費を支払わなければならないときもあります。
- 事故直後の通院で、保険会社から病院への連絡が間に合わなかった場合
- 病院が方針として、保険会社とやりとりしないと決めている場合
- 治療費の対応が打ち切られた場合
このような場合は、後から治療費を請求するためにも、領収書や診療報酬明細書は必ずとっておくようにしましょう。
むちうちで治療費を打ち切ると言われたらどうする?
治療関係費は基本的に実費を請求しますが、通院期間が長引くと、途中で支払いを打ち切られることがあります。
相手方任意保険会社から治療費の打ち切りを打診された場合は、まず医師に治療に関する見解を確認してください。医師の判断が尊重されますので、医師が「まだ治療が必要」と判断した場合には、その旨を相手方の任意保険会社に伝えて交渉しましょう。
治療費の打ち切りや保険会社とのトラブルについてお悩みの方は、詳しい対応を解説している以下の関連記事をお役立てください。
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むちうちの休業損害
むちうちの痛みや通院のため、仕事を休んだり遅刻早退したような場合は、休業損害を請求することができます。
給与収入を得ている方の休業損害については、1日あたりの収入×休んだ日数で計算されます。
しかし、金銭的な実収入を得ていない主婦や、休業を証明しづらい自営業者の方は、正当な休業損害を認めてもらうために苦労されるケースが多いです。
アトム法律事務所の法律相談を利用すれば、休業損害の目安額が分かります。
また、以下の関連記事でも休業損害の計算式や請求方法を解説しているので、参考にしてください。
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むちうちの後遺障害逸失利益
むちうちで後遺障害が認定された場合、将来的に仕事内容が制限され、収入の減少が見込まれます。
そのような将来的な減収を保障するのが後遺障害逸失利益で、事故前の年の収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応したライプニッツ係数で計算されます。
比較・むちうちの後遺障害逸失利益
後遺障害等級 | 労働能力喪失率 | 労働能力喪失期間※ |
---|---|---|
12級13号 | 14% | 10年 |
14級9号 | 5% | 5年 |
※原則的には(67歳-症状固定時の年齢)だが、むちうちの場合は12級で10年、14級で5年とされることが多い
逸失利益のより具体的な計算方法については、以下の記事をご参照ください。
関連記事
交通事故の逸失利益とは?計算方法を解説!早見表・計算機で相場も確認
慰謝料以外に請求すべきお金のチェックリスト
むちうちの慰謝料は、被害者が請求する損害賠償金の一部に過ぎません。
「慰謝料」以外にも請求できる金銭を見落とさないことが大事です。
以下の損害賠償金チェックリストを使えば、慰謝料を含む損害賠償金をトータルで確認可能です。

ダウンロード:交通事故損害賠償金のチェックリスト
交通事故の示談金について、より詳しく確認したい場合は 『交通事故の示談金|内訳・金額から示談交渉まですべて解説』 の記事をご活用ください。
むちうちの慰謝料を【倍増】させるためには弁護士に相談
むちうちの慰謝料を増額してもらうためには、相手方保険会社に弁護士基準で慰謝料を計算してもらわなければなりません。
そのためには、弁護士に示談交渉を依頼する必要があります。
弁護士でないと弁護士基準の慰謝料は請求できない?
基本的には、弁護士に委任しないと弁護士基準の慰謝料請求は非常に困難です。
被害者の方が「インターネットで慰謝料の相場は〇万円であると見た」と言っても、「それは訴訟になった場合の金額だから」「今回の事故の慰謝料は社内で適正に計算されているから」などと言われ、交渉してもらえないことがほとんどです。
なぜなら、実際に弁護士に依頼して、いざとなれば裁判をするという姿勢を見せないと、弁護士基準(裁判基準)での交渉がそもそも始まらないためです。
アトム法律事務所のむちうち慰謝料の増額事例
実際、アトム法律事務所ではむちうちの慰謝料に関し、以下のような増額事例があります。
なお、全ての事例で同様の増額が可能なわけではありませんので、ご留意ください。
無等級のむちうちで152万円を回収した事例
後遺障害のないむちうちで、示談金152万円を回収した事例
弁護活動の成果
事故直後からご相談いただき、ご通院先やご通院頻度についてアドバイスをしました。結果、事故から8.5か月で示談金152万円を獲得しました。
年齢、職業
パート
傷病名
頚椎捻挫、腰部挫傷
後遺障害等級
なし
むちうちで14級9号に認定され、335万円を回収した事例
後遺障害14級9号の認定を受けたむちうちで、示談金335万円を回収した事例
弁護活動の成果
当初、相手方保険会社より222万円の提示がありましたが、示談交渉した結果示談金335万円を回収いたしました(113万円増額)。
年齢、職業
その他職業
傷病名
頚椎捻挫
後遺障害等級
14級9号
むちうち慰謝料の見積もり請求はこちら
アトム法律事務所では、年中無休で、交通事故被害者の方からの相談予約を受け付けています。
ご好評いただいている法律相談予約の窓口は、次の3つです。
- 電話
- メール
- LINE
実際に相談窓口をご利用いただいた方から、温かいお言葉を頂戴しています。ほんの一部をご紹介します。
素人は相談をもっていきにくいという意識がありましたが、ラインを通じて相談・質問が出来ました!
骨折・後遺障害10級のお客さまより
示談交渉の途中での依頼でしたが、精神的負担が大きく軽減され、無事に示談できました!
肩関節負傷・後遺障害12級のお客さまより
- 後遺障害等級認定の申請を一人で出来るか心配
- なんとなく慰謝料が低い気がする
- 相手方の保険会社と揉めてしまっている
被害者の方にとって、分からないことだらけでお困りのことと思います。
まずはその悩み・不安を解消しましょう。
正式な契約は相談後にご検討ください。
なお、契約後の弁護士費用については、弁護士費用特約を使うことで大幅に軽減することが可能です。むちうちの場合、弁護士費用特約を使うメリットはとくに大きいです。詳しくは『交通事故の弁護士特約をむちうちのケースで利用すべき3つの理由』の記事をご確認ください。
弁護士へのご相談の予約は、24時間365日受け付けています。
皆様からのご連絡をお待ちしています。


高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了