どうなるのかの説明が明快で分かりやすかった為とても安心できました。
また難しいことは難しいとちゃんと伝えてくれたことも信頼できると感じました。
交通事故で3ヶ月(90日)通院|慰謝料は?むちうちは治療費打ち切りに注意

交通事故で3ヶ月通院したとき、慰謝料の相場は、むちうちなど軽傷なら53万円、骨折のような重傷なら73万円です。
裁判所も認める金額ですが、示談交渉で獲得するには弁護士の存在が必須になります。
この記事では、3ヶ月通院した場合の慰謝料相場について、計算方法や納得のいく金額を得るための注意点を解説しています。
後遺障害認定や治療費打ち切り、過失割合など、十分な慰謝料額をもらううえで知っておくべきことについてわかるので、ぜひチェックしてください。
むちうちの増額事例
弁護士相談の段階で後遺障害等級が既に認定済だったものの、慰謝料などの金額に増額の余地があったケース。

弁護活動の成果
提示額の137万円から、最終的な受取金額が312万円まで増額された。
年齢、職業
20~30代、会社員
傷病名
むちうち
後遺障害等級
14級9号
目次

通院3ヶ月(90日)の交通事故慰謝料の相場
まずは、交通事故で3ヶ月間通院した場合の慰謝料相場について紹介します。
交通事故の慰謝料には3つの相場があるので、その点についても確認していきましょう。
慰謝料早見表|3ヶ月通院の入通院慰謝料
交通事故により3ヶ月通院した場合の慰謝料相場は、重傷時で73万円、軽傷時で53万円くらいです。
交通事故の慰謝料には入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料の3つがありますが、3ヶ月通院した場合に請求できる慰謝料は、「入通院慰謝料」となります。
入通院慰謝料
交通事故によるケガ・入通院・リハビリで生じる肉体的・精神的苦痛に対する補償。
ケガの痛みや治療・手術の恐怖といった苦痛に対して支払われる。
一方、加害者側の保険会社からの提示額は、実際の通院日数に応じて変わることが多く、最大でも38万7000円程度でしょう。
交通事故で3ヶ月通院した時の慰謝料の金額は、以下のようになります。
3ヶ月通院した時の慰謝料相場早見表
通院日数 | 保険会社提案額 | 相場額 |
---|---|---|
10日 | 8万6000円 | 重傷 73万円* 軽傷 53万円* |
30日 | 25万8000円 | 重傷 73万円 軽傷 53万円 |
45日 | 38万7000円 | 重傷 73万円 軽傷 53万円 |
50日 | 38万7000円 | 重傷 73万円 軽傷 53万円 |
70日 | 38万7000円 | 重傷 73万円 軽傷 53万円 |
*低額になる可能性あり
軽傷とは、むちうち、挫創、打撲など比較的軽度の傷病をさし、それ以外の場合は重傷となります。
なお、むちうちは交通事故で多いケガなので、別途解説記事を用意しています。『交通事故によるむちうちの症状・治療期間・後遺症|慰謝料相場も解説』の記事もご覧ください。
相場額の慰謝料を得るために示談交渉が必要
保証会社の提示額は相場より低額であることが多いため、相場の慰謝料を得るには示談交渉において増額の交渉が必要です。
交通事故の慰謝料早見表の相場額まで慰謝料を増額するためには、専門家である弁護士に依頼することが最も確実でしょう。

慰謝料を適正金額へ近づけたいという方は、まず無料の法律相談を利用してください。
弁護士さんに相談することは初めてで、最初はとても勇気が要りましたが、優しい対応で安心できました。ありがとうございます。
今後深い話をさせていただく事になると思いますが、是非宜しくお願い致します。
交通事故慰謝料の計算方法は3つある
慰謝料相場の早見表でも「保険会社の提案額」「相場額」の2つを紹介したように、交通事故を原因とする慰謝料の金額を計算する方法は1つではありません。
実際には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準という3つの計算方法があるのです。
- 自賠責基準
加害者側の自賠責保険から支払われる慰謝料額の算定基準
自賠責保険から支払われる金額には上限が設定
上限額に関する記事:『交通事故慰謝料が120万を超えたらどうなる?』 - 任意保険基準
加害者側の任意保険会社が用いる算定基準
関連記事:『交通事故慰謝料の「任意保険基準」とは?慰謝料3つの基準と計算方法を解説』 - 弁護士基準
弁護士や裁判所が用いる慰謝料算定基準
過去の判例に基づいているため相場額を算定する基準といえる
交通事故の慰謝料額は、一般的には加害者が加入している任意保険会社と行う示談交渉によって決められます。
その示談交渉において、任意保険会社は任意保険基準で計算した慰謝料額を支払うと提案してくるでしょう。
しかし、相場額は弁護士基準で算定された金額となります。
弁護士基準は任意保険基準の2倍~3倍程度であることが多く、示談交渉では「加害者側から提示された任意保険基準の金額を、どこまで弁護士基準に近づけられるか」がポイントとなるでしょう。

弁護士基準による慰謝料額の獲得には、示談交渉で弁護士を立てることが必要です。
交通事故における示談の基本的な内容や交渉の進め方、弁護士に示談交渉を任せるべき理由については『交通事故の示談とは?進め方や損しないためのポイント』の記事で解説しているので、ご確認ください。
通院3ヶ月(90日)の慰謝料の計算方法と計算例
自賠責保険会社、任意保険会社、弁護士は、それぞれ異なる計算方法で慰謝料を算定します。それぞれがどのように慰謝料額を決めているのか計算方法と実際の計算例をみていきましょう。
自賠責基準の計算方法|最大38万7000円
自賠責基準における入通院慰謝料の計算方法は、自動車損害賠償保障法によって定められています。
自賠責基準での計算方法
日額4300円×対象日数
- 対象日数は、次のうち少ない方とする
- 通院期間
- 実通院日数の2倍
- 2020年3月31日以前の事故については、日額4200円とする
たとえば、通院期間が3ヶ月で実通院日数が40日だった場合、通院期間は90日、実通院日数の2倍は80日です。
この場合、実通院日数の2倍である80日を4300円にかけることになります。
自賠責基準で通院3ヶ月の慰謝料を計算した場合
自賠責基準の場合、通院3ヶ月のうち実通院日数が44日までは、実通院日数に応じて慰謝料額が変わります。そして実通院日数が45日以上になると、そこから慰謝料額は変わりません。
実通院日数が10日、30日、44日、45日、60日の場合について、実際の計算例を紹介します。
実通院10日の場合
通院期間は90日、実通院日数の2倍は20日なので、20日を日額にかける。
20日×4300円=8万6000円
実通院30日の場合
通院期間は90日、実通院日数の2倍は60日なので、60日を日額にかける。
60日×4300円=25万8000円
実通院44日の場合
通院期間は90日、実通院日数の2倍は88日なので、88日を日額にかける。
88日×4300円=37万8400円
実通院45日の場合
通院期間は90日、実通院日数の2倍は90日なので、90日を日額にかける。
90日×4300円=38万7000円
実通院60日の場合
通院期間は90日、実通院日数の2倍は120日なので、90日を日額にかける。
90日×4300円=38万7000円
任意保険基準の計算方法|保険会社ごとに異なる
任意保険基準は各任意保険会社の自社基準となっており、一般公開されていません。
かつては統一された基準がありましたが、今は会社ごとに独自の基準を設定しているのです。
とは言え、今でも旧統一基準を自社基準(任意保険基準)としている保険会社もあります。旧統一基準を掲載しますので、参考程度にご活用ください。

弁護士基準の計算方法|相場の金額を算定
弁護士基準では、計算式ではなく、算定表を使って慰謝料の金額を算定します。算定表は重傷用と軽傷用があり、原則重傷用の算定表を使います。
軽傷用の算定表は、むちうち・挫創・打撲など、ケガの程度が軽度の場合にのみ使ってください。
慰謝料算定表: 軽傷(弁護士基準)

慰謝料算定表: 重傷(弁護士基準)

算定表は、30日を1月として入院月と通院月を用います。
例
- むちうちで入院なし・通院4ヶ月
軽傷の算定表より入通院慰謝料は67万円 - 骨折で入院1ヶ月・通院3ヶ月
重傷の算定表より入通院慰謝料は115万円
※入院待機期間があれば別途入院期間に追加可能
弁護士基準における慰謝料の計算方法については、『交通事故の慰謝料は弁護士基準で請求!慰謝料相場と増額成功のカギ』の記事でも解説しています。
また、下記の自動計算機を利用すれば、弁護士基準で算出される自身の入通院慰謝料額を簡単に知ることが可能です。
算定方法が変わる可能性がある
たとえば、むちうちで3ヶ月通院したなら、弁護士基準における入通院慰謝料は基本的に53万円です。
ただし、同じ通院3ヶ月でも入院した期間があれば入通院慰謝料は変わります。
また、通院期間に対して実通院日数が少なすぎる場合などは、通院期間ではなく「実通院日数の3倍」を基準に慰謝料を算定することもあるので、心当たりのある場合は弁護士までお問い合わせください。
もっと詳しくむちうちの慰謝料計算を知りたい方、慰謝料の基本的なことから増額方法まで多岐にわたる情報を把握しておきたい方は、以下の関連記事もお役立てください。
もっと詳しい解説記事
弁護士基準の慰謝料請求に向けて、まずは無料の法律相談を活用してみてください。法律相談のご予約は年中無休で受付中です。

通院3ヶ月(90日)の慰謝料に関する疑問5選
通院3ヶ月の慰謝料に関してよくある疑問にお答えしていきます。
(1)慰謝料はいつもらえるの?
慰謝料がもらえるのは、原則示談成立後です。
示談が成立したら約2週間が経過するころを目安に、被害者の口座に振り込まれます。
なお、休業損害は治療中の段階から1ヶ月ごとに請求することで、示談前でも支払ってくれる「内払い」を受けられることもあります。ただし、相手の保険会社のサービスになるので、内払いを受けられるかどうかはケースバイケースです。
また、「一刻も早く補償を受け取りたい」という場合は、加害者側の自賠責保険会社に対して仮渡金請求や被害者請求を行うことで、一部の補償を示談前に受けとれます。
- 仮渡金請求:傷害の部位・程度に応じた一定額を先行請求
- 被害者請求:自賠責保険会社における支払基準内の金額を請求
慰謝料がいつもらえるのか、もっと詳しく知りたい方は関連記事をお役立てください。
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(2)通院日数が少ないと慰謝料は減る?
自賠責基準で計算するなら慰謝料は減りますが、弁護士基準で請求するならば通院日数による慰謝料の変動はありません。ただし、通院頻度が低すぎると判断された時には減額されます。
自賠責基準の入通院慰謝料は、固定の慰謝料額を対象日数分だけ受けとります。
通院日数が少ないと、慰謝料も少なくなる仕組みになっています。
一方で、弁護士基準は通院日数にほとんど左右されません。
通院3ヶ月のうち40日通院しようと70日通院しようと、金額が変わらないのが原則です。
しかし、正当な理由なく1ヶ月(30日)あたりの実通院日数が10日を下回る時には、通院頻度が低すぎるとして減額される可能性があります。
具体的には、むちうちなどの軽症の場合には通院期間が実通院日数の3倍に、重症の場合には3.5倍として計算される結果、慰謝料が減額する可能性があるのです。
通院日数と慰謝料の関係についてもっと詳しく知りたい方は関連記事をお役立てください。
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(3)整骨院・接骨院に行った期間分も慰謝料はもらえる?
整骨院や接骨院に行った期間も、入通院慰謝料の対象になります。ただし、整形外科の医師に指示(許可)を得ること、加害者側の任意保険会社に事前連絡を入れることの2点を行ってから利用しましょう。
整骨院・接骨院に通うことは不可ではありません。
しかし、整骨院・接骨院でかかった費用やその期間分の入通院慰謝料をきちんと加害者側に支払ってもらうには、整骨院・接骨院での施術が症状の緩和に有効であると病院の医師からお墨付きをもらい、事前に相手方に伝えておくと安心です。
整形外科で行われるのは医療行為ですが、整骨院・接骨院で行われるのは施術行為、つまり医療行為ではありません。
こうした違いから、整形外科の費用は治療費としてすんなり認められても、整骨院・接骨院の費用については認められづらい側面があるのです。
整骨院の関連記事
(4)通院3ヶ月で後遺症が残った時の慰謝料は?
指や手足の切断、人工関節の置換など明らかに後遺症が残っていると分かる状態であれば、後遺障害慰謝料や逸失利益がもらえるでしょう。
一方、むちうちによるしびれや痛みなどの場合は、通院3ヶ月で後遺障害慰謝料をもらうのは難しいのが実情です。
交通事故により後遺症が残った場合は、「後遺障害等級」の認定を受ければ後遺障害慰謝料・逸失利益の請求が可能となります。
- 後遺障害慰謝料
交通事故により後遺障害が残ったことで生じる、精神的苦痛に対する補償 - 逸失利益
後遺障害の影響で減ってしまう、生涯収入に対する補償
しかし、基本的には通院3ヶ月で後遺障害等級の認定を受けることは難しいため、後遺障害慰謝料や逸失利益は請求できない可能性が高いです。
ただし、手足の切断や人工関節の置換、偽関節などレントゲン写真やMRI画像などに明らかな異常が写る場合は、通院期間にかかわらず後遺障害認定される見込みがあります。
通院3ヶ月で後遺症が残った場合については本記事内でも解説するので、ご確認ください。
(5)通院3ヶ月でもらえる慰謝料以外の賠償金は?
通院3ヶ月の場合、ここまで紹介した慰謝料・逸失利益以外に以下の費目を請求できることが多いです。
- 治療関係費:治療費、入院雑費、通院交通費など。
- 休業損害:交通事故のケガによって働けず、生じた減収に対する補償。専業主婦や一部の学生、一部の無職者でも請求できる。
- 物損の賠償金:交通事故で壊れた物の修理費・弁償代。
治療関係費や物損に関する賠償金は基本的に実費が補償されます。
一方、休業損害には慰謝料同様、自賠責基準と弁護士基準で計算方法が異なるのです。
たとえば自賠責基準では原則日額6100円(2020年3月31日までの事故なら日額5700円)とされていますが、弁護士基準では実際の収入を日割りした金額を日額となります。
休業損害の計算方法や請求の流れ、必要書類などは下記の関連記事を参考にしてください。
休業損害の詳しい解説
また、実際には収入を得ていない専業主婦でも、弁護士基準なら賃金センサスをもとにした女性の全年齢平均賃金を日額として休業損害を計算できます。
令和5年の統計であれば、女性の全年齢平均賃金から算出される日額は約10000円であり、6100円よりも大幅に高額です。
主婦・主夫向けの記事はこちら
過失割合が賠償金額に影響する
交通事故により請求できる賠償金額は「過失割合」に応じて減額されます。
過失割合とは、事故が起きた責任が加害者側と被害者側それぞれにどれくらいあるのか割合で示したものです。
被害者側にも過失割合がつくと、その割合分、慰謝料などの示談金が減額される「過失相殺」がなされます。
具体的な過失割合は示談交渉にて決められます。
加害者側は過失相殺によって示談金を少なくしようと、あえて被害者側の過失割合を多めに主張してくることがあるでしょう。
よって、示談交渉時には慰謝料やそのほかの損害賠償金額だけでなく、過失割合についてもしっかり交渉することが大切です。
過失割合の決め方や交渉については、以下の記事を参考にしてみてください。
関連記事
- 交通事故の過失割合とは?パターン別の過失割合と決め方の具体的な手順
- 交通事故の過失割合でもめる4ケース&対処法|証拠が無い時どうする?
- 追突事故の過失割合は被害者の過失なしが原則|急ブレーキで過失はつく?
通院3ヶ月で治療費打ち切りになったら|むちうちは特に要注意
通院中に、加害者側の任意保険会社から治療費の打ち切りの連絡がなされることがあります。
特にむちうちの場合は、通院3ヶ月となると「これ以降の治療費は支払わないので治療を終えてください」と言われる可能性が高いでしょう。
なぜ治療費を打ち切られてしまうのか、治療費打ち切りを受け入れると慰謝料にどう影響するのか、どう対処するのが適切なのか解説していきます。
治療費が打ち切りられる理由|むちうちは特に多い
治療費の打ち切りが行われるのは、加害者側の任意保険会社が治療期間を形式的に判断することがあるためです。
加害者側の任意保険会社は、傷病名からおおよその治療期間を決め、決められた治療期間を経過した場合には治療費の負担を打ち切ると判断することがあります。
実際には、治療方法や個人の事情により事案ごとの治療期間が異なってくるものの、このような個別的な事情を考慮せずに治療期間が判断されるため、治療の継続が必要であっても治療費の打ち切りがなされるのです。
特にむちうちは、平均的な治療期間が3ヶ月とされているため、加害者側の任意保険会社は「もう治療は終わって良いだろう」と判断して、打ち切りの連絡をしてくることが多いでしょう。
治療費打ち切りを受けても治療を継続すべき
治療費の打ち切りを打診された時点でまだ治療が終わっていない場合は、引き続き治療を続けるべきです。
まだ必要な治療を終えてしまうと、以下のようなデメリットが生じます。
- ケガが十分に治りきらない
- 治療期間が短くなる分、入通院慰謝料が低額になる
- 後遺症が残ったとしても後遺障害認定されにくく、後遺障害慰謝料や逸失利益をもらえない可能性が高い
もちろん、治療費打ち切りのタイミングでちょうど治療が終わったのであれば、そのまま次のフェーズへ進むべきです。治療期間を必要以上に延ばしても、過剰診療の疑いで慰謝料が減額されるおそれもあります。
しかし、まだ治療が必要なのであれば治療費打ち切りを受けても最後まで治療を受けましょう。
治療費打ち切りへの対処法|弁護士への相談も
まだ治療が必要なのに治療費打ち切りの打診を受けたら、次のように対処してください。
- 加害者側の任意保険に対して医師の意見書や検査結果などを提示し、治療継続の必要性を主張して治療費打ち切りの延長を交渉する
- 治療費が打ち切られてしまったら、費用を立て替えながら自己負担で治療を継続し、示談交渉時に立て替えた分を加害者側に請求する
上記のいずれの対応を取るにしても、弁護士を挟むことをおすすめします。
『交通事故の治療費打ち切りを阻止・延長する対応法』の記事でも解説の通り、治療費打ち切り延長の交渉も、打ち切り後の治療費請求の交渉も、弁護士を挟んだほうが成功率が上がるからです。

治療費打ち切り後の治療は健康保険を利用すべき
治療費打ち切り後に費用を立て替えながら治療を継続する場合は、健康保険を使うと負担を減らせます。
ただし、交通事故の治療で健康保険を使う場合は、通常の診察時のように窓口で保険証を提示するだけでは不十分です。
詳しい利用手続きについては『交通事故で健康保険は使える!メリットや健保に切り替えてと言われた時の対処法』の記事でご確認ください。
通院3ヶ月(90日)で後遺症が残った時の慰謝料
ここからは、通院3ヶ月で後遺症が残った場合の慰謝料について解説していきます。
通院3ヶ月(90日)で後遺障害慰謝料をもらうのは難しい
交通事故によって後遺症が残った場合、「後遺障害等級」の認定を受ければ後遺障害慰謝料・逸失利益の請求が可能となります。
しかし、症状固定(後遺症が残ったと診断されること)に至るまでの治療期間が3ヶ月の場合は、後遺障害等級の認定を受けられない可能性が高いでしょう。
治療期間が3ヶ月だと、後遺障害等級の認定審査において次のように考えられるからです。
- もう少し治療を続ければ完治するのではないか
- 後遺症が残ったとはいえ、3ヶ月の治療で症状固定になる程度なら後遺障害等級に認定するほどではないのではないか
四肢や指の切断など、後遺障害が残っていることが明らかな場合は治療期間が3ヶ月でも後遺障害認定される可能性が高いです。
しかし、それ以外の後遺症について治療期間3ヶ月で症状固定と言われた場合は、以下のいずれかの対応を取る必要があります。
- 治療を終了して示談交渉へ進む(後遺障害慰謝料・逸失利益は諦める)
- 医師にお願いして、最低でも治療期間が6ヶ月になるまで症状固定時期を延ばしてもらう
なお、治療期間が延びれば入通院慰謝料も多くなります。通院6ヶ月の慰謝料相場については『通院6ヶ月の交通事故慰謝料の相場と計算』の記事をご覧ください。
症状固定時期を延ばしてもらう場合の注意点
治療期間の延長に医学的・客観的根拠が無い場合、無理に治療を続けても過剰診療を疑われるおそれがあります。
すると、たとえ6ヶ月以上治療したとしても後遺障害認定は難しくなるでしょう。
過剰診療と判断された期間分については治療費・入通院慰謝料が支払われないおそれもあります。
よって、治療期間を伸ばすかどうかは医師や弁護士と慎重に検討すべきです。
後遺障害認定されるための要件
後遺障害認定を受けるには6ヶ月以上の治療以外にも、以下の要件が必要となります。
- 症状が他覚的に表れている
レントゲンやMRIの画像、神経学的検査の結果などから症状の判断ができる - 事故直後から継続して一貫した症状がある
主に後遺障害診断書の記載内容から判断 - 労働能力に影響を与えている
収入が下がった、昇格・昇給の機会を奪われたといった事実があるか
なお、後遺障害認定の審査を受ける手続きについては、『後遺障害申請の被害者請求|流れや弁護士に依頼すべき理由』の記事をご確認ください。
症状の継続性・一貫性は、主に医師が作成する後遺障害診断書から判断されます。
医師に後遺障害診断書を書いてもらったら、症状が途中で変化したり、天気などによって程度が左右されたりするといった記載がないかどうか、確認してみてください。
後遺障害診断書は後遺障害等級認定の結果に大きく影響する重要な書類です。
後遺障害診断書の詳しい記載内容や書き方のポイントは、関連記事『後遺障害診断書のもらい方と書き方は?自覚症状の伝え方と記載内容は要確認』から確認してみてください。
例|むちうちで後遺障害認定された場合の慰謝料相場
むちうちによるしびれや痛みといった後遺症は、後遺障害12級または14級に該当する可能性があります。
この等級における後遺障害慰謝料の相場は、12級なら290万円、14級なら110万円です。
むちうちの後遺障害等級と慰謝料
- 後遺障害12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)
- 認定基準:後遺障害の残存が、各種検査結果など他覚的所見によって証明できる
- 後遺障害慰謝料
- 自賠責基準:94万円
(2020年3月31日以前の交通事故であれば93万円) - 弁護士基準:290万円
- 自賠責基準:94万円
- 後遺障害14級9号(局部に神経症状を残すもの)
- 認定基準:後遺障害の残存が、医学的に説明・推測できる
- 後遺障害慰謝料
- 自賠責基準:32万円
- 弁護士基準:110万円
むちうちの後遺障害認定については、以下の記事を参考にしてみてください。後遺障害認定の基準や12級13号と14級9号のちがいを解説しています。
関連記事
適正な慰謝料請求は弁護士にご相談ください
ここまで通院3ヶ月の慰謝料や後遺障害認定などについて解説してきましたが、共通して言えるのは「一度弁護士に相談した方が良い」ということです。
弁護士に相談すべき理由と、弁護士費用の負担を大幅に減らせる方法について解説していきます。
十分な慰謝料増額には弁護士の介入が必要
弁護士に相談・依頼を行うことで相場の金額まで慰謝料を増額することが可能です。
加害者側の任意保険会社が提示してくる慰謝料額は、基本的に相場よりも低額であり、過失割合も被害者にとって不利なものを提示してくる傾向にあります。
ただし、被害者自身で正しい慰謝料額・過失割合を主張しても十分に聞き入れられることはほぼありません。
保険会社側は会社や担当者個人の業績をかけて交渉してきますし、仕事として示談交渉に臨んでいるため知識も経験も豊富です。被害者側の主張を退けることには非常に慣れています。
しかし、被害者側に弁護士が付いたならば話は別です。
被害者側が弁護士を立てると、加害者側の任意保険会社は、「このままだと裁判になり、時間も労力もかかった挙句、被害者側の主張を受け入れることになる」と考えて、裁判せずとも弁護士基準に近い金額で示談する可能性が高まります。

慰謝料増額以外にもメリットあり
弁護士に相談・依頼を行うと、慰謝料増額以外にも以下のようなメリットが得られます。
- 加害者側とのやり取りを弁護士に行ってもらえる
- 必要な証拠の収集を手伝ってもらえる
- 適切な後遺障害等級認定を受けられるようサポートしてもらえる
弁護士に依頼するメリットを詳しく知りたい方は『交通事故を弁護士に依頼するメリットと必要な理由|弁護士は何をしてくれる?』の記事をご覧ください。
あなたの保険会社が弁護士費用を支払ってくれるかも
弁護士に相談・依頼する際に発生する費用の負担については、弁護士費用特約を利用することで負担を大きく軽減することが可能です。
弁護士費用特約とは弁護士費用を保険会社に負担してもらえる特約をいい、主に自動車保険に付帯しています。
負担の範囲については上限額が設定されていますが、費用額は上限内に収まることも多いので、金銭的な負担なく弁護士への相談や依頼が可能となるのです。

保険の専門サイト「スマートマネーライフ」が実施した調査では、事故経験者の108人中、12名が弁護士特約が役立ったと「役立った、付けておけば良かった」と回答しています。詳細については以下のサイトをご覧ください。
弁護士費用特約を利用できない場合でも弁護士に相談すべき
弁護士費用特約を利用できない場合であっても、弁護士への相談を行うことをおすすめします。
法律相談時においてどれくらいの示談金獲得が見込めるのか、どれくらい弁護士費用が生じるのかを試算してもらえるので、依頼前に金銭的な負担の程度を知ることができるためです。
無料の法律相談なら金銭的な負担なく、確認を行うことができるでしょう。
交通事故の弁護士費用相場はいくら?弁護士費用特約を使って負担軽減
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アトム法律事務所では、交通事故被害者の方を対象とした電話やLINEによる無料の法律相談を行っています。
アトム法律事務所の電話・LINE相談は、以下のバナーからご利用いただけます。
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無料相談のみのご利用ももちろん可能なので、お気軽にご連絡ください。
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増額事例多数、スピード解決を目指します - 加害者との書類等のやり取りが煩雑だ
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まとめ
最後に、この記事の中で解説してきたことをまとめます。
- 通院3ヶ月の慰謝料相場は、重傷時で73万円、軽傷時で53万円
- 通院3ヶ月では後遺障害等級認定を受けることが難しい
- 弁護士に依頼すると示談金額が増額しやすい
通院3ヶ月のケガは基本的には軽傷とされるので、弁護士はいらないと思われがちです。
しかし、軽傷であっても示談交渉や後遺障害認定がうまくいかなければ、本来もらえるはずの慰謝料額がもらえず、損をしてしまいます。
また、相手の保険会社の社内基準で提示してくる慰謝料は低額で、弁護士に依頼することで増額となる余地が残されている可能性が高いです。
アトム法律事務所では無料相談のみのご利用も可能なので、妥当な慰謝料額を知りたいだけ・後遺障害等級に認定される見込みがあるか知りたいだけといった方も、お気軽にご連絡ください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了