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交通事故の示談には期限がある?被害者が知っておくべき時効の中身

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交通事故 示談 期限

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

交通事故の示談交渉は、早いもので数ヶ月、長いものだと数年単位の期間になります。

当事者同士の示談交渉で解決しない場合、ADRという裁判外での紛争解決の手段を利用したり、訴訟に発展するケースもあり、状況によっては交渉の期間に差が出てくるものもあります。

示談交渉において被害者が注意しなければならないことのひとつが「時効」です。示談交渉開始のタイミングに決まりはありませんが、法律によって示談金が請求できる期限として時効が決められています

当記事では、交通事故示談においての「期限」や「時効」についての解説をはじめ、弁護士に依頼することの必要性や意味についてもみていきましょう。

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人身事故の示談交渉の内容・期間の目安は?

示談については弁護士に相談

交通事故の示談交渉は、解決までに複雑な手続きが多いことが特徴です。
スムーズな解決をご希望の方は、早めの弁護士への相談をご検討ください。

示談交渉のおもな内容と流れ

  1. 交通事故発生
  2. 加害者側の保険会社と挨拶、被害者の治療開始
  3. 治療費の確定
  4. 後遺障害がある場合は後遺障害等級認定申請
  5. 慰謝料など示談金(賠償金)のすべてを確定
    (弁護士が介入した場合は弁護士基準*により計算が可能)
  6. 示談交渉開始
  7. 被害者側と加害者側の保険会社または加害者本人の合意
  8. 示談書作成
  9. 示談手続き終了

*弁護士基準とは、慰謝料などを計算する場合、もっとも高額になる計算方法。
弁護士基準と比較して低額になる計算方法には、自賠責基準・任意保険基準がある

示談終了までには多くの手続きがあり、専門家でなければ太刀打ちできない項目もあります。

たとえば、慰謝料などの損害賠償金について低額で交渉してくる加害者側の保険会社に対し、弁護士へ依頼することで増額が実現できることがほとんどです。

示談交渉に必要な期間についてですが、たとえば後遺障害等級認定申請をする場合、大半が2ヶ月以内に認定されています。
等級認定されるまでには治療期間も存在しますし、異議申立てなどをおこなった際には、その分期間も長くなります。
異議申立ての審査には、2~4ヶ月ほどの期間を要しますので、交渉期間がトータルで1年を超えることもありうるのです。

示談交渉のスムーズな解決には、弁護士依頼が得策です。
スムーズな解決は示談交渉の期間を短縮できるため、次章以降でお話しする時効についても関係してくるところになります。

示談金の損害賠償請求権は消滅する?

そもそも消滅時効って?

損害賠償金請求権などの金銭的な権利のことを「債権」、金銭的な義務のことを「債務」といいますが、それらと時効は密接に関わっています。

交通事故の損害賠償金においても時効があり、時効が到来すれば基本的に債権は消滅することから、「消滅時効」と呼ばれます。
消滅時効がなぜ存在するのかというと、1つは時を経過することにより、権利関係の立証が困難になるという側面があるからです。
さらにもう1つ、債権者に権利があるのにもかかわらず、その権利を行使せずに怠っていたことに対して責任を問うという側面もあります。

つまり、権利は行使しなければ消えてなくなるのです。

債権の時効については、令和2年4月に民法の改正が行われました。
もともと、民法上では人身事故の消滅時効は3年と規定されていましたが、今回の改正により5年に延長されたのです。

また、時効には起算点があります。
起算点とは、時効をカウントするスタート地点をいい、人身事故の消滅時効の起算点の一つには「損害及び加害者を知ったとき」という主観的起算点が採用されています。

(人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
第七百二十四条の二 
人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一号の規定の適用については、同号中「三年間」とあるのは、「五年間」とする。

民法724条の2(e-Gov)

損害賠償請求権の期限は3年または5年

交通事故において損害賠償請求できる期限は、事故の内容に応じて時効が異なります。
損害賠償請求できる期限は、大まかに3年または5年となります。

時効そのものの年数と、時効がはじまる起算日については以下のとおりです。

時効期間起算日
物損事故3年事故の翌日から
人身事故
(傷害のみ)
5年※事故の翌日
または
症状固定日・症状が治癒した日の翌日から
人身事故
(後遺障害)
5年※症状固定日の翌日
死亡事故5年※死亡日の翌日

※ 加害者側の自賠責保険会社に対して損害賠償請求をおこなう場合は「3年」

時効は中断される?完成猶予・更新とは?

また、民法だけでなくあらゆる法律で、以下名称の変更がありました。
単に「時効の中断」といっていたものが、「時効の完成猶予・更新」に変更されたのです。

もともとの時効の中断とは、裁判上の請求などでいったん時効が中断されることをいいます。
そして、中断された時効はリセットされ、振り出しに戻ることになります。

つまり時効の中断には、「中断」と「更新」の2つの意味を含んでいると解釈することができたため、「完成猶予・更新」というように改名されたというわけです。

たとえば、裁判を起こした場合はこれまで「時効が中断する」とあったものが、「時効が更新する」に変更されました。
また裁判中においては、これまでは「時効は中断する」とあったものが、「時効は完成しない」という条文に名称変更されています。

このように、改正後においては名称が変更されたのみで、法律の中身が変更したわけではありません。

時効の進行は裁判以外でも阻止できる

これまで、裁判を起こさなければ時効は中断(更新)しませんでしたが、新たな方法が新設されました。
裁判以外で時効の進行を阻止する方法については、こちらの関連記事『時効完成を阻止する方法が新設』で詳しく解説しています。

示談交渉の期間は後遺障害があると長くなる

後遺障害等級認定までに時間がかかる理由

交通事故による治療をしていたものの完治せず、後遺症が残ってしまうことがあります。
後遺症とは、治療後に身体に残ってしまった症状をいいますが、「後遺障害等級認定申請」をおこなうことにより、後遺障害による慰謝料を請求することが可能になります。

しかし、後遺障害等級認定申請をおこなうとなれば、以下のような要素で時間がかかってしまいます。

時間がかかる理由

  1. 有益な後遺障害診断書の作成を医師に依頼する必要がある
  2. 認定は第三者機関である損害保険料率算出機構がおこなうため、自賠責保険の会社を含んだ第三者間でのやり取りがある
  3. 等級認定のために必要な被害者のデータを病院から取り付けなくてはならない
  4. 原則書面で審査がなされるが、書面で伝わりにくい場合は面談が必要になることもある
  5. 認定された等級に納得がいかない場合は、別途異議申立てを検討することがある

後遺障害等級認定においては、審査自体に数ヶ月かかってしまうだけでなく、上記のような複雑な手続きを避けることができません。

おもに第三者とのやり取りが多いため、被害者はアポを取ったり、医師が作成する診断書の確認をおこなったりしなければならないのです。

交通事故の示談交渉を弁護士に依頼した場合は、手続きの一切を弁護士に委任することが可能です。

後遺障害申請や異議申し立てについては、関連記事で詳しく解説しています。

被害者請求と事前認定

後遺障害等級認定の申請には、「被害者請求」と「事前認定(加害者請求)」があります。

被害者請求は、被害者が自分で自賠責保険に請求をおこなう手続きの名称です。
等級の認定審査が通った場合は、等級に応じた自賠責保険分の慰謝料を先に受け取ることができるというメリットがあり、おすすめです。
(保険金は自賠責保険から任意保険の順に支払われ、超過した任意保険分は示談後に受け取ることになる)

被害者請求の流れ

しかし、被害者が自分で有益となる資料などを準備しなくてはならないため、請求自体に時間がかかることも特徴といえるでしょう。
被害者請求について詳しくはこちらの関連記事『交通事故の被害者請求とは?自賠責保険に自分で請求をする方法』をご覧ください。

対して、事前認定は被害者がおこなうものではありません。
加害者請求の前提として認定される後遺障害等級を把握するため、加害者側(保険会社や本人)が手続きをおこなうものになり、被害者にとって手間はかかりません。

事前認定の流れ

しかし、有益な情報を審査機関に提供できず、認定審査がおこなわれるという事実が、最大のデメリットといえるでしょう。

被害者請求にも時効はあります。
以下の期限内に請求するよう、被害者は留意する必要があるでしょう。

被害者請求の消滅時効

損害消滅時効
傷害事故による損害事故日の翌日から起算して3年
後遺障害による損害症状固定日の翌日から起算して3年
死亡事故による損害死亡日の翌日から起算して3年

交通事故の示談交渉で失敗したくない方へ

弁護士依頼すれば時効に響かない?

示談交渉においては、あらゆるシーンで時間がかかることがおわかりいただけたかと思います。

示談交渉の過程においては、治療段階の手続き、後遺障害等級の認定申請、さらには最終的な示談金を確定させる作業が存在します。
被害者はプロでもない限り、すべての過程において正確な判断をすることは難しいと考えられるでしょう。

正確な知識と正当な権利を行使する術を持っているのは、弁護士などの専門家以外には中々いません。

示談交渉を弁護士に依頼することにより、誤った判断にもとづいた交渉などを回避することができます。
ひいてはその分、示談交渉の期間を短縮することが期待できるのです。

被害者を全力でサポートできるのも弁護士しかいない

被害者がご自分で示談交渉をおこなう際、加害者側の保険会社とのやり取りが基本になってきます。

交渉において、強者たる保険会社・弱者たる被害者という立場上、どうしても交渉の主導権は保険会社に握られてしまうことでしょう。
そうなると、大体の被害者は、低額で算定された損害額で示談をしてしまいます。

被害者の立場でサポートできるのは、保険会社ではなく弁護士です。
被害者は、正当な根拠・権利を主張するためにも、弁護士に一度相談するようにしましょう。

弁護士は慰謝料増額と交渉のプロ

治療費の打ち切りを交渉してくる加害者側の保険会社と違い、弁護士は被害者の受け取る慰謝料を増額させます。
同じケガ・同じ治療でも、交渉する人間が変わるだけで、結果は雲泥の差になるのです。

また、弁護士であれば、加害者側の保険会社の意図や正しい交渉術についても熟知しています。
巧妙なテクニックで交渉してくる保険会社とは、被害者自身で戦わない方が無難だといえるでしょう。

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弁護士費用は無料になることがあります。
詳しくは、弁護士費用特約に関する以下の関連記事をお読みください。

交通事故の弁護士費用相場はいくら?弁護士費用特約を使って負担軽減

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まとめ

  • 示談交渉にかかる期間は数ヶ月から数年で事故状況により違う
  • 示談成立後の損害賠償請求権は消滅時効にかかる
  • 後遺障害があると示談交渉の期間は長くなる
  • 被害者自身で示談交渉をすると失敗に終わる危険性あり

代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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