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当て逃げの慰謝料はいくらもらえる?示談の注意点と慰謝料の相場

更新日:

当て逃げの慰謝料はいくら?|相場と示談の注意点

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

当て逃げされた被害者にとって、まずは加害者が特定できるのかという不安がつきものでしょう。

まず、当て逃げとひき逃げは決定的に違うことを理解しておいてください。

当て逃げとは、自動車やバイク同士で接触事故を起こし物的損害が出ているにもかかわらず、その場から立ち去ることです。ひき逃げとは、人身事故で人を死傷させておきながら、その場から立ち去ることをいいます。

もしひき逃げされたら、被害者として請求するべき損害賠償は当て逃げと比べて大幅に増えるでしょう。

そして、被害者にとって大事なことはもう一つあります。
あなたの事故が本当に「当て逃げ」なのかを見極めてほしいのです。

当て逃げとひき逃げは決定的に違います。
もし「ひき逃げ」であった場合には、被害者として請求するべき損害賠償は大幅に増えるでしょう。

この記事では、加害者の罰則、当て逃げ・ひき逃げされたときの慰謝料相場や示談のポイント、実際の裁判例をみながら、被害者にとって最善の結果となる方法をお伝えします。

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当て逃げされた・ひき逃げされたときの対応と重要な証拠

当て逃げ・ひき逃げの被害にあった場合、警察への連絡、証拠の保全、保険会社への連絡の3点を必ず行ってください。

3つの対応

  1. 警察への連絡
  2. 証拠の保全
  3. 保険会社への連絡

これらの3つの行動について、順番に整理していきましょう。

警察への連絡

警察への連絡は、道路交通法第72条にて義務付けられています。

交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

道路交通法第72条

警察への連絡は、当て逃げの事実がわかった直後におこなってください。

交通事故が起こった場合、警察へ連絡することは運転者に課せられた義務です。
当て逃げされた側であっても、同様の義務を負っています。

もし警察への連絡をせず、相手方も警察に通報していなかった場合には、当て逃げされた側であっても報告義務違反となりかねません。警察への報告義務違反は、3ヶ月以下の懲役または5万円の罰金に処せられる可能性があります。

なお、事故現場が駐車場の場合は、警察への報告義務がない場合もあります。詳しくは『駐車場での当て逃げ事故の対処法|警察への報告義務は?過失割合も紹介』をご覧ください。

証拠の保全

当て逃げされた場合、証拠の収集と保全が犯人特定のために重要です。犯人の捜査は警察が行いますが、被害者としてこれらの情報を提供できる場合には協力しましょう。
具体的な証拠としては、次のような事柄があげられます。

証拠の収集と保全

  • 損傷部の写真撮影
  • 防犯カメラの映像
  • 被害車両や関係車両のドライブレコーダーの記録
  • 目撃者の証言

相手方との接触の証拠になる損傷部の写真は、スマートフォンで必ず撮影しておきましょう。衝突時の角度・スピードの出方・塗料などが、当て逃げ犯や事故の状況を示す証拠となる可能性があります。様々な角度から複数枚撮影しておきましょう。

防犯カメラは、事故現場周辺の道路状況が映っていることで、警察の捜査にも役立ち、当て逃げ相手の特定に役立つ可能性があります。
施設の駐車場で当て逃げされた場合は、駐車場管理者にデータの提供を依頼することも有効です。

ドライブレコーダーには、衝撃を検知して自動録画をする機能、駐車監視機能、運転支援機能などのさまざまな機能が備わっています。
このほかに、非接触でも車両周囲で動く人・物を探知して録画するモーションセンサー機能、車の位置情報や走行経路がわかるGPS機能など多種多様です。
事故時に役立つドライブレコーダーについては、『当て逃げ対策はドラレコが重要!失敗しない選び方7ポイント』で解説しています。

ドライブレコーダーの記録映像は、警察が捜査を進めるうえで交通事故の原因や関係者特定につながる重要証拠となる可能性が高い一方、保存期間を過ぎると失われる恐れがあります。目撃者の証言とあわせて、証拠としてのドライブレコーダーの記録提供を依頼しておくとスムーズです。

ドラレコが裁判の証拠として提出された判例をみてみましょう。

報告義務違反・救護義務違反で死亡慰謝料が増額

この事件では、当時5歳の男児がひき逃げの被害にあい、亡くなりました。
加害者は人を轢き殺したかもしれないという認識を持ちながら、その場から逃走したのです。事故当日中に交番へ出頭したものの、報告義務違反・救護義務違反などの刑事責任を否定しました。

被害者側にも一定の過失を認めたうえで、本人分の死亡慰謝料2,400万円、父母各300万円の合計3,000万円を認定しました。これは、被害者および家族の精神的苦痛が、加害者側の態度・行動により増大されたと認めたためです。

子の死亡慰謝料相場は2,000万円から2,500万円とされており、相場よりも高額な死亡慰謝料認定となりました。(東京地判平24.7.18)

ひき逃げ・身代わり犯人・悪質な態度で慰謝料が増額

加害者が飲酒した状態で、一方的に過失がある事故でした。
事故の後も被害者を救護することなく現場から逃走し、被害者は頸椎捻挫、左膝打撲として通院6ヶ月・実通院日数70日の加療となりました。

また、加害者側が身代わり犯人を立てた犯人隠避教唆によって真犯人の逮捕が遅れたことで、被害者側はひどい精神的苦痛を受けたと主張しました。

被害者に対して入通院慰謝料140万円、休業損害216万7,702円、治療費21万8,950円のほか、犯人隠避教唆に基づく慰謝料50万円などを認定したのです。(東京地八王子支判平15.4.24)

赤色信号のことさらな無視と速度超過の推定

この裁判は、加害者車両の速度と、赤色信号の無視が故意によるものか見落としかという2点が争点となりました。

被告人は、事故当時の時速は60km程度と主張しました。事故現場付近に停車中のタクシーのドライブレコーダー映像の解析結果および被害者の供述、車両の損壊状況から、時速67km~78km程度であると鑑定されたのです。被告人の主張する速度は認められませんでした。

また、ドライブレコーダーの記録などから、赤色信号の無視も故意によるものと推定されました。被告車両は、パトカーの追跡から逃れようと走行していました。追跡中のパトカーおよびタクシーのドライブレコーダーの映像から、被告人の見落としや未必の故意に基づくものではなく、明確な故意による信号無視と推察されたのです。

さらに、被告人は自動車検査証の交付を受けておらず、自賠責保険にも加入していませんでした。判決は以下の通りです。

判決

 1 被告人を懲役3年6か月に処する。
 2 未決勾留日数中210日をその刑に算入する。

出典:平成30年(わ)第152号、平成30年(わ)第168号 無免許危険運転致傷,道路交通法違反,道路運送車両法違反,自動車損害賠償保障法違反被告事件 令和元年8月1日

被告人の弁解を否定|ひき逃げ事故の状況を記録

この裁判の争点のひとつは、被告人が人を負傷させたという認識があったかという点でした。

被告人は、人をひいたという認識はなく、光るサッカーボールのような丸い物体に衝突したという認識であったと主張しました。しかし、ドライブレコーダーの映像にはそういったボール状のものと接触した映像は映っていません。

それどころか、事故直前、前方に何かを発見して、焦って急ハンドル・急ブレーキをしたこと、事故後の不自然な経路の走行、車両の破損を確認して汚れを拭く様子が記録されていました。

ドライブレコーダーは、衝突の状況や被告人の動揺した様子を記録しており、衝突したものが人であるかもしれないと認識していたと認められたのです。

被害者が酒に酔った状態で車道上を歩行していたという落ち度はあるものの、最高速度順守義務・前方不注意義務を果たしていれば、十分に避けられる事故と考えられました。また、事故後の救護・報告義務を果たさずに逃走し、事故の痕跡を消そうとした行為などから、自身の罪に向き合う姿勢があるとは思えない、とされたのです。判決は以下の通りです。

判決

  1.  被告人を懲役2年6月に処する。
  2.  未決勾留日数中90日をその刑に算入する。

出典:平成28年(特わ)第1681号 過失運転致死,道路交通法違反被告事件 平成29年10月19日

自分の任意保険会社へ連絡

被害者自身が加入している任意保険会社に連絡を入れましょう。

本来、被害者が負った損害は、相手方の保険会社に請求するものです。
しかし相手が逃げている場合には、連絡先も分かりません。取り急ぎご自身の任意保険会社へ連絡を入れて、自分の加入する保険から補償を受けることにしましょう。

保険の約款・オプションなどの確認もかねて早急に連絡を入れてください。

なお、交通事故で使える保険の種類や内容については、関連記事『交通事故で使える保険|保険金支払いまでの流れや増額の方法』にて詳しく解説しています。

当て逃げとひき逃げの違い

ここで、混同しやすい「当て逃げ」と「ひき逃げ」の違いを明確にしておきましょう。なぜなら、被害者が受けとる損害賠償が大きく異なるからです。

ケガをしていればひき逃げ事故である

当て逃げは人的被害の無い物損事故、ひき逃げは人的被害のある人身事故をさします。つまり、被害者が何らかのケガをした場合には、ひき逃げ事故となるのです。

人身事故と物損事故では、被害者が請求できる損害賠償、加害者が問われる罪、そして犯人特定率や警察の捜査も変わってきます。

当て逃げ事故は慰謝料の対象外である

当て逃げのような物損事故では、物的損害に対する補償しか請求できません。物損事故は原則慰謝料の対象外です。

ひき逃げと当て逃げについて、請求可能な費目を比較してみましょう。

損害賠償請求費目の違い(一部抜粋)

費目ひき逃げ(人身)当て逃げ(物損)
慰謝料×
治療費×
通院交通費×
休業損害×
修理費

ひき逃げ事故の場合は、慰謝料、治療費、通院交通費、休業損害なども請求できます。休業損害とは、ケガによって仕事を休んだ場合の補償のことで、パート・アルバイトでも認められるものです。

当て逃げの被害にあって何らかのケガをした場合、軽傷だからと我慢をしてしまうと、適切な補償を受けられない可能性があります。ケガをした場合はすみやかに病院を受診して、治療を受けてください。

また、事故直後に異常が無くても、後から痛みが出てくることがあります。具体的には、後方から追突されてむちうち状態になる場合です。
むちうちは後から痛みが出ることもあり、症状も幅広いため、事故との因果関係に気づきづらい恐れがあります。

加害者が逃走している場合、治療費はいったん被害者が立て替える必要があります。交通事故によるケガの治療には、自己負担額を低額におさえるためにも、健康保険での受診がおすすめです。

関連記事では、人身事故と物損事故の違い、事故後の通院治療についてまとめています。併せて読むとより理解が深まるでしょう。

当て逃げ・ひき逃げの罰則

当て逃げとひき逃げの違いに注目して、加害者への罰則をみていきましょう。

加害者は3つの責任を負う

まず、交通事故の加害者が負う3つの責任を整理しておきます。
交通事故の加害者は、民事責任・刑事責任・行政責任を負っており、被害者が直接加害者に問えるのは民事責任のみです。

民事責任とは、被害者の損害を金銭により賠償することです。つまり、ケガの治療にかかった費用や慰謝料などの金銭面に限られます。

いわゆる「懲役」「禁錮」「罰金」といった刑事罰については、刑事責任として検察が責任を追及するものです。

交通事故加害者の3つの責任(一部)

民事責任損害賠償
刑事責任懲役・禁錮・罰金
行政責任免許取り消し・違反点数

ひき逃げの民事責任は当て逃げよりも重い

慰謝料とは、被害者やその家族が負った精神的苦痛を補償する金銭です。

ひき逃げをした加害者は、重い精神的苦痛を与えたものとみなされます。

物損被害のみの当て逃げよりも、ひき逃げは被害者を救護せずにその場を去ったという点で悪質性が認められるためです。

そのため、慰謝料も相場より高額になる可能性があります。後半にて解説しているので、このまま読み進めてください。

ひき逃げの刑事責任は当て逃げよりも重い

当て逃げは物損事故、ひき逃げは人身事故に区分できます。
とうぜん、当て逃げの方が罪は軽い傾向です。

ひき逃げや当て逃げは、道路交通法・自転車運転致処罰法などで、以下のような罰則が規定されています。

ひき逃げと当て逃げの罰則(一部)

法令ひき逃げ当て逃げ
道路交通法危険防止措置義務違反
警察への報告義務違反
救護義務違反
危険防止措置義務違反
警察への報告義務違反
自動車運転処罰法*過失運転致死傷罪
危険運転致死傷罪

*自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の略称

当て逃げの場合は、危険防止措置違反、警察への報告義務違反です。
ひき逃げの場合は救護義務違反も追加されるほか、自動車運転処罰法などに問われ、当て逃げよりも重い罪に問われます。

加害者の刑罰・量刑をみてみましょう。

ひき逃げ事故の刑罰(一部)

刑罰懲役罰金
警察への報告義務3ヶ月以下5万円以下
救護義務違反10年以下100万円以下
過失運転致死傷罪7年以下100万円以下
危険運転致傷罪負傷:15年以下
死亡:1年以上の有期懲役
または
負傷:12年以下
死亡:15年以下

たとえば、救護義務違反は10年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。過失運転致死傷罪は、運転操作ミスなどで事故を起こした罪ということで、危険運転致死傷罪よりは軽い量刑です。

もっとも、刑罰は事故の様態や状況によって変わりうるものと理解しておいてください。

当て逃げ事故の刑罰・量刑

当て逃げ事故の刑罰・量刑をみてみましょう。

危険防止措置義務違反とは、二次事故を防ぐ行動をしないことです。事故を起こしたらその場から不要に離れず、邪魔にならない場所で車両を停止しなくてはいけません。そして、発煙筒や三角表示板を使って、後方車両に事故の発生を知らせるなど、被害拡大を防ぐ必要があります。

当て逃げ事故の刑罰・量刑

刑罰懲役罰金
危険防止措置義務違反1年以下10万円以下
警察への報告義務3ヶ月以下5万円以下

なお、危険防止措置義務違反と警察への報告義務違反の両方に該当するものの、懲役や罰金は足し算されるわけではありません。これらの罪は、観念的競合にあたると判断されるため、重い方の「危険防止措置義務違反」に問われます。

また、ほとんどの当て逃げ事故について、器物損壊罪は成立しません。
器物損壊罪は、故意の損壊を対象としているため、運転ミス・注意不足などに起因する事故については、故意とはいえず、器物損壊罪には当たらないのです。

当て逃げの犯人は特定が難しい

令和2年の犯罪白書によると、令和元年に起きたひき逃げ事故は7,491件です。
そのうち死亡事故は127件、重傷事故は688件、軽傷事故は6,676件起こっています。この統計では、ケガの治療が1ヶ月未満で終了したものが軽傷に区分されており、発生件数は最も多いものです。

※令和2年犯罪白書:http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/67/nfm/n67_2_4_1_2_3.html

検挙率

ひき逃げの検挙率は、死亡事故の場合に100.8%となっています。100%を超えているのは前年に起こったひき逃げ事故を検挙したためです。つまり、ひき逃げの場合は警察の捜査が長く行われ、年をまたいでも検挙されている可能性があります。

重傷事故のひき逃げ検挙率は84.2%で、全体のひき逃げ検挙率64.4%よりも高水準です。いいかえれば軽傷の場合、検挙率は下がっていることがわかります。

警察の捜査の結果、重大事故ほど犯人が特定される可能性は高いといえるでしょう。

また、当て逃げの検挙率は公にされていませんが、人的被害のでているひき逃げの方が検挙率は高いとされています。
中でも自転車による当て逃げは検挙率が低いので、犯人が見つからなかった場合の対処法も知っておく必要があります。詳しくは、『自転車の当て逃げ犯を特定できる確率は?警察に報告すべき理由3つも』をご覧ください。

以上のことより、当て逃げの場合は警察が捜査をしても犯人が必ずしも特定できるとは限りません。目撃者の情報や監視カメラ、ドライブレコーダーの記録が警察の重要な捜査資料となるでしょう。

ひき逃げされたときの慰謝料相場

被害者が当て逃げをされて負傷したならば、当て逃げではなく「ひき逃げ」にあたります。

警察による捜査の結果、ひき逃げ犯が特定・逮捕されれば、慰謝料の請求が可能です。

ここからはひき逃げでもらえる慰謝料の計算方法や相場に加えて、犯人が捕まらない場合の損害賠償請求の方法をみていきましょう。

慰謝料計算の重要ポイント

交通事故の被害者が請求できる慰謝料は3つあり、生じた損害によって請求できるものが異なります。
交通事故のケガで入院・通院した場合には入通院慰謝料、後遺障害が残った場合には後遺障害慰謝料、死亡した場合には死亡慰謝料を請求可能です。

交通事故3つの慰謝料

  1. 入通院慰謝料
  2. 後遺障害慰謝料
  3. 死亡慰謝料

そして、3つの慰謝料それぞれに計算方法も3パターンあります
慰謝料の計算方法は、誰が慰謝料額を算定するかで異なり、「基準」という表現を使って区別可能です。

慰謝料算定の3つの基準とは、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準といわれており、被害者にとって重要なことは弁護士基準での増額交渉といえます。

自賠責基準や任意保険基準とは、加害者側の保険会社が慰謝料を計算するときの方法です。一方の弁護士基準は、裁判基準ともいわれ、裁判を起こしたときに認められる被害者の正当な権利に基づく金額となります。

任意保険会社は、営利企業です。弁護士基準での支払いよりも、自社の基準で済ませる方が利益が上がります。そのため、もし相手方から金額提示を受けても、増額交渉をして適正相場まで引き上げてもらうことが大切です。

慰謝料3基準の比較

それでは、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料それぞれの計算方法を詳しくみていきましょう。計算方法ではなく、慰謝料の計算結果を今すぐ知りたい方は「交通事故の慰謝料計算機」を使ってください。

入通院慰謝料の計算方法

当て逃げやひき逃げの被害にあった場合、弁護士基準の入通院慰謝料は「慰謝料算定表」で計算します。算定表は2種類あり、原則は重傷用の表を使ってください。むちうち・打撲などの軽傷時のみ、軽傷表をみましょう。

慰謝料算定表の見方

  • 縦軸は通院月数、横軸は入院月数を表す
  • 30日を1月として計算する
  • 通院・入院の交わる部分が入通院慰謝料額を示す

重傷時の慰謝料算定表

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

軽傷時の慰謝料算定表

軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表

例えば、当て逃げされてしまいむちうちを負ったとします。
むちうち治療のために入院なし・通院3ヶ月となった場合には、軽傷表の「通院3月・入院0月」を参照して、入通院慰謝料相場は53万円です。

自賠責基準では最大38万7,000円程度で、任意保険基準もほとんど変わらないでしょう。つまり、弁護士基準で計算した53万円を上回ることはありません。

自賠責基準による入通院慰謝料計算については、関連記事『自賠責保険の慰謝料はいくら?早くもらう方法と支払い限度額の注意』で詳しく解説しています。

後遺障害慰謝料の計算方法

弁護士基準による後遺障害慰謝料は、後遺障害等級ごとに目安が決められています。下表の通り、後遺障害14級のときに最も相場が低く、後遺障害1級で最も相場が高額です。

後遺障害慰謝料の相場

等級 弁護士
1級・要介護2,800万円
2級・要介護2,370万円
1級2,800万円
2級2,370万円
3級1,990万円
4級1,670万円
5級1,400万円
6級1,180万円
7級1,000万円
8級830万円
9級690万円
10級550万円
11級420万円
12級290万円
13級180万円
14級110万円

弁護士基準で計算した金額と比べて、自賠責基準は半分から3分の1以下の金額に留まることが多いです。例えば、後遺障害12級のとき、弁護士基準では290万円ですが、自賠責基準で計算するときには94万円となります

死亡慰謝料の計算方法

当て逃げにあい、被害者が死亡してしまった場合の慰謝料は弁護士基準で2,000万円から2,800万円が相場です。被害者の死亡が家庭経済に与える影響を加味しているため、立場によって相場が違います。

被害者の立場金額
一家の支柱2800万円
母親・配偶者2500万円
その他の場合2000万円~2500万円

自賠責基準の死亡慰謝料は一律400万円とされ、遺族人数に応じて加算されます。加算されるとはいえ最大1,350万円までで、弁護士基準の算定結果に届きません。約1,000万円以上も違う金額になる恐れがあります。
また、死亡事故の発生時期によって、一律350万円の死亡慰謝料に対して遺族人数分の加算をして計算するケースがあることを留意しておきましょう。

ひき逃げ犯が捕まらない!損害賠償請求はどうすればいい?

当て逃げやひき逃げの犯人が捕まらない場合、被害者ができる方法は限られてしまいます。具体的には、自身の保険でカバーするか、政府の保障事業を利用する方法です。

加害者が特定できない場合

  1. 被害者自身の保険でカバーする
  2. 政府の保障事業を利用する

被害者自身の保険とは、任意保険または労災保険が代表例となります。具体的には車両保険や人身傷害保険、無保険車傷害保険の保険約款に従った請求となるため、いくらもらえるかは被害者次第ということです。

政府の保障事業とは、加害者が不明の場合や、無保険車との事故で被害にあった人を、政府が救済するものです。しかし、政府の保障事業で受けられる金額は自賠責基準に過ぎず、被害者にとってはとうてい納得のいく金額とは言えません。

また、被害が物損のみの当て逃げの場合は、労災保険や政府の保障事業は適用されない点にも注意が必要です。

当て逃げ相手との示談|4つの要注意ポイント

相当に軽微な事故の場合、相手方が本当に気付いていないということもありえるでしょう。

しかし、当て逃げをする相手の心情は、「捕まりたくない」という気持ちがあると予想されます。「捕まりたくない」と考えている加害者を相手に示談する時の注意点をみていきましょう。

保険の加入状況を確認する

相手方が十分な保険に加入していない恐れがあります。

自動車には、自賠責保険と任意保険の2種類の保険があります。自賠責保険は強制加入であり、車検を通すときに必須となるため、ほとんどの運転手が加入しているでしょう。

しかし、任意保険はどの保険会社の保険に加入するのか、加害者自身で選択します。そして、任意保険に加入していないということもありえるのです。

任意保険未加入の運転手は、保険料を支払う余裕のないほど資力が乏しい恐れもあり、十分な損害賠償を受けられない可能性が高まります。さらに、自賠責保険では物損の補償をしてもらえないため、加害者本人に請求しなくてはなりません。

被害者が取るべき対応も変わってきます。当て逃げ犯が見つかり次第、保険加入状況は事故現場で早急に確認してください。

損害賠償請求相手を正確に把握する

仕事中に事故を起こしてしまい、仕事に支障をきたすことを恐れた加害者がその場から離れた可能性もあります。

事故車両の運行を支配していた(使役していた)相手にも、損害賠償請求可能です。具体的には、事故車両が社用車・営業車・タクシーなどで事故を起こした場合があげられます。

相手が仕事中に起こした事故であれば、早めに弁護士に相談しておきましょう。なぜなら、会社の顧問弁護士が出てくる可能性も考えられるからです。
会社の顧問弁護士は、あくまで相手側の立場に立った弁護活動をします。必ずしも被害者の味方になってくれるわけではありません。

また、損害賠償請求相手が複数になった場合には、どちらにどれだけ請求するかという戦略しだいで、被害者がきちんと賠償金を受けとれるのかも変わってきます。

法律の専門家である弁護士に問い合わせをして、被害者が損をすることのない結果を最善策を考えるべきです。

弁護士に任せてトラブルを回避する

一度当て逃げ・ひき逃げをした相手が任意保険に加入していない場合、直接本人と示談交渉をする必要があります。

しかし、一度はその場を離れた相手が最後まで誠意を持って対応してくれるとは限りません。被害者としても、そういった態度の加害者に対して支払いを求める連絡をすることは非常にストレスがかかります。

弁護士に示談交渉を任せることで、相手方との交渉窓口は弁護士に一本化可能です。被害者が相手方と直接かかわる機会を大幅に減らすことが出来て、精神的負担も軽減できます。

裁判への移行もスムーズ

加害者側がひき逃げを認めない場合や、示談で解決をしたくない場合には、裁判での解決も検討しましょう。

裁判自体は被害者一人でもできますが、書類の作成・手続きに慣れていないと時間がかかります。示談交渉は一人でしていたけど、裁判となると弁護士に頼みたいという方も多いでしょう。

もちろん裁判から弁護士に任せることも有効です。
しかし、ひき逃げの場合は、事故の悪質性や補償の不透明感、加害者との心情的なもつれなど、通常の事故よりも多方面でリスクがあります。

示談交渉の段階から、次のステップを見越して弁護士に依頼することをおすすめします。

ひき逃げは慰謝料増額の理由となる

慰謝料が増額されるポイント

慰謝料は、被害者の精神的苦痛を金銭で補償するためのものなので、精神的苦痛が大きいほど高額になります。

精神的苦痛が大きいと判断される事由としては、次のようなものがあげられます。

  • 加害者に重い過失があること
  • 加害者が不誠実な態度であること
  • 被害者の親族が精神的な疾患を発症したこと

このうち、「ひき逃げ」は加害者側の重い過失のひとつといえます。
また、客観的な証拠で示されているにもかかわらず、「人を轢いたとは思っていない」などと虚偽の供述を繰り返すことは、不誠実な態度といえるでしょう。

そういったひき逃げの加害者の態度や事故の結果に傷つき、親族がうつ病・PTSDなどの精神的な疾患にかかることもあります。

以上より、ひき逃げされたら慰謝料は相場よりも高くなる可能性があるのです。

当て逃げ・ひき逃げ被害は弁護士に相談

LINE・電話・メールでの無料相談

当て逃げ・ひき逃げの被害にあった場合、被害者が補償を受けるまでの流れが非常に複雑です。そのため、被害者お一人での解決ではなく、専門家である弁護士のサポートを受けることが望ましいでしょう。

まず、犯人は特定できるのかという問題があります。
加害者が特定できた場合には、加害者を相手に損害賠償請求が可能です。

しかし、加害者本人の加入保険しだいでは、スムーズな補償を受け取れない可能性が依然として高いです。被害者自身で加入している保険を使ったり、場合によっては裁判も視野に入れるべきでしょう。

あるいは、犯人の特定までに時間がかかってしまうケースは非常に厄介です。
そうなると、被害者自身で加入している保険を使うなどの方策を検討しなくてはいけません。柔軟な判断が必要になるため、交通事故の解決実績が豊富な弁護士にアドバイスを受けることをおすすめします。

LINE相談

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そのほか、電話・メールでも無料相談の予約を受け付けています。
予約窓口は24時間・365日つながりますので、お手すきのタイミングでご連絡ください。

なお、対応できる弁護士の数に限りがあること、土日祝は混みやすいこと、当て逃げ・ひき逃げの場合は、刻一刻と状況が変わりやすい特徴があります。
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代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点