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交通事故で使える保険や請求の流れ|過失割合や示談交渉に要注意

更新日:

交通事故で使える保険

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

交通事故に遭った場合、被害者は被害者自身の保険や加害者の保険から保険金を受け取れます。
しかし、一口に保険といっても実際にはさまざまなものがあるので、どれを使えば良いのか、どんな風に保険金請求をすれば良いのか混乱しがちです。

また、場合によっては保険が使えなかったり、保険金が減額されてしまったりすることもあります。

この記事では、交通事故に遭った時に使える保険や保険金請求の流れ・注意点を解説しています。
この記事を読めば、どんな保険からどんなお金がもらえるのか、どんなことに気を付けて保険金請求すれば良いのかがわかるでしょう。

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交通事故で使える自動車保険

交通事故で使える自動車保険には、加害者のものと被害者のものがあります。
それぞれ見ていきましょう。

(1)加害者の自賠責保険|上限あり・物損の補償なし

交通事故の被害者は、治療費や慰謝料といった損害賠償金を加害者の自賠責保険から受け取れます。
もし被害者が加害者から賠償請求されたら、被害者も自身の自賠責保険を使って、加害者に賠償金を支払うことになります。

自賠責保険は交通事故被害者に対する最低限の補償を目的とするもので、車を運転する人であれば必ず加入が必要な強制保険です。
ただし、加害者の自賠責保険から受け取れる賠償金については、以下の注意点があります。

  • 人身に関する保険金しか受け取れない
  • 受け取れる保険金額には上限がある

それぞれについて詳しく説明していきます。

人身に関する保険金しか受け取れない

加害者の自賠責保険から受け取れるのは、人身に関する以下の賠償金のみです。

  • 治療関係費(治療費、通院交通費、看護費など)
  • 慰謝料(入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料)
  • 休業損害
  • 逸失利益(後遺障害逸失利益、死亡逸失利益)
  • 葬祭関係費(通夜・葬儀の費用、位牌の費用など)

車の修理費や代車費用など物損に関する賠償金は、加害者側の自賠責保険からは受け取れません。
物損に関する賠償金は、この後紹介する加害者の任意保険から受け取るか、加害者本人から受け取ることになるのです。

受け取れる保険金額には上限がある

すでに解説したように、自賠責保険は交通事故被害者に最低限の補償を行う保険です。
よって、支払われる賠償金には以下のような上限額があります。

  • 傷害による損害:120万円
    • 治療関係費、入通院慰謝料、休業損害など
  • 後遺障害による損害:75万円~4000万円
    • 後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益
    • 限度額は、「後遺障害等級」ごとに異なる
  • 死亡による損害:3000万円
    • 葬祭関係費、死亡慰謝料、死亡逸失利益

しかし、交通事故の損害賠償金は、上記の限度額を超えることも多いです。
上記の限度額では不十分な場合、不足分はこの後紹介する加害者の任意保険から支払われるか、加害者本人から支払われます。

(2)加害者の任意保険|支払額は示談交渉で決まる

交通事故の損害賠償金は、加害者の任意保険、正確には加害者の任意保険に含まれる「対人賠償保険」と「対物賠償保険」から支払われます。

すでに解説した通り、加害者の自賠責保険からは物損に関する賠償金は支払われません。また、人身に関する賠償金にも限度額があります。
そこで、物損に関する賠償金や、自賠責保険の限度額を超える部分を支払ってくれるのが、加害者の任意保険(対人・対物賠償保険)なのです。

なお、被害者でも、加害者から自賠責保険の限度額を超える賠償金を請求されることがあります。
この場合は、被害者も自身の任意保険を使って、加害者に損害賠償金を支払います。

加害者の任意保険から支払われる賠償金には、以下の注意点があるので詳しく見ていきましょう。

  • 加害者が任意保険に入っていないことがある
  • 任意保険からの支払額は示談交渉で決まる

加害者が任意保険に入っていないことがある

任意保険は、自賠責保険とは違い任意で加入するものです。
よって、中には加害者が任意保険に入っていないケースもあります。

加害者が任意保険に未加入の場合、本来なら任意保険から支払ってもらうはずの賠償金は、加害者本人に支払ってもらいます。
ただし、加害者の資力によっては賠償金の支払いが分割になったり、踏み倒されたりするリスクがあるので、それ相応の対策が必要です。

加害者が任意保険に入っていない場合の注意点や対処法は、『交通事故の相手が無保険ならどうする?慰謝料請求6つの対応』で詳しく紹介しています。参考にしてみてください。

任意保険からの支払額は示談交渉で決まる

自賠責保険から支払われる賠償金は、国によって定められた方法で計算されます。そのため、交渉によって金額が変わることはありません。

一方、任意保険から支払われる賠償金額は、示談交渉によって決められます。交渉次第で支払額が多くなる可能性もあれば、少なくなる可能性もあるのです。

(3)被害者自身の自動車保険|代表的な6つを紹介

交通事故の被害者は、加害者の加入する自動車保険だけでなく、自身が加入している自動車保険からも保険金を受け取れる可能性があります。
ただし、自動車保険にはさまざまな保険・特約・プランが含まれていて、ケースによって使うべきものは違います。

代表的なものとして以下の6つを紹介していくので、参考にしてみてください。

  1. 人身傷害補償保険
  2. 搭乗者傷害保険
  3. 車両保険
  4. 他車運転特約
  5. 無保険車傷害保険
  6. 示談代行サービス

人身傷害補償保険

人身傷害補償保険とは、被保険者がケガをした場合に使える保険であり、特徴は以下の3点です。

  • 保険加入時に設定した上限額内で、実際の損害賠償金と同じ金額がもらえる
  • 被害者側に過失があっても、過失相殺は考慮されない
  • 人身傷害補償保険の利用によって保険の等級が下がることはない

人身傷害補償保険では、上限はあるものの、実際の損害賠償金と同じ金額がもらえます。
ただし、加害者側から受け取った損害賠償金と相殺される点には注意してください。

人身傷害補償保険の重要なポイントは、「過失相殺が適用されない」ということです。

過失相殺とは?

被害者についた「過失割合」分、損害賠償金が減額されること。
過失割合とは、交通事故が起きた責任が加害者側と被害者側それぞれにどれくらいあるか、割合で示したもの。

たとえば、被害者が受け取れる損害賠償金が本来100万円でも、過失割合が2割つくと、加害者の自賠責保険・任意保険からは100万円の2割引きである80万円しか受け取れません。
しかし、被害者自身の人身傷害補償保険からは、過失相殺を考慮しないまま100万円が受け取れます。

ただし、すでに解説したように、加害者側から受け取る損害賠償金と人身傷害保険の保険金は相殺されます。
そのため、実際には加害者側から受け取れる金額と人身傷害補償保険から受け取れる金額の合計は以下のようになるので注意してください。

(加害者側から受け取れる80万円)+(人身傷害補償保険で受け取れる100万円)-(両者で重複する80万円)=100万円

加害者側からの支払額と相殺されるにしても、過失相殺による減額分は人身傷害補償保険によってカバーできるので、利用するメリットは大きいと言えます。

人身傷害保険について詳しく知りたい方は『人身傷害保険ってどんな保険なの?慰謝料も受け取れる保険について解説』の記事を確認してください。

搭乗者傷害保険

自分自身や同乗者のケガを補償する保険として搭乗者傷害保険というものもあります。
搭乗者傷害保険では、実際の損害額に関わらず、保険加入時に設定した所定の金額が保険金として支払われます。

搭乗者傷害保険は見舞金と呼ばれることも多く、人身傷害補償保険との併用も可能です。

保険金は一時金として支払われる場合もあれば、入院や通院の日数に応じて1日あたりいくらという決め方をしている場合もあり、保険会社によってさまざまです。

搭乗者傷害保険と人身傷害保険は混同されることも多いので、違いについてより詳しく知りたい場合は『人身傷害補償特約の補償内容と必要性|搭乗者傷害保険との違いは?』をご覧ください。

車両保険

車両保険とは、自分自身の車の損害をカバーする保険です。
車両保険は人身傷害保険と同様、保険金額に被害者の過失割合は影響しません。

なお、商品名は保険会社ごとに異なりますが、一般的に車両保険には、オールリスクに対応する一般型と、対象損害を限定するエコノミー型とがあります。
エコノミー型では、車同士の事故ではない自損事故や、当て逃げについては補償の対象になりません。

自損事故や当て逃げ事故は、加害者がいないまたは不明な状態なので、特有の注意ポイントがあります。詳しくは、以下の関連記事をご確認ください。

関連記事

他車運転特約

他車運転特約とは、友人の車やレンタカーを借りている場合など、借用中の車を運転中の事故でも、自分の車の自動車保険を利用し、補償を受けられる特約です。
通常、他人の車を借りていて事故に遭った場合、その車の持ち主が加入する保険を使うことになります。

しかし、これでは車を貸してくれた相手に迷惑がかかってしまいます。そこで役に立つのが、他車運転特約です。

ただし、他車運転特約には以下のような注意点もあるので、利用する場合は把握しておきましょう。

  • 保険を使うと、原則次年度以降の等級が下がり、保険料が上がる
  • 他車運転特約は、車両保険が適用できるケースでしか使えない
  • 他車運転特約は、走行中の事故に限り補償を受けられる

レンタカーを借りていて事故にあった場合に受けられる補償については、『レンタカーで事故にあったら保険や賠償はどうなる? 自己負担などの注意点も解説』の記事でより詳しく解説しています。

無保険車傷害保険

無保険車傷害保険とは、無保険の自動車によって起きた交通事故により、被保険者である被害者が死亡、または後遺障害を負った場合に利用できる保険です。

事故の相手が保険に入っていない場合や、相手の保険会社から保険金が支払われない場合、加害者が不明な場合に利用できますが、いずれにしても、交通事故により死亡または後遺障害の残存といった損害が生じていなければ利用はできません。

「政府の補償事業」の利用検討も

交通事故の加害者が自賠責保険にすら入っていなかったり、不明だったりする場合は、政府の補償事業の利用も検討してみてください。
政府の補償事業とは、被害者が受けた損害を国が加害者にかわって補てんする制度です。
支払限度額は自賠責保険と同じです。

損害保険会社である特定の保険会社が請求のための手続きを行っているので、請求のために必要な書類を損害保険会社に提出しましょう。

詳しく知りたい方は『損害保険料率算出機構』のホームページをご覧ください。

示談代行サービス

自動車保険の中には、「示談代行サービス」というサービスも含まれています。
これは、保険会社の担当者が代わりに示談交渉をしてくれるサービスです。

示談交渉では、相手方も示談代行サービスを利用し、保険会社の担当者を交渉人として立ててくることが多いです。
保険会社の担当者は知識も経験も豊富なので、被害者自身ではなかなか太刀打ちできません。

だからこそ、被害者側も自身の保険に含まれる示談代行サービスを利用して、示談交渉に慣れている人に交渉を任せることが重要です。

ただし、示談代行サービスについては以下の点に注意してください。

  • 被害者側に過失がなければ、示談代行サービスは利用できない(弁護士法第七十二条)
  • 保険会社の示談代行サービスを利用するより、弁護士を立てた方が最終的な獲得示談金額は多くなる傾向が強い

被害者に過失ないケースとして代表的なのは、停車中に追突された事故や相手方の赤信号無視によっておこった事故などです。
被害者に過失のない事故について詳しくは、『交通事故で過失割合が10対0になる場合とは?過失割合を減らす方法も解説』をご覧ください。

交通事故で保険が使えない免責事由3つ

交通事故の保険は、どんな場合でも使えるわけではありません。
「こういう場合は保険は利用できない」という免責事由が定められており、それに該当すると保険が使えないのです。

具体的な免責事由は保険会社や契約内容により異なりますが、ここでは代表的な免責事由を3つ紹介します。

免責事由(1)故意に事故が発生した場合

保険金を目的にわざと事故を起こした場合、保険は基本的に適用されません。

故意の事故が免責になることについては、法律で以下のように言及されています。

第十四条 保険会社は、第八十二条の三に規定する場合を除き、保険契約者又は被保険者の悪意によつて生じた損害についてのみ、てん補の責めを免れる。

自動車損害賠償保障法 第十四条

故意が保険の免責事由となるのは、自賠責保険でも任意保険でも同様です。
故意が認められた場合に生じる具体的な影響は、以下の通りです。

  • 加害者側に故意が認めらた場合
    加害者は自身の自賠責保険や任意保険が使えない。
    そのため被害者に対する損害賠償金は、加害者の自賠責保険や任意保険からではなく、加害者本人から支払われる。
  • 被害者側に故意が認められた場合
    被害者自身の保険は利用できない

故意には2つの種類がある

故意には、「確定的故意」と「未必の故意」という2つの種類があります。

確定的故意 自分の行為によって結果が発生すると確実に思っていること。
未必の故意 自分の行為によって結果が発生するかもしれないと思っていたが、発生してたとしてもかまわないと思っていること。

確定的故意の事故は明らかに保険の免責事由となりますが、未必の故意については、免責事由とならないケースもあります。
死亡事故における、実際の裁判例を見てみましょう。

傷害と死亡とでは、通常、その被害の重大性において質的な違いがあり、損害賠償責任の範囲に大きな差異があるから、傷害の故意しかなかったのに予期しなかった死の結果を生じた場合についてまで保険契約者、記名被保険者等が自ら招致した保険事故として免責の効果が及ぶことはない、とするのが一般保険契約当事者の通常の意思に沿うものというべきである。


最高裁昭和63(オ)757

上記の判例のポイントは、以下の通りです。

  • 加害者には、「自分の行為により被害者がケガをするかもしれない」という、傷害に対する未必の故意があった
  • 一方で、被害者が死亡することまでは予期していなかったので、死亡に対する未必の故意があったとは言えない
  • よって、保険利用について免責効果はない

免責事由(2)被保険者と事故被害者が夫婦関係にある場合

任意保険に含まれる対物・対人賠償保険は、事故被害者が記名被保険者本人や被保険者の配偶者である場合には使えません。

たとえば、夫の運転する車に追突された場合でも、夫の対物・対人賠償保険から損害賠償金を受け取ることはできないのです。

なお、自賠責保険は、事故被害者が運転者や運行供用者でなければ、記名被保険者の配偶者や父母でも補償されます。
夫の運転する車に追突された場合でも、夫の自賠責保険からは損害賠償金が受け取れるのです。

免責事由(3)被保険者に重大な過失がある場合

人身傷害補償保険や車両保険などは、被保険者に以下のような過失があると使えません。

  • 無免許運転
  • 酒気帯び運転
  • 覚せい剤やシンナーなどの薬物を使っていた場合
  • 被保険者の自殺行為・犯罪行為による事故である場合

過失割合による保険金の減額に注意

交通事故の保険金額には、「過失割合」が影響することがあります。
過失割合とは何なのか、どのような場合に過失割合が保険金額に影響するのか、確認していきましょう。

過失割合とは、事故の責任を割合で示したもの

過失割合とは、交通事故が起きた責任が加害者と被害者それぞれにどれくらいあるのか、割合で示したものです。

追突事故のような「もらい事故」では被害者側の過失割合は基本的に0となりますが、被害者にも過失割合が何割か付くことは珍しくありません。

過失割合は、事故発生時の状況をもとに、示談交渉にて決められます。
過失割合の決まり方や、どんな事故で過失割合がどれくらいになるかは、『交通事故の過失割合|決定の流れと事例集』をご覧ください。

加害者の保険からの保険金は、過失割合分だけ減額される

被害者側にも過失割合が付くと、加害者の自賠責保険・任意保険(対人・対物賠償保険)から支払われる賠償金(保険金)は、その割合分だけ減額されてしまいます。
これが、「過失相殺」です。

例えば、請求できる保険金の総額が500万円であり、被害者の過失割合が2割のケースでは、500万円×0.2=100万円の減額がなされるため、実際に得られる保険金は400万円となるのです。

加害者側はこの「過失相殺」を狙って、被害者側の過失割合をあえて多めに見積もって提示してくることがあります。
そのため、示談交渉では示談金だけでなく、過失割合についてもしっかり交渉することが大切です。

自動車保険以外にも交通事故で使える保険

交通事故に遭った場合に使える保険は、自動車保険だけではありません。
ここでは、自動車保険以外にも交通事故で使える保険や、その保険が役に立つシーンについて解説していきます。

なお、これから紹介する保険は、原則として被害者本人による保険金請求の手続きが必要です。
保険金請求の手続きでは保険証券が必要になるので、用意しておきましょう。

健康保険|治療費の立て替えが必要な場合に

健康保険は、交通事故によるケガの治療でも使えます。

交通事故の治療費は、加害者側の任意保険会社が病院に直接支払ってくれることが多いです。
しかし、中には一旦被害者が治療費を立て替え、あとから相手方に請求しなければならないこともあります。

被害者が一旦治療費を立て替える場合は健康保険を使うと負担が減るので、ぜひ利用してみてください。
ただし、この後紹介する労災保険を利用できる場合は、健康保険が利用できないので注意しましょう。

交通事故における治療費支払いの仕組みや、交通事故で健康保険を使う方法については、以下の関連記事をご確認ください。

関連記事

労災保険|勤務中・通勤中の事故で利用可能

交通事故が被害者の仕事中や通退勤中に発生した場合は、労災保険が利用できる可能性が高いです。

労災保険を利用できる場合は以下のようなメリットがあるので、自動車保険との併用をおすすめします。

労災保険のメリット

  • 治療費の自己負担がない
  • 過失割合があっても、労災保険の保険金には影響しない
  • 休業補償の特別支給金など、自動車保険のみの利用ではもらえない費目ももらえる

労災保険について詳しく知りたい方は『通勤中の交通事故には労災保険を使おう!自賠責との関係や慰謝料への影響を解説』の記事を確認してください。

傷害・生命保険

交通事故で死傷された方が、傷害保険や生命保険に加入していた場合には、自動車保険とは別に保険金をもらえる可能性が高いです。

具体的な補償内容は、加入している保険の約款を確認してみてください。

交通事故の保険金|受け取りまでの流れと注意点

交通事故の被害者が保険金を受け取るには、保険金請求手続きが必要です。
被害者自身が加入する保険への保険金請求は、基本的に保険会社が指定する方法に沿って行えばよいです。

しかし、加害者の自賠責保険・任意保険(対人・対物賠償保険)への損害賠償金(保険金)請求は、その過程で示談交渉を挟むので注意点が多いです。
よってここでは、加害者の自賠責保険・任意保険への賠償請求の流れと注意点を解説していきます。

被害者が保険金をもらえるまでの流れ

被害者が加害者の自賠責保険・任意保険から賠償金(保険金)を受け取るまでの流れは、大きく「事故日~示談交渉開始まで」、「示談交渉開始~賠償金振り込みまで」に分けられます。
それぞれ見ていきましょう。

(1)事故日~示談交渉開始まで

事故日~示談交渉開始までの流れは、以下の通りです。

  1. 負傷者の救護と警察への届け出、加害者との情報交換
  2. 自分の保険会社へ連絡
  3. 治療して、完治または症状固定の診断を受ける
  4. 症状固定の診断を受けて後遺症が残った場合は、後遺障害等級認定
  5. 示談交渉開始

交通事故の現場では、負傷者の救護と警察への届出は必須です。
警察への届出を怠ると道路交通法違反となりますし、保険金請求で必要になる交通事故証明書も取得できません。

交通事故の加害者には、連絡先、氏名、住所や保険会社の情報を確認しておきましょう。
示談交渉や裁判で事故状況が争いになることを見越して、現場の状況やお互いの車両の撮影をしておき、目撃者がいる場合には目撃者にも連絡先を聞いておくとなおよいです。

被害者の保険会社へは、できるだけ交通事故日に連絡しておきましょう。
連絡が遅いと、保険金の支払いが遅れたり、最悪の場合もらえるはずの保険金がもらえなくなってしまう可能性もあるからです。

症状固定後の後遺障害等級認定は、後遺障害に対する慰謝料・賠償金を請求するために必要です。
詳しくは、以下の関連記事『後遺障害申請は被害者請求と弁護士依頼が正解|必要書類も紹介』で解説しています

(2)示談交渉開始~賠償金振り込みまで

示談交渉開始から賠償金振り込みまでの流れは、以下の通りです。

  1. 加害者の任意保険会社から、示談金額の提示を受ける
  2. 提示内容について交渉
  3. 交渉がまとまったら、示談書が送られてくる
  4. 示談書に署名・捺印して、加害者の任意保険会社に返送
  5. 2週間前後で賠償金が振り込まれる

ケガが完治するか、後遺障害等級認定が終わったタイミングで、加害者側との示談交渉が始まります。
交通事故の賠償金は加害者の自賠責保険と任意保険から支払われますが、基本的にはどちらもまとめて示談成立後に、加害者の任意保険から支払われます。

示談交渉における注意点はのちほど紹介するので、確認してみてください。

交通事故における賠償金の支払元

  • 加害者の自賠責保険
    法令に基づいて計算された金額を、限度額内で支払う。
    自賠責保険からの支払い分の金額は、示談交渉に左右されない。
  • 加害者の任意保険
    自賠責保険からの支払金額では足りない部分を補てんする。
    任意保険からの支払い分の金額は、示談交渉によって決まる。

※基本的には、どちらからの支払い分も示談成立後に、加害者の任意保険からまとめて支払われる。

自賠責保険からの保険金は示談成立前でももらえる

交通事故の損害賠償金は、基本的には示談成立後に支払われます。
しかし、自賠責保険に直接保険金請求をすれば、自賠責保険からの支払い分のみ示談成立前にもらえます。
これが「被害者請求」です。

加害者が任意保険に未加入の場合や、加害者側との示談交渉が難航している場合には役立つでしょう。
被害者請求の大まかな流れは、以下の通りです。

  1. 加害者の自賠責保険会社に請求書類一式を提出する
  2. 必要書類を受け取った自賠責保険会社は、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所という機関に調査を依頼
  3. 調査結果の報告・自賠責保険の支払基準に基づいて、自賠責保険会社が支払額を決定し、支払う

加害者側の自賠責保険会社がどこなのかは、交通事故証明書から確認できます。交通事故証明書の入手方法については『交通事故証明書は何に使う?記載内容は?申請方法を知れば被害者でも入手可能』からご確認ください。

その他、被害者請求については、『交通事故の被害者請求とは?自賠責保険に自分で請求をする方法』でより詳しく解説しています。

注意点(1)示談交渉の相手は、交渉のプロ

交通事故の示談交渉では、多くの場合加害者の任意保険会社が相手となります。
任意保険会社を相手に示談交渉をする場合は、以下の点に気を付けなければなりません。

  • 加害者の任意保険会社は、低めの金額を提示してくる
  • 被害者本人が増額交渉をしても、ほとんど聞き入れてもらえない

任意保険会社にとって、被害者に支払う賠償金は支出です。
そのため、本来の相場より低い金額を提示してくることがほとんどですが、被害者本人が増額を求めたところで十分には聞き入れてもらえません。

知識も経験も豊富な保険会社にとって、被害者の主張を退けることは非常に簡単なのです。そこでおすすめなのが、示談交渉で弁護士を立てることです。

弁護士を立てれば賠償金の大幅アップが見込め、中でも慰謝料は、弁護士が増額交渉することで2倍~3倍にもなることが期待できます。
のちほど解説する「弁護士費用特約」を使えば、弁護士費用は実質無料になるので、ぜひ弁護士への依頼を検討してみてください。

慰謝料の適正額を計算機で今すぐ確認

まずは以下の計算機から、慰謝料の適正額を確認してみてください。
加害者側から提示された金額より低ければ、それだけ増額の余地があるということです。
詳しい計算方法は、『交通事故の保険金はいくら?慰謝料が支払われる流れと計算方法を全解説』にて確認できます。

なお、計算機による計算はあくまでも機械的なものなので、弁護士が細かい事情まで考慮して慰謝料を計算すれば、もっと高額になる可能性もあります。

注意点(2)保険金・賠償金の請求には時効がある

交通事故で加害者に損害賠償請求したり、保険会社に保険金請求したりする権利には、以下のような時効があるので注意しましょう。

  1. 被害者請求・被害者自身の保険への保険金請求
請求区分請求期限
傷害事故発生日の翌日から3年
後遺障害症状固定日の翌日から3年
死亡死亡した日の翌日から3年
物損事故発生日の翌日から3年

※ひき逃げなどで保有者を知ったのが上記基準日より後の場合、その日から3年

2. 加害者および加害者の任意保険に対する賠償請求

請求区分請求期限
傷害事故発生日の翌日から5年
後遺障害症状固定日の翌日から5年
死亡死亡した日の翌日から5年
物損事故発生日の翌日から3年

※ひき逃げなどで保有者を知ったのが上記基準日より後の場合、その日から3年

保険会社との示談交渉は弁護士にお任せ

すでに解説した通り、加害者の任意保険と行う示談交渉では、弁護士を立てることがおすすめです。
その理由と、弁護士を実質無料で立てられる方法について解説していきます。

弁護士なら示談金大幅アップが叶う根拠

示談交渉で加害者の任意保険会社は、低い金額を提示してきます。
被害者本人が増額交渉をしてもほぼ聞き入れてもらえないのに対し、弁護士の主張なら通りやすい理由は以下の通りです。

  • 被害者側が弁護士を立てると、加害者の任意保険会社は裁判に持ち込まれることを警戒し、態度を軟化させるから
  • 加害者の任意保険会社内で、「被害者による交渉ならここまでの金額しか出さないが、弁護士が出てきたらここまで許容する」という基準が存在する場合があるから
  • 弁護士は専門知識と資格を持っているので、根拠を持って増額交渉ができるから

交通事故の示談交渉で十分な示談金額を得るためには、以下のような知識に基づいて増額交渉をする必要があります。

  • 保険金請求の根拠となる法律知識
  • 保険知識
  • 示談交渉に関する知識
  • 保険金の計算知識
  • 裁判になった場合には裁判自体の経験や訴訟に関する知識

上記のような知識については加害者の任意保険会社も精通しているので、被害者が示談交渉前に頑張って知識をつけても太刀打ちするのは難しいでしょう。

早い段階で弁護士に依頼をしていれば、示談交渉のみならず、治療費支払いの打ち切りなどのトラブル対処や後遺障害認定に関するサポートも任せられます。
十分な示談金額を得るためにも、交通事故後のトラブル・手続き全般にスムーズに対応するためにも、一度弁護士に相談してみることがおすすめです。

関連記事

弁護士費用が実質無料になる保険特約がある

示談交渉で弁護士を立てれば、弁護士費用が発生します。
弁護士費用を最引いてもなお、弁護士を立てなかった場合よりも多くの金額が手に入ることは多いですが、弁護士費用が無料になればそれが一番でしょう。

実は、自動車保険や火災保険などに含まれる「弁護士費用特約」を使えば、弁護士費用が実質無料になります。

弁護士費用特約

弁護士費用特約

交通事故で相手方に損害賠償請求するため弁護士に相談・依頼した対価として支払う費用を、保険会社が負担してくれる特約

保険によっても異なりますが、通常、限度額300万円まで保険会社が弁護士費用を代わりに支払ってもらえます。
弁護士費用特約について詳しく知りたい方は『交通事故の弁護士費用特約とは?加入の必要性を説く|使い方とメリット&デメリット』の記事をご覧ください。

交通事故のご相談は、アトム法律事務所まで

アトム法律事務所は、スムーズかつ、人情溢れる交通事故弁護が評判です。
担当する弁護士は、交通事故の被害にあわれた方々の心情に寄り添い、ご相談から事件解決まで徹底的にサポートいたします。

もちろん、弁護士費用特約の利用は可能です。
弁護士費用特約が使えない場合でも、相談は無料で行えますし、その後契約となった場合でも、事案が解決するまで費用のお支払いは発生しません。

示談金を獲得してから弁護士費用を支払えるので、いますぐ大きなお金が用意できなくても大丈夫です。
相談のみのご利用も可能なので、ぜひお気軽にご連絡ください。

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まとめ

  • 交通事故で使える保険は自動車保険だけでなくいろいろある
  • 保険金は過失割合に応じて減額となる
  • 適切な保険金額を得たいのであれば弁護士に相談すべき

代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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