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交通事故の弁護士特約をむちうちのケースで利用すべき3つの理由

更新日:

2020年4月1日改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

「弁護士特約はむちうち程度の症状でも利用した方がいいのだろうか…」

交通事故の弁護士費用特約は、弁護士費用を負担することなく、安心して弁護士に対応を任せられるという被害者にとってメリットの大きい保険の特約です。

もっとも、比較的軽傷といえるむちうち程度のケガなら、わざわざ弁護士特約を利用して弁護士に対応を任せる必要はないとお考えの方もいるかもしれません。

しかし、弁護士特約はむちうちのケースこそ利用するメリットが大きいのです。

その理由を3つのポイントに絞って、交通事故案件の知識と経験が豊富な弁護士ができるだけわかりやすくご説明していきたいと思います。

自分での対応が必要なケースが多い

むちうちの症状は追突事故でよく発生

むちうちとは、頭部への慣性外力による頸部の連続的な過伸展(後屈)と過屈曲(前屈)を伴う運動のため生じる頸部脊柱の軟部支持組織の損傷のことです。

上記の運動が頭部に働く結果、むちがしなるように首が前後に大きく動くため、むちうちと呼ばれています。

診断書の症状名には「頸椎捻挫(頚椎捻挫)」・「外傷性頚部症候群」・「頚部打撲」・「頚部挫傷」などと記載されているケースが多いです。

このむちうちは、追突事故により受傷したケースでよく発生する症状です。

追突事故は通常被害者の過失割合が0

追突事故の過失割合

追突事故は、信号待ちなどで停車している状況で後ろから追突されるケースが多く、そのようなケースでは被害者(被追突車)の過失は0となるのが通常です。

過失割合

交通事故の発生に対する当事者の責任の程度を数値で表したもの。相手方に損害賠償請求できる最終的な金額は、自身の過失割合分が差し引かれて計算される。

過失がなければ保険会社は対応しない

交通事故被害者が任意保険に加入していれば、通常、被害者に代わって任意保険会社の担当者が相手方との示談交渉や対応をしてくれます。

しかし、被害者に過失が認められない場合、被害者側の保険会社は示談交渉などの対応を代行してくれません

弁護士でない保険会社が損害賠償金の支払い義務がない状況で、報酬(保険料)を得る目的で示談交渉をすることは、弁護士法72条で禁じられているからです。

そのため、むちうちでは、被害者が自分一人で、交通事故の知識や経験の豊富な加害者側任意保険会社の担当者を相手に対応する必要があるケースが多いです。

被害者が自分で対応した場合、時間も取られますし、保険会社からの連絡が頻繁にあることが精神的なストレスとなる可能性もあります。

むちうちは、上記のような面倒な手続き負担を解消するための解決方法として、弁護士特約を利用する必要性が高いケースといえます。

さらに、弁護士特約を利用して弁護士に依頼をすれば、下記のようなトラブルや問題についての適切なアドバイスやサポートも受けられます。

  1. 整形外科と整骨院のどちらに通院すべきか
  2. 休業損害の補償請求
  3. 治療費打ち切りへの対応
  4. 症状固定のタイミング(通院を継続すべきか終了すべきか)

たとえば、①の問題に対しては、整骨院に通院する場合は、症状の緩和に有効であるとして医師から同意を得た上で通院するようアドバイスを受けられます。

②の問題に対しては、金額の計算の基礎となる収入日額を増額して請求したり、支払いを早くするよう任意保険会社と交渉したりするサポートが受けられます。

③の問題に対しても、治療費打ち切りの時期を延長してもらうよう任意保険会社と交渉してもらうというサポートを受けることが可能になります。

④の問題に対しても、治療による改善の見込みがあるしどうかを医師に確認し、通院を継続すべきか終了すべきかの判断につき、アドバイスを受けられます。

慰謝料などの増額幅が比較的少ない

弁護士に示談交渉を頼むと慰謝料増額

増額交渉(弁護士あり)

交通事故で弁護士に示談交渉を頼む最大のメリットは、保険会社から提示された慰謝料額を含む損害賠償金額よりも増額できる可能性が高い点にあります。

弁護士ならば、最も高額かつ適正な相場の基準である弁護士基準で計算した金額での示談交渉が可能になるからです。

交通事故慰謝料を計算する3つの基準

  1. 自賠責基準:自賠責保険に請求した場合の計算に使われる基準
  2. 任意保険基準:任意保険会社の示談交渉での提示額の計算に使われる基準
  3. 弁護士基準:弁護士が示談交渉で請求する金額の計算に使われる基準

弁護士基準は、裁判でも使われる基準のため、「裁判基準」とも呼ばれます。

弁護士が請求することにより、保険会社は裁判となる可能性を認識し、示談交渉の段階での増額に応じる可能性が高くなるのです。

弁護士費用>増額幅だとメリットなし

もっとも、弁護士に示談交渉を依頼するには、通常弁護士費用がかかります。

この弁護士費用が、依頼をしたことによる増額幅を上回ってしまうケースだと、最終的に被害者の手元に残る金額が少なくなり、かえって被害者に不利益です。

そして、むちうちは弁護士に依頼した場合の増額幅が比較的少ないため、弁護士費用の方が高額(費用倒れ)になってしまう可能性があるケースといえます。

例えば、むちうちは通院期間が3か月程度となるケースが多いところ、その場合に保険会社が提示してくる慰謝料は38万円程度が相場です。

上記のケースで弁護士に依頼した場合には、慰謝料は53万円程度まで増額できる可能性がありますが、増額幅は15万程度にとどまります。

一般的に、弁護士費用は最低でも20万円程度は必要となることが多いため、上記のケースでは、弁護士費用が増額幅を上回ってしまう可能性があります。

弁護士特約ならむちうちでも心配なし

この点、弁護士特約を利用できるなら、むちうちのケースでも上記のような心配をする必要がなく、安心して弁護士に依頼することが可能です。

弁護士費用を負担する必要がなくなるため、弁護士を依頼したことによる増額分がそのまま手元に残るというメリットを得られます。

つまり、弁護士特約は、弁護士費用との兼ね合いから弁護士に依頼するのが通常困難なむちうちのケースでこそ、利用すべき必要性が高いといえます。

後遺障害の認定に注意が必要な症状

むちうちの後遺障害等級及び認定基準

むちうちの後遺障害を解説

むちうちによる痛みや痺れといった症状は、治療を継続しても完治せず、後遺症として残存してしまう可能性があります。

上記のようなケースでは、後遺障害認定を受けることによって、損害賠償金額が大幅に増額します。

後遺障害認定を受けると、後遺障害慰謝料や逸失利益という損害賠償項目を請求できるようになるからです。

むちうちによる症状で認定される後遺障害等級は12級13号か14級9号のケースがほとんどです。

自賠責保険の実務における12級13号と14級9号の認定基準は以下のとおりです。

後遺障害等級認定基準
12級13号局部に著しい神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

後遺障害が認定されるには、事故の受傷部位と現存する症状(後遺症)との間の因果関係が必要ですが、12級と14級は必要とされる因果関係の程度が違います。

12級13号の認定基準

むちうちで後遺障害12級13号が認定されるには、「障害の存在が他覚的に証明できるもの」である必要があります。

他覚的に証明できるかどうかは、各種検査結果をもとに判断されますが、通常はレントゲン、MRIなどの画像検査や神経学的検査が実施されます。

注意点としては、他覚的な証明とは、事故により生じた身体の異常が原因で症状が発生していることが医学的に証明できるケースを意味するということです。

そのため、被害者の主張する痛みや痺れなどの症状が、被害者の誇張や詐病ではないと認定されるケースでも、他覚的に証明されたことになるとは限りません。

14級9号の認定基準

14級9号が認定されるには、「障害の存在が医学的に説明可能なもの」である必要があります。

医学的に説明可能といえるためには、被害者の主張する症状と受傷部位、治療の期間・内容や各種検査結果との整合性が必要になります。

後遺障害慰謝料の金額(基準別)

むちうちで後遺障害等級12級13号や14級9号が認定された場合の後遺障害慰謝料は、自賠責基準の金額と弁護士基準の金額相場で下記のような違いがあります。

後遺障害等級自賠責基準弁護士基準
12級13号32万円110万円
14級9号94万円※290万円

※2020年3月31日以前に発生した事故のケースでは93万円

上記のとおり、同じ後遺障害等級でも、弁護士に示談交渉を依頼することにより受け取れる後遺傷害慰謝料が3倍以上も増額する可能性があります。

弁護士に依頼した場合に、入通院慰謝料、後遺傷害慰謝料、逸失利益の合計金額でどの程度増額できるかの目安は、以下の慰謝料計算機で簡単に確認できます。

「打撲、むちうち等」の所を押した上でご利用ください。

基準に該当するかの判断が難しい症状

もっとも、むちうちは上記の後遺障害等級認定の基準に該当するかどうかの判断が難しい症状になります。

むちうちでは、レントゲンやMRIなどの画像検査を実施しても、異常を発見することができないケースが多いからです。

また、むちうちでは、後遺障害等級認定の判断に際し、面談は行われないため、判断にあたっては後遺障害診断書の記載内容が非常に重要となります。

しかし、むちうちでは、後遺障害診断書に神経学的検査の結果が記載されていないケースも多いです。

本来、医師は事故直後に治療内容を決めるために神経学的検査を行うのであり、治療終了(症状固定)の段階で行う必要があるとは通常考えていないからです。

弁護士なら認定に必要な要素がわかる

そのため、むちうちは、適切な後遺障害等級が認定される可能性を高めるために弁護士特約を利用すべき必要性が高いケースといえます。

交通事故案件の知識と経験豊富な弁護士であれば、適切な後遺障害等級の認定をされるために必要な検査や後遺障害診断書の記載内容が何かを理解しています。

そのため、弁護士に依頼すれば、主治医と面談して必要な検査の追加実施の依頼や後遺障害診断書の記載内容につき協議や修正の依頼をすることが可能です。

そして、弁護士に依頼して被害者請求という方法で後遺障害の申請をすることで認定に有利に働く書類を添付することも可能になります。

弁護士に依頼すれば、病院から診断書・診療報酬明細書を取得するなど必要書類の収集手続きに時間を取られるという被害者請求のデメリットも解消されます。

さらに、既に後遺障害認定の結果が出ている段階でも、被害者の納得がいかないケースであれば、異議申立てという方法によるサポートを行うことも可能です。

【参考】弁護士特約の使い方の紹介

ここまでお読みいただいて、実際に弁護士特約を利用したいと思われた被害者の方に向けて、最後に弁護士特約の使い方をご紹介します。

利用可能な弁護士特約があるかを確認

まずは、弁護士特約が付いている保険がないかよく確認しましょう。

確認方法としては、保険証券の内容を確認する方法や保険会社に直接問い合わせをする方法があります。

弁護士特約は自動車保険に付いているものを利用するケースが多いですが、火災保険などに付いているものが利用できるケースもあるのでよく確認しましょう。

また、弁護士特約の適用範囲は広く、家族が加入している保険に付いているものが利用できるケースもあるので、自分以外の家族の保険もよく確認しましょう。

安心して頼める弁護士を相談して探す

弁護士特約を利用できることが確認できたら、続いては実際に依頼する弁護士を決める必要があります。

保険会社から紹介を受けるケースもありますが、ご自分で弁護士に相談してみた上で安心して頼める弁護士を探すのがお勧めです。

安心して頼める弁護士かは、相談の際に以下のポイントを確認すべきです。

  • 不安に思っている点や悩みに対し適切なアドバイスをくれるか
  • 今後の流れをわかりやすく説明してくれるか
  • 対応が丁寧か
  • 自分と同じような事案の受任経験があるか

弁護士特約は、法律相談料として10万円まで負担してくれるものが一般的です。

仮に、法律相談料を負担してくれない内容の弁護士特約だった場合には、多くの弁護士事務所が対応している無料相談を利用してみるのがお勧めです。

アトム法律事務所弁護士法人でも、人身事故被害者の方を対象に無料相談の対応を行っています。

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保険会社に弁護士特約の利用を伝える

依頼する弁護士が決まったら、保険会社に対し、弁護士特約を利用して弁護士を依頼する旨を伝え、同意を得るようにしましょう。

同意を得ておかないと、弁護士費用の支払いの段階でトラブルが発生する可能性があるからです。

保険会社に依頼する弁護士の連絡先を伝えておけば、その後の弁護士費用の請求や支払いに関するやり取りは、弁護士と保険会社が通常対応してくれます。

注意点としては、一般的な弁護士特約で保険会社が負担してくれるのは、着手金や報酬金、実費などを合計して300万円までということです。

もっとも、むちうちのケースでは、弁護士費用が300万円を超えてしまう可能性は極めて低いので、安心してご利用ください。

まとめ

  • むちうちは、被害者が自分で対応しなければいけないケースが多いので、弁護士に対応を任せるために弁護士特約を利用する必要性が高い
  • むちうちは、弁護士に依頼しても慰謝料の増額分で弁護士費用を賄えない可能性があるので、弁護士特約を利用する必要性が高い
  • むちうちは、後遺障害認定の判断が難しい症状なので、適切な等級認定が受けられる可能性を高めるために弁護士特約を利用する必要性が高い

代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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