交通事故のむちうちの慰謝料相場はどのくらい?後遺障害認定のポイントも解説

交通事故でむちうちになった場合の慰謝料相場は、通院3か月で53万円、通院6か月で89万円が目安となります(弁護士基準)。
また、後遺障害等級が認定された場合、14級で110万円、12級で290万円が加算されます。
ただし、金額は「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」のどれで計算するかによって大きく変わり、同じ通院期間でも基準が違うと2倍以上の差が生じることもあります。
また、保険会社から受け取る示談金は慰謝料だけでなく、治療費・休業損害・通院交通費なども含めた合計額です。
この記事では、むちうちの慰謝料相場・計算方法・示談金の内訳などを分かりやすく解説します。
目次
むちうちの慰謝料相場一覧
交通事故でむちうちになった場合の慰謝料相場は、通院期間と算定基準によって変わります。まず全体像を早見表で確認しましょう。
むちうちで通院した場合の慰謝料
ここでは、むちうちで通院のみした場合の、自賠責基準・弁護士基準の入通院慰謝料の相場をご紹介します。なお、実通院日数は治療期間の半分以上とします。
慰謝料相場の例(むちうちで通院のみ)
| 治療期間 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
| 1か月 | 12.9万円 | 19万円 |
| 2か月 | 25.8万円 | 36万円 |
| 3か月 | 38.7万円 | 53万円 |
| 4か月 | 51.6万円 | 67万円 |
| 5か月 | 64.5万円 | 79万円 |
| 6か月 | 77.4万円 | 89万円 |
むちうちの治療期間は、平均で約2~3か月程度(73.5日)です。3か月以内に約70%の方が治癒しており、6か月以内では約90%が治癒しています(一般社団法人 JA共済総合研究所「交通事故によるいわゆる“むち打ち損傷”の治療期間は長いのか―損害賠償を含む心理社会的側面からの文献考証―」 P103)。
つまり、むちうちで3か月通院した場合の慰謝料は53万円となります(弁護士基準)。
むちうちで後遺障害が認定された場合の慰謝料
むちうちで通院6か月以上を経ても、しびれ・痛み・倦怠感などの症状が完治しない場合、後遺障害等級認定の申請を行うことがあります。等級が認定されれば、入通院慰謝料に加えて後遺障害慰謝料と逸失利益を請求できます。
むちうちの場合に認定されうる後遺障害等級は12級13号または14級9号です。
むちうちの後遺障害慰謝料
| 後遺障害等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準※※ |
|---|---|---|
| 12級13号 | 94万円(※224万円) | 290万円 |
| 14級9号 | 32万円(※75万円) | 110万円 |
| 非該当 | 0円 | 0円 |
※後遺障害慰謝料のほか、後遺障害逸失利益もまとめた自賠責保険金の額
※※実際の示談の場では、この金額の8割~9割で示談となることが多い
後遺障害12級13号の認定基準は、「局部に頑固な神経症状が残存しているか」です。具体的には、レントゲン写真・MRI画像・CT画像などの画像所見によって、神経症状の残存が医学的に証明できることが求められます。
一方、後遺障害14級9号の認定基準は、「局部に神経症状が残存しているか」です。こちらは画像所見による証明までは必要とされず、事故態様、症状の連続性・一貫性、治療の経過などから、症状の残存が医学的に説明できれば認定されます。
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むちうちの慰謝料を決める3つの算定基準
交通事故の慰謝料には自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つの計算基準があります。どれを採用するかで金額が大きく変わりますが、被害者にとって最も高水準で、法的正当性の高い計算基準が弁護士基準です。
3つの算定基準
- 自賠責基準
自賠責保険が慰謝料を算定する際に用いる計算基準。金額としては法律で定められた最低限の補償水準。 - 任意保険基準
任意保険会社が慰謝料を算定する際に用いる計算基準。各社で異なり非公開だが、自賠責保険の金額と同程度であるか、多少多い程度であることが多い。 - 弁護士基準(裁判基準)
弁護士や裁判所が慰謝料を算定する際に用いる計算基準。高額かつ法的正当性の高い基準。
同じ通院期間でも弁護士基準で計算した場合の金額が最も高くなります。たとえば通院3か月の場合、自賠責基準と弁護士基準では約15万円の差が生じます。
保険会社が被害者に最初に提示してくる示談金は、多くが自賠責基準の同程度である任意保険基準で算定されています。弁護士に交渉を依頼することで、弁護士基準の相場に近い金額で示談金を請求できるようになります。

むちうちで通院3か月(90日)になった場合の慰謝料の計算方法
ここでは「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つの基準で算出した通院3か月の目安額と計算方法を解説していきます。
自賠責基準の計算方法|通院日数によって金額が変わる
自賠責基準の慰謝料は、もっともシンプルな計算式で求められます。
- 4,300円 × 実治療日数の2倍
- 4,300円 × 治療期間
このうち、少ない方の金額が採用されます。
つまり、通院日数が少ない場合は「実治療日数の2倍」が適用され、頻繁に通院している場合は「治療期間」で上限が決まります。
自賠責基準で通院3か月の慰謝料を計算した場合
たとえば、90日間のうち45日通院した場合は、「4,300円 × 45日 × 2 = 38万7,000円」が上限となります。
これが自賠責基準でのむちうち3か月通院の目安金額です。
また自賠責保険では、慰謝料のほか治療費や交通費なども一定の範囲で補償されますが、補償の範囲や金額はあくまで最低限にとどまり、実際の損害をすべてカバーできるわけではありません。
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任意保険基準の計算方法|保険会社ごとに異なる
任意保険基準は、各保険会社が独自に定めている社内基準をもとに算定されます。
具体的な算定式は公表されていませんが、通院3か月(90日)の場合はおおよそ25万〜40万円程度になることが多く、自賠責基準とほぼ同等か、わずかに高い金額です。
そのため、保険会社から提示される金額は「最低限の補償額」と考えるべきであり、実際には交渉次第で増額の余地が十分にあります。
弁護士基準の計算方法|相場の金額を算定
弁護士に交渉を依頼した場合は、3つの計算基準の中で最も高額となる「弁護士基準(裁判基準)」に基づいて慰謝料を算出します。
この基準は3つの中で最も高額となり、むちうちで通院3か月(90日)の場合、保険会社の提示額(任意保険基準)より10万〜30万円ほど高い金額になることもあります。
弁護士基準では、入院・通院の月数の組み合わせによって金額が決まり、たとえば、むちうちなどで入院なし・通院3か月の場合、慰謝料の相場は53万円です。
一方で、入院1か月+通院2か月(合計3か月)の場合は69万円前後が目安となります。
同じ3か月の治療期間でも、入院が含まれるだけで15万円以上増額されるケースもあります。
入院の有無によって算定方法が変わる可能性がある
むちうちの慰謝料は、同じ3か月の治療期間でも、入院の有無や通院頻度によって金額が変わることがあります。
「自分のケースではいくらもらえるのか?」をすぐに知りたい方は、以下の慰謝料計算機を活用してみましょう。
条件を入力するだけで、弁護士基準をもとにした正確な金額目安を簡単に確認できます。
【注意】むちうちの慰謝料が低くなりやすいケース
同じむちうちでも、事故後の対応の仕方によって慰謝料が低くなるケースがあります。よくある4つのパターンを確認しましょう。
むちうちの慰謝料が低くなりやすいケース
- 事故から受診までの期間が空いた場合
- 通院頻度が極端に少ない場合
- 整骨院のみに通院している場合
- 保険会社の治療費打ち切りに応じてしまった場合
(1)事故から受診までの期間が空いた場合
事故から数日〜数週間経ってから初めて受診した場合、事故とむちうちの因果関係を疑われることがあります。
因果関係の立証のためには、遅くとも事故から1週間~2週間以内には病院を受診することが望ましいとされています。
違和感があれば早期に整形外科を受診することが重要です。
(2)通院頻度が極端に少ない場合
通院期間が長くても実通院日数が少ないと、自賠責基準では「実通院日数×2」が計算の基礎になるため慰謝料額が低くなることがあります。医師の指示に従った適切な通院頻度を保つことが大切です。
(3)整骨院のみに通院している場合
整形外科を受診せず整骨院のみに通った場合、施術費用や慰謝料の支払いを保険会社から争われることがあります。
整形外科での診察を継続したうえで、必要に応じて医師の同意を得て整骨院に通うのが望ましい形です。
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(4)保険会社の治療費打ち切りに応じてしまった場合
むちうちの治療では、3か月程度で保険会社から「そろそろ症状固定では」と治療費の打ち切りを打診されることが少なくありません。
症状が継続している場合は、医師の意見を確認したうえで、治療継続の必要性を主張することが重要です。
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むちうちの示談金・保険金の内訳
保険会社から支払われる示談金(保険金)は、慰謝料だけでなく複数の費目の合計額です。慰謝料は示談金の一部に過ぎず、ほかにも請求できる費目があります。

むちうち事故で請求できる費目
慰謝料の他に、むちうちで請求できる主な費目は次のとおりです。
- 治療費
診察料・投薬代・検査費用・手術代・入院費用など - 通院交通費
電車・バス代、自家用車のガソリン代、必要に応じたタクシー代 - 休業損害
仕事を休んだことによる収入減への補償 - 付添看護費
ケガをした被害者本人に近親者や職業付添人などが入院・通院に付き添った場合の費用 - 文書料
交通事故の損害を算出するにあたり、必要な書類を発行・交付してもらう際にかかる費用 - 診断書発行料
診断書などの発行手数料 など
各費目がどういうものなのかについては、『示談金と慰謝料の違いとは?交通事故の被害者が知っておくべき損害賠償の内訳』にて詳しく解説しています。
慰謝料以外に請求すべきお金のチェックリスト
以下の損害賠償金チェックリストを使えば、慰謝料を含む損害賠償金をトータルで確認可能です。

むちうちの慰謝料・示談金を適正額に近づけるポイント
医師の指示に従って継続的に通院する
むちうちの慰謝料・示談金を適正額に近づけるためには、医師の指示に従って継続的に通院することが大切です。
慰謝料額は通院期間と通院日数を基礎に計算されます。「症状が軽くなった」「仕事が忙しくなった」などの自己判断で通院を中断したり頻度を減らしたりすると、本来受け取れるはずの慰謝料が減額される可能性があります。
症状を医師に正確に伝え、カルテに記載してもらう
痛みやしびれの部位・強さ・日常生活への影響を、診察時に医師へ具体的に伝えることが重要です。
カルテへの記載が、後の後遺障害等級認定や慰謝料交渉の重要な根拠資料となります。
後遺症が残った場合は後遺障害認定の申請をする
治療しても症状が完治しない場合、症状固定の診断を受けたうえで後遺障害等級認定の申請をします。認定されれば後遺障害慰謝料と逸失利益が請求可能となります。
弁護士基準での交渉を検討する
保険会社が提示してくる金額は、任意保険基準で算定されているのが一般的です。弁護士に依頼することで弁護士基準での交渉が可能になり、結果として慰謝料額が増額される事例もあります。
なお、ご自身の自動車保険に弁護士費用特約が付いている場合、弁護士費用の自己負担を抑えて相談・依頼できることがあります。

弁護士費用特約は、自動車保険以外の火災保険やクレジットカードなどに付帯していることもあるので契約内容をよく確認してみて下さい。
弁護士費用特約の使い方について知りたい方は『交通事故の弁護士特約とは?使い方・使ってみた感想やデメリットはあるかを解説』の記事をご覧ください。
むちうちの慰謝料・保険金請求の流れ
事故発生から示談金を受け取るまでの流れは、おおむね次のとおりです。
示談金を受け取るまでの流れ
- 治療の開始と完治・症状固定まで
- 後遺障害等級認定の手続き
- 損害額の確定
- 示談交渉の開始(過失割合・賠償額の協議)
- 示談案の検討・合意
- 示談書の取り交わし
- 示談金の支払い
各ステップで判断に迷う場面が出てきた場合、早めに弁護士へ相談することで、後の交渉に有利な記録の残し方や進め方を整理できます。
むち打ちを含む人身事故の示談の流れは『交通事故の示談の流れと手順を完全解説!事故から入金までの期間と手続き』の記事で詳しく解説しています。
むちうちの慰謝料・示談金に関するよくある質問
Q.むちうちで通院日数が少ないと慰謝料は減りますか?
通院日数が少ないと慰謝料は減る傾向があります。
自賠責基準では「実通院日数×2」と「通院期間」のうち少ない方が計算の基礎となるため、通院頻度が低いと自賠責基準の金額が直接下がります。
また、弁護士基準でも、通院頻度が著しく低い場合は通院期間が短く評価されることがあります。
Q.むちうちで後遺障害等級は認定されますか?
むちうちで後遺障害等級は認定される可能性があります。
多くは14級9号、画像所見等で神経症状が医学的に証明される場合は12級13号が認定されます。認定の可否は、通院期間、症状の一貫性、医学的所見の有無などを総合的に判断されます。
Q.むちうちの示談金には何が含まれますか?
むちうちの示談金には、入通院慰謝料・治療費・通院交通費・休業損害・文書料が含まれます。
後遺障害等級が認定された場合には、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益も加算されます。
慰謝料は示談金全体の一部であり、各費目の合計額が示談金として支払われます。
アトムの解決事例(むちうち慰謝料の増額事例)
実際に、アトム法律事務所の弁護士が相談・依頼を受けた交通事故の解決事例を、プライバシーに配慮したかたちでご紹介します。なお、全ての事例で同様の増額が可能なわけではありませんので、ご留意ください。
無等級のむちうちで152万円を回収した事例
後遺障害のないむちうちで、示談金152万円を回収した事例
弁護活動の成果
事故直後からご相談いただき、ご通院先やご通院頻度についてアドバイスをしました。結果、事故から8.5か月で示談金152万円を獲得しました。
年齢、職業
パート
傷病名
頚椎捻挫、腰部挫傷
後遺障害等級
なし
むちうちで14級9号に認定され、335万円を回収した事例
後遺障害14級9号の認定を受けたむちうちで、示談金335万円を回収した事例
弁護活動の成果
当初、相手方保険会社より222万円の提示がありましたが、示談交渉した結果示談金335万円を回収いたしました(113万円増額)。
年齢、職業
その他職業
傷病名
頚椎捻挫
後遺障害等級
14級9号
むちうちの慰謝料・示談金でお悩みの方は弁護士に相談
むちうちの慰謝料は、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準のどの基準で計算するかによって金額が大きく変わります。弁護士基準では通院3か月で53万円、6か月で89万円が目安となり、後遺障害14級9号が認定された場合はさらに110万円程度の後遺障害慰謝料が加算されることもあります。
慰謝料を適正額に近づけるためには、事故直後の受診、医師の指示に従った継続的な通院、症状の正確な記録、保険会社からの早期打ち切りへの慎重な対応がポイントです。
また、保険会社からの提示額が示談金全体として妥当かどうかは、慰謝料以外の費目(治療費・休業損害・通院交通費など)も含めて確認することが大切です。
アトム法律事務所は無料相談を実施中
当事務所では交通事故・むちうち案件の無料相談を電話・メール・LINEで受け付けております。適切な示談金額か、自分の場合弁護士への依頼は必要かなど、金銭的な負担なく相談が可能です。
無料相談のみのご利用も可能なので、お気軽にご連絡ください。

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

