交通事故の示談の流れと手順!示談交渉が進まない時の対処法
交通事故発生から示談までの流れは、次のように進みます。
交通事故の示談の流れ
- 警察への報告と治療の開始
- 後遺症が残れば後遺障害申請
- 加害者側の保険会社に連絡
- 加害者側の保険会社から示談案の提示
- 電話やFAXで示談交渉
- 示談書に署名・捺印
この記事では、交通事故における示談交渉に入る前の確認点、示談交渉の流れと手順、示談をうまく進めるためのポイントを解説していきます。
一度成立した示談は、やり直したり、後から内容の追加変更は原則できません。そのため、示談の流れややり方を知っておくこと、少なくとも示談成立前に一度は弁護士に相談することが大切です。
目次
示談開始までの流れと示談前3つの確認ポイント
まずは、交通事故発生から示談開始までの流れを見ていきましょう。示談交渉に入る前にチェックしておくべきポイントも解説するので、確認してみてください。
示談開始までの流れ
交通事故が起こってから示談開始までの流れは、以下のとおりです。
警察へ事故報告
交通事故が発生したら、必ず警察へ事故報告をおこないます。
治療の開始
事故後は速やかに病院を受診します。医師の指示に従って治療を続けましょう。
完治したら示談交渉開始
治療によりケガが完治したら保険会社との示談を開始できる時期です。
後遺症が残れば後遺障害申請
後遺症が残ったときには、後遺障害等級認定の申請をします。
加害者側の保険会社に連絡
納得いく後遺障害認定結果が得られたら、示談交渉を開始できる時期です。
まずは、交通事故の発生を警察に連絡して治療を受けることから始まります。医師の指示にしたがって治療を続けましょう。
ケガが完治した場合には加害者側の保険会社へ連絡してください。被害者あてに示談書案を送付してもらえます。
一方で、治療を続けても後遺症が残ったときは、後遺障害申請が必要です。
比較的軽傷であれば1ヶ月から2ヶ月程度、重傷や判断が複雑な場合は数ヶ月後に後遺障害認定結果を受領します。異論がなければ、等級結果を保険会社へ伝えて示談を始める流れです。
後遺障害認定結果に不満があるときには、異議申し立てをおこなうか、そのほかの増額要素を検討しつつ保険会社との示談に臨むことになります。
(1)示談開始の時期は適切か
交通事故の示談では、主に金額について話し合うことになります。
交通事故で被害者が負った損害を金額算定できる段階になってから、示談交渉を始めるべきです。
損害額が確定できる具体的なタイミングは以下の通りです。
事故内容 | 確定時期 |
---|---|
ケガのみ | 治療終了後 |
後遺症あり | 後遺障害認定後 |
物損事故 | 車の修理費の見積り後 |
死亡事故 | 葬儀後※ |
※四十九日を過ぎてから示談を開始するのが一般的
たとえば、治療途中で保険会社と示談を始めたり、勝手に通院をやめたりすることは避けましょう。医師から治療終了(完治)と判断される時期が治療終了です。
後遺症が残っているときには、後遺症における後遺障害認定の申請をおこない、その結果を受けてからでないと損害算定ができません。
全ての損害が明らかでないのに示談交渉に入ってしまうと、以下の点で損をする可能性があります。
- 通院期間が短くなり、入通院慰謝料が低額になる
- 後遺症が残っても後遺障害認定されず、後遺障害に関する費目を請求できない
相手の保険会社から「そろそろ示談交渉しませんか」と持ち掛けられた場合、ご自身が示談交渉を始めるタイミングなのかを検討すべきです。
関連記事では、示談とはどういうものかをわかりやすく解説しています。
(2)後遺障害申請の結果は出ているか
後遺症が残っているときには、後遺症部分の賠償金の請求も可能です。
ただし、後遺症が一定の基準を満たす「後遺障害」と認定された場合に限ります。
後遺障害の認定について
治療によりケガが完治せず後遺症が残った場合、医師から症状固定との判断を受けることになります。症状固定とは、これ以上は一般的な治療をつづけても、良くも悪くもならない状態のことです。
後遺障害申請をして認められたら、1級から14級までの等級認定を受けることになります。
後遺症部分の賠償額は等級がかかわるため、まずは等級認定を受けること、次に何級で認定されるのかがポイントです。
後遺症が残ったのにまだ受けていないという場合は、申請をおこない、その結果を受けてから示談を始めましょう。
後遺障害申請の手続きについては、関連記事『交通事故の後遺障害とは?認定されたらどうなる?認定の仕組みと認定率の上げ方』を読み、いずれの方法が適切かを検討してみてください。
アトム法律事務所では交通事故の後遺障害等級認定の申請を検討している方からの相談を受け付けています。等級の見通しや、等級認定された場合の慰謝料額の相場についてもご説明可能です。
(3)後遺障害申請の結果に納得しているか
すでに後遺障害認定を終えている段階なら、示談交渉に入る前に「本当に結果に納得しているか」を考えてみてください。
後遺障害認定は基本的に書類審査なので、書類の内容次第では不適切な結果になることも十分あるのです。
「異議申し立て」をして再審査を受け、等級が上がれば、後遺障害慰謝料や逸失利益はもっと多くなります。いま一度後遺障害認定の結果が妥当であるか確認してみることが重要です。
関連記事
- 等級を一覧表で確認:【後遺障害等級表】認定される後遺症の内容が一覧でわかる
- 異議申し立ての方法:後遺障害の異議申し立てを成功させる方法と流れ
示談交渉の流れにそって示談手順を解説
医師の指示にしたがって治療を受け、後遺障害認定で妥当な結果を受けたら示談交渉が可能な時期となります。死亡事故の場合は葬儀後(多くの場合は四十九日後)に示談を開始することが原則です。
具体的な示談交渉の流れは次の通りです。
加害者側の保険会社へ連絡
交通事故による損害をすべて算定できるタイミングになったら、示談交渉を開始できます。
加害者側から示談内容を提示される
示談金額や過失割合などの示談内容について検討します。
電話やFAXで示談交渉
示談金の増額や過失割合の変更など、示談案について納得いかない点を質問・交渉します。
示談書に署名・捺印
納得できる示談内容がまとまったら、示談書として受け取り、内容を確認して署名・捺印します。
示談交渉の流れにそって、それぞれの手順を解説していきます。
手順1.加害者側の保険会社へ連絡
請求すべき損害額が確定できるようになったタイミングになれば、示談交渉を開始できます。加害者側の保険会社に連絡をおこないましょう。
加害者側の保険会社が損害賠償額を計算して示談書案の作成に着手します。
ポイント
保険会社が治療費を一括で支払っている以上、治療が終了したこと自体は相手の保険会社も把握可能です。よって、被害者から連絡せずとも、相手の保険会社から先に連絡が入ることも十分ありえます。
相手の保険会社から示談の打診を受けた段階で、まだ休業損害証明書や通院交通費の請求分が残っている場合には、その資料を追加で保険会社に提出して損害算定してもらいましょう。
手順2.加害者側から示談内容を提示される
連絡からしばらくすると、加害者側の保険会社から示談書案または免責証書案が届くため、その内容を確認します。保険会社によっては「損害賠償額計算書」という書面が作成される場合もあります。
示談書案には、主に以下の内容が記載されています。
示談書案の記載内容
- 交通事故当事者
- 交通事故状況
- 交通事故日
- 示談金(損害賠償金額)
- 示談金の内訳(慰謝料、休業損害、逸失利益、既払い額など)
- 過失割合
- 清算条項、留保条項など
示談書案の内容に納得がいけば、その旨を加害者側の保険会社に連絡します。
加害者側の保険会社からは清書された示談書が届きますので、示談書に署名・捺印をして返送しましょう。その後、保険会社側で事務手続きが行われ、2週間程度で示談金が振り込まれます。
つまり、加害者側の提示内容をそのまま受け入れるのであれば示談交渉する必要はありません。
ただし、加害者側の提示内容には訂正すべき点があることがほとんどです。「保険会社が算定した示談金・過失割合なら正しいだろう」と思って無条件に受け入れてしまわないよう注意してください。
示談金の内訳について
主な示談金の内訳としては、治療費、傷害慰謝料(入通院慰謝料)、休業損害などが代表的です。
さらに、後遺障害認定を受けていれば、後遺障害慰謝料や逸失利益も含まれることに注意してください。
示談書に書かれている示談金額は、実費であるものを除き、加害者側の保険会社が自社の計算方法に従って決めています。
つまり、相手の保険会社が提示してくる金額がいつも適正なものとはかぎりません。
また被害者が主婦や自営業者であれば休業損害が争点となりやすかったり、通院が長引いた人は入通院慰謝料を減らされやすかったりと、交通事故ごとに損をしやすい費目があります。
相手の保険会社から提案された内容については独自で判断せず、弁護士にチェックしてもらいましょう。
関連記事
アトム法律事務所では、交通事故でケガをした方からの無料相談を受け付けています。示談金額の妥当性、念のための確認の意味を込めてお気軽にお問い合わせください。
手順3.電話やFAXで示談交渉
加害者側からの提示内容を受け入れず示談交渉をする場合は、加害者側の任意保険会社に自身の希望する示談金額を書面で送付します。
相手方の提示する示談金額に不備がある場合は、根拠となる資料の添付をして訂正を求めるように心がけましょう。
たとえば、休業損害の金額が少ないと感じる場合には、ご自身の休業損害額証明書をあらためて添付して交渉することで、より具体的な話ができます。
示談交渉は基本的に書面や電話によるやり取りで、対面でおこなわれることは少ないです。
電話の場合は後から言った・言わないの争いが起こる恐れがありますし、仕事や家事の途中で電話がかかってくることもあるため、できるだけ書面で交渉することが望ましいです。
相手方の保険会社ともめていて示談がまとまらず解決に至れない場合には、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。
弁護士と相談をし、弁護士に依頼した場合には示談交渉を弁護士が代理可能です。弁護士が交渉にかかわることで、保険会社の態度が変わり、示談交渉を前進させられる可能性があります。
示談交渉での解決が難しいと判断される場合には、ADRや裁判・調停といった手続きが必要です。裁判や調停を含め、示談が成立しなかった後の手続きについては、関連記事を参考にしてください。
手順4.示談書に署名・捺印
示談交渉をつづけ、納得のいく示談条件が整ったときは示談書に署名・押印することで示談が成立します。示談書に署名・押印する際は、内容をよく確かめましょう。
示談成立後、およそ2週間程度で示談金が振り込まれるのが一般的です。
示談交渉の手続きを進めるポイント
加害者側の提示内容を鵜呑みにしない
加害者側の保険会社にとって被害者に支払う示談金は出費なので、示談金は相場より低く記載されていることが多いです。
たとえ被害者の方が思っていたより提示金額が高かったとしても、相場の金額より低額の可能性が高いといえます。
よって、加害者側から示談金額の提示を受けたら、納得いくか・いかないかに関わらず一度専門家である弁護士に相談してみてください。
ネットで調べた提示額も鵜呑みにするのは危険
交通事故の示談金相場や計算方法、自動計算機などはインターネット上においても多数確認できます。
本記事でもこの下で相場や計算方法の記事、計算機を紹介しますが、わかるのはあくまでも目安の相場額です。
個々人の示談金額を確定させるには、相場をもとにするだけでなく、各事故特有の細かい事情まで反映させる必要があります。
つまり、最終的な相場はケースバイケースと言わざるを得ないのです。
こうした理由から、加害者側の保険会社に対して「ネットや本で調べた相場はこれくらいだった」という主張をしても、聞き入れられる可能性は低いでしょう。
不適切な提示内容を受け入れてしまわないために、そして説得力のある主張をするためにも、加害者側の提示内容について示談で受け入れる前に弁護士に確認することがおすすめです。
アトム法律事務所では、示談案の内容に関する相談を無料で受け付けています。電話・LINEでの相談予約が可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
過失割合は交渉して変更されることもある
相手の保険会社自身も、常に適正な過失割合の提示を受けられるとは限りません。
過失が1割増えるだけで、相手への損害賠償責任が生じたり、受けとれる示談金額が減ったりします。保険会社の意見にただ従うのではなく、弁護士に見解を聞いてみましょう。
交通事故の過失割合はどう決まるのか
交通事故の過失割合の決め方は、基本の過失割合に対して、個別の状況を反映させて修正していく方法が一般的です。
そもそも過失割合とは?
事故の当事者それぞれがどれだけ責任を負うかを示す割合のこと。自分の過失が大きいほど、自分に支払われる保険金が少なくなり、相手に支払う金額が増える可能性がある。
基本の過失割合とは、自動車・バイク・歩行者などの事故当事者の属性のほか、事故現場の道路状況や信号の有無である程度決まっている過失割合をさします。
個別の状況の具体例は、事故の当事者が高齢者や子どもであったり、事故が起こった時間帯、車線変更の合図(ウィンカー)のタイミング、信号機の色が変わったタイミング、速度超過の有無などです。
個別の要素を修正要素といい、最終的な過失割合を決める交渉では必ず検討する事項になります。
つまり、基本的な過失割合は変えられなくても、修正要素によって、相手の過失が増えたり、自分の過失が減らせたりする可能性があります。
金銭的理由で焦って示談成立をさせない
示談は必ずしもスムーズに進むとは限りません。示談交渉の期間が長期化するほど、その分示談金の受け取りも遅くなり、生活が苦しくなることも考えられるでしょう。
しかし、生活費に困っていることだけを理由にして、納得いかない示談内容で終わらせるべきではありません。
なかなか示談金が受け取れず金銭的負担が生じている場合は、ご自身の加入保険を有効活用してみたり、被害者請求という手続きを検討してください。
たとえば「人身傷害補償特約」では、契約時に設定した金額を上限として、治療費や慰謝料と同じ金額を保険金として受け取れます。
また、「被害者請求」という手続きをすれば、加害者側の自賠責保険から示談成立前であっても損害賠償金の一部をもらえます。
なお、人身傷害補償特約も被害者請求分も、受け取った分は示談金から差し引きされて最終調整されるため、示談金が増えるものではない点を留意しておきましょう。
弁護士や紛争処理センターも視野に入れる
示談交渉をスムーズに進めるためには、弁護士への相談・依頼や紛争処理センターの利用も視野に入れてみましょう。
弁護士への相談・依頼
弁護士への相談では、示談金や過失割合の算定、示談交渉の進め方についてのアドバイスを受けられます。
相談後に依頼まで進んだ場合は、弁護士が代理人として示談交渉をすべて代理可能です。示談時の慰謝料増額や過失割合の交渉も、被害者の味方となって対応できることが、弁護士の強みといえます。
アトム法律事務所では、交通事故被害者からのケガの慰謝料や過失割合に関する相談などを無料で受け付けています。下記バナーよりまずは相談の予約をお取りください。年中無休でご予約の受付窓口がつながります。
紛争処理センター
弁護士に損害賠償問題について相談でき、解決策を提案してもらえます。必要性が認められた場合、弁護士は示談のあっ旋も行い、双方の合意を目指します。
ただし、弁護士は中立的な立場をとるため、必ずしも被害者の味方とは限りません。
もっとも、紛争処理センターでは弁護士があくまでも第三者の立場で介入し、問題が解決に向かうよう話し合いをサポートするものです。
弁護士に被害者側の立場に立ってほしい、被害者側の主張を加害者側に認めてほしいという場合には、個人的に弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
参考になる記事
示談交渉が手順通りに進まない時の対処法
治療中に示談交渉を持ち掛けられた場合
まだ治療中であるにもかかわらず、加害者側の保険会社から「これ以上の治療費は支払わないので治療を終えてください」「そろそろ示談にしましょう」と言われることがあります。
しかし、医師に相談してまだ治療が必要だと判断された場合にはその旨を加害者側の保険会社に伝えて、示談開始を待ってもらい、治療を続けましょう。
それでも治療費を打ち切られてしまったら、被害者側で治療費を立て替えつつ残りの治療を受けることは可能です。
治療費に関しては、健康保険を利用することで負担を減らす工夫もできます。立て替えた分は示談交渉時に加害者側に請求しましょう。
加害者側から連絡がこない場合
加害者側の保険会社から示談金額や過失割合の提示が来ない場合は、被害者側から連絡を入れてみましょう。
加害者側の保険担当者は、複数の案件を同時並行で進めていることがあります。
よって、とくに被害が軽い交通事故の場合は対応が後回しにされてしまうことがあるのです。
被害者側から確認の連絡を取ることなく待ち続けていると、数ヶ月経っても何も連絡がこないこともあります。
なかなか示談案の提示が来ない場合は、直接問い合わせるなどの対処が必要です。
加害者側からの連絡がない場合の対処法について詳しく知りたい方は『交通事故の示談で保険会社や加害者から連絡なし|被害者がとるべき対応方法』の記事をご覧ください。
示談が進まない場合
示談交渉は始まったものの、加害者側の対応が遅かったり、揉めたりすると話し合いが進まなくなります。
このような場合は、以下のように対応しましょう。
- 加害者側の対応が遅い場合
- 加害者側の保険会社のお客様相談センターや、そんぽADRに連絡を入れる
- 弁護士を通して対応を催促する
- 話し合いで揉めた場合
- 弁護士を立てて示談交渉をする
話し合いで揉めて示談交渉が進まなくなった場合は、弁護士を立てることで事態が進展しやすくなります。
被害者が弁護士を立てた場合、加害者側の保険会社は裁判になることを避けるため、譲歩の姿勢をとることが多いためです。
実際に、次のような体験談もあります。
(略)加害者側保険会社が当方に対していいかげんな対応をされつつも精神的に参っている中、気軽にLINEで相談できた上、10ヶ月間何も進まなかった示談交渉がすんなり終わった上、増額までしていただきました。LINEでのやりとりなので、仕事などにも支障がなかった事も非常にありがたかったです。(略)
アトム法律事務所のご依頼者様の声
示談交渉が進まない場合の対処法は、『交通事故で示談が進まないときどうする?原因と対処法まとめ』でさらに詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
示談後に再交渉したい事情が出てきた場合
示談は一度成立すると、原則としてやり直しはできません。ただし、以下の場合は示談の撤回や再交渉ができる可能性があります。
- 示談当初は予測しえなかった損害が発覚した場合
- 示談内容が公序良俗に反する場合
- 示談を成立させる意思がないまま成立してしまった場合
- 示談内容を勘違いしていた場合
- 示談で脅迫・詐欺があった場合
たとえば軽いケガだと思っていた症状について、示談成立後に重大な問題が見つかり後遺障害が残った場合、後遺障害関連の賠償請求のため再び示談交渉できることがあります。
ただし、たとえ上記のケースに当てはまったとしても、加害者側がスムーズに再交渉に応じるとは限りません。
再交渉について加害者側が良い反応をしなかった場合は、弁護士に相談して見解を聞いてみましょう。
示談を弁護士に任せるメリット|示談体験談もあり
本記事内でも「示談交渉の際は弁護士への依頼も検討してみてください」とお伝えしましたが、実際に弁護士に交渉を依頼するとどのようなメリットがあるのか2つ解説していきます。
メリット(1)「弁護士基準」の主張で示談金増額
示談交渉を弁護士に依頼すると、「弁護士基準」の金額を主張してもらえるため示談金の大幅アップが期待できます。
弁護士基準とは?
過去の判例に基づく慰謝料相場を算定するための基準。
加害者側の保険会社は「自賠責基準」や「任意保険基準」に沿った金額を提示してくるが、弁護士基準はそれより2倍~3倍程度高額であることが多い。
弁護士基準の金額は、本来であれば裁判を起こして獲得するようなものです。
よって、裁判も起こさずに被害者自身の交渉で弁護士基準の金額を獲得するのは非常に難しいとされています。
しかし、示談交渉を弁護士に依頼すれば、以下の理由から弁護士基準の金額が認められやすくなります。
弁護士基準が認められる理由
- 専門家である弁護士の主張なので、根拠がないなどと言って否定できない
- 弁護士の主張を否定し続けて示談が決裂になると裁判に発展し、結局弁護士基準の金額を支払うことになるおそれがある
よって、「弁護士基準の金額を主張することで示談金の大幅アップが期待できる」という点は、弁護士が交渉の場に出た場合ならではのメリットと言えるでしょう。
なお、弁護士基準で請求できる金銭は慰謝料だけではなく、損害賠償額全体の引き上げが期待できます。
関連記事では損害賠償額の相場や慰謝料の弁護士基準について解説していますので、参考にしてみてください。
増額交渉に苦戦した体験談
実際にアトム法律事務所へ相談・依頼された方の中には、ご自身で交渉してきた示談金額と比べて、弁護士に交渉を依頼したときの金額との増額分に驚きの声をいただいています。お声の一部を紹介します。
(略)示談金に納得いかず、インターネットで弁護士事務所を探し多々、弁護士事務所に相談しましたが、アトム法律事務所の方だけがとても親切・丁寧に話を聞いて下さいました。(略)保険会社と私の話し合いでは限界、と言われた金額の約3倍も金額の変動があり、びっくりしました。(略)
アトム法律事務所のご依頼者様の声
最初に主人と一緒に保険会社からの示談金の説明を受けた時、疑問点を質問しましたが、「こういうもの」と言われたらどうしようもなく上積みできたのはせいぜい20万程度でした。提示された金額が適正なのかどうか分からず話しだけでもと思い、法律事務所に相談することにしました。(略)示談金は3倍にもなりました。
アトム法律事務所のご依頼者様の声
交通事故の被害者の方のお声・体験談については、関連記事『交通事故の体験談8選|示談交渉や後遺障害認定の様子』で紹介しているので、参考にしてみてください。
メリット(2)ストレスなく合意・示談成立が期待できる
示談交渉にはストレスや不安がつきものです。
被害者側の主張が通らなかったり、加害者側の保険会社が高圧的な態度を取ってきたり、仕事や家事をしているときに交渉の電話がかかってきたりすることがあるからです。
初めは粘り強く頑張って納得のいく示談にしようと思っていても、だんだんと疲れてしまったり、何が正解なのかわからなくなったりすることもあるでしょう。
しかし、示談交渉を弁護士に任せればこうしたストレスを感じずに済みます。
実際に自身で示談交渉した体験談
(略)事故相手の誠意のなさと保険会社のさっさと幕引きを図ろうとする姿勢に戸惑いを感じました。仕事中にも関わらず電話してきたりととても困っていました。(略)
アトム法律事務所のご依頼者様の声
交通事故被害にあい、元々、自賠責基準と弁護士基準、会社により保険会社基準があるのは知っていましたが、相手側保険会社が自賠責のみですませようとしたあげく、保険会社基準も「当社にはない」「そんなもの(弁護士さん出てこなければ)払わない」「治療費かかってるのに過失引いたらマイナスになるかもしれませんよ?」などと不遜で高圧的だったため、何が何でも弁護士さんにたのむ事にしました。
アトム法律事務所のご依頼者様の声
弁護士費用の負担は特約で減らせる
示談交渉を弁護士に任せたいと思っても、弁護士に支払う費用の負担が気になる方は多いでしょう。
弁護士費用の負担については、弁護士費用特約を利用することで大きく減らすことが可能です。
弁護士費用特約を利用すると、弁護士との法律相談料や弁護士への報酬金を保険会社が負担してくれます。
負担額には上限がありますが、上限額を超える負担が生じることは少ないため、多くのケースで負担なく弁護士への依頼が可能となるのです。
弁護士費用特約について詳しく知りたい方は『交通事故の弁護士費用特約とは?メリット・使い方・使ってみた感想を紹介』の記事をご覧ください。
アトムなら無料で相談可能|依頼でも費用負担を減らせます
アトム法律事務所では、電話・LINEにて無料相談を受け付けています。
適切な示談金額や過失割合はいくらか、自分の場合弁護士への依頼は必要かなど、金銭的な負担なく相談が可能です。
ご依頼まで進んだ場合でも、以下のいずれかの方法によって弁護士費用の負担が軽減されます。
- 弁護士費用特約が使える場合、自身の保険会社が弁護士費用を支払うため、自己負担ゼロ
- 弁護士費用が使えない場合、初期費用である着手金が原則無料
そのため、弁護士費用特約が利用できない方でも、お手元のお金を気にせず依頼することができます。
無料相談のみのご利用も可能なので、お気軽にご連絡ください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了