交通事故の示談で保険会社・加害者から電話や連絡がない・遅いときの対処法

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相手から連絡がない

この記事では、事故相手やその保険会社から電話内容、連絡がこない時の対処法、連絡が遅い理由をまとめています。

通常、事故後2~3日(遅くとも1週間)以内に、相手の保険会社から電話があり、事故状況の確認、治療費の対応などの連絡が来ます。

もし連絡が来ない場合は、事故相手が報告していない、調査中・手続きの遅れ、保険未加入などの可能性があります。この場合、警察に交通事故の届出をして、交通事故証明書を取得し、相手の自賠責保険会社を確認します。

そして、任意保険会社に対しても直接連絡をいれましょう。困ったら、ご自身の保険会社弁護士への相談も役立ちます。

保険会社や加害者本人と連絡がとれず、なかなか示談交渉を始められない場合、示談金を受け取るのが遅くなってしまいます。本記事でお伝えする対処法によって、被害者の方の経済的・精神的な負担が軽くなれば幸いです。

また、保険会社や加害者本人から連絡が来たときに備えて、示談交渉の注意点も解説しているので、ぜひ最後までお目通しください。

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目次

事故相手の保険会社から電話が来ない!遅い理由は?対処するならいつ?

事故相手が加入している任意保険会社からの連絡は、通常、事故後2~3日以内、遅くとも1週間以内に電話で来ることが多いです。

その後、示談になるまでの期間、定期的に連絡があります。

ただし、事故相手が保険会社に報告していなかったり、保険会社の調査・手続きが遅れていたりした場合、連絡は遅れがちです。

以下では、事故相手の保険会社から電話が来るタイミングや、連絡内容、連絡がこないときの対処のタイミング、連絡が遅れる理由について解説します。

保険会社から電話が来るタイミング・連絡内容

通常、事故相手の保険会社から電話が来る場合、次のようなタイミング・内容となるのが一般的です。

事故相手の保険会社の電話

  1. 事故直後の段階
    事故状況の確認、今後の対応の案内などの連絡
  2. 治療中の段階
    治療の見通しや、ケガの状況の確認などの連絡
  3. 治療終了の段階
    示談に関する案内などの連絡
  4. 示談交渉中の段階
    示談案の提示などの連絡
  5. 示談成立の段階
    免責証書の送付、示談成立後の手続きなどの連絡

一般的には、事故直後、相手の保険会社から数日以内に連絡が来ることが多いです。担当者から事故状況の確認や、今後の対応の案内(任意一括対応の同意書の説明)などがあり、その後も定期的に電話が来るようになります。

しかし、一定の事情により、本来あるはずのタイミングで連絡が来ない、あるいは大幅に遅れることも少なくありません。

「治療を受けたいのに、保険会社から連絡がなく、病院に行ってよいのかわからない」
「示談金の話が進まず、いつまで待てばよいのか不安」

このような悩みを抱える交通事故被害者の方も多くいらっしゃいます。

対処するならいつ?

数日待っても、事故相手からの連絡が来ない場合、示談までの手続きの過程で何らかの不都合が発生しているはずです。そのため、すぐにでも対処する必要があります。

対処としては、事故相手の保険会社に連絡をとるということになります。

保険会社から電話が来ない理由・遅い理由

交通事故後、相手の任意保険会社から示談に関する電話や連絡がこない理由は、主に「加害者本人に原因があるケース」と「保険会社に原因があるケース」に分けられます。

  • 加害者本人に原因があるケース
    • 加害者が保険会社に事故報告をしていない
    • 加害者が「自分には過失割合がない」と主張している
    • 加害者が任意保険に未加入である
  • 保険会社に原因があるケース
    • 調査中(保険会社内での手続き・必要書類の収集に時間がかかっている)
    • 多忙(保険会社の担当者が忙しく、対応が後回しにされている)

それぞれの理由について、詳しく掘り下げてみます。

事故相手(加害者本人)に原因があるケース

加害者本人が保険会社に事故報告をしていない場合、被害者へ保険会社から電話は来ません。

加害者側の保険会社は、加害者本人からの事故報告がないと事故対応の手続きを開始できないからです。

また、加害者が「自分には過失がない」と主張しているケースでは、保険会社が「損害賠償をする義務はない」と判断し、被害者への連絡をしないこともあります。

さらに、加害者が任意保険に未加入の場合、当然ながら電話は来ません。

加害者本人に原因があって保険会社から連絡がなかったり、そもそも加害者が任意保険に未加入だったりする場合は、まず加害者本人に連絡を取ることになるでしょう。

加害者本人への対処法については、本記事内「加害者本人から電話や連絡がないときの対処法」を参考にしてください。

保険会社に原因があるケース

保険会社が被害者への損害賠償の必要性を認識している場合、基本的に保険会社から連絡が来るのが通常です。
ただし、状況によっては連絡がこないケースや、遅くなってしまうケースがあります。

保険会社から連絡がこない理由や遅い理由としては、まず、各種調査中である(保険会社内での手続きや書類の収集に時間がかかっている)ことが考えられます。

連絡が遅くなる調査の例

  • 診療報酬明細(治療費の根拠資料)等の収集・検討
  • 事故の過失割合についての資料収集・検討

たとえば、被害者が治療を終えて保険会社から示談条件の提示を待つ段階の場合、治療先の病院から診療報酬明細書などを取り寄せるのに時間がかかっているのかもしれません。

このような書類は即日発行されるわけではないので、保険会社が書類を入手して示談条件を計算するのに数週間待つ必要があるでしょう。

また、相手の保険会社から過失割合に関する連絡がこない場合、事故状況を確認するための資料の整理や精査に時間がかかっていたり、事故態様が複雑で社内で審査・検討中だったりする可能性もあります。

加えて、多忙であることが原因で、保険会社からの連絡がこないケースもあります。保険会社の担当者は、多数の案件を抱えており、手一杯になっていることが多いです。

ここからは、保険会社に原因があるケースの対処法を確認していきます。

事故相手の保険会社から連絡がない・遅いときの対処法

交通事故相手の保険会社から連絡がこない場合の対処法として、「まずは担当者に確認する」、「各相談窓口に連絡する」ということが考えられます。

(1)まずは担当者に確認する

交通事故相手の保険会社から連絡がこない場合や、連絡が遅いと感じた場合、まずは保険会社の担当者に連絡して進捗状況を確認してみてください。

保険会社に原因がある場合、過失割合や慰謝料など示談条件の提示にどのくらいの時間がかかるのかを確認でき、連絡がこないことの不安そのものの解消につながるでしょう。

保険会社の担当者とメールでやりとりしている場合は、返答の期限を設けておけば、やきもきせずに過ごせるようになります。

なお、加害者本人から保険会社に事故の報告がされていない場合は、保険会社に問い合わせても回答が得られない可能性が高いでしょう。
加害者が本当にその保険会社の加入者かどうかなどは、個人情報にあたるからです。

(2)各相談窓口に連絡する

保険会社の担当者に何度も問い合わせているにも関わらず連絡がこない場合は、以下のような窓口を活用して相談してみてもよいでしょう。

  • 保険会社のカスタマーセンター
  • そんぽADRセンター

そんぽADRセンターとは、保険会社とトラブルが続いている場合の苦情受付や、保険会社との紛争処理を主に行っている機関です。そんぽADRセンターへの相談や苦情の申し出は基本的に無料で行えて、結果的に保険会社の担当者が変わることもあります。

ただし、そんぽADRセンターはあくまで中立の立場であるため、必ずしも被害者にとって有利な判断を下すわけではありません。

弁護士への相談も有効

保険会社の担当者の対応が悪いときは、早めに弁護士に相談し、交渉をすべて任せてしまうことも効果的です。

被害者を素人だと思ってぞんざいに扱っていた保険会社の担当者も、弁護士という「法律のプロ」が出てくればいい加減な対応をするわけにはいきません。
弁護士に裁判を起こされるおそれがあるからです。

弁護士を立てればスムーズに示談交渉を進められるだけではなく、示談金の大幅な増額も期待できます。保険会社の対応に困っている場合は、弁護士への相談も検討してみましょう。

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事故相手の保険会社がわからないときの対処法

通常は交通事故が起こったときに当事者同士で連絡先や加入保険などの情報を交換しておくものです。しかし、様々な事情で相手の加入する任意保険会社がわからないといったことが起こってしまいます。

「連絡がこないから、こちらから連絡して確認したい」と思っても、交通事故相手の保険会社がわからない場合は、それができません。

交通事故相手の保険会社がわからない場合に保険会社を特定する方法は、以下の通りです。

保険会社を特定する方法

  1. 加害者に直接連絡して確認する
  2. 自分の保険会社の担当者に聞く
  3. 交通事故証明書から突き止める
  4. 弁護士に23条照会をしてもらう

ひとつずつ確認していきましょう。

(1)加害者に直接連絡して確認する

交通事故相手の保険会社がわからない場合、加害者に直接連絡して確認するという方法があります。

その際、保険会社の連絡先を聞くだけでなく、加害者から保険会社への報告の状況も確認します。

万一、加害者が保険会社に連絡を入れていない場合は、連絡をするよう促します。

なお、保険会社に連絡しない加害者は、示談で誠実な対応が期待できないので、以下の対処も重要です。

  • 警察に連絡して人身事故の届出をしておく
  • 安易に交通事故の示談に応じない
  • 加害者の情報を記録しておく

(2)自分の保険会社の担当者に聞く

交通事故相手の保険会社がわからない場合、自分の保険会社の担当者に聞くという方法があります。

自分自身や家族の加入する保険会社の担当者は、事故相手の保険会社を把握していることがあります。

担当者に電話やメールなどで、「~という理由で、事故相手の任意保険会社を知りたい」と伝えることで、保険会社を確認してもらえます。

なお、示談代行サービスを利用している場合は、被害者自身が事故相手の保険会社に連絡することは控えましょう。

(3)交通事故証明書から突き止める

交通事故相手の保険会社がわからない場合、交通事故証明書から突き止めるという方法もあります。

交通事故証明書には、加害者が加入している自賠責保険会社・共済の名前が記載されています。

まず、「保険会社名 自賠責」で検索して出てくるカスタマーセンターなどに電話します。

そこで、事故日と被害者名を伝え「この事故の任意保険会社の担当者を確認したい」と聞くと、任意保険会社が突き止められることがあります。

交通事故証明書は自動車安全運転センターで入手できます。具体的な方法を知りたい方は『交通事故証明書とは?後日取得の期限やもらい方、コピーの可否を解説』の記事を確認してください。

なお、任意保険会社がすぐにわからない場合でも、交通事故証明書をとりよせれば自賠責保険はわかるため、被害者請求が可能となります。

被害者請求の流れ

この場合、まずは自賠責保険に被害者請求をおこない、自賠責保険金を回収します。

その後、任意保険会社が判明した段階で、弁護士を立てて、任意保険会社に対して弁護士基準で追加請求をおこなうようにします。

慰謝料金額相場の3基準比較

(4)弁護士に23条照会をしてもらう

交通事故相手の保険会社がわからない場合、弁護士に23条照会をしてもらうという方法もあります。

23条照会とは、弁護士が依頼を受けた事件について証拠や資料を収集し、事実を調査するなど、職務活動を円滑に進めるために設けられた法律上の制度です。

弁護士法23条の2に規定されていることから、「23条照会」と呼ばれます。正式には、弁護士会照会制度といいます。

弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。

弁護士法23条の2第1項前段

23条照会の制度を使って、一般社団法人日本損害保険協会・一般社団法人日本共済協会などに照会をかけることで、加害者の保険会社が判明することもあります。

もっとも、この手段は弁護士しかとることができません。

いずれにせよ弁護士に相談・依頼をして、状況に合わせた最適な対応をとることがおすすめです。

【コラム】事故相手の保険会社の「担当者」がわからない場合

交通事故相手の保険会社はわかるけれども、「取り扱いがどこのサービスセンターなのか」、「担当者が誰なのか」がわからない場合もあります。

その場合は、「保険会社名 サービスセンター」で検索し、一旦事故現場近くの損害サービス拠点に電話してみましょう。

事故発生日時と事故当事者の氏名を伝えれば、実際に取り扱っているサービスセンターと担当者を検索してもらえます。

なお、加害者が事故を申告していない場合は、担当者もいないことになりますので、この方法では特定できません。

加害者本人から電話や連絡がないときの対処法

次に、示談交渉の相手が加害者本人であるケースにおける、電話や連絡がこない・遅いときの理由と対処方法を確認していきましょう。

なお、示談交渉の相手が加害者本人であるケースは、基本的に加害者が無保険(任意保険未加入)の場合に限られます。加害者が無保険の場合の対応については、『交通事故の相手が無保険でお金もない?泣き寝入りしないための賠償請求・対策法』の記事もご覧ください。

加害者本人から連絡がない・遅い理由

交通事故で加害者本人から示談の連絡がこない理由は多岐にわたりますが、具体的には以下のようなものが考えられます。

  • 事故を起こしたことで刑事罰に問われており、その対応に追われている
  • 事故を起こした罪悪感などから、精神的に不安定となっており、連絡できない
  • 損害賠償金の支払いを恐れ、示談交渉したくないと思っている

交通事故の加害者には、被害者の損害を賠償する「民事責任」の他に、拘禁刑や罰金といった「刑事責任」や、運転免許の取消・停止といった「行政責任」が問われます。その対応で手一杯となっているケースもあり得るでしょう。

あるいは、加害者の心理的理由によって、被害者への連絡が後回しになっている場合もあります。

加害者本人から連絡がこない場合の対処法を確認していきましょう。

対処法(1)内容証明郵便を送る

内容証明郵便とは、郵便物の内容や、いつ送付したのか、誰から誰へ送付したのかといったことを郵便局が証明してくれる制度のことです。

内容証明郵便では、請求内容や支払期限、示談交渉を行いたいことや連絡を無視した場合は裁判を起こす可能性があることを伝えるとよいでしょう。

加害者が何らかの理由で連絡を無視していた場合でも、内容証明郵便という形式で届いたことから被害者の強い意思が伝わり、示談交渉に対応してくれることがあります。

また、内容証明郵便を送れば、被害者が意思表示をした証拠が残ります。加害者が引き続き示談交渉に対応しなかった場合、慰謝料を増額できる事由になる可能性もあるでしょう。

なお、内容証明郵便を送る可能性もあることを踏まえて、相手側と連絡先を交換する際には、電話番号やメースアドレスなどだけではなく、住所も確認するようにしましょう。

保険を使わない事故相手に内容証明郵便を送る方法やメリットについて詳しくは『事故相手が保険を使わない|3つの賠償請求方法と内容証明のメリット』をお読みください。

対処法(2)ADR機関を利用する

ADRとは、裁判外紛争解決手続のことをいいます。
ADR機関を利用すれば、当事者間での話し合いによる解決が難しい場合に、第三者として中立的な立場から和解あっせんなどを行ってもらうことが可能です。

交通事故のADR機関には「交通事故紛争処理センター」「日弁連交通事故相談センター」などがあります。

ADR機関を利用すれば、ADR機関が加害者本人を呼び出してくれるので、連絡がこない場合も話し合いを開始できる可能性があります。

ただし、ADR機関の呼出しに加害者が応じない可能性もあることはあらかじめ留意しておきましょう。

また、ADRで介入してくれる第三者はあくまでも中立的な立場を貫くので、被害者の味方になってくれるとは限りません。
状況によっては被害者にとって不利な内容のアドバイス・和解案を提示してくることもある点は理解しておきましょう。

被害者の味方になってくれる専門家が必要なら、弁護士への依頼がおすすめです。

交通事故紛争処理センターの利用を検討している方は『交通事故紛争処理センター利用の流れとメリット・デメリットを解説』もあわせてお読みください。

対処法(3)弁護士を立てて法的対処をする

加害者本人から連絡がこない場合、弁護士に相談して法的対処をすることも検討しましょう。

法的対処の例としては、民事裁判があげられます。

民事裁判を起こした場合、加害者側が裁判所の呼出しを無視すると、被害者側の主張が全面的に認められることになり、遅延損害金の請求もできるようになります。
そのうえで、強制執行を申立て、加害者の財産を損害賠償金の支払いにあてさせるといった手続きを行うことになるでしょう。

なお、民事裁判は、下記の交通事故の損害賠償請求権の時効が来る前に訴訟提起する必要があります。

損害賠償請求権の時効

事故の種類時効
物損事故事故発生日の翌日から3年
人身事故(後遺障害なし)事故発生日の翌日から5年
人身事故(後遺障害あり)症状固定日の翌日から5年

また、訴訟を起こさない場合でも、弁護士を立てることは効果的です。
たとえば、先述の内容証明郵便についても、弁護士名で送ると、加害者としても対応する必要があると考える可能性が高まるでしょう。

そもそも、交通事故の加害者が無保険の場合、示談金の支払いを踏み倒されるリスクもあります。弁護士のサポートを受ければ、そのようなリスクにも対処してもらえるでしょう。


交通事故の弁護士の選び方については、『交通事故に強い弁護士の選び方・探し方|評判・口コミの注意点とおすすめの判断基準』の記事をご参考ください。

対処法(4)先にお金を受け取れる方法を使う

加害者本人から連絡がなく、治療費などを被害者自身で立て替えている場合、経済的に困窮してしまうことも考えられます。
そのような場合は、示談成立前にお金を受け取れる方法を使い、連絡があるまでしのぐのも選択肢のひとつです。

示談成立前にお金を受け取れる方法としては、加害者側の自賠責保険に被害者が直接請求する「被害者請求」が考えられます。

被害者請求を行えば、交通事故の示談金のうち、自賠責保険が負担する分を示談成立前に受け取れます。自賠責保険の支払額は法令で決まっており、示談交渉で争う必要がないため、示談成立前でもお金を受け取れるのです。

加害者側の自賠責保険は、加害者に直接問い合わせるほか、交通事故証明書でも確認できます。

被害者請求の方法や必要書類、上限額については、『交通事故の被害者請求|自賠責保険に請求するには?やり方とデメリット』の記事をご参考ください。

また、相手側からでなく、被害者側の人身傷害保険や車両保険などから保険金を受け取るという方法も考えられます。

ただし、保険を使用することによって、翌年以降の保険料が値上がりするケースもあるので、その点は要注意です。

保険会社からの電話・連絡に備えよう!示談の注意点まとめ

加害者側から示談交渉に関する連絡があったとしても、安心するのは危険です。

とくに、示談交渉の相手が加害者側の保険会社である場合、交渉のプロとやりとりすることになるため、被害者にとって不利な形で示談成立してしまうことが少なくありません

ここからは、加害者側の任意保険会社が示談相手である場合を想定し、示談交渉の注意点を説明していきます。

(1)交通事故発生直後に保険会社から連絡がなくても慌てない

保険会社から連絡がこないと示談交渉のステップに入れないため、交通事故発生直後に保険会社からの連絡がこないと不安になってしまうかもしれません。

しかし、冒頭でお伝えしたとおり、さまざまな理由により保険会社からの連絡が遅れることは必ずしも珍しいことでありません。

保険会社に連絡を督促するタイミングがあまりに早すぎると、保険会社の担当者にあまりよくない印象を与えてしまい、その後の示談交渉に悪影響を及ぼす可能性もあります。

一般的には、交通事故発生から1週間以内には保険会社からの連絡が来ることが通常なので、保険会社に連絡を督促するのは、交通事故発生から1週間程度経過したタイミングが一つの目安となります。

(2)交通事故直後の保険会社からの連絡内容には適切に対応する

交通事故直後に保険会社から連絡がある際には、担当者からの挨拶や今後の手続きの流れを案内されると共に、下記のような事項について確認を求められます。

  • ケガの状態や治療状況
  • 入院・通院先はどこか
  • 就労への影響
  • 立替金の有無
  • 事故車の修理工場は決まっているか

上記の確認事項について正確に答えないと、治療費や休業損害、修理費などを適切に払ってもらえなくなる可能性があるので注意が必要です。

また、下記のような書類の提出も求められます。

  • 同意書(医療機関や整骨院から診断書・施術証明書を取得するため)
  • 通院交通費明細書(通院交通費の金額を保険会社が把握するため)
  • 口座の確認書類(損害賠償金の支払い先を保険会社が把握するため)

上記の書類を提出しないと、治療費を保険会社から直接支払ってもらえなかったり、通院交通費などの損害賠償金の受け取りが遅れたりする可能性があるので注意が必要です。

ただし、医療照会の同意書を提出するかどうかはよく検討する必要があります。詳しくは『保険会社の同意書はサインしても大丈夫?交通事故の医療照会は特に注意』の記事をご確認ください。

(3)治療終了・示談開始の催促に安易に従わない

示談交渉の相手が加害者側の保険会社である場合、まだ治療を続ける必要があるのに「そろそろ治療は終わりにして示談交渉を始めましょう」と催促されたり、「これ以上の治療費は支払いません」と治療費の打ち切りを打診されたりすることがあります。

このような加害者側の保険会社からの催促に従い、本来は続けるべき治療を打ち切ってしまうと、以下のようなデメリットが発生します

  • 治療期間が短くなるため、受け取れる示談金が少なくなる
  • 後遺症が残っても「後遺障害認定」を受けられず、受け取れる示談金が少なくなる
  • 本来なら治るはずのケガが治らない

治療中に加害者側の保険会社から治療終了・示談開始の催促があったら、安易に従わず、まずは医師に治療を続けるべきか確認するようにしましょう。

もし、治療を続ける必要があるのなら、以下のような対応をすることをおすすめします。

  • 医師に意見書を書いてもらい、治療費支払いを延長するよう交渉する
  • 被害者が一旦治療費を立て替え、あとから加害者側の保険会社に請求する

治療費を立て替える場合は、健康保険を利用することで、立て替え負担額を軽減することができます。

ただし、上記のいずれの方法を取るにしても、被害者自身で対応すると交渉が難航する可能性が高いです。

強引に治療費を打ち切られてしまった、立て替えた治療費の請求が認められないといった場合は、弁護士に相談することで解決を目指しましょう。

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(4)高圧的な態度につられて感情的になると損

加害者側の保険会社は、少しでも示談金額を減らそうと交渉してきます。
このとき、交渉術のひとつとして、以下のような高圧的な態度をとってくることもあるでしょう。

  • 対応が事務的で冷たい
  • 専門用語を多用して難しい話し方をする
  • 被害者の質問や主張、言い分をしっかり聞かない

加害者側の保険会社の高圧的な態度に対して不満を持っても、被害者側が感情的になってしまうことはおすすめできません。
感情的になることで保険会社側が態度を軟化させたり謝罪したりすることは考えにくいですし、感情的になりすぎると保険会社側が弁護士を立ててくる可能性もあります

加害者側の保険会社の態度は戦術であると割り切って、下記のような丁寧な対応を心がけましょう。

  • 冷静に提示内容が適切だと思う法的根拠を尋ねる
  • 納得できない点は明確な回答を得られるまで質問する
  • 相手側の発言をメモや録音などにより記録しておく

担当者の態度があまりに悪い・不誠実な場合は、先述のそんぽADRや保険会社のカスタマーセンターに相談することも選択肢のひとつです。

ただし、上記の窓口に相談しても、担当者が変更になる可能性もありますが、必ずしも示談交渉で有利になれるわけではありません。

示談交渉で被害者側にとって有利な主張を通したいなら、弁護士を立てることもご検討ください。弁護士に依頼すれば、加害者側の保険会社とのやりとりをすべて任せてしまい、ストレスから解放されることも可能です。

(5)提示された示談条件を鵜呑みにしない

加害者側の保険会社から示談内容が提示されたとき、「よく名前の通った保険会社が言っているのだから妥当だろう」「早期解決したい」などと鵜呑みにしてしまうことは禁物です。

加害者側の保険会社は、支払う金額を抑えるために被害者にとって不利な計算をしていることが少なくありません

鵜呑みにして提示内容で合意し、示談書(免責証書)に署名・捺印して返送してしまうと、原則として撤回・再交渉はできなくなります。後からもっと高額な示談金を受け取るべきだったと気が付いても、取り返しがつかなくなるのです。

示談内容のうち、とくに重要な「示談金の金額」と「過失割合」について、加害者側の保険会社の言い分を鵜呑みにしてはいけない理由を深堀りしてみましょう。

示談金の金額について

加害者側の保険会社から提示された示談金は、保険会社が社内で設定している基準にもとづいて計算されています。
しかし、交通事故の被害者が本来受け取るべき相場の金額は、過去の判例をもとにした法的に適正な金額です。

過去の判例をもとにした計算方法で示談金を算定すれば、提示された金額の2倍~3倍になることも珍しくありません

慰謝料や休業損害、逸失利益など、事故相手の保険会社は低く見積もってくるため、示談をする前に、よく吟味する必要があります。

過去の判例をもとにした慰謝料金額等がいくらかは、以下の計算機で確認できます。

計算機の他にも、慰謝料の詳しい計算方法や仕組み、具体例を用いた計算例を紹介していますので、ぜひご活用ください。

なお、計算結果はあくまでも機械的なものなので、厳密な相場は法律の専門家である弁護士に相談しましょう。

過失割合について

過失割合とは、「交通事故が起きた責任が加害者側と被害者側の双方にどのくらいあるかを示す割合」のことです。

被害者側にも過失割合が付くと、その割合分、示談金が減額されるため、過失割合は最終的な支払額に大きく影響し、正当な過失割合で示談できないと被害者側は大きな不利益を被ることになります。

そのため、加害者側の保険会社は示談金の減額幅を大きくするべく、あえて被害者側の過失割合を多めに算出していることがあります

過失割合の提示を受けたときは、鵜呑みにするのではなく、まずはご自身で過失割合について調べてみましょう。「過失割合を修正できる事情が反映されていない」といった場合は、加害者側に主張していく必要があります。

ただし、過失割合に争いがある事案であっても、被害者自身では適切な過失割合を導けずに保険会社に言いくるめられてしまったり、主張のための証拠が不十分になってしまったりすることも多いです。

そのような場合に備えて、無料相談で弁護士のアドバイスを受けておくこともおすすめです。

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(6)示談金を最大限支払ってもらうには工夫が必要

示談交渉の相手が加害者側の保険会社である場合、知識量の差から被害者は不利になりやすいでしょう。
被害者は損害賠償や示談交渉についてよく知らないことが多いのに対し、保険会社の担当者はその道のプロだからです。

示談交渉の中で相手の保険会社に「被害者は相場の金額を知らないようだ」と悟られてしまうと、交渉は被害者にとって一気に不利になってしまいます。

また、弁護士に聞くなどして示談金の相場を知っていても、なぜその金額が相場だと言えるのか、本当に今回の交通事故でもその金額が相場なのかなどを根拠を持って主張できなければ、保険会社は相場の金額の支払いに応じないでしょう。

加害者側に示談金を最大限支払ってもらうには、交通事故についての法的知識を仕入れ、効果的に主張を行うことが必要です。

示談のテクニックについては、『交通事故の示談テクニック7つ!自分でできる交渉術と慰謝料増額の近道』の記事もご確認ください。

最も効果的なのは弁護士に任せること

示談交渉で満足できる示談金を獲得したいなら、法律のプロである弁護士に任せるのが1番確実です。

弁護士が交渉すれば、法的にしっかりとした根拠のある主張ができるだけではなく、加害者側の保険会社が裁判への発展をおそれて態度を軟化させる傾向にあります。

示談交渉(弁護士あり)

実際に弁護士に交渉を任せた方は、以下のような金額を受け取っています。いずれもアトム法律事務所が受任した事例です。

むちうちで後遺障害なしの事例

傷病名頚椎捻挫
後遺障害等級非該当
加害者側の提示額67万円
最終的な回収額182万円(約2.7倍に増額)

むちうちで後遺障害14級の事例

傷病名頚椎捻挫
後遺障害等級14級9号
加害者側の提示額168万円
最終的な回収額360万円(約2.1倍に増額)

骨折で後遺障害12級の事例

傷病名左足首骨折
後遺障害等級12級7号
加害者側の提示額365万円
最終的な回収額1,000万円(約3倍に増額)

後述する「弁護士費用特約」を使えば、自己負担なしで弁護士に依頼することも可能です。
なお、弁護士費用特約を使えなくても、弁護士に依頼した方が最終的に手元に入る金額が増えるケースは非常に多いです。

弁護士を立てれば、示談交渉や後遺障害等級認定申請手続き、その他さまざまな手続き、加害者側とのやり取りなどを一任してしまうことも可能です。
そのため、被害者は治療や日常生活を送りながら示談の進展を待つだけでよいことになります。

その他、弁護士に相談・依頼するメリットは、『交通事故を弁護士に依頼するメリット9選と必要な理由|弁護士は何をしてくれる?』にて解説しているので、あわせてご一読ください。

交通事故の示談について電話や連絡がない・遅いなら弁護士に相談

保険会社や加害者から連絡が来ず、交通事故の示談交渉を問題なく進められるのか不安なら、弁護士に無料相談してみましょう。弁護士に相談して悩みや疑問点を解消するのも選択肢のひとつです。

交通事故の示談交渉には、あらゆるシーンで法律知識が欠かせません。被害者の立場を有利にするために、弁護士は心強い味方になります。

お悩み解決と示談金増額を目指そう!電話・LINE無料相談

連絡がこないために示談を進められない状況を弁護士に相談すれば、この後どのような対応をとっていけばいいのか説明してくれるでしょう。

また、弁護士であれば、被害者が本来受け取れるはずの適正な金額の示談金を把握しています。納得のいく示談金を得るためにも、弁護士に相談しておくことは有益です。

連絡がこないと一人で悩んだり、保険会社や加害者に連絡したくてもどうやって連絡したらいいか迷ったら、弁護士にご相談ください。

アトム法律事務所では、電話・LINEによる弁護士への無料相談を実施しています。

無料相談の予約は24時間365日、年中無休で受け付けていますので、平日日中以外でもご連絡ください。

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「弁護士費用がかかって損をする」は実は誤解

弁護士への相談・依頼を検討するとき、「弁護士費用がかかって逆に損するのでは?」と思われる方は多いです。

実は、以下の2つの方法を使えば、弁護士費用で損することはほとんどなくなります

  • 弁護士費用特約を利用する
  • 弁護士への無料相談で見積もりを取る

それぞれの方法について、詳しく確認していきましょう。

弁護士費用特約を利用する

弁護士費用特約とは、保険会社に弁護士費用を負担してもらえる特約のことです。

弁護士費用特約を使えば、基本的に弁護士費用300万円まで、相談料10万円までを保険会社が支払ってくれます。

示談金がよほど高額にならない限り、弁護士費用(着手金や報酬金)が300万円を超えることはめったにありません。弁護士費用特約を使えば、自己負担金0円で弁護士に依頼できることも多いです。

弁護士費用特約とは

弁護士費用特約は、自動車保険だけではなく、火災保険やクレジットカードなどにも付帯されていることがあります。
また、被害者の家族の保険に付帯されている場合も利用できる可能性があるでしょう。

「知らないうちに弁護士費用特約が付帯されていた」といったケースも多いため、まずは保険契約状況を確認してみることをおすすめします。

弁護士費用特約については、『交通事故の弁護士特約とは?使い方・使ってみた感想やデメリットはあるかを解説』の記事が参考になります。

弁護士への無料相談で見積もりを取る

弁護士費用特約を利用できない方は、無料相談で示談金の増額幅と弁護士費用の見積もりを取ることで弁護士に依頼して損することを防げます。

多くの場合、示談金の増額幅が少なく、弁護士費用の方が高額になってしまうリスクがあるなら、弁護士に事前に教えてもらえます。弁護士に依頼したため、知らず知らずのうちに損してしまうことは実は少ないのです。

弁護士費用を差し引いても弁護士に依頼した方が得するケースは非常に多いため、まずは無料相談で見積もりを取ってみることが大切といえます。

見積もりをご希望の場合は、下記窓口より気軽にお問い合わせください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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