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症状固定とは?5つの意味と目安時期、後遺障害等級認定を解説

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交通事故の症状固定

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

症状固定とは「これ以上治療を続けても症状が良くも悪くもならない状態」になることを言います。

交通事故の場合は症状固定を境に治療費や休業損害などの支払いが終わり、後遺障害分の慰謝料請求に向けた手続きを始めることになります。

この記事を通して、症状固定の意味やタイミングの目安、症状固定を催促された場合の対処法、症状固定後にすべきことについて確認していきましょう。

交通事故の症状固定とは?5つの特徴から理解

(1)症状固定とは治療終了・後遺症残存の意味

症状固定とは、交通事故で負った傷害に対して、「これ以上治療の効果が期待できない状態となった」という意味、つまケガが後遺症として残ったという意味です。

治療やリハビリは基本的に症状固定を機に終了し、加害者側からの治療費・リハビリ費用の補償も終わります。

症状固定後も治療やリハビリを続けたい場合は、原則として被害者自身で費用を負担しなければなりません。

ただし、現状維持のためリハビリが不可欠などの事情が認められれば、症状固定後の治療費・リハビリ費用も加害者側に請求できる可能性があります。

症状固定のタイミング

(2)症状固定とは損害賠償金の種類が変わるタイミング

症状固定は、損害賠償請求の面から言うと発生する損害賠償金が変わるタイミングであるともいえます。

症状固定前の時期は治療関係費・休業損害・入通院慰謝料が発生しますが、症状固定後は後遺障害慰謝料・逸失利益が発生するのです。

交通事故示談金の内訳
治療費治療のために必要な費用
通院交通費や付き添い看護費なども含まれる
休業損害 治療のため休業したことで生じる減収への補償
入通院慰謝料入通院する中で生じる精神的苦痛に対する補償
後遺障害慰謝料*後遺障害が残ることで生じる精神的苦痛に対する補償
逸失利益*後遺障害により労働能力が低下し、減ってしまう生涯収入の補償

*後遺障害等級が認定された場合に請求できる

交通事故示談金のより細かい内訳やポイントは、『交通事故の示談金|内訳・金額から示談交渉まですべて解説』で解説しています。

症状固定の時点で示談金の一部は計算可能

症状固定の時点で、治療関係費や休業損害、入通院慰謝料といった傷害分の費目は計算できるようになります。

入通院慰謝料については、以下に計算方法を解説した記事と無料計算機をご紹介するので、確認してみてください。
なお、厳密な相場については細かな事情まで考慮する必要があるので、弁護士に相談することをおすすめします。

(3)症状固定とは医師が決めるもの|保険会社に打診されたら

症状固定の時期の決定は、主治医の判断が尊重されます

本当にこれ以上治療をしても改善は見込めないのか、医学的に判断できるのは専門家である医師だからです。

ただし、症状固定の時期は医師の一方的な判断によって決まるわけではありません。
医師から症状固定といわれたものの、まだ治療により症状が改善している実感がある場合は、患者側から医師にその旨を伝えてみましょう。

現在感じている自覚症状や治療の効果などを伝えると、治療を継続してもらえる可能性があります。

加害者側保険会社の「そろそろ症状固定にしましょう」に注意!

交通事故の場合、加害者側の任意保険会社から「そろそろ症状固定にしませんか」と言わることがありますが、この言葉には要注意です。

保険会社が症状固定を打診してきた場合、早く治療を終了させて治療費や入通院慰謝料をおさえたいという思惑が働いている可能性があります。

また、治療が不十分なまま症状固定になっても、後遺障害等級が認定されず、後遺障害慰謝料・逸失利益がもらえないリスクもあります。

保険会社の打診をそのまま受け入れると相手の思うつぼなので、必ず医師に相談し、まだ治療が必要なら以下の形で最後まで継続しましょう。

  • 保険会社に治療費打ち切りの延長を交渉する
    医師に意見書を書いてもらったり、弁護士を立てたりして治療費打ち切りの延長を交渉すると、受け入れられる可能性があります。
  • 費用を被害者側で立て替え、あとから請求する
    治療費が打ち切られてしまった場合は、被害者側で費用を立て替えながら治療を継続し、立て替えた分は示談交渉の際に請求します。
    治療費を立て替える際は、健康保険を使うと負担を軽減できます。

交通事故の治療で健康保険を使う場合は、「第三者行為による傷病届」を保険者(全国健康保険協会など)に提出しましょう。

なお、立て替えた治療費を後で保険会社に請求する際、もめてしまうことも考えられます。あらかじめ弁護士にも相談しておくと安心でしょう。

相手方保険会社から治療費を打ち切られた場合のより具体的な対処法や、交通事故治療における健康保険の使い方は、『交通事故の治療費打ち切り|延長や自費治療の選択と保険会社への対処法』からご確認ください。

(4)症状固定とは後遺障害等級認定の申請を始める時期

症状固定は、後遺障害等級認定の申請を始める時期でもあります。

後遺障害等級認定

交通事故で残った後遺症に対して、後遺障害等級を認定してもらうこと。
後遺障害等級は審査を経て認定され、認定を受ければ後遺障害慰謝料・逸失利益を請求できるようになる。

症状固定前に後遺障害等級認定の申請をしても、「もう少し治療すれば完治する可能性がある」として等級認定されない可能性があります。

よって、後遺障害等級認定の申請は症状固定の診断を受けてからにしましょう。
後遺障害等級認定の具体的な申請方法は、のちほど本記事内で解説します。

(5)症状固定とは損害賠償請求権の消滅時効の起算点

症状固定は、後遺障害分の損害賠償金における「損害賠償請求権の消滅時効」の起算点でもあります。

損害賠償請求権の消滅時効とは、交通事故被害者が加害者に損害賠償請求できる権利の時効です。

後遺障害慰謝料・逸失利益といった後遺障害分の費目の場合、時効は症状固定翌日から5年後となります。

なお、傷害分の費目や物損の費目に関しては別途時効が設けられている点にも注意しましょう。

損害賠償請求権の消滅時効

損害賠償金時効
傷害分
治療関係費、休業損害、入通院慰謝料など
事故発生翌日から5年*
後遺障害分
後遺障害慰謝料、逸失利益
症状固定翌日から5年*
死亡事故
死亡慰謝料、葬祭関係費など
死亡翌日から5年*
物損
車の修理費、代車費用など
事故発生日から3年

* 加害者側の自賠責保険会社に対して損害賠償請求をおこなう場合は「3年」

交通事故の損害賠償金は、基本的に相手方との示談交渉の中で請求します。
しかし、示談交渉開始の時点では、いずれの費目もすでに時効のカウントが始まっています。

後遺障害等級認定の審査が長引いて示談開始が遅れた場合や、示談交渉が行き詰まっている場合は時効に間に合わないリスクがあるので、一度弁護士にご相談ください。

弁護士の介入により示談がスムーズに成立したり、時効を延長したりできる可能性があります。

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症状固定の時期はいつ?

怪我の種類別・症状固定時期の目安

実際のところ、治療期間は事故態様や治療経過など個々のケースによって大きく左右されるため、症状固定の時期も人それぞれです。

その点を踏まえたうえで、怪我の症状別に、症状固定時期の目安を紹介します。
まずは一覧表を紹介し、そのあと怪我ごとに詳しい解説をしていきます。

怪我症状固定の目安
打撲1ヶ月
頚椎捻挫・腰椎捻挫
(むちうち)
軽傷:3ヶ月
重傷:半年
骨折半年
高次脳機能障害1年~数年

打撲は1ヶ月

交通事故で打撲を負うと、事故から数週間~1ヶ月程度の治療期間を要するケースが多いでしょう。
ただし、後遺症が残って症状固定となるのは3ヶ月程度の治療期間を要する重症の場合であり、数週間~1ヶ月の治療期間で終了する程度の場合はそのまま完治することが多いです。

頚椎捻挫・腰椎捻挫は軽傷3ヶ月・重傷半年

頚椎捻挫や腰椎捻挫といったいわゆる「むちうち」の場合は、軽い症状なら3ヶ月、後遺障害の残るような重い頚椎捻挫であれば半年6ヶ月)以上が症状固定の目安です。

実際、頚椎捻挫では治療に3ヶ月以上かかった割合がおよそ30%程度、半年以上かかった割合は10%程度とするデータが複数あります。

むち打ち症は、交通事故時の衝撃により首や腰周辺の筋肉や骨などが損傷することで発生し、痛み・腫れ・痺れといった症状が見られます。

骨折は半年

交通事故で骨折すると、事故から約半年程度の治療期間の後に症状固定となるのが最短の目安です。

もっとも、骨折するとネジやプレートといった金属を入れ込むような手術を行うケースもあります。このような手術が加わると、症状固定まで1年~1年半かかることもあるでしょう。

高次脳機能障害は1年~数年

高次脳機能障害とは、脳挫傷などによって脳が損傷することで言語・思考・記憶・注意など脳の働きに障害が生じるものです。高次脳機能障害では治療やリハビリの効果をみるため、症状固定まで長期の時間を要する可能性が高いです。

高次脳機能障害では事故から最低でも1年は時間が必要になり、長いものだと症状固定まで数年かかることもあるでしょう。

ポイント|慰謝料請求するなら症状固定まで半年以上必要

すでに解説した通り、交通事故で症状固定となり後遺症が残った場合は、後遺障害等級の認定審査を受けます。

ただし、治療期間半年未満で症状固定になった場合は、以下のような理由から、後遺障害等級が認定されない可能性が高いです。

  • もっと治療を継続すれば完治するのではないかと疑われる
  • 後遺障害等級を認定するほどの後遺症ではないと判断される

ただし、指の欠損など、治療期間が短くても明らかに後遺障害が残ると判断されるものについては、上記の限りではありません。

後遺障害等級が認定されなければ後遺障害慰謝料・逸失利益はもらえないので、後遺障害に対する損害賠償金を請求したいのであれば、治療期間が半年を過ぎてから症状固定しましょう。

なお、半年以上通院して症状固定になっても、1ヶ月以上通院が途絶えた期間があると後遺障害等級の認定は厳しくなります。

症状固定時期と後遺障害等級認定の関係については『症状固定と後遺障害認定|いつ誰が決める?症状固定後のリハビリと治療費も解説』をご覧ください。

医師に症状固定と言われた後の流れ

後遺障害等級認定の手続きを始める

症状固定の診断を受けたら、後遺障害等級認定の手続きを始めます。

後遺障害等級認定の手続きは、必要書類を審査機関に提出することで完了します。
ただし、相手方任意保険会社または相手方自賠責保険会社のどちらかを経由しなければなりません。

相手方任意保険会社を介する手続き方法は「事前認定」、相手方自賠責保険会社を介する方法は「被害者請求」と言います。

事前認定とは

  • 相手方任意保険会社を介して審査機関に書類を提出する方法
  • 後遺障害診断書以外の書類は、相手方任意保険会社が用意してくれる
  • 手間はかからないが、提出書類の内容確認・ブラッシュアップはできないため、審査対策が十分にできないことが多い

※後遺障害等級認定の審査は、基本的に提出書類のみを見ておこなわれる

事前認定の流れ

被害者請求とは

  • 相手方自賠責保険会社を介して審査機関に書類を提出する方法
  • 全ての書類を被害者側で用意しなければならない
  • 手間はかかるが、提出書類の内容確認・ブラッシュアップ、追加書類の添付といった審査対策がしやすい
被害者請求の流れ

提出書類の記載内容が不十分・不適切だと、本来なら後遺障害等級に認定されるべき後遺症でも、正しい等級に認定されなかったり、どの等級にも認定されなかったりすることがあります。

よって、十分な審査対策ができる被害者請求の方がおすすめです。
ただし、被害者請求においてどのように書類をブラッシュアップするのか、どのような追加書類を添付すべきかは、過去の事例や各等級の認定基準に精通していなければ判断が難しいです。

お困りの場合は、後遺障害等級認定に詳しい弁護士にご相談ください。

後遺障害慰謝料の金額は、等級が1つ変わるだけでも大きな差が出ます。妥協せず、十分な対策をとりましょう。

後遺障害診断書は特に重要!

後遺障害等級認定の審査において、特に重要なのは後遺障害診断書です。

後遺障害診断書

医師が作成する診断書の一つ。症状固定時の具体的な症状やその部位、それを証明する検査結果などが記載されている。

後遺障害診断書の作成に関する注意点をみていきましょう。後遺障害診断書には、以下のような事項が含まれています。

  • 治療開始日
  • 症状固定日
  • 入院期間/通院期間
  • 症状名
  • 事故当時の状況
  • 自覚症状(被害者が実感している症状)
  • 他覚症状(医学的・客観的に感知できる症状)
  • 各種検査結果

後遺障害診断書は医師に作成してもらうものですが、医師が書いた診断書をそのまま審査機関に見てもらえばいいとは限りません。
医学的に良い後遺障害診断書の書き方と、後遺障害等級の認定審査の観点から良い後遺障害診断書の書き方は違うことがあるからです。

そのため、医師に後遺障害診断書を書いてもらったら、一度弁護士にも内容を確認してもらうことをおすすめします。
後遺障害等級認定の観点から改善すべき点がある場合は、弁護士から医師に、改善点を伝えてもらうことも可能です。

後遺障害認定の結果を受けて保険会社と示談交渉する

交通事故の示談までの流れ

後遺障害等級認定の結果が出たら、加害者側の任意保険会社と示談交渉を行い、示談金額を決めます。
示談交渉は、以下の順番に行われることが多いです。

  1. 相手方保険会社から示談金額の提示を受ける
  2. 示談交渉をして示談金額を確定させる
  3. 示談書に署名・捺印する
  4. 示談金が振り込まれる

交通事故の示談金にはさまざまな費目が含まれますが、特に高額になりやすい慰謝料・逸失利益の相場は以下の計算機から確認できます。

注意!示談交渉で十分な金額を獲得するポイント

相手方の保険会社から提示される示談金額は、多くの場合過去の判例に基づいた相場額よりも低額です。
そのため、増額を交渉して十分な金額まで引き上げる必要がありますが、示談金に関する知識や示談交渉の経験は、加害者側の任意保険会社の方が圧倒的に豊富です。
よって、被害者自身による交渉で示談金額を十分に増額させることは、非常に難しいと言わざるをえません。

増額交渉には弁護士を介入させるべき

しかし、示談交渉で弁護士を立てれば、スムーズに大幅増額が実現する可能性があります。
その理由は以下の通りです。

  • 専門知識と資格を持った弁護士の主張であれば、加害者側の任意保険会社もないがしろにはできないから
  • 弁護士が出てくると加害者側の任意保険会社は裁判になることを恐れ、態度を軟化させるから

実際に、弁護士が介入することで示談金額が増額できた例を紹介します。

示談金の増額事例

事例大腿骨骨折により14級9号に認定された事案
保険会社の提示額2,108,691円
弁護士介入後の支払金額4,080,000円

弁護士を立てると、慰謝料に関していえば2倍~3倍程度増額する可能性があります。
加害者側の任意保険会社は言葉巧みに、提示額が適正な金額であるかのような説明をするかもしれませんが、鵜呑みにするのは危険です。

まずは適正額を弁護士に確認してみてください。

弁護士費用の心配はいりません

弁護士を立てると弁護士費用がかかりますが、弁護士費用を差し引いてもなお、弁護士を立てなかった場合よりも多くの金額が手に入ることは多いです。

また、弁護士費用特約を使えば弁護士費用が実質無料になります。
弁護士費用特約については『交通事故の弁護士費用特約とは?』をご覧ください。

アトム法律事務所では無料相談を行っているので、弁護士費用を払ってでも弁護士を立てるメリットはあるのか、お金をかけずに確認できます。
なお、弁護士を立てることに迷いがある方には、以下の記事もおすすめです。

症状固定前後の弁護士相談はメリットがたくさん

症状固定前後に弁護士に相談すると、以下のようなメリットが得られます。

  • 加害者側の保険会社から症状固定の催促をされても対応してもらえる
  • 後遺障害等級認定の申請準備・対策をしてもらえるので、適切な後遺障害等級の獲得が見込める
  • 示談交渉を代行してもらえるので、加害者側が低額な示談金を提示してきても、適切な金額獲得が見込める

症状固定前後に起こりうるトラブルや、症状固定後にすべき手続きなどは、示談金額に影響しやすいです。
少しでも不安がある場合は、弁護士に相談してみてください。

アトム法律事務所なら、相談料が無料です。
その後に委任契約を結んでも着手金は無料なので、示談金を獲得するまでお金を支払う必要はありません。
弁護士費用特約の利用も可能ですし、無料相談のみで終わっても問題ないので、まずはお気軽にご連絡ください。

代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」「ネット削除依頼」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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