交通事故の相手が無保険ならどうする?慰謝料請求6つの対応
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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
「事故相手が無保険だったときどうすればいい?」
「適正に損害賠償してほしい…」
無保険車との事故では、まず被害者がきちんと損害賠償を受けられるかが争点です。
トラブル防止のために無保険車との事故におけるリスクを知りたい方は、「無保険のドライバーとはどういう状態なのか」をお読みください。
無保険車との事故で、きちんと慰謝料などの損害賠償金を請求する方法を知りたい方は「被害者が適正な慰謝料を獲得するための6つの方法」をお読みください。加害者に請求するパターンと、加害者以外に補償を請求する方法をまとめています。
被害者が損をすることなく、正当な損害賠償を受けられる方法をご説明します。
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交通事故相手が無保険のときに考えられるリスク
まず無保険のドライバーとはどういう状態か
無保険とは、任意保険未加入の状態、または自賠責保険・任意保険ともに未加入の状態のことです。
事故相手が無保険の場合、被害者は適正な損害賠償を受けられないリスクにさらされます。
自動車の保険制度
自動車の運転手には、被害者救済のために自動車保険への加入が義務付けられています。この保険を自賠責保険といいます。強制加入となるため、強制保険ともいわれます。
しかし、自賠責保険から支払われる金額には上限があります。
そこで、自賠責保険では補償が不十分な部分については、任意保険がカバーを行い、負担することとなるのです。
自動車保険は、このような2段階の構造となっています。

任意保険は自賠責保険とは違い、個人の意思で加入するものです。現在、ドライバーの約3割は任意保険に未加入ともいわれています。
無保険車との事故では、任意保険からの支払いが受けられないことから、加害者からの損害賠償が不十分となるおそれがあるのです。
慰謝料などの損害賠償金を得られない可能性がある
交通事故の被害者は、慰謝料を含め、加害者に対して以下のような費目について損害賠償請求を行うことができます。
- 慰謝料
入通院慰謝料:ケガの治療のために入通院した場合に請求できる慰謝料
後遺障害慰謝料:後遺障害が生じたと認定された場合に請求できる慰謝料
死亡慰謝料:被害者が死亡した場合に請求できる慰謝料 - 治療関係費
治療費・入院費・手術費用など - 通院交通費
通院のために必要な公共交通機関の交通費 - 休業損害
治療のために仕事を休んだことで生じる減収分 - 逸失利益
後遺障害が生じた、または、死亡したことによる本来得られたはずの将来の収入の減収分 - 物損関係費
自動車の修理費用・代車費用など
交通事故における慰謝料などの損害賠償金は、通常、加害者が加入する保険会社から、保険金として被害者に支払われます。
対して、加害者が無保険(任意保険未加入)の場合、被害者が受けとることのできる保険金は加害者側自賠責保険から支払われる分のみです。不足している分については、加害者自身に請求する必要があります。
しかし、無保険の加害者には十分な資力があるとは考えづらいものです。
そのため、事故相手が無保険の時、被害者がきちんと適正な損害賠償金を受け取れるのかが最大のポイントといえます。
損害賠償金は原則一括で支払われますが、一個人でまとまったお金を用意できるとは限りません。加害者に支払い能力がないときは、分割払いなども容認せざるを得ないでしょう。
ただし、分割払いでは途中で支払いが滞る可能性があります。
また、分割払いにすることで、長期にわたって加害者と関わっていかなくてはいけないという精神的な負担も大きいものです。
加害者本人に支払いを求める際の工夫については、次章の「被害者が適正な慰謝料を獲得するための6つの方法」をお読みください。
また、交通事故の慰謝料に関する基本的な情報を網羅的に解説した記事や、慰謝料および慰謝料以外に請求できる損害賠償金の具体的な計算方法について解説した記事もお役立てください。
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示談交渉の相手が加害者本人となる|示談交渉が進まない
加害者が無保険の場合、示談交渉の相手は加害者本人となります。
加害者本人とのやり取りの場合、連絡がつかない、返事が来ないなどのトラブルが起こりやすいものです。
また、被害者自身に過失のない事故(例:もらい事故)の場合には、被害者の任意保険会社は示談交渉を代行できません。そうなると、被害者と加害者が直接交渉することになります。
- 慰謝料をどのように決めれば良いのか
- 相場はどれくらいなのか
- 損害賠償として一般的に認められている項目は何なのか
当事者同士の示談交渉では、分からないことだらけで示談を前に進めることが困難になります。
慰謝料計算機でシミュレーション
例えば、示談交渉を弁護士に依頼した場合に被害者が受けとれる目安額は「慰謝料計算機」ですぐに分かります。
慰謝料計算機で算定される結果は、「弁護士基準」または「裁判基準」といわれる慰謝料算定基準に基づいています。裁判所でも使われている正当な基準であり、被害者が受けとる金額は最も高額になります。
しかし、弁護士基準での慰謝料獲得は、被害者自身の交渉では難しいでしょう。
以上の理由から、加害者と被害者という当事者間での示談交渉は被害者にとってデメリットが多く、避けるべきです。
後遺障害等級の認定を受けるのが難しい恐れがある
交通事故によるケガが完治しない場合には、後遺症が残ることとなります。
後遺症の症状が後遺障害に該当するという認定を受けると、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できるため、損害額が増加するのです。
後遺障害の認定を受けるための手続きは、加害者が任意保険会社に加入しているのであれば、任意保険会社に行ってもらうことができます。
しかし、加害者が無保険である場合には、常に被害者自身で後遺障害の認定手続きを自力で行わなければなりません。
認定手続きは専門知識が必要となってくるため、後遺症が残って辛い状況の中で手続きを自力で進めることは大変です。
また、手続きのための必要書類を適切にそろえることができないと、本来は後遺障害の認定を受けられるはずの症状なのに、認定を受けられないという恐れもあります。
自力で後遺障害認定の手続きが難しいと感じるのであれば、専門家である弁護士に相談してみましょう。
被害者による後遺障害等級の認定を受けるための手続きに関してや、どのような後遺症が後遺障害として認められるのかを知りたい方は、以下の関連記事をご覧ください。
物損部分が補償されない恐れがある
加害者が任意保険に未加入の場合でも、自賠責保険に加入していれば、治療費、慰謝料、休業損害などの人的損害について一定の補償を受けられます。
しかし、物的損害については、自賠責保険の補償対象外です。
加害者本人に請求をするか、被害者が加入している保険を使うほかありません。
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慰謝料を払うお金がない加害者が自己破産するおそれがある
無保険である加害者の多くは十分な資力を有していないため、損害賠償額が決まったとしても、支払うことができないとして破産手続きを行うおそれがあります。
加害者が自己破産した場合には、以下のような損害賠償金についてのみ破産後も請求することが可能です。
- 人的損害に対する損害賠償金である
- 加害者の重大な過失によって生じた損害である
重大な過失とは、飲酒運転や無免許運転などによる事故である場合などをいいます。
個別具体的な事情により重大な過失といえるかどうかが異なってくるので、専門家である弁護士に確認をとるべきでしょう。
被害者が適正な慰謝料を獲得するための6つの方法
(1)加害者本人に請求|踏み倒しなどの対策が必要
自賠責保険からの支払い限度超過分や、物損部分については、加害者に対して損害賠償を請求します。
損害賠償金を回収する可能性を高める方法として、次のようなものが考えられます。
- 内容証明郵便を送る
- 保証人を立ててもらう
- 公正証書の形式で示談書を作成する
- 裁判を起こす
それぞれの方法について解説を行います。
内容証明郵便を送る
示談交渉に応じてくれない、示談交渉がすすまないなど、加害者が示談交渉の場に出てこないときにも有効です。本人の受領を前提とした郵便方法のため、加害者にご自身の強い意思を伝えることにもなります。
保証人を立ててもらう
示談交渉により損害賠償額が決まったとしても、加害者にお金がないのであれば踏み倒されるリスクがあります。
踏み倒しを防ぐための方法として、保証人を立ててもらうという方法が考えられるでしょう。
この場合、保証人が支払いをしてくれる資力を有しているのかを、確認しておくことが大切です。
公正証書の形式で示談書を作成する
踏み倒しのリスクを低くする方法として、示談書を「公正証書」の形式にすることもおすすめです。
公正証書に「強制執行認諾条項」を明記しておけば、加害者からの支払いが滞ったときに、裁判を行わずに財産の差し押さえが可能になります。
ただし差し押さえるには、被害者(債権者)が加害者の預貯金の状況、資産状況などを把握していなければなりません。
裁判を起こす
示談が進まないときや、示談での解決が困難な場合の選択肢といえます。
判決が確定した場合には、判決により決まった金額について差押えが可能となるのです。
なお、加害者への請求金額が60万円以下の時には、少額訴訟という、比較的簡単な訴訟を起こすことができます。
請求金額が高額になると少額訴訟は行えません。より専門的な手続きや準備が必要になります。被害が甚大である場合は、弁護士に依頼をすることをおすすめします。
(2)被害者自身の保険を利用
加害者が無保険で、損害賠償請求額が自賠責保険の支払基準を上回る時、最も確実に金銭を受けとる方法は、被害者が加入している保険会社に保険金を請求する方法です。
加害者に対する請求では、加害者に財産や支払い能力が無いと、結局被害者は賠償金を受けとることができません。
実際に生じた損害を補てんするためには、被害者が加入している保険会社から保険金を受けとることが確実と言えます。
ここでは、4つの代表的な自動車保険をご紹介します。
- 搭乗者傷害保険
- 人身傷害保険
- 無保険車傷害保険
- 車両保険
1.搭乗者傷害保険
搭乗者傷害保険とは、運転手やその車両の同乗者が交通事故で負傷した際に補償する保険のことです。その車両に乗っている全ての人が補償対象になるので、血縁関係も不問です。
搭乗者傷害保険の補償を受けられる条件としては、正しい乗車をしていたことがあげられます。具体的には、シートベルトを適切に装着していた、チャイルドシートにきちんと座っていたなどが該当します。
搭乗者傷害保険が適用されないケースとしては、定員オーバーでの乗車、荷台への乗車、車両の窓(サンルーフ含む)から身体を出していた場合があげられます。
搭乗者傷害保険でもらえる保険金は、保険会社によって異なるものの、部位や症状に応じてあらかじめ決められた金額であることが多いです。あるいは、通院1日あたり、入院1日あたり、などの日額が設けられているケースもあります。
2.人身傷害保険
人身傷害保険では、過失に関係なく保険金を受けとることができます。
搭乗者傷害保険の定額制とは異なり、人身傷害保険は実費での支払いを受けます。人身傷害保険については、保険約款ごとの基準に応じて金額が算定されるでしょう。
関連記事
人身傷害保険ってどんな保険なの?慰謝料も受け取れる保険について解説
3.無保険車傷害保険
無保険車傷害保険は、加害者側が対人賠償の任意保険に未加入であったり、加入していても保険金額が十分でない場合に、被害者の保険会社から保険金を支払ってもらえるものです。
注意点としては、被害者が死亡した場合や後遺障害が残った場合などの重大事故にのみ適用される点です。適用されない場合もあるので、注意してください。
4.車両保険
車の修理費など、物損に関する費目の保険金が受け取れます。
車同士の衝突事故のほか、ガードレールとの接触事故、当て逃げなどにも適用される場合があります。
ただし、車両保険を利用すると基本的に等級が下がり、保険料が増加してしまう点に注意してください。
当て逃げに遭った場合の詳しい対処法や物損に関する保険については、以下の関連記事からご確認ください。
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(3)被害者が加害者側の自賠責保険会社に直接請求
被害者は「被害者請求」という方法で、加害者側の自賠責保険会社に慰謝料などを直接請求できます。
被害者請求
被害者が加害者側の自賠責保険会社に対して賠償金を直接支払うように請求する方法。自動車損害賠償保障法の16条で認められている被害者の権利で、16条請求とも呼ばれている。
自賠責保険基準に設けられている支払限度額は、次の通りとなります。
自賠責基準の支払限度額
損害 | 支払内容 |
---|---|
傷害関係 (治療費・入通院慰謝料・休業損害等) | 120万円 |
後遺障害 (後遺障害慰謝料・逸失利益) | 75万円~4,000万円* |
死亡 (死亡慰謝料・逸失利益) | 3,000万円 |
物損 | 対象外 |
※後遺障害等級による
被害者請求をするには、診断書のほか、保険金(共済金)・損害賠償額・仮渡金支払請求書、交通事故証明書などの様々な書類が必要です。
交通事故の被害者請求に関心がある方は、ぜひ弁護士にご相談下さい。煩雑な資料収集については弁護士がサポートしますので、被害者の負担を軽減できます。
被害者請求をもっと詳しく知りたい方は、『交通事故の被害者請求とは?自分で請求する方法』をお役立てください。
自賠責保険から受けとれる慰謝料などの補償をもっと知りたい方は、『自賠責保険から慰謝料はいくらもらえる?計算方法や支払い限度額を解説』をご覧ください。
治療には健康保険を利用
交通事故の治療には、健康保険を使うことができます。
健康保険を使うことで、治療費の自己負担を3割に抑えることができるのです。
病院での治療に健康保険が使えないという勘違いが多いのですが、健康保険の利用は国に認められています。
犯罪や自動車事故等の被害を受けたことにより生じた傷病は、医療保険各法(健康保険法(大正11年法律第70号)、船員保険法(昭和14年法律第73号)、国民健康保険法(昭和33年法律第192号)及び高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号))において、一般の保険事故と同様に、医療保険の給付の対象とされています。
保保発0809第3号/保国発0809第2号/保高発0809第3号
無保険車との事故においては、自賠責保険の支払限度額を超えた分を加害者本人に請求します。加害者がスムーズに支払ってくれれば良いのですが、きちんと支払ってくれるかは相手次第になってしまいます。
確実に支払いを受けられる自賠責保険の支払いを有効に活用するためにも、治療費は節減しておくことが望ましいです。
健康保険を使った治療(保険診療)の範囲内でも、ほとんどのケガの治療に十分と言われています。
健康保険で治療を受ける方法
治療費の支払いに健康保険を使うには、2つのステップが必要です。
- 医療機関で健康保険を使う意志をはっきり示す
- 「第三者行為による傷病届」を提出する
「第三者行為による傷病届」は、被害者加入の健康保険組合などに申請します。申請に必要な「交通事故証明書」は、自動車安全運転センターで入手できます。自動車安全運転センターの窓口で申請したり、オンラインでの申請が可能です。
被害者請求で請求できるのは、自賠責保険から支払われる賠償金額のみです。
自賠責保険の支払基準を超えている場合は、加害者本人に損害賠償請求をするか、被害者自身の保険に保険金で補てんしなくてはなりません。
交通事故で健康保険を利用する際の手続きを詳しく知りたい方は『交通事故で健康保険は使える|使えないケースや利用手続きを解説』の記事で確認可能です。
(4)労災保険の適用
交通事故が労災事故に該当する場合、労災保険に対して保険金を請求できます。
労災保険というのは、就労中(勤務中・通勤中)の事故や災害の被害を補償する保険です。
労災に該当する交通事故の場合は、加害者側の自賠責保険会社からの補償とは別に、被害者が加入する労災保険からの補償も受けとることができます。
もっとも、自賠責保険と労災保険の二重取りはできない仕組みになっています。重複して受けとった場合には、控除されたり、既払いと見なされます。
また、自賠責保険と労災保険にはそれぞれの支払基準があるため、同じ損害への補償でも金額が異なる場合があります。異なる場合には、金額の高い方が採用され、被害者が損をしないような仕組みがあるので安心です。(例:休業損害の補てん:自賠責保険100%、労災保険80%)
両者の特徴から、それぞれの違いを例示します。
自賠責保険と労災保険の違い(例)
- 労災保険からは慰謝料が支払われない
- 労災保険は過失割合の影響を受けない
- 後遺障害等級認定において労災保険の場合は面談がある
被害者の過失割合が大きい場合、慰謝料を少しでも早くもらいたい場合、後遺障害等級認定を考えている場合など、被害者のご状況によって得られるメリットは異なります。
労災保険の利用について検討している場合には、弁護士に相談し、意見を参考にしてみることもよいでしょう。
関連記事
通勤中の交通事故には労災保険を使おう!自賠責との関係や慰謝料への影響についても
(5)政府保障事業を利用
政府保障事業は、加害者が自賠責保険にも加入していない無保険車だった場合や、ひき逃げのため加害者が不明の場合に利用できます。
なお、次のような場合には政府保障事業の対象外とされます。
政府保障事業の対象外
- 同一生計の親族間事故(死亡事故の場合は例外あり)
- 複数車両の事故で1台でも自賠責保険に加入している場合
保障内容は自賠責保険の支払基準に準じ、自賠責保険と同様の限度額内となるので、被害者に生じた損害によっては、不十分な補償になってしまいます。
(6)加害者以外に請求
交通事故の損害賠償請求相手は、加害車両の運転手だけではありません。
法律の要件に該当していれば、加害者車両の運転手以外の人への請求が可能となるのです。
加害者以外に請求できる相手として、以下のようなものがあげられます。
- 運行供用者
- 使用者
それぞれ、どのような要件により請求が可能となるのかについて、解説を行います。
運行供用者責任
運行供用者とは、以下のような立場の人をいいます。
運行供用者
当該車両の運行を支配している人、当該車両の管理をしている人、当該車両の運行により利益を受けている人
運行供用者の考え方は、自動車損害賠償法3条に基づいています。
自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。
自動車損害賠償保障法 3条
条文の記載からすると、以下のようなものが運行供用者となります。
運行供用者に該当する可能性あり
- 社用車を運転していた従業員が起こした事故における会社
- 友人に車を貸していた場合の貸主
- 子が親の自動車を無断で運転して事故を起こした場合の親
運行供用者にあたらない条件(免責要件)は3つあります。
3つすべての要件を満たす必要があるので、免責されることは難しいものです。被害者が泣き寝入りすることのないよう、厳しい条件が設けられているのです。
- 運転者と同様に自動車の運転に関して注意を怠らなかった
- 被害者・運転手以外の第三者に故意・過失があった
- 自動車の構造上の欠陥や機能障害がなかった
加害者である運転手が無保険であっても、損害賠償請求できる相手が他にいれば、その相手に対して請求を行いましょう。
運転手本人・運行供用者に対して、全額請求しようと半分ずつ請求しようと被害者の自由です。
仮に被害者が運行供用者に対して全額を請求した場合には、運行供用者が支払い超過分を運転手本人に請求することになります。
運行供用者の要件についてより詳しく知りたい方は『運行供用者責任とは?わかりやすく具体例つきで解説』の記事で確認可能です。
ただし、運行供用者に請求できるのは人的損害の部分のみのため、物的損害については請求できないことに注意してください。
交通事故の損害賠償請求相手が分からない、運行供用者として請求していいのか分からない方は、まずは弁護士に状況を説明して、見解を尋ねてみることをおすすめします。
使用者責任
使用者責任とは、民法715条に規定されています。
事業のために他人を使用することで利益を得ているものに対して、使用している他人が事業のための行為により損害を生じさせた場合には、その損害に対して責任を負わせるというものです。
第七百十五条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
民法715条1項
「ある事業のために他人を使用する者」とは、加害者との間で事実上の指揮監督関係にあるものをいいます。
雇用関係にある場合だけでなく、請負契約である場合も認められる可能性があるといえるでしょう。
また「事業の執行」とは、行為の外観から判断します。
そのため、加害者が社用車を私的に利用して交通事故を起こした場合でも、外観からすると事業のために運転していたといえることから、「事業の執行」に該当する可能性があるのです。
無保険車との事故は弁護士に相談を
無保険車との事故を弁護士に相談するメリット
加害者が無保険車である場合には、加害者自身に対して損害賠償請求を行う必要があります。
しかし、金額の相場がよくわからないために話がすすまない、そもそも加害者にお金がないので請求しても実際に支払われるのかが不安であるといった問題が発生することが多いでしょう。
専門家である弁護士に相談を行えば、以下のようなメリットが生じ、被害者の不安解消につながります。
- 相場の金額を知ることができる
- 加害者が支払わない場合の適切な対応方法がわかる
- 依頼すれば、被害者の代理人として加害者との対応を代わりに行ってくれる
無保険の加害者に対して損害賠償請求を行う場合には、弁護士への相談を行っておくべきでしょう。
弁護士費用特約があれば弁護士費用は0円
弁護士に相談すべきメリットは分かっても、相談や依頼による弁護士費用が心配で依頼に踏み切れないという被害者は多いです。
しかし、「弁護士費用特約」を使えば、被害者は自己負担なく弁護士への相談や依頼できる可能性があります。
弁護士費用特約では、多くのケースで法律相談費用として10万円まで、弁護士費用として300万円までを、保険会社が負担してくれるのです。
弁護士費用特約の補償範囲
法律相談費用 | 弁護士費用 |
---|---|
10万円 | 300万円 |
法律相談費用や弁護士費用が上限の枠内に収まることは珍しくありません。
被害者が加害者に損害賠償請求する金額が大きくなるほど、弁護士費用300万円の上限を超える可能性が出てきますが、そのぶん獲得金額も増えるため、費用倒れになる可能性は低いといえます。
まずは弁護士に相談をして、加害者に請求できる金額の目安を知りましょう。
それから、弁護士費用特約の範囲で弁護士に依頼できるのかを確認してください。
弁護士費用や弁護士費用特約についてもっと詳しく知りたい方は、次の関連記事をお役立てください。
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まとめ
- 無保険にも自賠責保険加入・自賠責保険未加入の2パターンがあり得る
- 無保険車との事故では自身の保険会社への保険請求も視野に入れるべき
- 無保険車との事故において適切に対処するには弁護士への相談が最適
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了