交通事故のむちうちの慰謝料相場はどのくらい?後遺障害認定のポイントも解説

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交通事故 慰謝料相場

交通事故でむちうちになったとき、どのくらいの慰謝料がもらえるのか気になる方は多いでしょう。

実は、むちうちの慰謝料の相場は、通院期間や症状の重さ、後遺症の有無などによって大きく変わります。

この記事では、むちうちの入通院慰謝料の相場や後遺障害慰謝料の金額目安をはじめ、慰謝料以外に請求できる費用、そして示談で金額を増額させるためのポイントを詳しく解説します。

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いくらもらえる?むちうちの慰謝料相場

むちうちの慰謝料は、通院期間や症状の程度、後遺障害が残るかどうかによって大きく変わります。

ここでは、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料のそれぞれの相場を確認していきましょう。

入通院慰謝料の相場

むちうちの入通院慰謝料は、入院期間と通院期間の組み合わせによって金額が決まります。

弁護士が示談交渉や裁判で用いる「弁護士基準(裁判基準)」では、次の算定表を使って入院・通院の月数から慰謝料を算出します。

入通院慰謝料の早見表

軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表

後遺障害慰謝料の相場

むちうちで6ヶ月以上通院したものの、首の痛みや倦怠感、手足のしびれといった症状が完治せず残ってしまうこともあります。

そのような症状が後遺障害として認定された場合は、入通院慰謝料に加えて、後遺障害慰謝料を請求することができます。

比較・むちうちの後遺障害慰謝料

後遺障害等級自賠責基準弁護士基準※※
12級13号94万円(※224万円)290万円
14級9号32万円(※75万円)110万円
非該当0円0円

※後遺障害慰謝料のほか、後遺障害逸失利益もまとめた自賠責保険金の額
※※実際の示談の場では、この金額の8割~9割で示談となることが多い

むちうちの症状で後遺障害申請をする場合、以下の等級に認定される可能性があります。

  • 後遺障害12級13号
    局部に頑固な神経症状を残すもの(症状の原因を医学的に証明可能)
  • 後遺障害14級9号
    局部に神経症状を残すもの(症状の原因を医学的に説明可能)

たとえば、むちうちで後遺障害14級9号に認定された場合、弁護士基準のほうが自賠責基準より約35万円多く受け取れることになります。

認定にあたっては、6ヶ月以上通院していること、症状が一貫していること、MRIなどの画像検査結果や、スパーリングテスト・ジャクソンテストなどの検査結果が重要です。

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【コラム】慰謝料相場には3つの計算基準がある

交通事故でむちうちになった場合、「いくら慰謝料がもらえるのか」はどの基準で計算するかによって大きく変わります。

慰謝料の算定には、主に以下の3つの基準が使われています。

基準概要
自賠責基準自賠責保険の支払いで用いられる基準
最低限の金額となる
任意保険基準保険会社の内部基準
自賠責基準とほぼ同等
弁護士基準裁判で用いられる基準
最も高額になる

被害者本人と事故相手の保険会社が交渉を行う場合、提示される金額は多くが任意保険基準で算定されます。

この基準は保険会社の社内基準であるため、本来よりも低い金額で示談が進められることもあります。

一方で、弁護士に交渉を依頼すれば、弁護士基準に基づいてより多くの慰謝料を受け取れる可能性があります。

むちうちのケースでも、保険会社の提示額(任意保険基準)より30万〜50万円ほど高くなるケースもあります。

むちうちで通院3ヶ月(90日)になった場合の慰謝料の計算方法と計算例

慰謝料金額相場の3基準比較

次に「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つの基準で算出した通院3ヶ月の目安額と計算方法を確認してみましょう。

通院3ヶ月の場合の慰謝料の目安(基準別)

基準金額
自賠責基準最大38万7000円
任意保険基準約25〜40万円
弁護士基準約53万円

自賠責基準の計算方法|最大38万7000円

自賠責基準の慰謝料は、もっともシンプルな計算式で求められます。

  • 4,300円 × 実治療日数の2倍
  • 4,300円 × 治療期間

このうち、少ない方の金額が採用されます。

つまり、通院日数が少ない場合は「実治療日数の2倍」が適用され、頻繁に通院している場合は「治療期間」で上限が決まります。

自賠責基準で通院3ヶ月の慰謝料を計算した場合

たとえば、90日間のうち45日通院した場合は、「4,300円 × 45日 × 2 = 38万7,000円」が上限となります。

これが自賠責基準でのむちうち3ヶ月通院の目安金額です。

また自賠責保険では、慰謝料のほか治療費や交通費なども一定の範囲で補償されますが、補償の範囲や金額はあくまで最低限にとどまり、実際の損害をすべてカバーできるわけではありません。

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自賠責保険の補償内容や慰謝料計算は?任意保険からも両方もらえる?

任意保険基準の計算方法|保険会社ごとに異なる

任意保険基準は、各保険会社が独自に定めている社内基準をもとに算定されます。

具体的な算定式は公表されていませんが、通院3ヶ月(90日)の場合はおおよそ25万〜40万円程度になることが多く、自賠責基準とほぼ同等か、わずかに高い金額です。

そのため、保険会社から提示される金額は「最低限の補償額」と考えるべきであり、実際には交渉次第で増額の余地が十分にあります。

弁護士基準の計算方法|相場の金額を算定

増額交渉(弁護士あり)

弁護士に交渉を依頼した場合は、3つの計算基準の中で最も高額となる「弁護士基準(裁判基準)」に基づいて慰謝料を算出します。

この基準は3つの中で最も高額となり、むちうちで通院3ヶ月(90日)の場合、保険会社の提示額(任意保険基準)より10万〜30万円ほど高い金額になることもあります。

弁護士基準では、入院・通院の月数の組み合わせによって金額が決まり、たとえば、むちうちなどで入院なし・通院3ヶ月の場合、慰謝料の相場は約53万円です。

一方で、入院1ヶ月+通院2ヶ月(合計3ヶ月)の場合は約69万円前後が目安となります。

同じ3ヶ月の治療期間でも、入院が含まれるだけで15万円以上増額されるケースもあります。

入院の有無によって算定方法が変わる可能性がある

むちうちの慰謝料は、同じ3ヶ月の治療期間でも、入院の有無や通院頻度によって金額が変わることがあります。

「自分のケースではいくらもらえるのか?」をすぐに知りたい方は、以下の慰謝料計算機を活用してみましょう。

条件を入力するだけで、弁護士基準をもとにした正確な金額目安を簡単に確認できます。

むちうちで後遺障害認定されるには?

むちうちの症状が長引いた場合、後遺障害として認定されるかどうかが慰謝料や損害賠償額に大きく影響します。

しかし、実際には認定を受けるのは厳しいのが現状です。

むちうちの後遺障害認定は難しい

交通事故のむちうちで後遺障害認定が難しい理由は主に以下の4つになります。

  1. 後遺症の客観的な証明が難しいから
  2. 後遺症と事故の因果関係の証明が難しいから
  3. むちうちの治療は短期で終わりやすいから
  4. むちうちだと整骨院に通ってしまう人が多いから

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むちうちの後遺症で後遺障害認定は難しい?認定対策や完治しない時の賠償金は?

むちうちで後遺障害認定されるためのポイント

むちうちの後遺障害認定が難しい理由を踏まえたうえで、認定を受けるためにどのような対応が必要なのかを確認しておきましょう。

以下のポイントを押さえておくことで、認定の可能性を高めることができます。

  1. 後遺障害12級・14級の認定基準を押さえる
  2. 6ヶ月以上継続して治療を受ける
  3. 後遺症を証明できる検査を受ける
  4. 症状の常時性・一貫性・継続性を伝える
  5. 自覚症状では仕事や生活への影響も主張する
  6. 追加書類も添付して後遺障害申請をする

むちうちで認定される可能性を高めるためのポイントについて詳しくは、下記の関連記事をご確認ください。

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後遺障害等級が認定されるには?|認定の仕組みと認定率の上げ方を解説

むちうちの慰謝料以外の示談金・保険金

保険会社から支払われる示談金(損害賠償金・保険金)は、慰謝料以外にも様々な費目があります。

交通事故の慰謝料

むちうちの治療費

むちうちの治療にかかる様々な費用は、治療関係費として請求可能です。

  • 治療費、投薬代、手術代、入院費用など
  • 整骨院の施術費用
  • 診断書などの文書代

これらの費用は、大抵の場合は保険会社が直接病院に対して支払うため、被害者に負担は生じません。

しかし、以下のような場合には、被害者の方が実費で治療費を支払わなければならないときもあります。

  • 事故直後の通院で、保険会社から病院への連絡が間に合わなかった場合
  • 病院が方針として、保険会社とやりとりしないと決めている場合
  • 治療費の対応が打ち切られた場合

このような場合は、後から治療費を請求するためにも、領収書や診療報酬明細書は必ずとっておくようにしましょう。

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交通事故の慰謝料請求に必要な明細・書類は?通院交通費明細書の書き方も解説

むちうちで治療費を打ち切ると言われたらどうする?

治療関係費は基本的に実費を請求しますが、通院期間が長引くと、途中で支払いを打ち切られることがあります。

相手方任意保険会社から治療費の打ち切りを打診された場合は、まず医師に治療に関する見解を確認してください。

医師の判断が尊重されますので、医師が「まだ治療が必要」と判断した場合には、その旨を相手方の任意保険会社に伝えて交渉しましょう。

治療費の打ち切りや保険会社とのトラブルについてお悩みの方は、詳しい対応を解説している以下の関連記事をお役立てください。

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むちうちの休業損害

むちうちの痛みや通院のため、仕事を休んだり遅刻早退したような場合は、休業損害を請求することができます。

給与収入を得ている方の休業損害については、1日あたりの収入×休んだ日数で計算されます。

しかし、金銭的な実収入を得ていない主婦や、休業を証明しづらい自営業者の方は、正当な休業損害を認めてもらうために苦労されるケースが多いです。

アトム法律事務所の法律相談を利用すれば、休業損害の目安額が分かります。
また、以下の関連記事でも休業損害の計算式や請求方法を解説しているので、参考にしてください。

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むちうちの後遺障害逸失利益

むちうちで後遺障害が認定された場合、将来的に仕事内容が制限され、収入の減少が見込まれます。

そのような将来的な減収を保障するのが後遺障害逸失利益で、事故前の年の収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応したライプニッツ係数で計算されます。

比較・むちうちの後遺障害逸失利益

後遺障害等級労働能力喪失率労働能力喪失期間※
12級13号14%10年
14級9号5%5年

※原則的には(67歳-症状固定時の年齢)だが、むちうちの場合は12級で10年、14級で5年とされることが多い

逸失利益のより具体的な計算方法については、以下の記事をご参照ください。

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交通事故の逸失利益は?計算式や早見表・計算機で解説【職業別の計算も】

慰謝料以外に請求すべきお金のチェックリスト

むちうちの慰謝料は、被害者が請求する損害賠償金の一部に過ぎません。
「慰謝料」以外にも請求できる金銭を見落とさないことが大事です。

以下の損害賠償金チェックリストを使えば、慰謝料を含む損害賠償金をトータルで確認可能です。

人身事故損害賠償請求のチェックリスト

交通事故損害賠償金のチェックリスト

交通事故の示談金について、より詳しく確認したい場合は 『交通事故の示談金|内訳・金額から示談交渉まですべて解説』 の記事をご活用ください。

むちうちの慰謝料を【倍増】させるためには弁護士に相談

むちうちの慰謝料を増額してもらうためには、相手方保険会社に弁護士基準で慰謝料を計算してもらわなければなりません。

そのためには、弁護士に示談交渉を依頼する必要があります。

弁護士でないと弁護士基準の慰謝料は請求できない?

基本的には、弁護士に委任しないと弁護士基準の慰謝料請求は非常に困難です。

被害者の方が「インターネットで慰謝料の相場は〇万円であると見た」と言っても、「それは訴訟になった場合の金額だから」「今回の事故の慰謝料は社内で適正に計算されているから」などと言われ、交渉してもらえないことがほとんどです。

なぜなら、実際に弁護士に依頼して、いざとなれば裁判をするという姿勢を見せないと、弁護士基準(裁判基準)での交渉がそもそも始まらないためです。

アトム法律事務所のむちうち慰謝料の増額事例

実際、アトム法律事務所ではむちうちの慰謝料に関し、以下のような増額事例があります。

なお、全ての事例で同様の増額が可能なわけではありませんので、ご留意ください。

無等級のむちうちで152万円を回収した事例

後遺障害のないむちうちで、示談金152万円を回収した事例


弁護活動の成果

事故直後からご相談いただき、ご通院先やご通院頻度についてアドバイスをしました。結果、事故から8.5か月で示談金152万円を獲得しました。

年齢、職業

パート

傷病名

頚椎捻挫、腰部挫傷

後遺障害等級

なし

むちうちで14級9号に認定され、335万円を回収した事例

後遺障害14級9号の認定を受けたむちうちで、示談金335万円を回収した事例


弁護活動の成果

当初、相手方保険会社より222万円の提示がありましたが、示談交渉した結果示談金335万円を回収いたしました(113万円増額)。

年齢、職業

その他職業

傷病名

頚椎捻挫

後遺障害等級

14級9号

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骨折・後遺障害10級のお客さまより

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肩関節負傷・後遺障害12級のお客さまより
  • 後遺障害等級認定の申請を一人で出来るか心配
  • なんとなく慰謝料が低い気がする
  • 相手方の保険会社と揉めてしまっている

被害者の方にとって、分からないことだらけでお困りのことと思います。
まずはその悩み・不安を解消しましょう。

正式な契約は相談後にご検討ください。
なお、契約後の弁護士費用については、弁護士費用特約を使うことで大幅に軽減することが可能です。むちうちの場合、弁護士費用特約を使うメリットはとくに大きいです。詳しくは『交通事故の弁護士特約をむちうちのケースで利用すべき3つの理由』の記事をご確認ください。

弁護士へのご相談の予約は、24時間365日受け付けています。
皆様からのご連絡をお待ちしています。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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