交通事故で過失割合が10対0になる場合とは?示談交渉の注意点も解説

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過失割合10:0|示談交渉注意点

交通事故の過失割合10対0とは、事故の責任が一方の当事者に100%あり、被害者には一切の過失がないケースのことです。「もらい事故」とも呼ばれ、被害者は損害賠償金を減額されることなく全額請求できます。

しかし、過失割合10対0のもらい事故には、特有の注意点があります。被害者側の保険会社は示談代行サービスを行えないため、被害者自身が加害者側の保険会社と直接交渉しなければなりません。

また、加害者側の保険会社は、相場よりも低い示談金を提示してくることが多いです。

本記事では、過失割合が10対0となる事故の具体的な事例、請求できる損害賠償の内訳、示談交渉で損をしないための注意点を詳しく解説します。

なお、本記事中で紹介している過失割合の事例や修正要素は、「別冊判例タイムズ39」(菊池憲久・堂薗幹一郎・伊東智和編)に記載されている情報をベースにしたものとなっています。

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目次

交通事故の過失割合が10対0とはどういうこと?

過失割合10対0の意味|被害者は損害賠償で減額を受けない

交通事故の過失割合が10対0とは、加害者側の過失が100%・被害者側の過失が0%であることを意味します。つまり、被害者に一切の非がない交通事故のことです。

過失割合は10対0(100対0)、9対1(90対10)などの数字で表されます。過失割合が10対0の場合、被害者に生じた損害はすべて加害者側が補償しなければならず、逆に被害者が加害者側の損害を負担する必要はありません。

このような交通事故は一般的に「もらい事故」と呼ばれます。

そもそも過失割合とは?過失割合に応じた減額の仕組み

過失とは、交通事故当事者が起こした注意義務違反(ミス)のことです。過失割合とは、交通事故における互いの過失の度合いを割合で表したものをいいます。

たとえば、信号機のない交差点では、自動車の運転手はお互いに前方確認や速度遵守などの注意義務を負っています。この注意義務を怠る行為が過失にあたります。

過失割合が認められると損害賠償金が減額される

過失割合は、最終的な損害賠償金の金額に影響を及ぼします。

被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

民法722条2項

具体的には被害者の過失に応じた分だけ、損害賠償金額が差し引かれます。

過失割合による損害賠償額の変化

被害者の損害全額×(加害者側の過失割合/100)=実際に請求出来る損害賠償金

たとえば、被害者自身の損害全額が100万円の場合を考えてみましょう。

過失割合損害全額請求できる金額
10対0100万円100万円(全額)
8対2100万円80万円
7対3100万円70万円

被害者側の過失割合が小さいほど最終的な損害賠償金も高くなるため、加害者側は少しでも損害賠償金を低くしようと「被害者にも過失があった」と主張してくることが多く、しばしば争いになります。

過失割合はいつ・誰が決めるのか

過失割合は、示談交渉開始時に示談の相手方(多くの場合は加害者が加入する任意保険会社)から提示されます。

具体的な割合は、過去の判例をもとに交通事故の発生状況を考慮し、当事者双方の合意により決まります。

ただし、加害者側の保険会社が提示する過失割合が常に適切とは限りません。参考にする過去の判例が誤っていたり、事故特有の事情を見逃していたり、実際の事故状況と異なる事実認定をしていたりする場合があります。

被害者側としては、誤った過失割合を提示された場合には、適切な証拠をもとに修正を求めていく必要があります。

過失割合の決め方について詳しく知りたい方は『交通事故の過失割合は誰が決める?いつ決まる?算定方法や交渉のコツ』の記事をご覧ください。

過失割合は事故現場で判断するものではない

追突事故や信号無視のようにあきらかに相手に落ち度があり、過失割合が10対0の事故態様のように思えても、事故現場で判断はできません。

たとえば、事故相手が「自分がすべて悪いから、きちんと賠償金を支払います」といっても、実際に加害者の加入する保険会社がどのように判断するかは別問題です。

相手が全ての非を認めているから人身事故として届け出るのはやめておこうと思っている人は、今一度、人身事故として届け出ないデメリットも承知しておきましょう。

たとえば、相手の保険会社から「人身事故としないのは、たいしたケガではなかったのだろう」と判断されたり、今後過失割合でもめたときに証拠が乏しくなったりするおそれがあります。

物損事故から人身事故へ切り替えたい場合については、『物損から人身への切り替え方法と手続き期限!切り替えるべき理由もわかる』で解説しています。

交通事故の過失割合が10対0になる事例

ここからは、実際に過失割合が10対0になる代表的な事故事例を、当事者のパターン別に紹介します。

自動車同士の事故で過失割合10対0になるケース

四輪車同士の交通事故で過失割合が10対0になるのは、明らかに被害者側に過失がないと認められる限られた場合です。四輪車が動いている場合は何らかの過失が認められることが多いため、以下のような事故態様に限定されます。

1.停車中の衝突事故

過失割合10対0の修正要素例

被害者の車が路肩に停車していたり、信号待ちしていたときに後方から追突されたという場合では、過失割合はA車とB車で10対0となります。

停車中の追突事故は、過失割合10対0の交通事故の代表例と言えるでしょう。

2.センターラインを越えて正面衝突

対向車がセンターラインを越えて突っ込んできた場合、過失割合はセンターラインを越えた車と衝突された車で10対0となります。

ただし、センターラインを越えた車が突っ込んできた場合でも、状況によっては被害者側に過失が認められることもあるため、個別の事情に基づいた判断が必要です。

詳しくは『対向車が突っ込んできた事故の過失割合。センターオーバーで正面衝突・カーブ事故の対処法』をご覧ください。

3.青信号車と赤信号車の衝突事故

信号機のある交差点で、青信号で進んでいた車が赤信号にもかかわらず進入してきた車にぶつけられた場合、過失割合は赤信号で進入してきた車と青信号で進入していた車で10対0となります。

また、青信号ではなく赤信号で進行方向の青矢印が表示されている場合も同様です。

自動車対バイク(単車)の事故で過失割合10対0

自動車対バイクの交通事故でも、過失割合が10対0になるケースは自動車同士の事故と基本的に同じです。停車中の追突事故、センターラインオーバー、赤信号無視などが該当します。

バイク(単車)は自動車に比べて車体が小さく事故時の被害も大きいことから、仮にバイク側に過失がつく場合でも、自動車側よりバイク側の過失が小さくなる傾向があります。

保険会社から「同程度の過失」や「バイク側が悪い」と言われた場合には、慎重に判断すべきでしょう。

自動車対自転車の事故で過失割合10対0になるケース

自動車と自転車の事故においては、基本的に自転車側の過失が小さくなる傾向があります。

しかし、自転車も乗車中は一定の危険を伴うため、自転車側の過失が0になるケースはそう多くありません。

1.自転車を追い越して曲がろうとした自動車との衝突事故

信号機のない交差点を自転車で直進中、後方から追い越してきた自動車が左折・右折して衝突した場合、過失割合は自動車と自転車で10対0です。

なお、自動車が先行していた場合には自転車側にも過失が認められます。

2.センターラインを越えて正面衝突

対向車線を走っていた自動車がセンターラインを越えて衝突してきた場合、過失割合は自動車と自転車で10対0となります。

自転車同士の事故の場合は?

自転車同士の事故における事故類型ごとの過失割合については、日弁連交通事故相談センターより「試案」という形である程度参考にできる基準が発表されています。

その試案に基づくと自転車同士の交通事故で過失割合が10対0となるのは、以下のようなものがあります。

  • 青信号車と赤信号車の接触
    (青信号車:赤信号車=0対10)
  • 後続車が先行車を追い抜くために並走状態になったときに接触
    (先行車:後続車=0対10)
  • 後続車が先行車を追い抜いた後、先行車の進路上に出て接触
    (先行車:後続車=0対10)

もっとも自転車同士の事故については、過失割合の判断が難しい部分が多いです。詳しくは『自転車同士の事故状況別の過失割合|損害賠償請求と事故後の対応も解説』の記事をご覧ください。

自動車対歩行者の事故で過失割合10対0になるケース

四輪車と歩行者の事故では、基本的に歩行者側の過失が小さくなります。代表的な事例をご紹介します。

1.青信号で横断歩道を進行中の歩行者と赤信号で進入した車の交通事故

歩行者が青信号で横断歩道を歩行中、赤信号で進入してきた自動車と衝突したような場合、過失割合は自動車と歩行者で10対0となります。

また、このような交通事故の場合、青で横断開始したものの進行中に黄色信号・赤信号になったとしても歩行者の過失は0のままです。

さらに、信号機がなくとも、横断歩道上や横断歩道から1~2m付近を通行している限りは、歩行者の過失は原則0となります。

横断歩道で起こった交通事故は、基本的に被害者の過失が小さくなるものです。

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横断歩道の事故の過失割合と慰謝料|歩行者と車の状況別に過失を解説

2.歩道上に自動車が進入してきた交通事故

歩行者が歩道を歩いていたところ、自動車が歩道に突っ込んできたような交通事故の場合も、歩行者に過失は一切認められません。

3.歩車道の区別がない道路を右側通行している時に自動車と衝突する事故

歩行者が道路の右側を通常の形で通行している場合は、歩行者に過失は認められません。

なお、歩行者がふらふら歩きをしていたような場合・左側通行していたような場合は、自動車と歩行者で95対5の過失割合が認められます。

過失割合10対0のケースにおける損害賠償

過失割合10対0で請求できる損害の内訳

過失割合10対0の事故では、治療費、休業損害、入通院慰謝料、逸失利益、後遺障害慰謝料などの損害について、過失による減額を受けることなく全額を請求できます。

交通事故損害賠償の内訳

ここからは、各損害項目の概要と内訳を解説します。

治療費

治療費は、投薬代、手術代、入院費用など治療のために必要となった費用をさします。

治療費は原則実費が認められますが、不適切だと判断された場合は治療費の支払いを拒否されることもあるでしょう。

たとえば、歯が折れたことに対して保険適用の治療方法があるにもかかわらず、最先端の高級な材料を使って治療をするといったことが例としてあげられます。

交通事故の治療費は誰が支払う?立て替えや過失割合による自己負担も解説』では、治療費支払いの仕組みや自身で窓口負担が発生している場合について解説しています。

休業損害

治療のために仕事を休んだことで生じる減収に対する補償のことです。

会社員であれば、会社に「休業損害証明書」を作成してもらい、事故前3ヶ月の給与をベースに請求します。

自営業であれば源泉徴収票、主婦であれば家族全員の記載のある戸籍謄本のように、被害者の立場によって請求に必要な書類は様々です。

休業損害の請求には書類の準備や相手の保険会社内での対応などで一定の時間がかかるため、余裕をもって請求しましょう。

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交通事故の休業損害はいくら?計算方法や慰謝料・休業補償との違いを弁護士解説

入通院慰謝料

ケガの治療のために入通院したことで生じる精神的苦痛に対する慰謝料のことです。入通院慰謝料の金額は、ケガの程度や治療期間でおおよそ決まっています。

慰謝料の早見表|通院1~6か月

通院期間自賠責基準弁護士基準
1か月12.9万円28万円
(19万円)
2か月25.8万円52万円
(36万円)
3か月38.7万円73万円
(53万円)
4か月51.6万円90万円
(67万円)
5か月64.5万円105万円
(79万円)
6か月77.4万円116万円
(89万円)

※ 自賠責基準は2020年4月以降発生の事故とし、ひと月半分以上の通院を想定
※ 弁護士基準の()内はむちうち等の軽傷の場合

交通事故の過失割合が10対0であるときには、被害者に支払われる慰謝料は減額されません。

入通院慰謝料の相場は以下の慰謝料計算機でも簡単に相場をつかむことができます。簡単に使えるので、一度試してみてください。

交通事故の慰謝料は弁護士に相談

まずは目指すべき相場の慰謝料を把握し、相手の保険会社との交渉においては弁護士に対応を任せることが最適です。

アトム法律事務所では事故でケガをした方の慰謝料見積もりを無料で承っています。増額の余地を知りたい方、慰謝料の見通しを立てたい方はお気軽にお問い合わせください。

治療が終了している方はある程度の相場を算定できます。

逸失利益

後遺障害や被害者の死亡により生じる将来の収入減に対する補償は、逸失利益として請求できます。


逸失利益とは

逸失利益の金額は、被害者の年齢や収入などの複数の情報を元に算出します。

交通事故の損害賠償のなかで比較的高額になる傾向があるため、相手方との交渉はシビアになりやすいです。

過失割合10対0であっても、逸失利益が高額になるときには、何とか被害者側に過失を付けようとしてきたり、逸失利益の金額を低く見積もってきたりする可能性があります。

相手の保険会社の提示額を受け入れる前に、かならず交通事故にくわしい弁護士に相談して、妥当な金額を把握しておきましょう。

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後遺障害慰謝料

後遺障害が残ったことで生じる精神的苦痛に対する慰謝料は、入通院慰謝料とは別に、後遺障害慰謝料として請求できます。

後遺障害慰謝料の金額は、後遺障害等級ごとにおおよそ110万円から2,800万円まで相場があるので、その相場を把握したうえで交渉にのぞみましょう。

後遺障害慰謝料の相場

等級 自賠責*弁護士
1級・要介護1,650(1,600)2,800
2級・要介護1,203(1,163)2,370
1級1,150(1,100)2,800
2級998(958)2,370
3級861(829)1,990
4級737(712)1,670
5級618(599)1,400
6級512(498)1,180
7級419(409)1,000
8級331(324)830
9級249(245)690
10級190(187)550
11級136(135)420
12級94(93)290
13級57(57)180
14級32(32)110

単位:万円
*()内は2020年3月31日以前に発生した事故の場合

後遺障害慰謝料が支払われるまでの流れについては『後遺障害慰謝料の相場はいくら?いつ支払い?後遺障害等級認定と賠償金額のすべて』の記事をご覧ください。

修理費

自動車や自転車の修理費用といった物的損害のことです。

なお、物損事故の損害部分については、人身事故の損害部分よりも早く算定できて比較的安価なことから、先行して示談交渉が進められることが多いです。

物損部分では過失割合10対0といわれていても、人身部分では相手の主張が変わることもある点には留意しましょう。

その他の損害

入院中の生活雑費、通院のための交通費、義手や義足といった装具の作成費用なども、事故との因果関係があるときには、損害賠償請求できます。

交通費に関しては公共交通機関をベースとして、自家用車であれば距離に応じた金額が認められるでしょう。

タクシーは事情があれば認められるというものなので、あらかじめタクシーでなければいけない理由を相手の保険会社に申告し、許可を得ておくと安心です。

過失割合10対0の事故で適切な請求をするための対応

過失割合10対0の事故において、適切な損害賠償金を請求するためには、交通事故発生後の対応が重要です。

交通事故発生後は、以下のような対応を行ったうえで発生した損害について賠償請求を行いましょう。

事故発生後に行うべき対応の流れ

  1. 事故発生について警察に連絡し、警察の捜査に協力する
  2. 痛みがなくても早期に病院で診察を受ける
  3. ケガをしているなら人身事故として届け出を行う
  4. ケガが完治または症状固定と診断されるまで通院を継続する
  5. 後遺症が残った場合には後遺障害等級認定の申請を行う

過失割合10対0であっても、事故発生後の対応を誤ると本来得られるはずの損害賠償金が得られなくなるおそれがあります。対応に不安がある方は、早い段階で弁護士に相談することも検討してみてください。

過失割合10対0の示談交渉で注意すべき4つのポイント

過失割合が10対0と提示された場合や、10対0と主張していく場合には、いくつか注意しなければいけない点があります。

過失割合10対0の示談交渉の注意点

  • 過失0だと自分の保険会社の示談代行サービスが使えない
  • 過失割合10対0でも保険会社の提示額は低い
  • 過失割合が10対0から変わる可能性がある
  • 物損で先に示談した過失割合に引きずられるリスク

(1)過失0だと自分の保険会社の示談代行サービスが使えない

過失割合が10対0、またはそのように被害者が主張する時は、自身の保険会社の示談代行サービスが利用できません

自身の保険会社が相手方と示談交渉できるのは、自社が保険金を支払う立場にある場合に限られます。過失割合が10:0の被害者は自社保険から保険金が支払われないため、保険会社が交渉を代行する法的根拠がないのです。

つまり、被害者が自分自身で加害者側の保険会社と示談交渉を行う必要があります。

加害者側の保険会社は日常的に多数の示談交渉を取り扱っており、交渉のプロです。

被害者個人が知識を身につけて交渉しても、「根拠がない」「今回は特殊なケース」「提示額が限界」などと言われ、増額が困難になることが少なくありません。

弁護士なしでの示談金増額交渉は困難

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もらい事故で保険会社が示談交渉できない理由は?交渉の注意点や使える自分の保険について解説

(2)過失割合10対0でも保険会社の提示額は低い

加害者側の保険会社は、基本的に相場より低い示談金額を提示してきます。これは保険会社が、自賠責基準や任意保険基準という低い計算基準で示談金を算出しているためです。

慰謝料をはじめとした示談金には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つの計算基準があります。被害者にとって最も高水準で、法的根拠のある計算基準が弁護士基準です。

3つの算定基準

  • 自賠責基準
    自賠責保険が慰謝料を算定する際に用いる計算基準。金額としては法律で定められた最低限の補償水準。
  • 任意保険基準
    任意保険会社が慰謝料を算定する際に用いる計算基準。各社で異なり非公開だが、自賠責保険の金額と同程度であるか、多少多い程度であることが多い。
  • 弁護士基準(裁判基準)
    弁護士や裁判所が慰謝料を算定する際に用いる計算基準。高額かつ法的正当性の高い基準。

適正な示談金を受け取るためには、弁護士基準で算出された金額をもとに交渉を行う必要があります。

示談金を算定する3基準のうち、最も適正で妥当な金額になるのは弁護士基準

過失割合10対0の事故における示談金相場については、『10対0事故の示談金相場はいくら?むちうちの慰謝料や計算方法がわかる』の記事で詳しく解説しています。

(3)過失割合が10対0から変わる可能性がある

事故状況から過失割合10対0とされるケースであっても、「修正要素」によって被害者側に過失が認められる場合があります。

修正要素とは、基本の過失割合を変動させるより細かな事故状況や当事者の属性のことです。

過失割合の決め方

以下のような修正要素が認められると、被害者側に過失割合が認められる場合があるでしょう。

被害者の修正要素の例

  • 被害者が自動車を運転中
    停車できない場所で停車していた、速度超過、前方不注意、酒気帯び運転
  • 被害者が自転車を運転中
    酒酔い運転、二人乗り、夜間の無灯火運転、傘差し運転
  • 被害者が歩行者
    被害者が車両の直前・直後を横断、被害者が立ち止まる・ふらふら歩き・後退

ただし、上記の修正要素が常に考慮されるわけではありません。事故状況に応じて考慮される修正要素は異なります。

加害者側が修正要素を根拠に被害者の過失を主張してきても、実際には修正要素に該当しない可能性があります。また、加害者側にも修正要素が存在する場合、最終的に10対0のままとなることもあるため、安易に受け入れないことが大切です。

(4)物損で先に示談した過失割合に引きずられるリスク

交通事故では物損(車の修理費等)と人損(治療費・慰謝料等)が発生しますが、物損部分が先に示談成立するケースが一般的です。

このとき注意すべきなのが、物損の示談時に使われた過失割合が人損の交渉でもそのまま流用されるケースがある点です。

物損は比較的低額に収まりやすいため、過失割合を深く検討せず示談してしまいがちですが、人損の示談交渉で「物損は9対1で示談したのだから人損も9対1」と主張されるリスクがあります。

法的には物損と人損で同じ過失割合にする必要はありません。物損は9対1でも人身は10対0を主張できます。もっとも、物損と人身の過失割合の違いで争いとなるのを避けるためには、物損の段階から10対0を主張しておくことが重要です。

過失割合10対0の交通事故で弁護士に依頼するメリット

弁護士が示談交渉を行ってくれる

弁護士が保険会社とやりとりしてくれる

弁護士に依頼すると、弁護士が被害者に代わって示談交渉を行ってくれるため、保険会社と直接やり取りする負担から解放されます。

過失割合10対0の事故では、自分の保険会社の示談代行が使えないため、被害者自身で交渉しなければなりません。ケガの治療や仕事をしながら保険会社と折衝を続けるのは、精神的にも時間的にも大きな負担となります。

弁護士が介入することで、保険会社と対等な立場で交渉を進められるようになります。

弁護士基準での増額交渉が可能になる

弁護士に依頼すれば、弁護士基準(裁判基準)で算定した適正な金額をもとに増額交渉を行ってもらえます。

保険会社は弁護士が介入すると、交渉がまとまらなければ裁判に移行する可能性が高いと判断します。

裁判になれば弁護士基準(裁判基準)での支払いを命じられるうえ、時間や手間の負担も大きいため、保険会社も被害者側の条件に応じやすくなるのです。

弁護士ありの示談交渉なら増額の可能性が高まる

弁護士が増額交渉で目指す金額は、慰謝料計算機ですぐに算定可能です。慰謝料計算機では、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料、逸失利益などの損害賠償額が自動で計算されます。

弁護士は証拠をもとに正しい過失を主張できる

弁護士なら、事故に関するさまざまな証拠を収集・分析して、正しい過失割合を主張していくことができます。

保険会社は過失相殺を狙って、適切でない過失割合を提示してくることもあります。弁護士はドライブレコーダーの映像、実況見分調書などの刑事記録、事故現場の状況などを検証し、根拠をもって正しい過失割合を主張できます。

弁護士費用特約で原則自己負担なく示談交渉を依頼可能

加入する任意保険に弁護士費用特約が付いていれば、弁護士に支払う必要がある費用を保険会社に負担してもらえます。

負担額には上限があるものの、多くのケースで費用の金額が上限内に収まるので、弁護士費用特約を利用すると、費用の負担なく弁護士に示談交渉を任せられるでしょう。

弁護士費用特約とは

弁護士費用特約について詳しく知りたい方は、『もらい事故こそ弁護士特約を使って慰謝料増額!特約のメリットや使い方』の記事をご確認ください。

アトムの解決事例

過失0対10|横断歩道を歩行中の事故

横断歩道歩行中に右折車にはねられ額に傷痕を負った事例

青信号で横断歩道を歩行中、右折してきた自動車にはねられ、額に3cmの傷痕と腰の痣を負った事案。依頼者側の過失割合はゼロだった。約半年間治療を受け、後遺障害等級12級14号の認定を受けた。


弁護活動の成果

20代女性の顔の傷12級事案として逸失利益の増額交渉を実施し、赤本基準での計算・写真・仕事への支障報告書を提出した結果、相手方保険会社の提示額約340万円から約948万円へ、約608万円の大幅増額を実現した。

年齢、職業

20〜30代・学生

傷病名

顔の傷(3cm)

後遺障害等級

12級14号

過失0対10|センターラインをはみだしてきた車両との衝突事故

旅行中にセンターライン越え車両に衝突され右肩骨折等を負った事例

旅行中に自動車で走行中、センターラインを越えて進行してきた相手方車両に横から衝突された事案。依頼者は右肩上部骨折・頚椎捻挫・指先のしびれ・右膝痛を負い入院し、同乗の妻も肋骨骨折等の傷害を負った。


弁護活動の成果

症状固定後に被害者請求を行い併合11級の後遺障害等級認定を獲得。相手方保険会社から当初約202万円の提示があったが、再交渉を重ねた結果、最終的に約561万円での示談が成立した(弁護士費用特約を利用)。

年齢、職業

60〜70代・無職

傷病名

右肩上部骨折(他、頚椎捻挫・指先のしびれ・右膝痛)

後遺障害等級

併合11級

過失割合10対0の交通事故で適正な賠償を受けるために

過失割合10対0の交通事故(もらい事故)は、被害者に一切の過失がなく、損害賠償金を全額請求できるケースです。

しかし、過失がないからこそ自分の保険会社の示談代行が使えず、弁護士に依頼しなければ被害者自身で加害者側の保険会社と交渉しなければならないという特有の問題があります。

ご自身で交渉した結果、十分な補償を受けられないケースは多いです。適正な損害賠償を受けるためにも、示談交渉に不安がある方は、早めに弁護士への相談を検討してみてください。

アトムは24時間365日相談予約受付中

アトム法律事務所では、交通事故の被害者の方を対象に無料の法律相談を行っています。

交通事故案件に力を入れているため、経験豊富な弁護士に相談を行うことが可能です。

過失割合10対0であるからこそ、弁護士を味方につけて十分な損害賠償金を手に入れましょう。

無料相談のご相談予約は24時間体制で受け付けているので、いつでも気軽にご連絡ください。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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