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交通事故で3ヶ月(90日)通院|慰謝料はいくら?計算方法やむちうちの相場

更新日:

通院3ヶ月|むちうち慰謝料の相場

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

3ヶ月、つまり90日通院した場合、交通事故被害者が受け取れる慰謝料の相場は、むちうちのような軽傷なら53万円、骨折のような重傷なら73万円です。

しかし、この相場はあくまでも示談交渉がうまくいったときに得られる理想的な相場にすぎず、示談交渉がうまくいかなければもっと低い金額しか得られません。

そこでこの記事では、3ヶ月通院した場合の慰謝料相場について、計算方法や納得のいく金額を得るためのポイントを解説しています。

後遺障害認定や治療費打ち切り、過失割合など、十分な慰謝料額をもらううえで知っておくべきことについても解説しているので、ぜひチェックしてください。

目次

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通院3ヶ月(90日)の交通事故慰謝料の相場

まずは、交通事故で3ヶ月間通院した場合の慰謝料相場について紹介していきます。
交通事故の慰謝料には3つの相場があるので、その点についても確認していきましょう。

慰謝料早見表|3ヶ月通院の入通院慰謝料

交通事故の慰謝料には入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料の3種類がありますが、3ヶ月通院した場合に請求できる慰謝料は、「入通院慰謝料」です。

入通院慰謝料

交通事故によるケガ・入通院・リハビリで生じる肉体的・精神的苦痛に対する補償。
ケガの痛みや治療・手術の恐怖といった苦痛に対して支払われる。

通院3ヶ月の場合、加害者側の保険会社から提案される入通院慰謝料額は、実際の通院日数が45日以上なら38万7000円程度と予想されます。
保険会社からの提示額は、実際の通院日数に応じて変わります。

一方、本来の通院3ヶ月の慰謝料相場は、重傷時で73万円軽傷時で53万円くらいです。
本来の相場というのは、弁護士に示談交渉を任せた時や加害者に対して民事裁判を起こした時に認められうる金額のことで、弁護士基準または裁判基準と呼ばれます。

交通事故で3ヶ月通院した時の慰謝料を表にまとめると、次の通りです。

3ヶ月通院した時の慰謝料相場

通院日数保険会社本来相場
(弁護士基準)
10日8万6000円重傷 73万円*
軽傷 53万円*
30日25万8000円重傷 73万円
軽傷 53万円
45日38万7000円重傷 73万円
軽傷 53万円
50日38万7000円重傷 73万円
軽傷 53万円
70日38万7000円重傷 73万円
軽傷 53万円

*低額になる可能性あり

弁護士基準の慰謝料額における軽傷とは、むちうち、挫創、打撲など、比較的軽度の傷病をさし、それ以外の場合は重傷となります。

慰謝料額の相場は上記の通りですが、実際に受け取れる慰謝料額は、相手側の保険会社との示談交渉によって決まります。
交渉がうまくいけば弁護士基準に近い金額を獲得できますが、うまくいかなければ保険会社の提示額に近い金額しか得られません。

なお、むちうちは交通事故で多いケガなので、別途解説記事を用意しています。
交通事故で多いむちうちの症状と慰謝料計算方法|治療や後遺症認定を解説』もご覧ください。

交通事故慰謝料の相場は3種類ある

上の慰謝料相場の表でも「保険会社の相場」「本来相場」の2つを紹介したように、交通事故慰謝料の相場は1つだけではありません。

実際には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準という3つの算定基準に沿った相場があるのです。

上の表で言うと、「保険会社の相場」が自賠責基準、「本来相場」が弁護士基準にあたります。
それぞれの基準がどのようなものなのか、見ていきましょう。

自賠責基準は最低限の慰謝料相場

自賠責基準は、加害者側の自賠責保険から支払われる慰謝料額の算定基準です。

自賠責保険は車1台ごとに加入が義務付けられている保険で、保険加入者が交通事故を起こした際、相手側に対して最低限の補償を行います。
よって、自賠責基準に沿った慰謝料額は、最低限のものとなっています。

なお、加害者側の自賠責保険から支払ってもらえる慰謝料・損害賠償額には上限があります。
入通院慰謝料・治療関係費・休業損害といった「傷害分」の費目であれば、上限は120万円です。
 
自賠責保険から支払われる慰謝料・損害賠償金でまかないきれない部分については、加害者が加入する任意保険か、加害者本人に請求しなければなりません。

自賠責保険の支払い上限額については『自賠責保険の慰謝料の支払い限度額はいくら?補償を早くもらう方法』で詳しく解説しているのでご覧ください。

自賠責基準のポイント

  • 加害者側の自賠責保険から支払われる慰謝料額がわかる。
  • 金額は、最低限。

任意保険基準は示談交渉で提示される慰謝料相場

任意保険基準は、加害者側の任意保険会社が用いる算定基準です。
交通事故の慰謝料額は、一般的には加害者側の任意保険会社と行う示談交渉によって決められます。
その示談交渉で加害者側の任意保険会社が提示してくるのが、任意保険基準の慰謝料なのです。

示談交渉後、慰謝料・損害賠償額が決まれば、そのうち自賠責保険の支払い上限額までは自賠責保険から、それ以上の金額は任意保険から支払われます。
ただし、通常はすべてまとめて一括で、加害者側の任意保険会社から支払われることが多いです。

任意の自動車保険と自賠責保険の関係

ただし、任意保険基準は各任意保険会社が独自に設定したもので、一般には公開されていません。そのため詳細な金額はわかりませんが、ほとんど自賠責基準と変わらないと言われています。

任意保険基準については、『交通事故慰謝料の「任意保険基準」とは?慰謝料3つの基準と計算方法を解説』でも詳しく解説しています。

補足

任意保険は強制加入ではないので、事故相手が任意保険未加入(無保険)の場合があります。
事故相手が無保険の場合は示談交渉に応じてもらえない・示談金の支払いを踏み倒されるなどのリスクがあるので、『交通事故の相手が無保険ならどうする?慰謝料請求6つの対応』でリスクと対処法を確認してください。

任意保険基準のポイント

  • 示談交渉では、相手方は任意保険基準の金額を提示してくる。
  • 任意保険基準は各保険会社で異なり非公開だが、自賠責基準の金額とさほど変わらない傾向にある。

弁護士基準はもっとも正当性の高い慰謝料額

弁護士基は、弁護士や裁判所が用いる慰謝料算定基準です。
裁判基準とも言われ、詳細は『交通事故 損害賠償額算定基準』(通称:赤い本)に記載されています。

過去の判例に基づいた基準となっているため、3つの算定基準の中でもっとも正当性の高い金額だと言えます。

弁護士基準は任意保険基準の2倍~3倍程度であることが多く、示談交渉では「加害者側から提示された任意保険基準の金額を、どこまで弁護士基準に近づけられるか」がポイントとなるでしょう。

慰謝料相場の3基準

弁護士基準による慰謝料額の獲得には、示談交渉で弁護士を立てることが必要です。
詳しくは『交通事故の慰謝料は弁護士基準で計算!慰謝料相場と増額成功のカギ』をご覧ください。

弁護士基準のポイント

  • 弁護士基準は弁護士や裁判所が用いる算定基準。
  • もっとも高額かつ正当性の高い慰謝料相場で、任意保険基準の2倍~3倍程度であることが多い。

3基準別|交通事故慰謝料の計算方法

自賠責保険会社、任意保険会社、弁護士は、それぞれ異なる計算方法で慰謝料を算定します。それぞれがどのように慰謝料額を決めているのか計算方法をみていきましょう。

自賠責基準の計算方法|日額に対象日数をかける

自賠責基準における入通院慰謝料の計算方法は、自動車損害賠償保障法によって定められています。

自賠責基準での計算方法

日額4300円×対象日数

  • 対象日数は、次のうち少ない方とする
    • 通院期間
    • 実通院日数の2倍
  • 2020年3月31日以前の事故については、日額4200円とする

たとえば、通院期間が3ヶ月で実通院日数が40日だった場合、通院期間は90日、実通院日数の2倍は80日です。
この場合、実通院日数の2倍である80日を4300円にかけることになります。

任意保険基準の計算方法|保険会社ごとに異なる

すでに解説しましたが、任意保険基準は各任意保険会社の自社基準となっており、一般公開されていません。

かつては統一された基準がありましたが、今は会社ごとの自由設定となっているのです。
とは言え、今でも旧統一基準を自社基準(任意保険基準)としている保険会社もあります。旧統一基準を掲載しますので、参考程度にご活用ください。

旧任意保険支払基準による入通院慰謝料
旧任意保険支払基準による入通院慰謝料

弁護士基準の計算方法|算定表から計算

弁護士基準では、計算式ではなく、算定表を使って慰謝料の金額を算定します。算定表は重傷用と軽傷用があり、原則重傷用の算定表を使います。
軽傷用の算定表は、むちうち・挫創・打撲など、ケガの程度が軽度の場合にのみ使ってください。

慰謝料算定表: 軽傷(弁護士基準)

軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表

慰謝料算定表: 重傷(弁護士基準)

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

算定表は、30日を1月として入院月と通院月を用います。

  • むちうちで入院なし・通院4ヶ月
    軽傷の算定表より入通院慰謝料は67万円
  • 骨折で入院1ヶ月・通院3ヶ月
    重傷の算定表より入通院慰謝料は115万円
    ※入院待機期間があれば別途入院期間に追加可能

むちうちで通院3ヶ月(90日)|慰謝料を計算してみよう

では、3ヶ月間通院した場合の入通院慰謝料を、むちうちのケースを例に実際に計算してみます。
計算方法を具体的にイメージするヒントにもなるので、上で解説した計算方法をより深く理解するのにも役立つでしょう。

自賠責基準で計算すると最大38万7000円

自賠責基準の場合、通院3ヶ月のうち実通院日数が44日までは、実通院日数に応じて慰謝料額が変わります。そして実通院日数が45日以上になると、そこから慰謝料額は変わりません。

実通院日数が10日、30日、44日、45日、60日の場合について、実際の計算例を紹介します。

実通院10日の場合

通院期間は90日、実通院日数の2倍は20日なので、20日を日額にかける。

20日×4300円=8万6000円

実通院30日の場合

通院期間は90日、実通院日数の2倍は60日なので、60日を日額にかける。

60日×4300円=25万8000円

実通院44日の場合

通院期間は90日、実通院日数の2倍は88日なので、88日を日額にかける。

88日×4300円=37万8400円

実通院45日の場合

通院期間は90日、実通院日数の2倍は90日なので、90日を日額にかける。

90日×4300円=38万7000円

実通院60日の場合

通院期間は90日、実通院日数の2倍は120日なので、90日を日額にかける。

90日×4300円=38万7000円

弁護士基準で計算すると53万円

弁護士基準の場合は、通院3ヶ月なら基本的には実通院期間関係なく、入通院慰謝料は53万円です。
むちうちの場合は2つある算定表のうち、軽傷用の表を用います。
また、ケガがむちうちのみの場合は入院しないことが多いので、基本的には下記表のうち、通院3月・入院0月が交わる53万円となるのです。

軽傷用の表(再掲)

軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表

なお、通院3ヶ月のうち入院した期間があれば、入通院慰謝料は変わります。
また、通院期間に対して実通院日数が少なすぎる場合などは、通院期間ではなく「実通院日数の3倍」を基準に慰謝料を算定することもあるので、心当たりのある場合は弁護士までお問い合わせください。

もっと詳しくむちうちの慰謝料計算を知りたい方、慰謝料の増額方法を知りたい方は、以下の関連記事をお役立てください。

もっと詳しい解説記事

後遺障害が残れば後遺障害慰謝料も請求できる

むちうちでは、しびれや痛みといった後遺症が残ることがあります。
後遺症が残って後遺障害等級が認定されれば、入通院慰謝料に加えて後遺障害慰謝料も請求できるようになります。

後遺障害慰謝料

後遺障害が残ったことで、将来にわたって感じ続ける肉体的・精神的苦痛に対する補償。

後遺障害慰謝料の金額を左右するのは、1級~14級まである後遺障害等級です。

むちうちによるしびれや痛みといった後遺症の場合、認定されうる等級は12級または14級で、後遺障害慰謝料は弁護士基準で後遺障害12級なら290万円後遺障害14級なら110万円となります。

むちうちの後遺障害等級と慰謝料

  • 後遺障害12級(局部に頑固な神経症状を残すもの)
    • 認定基準:後遺障害の残存が、各種検査結果など他覚的所見によって証明できる
    • 後遺障害慰謝料
      • 自賠責基準:94万円
        (2020年3月31日以前の交通事故であれば93万円)
      • 弁護士基準:290万円
  • 後遺障害14級(局部に神経症状を残すもの)
    • 認定基準:後遺障害の残存が、医学的に説明・推測できる
    • 後遺障害慰謝料
      • 自賠責基準:32万円
      • 弁護士基準:110万円

むちうちの後遺障害認定については、以下の記事を参考にしてみてください。

関連記事

むちうちで請求できる慰謝料以外の賠償金内訳

交通事故の慰謝料は、損害賠償金の中で被害者の肉体的・精神的苦痛に対して支払われる金銭です。
交通事故でむちうちになった場合は、慰謝料の他に次の損害賠償金を請求できます。

  • 治療関係費:治療費、入院雑費、通院交通費など。
  • 休業損害:交通事故のケガによって働けず、生じた減収に対する補償。専業主婦や一部の学生、一部の無職者でも請求できる。
  • 後遺障害逸失利益:後遺障害が労働能力に影響し、減少してしまう生涯収入に対する補償。後遺障害等級が認定されれば請求できる。
  • 物損の賠償金:交通事故で壊れた物の修理費・弁償代。

中でも休業損害や後遺障害逸失利益は示談交渉によって増額できる可能性があるので、慰謝料同様、提示された金額の正当性や増額の余地を確認する必要があります。

休業損害における増額の余地

たとえば休業損害の場合、自賠責基準では原則日額6100円(2020年3月31日までの事故なら日額5700円)とされていますが、弁護士基準では実際の収入を日割りした金額を日額とします。

また、実際には収入を得ていない専業主婦でも、弁護士基準なら賃金センサスをもとにした女性の全年齢平均賃金を日額として休業損害を計算できます。
令和2年の統計であれば、女性の全年齢平均賃金から算出される日額は約10000円であり、6100円よりも大幅に高額です。

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後遺障害逸失利益の増額の余地

後遺障害逸失利益は、事故前の収入や「労働能力喪失率」から金額を計算します。

労働能力喪失率とは後遺障害によってどれくらい労働能力が落ちたかを示す割合で、後遺障害等級ごとにおおよその目安が設定されています。

むちうちの場合、後遺障害12級13号については10年間にわたって14%、後遺障害14級9号については5年間にわたって5%の労働能力低下が目安です。

しかし、加害者側の任意保険会社は、もっと低い労働能力喪失率を用いて逸失利益を計算することで、金額を低く抑えていることがあります。
適切な労働能力喪失率が認められれば逸失利益が増額することも考えられるのです。

労働能力喪失率の計算方法については『逸失利益の計算』で解説していますが、以下の計算機からも計算できます。
年齢や事故前の収入を入力するだけなので、使ってみてください。

むちうちの慰謝料に関する疑問5選

つづいて、むちうちの慰謝料に関してよくある疑問にお答えしていきます。

(1)慰謝料はいつもらえるの?

慰謝料がもらえるのは、原則示談後です。
示談が成立したら約2週間が経過するころを目安に、被害者の口座に振り込まれます。

ただし、休業損害については実際の休業と並行して請求することも可能です。

また、「一刻も早く補償を受け取りたい」という場合は、加害者側の自賠責保険会社に対して仮渡金請求や被害者請求を行うことで、一部の補償を示談前に受けとれます。

  • 仮渡金請求:傷害の部位・程度に応じた一定額を先行請求
  • 被害者請求:自賠責保険会社における支払基準内の金額を請求

慰謝料がいつもらえるのか、もっと詳しく知りたい方は関連記事をお役立てください。

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(2)通院日数が少ないと慰謝料は減る?

自賠責基準で計算するなら慰謝料は減りますが、弁護士基準で請求するならば通院日数による慰謝料の変動はありません。ただし、通院頻度が低すぎると判断された時には減額されます。

自賠責基準の入通院慰謝料は、固定の慰謝料額を対象日数分だけ受けとります。
通院日数が少ないと、慰謝料も少なくなる仕組みになっています。

一方で、弁護士基準は通院日数にほとんど左右されません。
通院3ヶ月のうち40日通院しようと70日通院しようと、金額が変わらないのが原則です。

しかし、1ヶ月(30日)あたりの実通院日数が10日を下回る時には、通院頻度が低すぎるとして減額される可能性がありますので弁護士基準の算定であっても注意が必要です。

通院日数と慰謝料の関係についてもっと詳しく知りたい方は関連記事をお役立てください。

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(3)後遺障害等級認定は難しい?

むちうちの症状は目に見えない自覚症状のため、後遺障害等級認定を受けることは簡単ではありません。しかし、後遺障害12級13号または後遺障害14級9号認定の実例は多数あります。

後遺障害等級の認定を受けるためには、審査機関に「後遺障害等級に該当する後遺症が残っている」と判断されなければなりません。
審査機関は損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)です。

レントゲン写真やMRI画像などに明らかな異常が写れば良いのですが、むちうちの場合は画像に異常が写らないことも多いので、後遺症残存の証明には工夫が必要です。

むちうちで後遺障害等級が認定されるケースの特徴は、本記事内「むちうちで後遺障害認定される人には4つの特徴あり」で詳しく紹介しています。後遺障害等級認定の申請を検討している方は必見です。

(4)治療費の打ち切りは断れない?

まずは主治医に治療の進捗を確認してください。まだ治療が必要であると判断された場合には、医師の判断を加害者側の任意保険会社に伝えましょう。

交通事故の治療費は、治療と並行して加害者側の任意保険会社が、病院に直接支払ってくれることが多いです。

しかし、むちうちであれば3ヶ月程度治療したところで治療費の打ち切りを宣告されることがあります。
治療が長引くほど治療費や入通院慰謝料は高額になるので、加害者側の任意保険会社としては、なるべく早く治療を終えてほしいのです。

確かにむちうちの平均的な治療期間は3ヶ月といわれますが、実際の治療期間は受傷程度や部位によって個人差があります。

まだ通院中なのに治療費打ち切りで治療を終えてしまうと、次のようなデメリットが生じます。

  • むちうちが治るはずのところまで回復しない
  • 治療期間が短くなることで入通院慰謝料が少なくなる
  • 後遺症が残っても後遺障害等級が認定されず、後遺障害慰謝料・逸失利益がもらえない可能性が高まる

治療費打ち切りの打診を受けたら、主治医に今後の治療の必要性を確認し、治療費打ち切りの延長を求めてみましょう。
それでも治療費が打ち切られてしまったら、次の方法で最後まで治療を続けることが重要です。

治療費打ち切り後の3つの選択肢

  1. 自己負担で通院を続け、あとから負担した分の金額を加害者側に請求する
  2. 治療を終了し、後遺障害等級認定の申請手続きを行う
  3. 治療を終了し、示談交渉に応じる

自己負担で通院を続ける場合には、健康保険を利用するなどして、少しでも被害者側の負担を減らしてください。

交通事故の治療における健康保険の使い方、後遺障害等級認定の方法、示談交渉のポイントについては以下の関連記事で解説しています。

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(5)整骨院・接骨院は行っていい?

整形外科の医師に指示(許可)を得ること、加害者側の任意保険会社に事前連絡を入れることの2点を行ってから利用しましょう。

整骨院・接骨院に通うことは不可ではありません。
しかし、整骨院・接骨院でかかった費用をきちんと加害者側に支払ってもらうには、整骨院・接骨院での施術が症状の緩和に有効であると病院の医師からお墨付きをもらい、事前に相手方に伝えておくと安心です。

整形外科で行われるのは医療行為ですが、整骨院・接骨院で行われるのは施術行為、つまり医療行為ではありません。こうした違いから、整形外科の費用は治療費としてすんなり認められても、整骨院・接骨院の費用については認められづらい側面があるのです。

むちうちで後遺障害認定される人には4つの特徴あり

むちうちによって後遺症が残っても、後遺障害等級が認定されなければ後遺障害慰謝料・逸失利益はもらえません。
しかし、後遺障害等級は必ずしも認定されるものではなく、対策が不十分だと認定されないこともあります。

ここでは、むちうちで後遺障害等級が認定されるケースについて解説していきます。

(1)治療期間が6ヶ月以上であること

むちうちで後遺障害等級認定を受けるには、6ヶ月以上の治療期間が必要です。

後遺障害等級認定を受けるには、まず「症状固定」を迎えることがポイントですが、症状固定までに最低でも6ヶ月の治療期間がないと、後遺障害等級の認定は難しいと言わざるをえません。

症状固定

これ以上治療をしても症状の改善が見込めない状態に達したこと

通院3ヶ月で症状固定となり後遺障害認定の申請をしても、もっと治療を続ければ治るのではないか、3ヶ月程度の治療で終われるような後遺症は等級に認定されるほどのものではないのではないか、と審査機関に思われてしまいます。

3ヶ月経ってもしびれ・痛みなどむちうちの症状が残っている場合には、6ヶ月までは治療を継続してみてください。6ヶ月経っても治らない時に、後遺障害等級認定の申請を検討しましょう。

なお、症状固定の判断は主治医の意見が尊重されます。
また後遺障害等級認定の申請では「後遺障害診断書」の作成など、主治医の協力が不可欠です。日ごろから主治医とコミュニケーションをしっかりとっておきましょう。

(2)症状が他覚的に表れていること

むちうちの後遺症は痛みやしびれといった神経症状が多く、周囲からは後遺症の有無や程度に関する理解を得づらい側面があります。

しかし、後遺障害等級の認定審査は外貌醜状など特定の後遺症を除き、原則として審査機関に提出する書面でのみ行われます。
よって、画像検査や神経学的検査の結果を以て、他覚的に後遺症の残存・程度を証明しなければなりません。

  • 画像検査
    レントゲン写真やMRI画像、CT画像などから異常を確認する検査。
  • 神経学的検査
    患部やその周辺に刺激を与え、痛みなどがあるかを確認する検査で、具体的には以下のものがある。
    • スパーリンクテスト:神経根の傷害の有無を確認する
    • 深部腱反射テスト:脊髄や神経に異常がないか確かめる
    • 筋委縮検査:両腕・両足の周径を測り、脊髄・神経根の圧迫による痩せの有無を確かめる
    • 知覚検査:皮膚の感覚に異常がないか、専門の器具を用いて確かめる

むちうちの場合、画像検査と神経学的検査の結果から異常が認められれば12級、神経学的検査の結果からのみ異常が認められれば14級に認定されるでしょう。

画像検査でも神経学的検査でも異常が認められなかった場合は、非該当となってしまいます。

後遺障害等級認定のポイント

後遺障害画像検査*神経学的検査
12級13号
14級9号×
非該当××

*CTやMRIなど

画像検査や神経学的検査は、基本的には医師の判断で行います。
ただし、医学的観点から必要な検査と、後遺障害認定の観点から必要な検査とは違う可能性があります。

必要な検査を全て受けられているかどうかは、医師だけでなく弁護士にも相談すると良いでしょう。
交通事故問題を扱う弁護士は、後遺障害認定のサポートをしていることが多いです。

(3)事故直後から継続して一貫した症状があること

事故後しばらく経ってから症状が出ていたり、途中で症状が変化していたり、天気によって症状の程度がばらついたりしていると、後遺障害等級が認定されない可能性があります。

交通事故との因果関係がはっきりしない、後遺障害等級に該当するほどの症状とは言えないなどと判断されてしまうからです。

むちうちの症状としては以下のものがありますが、症状は時間が経つほど重くなってくることもあります。
事故直後は病院に行く必要がない程度だと感じたとしても、念のため一度受診しておきましょう。

むちうち症状の例

  • 頭痛
  • めまい
  • 吐き気
  • 肩こり
  • しびれ
  • 痛み
  • 視力低下

なお、症状の継続性・一貫性は、主に医師が作成する後遺障害診断書から判断されます。

医師に後遺障害診断書を書いてもらったら、症状が途中で変化したり、天気などによって程度が左右されたりするといった記載がないかどうか、確認してみてください。

後遺障害診断書は後遺障害等級認定の結果に大きく影響する重要な書類です。
詳しい記載内容やポイントは、以下の関連記事から確認してみてください。

あわせて読みたい

後遺障害診断書の書き方は?等級認定される記入例と医師に作成を頼む時

(4)労働能力に影響を与えていること

後遺障害とは、その症状によって働く能力が下がっているものをさします。
つまり、後遺障害等級に認定されるためには、その後遺症によって労働に何らかの影響が出ていることを主張するべきです。

具体的な状況としては、収入が下がった、昇格・昇給の機会を奪われた、就ける職種の制限を受けている、転職を余儀なくされた、などがあげられます。

また、実際には収入が下がっていないくても、次のような場合であれば後遺障害等級が認められる可能性があります。

  • 被害者自身の努力で減収を免れた場合
  • 職場の支援により減収が生じていない場合

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過失割合で慰謝料額が変わることもある

ここまで、3ヶ月通院した場合の慰謝料やむちうちの慰謝料について解説してきましたが、もう一つ「過失割合」も忘れてはなりません。
過失割合によって慰謝料額が変わってしまうこともある大切なポイントなので、しっかり確認していきましょう。

過失割合次第では通院3ヶ月以下の慰謝料になる

過失割合とは、交通事故が発生した責任が加害者側と被害者側それぞれにどれくらいあるかを割合で示したものです。10:0(100:0)や7:3(70:30)などの割合で表現されます。

被害者側にも過失割合が付くと「過失相殺」というものが適用され、過失割合分、慰謝料や損害賠償金が減らされてしまいます。

これまで通院3ヶ月の慰謝料について解説してきましたが、過失割合が付いてしまうと、慰謝料はそれ以下の金額になってしまうのです。

過失割合も慰謝料額同様、示談交渉の中で決められます。
ただし、加害者側の任意保険会社は過失相殺による減額を大きくするため、あえて被害者側の過失割合を多めに見積もっていることがあります。

提示された過失割合を鵜呑みにするのではなく、被害者自身でも正しい過失割合を確認することが重要です。

過失割合の算定方法と算定時に重要なもの

交通事故の過失割合は、具体的には次のような流れで決められます。

過失割合決定フロー

  1. 似ている事故類型の「基本の過失割合」を確認する
  2. 細かい事故状況を過失割合に反映させる「修正要素」をチェックする
  3. 修正要素に応じて基本の過失割合を増減させ、調整する

過失割合は、事故類型ごとに「基本の過失割合」が決められています。
基本の過失割合は過去の判例をもとにしており、「判例タイムズ|38 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」という書籍などで確認が可能です。

また、過失割合には「飛び出した側に+〇%」「速度違反した側に+〇%」といった修正要素があります。
それらもくまなくチェックして、適切に基本の過失割合に反映させていきましょう。

なお、すでに解説したように、加害者側の任意保険会社が提示してくる過失割合は正しくない可能性があります。
参考にした事故類型は正しいか、適切な修正要素が反映されているかなどしっかり確認し、間違いがあれば正しい過失割合を主張することが必要です。

過失割合算定時に重要な書類・記録

過失割合は、事故発生時の状況をもとに算定していきます。
よって、正しい過失割合を算定・主張する際には、事故当時の状況を示す書類・記録が必要です。

具体的には次のような証拠が有効です。

  • 警察が作成する実況見分調書
  • 目撃者の証言
  • ドライブレコーダーの記録
  • 現場付近の防犯カメラの記録

実況見分調書は警察が現場検証を行い、当事者から事故の原因・経緯などを聴き取って作成するものです。

加害者側の任意保険会社は実況見分調書を確認せず、加害者の証言のみから過失割合を算定していることもあるので、実況見分調書も改めて確認してみると加害者側の見落とし・認識違いが見つかる可能性があります。

過失割合で加害者側ともめやすいポイントについては、『交通事故の過失割合でもめる3パターン&対処法を紹介』で解説しているので参考にしてみてください。

むちうちで多い追突事故の過失割合

被害者がむちうちになる交通事故で多いのが、追突事故です。
追突時に首や腰に強い衝撃が加わり、鞭打つようにしなることでむちうちが発生します。
そこでここでは、追突事故の過失割合・過失相殺を例に挙げてみましょう。

追突事故状況図

適切に駐停車している自動車Bに対して、後方から直進する自動車Aが追突した事故の場合、基本の過失割合は100:0となり、自動車Bは一切の過失がありません。

では、走行車Aと停止車Bそれぞれに生じた損害額が以下の場合を仮定して、過失相殺の計算をしてみましょう。

  • 走行車A:人身部分・物損部分合わせて100万円の損害
  • 停止車B:人身部分・物損部分合わせて250万円の損害

まず、走行車Aには100万円の損害が生じていますが、過失割合が100%なので、相手に請求できる金額は100万円の100%減、つまり0円です。
よって、停止車Bは走行車Aに対して損害賠償義務はありません。

一方、停止車Bに生じた損害額は250万円であり、過失割合は0%です。よって、停止車Bが相手に請求できる金額は250万円の0%減、つまり250万円となります。
これにより走行車Aは、停止車Bに250万円全額を支払わなくてはいけません。

追突事故でも被害者側に過失割合が付くことはある

もらい事故の場合は被害者に過失がないケースが多いという特徴があります。

しかし、追突事故であれば、被害車両が駐車禁止場所に停車していた場合や、被害車両の急停止によって追突事故が起きた場合などは、被害者側にも過失割合が付いてしまいます。

よって、もらい事故であっても油断はできません。
追突事故やもらい事故の慰謝料・示談金については以下の関連記事でも解説しているので、ご覧ください。

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適正な慰謝料請求は弁護士にご相談ください

ここまで通院3ヶ月の慰謝料やむちうちの後遺障害認定、過失割合について解説してきましたが、共通して言えるのは「一度弁護士に相談した方が良い」ということです。

弁護士に相談すべき理由と、弁護士費用の負担を大幅に減らせる方法について解説していきます。

十分な慰謝料増額には弁護士の介入が必要

すでに解説した通り、加害者側の任意保険会社が提示してくる慰謝料額は、自賠責基準に近い金額であり低額です。
また、過失割合も被害者にとって不利なものを提示してくる傾向にあります。

ただし、被害者自身で正しい慰謝料額・過失割合を主張しても十分に聞き入れられることはほぼありません。
保険会社側は会社や担当者個人の業績をかけて交渉してきますし、仕事として示談交渉に臨んでいるため知識も経験も豊富です。被害者側の主張を退けることには非常に慣れています。

しかし、被害者側に弁護士が付いたならば話は別です。
被害者側が弁護士を立てると、加害者側の任意保険会社は、「このままだと裁判になり、時間も労力もかかった挙句、被害者側の主張を受け入れることになる」と考えて、裁判せずとも弁護士基準での算定を受け入れてくれる可能性が高まるのです。

弁護士による増額交渉

後遺障害認定についても、弁護士がついていれば安心です。
交通事故事案を扱う弁護士は後遺障害認定のサポートもしているので、過去の認定事例や専門的な知識をもとに、的確なアドバイス・サポートができます。

あなたの保険会社が弁護士費用を支払ってくれるかも

「慰謝料を増額できても、弁護士費用が高くついたら意味がない…」
このように思っている方もいらっしゃいますが、それは誤解です。

アトム法律事務所の場合、以下のいずれかの方法によって、弁護士費用の負担を大幅に減らせます。

  • 弁護士費用特約を利用してアトム法律事務所に相談・依頼する
    弁護士費用特約は自動車保険などに付帯している特約。弁護士費用を保険会社に負担してもらえる。
  • 弁護士費用特約の付帯がない場合は、基本的に相談料・着手金無料
    示談金獲得前に支払う費用がなくなるので、すぐに大きなお金を用意できなくても安心。

なお、法律相談時には、どれくらいの示談金獲得が見込めるのか、どれくらい弁護士費用が生じるのかを試算できます。

もしこの時点で弁護士費用が獲得示談金を上回ってしまう可能性があれば、その旨をお伝えするので不安な方でもまずはお問い合わせください。

いま繋がる!ご相談の予約はこちらから

アトム法律事務所のご相談予約窓口は24時間・365日つながります。
示談前の段階が弁護士依頼の最後のタイミングです。示談をする前に少し立ち止まってみませんか。

  • 交通事故の解決実績が豊富
    増額事例多数スピード解決を目指します
  • 加害者との書類等のやり取りが煩雑だ
    弁護士がそのご負担を軽減します
  • 電話は少し緊張する
    LINEやメール相談もご好評です
  • 通院3ヶ月の軽傷でも相談していいの?
    軽傷~死亡事故まで幅広く対応しています

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まとめ

最後に、この記事の中で解説してきたことをまとめます。

  • 通院3ヶ月の慰謝料相場は、重傷時で73万円軽傷時で53万円
  • 通院3ヶ月では後遺障害等級認定を受けることが難しい
  • 弁護士に依頼して慰謝料、休業損害など示談金のトータルを増額

通院3ヶ月のケガは基本的には軽傷とされるので、弁護士はいらないと思われがちです。
しかし、軽傷であっても示談交渉や後遺障害認定がうまくいかなければ、本来もらえるはずの慰謝料額がもらえず、損してしまいます。

アトム法律事務所では無料相談のみのご利用も可能なので、妥当な慰謝料額を知りたいだけ・後遺障害等級に認定される見込みがあるか知りたいだけといった方も、お気軽にご連絡ください。

代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点