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物損事故で示談する場合は何が重要なの?争いになりがちな過失割合も解説

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物損事故示談のポイント

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

物損事故とは、幸いにも大きな負傷者がでなかったものの、車両や建造物などの物が壊れてしまった事故のことです。

物損事故において加害者と被害者がいる場合、当事者それぞれの責任の割合や、加害者が支払う損害賠償金の金額などを取り決める必要があり、そのための交渉を示談といいます。

示談交渉は基本的に保険会社が代行しますが、ケースによっては保険会社が代行できない場合があります。また、相手との交渉が難航する場合は専門家である弁護士に依頼する必要性も高くなります。

そこで今回は、物損事故で示談交渉する場合に何について話し合うのか、弁護士に依頼すべきケースやタイミングなどを解説します。

物損事故における示談の流れや注意点を紹介

そもそも物損事故の示談とは

物損事故とは、人が死傷せずに車両や建造物などの物が壊れた交通事故のことです。物が壊れた場合でも、人が負傷したり死亡したりすれば物損事故ではなく、人身事故になります。

示談とは、民事上の争いについて裁判の手続きを経ることなく、当事者の合意によって解決することです。示談は、民法においては和解契約の一種にあたります。

物損事故の示談では主に以下の2点について話し合い、当事者の合意を目指します。

  • 損害賠償の金額
    車の修理代や壊れた物の弁償費用としていくら支払うのか

    過失割合
  • 当事者である被害者と加害者のどちからがどの程度の責任を負っているのか

当事者の話し合いで示談がまとまらない場合、裁判などの手続きを利用して過失割合や損害賠償の金額を確定することになります。
裁判手続きを行う方法については『交通事故の裁判の起こし方や流れ|費用と期間はどのくらい必要?』の記事をご覧ください。

なお、交通事故で損害賠償を請求するには時効があり、期間を過ぎると原則として相手に請求できなくなってしまうので注意しましょう。
物損事故の場合、損害賠償を請求できる期間は原則的に事故が発生した日の翌日から3年間です。時効になってしまう前に示談をすませておきましょう。

示談がまとまったのであれば示談書を作成しよう

示談の結果、双方の過失割合や支払う賠償金の金額などが決まったら、示談で取り決めをした内容を示談書という書類に記載します。
示談書は示談が成立したことと、示談によってどのような事柄の取り決めをしたのかを客観的に証明するためのものです。

せっかく示談をして損害賠償の金額などを決めたとしても、それを記載しておかなければ後に言った言わないのトラブルになる可能性が高いため、示談書を作成します。

示談書の書式に特に決まりはなく、基本的に以下のような項目を記載することになるでしょう。

  • 当事者それぞれの氏名と住所
  • 事故車両の登録番号(ナンバープレート)
  • 事故の発生年月日
  • 事故の発生場所
  • 当事者それぞれの損害額と過失割合
  • 支払われる賠償金の金額、支払い方法、振込先
  • 清算条項(示談後の追加請求などを行わない約束)
  • 当事者それぞれの署名・捺印

当事者が示談書に署名をすると、示談が成立します。
一度示談書に署名をしてしまうと、基本的に後で損害賠償などを追加で請求することはできなくなってしまうので注意しましょう。

示談の内容に納得がいかない場合は、示談書には絶対に署名せず、弁護士に交渉を依頼するなどの対策をとりましょう。

示談では過失割合が問題となりやすい

物損事故で示談をする場合、当事者の間で争いになりやすい項目が、過失割合です。過失割合とは、交通事故の当事者それぞれにどれだけの責任があるかを割合で表したものをいいます。

交通事故には一般に加害者と被害者がいますが、加害者だけが一方的に責任があるとは限りません。きちんと道路を注視していれば事故を防げたなど、被害者にも責任が認められるケースがあるのです。

たとえば、過失割合が加害者7割で被害者3割の場合、交通事故について加害者に7割の責任があり、被害者に3割の責任があります。

過失割合は損害賠償の金額に影響する

それではなぜ、示談交渉では過失割合が争いになりやすいのでしょうか? その理由は、過失割合によって加害者が被害者に支払う損害賠償金の金額が変わってくるからです。

たとえば、物損事故で被害者が受けた損害額が10万円のケースで考えてみましょう。

過失割合が加害者10割で被害者0の場合、加害者は被害者の損害額の10割を負担するので、加害者は10万円全額を支払うことになります。

一方、過失割合が加害者7割で被害者3割の場合、被害者の損害のうち3割は被害者自身の責任になります。
その結果、加害者が負担するのは自分の責任である7割のみとなり、加害者から被害者に支払われるのは7万円だけになるのです。

過失割合によって被害者に支払われる賠償金の金額が変化することから、示談交渉においては過失割合が争いになりやすいといえます。
特に、加害者にかわって損害賠償金を支払うことになる保険会社にとっては過失割合は自社の利益に直結するため、自分の側の過失をできるだけ低く主張しようとする場合も少なくありません。

過失割合を決定する方法については『交通事故の過失割合|決定の流れと事例集、保険会社との示談交渉で失敗しないコツ』の記事で確認可能です。

物損の示談交渉は誰が行うのか

示談交渉は一般に保険会社が担当する

交通事故の当事者になると、肉体的にも精神的にも負担が重くなりがちですが、それに加えて相手と示談交渉をしなければならないとすると、さらに大変です。
それでは、物損事故の当事者になった場合、自分で相手と交渉しなければならないのでしょうか?

この点、自動車の任意保険に加入していれば、基本的に保険会社が示談交渉を担当してくれます。
自分で示談交渉をする場合、解決までに時間や労力がかかってしまいがちなので、保険会社が示談の対応をしてくれれば示談交渉のわずらわしさから解消されるでしょう。

保険会社が示談交渉できないケースに注意

任意保険に加入していても、保険会社が示談交渉を代行できないケースがあります。
被害者の過失が0の場合です。

そもそも、保険会社が本人に代わって示談交渉を代行できるのは、損害賠償金の支払い者という立場だからです。
保険会社は本人にかわって損害賠償金を支払うことになるので、自分の側の過失割合が大きいと支払わなければならない金額が大きくなってしまいます。

過失割合を小さくして支払う損害賠償金を少なくする必要性があるために、保険会社による示談交渉の代行が認められるのです。
ところが、被害者の過失が0の場合、被害者の側の保険会社は損害賠償金を全く負担する必要がありません。交渉の結果によって自分の利益に影響がないことから、保険会社は示談交渉ができなくなってしまいます。

保険会社が示談交渉を行えない被害者の過失が0となるケースを知りたい方は『交通事故で過失割合が10対0になる場合とは?過失割合を減らす方法も解説』の記事をご覧ください。

保険会社が交渉できない場合などは弁護士に相談

保険会社が示談交渉を代行できないなら、交通事故に詳しい弁護士に相談する必要性が高いといえるでしょう。

相手が任意保険に加入している場合、保険会社の担当員と自力で交渉しなければならなくなります。
交通事故の示談交渉は、それが仕事でなければ初めてという場合が少なくありません。一方、保険会社の担当員は示談交渉を仕事として数多くこなしてきたので、対等に渡り合うのは非常に困難です。

自分に過失がなく、損害の全額を相手に請求できるとしても、「この損害については支払いの対象外です」などと突っぱねられてしまえば、実質的に賠償金を減額されるようなものです。
特に、身体的な傷害のない物損事故の場合、示談交渉は車両の状態や修理の可否などの専門的な話になりがちなので、交渉に慣れていなければさらに対応が難しくなるでしょう。

この点、交通事故に知見のある弁護士であれば、保険会社と対等以上に渡り合って交渉することができるので、納得のいく金額の賠償金を獲得しやすくなります。
また、保険会社に示談交渉を依頼できるケースでも、高額な積み荷の賠償金額について相手と争いがある場合などは、同じく弁護士に相談するのがおすすめです。

弁護士に依頼することで生じるメリットについては『交通事故を弁護士に依頼するメリット8つ|デメリット・費用・慰謝料増額も解説』の記事をご覧ください。

物損事故の示談で弁護士に相談するタイミング

過失割合や損害賠償の金額に納得がいかない場合などは、弁護士に相談するのがおすすめです。
それでは、弁護士にはどのタイミングで相談すべきなのでしょうか?

交通事故の示談交渉について弁護士に相談する場合、タイミングは早ければ早いほど良い結果につながりやすいです。

物損事故が発生した直後に弁護士に相談すれば、今後の示談交渉のおおまかな流れや、交渉において注意すべきポイントなどを把握することができます。
また、最初から弁護士が交渉を担当すれば、交渉の仕方がわからずに不利な約束をしてしまうなどのトラブルを防ぐことにつながります。

注意点として、示談書に同意してしまうと、脅迫などの特別な事情がない限り内容を覆すことは非常に困難になるので、同意する前に必ず弁護士に相談しておきましょう。

まとめ

  • 物損事故の示談交渉では当事者の過失割合や、壊れてしまった車両や物の損害賠償の金額などを話し合う
  • 示談交渉は基本的に任意保険の保険会社が担当するが、被害者の過失が0の場合は保険会社が交渉できない
  • 物損事故で有利な示談交渉をするためには、弁護士に依頼すべき
  • 弁護士への相談は事故発生からなるべく早いタイミングで行うべき

代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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