追突事故を起こしてしまったら?解決に向けた対応事項や罰則について解説

この記事でわかること
車を運転中に後ろから追突してしまった場合、「まず何をすべきか」「このあとどうなるのか」と不安になる方も多いでしょう。
「おかまほる」いわゆる追突事故は、外見上は軽い接触に見えても、警察対応や保険会社への連絡が必要となり、多くの場合で賠償の話へと発展します。
この記事では、事故で後ろから追突してしまったときの対応や示談金の内訳、加害者が受ける処分(民事・行政・刑事)をわかりやすく解説します。

目次
追突事故を起こしてしまった時の対応チェックリスト
追突事故を起こしてしまった場合、事故直後の対応次第で、その後の手続きや負担の大きさが大きく変わることがあります。
慌てて自己判断をするのではなく、「まず何を優先すべきか」「どこまで対応すればよいか」を整理して進めることが重要です。
ここでは、追突事故を起こした加害者が押さえておきたい基本的な対応を、事故直後からその後の流れまで順に解説します。
追突事故直後にやるべき4項目
追突事故を起こした直後は、次の4点を優先して対応しましょう。
- 事故現場の安全確保・ケガ人の救護
二次事故を防ぐため安全な場所へ車を移動し、負傷者の有無を確認。 - 警察への連絡、救急車の手配
事故の発生を警察へ届け出て、必要に応じて救急車を要請。 - 証拠保全・事故相手との情報交換
事故状況がわかる写真を撮影し、相手の連絡先や保険会社などの情報を確認。 - 現場解散後、保険会社への連絡
事故の内容を保険会社に報告し、今後の手続きについて案内を受ける。
追突事故では、過失割合が争点になることが多いため、事故現場の記録が非常に重要です。
可能であれば、以下の点を写真や動画で残しておきましょう。
- 車両の損傷状況
- ブレーキ痕や道路状況
- 信号や標識の位置、周囲の環境
あわせて、事故相手の氏名・連絡先・保険会社など、最低限の情報交換も行います。
この段階で示談の話を進める必要はありません。
交通事故を起こした時の対応については、『交通事故対応の流れ|交通事故にあった・起こしたときの初期対応〜後日対応までを解説』でも詳細に解説しています。
追突してしまった時の「NG行動」
追突事故を起こした際、次の行動はトラブルや責任の拡大につながるため避けましょう。
- 警察を呼ばない
- その場で示談をする(不用意な口約束をする)
- 救護措置を怠る(現場から逃げる・放置する)
- 身体に痛みがあるのに、物損事故のまま放置する
それぞれ詳しく見ていきます。
NG行動(1)警察を呼ばない
交通事故が起きたのに警察へ届け出ないと、事故報告義務違反にあたる可能性があります。
また、警察への届出がないと交通事故証明書が発行されず、保険手続きが進みにくくなるおそれがあります。
NG行動(2)その場で示談する(不用意に口約束をする)
事故直後は、修理費や通院の有無など損害の全体像が固まっていないことが多いです。
その場で金額や責任の話を確定させようとせず、まずは手続き(警察・保険会社)を優先しましょう。
NG行動(3)救護措置を怠る(逃げる・放置する)
負傷者がいるのに救護をしなかったり、現場から離れたりすると、救護義務違反などとして重い責任を問われる可能性があります。
事故後は自己判断で立ち去らず、救護と警察への連絡を優先してください。
NG行動(4)身体に痛みがあるのに、物損事故のまま放置する
事故後に痛みが出ることもあるため、体調に不安がある場合は早めに受診し、必要に応じて診断書を取得しましょう。
対応が遅れると、事故の扱い(物損/人身)や保険手続きがスムーズに進まないことがあります。
また、事故直後に具体的な金額や補償範囲を求められた場合は、無理にその場で決めず、「保険会社を通して、手続きに沿って対応します」と伝えるとよいでしょう。
追突事故後の対応の流れ
追突事故後の対応は、物損事故か人身事故かによって大きく異なります。
ここでは、それぞれの一般的な流れを整理します。
物損事故の場合の流れ
相手にケガがなく、車や物の損害のみが生じた場合は、以下の流れで手続きが進みます。
- 保険会社へ連絡
- 車両修理費の確定(見積もり)
- 示談交渉
- 示談成立・支払い
物損事故のみであれば比較的手続きはシンプルで、早ければ1ヶ月〜数か月程度で解決するケースもあります。
人身事故の場合の流れ
事故によって相手にケガが生じた場合は、人身事故として以下のような流れで対応が進みます。
- 通院・診断書の取得
- 警察へ診断書を提出(物損事故から人身事故への切り替え)
- 治療の継続〜症状固定
- 後遺障害等級の認定(必要な場合)
- 示談交渉
- 示談成立・支払い
人身事故では、警察による現場確認や聞き取り(実況見分)が行われることがあります。
実況見分は、事故状況を確認し、過失割合を判断するための重要な手続きであり、警察から後日呼び出されるケースも少なくありません。
また、人身事故では治療期間や後遺障害の有無によって示談までに時間がかかることも多く、数ヶ月〜1年以上かかるケースもあります。
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追突事故を起こしてしまった場合、示談金はいくら支払うことになる?
追突事故で相手にケガをさせてしまい、人身事故となった場合、加害者は示談金(損害賠償金)を支払うことになります。
示談金の金額は、ケガの程度や治療期間、後遺障害の有無、過失割合などによって大きく変わります。
ここでは、人身事故となったケースを前提に、示談金の内訳と考え方を解説します。
慰謝料
慰謝料は、事故によって被害者が受けた精神的苦痛に対して支払われるお金です。
- 入通院慰謝料
ケガの治療のために通院・入院を余儀なくされた精神的苦痛に対する補償 - 後遺障害慰謝料
治療を続けても症状が残り、後遺障害等級が認定された場合に支払われる補償 - 死亡慰謝料
事故により被害者が死亡した場合に支払われる補償
示談金・賠償金の内訳
示談金は、慰謝料だけでなく、事故によって生じたさまざまな損害を合算したものです。
一般的には、次のような項目で構成されます。

示談金の内訳を整理すると、次の3つに分けられます。
実際にかかったお金(積極損害)
事故の影響で、被害者が実際に支出した費用が「積極損害」です。
治療や通院、日常に必要となる以下のような支出が中心となります。
- 治療費
- 通院交通費
- 装具・器具購入費
事故がなければ被害者が得られたはずのお金(消極損害)
事故によって仕事を休まざるを得なかった場合など、本来得られたはずの収入が「消極損害」です。
就労状況や収入額に応じて金額が算定されます。
- 休業損害
- 逸失利益
車や物の損害
事故によって車両や持ち物が損傷した場合、その修理費や買替費用も賠償の対象になります。
- 車両修理費
- 全損の場合の買替差額
示談金は過失割合による影響を受ける
示談金の金額は、過失割合によっても調整されます。
過失割合とは、事故の責任の大きさを数値で表したもので、「10:0」「7:3」などの形で示されます。
追突事故では、追突した側が100%責任を負う「10:0」になるのが原則です。
信号待ち中や渋滞中の車に追突した場合などは、ほとんどのケースでこの割合が適用されます。
ただし、次のような事情がある場合には、被害者側にも過失が認められ、10:0にならないことがあります。
- 前方車両が不要な急ブレーキをかけた
- 前方車両が追い越し妨害をしていた
- 駐停車禁止場所や不適切な方法で停車していた
- 夜間に無灯火だった など
このような場合、たとえば「追突した側:追突された側=7:3」と判断されることがあります。
被害者側にも過失があると、その割合分だけ支払う示談金が減額されます。
これを過失相殺といい、示談金額を計算するうえで重要な考え方です。
【例】過失割合が7:3の場合
被害者側に支払うべき本来の示談金が100万円で、被害者の過失が3割だった場合、実際の示談金は以下のようになります。
100万円×(10割-3割)=70万円
また、追突した加害者自身にもケガや車両の損害があり、かつ被害者にも過失がついた場合には、被害者の過失割合の範囲内で、加害者側の損害が補償されることもあります。
追突してしまった追突事故の加害者が受ける処分
後ろから追突してしまった場合、加害者側は被害者に損害賠償金を支払わなければなりません。これが、「民事処分」と呼ばれるものです。
それ以外にも、加害者には行政処分・刑事処分が下されます。これらの処分について見ていきましょう。
民事処分:治療費や慰謝料の支払い
まずは、追突事故の被害者に生じた損害を補償する必要があります。
前述したように、示談交渉で決めた示談金額を支払います。
加害者が任意保険に加入している場合は、保険金によって無制限に補償されることがほとんどです。すなわち被害者の損害に対して、加害者が自己負担でお金を払うことはありません。
しかし、加害者が任意保険に加入していない場合は、自賠責保険の限度額を超える被害者の損害に関して、加害者の自己負担となります。
行政処分:違反点数の加算や免停
追突事故で被害者がケガをすると、加害者には最低でも4点の違反点数が加算されます。
違反点数には道路交通法違反に対して加点される「基礎点数」と、人身事故を起こしたことに対して加点される「付加点数」があります。
違反点数がたまると、免許の停止処分や取り消し処分を受けることになります。
追突事故による違反点数加算の例は、以下のとおりです。
追突事故の違反点数例
- 前方不注意により信号待ちをしていた前方車に追突:基礎点数2点
- 被害者は全治1ヶ月のむちうちを負った:付加点数9点
上記の例だと違反点数は合計で11点です。11点だと免停歴がない場合でも60日の免許停止処分となります。
違反点数と免許停止・取り消し期間の関係について詳しくは、『追突事故の違反点数一覧|通知はいつ来る?罰金や処分の流れも解説』をお読みください。
刑事罰:罰金刑や拘禁刑など
追突事故は被害者に大きな衝撃が加わることも多く、死傷することも珍しくありません。
追突事故で被害者が死傷した場合は、加害者が過失運転致死傷罪または危険運転致死傷罪に問われます。
過失運転致死傷罪とは?
まず過失運転致死傷罪は、運転者が通常払うべき注意を怠ったことによって交通事故を引き起こし、人を死傷させた場合に成立します。
例えば、わき見運転や速度超過などにより追突事故を起こし、被害者に傷害を負わせた場合が該当します。
過失運転致死傷罪の処罰は、「7年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金」となります(自動車運転死傷処罰法5条)。
危険運転致死傷罪とは?
次に危険運転致死傷罪は、2条と3条にわかれています。
危険運転致死傷罪(2条)は、より悪質な運転行為によって人の死傷を引き起こした場合に成立する重大な犯罪です。追突事故では以下のような状況が該当します。
- 明らかな酩酊状態での運転で追突
- 著しいスピード違反で信号無視で追突
危険運転致死傷罪(3条)は、アルコールや薬物、病気の影響により正常な運転に支障が生じるおそれがある状態での運転が対象です。
危険運転致死傷罪の処罰は以下のとおりです(自動車運転死傷処罰法2条、3条)。
- 危険運転致死傷罪(2条)の場合
人を負傷させたときは15年以下の拘禁刑、人を死亡させたときは1年以上の有期拘禁刑 - 危険運転致死傷罪(3条)の場合
人を負傷させたときは12年以下の拘禁刑、人を死亡させたときは15年以下の拘禁刑
追突事故を起こしたときの違反点数はどのくらい?
追突事故で相手にケガをさせてしまった場合、加害者には違反点数が科されます。
人身事故になると、比較的軽いケガの場合でも、基礎点数2点と付加点数2点の合計4点が付くのが一般的です。
事故の状況やケガの程度によっては、さらに高い点数が付くケースもあり、一定の点数に達すると、免許停止や免許取消といった行政処分を受ける可能性があります。
追突事故による違反点数や、免停・取消しの基準について詳しく知りたい方は、『追突事故の違反点数一覧|通知はいつ来る?罰金や処分の流れも解説』も参考にしてください。
まとめ:事故で後ろから追突してしまったら冷静に対応しよう
事故で後ろから追突してしまった(いわゆる「おかまほる」)場合、追突事故は基本的に追突した加害者の責任が大きくなりやすい事故類型です。
見た目の損傷が小さく感じられる事故であっても、警察や保険会社への対応を軽視せず、適切に進めることが重要になります。
事故の内容や結果次第では、治療費や修理費などの賠償責任(民事)に加え、違反点数の加算や免許停止といった行政処分、罰金刑や拘禁刑などの刑事責任が問われる可能性もあります。
事故後は自己判断で対応を進めるのではなく、警察への通報や保険会社への連絡を確実に行い、必要に応じて専門家の意見を参考にしながら冷静に対応することが大切です。

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
