追突事故の過失割合は本当に10:0?急ブレーキの過失や判例も紹介

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追突事故の過失割合

追突事故の過失割合は10:0が基本であり、後ろから追突された側は過失がつかないのが原則です。

ただし、急ブレーキなどの事情によっては被害者側にも過失がつき、10:0にならない場合があります。

この記事では、追突事故でも10:0になるケース/ならないケースに分けて、修正後の過失割合の目安や判例、納得できないときの対処法を解説します。

本記事で紹介する過失割合は「別冊判例タイムズ38」(東京地裁民事交通訴訟研究会編)に記載されている情報をベースにしています。

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追突事故の過失割合とは?基本の考え方

追突事故の過失割合は、事故の状況をもとに当事者それぞれの責任の度合いを整理して判断されます。
その際、走行状況や停車の方法、事故直前の行動など、個別の事情が重視されます。

まずは、追突事故における過失割合の基本的なルールを確認していきましょう。

過失割合の定義と原則

追突事故では、原則として追突した側に100%、追突された側に0%(10:0)の過失割合が認められます。

追突された側が後方からの衝突を予測して回避することが難しい一方で、後方車両には、前方車両との十分な車間距離を保ち、前方の動きを注視する義務があります。

この考え方は、道路交通法第26条(車間距離保持義務)にも定められており、前の車が急に停止した場合でも追突を避けられる距離を保つことが求められています。

そのため、信号待ちや渋滞中の停車、通常走行中に後方から追突された場合には、追突された側に過失が認められず、10:0となるのが基本的な考え方です。

過失割合が賠償金額に与える影響

追突事故であっても、例えば前方車両が急ブレーキを踏んだことで事故が起きて被害者側に過失割合がついた場合、その割合分、受け取れる損害賠償金が減額されます。
これを過失相殺といいます。

たとえば損害賠償金が本来200万円でも、急ブレーキにより被害者側に3割の過失割合がつけば、受け取れる金額は140万円になってしまうのです。

過失割合は、被害者側に支払われる損害賠償金の金額に直結するため、事故後の示談交渉において重要な争点となります。

特に「被害者が急ブレーキを踏んだ」という事情がある場合には、その行為が過失として評価されるかどうかが問題となり、過失割合が争われることがあります。

追突事故で過失割合が10対0になる5つのケース

追突事故では、急ブレーキなどの特別な事情がない限り、基本的に追突した側に100%の過失が認められます。
以下では、実務上も過失割合が10:0と判断されやすい代表的なケースを紹介します。

(1)信号待ち・停車中の追突

赤信号で停止していた場合や、渋滞などでやむを得ず停車していた場合に後方から追突されたときは、追突された側に過失は認められず、10:0となるのが基本です。

適法に停車している以上、前方車両が後方からの追突を予測して回避することは難しく、事故を防ぐ注意義務は後方車両にあると考えられています。
そのため、理由を問わず停車中に追突されたケースでは、追突車側の過失が100%と判断されやすくなります。

(2)通常走行中の追突

通常の速度で走行している最中に後方から追突された場合も、過失割合が10:0となる可能性があります。
「動いている車同士の追突事故では10:0にならない」と言われることがありますが、これは誤解です。

たとえば、次のような状況で追突された場合には、追突された側に過失は認められないのが基本です。

  • 制限速度内で通常どおり走行していた場合
  • 渋滞で低速走行していたところ、後方から追突された場合

追突事故では、後方車両に前方不注視や車間距離不保持といった過失が問われるため、走行中であっても原則として過失割合は10:0と判断されます。

ただし、急な進路変更や不必要な急ブレーキがあった場合には、過失が修正されることがあります。

(3)適法な場所での駐停車中の追突

道路の左端や駐車場など、適法な場所で適切な方法により駐停車していた場合に追突されたときも、過失割合は10:0となるのが基本です。

たとえば、次のような状況で停車していた場合には、追突された側に過失は認められにくいと考えられます。

  • 道路の左端に寄せて停車していた場合
  • 駐車場内で区画どおりに駐車・停車していた場合
  • ハザードランプを点灯するなど、停車中であることを周囲に示していた場合

このような場合には、追突された側に落ち度はなく、事故を防ぐ責任は後方車両にあると判断されやすくなります。

(4)正当な理由がある減速・停止

安全確保のためにやむを得ず行った減速や停止で追突された場合には、追突された側に過失は認められません。

たとえば、次のような理由による減速や停止は、安全確保のために必要な行為と判断されます。

  • 横断歩行者や自転車を避けるために減速・停止した場合
  • 落下物や故障車などの障害物を回避するために減速した場合

このような行為は、不必要な急ブレーキとは区別されます。
そのため、正当な理由がある減速や停止であれば、追突事故の過失割合は10:0となるのが基本です。

(5)後退中の車両への追突

後退している車両に、後方から進行してきた車が追突した場合には、基本的に後ろから進行してきた側に過失が認められます。

追突事故では原則として、「後ろに位置する車両が、前方の動きを確認して接触を避けるべき立場」にあると考えられているためです。

たとえば、駐車場や私道などで前の車がバックしていることに気づかず、そのまま進行して追突した場合には、後ろから進行してきた側の前方不注意が問題となります。

後退している車両にも周囲を確認する義務はありますが、特段の事情がない限り、過失割合は追突した側100%、後退していた側0%(10:0)と判断されるケースが多くなります。

追突事故でも10対0にならない5つのケース

追突事故では、原則として追突した側に100%の過失があるとされ、過失割合は10:0になるのが基本です。
しかし、事故の状況や当事者の行動によっては、本来10:0となるはずの追突事故でも、追突された側に過失がつくことがあります。

追突事故でも10:0にならない代表的なケースは次の通りです。

  • 不必要な急ブレーキをかけた場合
  • 追い越そうとする車両を妨害した場合
  • ブレーキランプや灯火類に不具合があった場合
  • 駐車の場所や方法が不適切だった場合
  • 高速道路で停車・急減速した場合

なお、上記のようなケース以外でも、追突された側が酒気帯び運転や無免許運転をしていた場合など、事故状況とは別の事情によって過失が修正されることもあります。

ここからは、上記の代表的なケースについて、過失割合の考え方や判断のポイントを詳しく解説します。

(1)不必要な急ブレーキ

追突された側が不必要な急ブレーキをかけたことが原因で事故が発生した場合、被害者側にも20~30%の過失が認められることがあります。

過失割合
追突された側20~30%

追突された側の不必要な急ブレーキで発生した追突事故の過失割合は「追突車:被追突車=7:3前後」が目安となることが一般的です。

たとえば、次のような理由による急ブレーキは、不必要と評価されやすく、追突された側にも過失がつく可能性があります。

過失がつきやすい急ブレーキ

  • 信号の見間違いによる急ブレーキ
  • 道を間違えたことによる急ブレーキ
  • 小動物の飛び出しによる急ブレーキ

不必要な急ブレーキで被害者側にも過失がつくのは、後続車がそのような急停止を予測し、追突を回避することは難しいと考えられているためです。
また、道路交通法第24条では、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、急ブレーキをかけること自体が禁止されています。

第二十四条 車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。

道路交通法第24条

さらに、後続車からあおり運転を受けていたことを理由に急ブレーキをかけ、追突事故が起きた場合でも、追突された側に過失が付く可能性があります。
あおり運転への対処として、急ブレーキが危険を回避するためにやむを得ないとまではいえないことが多いためです。

ただし、急ブレーキがやむを得ない状況だった場合は被害者側に過失がつかなかったり、ついても3割以下になったりします。

動物の飛び出しによる急ブレーキは、大型動物か小動物かがカギ

動物の飛び出しによって急ブレーキを踏み、追突事故が生じた場合、追突された側に過失がつくかどうかは、飛び出してきた動物が大型か小型かによって判断が分かれる傾向があります。

イノシシや鹿などの大型動物が飛び出してきた場合には、衝突を避けなければ重大な被害につながるおそれがあるため、急ブレーキがやむを得ないと評価され、被害者側に過失が認められないことが多いです。

一方で、猫や鳥などの小動物の場合には、大型動物ほど回避の必要性が高いとはいえないと判断されることがあります。
そのため、「急ブレーキをかける必要性が低かった」として、追突された側にも過失割合が加算される可能性があります。

(2)追い越そうとする車両を妨害した追突事故

追い越そうとする車両を妨害したことが原因で追突事故が発生した場合、追突された側にも10~40%の過失が認められることがあります。

過失割合
追突された側10~40%

追い越そうとする車両に気づいていながら速度を落とさなかったり、追い越されまいとしてあえて加速したりした場合は、追い越し妨害と判断されることがあります。

このような状況では、追突された側であっても「事故のきっかけを作った」と評価され、過失が加算される可能性があります。

(3)ブレーキランプ・灯火類の不具合

ブレーキランプやテールランプなどの灯火類に不具合があり、後続車に減速や停止が十分に伝わらなかった場合、追突された側にも10~20%の過失が認められることがあります。

過失割合
追突された側10~20%

灯火類の整備不良によって、後続車が前方車の動きを把握しにくくなり、事故の危険性を高めたと評価されるためです。
なお、夜間に無灯火・灯火不十分だったケースでは、後続車からの視認性が下がる分、追突された側の過失がより重く見られることもあります。

(4)駐車の場所・方法が不適切

駐車の場所や方法が不適切だった場合、追突された側にも10~20%の過失が認められることがあります。

過失割合
追突された側10~20%

たとえば、駐車禁止場所やトンネル、交差点付近、道路の曲がり角、横断歩道・踏切の近くなど、危険性の高い場所で駐車していたケースが典型です。

また、車道を塞ぐ形で停車していた場合や、交通量の多い場所での不適切な駐車方法も、同様に不利に評価される可能性があります。

以下の記事は路上駐車との事故に関する解説記事ですが、路上駐車側に過失がつく可能性も解説していますので参考にしてください。

路上駐車の関連記事

路上駐車との事故で過失割合はどうなる?駐車違反や視認不良など駐車側にも責任あり?

(5)高速道路での追突事故

高速道路で起きた追突事故では、事故状況によって追突された側にも40~60%の過失が認められることがあります。

過失割合
追突された側40~60%

高速道路は一般道より走行速度が高く、渋滞時の低速走行や車線変更直後でも追突事故につながりやすい環境です。

そのため、高速道路で起きた追突事故では、停車位置や走行状況によっては追突された側にも過失が認められやすく、過失割合が争点になりやすい傾向があります。

特に急ブレーキや急な減速が関係している場合は、追突された側にも過失がつきやすく、「追突車:被追突車=5:5」前後が目安になることもあります。

また、追い越し車線での急減速・停止など危険性が高い状況では、追突された側の過失がより大きく評価される可能性もあるため注意が必要です。

【判例4選】実際に起きた追突事故の過失割合は?

続いては、追突事故の過失割合に関する、実際の判例を4つ紹介します。

  • 急ブレーキによる後方車両との追突事故の裁判例
  • 急ブレーキの有無が争われた裁判例
  • 追越し禁止道路での裁判例
  • 渋滞中の進入車両との追突事故の裁判例

(1)急ブレーキによる後方車両との追突事故の裁判例

急ブレーキによる後方車両との追突事故の裁判例

大阪地判平26・3・28(平成25年(ワ)6665号、9192号)

会社員運転手の男性(47歳)が大阪府内の幹線道路で第2車線から第1車線に車線変更後、猫らしき小動物を避けるため相当強いブレーキで停止したところ、後続のトラック(69歳男性運転)に追突された。男性は頚部・腰部捻挫で6か月通院し、既往の後遺障害と同様の左手しびれや頚部痛が再発。過失割合と後遺障害の程度が争点となった。


裁判所の判断

「…相当程度に強いブレーキ操作で停止した点で過失があるといえる」

大阪地判平26・3・28(平成25年(ワ)6665号、9192号)
  • 過失割合は原告15%、被告85%と認定
  • 自賠責14級認定は否定したが、一定の後遺症状は認定
  • 労働能力喪失率3%、喪失期間2年で逸失利益約21万円算定
  • 慰謝料120万円(通院・後遺障害分合計)を認定
過失割合

追突した側85:追突された側15

裁判所は、被告側に車間距離不十分、ブレーキ操作の遅れといった過失があることを認めました。

その一方で、原告車両が幹線道路上で車線変更をした後、後続車がクラクションを鳴らして接近追従している状況であったことから、むやみに停止することは危険で避けるべきであり、相当程度に強いブレーキ操作で停止したことは、原告側にも過失があると判断したのです。

原告側は、小動物が出てきたことを強いブレーキ操作の理由と述べていましたが、裁判所は、小動物が出てきた証拠はなく、またそうであっても緩やかなブレーキ操作が困難であったとは認められないとしました。

(2)急ブレーキの有無が争われた裁判例

急ブレーキの有無が争われた裁判例

東京地判令和2・1・10(平成31年(ワ)2356号)

信号機のある交差点で、右折のためウインカーを出して停止線で停止していた原告車に、時速約20kmで走行していた被告車が追突した事故。被告らは「原告が対面信号が黄色に変わった段階でいきなり急ブレーキをかけたため避けられずに追突した」として原告にも3割の過失があると主張したが、原告は「交差点約50m手前で信号が青から黄色に変わったのを認識し、そのまま減速して赤信号で停止線に停止した」と反論。交通事故における過失割合の認定が争点となった。


裁判所の判断

「…原告が停止線で原告車を停止させるためにブレーキをかけたことが,理由のない急ブレーキであったと認めることはできない」

東京地判令和2・1・10(平成31年(ワ)2356号)
  • 原告の過失は認められず、過失割合は被告100%
  • 頚椎捻挫により5か月半の治療期間を事故との相当因果関係として認定
  • 休業損害45万円(家事労働者として段階的減額適用)、通院慰謝料84万円を認定
過失割合

追突した側100:追突された側0

被告側の主張は、原告が交差点の対面信号が青色から黄色に変わった段階でいきなり急ブレーキをかけたことで、避けられずに追突したことから、過失割合は70:30以上であると主張しました。

裁判所は、対面信号の黄色表示の時間、それぞれの車両の車間距離、ブレーキ位置などから原告車両の停止は適切で、急ブレーキには当たらないと判断

そのため、被追突側に過失はなく100:0の交通事故であるという裁判結果となりました。

(3)追越し禁止道路での裁判例

追越し禁止道路での裁判例

大阪地判平31・2・13(平成29年(ワ)7163号、11647号)

片側一車線の国道で、時速50kmで走行する先行車を「陰険なノロノロ運転」と感じた後続車運転者が、追越し禁止規制を無視して対向車線に出て追い越しを敢行。その後、車線に戻る際に適切な車間距離を保てずに接触事故が発生。警察は当初「追突事故」と分類したが、損傷状況から車線変更時の接触と判明した事案。


裁判所の判断

「…本件事故についての過失割合は,第2事件被告(原告ら)側が10割,第1事件被告側が0割であるとするのが相当である。」

大阪地判平31・2・13(平成29年(ワ)7163号、11647号)
  • 追越し禁止違反の後続車運転者の過失割合10割と認定
  • 先行車運転者の過失割合0割(制限速度より10km遅い走行は過失にあたらず)
  • 後続車側の車両損害約55万円の請求は棄却
  • 先行車側に約55万円の損害賠償を命令
過失割合

追突した側100:追突された側0

裁判所は、先行する車両の速度にいらだちを感じた後方原告車両側が、追越し禁止規制を無視して対向車線に進入し、車間距離を保てないまま減速して元の車線に戻った際に起こったもので、純粋な追突事故ではなく、衝突事故を引き起こしたものと判断しました。

先行車両の速度は制限速度より10kmほど遅い50kmに過ぎず、後方車両へ繰り返しあおり行為を行っていたとも認められないと指摘したのです。そのため、追い越された車両に過失はなく、100:0の事故であると判断しました。

(4)渋滞中の進入車両との追突事故の裁判例

渋滞中の進入車両との追突事故の裁判例

東京地判令3・11・26(令和2年(ワ)17570号)

焼肉店経営者(原告)が渋滞中の国道で左側道から合流し、大型特殊車両(クレーン車)と先行車の間に入って停車。先行車に続いて発進した際、被告車のクレーン部分が原告車の右テールランプ付近に衝突した。原告は頚椎捻挫・腰椎捻挫で通院し、一時的な時短営業を余儀なくされたとして損害賠償を請求。


裁判所の判断

「…被告は,前方を注視して車両の有無を確認すべきであるのにこれを怠った過失が認められ,被告の過失は原告の過失より大きいというべき」

東京地判令3・11・26(令和2年(ワ)17570号)
  • 過失割合は原告30%、被告70%と認定。
  • 症状固定日を事故から約3か月後の令和元年11月末日と判断。
  • 休業損害は実質的影響が認められないとして否定。
  • 最終認容額は56万5241円(請求額431万2679円から大幅減額)。
過失割合

追突した側70:追突された側30

被告側の車両は国道が渋滞していたため先行車に続いて停止後、発信しました。そこで、先行車とのあいだに原告乗用車がいることに気付き、急ブレーキをかけたものの間に合いませんでした。

裁判所は被告側が前方注視義務を怠ったことを重く見る一方で、車1台分の間隔にとどまっていた車間に進入を試み、その進入も完了していなかったことから、公平性の観点で原告側にも一定の過失があると判断しました。

玉突き事故の過失割合の考え方

玉突き事故(多重衝突事故)では、追突事故のように「追突した側が一方的に不利」とは限らず、最初にぶつかった車両や、押し出された流れによって過失割合が変わります。
代表的な過失割合の目安は以下の通りです。

  • 3台のうち一番後ろが最初に追突した場合
    • A車(先頭車):B車(真ん中の車):C車(最後車)=0:0:100
玉突き事故の過失割合1
  • 3台の真ん中が最初に追突した場合
    • A車:B車=0:100
    • B車:C車=0:100
玉突き事故の過失割合4

ただし、前方車の急ブレーキなどが事故のきっかけになっている場合は、状況により過失割合が修正されることもあります。

玉突き事故の過失割合をパターン別に詳しく知りたい方は、関連記事『玉突き事故の過失割合は?誰の保険で賠償する?真ん中に過失がつくケースも解説』もあわせてご覧ください。

追突事故の過失割合が決まる3つの流れ

追突事故の過失割合は、事故直後にその場で確定するものではありません。
特に追突事故は「基本は10:0」と言われる一方で、急ブレーキの有無や停車状況などが争点になると、過失割合が修正されることもあります。

そのため、追突事故の過失割合は次の流れで整理・確定していくのが一般的です。

(1)急ブレーキや停車状況の整理

追突事故の過失割合を検討する際は、まず「追突に至った状況」を客観的に整理し、事故状況を明確にすることが重要です。
追突事故で特に確認されやすいポイントは、次の通りです。

  • 追突された側が急ブレーキをかけたか
  • 渋滞中の低速走行だったのか、信号待ちの停車だったのか
  • 駐停車の方法や場所が適切だったか
  • ブレーキランプや灯火類に不具合がなかったか

このような事故状況を裏付ける資料としては、ドライブレコーダー映像のほか、現場写真や車両の損傷状況が重要になります。
また、警察が行う実況見分は「過失割合を決めるため」ではなく、事故状況を明確にするための調書(実況見分調書)を作成する手続きであり、過失割合の判断材料として参照されることがあります。

実況見分の流れや注意点については、関連記事『実況見分とは?交通事故での流れや注意点!呼び出し対応や過失割合への影響』も参考にしてください。

(2)保険会社が過失割合を提示する

事故状況が整理されると、次に保険会社が過去の基準や裁判例などを参考にしながら過失割合を提示します。
ただし、この段階で示される割合は、あくまで「保険会社としての見解」であり、確定ではありません。

追突事故では特に、「急ブレーキが不必要だったか」「停車の仕方に落ち度があったか」といった評価が分かれやすく、提示された過失割合に納得できないケースもあります。

そのため、提示内容をそのまま受け入れる前に根拠を確認することが大切です。

(3)当事者が合意して示談で確定する

最終的には、当事者双方が過失割合や賠償額に合意し、示談が成立すると過失割合が確定します。
示談は口頭でも成立し得ますが、実務上は示談書を作成し、内容を確定させるケースが一般的です。

一度示談が成立すると、原則として後からやり直すことは簡単ではありません。
そのため、提示された過失割合に納得できない場合は、示談書にサインする前に、証拠の整理や弁護士への相談を検討することが重要です。

示談の流れや注意点は、関連記事『交通事故の示談とは?示談交渉の流れや示談をうまく進めるための注意点』で詳しく解説しています。

過失割合に納得できない場合の3つの対処法

追突事故の過失割合は、状況次第で10:0になったり、急ブレーキなどの事情で修正されたりします。
しかし、保険会社から提示された過失割合に納得できない場合もあるでしょう。

過失割合は賠償金額に直結するため、違和感があるときはそのまま受け入れず、次の方法で対応を検討してみてください。

対処法1:証拠を集めて保険会社に再交渉する

過失割合は「印象」ではなく、事故状況に沿って判断されます。
そのため、納得できない場合は客観的な証拠をそろえたうえで再交渉することが有効です。

たとえば、次のような資料が重要になります。

  • ドライブレコーダー映像
  • 事故現場や車両の写真
  • 実況見分調書(供述調書)
  • 事故直後のやりとりの記録(メモ・音声など)

特に、追突事故で「急ブレーキをかけたかどうか」「停車の方法が適切だったか」が争点になるケースでは、映像の有無で結論が変わることもあります。

提示された過失割合に違和感があるなら、まずは証拠を整理して「どこが食い違っているのか」を明確にしておきましょう。

対処法2:ADR・訴訟を検討する

保険会社との交渉がまとまらず、過失割合に納得できない場合は、交通事故紛争処理センター(ADR)の利用も検討できます。

ADRとは中立的な立場の機関を通じて解決を目指す手続きで、裁判と違って比較的簡易・迅速に進む可能性があります。

なお、ADRでも解決できない場合は、最終的に訴訟で争う選択肢もあります。
訴訟は結論を強制的に出せる一方で、時間や費用、精神面での負担が大きくなりやすい点に注意が必要です。

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対処法3:弁護士に相談・依頼する

追突事故の過失割合や示談金に納得できない場合は、弁護士に相談・依頼することも有効な選択肢です。

追突事故は過失割合が10:0となるケースもありますが、示談交渉がスムーズに進むとは限りません。

  • 加害者側が過失相殺で示談金を減額できない分、支払額を抑えるために厳しい姿勢で交渉してくることがある
  • 10:0事故(もらい事故)の場合、任意保険会社に示談交渉を任せられず、被害者自身が相手保険会社と直接やり取りする必要が出てくることがある

こうした負担を減らすためにも、早い段階で弁護士への相談を検討するのが安心です。
費用面が気になる場合でも、弁護士費用特約を使えば自己負担なく依頼できることもあります。

弁護士費用特約とは

また、損害賠償金の算定基準には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準(裁判基準)の3つがあり、用いる基準によって受け取れる金額が変わることがあります。
そのため、相手保険会社の提示額が「満額」に見えても、結果として適正額より少ないケースもあります。

慰謝料や逸失利益の相場を知りたい場合は、ツール「慰謝料計算機」を使えば、弁護士基準での目安を簡単に確認できます。

個人情報の入力が不要で、計算機を使っただけで連絡が入ることもないため、まずは相場感をつかむ目的で気軽に利用できます。

追突事故の過失割合は弁護士に法律相談をしよう

「追突事故で過失割合10:0のはずなのに、加害者側に過失があると言われた」「加害者側の提示する示談金額が適正かわからない」という場合は、弁護士への相談が重要です。

追突事故の示談交渉は判断が難しく、弁護士に依頼すれば示談金の増額や過失割合の交渉まで任せられます。

アトム法律事務所では、追突事故にあってケガをされた方を対象に、無料の電話・LINE相談を受け付けています。
相談のみのご利用も可能ですので、相手保険会社とのやり取りに不安がある方は、お早めにご相談ください。

また、ご依頼まで進んだ場合でも、弁護士費用特約を使えば自己負担なく依頼できるケースがあります。

  • 相手保険会社との過失割合交渉でもめている
  • 追突事故の過失割合を提示されたけど妥当かわからない
  • 損害賠償金の相場がいくらか分からない

このようなことでお困りの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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