通勤中の交通事故には労災保険を使おう!自賠責との関係や慰謝料への影響を解説

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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

通勤中や仕事中に交通事故にあってしまった場合、事業主に雇用されている労働者であれば労災保険が使えます。

また、労災保険だけではなく加害者側の自賠責保険や任意保険にも賠償請求すると、どちらか一方のみを利用するよりも多くの金額が手に入るので、併用することがおすすめです。

当記事では、労災保険の補償内容や請求手続きの方法、自賠責保険・任意保険との違い、併用方法などを解説していきます。

目次

通勤中や仕事中の交通事故には労災保険を使う

労災保険はどのような人を補償するための保険なのかや、対象となる事故ケースについて解説していきます。

労災保険は「雇用されている労働者」なら利用できる

通勤中や仕事中に交通事故にあった場合、利用できるのが労災保険です。
労災保険を使えば、業務災害や通勤災害によるケガや疾病、障害、死亡に対して補償金や給付金を受け取れます。

ただし、労災保険が使えるのは以下の人に限られます。

労災保険が使える人

  • 労災保険の適用事業*にて雇用されている労働者
    • 正社員
    • 派遣社員
    • 準社員
    • 契約社員
    • アルバイト・パート
    • 日雇い・臨時雇用の労働者

*法人であれば基本的に該当します。

上記の通り、労災保険は「労災保険の適用事業にて雇用されている労働者」に対して適用され、労働者の国籍や雇用体系は問いません。

労災保険の保険料は事業主が全額負担しているので、事業主に雇用されていない専業主婦や、一部例外を除く個人事業主・業務委託契約者は対象外となります。

適用事業に該当しているのにもかかわらず、事業主が労災保険の使用を渋っている場合は、労働基準監督署に相談したほうがいいでしょう。

労災保険の加入は、事業主に義務付けられています。
労災保険が使える立場にいる場合は、遠慮なく申請手続きをおこないましょう。

労災保険が使えるケースは通勤災害と業務災害

たとえ労災保険の補償対象となる労働者であっても、どんな事故でも労災保険が使えるわけではありません。
通勤災害または業務労災にあたる場合しか利用できないので、それぞれがどのようなものなのか解説していきます。

通勤災害は通勤中の事故

労災保険を適用できるケースの1つ目は「通勤災害」です。

通勤災害は「合理的な経路で通勤しているときに起きた事故」を指すので、通勤とは無関係の場所に寄り道などをした場合は、通勤災害には当たりません。

しかし、以下の行為などは日常生活上必要なことなので、用事を済ませて再度通勤経路に戻っていれば、通勤災害として認められます。

  • 通勤中の日用品の購入
  • 通勤中の選挙権の行使
  • 通勤中に病院などで診察を受ける

ご自身のケースが通勤災害にあたるのかわからない場合は、一度弁護士にお問い合わせください。
アトム法律事務所なら、電話やLINEにて無料相談が可能です。

業務災害は仕事中の事故

業務災害とは、仕事中に発生した事故のことです。

ただし、仕事時間内であっても、仕事とは関係ないことをしていて発生した事故や天変地異などによって生じた事故は業務災害として認められないことがあります。

なお、出張中に交通事故にあった場合は、出張過程全般が業務行為とされるため、業務災害として認められるでしょう。

交通事故の補償内容|労災保険と自賠責保険・任意保険

交通事故の被害にあった時、労災保険から補償される内容と、加害者が加入する自賠責保険・任意保険から補償される内容について解説していきます。

労災保険の補償内容

労災保険の補償や給付の内容には、以下のものがあります。

  • 療養補償給付(療養給付)
  • 休業補償給付(休業給付)
  • 傷病補償年金(傷病年金)
  • 障害補償給付(障害給付)
  • 介護補償給付(介護給付)
  • 遺族補償給付(遺族給付)
  • 葬祭料(葬祭給付)
    ※()内は通勤災害の給付の名称です。

それぞれがどのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。

療養補償給付(療養給付)

療養補償給付とは、ケガの治療のため必要になる費用のことで、具体的には以下のような費目に対して支給されます。

  • 診察
  • 薬剤または治療材料の支給
  • 処置、手術その他の治療
  • 居宅における療養上の管理や世話、その他看護
  • 病院や診療所への入院や看護
  • 移送

療養補償給付の金額は実費です。

休業補償給付(休業給付)

休業補償給付は、通勤中や仕事中の交通事故でケガをして働くことができず、療養している期間に支給されます。
休業補償の支給額は、事故前における被害者自身の平均賃金の60%です。
休業を開始してから最初の3日間は待期期間と呼ばれ、労災からの補償はされません。

待期期間中の減収については、加害者に対して休業損害として請求することが可能です。

休業補償については、相手方の保険会社から支払われる休業損害と混同しやすいので、詳しく知りたい方は『交通事故の休業で補償される休業補償と休業損害の違いや計算方法』をお役立てください。

傷病補償年金(傷病年金)

傷病補償年金は、療養を開始してから1年6ヶ月が経過してもケガが治らない場合に、休業補償から切り替わる形で支給が始まります。

ただし、ケガが傷病等級に該当しなければ傷病補償年金は支給されず、引き続き休業補償を受けることになります。

ポイント

療養開始から1年6ヶ月経ってもケガが治らない場合

  • 傷病等級に認定されると休業補償から傷病補償年金に切り替わる
  • 傷病等級に認定されないと休業補償が引き続き支給される

傷病等級と支給額については、以下の表を参照ください。

傷病等級障害状態支給額
1級常時介護が必要平均賃金の313日分
2級随時介護が必要平均賃金の277日分
3級常態として労働不能平均賃金の245日分

障害補償給付(障害給付)

障害補償給付は、ケガや疾病の治療後、障害が残ってしまった場合に支給される給付金です。

支給の種類や金額は障害の程度に応じて定められる等級によって異なります。
また、支給の形式も、等級によって「年金形式」と「一時金形式」に分かれます。

年金形式毎年偶数月に、その前2ヶ月分の金額が支給される
等級が1級から7級の場合は年金形式
一時金形式一度だけ支給される
等級が8級から14級の場合は一時金形式

同一の事故により2つ以上の障害が残ってしまった場合は、重い方の等級を基準に支給が決定されます。

介護補償給付(介護給付)

介護補償給付は、障害補償年金または傷病補償年金を受ける権利がある被害者で、常時または随時介護が必要であれば支給されます。
最高限度額は、常時介護が必要な方であれば月額16万5150円、随時介護が必要な方であれば月額8万2580円となっています。

遺族補償給付(遺族給付)

遺族補償給付は、労災事故によって死亡した被害者の遺族に対する給付です。
被害者の収入によって生計を維持していた、以下の方に支給されます。

  • 配偶者
  • 父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

生計維持関係の基準としては、被害者と同居していたかどうかなどで判断されます。
共稼ぎの配偶者であっても対象になりますし、内縁関係でも対象になるケースがあることに注意してください。

基本的には年金支給になり、年金額は遺族の数により異なります。
被害者の死亡当時、遺族補償年金を受け取る遺族がいない場合は、遺族補償一時金が支給されます。

葬祭料(葬祭給付)

葬祭料は、葬祭をおこなう者に対して支給されます。
金額は、以下のうち高い方が支給されます。

  • 31万5000円+被害者の事故前における平均賃金の30日分
  • 被害者の事故前における平均賃金の60日分

自賠責保険・任意保険の補償内容

加害者側の自賠責保険や任意保険の補償内容は、主に以下の通りです。

  • 治療関係費
  • 休業損害
  • 逸失利益(後遺障害逸失利益・死亡逸失利益)
  • 介護費用(介護用品・将来介護費など)
  • 葬儀費用
  • 慰謝料(入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料)

被害者ごとに被った損害は異なるので、請求する補償は多岐にわたります。
したがって、ここではどのような被害者でも共通して請求するであろう主な補償を示しています。

なお、自賠責保険には支払限度額があります。支払限度額を超える部分の損害は、加害者側の任意保険に請求する仕組みとなっています。

任意の自動車保険と自賠責保険

比較|労災保険と自賠責保険・任意保険の補償内容の違い

交通事故の被害者は、労災保険からの補償以外にも、加害者側の自賠責保険・任意保険に損害賠償請求することで補償が得られます。

ただし、労災保険と自賠責保険・任意保険で重複する費目は金額が相殺される点に注意してください。

それぞれの補償内容を比較し、重複する費目と重複しない費目を確認しておきましょう。

補償労災保険自賠責保険
任意保険
療養の補償療養補償給付治療関係費
休業の補償休業補償給付休業損害
傷病の補償傷病補償年金休業損害
逸失利益障害補償給付
遺族補償給付
後遺障害逸失利益
死亡逸失利益
介護の補償介護補償給付介護費用
葬儀費用葬祭料葬儀費用
慰謝料×入通院慰謝料
後遺障害慰謝料
死亡慰謝料
特別支給金特別支給金×

※ 補償されないものは×と表記しています。
※ 労災保険は業務災害の給付名称で説明しています。

上記の通り、補償内容が重複している費目は二重取りできません

たとえば、交通事故によるケガの治療で休業し、100万円の減収が生じたとします。
この場合、労災保険の休業補償は60万円、自賠責保険・任意保険の休業損害は計算上100万円となります。
しかし、休業補償と休業損害の金額は相殺されるので、受け取れる合計額は100万円となるのです。

一方、補償内容が重複していない特別支給金と慰謝料は、二重取りにはなりません。慰謝料と特別支給金は、労災保険と自賠責保険・任意保険を併用することで手にすることが可能です。

交通事故で労災保険を併用するメリット

労災保険と自賠責保険・任意保険で補償内容が重複している費目は二重取りできないことがわかりました。

このように聞くと、労災保険と自賠責保険・任意保険を併用する意味があるのだろうかと感じる人も多いでしょう。しかし、交通事故では、これらの保険をうまく併用することで充実した補償を得ることができます

交通事故で労災保険を併用するメリットについてみていきましょう。

(1)前払い一時金の制度がある

障害補償年金や遺族補償年金は、前払い一時金を受け取ることができます。

前払い一時金は、本来なら将来給付されるはずの金額を先に受け取るものです。
よって、前払い一時金を受け取ると、その金額分の期間は年金の支給が停止しますが、一度に多くのお金が必要な場合には非常に助かる制度です。

なお、前払い一時金として受け取れる最大金額は、障害補償年金なら1200日分、遺族補償年金なら1000日分となります。

(2)労災保険からしかもらえない特別支給金がある

労災保険には、先ほど紹介した各種補償給付に付加する形で「特別支給金」も給付されます。

労災福祉の観点から支給される労災独自の特別支給金は、労災保険を利用しなければ受け取れません

特別支給金の一覧は以下の通りです。

保険給付の種類特別支給金
休業補償給付
(休業給付)
休業特別支給金
傷病補償年金
(傷病年金)
傷病特別支給金
傷病特別年金
障害補償給付
(障害給付)
障害特別支給金
障害特別年金
障害特別一時金
遺族補償給付
(遺族給付)
遺族特別支給金
遺族特別年金
遺族特別一時金

「〇〇特別支給金」は、労災の保険給付に付加して支給される見舞金のようなものをいいます。
「〇〇特別年金」や「〇〇特別一時金」は、いわゆる賞与などの給与額を基礎にして支給されるものです。

特別支給金によるメリットの事例

労災保険を利用することで受け取れる特別支給金にはメリットがあります。

休業補償給付を例にみていきましょう。

休業で生じた減収の60%は、労災保険から「休業補償」として支払われます。しかし、これだけでは足りないので、残りの40%は加害者側の保険会社に「休業損害」として請求します。

さらに、減収の20%分が労災独自の「休業特別支給金」として支払われるので、結果的に減収額の120%にあたる金額が受け取れるのです。

特別支給金のメリット(一例)

補償
労災保険の休業補償減収額の60%
加害者側の保険会社の休業損害減収額の40%
労災保険の休業特別支給金減収額の20%
合計減収額の120%

傷病特別支給金においては、1級だと114万円、2級だと107万円、3級で100万円を一時金として受け取ることができます。

(3)病院での窓口負担なし

労災指定の病院で診察などを受けた場合、被害者が窓口で治療費などを負担する必要はありません。

ただし、労災指定の病院でない場合は、被害者が診察や治療の費用を一時的に負担しなければなりません。
この際、健康保険を利用できないため、一時的ではあるものの全額負担になるので気を付けてください。

(4)限度額や過失相殺がない

通常の交通事故では、加害者側の自賠責保険・任意保険に対してさまざまな損害賠償請求を行いますが、十分な補償を受けられない可能性もあります。

以下のような事情から、十分な補償を受けられない可能性が生じるでしょう。

  • 自賠責保険には請求内容に応じて限度額が設定されていて、超過分は加害者側の任意保険に請求する。
    しかし、任意保険への請求額は示談交渉次第なので、交渉がうまくいかなければ少ない金額しか受け取れない
  • 加害者側の保険会社に請求できる金額は、被害者側につく「過失割合」の分だけ減らされてしまう(過失相殺)。

労災保険には支払限度額も過失割合もないので、療養補償給付は実費分、その他の費目は労災で定められた金額分がきちんと支払われます。

交通事故で労災保険を利用する際の注意点

労災保険を利用する場合、慰謝料や健康保険について注意しておかねばなりません。

(1)労災保険から慰謝料はもらえない

先述した通り、労災保険の補償内容に慰謝料は含まれません。

つまり、労災保険から慰謝料の支払いは受けられないので、たとえ労災保険を利用していても、慰謝料については別途、加害者側の自賠責保険や任意保険に請求する必要があるのです。

(2)労災保険と健康保険は併用できない

交通事故によるケガの治療でも、通常は健康保険を使えます。

しかし、健康保険は業務外の事故に適用されるので、労災保険を使うような交通事故の場合には使えません。

労災保険が適用になる事故であるのにもかかわらず、健康保険を使ってしまった際は、労災保険に切り替える必要が出てきます。

労災保険と健康保険の違いについては以下の通りです。

項目健康保険労災保険
補償の範囲業務外のケガ・疾病・障害・出産業務中や通勤中のケガ・疾病・障害・死亡など
補償の対象者サラリーマンなど労働者
保険料給料から天引き全額事業主負担
窓口負担あり
(原則3割負担)
なし

【結論】労災保険の不足分は自賠責保険・任意保険と併用して補おう

すでにお伝えした通り、労災保険と自賠責保険・任意保険で補償内容が重複している費目は二重取りできません。言い換えると、補償内容が重複しない費目に関しては、労災保険と自賠責保険・任意保険それぞれに請求していかない限り、手に入らないことを意味します。

たとえば、労災保険からは慰謝料の支払いを受けられませんし、休業補償給付なら減収の60%にあたる金額しか給付されないなど、労災保険だけでは補償が不十分な部分もあります。

そうした労災保険だけでは不十分な部分については、加害者側の自賠責保険・任意保険に請求しましょう。

そうすることで、労災保険だけでは不十分な部分を補いつつ、労災保険からしか受け取れない特別給付金も受け取れます。

労災保険と自賠責保険・任意保険の併用方法

労災保険と自賠責保険・任意保険を併用する場合、それぞれに対して請求しなけらばなりません。

請求手続きに関する解説をはじめ、労災保険と自賠責保険・任意保険を併用する場合はどちらを優先して請求した方がいいのかについても解説します。

労災保険への請求手続

まずは、労災保険への手続き方法を解説していきます。
労災保険の手続き方法は、以下の通りです。

労働基準監督署に、以下書類を提出する。

  • 各種給付金の請求書
    • 療養補償給付の請求書は、労災指定病院を経由して提出
  • 第三者行為災害届
    • 請求書に先立って、または一緒に提出
    • 加害者に関する情報を記入

なお、傷病補償は請求の必要がありません。
療養開始から1年6ヶ月経ってもケガが治っていない場合に「傷病の状態等に関する届」を提出し、ケガの状態について報告しましょう。

後遺症が残った場合は後遺障害認定も受ける

交通事故によって後遺症が残った場合は、後遺障害等級の認定審査を受ける必要があります。
認定された等級に応じて、後遺障害に対する補償額が決まるからです。

通常の交通事故なら自賠責損害保険料率算定機構における審査を受けるのですが、労災の場合は労働基準監督署による審査も受けることができます。

労災の場合の後遺障害認定申請

  1. 必要書類を労働基準監督署に提出
  2. 提出書類や面接を通して審査が行われる
  3. 結果が通知される

どちらの審査でも、各等級に認定される症状の条件は同じです。
しかし、損害保険料率算出機構の方が厳しく審査される傾向にあるので、労災で審査を受ける方がより高い等級に認定される可能性があります。

2つの機関による審査結果が違う場合、より有利な審査結果の方を採用することができるので、労災事故の場合は労災による後遺障害等級認定も受けてみるとよいでしょう。

損害保険料率算出機構における後遺障害等級認定の手順については、関連記事『交通事故の後遺障害認定|認定の確率を上げるポイントと手続きを解説』で詳しく解説しています。

自賠責保険・任意保険への請求手続

つづいては、自賠責保険・任意保険への手続き方法についてです。
加害者が任意保険に加入しているかどうかや、被害者が早期にお金を手にしたいかどうかで、請求の流れが変わってきます。

加害者が任意保険に加入している場合

加害者が任意保険に加入している場合、加害者側の任意保険会社と「示談交渉」を行います。

示談交渉とは、事故の当事者双方が話し合いによって問題の解決を図ろうとすることです。
通常、加害者が任意保険に加入していると、担当者から示談案を提示されることで、示談交渉がはじまることになるでしょう。

任意保険会社の示談案に納得すれば示談成立ですが、不満がある場合は納得いくまでさらに交渉を続けます。

任意保険会社が提示する示談案は、被害者が本来手にできるはずの金額よりも低い可能性が高いので、安易に合意すべきではありません。

交通事故の示談の基本的な意味や、具体的な示談交渉の流れについては、関連記事『交通事故の示談とは?示談の内容と交渉の流れ』で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。

加害者が任意保険に未加入だったり、早くお金がほしい場合

加害者が任意保険に未加入の場合や、早くお金を受け取りたい場合、加害者側の自賠責保険に「被害者請求」を行います。

被害者請求とは、加害者側の自賠責保険に対して、被害者が自ら請求をおこなうことです。
必要書類を加害者側の自賠責保険会社に提出すると、示談成立前であっても自賠責保険の支払限度額内で賠償金が支払われます。

被害者請求を行わないと、以下のような流れで賠償金が支払われます。

  1. 被害者と加害者本人あるいは任意保険会社が示談交渉を行い、賠償金が支払われる
  2. 支払われた賠償金のうち自賠責保険の支払い分を、加害者本人あるいは任意保険会社が自賠責保険会社に請求する

加害者本人あるいは任意保険会社と自賠責保険会社との間で清算が行われるイメージです。

この方法だと示談が成立するまで賠償金を受け取れません。そこで、早くお金が必要な場合に被害者請求をするとよいでしょう。

被害者請求の方法についてより詳しく知りたい方は、関連記事『交通事故の被害者請求とは?自分で請求する方法』をご覧ください。

なお、自賠責保険からの支払額では足りない金額は別途示談交渉を通して、加害者本人あるいは加害者側の任意保険会社に請求します。

労災保険と自賠責保険・任意保険はどちらを先に優先する?

労災保険と自賠責保険・任意保険を併用することで、充実した補償を得られることが分かりました。しかし、いざ交通事故に巻き込まれると、どちらの保険を先に優先すればいいのかわからないと思います。

結論から言えば、どちらの保険を先に優先して請求すべきかは自分で決めることができます

もっとも、どちらの保険を優先すべきかは状況によって変わってくるので注意が必要です。

自賠責保険・任意保険を先に優先するのが推奨

厚生労働省は、先に自賠責保険に請求することを勧めています。その方が、重複する費目の金額相殺がスムーズにできるからです。

また、休業の補償に関しては自賠責保険・任意保険の方が高額になります。自賠責保険・任意保険に請求したあとでも、労災保険の休業特別支給金は請求できるので、より充実した補償を手にできます。

労災保険を先に優先した方がいいケースもある

労災保険を先に優先した方がいいケースは次の通りです。

  • 自分の過失割合が大きいとき
    自賠責保険・任意保険で支払われる賠償金は過失相殺の影響を受けるため、過失相殺の影響を受けない労災保険を優先した方がいい
  • 事故車両の所有者が運行供用責任を認めないとき
    事故車両が盗難車だったり、所有者の許可なく運転されていたりした場合は、自賠責保険の請求が認められないこともある
  • 加害者が自賠責保険未加入または任意保険による補償が不十分なとき
    加害者が自賠責保険に未加入の場合はそもそも自賠責保険を使えず、任意保険による補償が十分でない場合もある

以上のような事情がない限り、基本的には自賠責保険・任意保険を優先しましょう。ただし、自賠責保険・任意保険を優先したら労災保険への請求も忘れないでください。

交通事故で請求できる慰謝料の種類と金額

自賠責保険・任意保険にしか請求できない慰謝料について解説します。

自賠責保険・任意保険に請求できる慰謝料

労災保険から慰謝料は支払われませんが、加害者が加入している自賠責保険・任意保険からは慰謝料が支払われます。

交通事故の慰謝料には、次の3種類があります。

  1. 入通院慰謝料(傷害慰謝料とも呼ばれる)
    交通事故によって入通院した場合に請求できる
  2. 後遺障害慰謝料
    交通事故による後遺症に対して後遺障害等級が認定されると請求できる
  3. 死亡慰謝料
    交通事故によって死亡した被害者とその遺族が請求できる

これら3つの慰謝料は、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準のいずれかを用いて計算されることになります。

自賠責基準自賠責保険から支払われる金額を示した基準
任意保険基準示談交渉で加害者側の任意保険会社が提示してくる金額を示した基準
弁護士基準弁護士や裁判所が用いる過去の判例をもとにした金額を示した基準(裁判所基準とも呼ばれる)

自賠責保険に請求できるのは「自賠責基準」で計算した金額です。
しかし、自賠責基準の金額は低額なので、被害者が本来手にできるはずの妥当な金額まで引き上げるには示談交渉を行って任意保険会社に請求する必要があります。

慰謝料金額相場の3基準比較

被害者が本来手にできるはずの妥当な金額を計算できるのは「弁護士基準」です。

加害者側の任意保険会社は、示談交渉で「任意保険基準」の金額を提示してきますが、弁護士が交渉することで弁護士基準に近い金額を得られる可能性が高まります。

交通事故の慰謝料を弁護士基準で算定するためには、慰謝料計算機が便利です。情報を入力するだけで慰謝料が自動計算されるツールで、無料で使えます。

慰謝料計算機で確認した結果が、加害者や加害者側の任意保険会社からの提示額とかけ離れている場合には、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。

慰謝料計算機が自動で計算している計算方法の仕組みについても知っておきたいという方は、『交通事故の慰謝料を正しく計算する方法』の関連記事がおすすめです。

十分な慰謝料額を得るには弁護士が必要

繰り返しになりますが、自賠責保険から支払われる慰謝料額は少ないので、足りない部分は加害者側の任意保険会社に請求します。

被害者が本来受け取るべき慰謝料額は「弁護士基準」に基づいたものですが、これは本来裁判を起こした場合に得られる金額なので、被害者自身による示談交渉では獲得がむずかしいです。

高額で適正な慰謝料を手に入れたい、泣き寝入りしたくない、ということであれば、専門知識と資格を持つ弁護士を立てることがベストです。
専門家からの根拠のある主張であれば、加害者側も支払いに応じる可能性が高まります。

弁護士が示談交渉することで増額が認められる可能性が高い

アトム法律事務所では、交通事故被害者であれば無料の法律相談が可能です。
一度、気軽にご相談ください。

慰謝料以外に不足している部分も請求しよう

慰謝料以外に請求できる休業損害や逸失利益などの示談金についても、正しく計算して請求していく必要があります。

関連記事『交通事故の示談金の計算方法・相場は?示談金増額のコツも徹底解説』を読んでおけば、ご自身が請求しうる示談金の内訳やその計算方法が分かるでしょう。

弁護士にご相談いただければ、慰謝料以外に不足している示談金についても正しく計算可能です。

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弁護士費用や弁護士費用特約については、以下の記事が参考になります。
交通事故の弁護士費用相場はいくら?
交通事故の弁護士費用特約|使い方とメリット&デメリット
あわせてお読みください。

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まとめ

  • 通勤中や仕事中の交通事故には労災保険を使う
  • 労災保険は事業所が加入していれば誰でも使える
  • 労災保険にはメリットがたくさんある
  • 労災保険と自賠責保険・任意保険は重複しない範囲で併用が可能
  • 労災保険と自賠責保険・任意保険を併用しても慰謝料の金額には影響がない

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」「ネット削除依頼」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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