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交通事故で使える保険|健康保険や自動車保険等の違いと保険金支払いまでの流れ

更新日:

交通事故で使える保険

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

交通事故における保険とは、損害賠償金の支払いを補償してくれる非常に重要な制度です。

交通事故で利用できる保険は様々ですが、その種類や内容についての正しい知識がないと、もらえるはずの保険金をもらえなくなってしまう可能性があります。

そこで、こちらの記事では交通事故で利用できる保険の種類や内容などについて解説していきます。

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交通事故で使える保険の種類・内容

(1)自動車保険

交通事故における保険の代表的なものが自動車保険です。
自動車保険の内容は、大きく分けると以下の2つです。

  1. 相手方に対する補償
  2. 自分に対する補償

さらにこの2つは、「ケガ」(人身損害)に対する保険と「車・もの」(物損)に対する保険に分類できます。

人身損害物損
相手方に対する補償 対人賠償保険
(自賠責保険)
※同乗者含む
対物賠償保険
自分に対する補償 ・人身傷害補償保険
・搭乗者傷害保険
※同乗者含む
車両保険

これから保険の説明をしていくにあたって、「記名被保険者」という単語が頻出します。

「記名被保険者」とは、補償の中心となる人物をいいます。
単なる「被保険者」とは、基準となっている記名被保険者により、補償を受けることのできる人物をいいます。

「記名被保険者」は、保険証券に記載された人物です。
補償は、この設定された「記名被保険者」を中心に考えていくことになります。

たとえば、「配偶者、子、父母」に適用される保険と記載があれば、それは記名被保険者の配偶者、子、父母に適用されるということです。

記名被保険者は、対象となる車の主な運転者です。
契約者が必ずしも記名被保険者とは限りません。

自賠責保険と対人賠償保険の内容及び両者の関係

任意の自動車保険と自賠責保険の関係
任意の自動車保険と自賠責保険の関係

相手にケガをさせてしまった場合の損害を補償する保険は、「自賠責保険」「対人賠償保険」です。

自賠責保険とは政府が管掌する保険であり、車を運転する人であれば必ず加入が必要な強制保険です。

加入していない場合には罰則が設けられており、支払限度額も法定されてます。

対人賠償保険は、任意保険会社の自動車保険の商品のひとつです。

任意というだけあり加入自体は任意ですし、保険金の支払限度額も契約者が設定できます。

対人賠償保険は自賠責保険の上積み保険という関係になります。

事故の相手がケガをした場合、保険で対応するにはまず「自賠責保険」から補償が行われます。

治療費や慰謝料などの損害賠償金が自賠責保険の支払限度額を超過してしまった場合に、超過分の補償を任意保険の対人賠償保険が対応することになります。

人身傷害補償保険

人身傷害補償保険とは、被保険者がケガをした場合に補償される保険です。

この保険は、被保険者の過失の有無を問いません。

そのため、被保険者の過失割合の程度にかかわらず、損害額に応じた保険金がもらえるメリットがあります。

また、被害者でも加害者でも使えますし、この保険のみを使用することにより、保険の等級が下がることもありません。

のちに触れる「搭乗者傷害保険」と違い、「実費」での支給になります。

関連記事

人身傷害保険ってどんな保険なの?慰謝料も受け取れる保険について解説

搭乗者傷害保険

自分自身や同乗者のケガを補償する保険には、「搭乗者傷害保険」というものもあります。

この搭乗者傷害保険ですが、しばしば「見舞金」とも呼ばれており、 人身傷害補償保険とは別に支払われます。

損害保険会社によって、一時金として支払われる場合もあれば、通院1日あたりいくら、入院1日あたりいくらという決め方をしている場合もあるようです。
人身傷害補償保険とは違い、 「定額」での支払いになります。

契約車両に搭乗中の全員を対象に、症状や部位によって支払い額が変わります。

対物賠償保険

対物賠償保険は、相手方の車や物の損害を補償する保険です。

ここで注意したいのが、相手方の物損に対する補償は、自賠責保険の対象外だということです。

そのため、相手方が自賠責保険にしか加入していなかった場合は、車の修理費や代車費用は保険で補償されず、相手方に直接請求するしかないことになります。

また、対人賠償保険と同様、保険金の支払限度額は契約者が設定できます。

車両保険

車両保険とは、自分自身の車の損害をカバーする保険です。

故意に車を衝突させた場合を除き、被保険者の過失分を含めて補償されます。

商品名は保険会社ごとに異なりますが、オールリスクに対応する一般型と、対象損害を限定するエコノミー型とがあります。

エコノミー型では、車同士の事故ではない「自損事故」や、「当て逃げ」については補償の対象になりません。

【参考】他車運転特約

他車運転特約とは、借用中の車を運転中の事故(友人の車やレンタカーを借りた場合など)でも、自分の車の自動車保険を利用し、補償を受けられる特約です。

保険を使えば、原則次年度以降の保険料は上がりますし、等級も下がります。

車の所有者自身が事故を起こしたわけではないのに、所有者の保険を使用するとなると貸した方は踏んだり蹴ったりということになりかねません。

そこで、実際に運転していた人の保険で修理費などを対応していくというものがこの他車運転特約なのです。

なお、この保険を使うには車両保険が適用になるケースでなければなりません。
エコノミー型の車両保険を付帯している場合や、エコノミー型の対象外の事故(自損事故や当て逃げなど)であった場合は、この特約の対象にもなりません。

この特約は、走行中の事故に限り補償されます。
駐停車中の事故に関しては適用になりません。

故意の事故(自動車保険を使えないケース①)

保険金を目的にわざと事故を起こした場合、保険は適用になるのでしょうか。

答えは、基本的に「ノー」です。
なぜ「基本的に」なのかということについては、のちに説明していきます。

保険適用が否定されることを「免責」といいます。
「免責」とは、責を免れること、すなわち保険金請求の状況では、保険者の支払責任が免除されるということです。

ある要素が「免責事由」に該当すれば、保険者(保険金を支払う者)は保険金を支払う必要はないのです。

故意の事故が免責になることについては、法律上に明記されています。
根拠条文を確認していきましょう。

第十四条 保険会社は、第八十二条の三に規定する場合を除き、保険契約者又は被保険者の悪意によつて生じた損害についてのみ、てん補の責めを免れる。

e-Gov(自動車損害賠償保障法)
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=330AC0000000097#85

自動車損害賠償保障法の14条には、自賠責保険の免責が定められています。

このように、契約者又は記名被保険者の故意により事故を起こした場合、保険は適用されません。

強制保険である自賠責保険でも、任意保険である対人賠償保険でも同様です。

しかしここで問題になってくるのが、「故意」には実はおおきく2つあるということです。

「確定的故意」と「未必の故意」です。

確定的故意 自分の行為によって、犯罪事実が発生すると確実に思っていること。
未必の故意 自分の行為によって、犯罪事実が発生するかもしれないと思っていたが、発生してたとしてもかまわないと思っていること。

確定的故意の事故であれば、もちろん保険金の支払い対象にはなりません。

しかし、未必の故意であった場合はどうでしょうか。

未必の故意による事故で、保険金の支払いが認容された裁判例があります。

以下で紹介する事例は、傷害に対する未必の故意を持っていたが、被害者が傷害にとどまらず死亡してしまった事故です。

この事故に関し、裁判所は故意免責を否定したうえ、保険対象になるという判決を下しました。

傷害と死亡とでは、通常、その被害の重大性にお いて質的な違いがあり、損害賠償責任の範囲に大きな差異があるから、傷害の故意 しかなかったのに予期しなかった死の結果を生じた場合についてまで保険契約者、 記名被保険者等が自ら招致した保険事故として免責の効果が及ぶことはない、とす るのが一般保険契約当事者の通常の意思に沿うものというべきである。



出典:最高裁昭和63(オ)757
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56369

故意以外の免責について(自動車保険を使えないケース②)

つづいて、各保険について補償対象外となる人物を中心に、免責事由を確認していきます。

自賠責保険・対人賠償保険

自賠責保険も対人賠償保険も、「相手方の人身損害に対する補償」です。

しかし、自賠責保険と対人賠償保険の補償範囲には違いがあります。

自賠責保険では、事故被害者が運転者や運行供用者でなければ、記名被保険者の配偶者や父母でも補償されます。対して、対人賠償保険では、事故被害者が記名被保険者本人や被保険者の配偶者である場合には、補償されません。

また、被害者救済の観点から、仮に、運転者が無免許運転や酒気帯び運転だった場合でも保険金の支払い対象になります。

人身傷害補償保険

被保険者の重大な過失によって生じた事故は、免責の対象になります。

対人賠償保険と違い「被害者救済」という検討要素はありません。

被保険者が、無免許である場合や酒気帯び運転だった場合、覚せい剤やシンナーを使用して運転していた場合などは免責となります。

対物賠償保険

対物賠償保険の免責事由は、対人賠償保険とほぼ同じになります。

被保険者が故意で起こした事故は、免責になります。

また、対物賠償保険は「相手方の物に対する補償」のため、被保険者や運転者の所有物はそもそも保険の対象になりません。

車両保険

車両保険についても、やはり故意で車をぶつけた場合などは免責になります。

人身傷害保険と同様、被保険者の重大な過失によって生じた事故に関しては免責になります。

しかし、保険会社の規定も様々です。

保険会社によっては、車両保険に関しては、「重大な過失」を免責事由とはしていないところもあるようです。

その他各保険の免責事由についてもいえることですが、被害者本人で保険会社やその代理店に直接加入している保険の種類や内容を確認するのが大切です。

(2)健康保険

交通事故のケガにも健康保険を利用して医師の治療を受けることができます

ただし、この後紹介する労災保険を利用できる場合は、健康保険が利用できない点には注意する必要があります。

交通事故において、健康保険を利用するのにはさまざまなメリットがあります。

(3)労災保険

交通事故が被害者の仕事中や通退勤中に発生した場合は、労災保険が利用できる可能性が高いです

労災保険を利用できる場合は、自動車保険にはない以下のようなメリットがあるので、自動車保険との併用をおすすめします。

労災保険のメリット

  • 治療費の自己負担がない
  • 過失割合があっても減額されない
  • 休業補償の特別支給金を自動車保険の休業損害とは別にもらえる

関連記事

通勤中の交通事故には労災保険を使おう!自賠責との関係や慰謝料への影響を解説

(4)傷害保険・生命保険

交通事故で死傷された方が、傷害保険生命保険(死亡事故の場合)に加入していた場合には、自動車保険とは別に保険金をもらえる可能性が高いです。

このように、交通事故で利用できる保険は数多くありますが、原則として被害者が請求をしなければ保険金がもらえることはありません。

保険金の請求漏れを防ぐには、どのような時に保険金をもらえるかやどのような保険に入っているかすぐ確認できるよう、今のうちに情報を整理しておくことが大切です。

具体的には、保険証券をまとめてファイリングしておいたり、加入している保険の一覧表を作成しておくことが有効です。

保険金はいくらもらえる?支給までの流れとは

交通事故の被害者は、具体的にいくらの保険金をどのような流れでもらえることになるのでしょうか?

代表的な保険である自賠責保険・対人賠償保険を例に紹介していきます。

保険金の内訳・支払限度額・支払基準

人身事故の保険金の内訳

交通事故(人身事故)で支払われる保険金の主な内訳は、以下のとおりです。

  • 治療費
  • 看護料
  • 通院交通費
  • 入院雑費
  • 診断書作成費等
  • 文書料
  • 休業損害
  • 慰謝料
  • 逸失利益(後遺障害逸失利益・死亡逸失利益)

各内訳項目の賠償額をそれぞれ計算し、合算したものが保険金として支払われることになります。

保険金の支払限度額

もっとも、各内訳項目の賠償額を合算した金額がそのままもらえるわけではない可能性もあります。

保険には支払限度額が設定されているからです。

自賠責保険金の支払限度額は法令で以下のように定められています。

  • 傷害による損害:120万円
  • 後遺障害による損害:75万円~4000万円(等級により異なる)
  • 死亡による損害:3000万円

自賠責保険の支払限度額を超えた部分の損害賠償金は、対人賠償保険に請求することになります。

対人賠償保険の支払限度額は契約者が設定した金額になりますが、無制限に設定されているケースが多いです。

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交通事故の保険金はいくら?慰謝料が支払われる流れと計算方法を全解説

保険金の3つの支払基準

自賠責保険・対人賠償保険の支払基準には以下の3つがあります。

  1. 自賠責基準
  2. 任意保険基準
  3. 弁護士基準

自賠責基準

自賠責基準は、自賠責保険に保険金を請求した場合の保険金額計算に使われる基準です。

前述のように、自賠責保険は、あくまで被害者の損害の補填を最低限度保障することを目的とした強制保険です。

そのため、自賠責基準で慰謝料などを計算した場合の金額は、3つの基準の中で一番低額になります。

自賠責保険から支払われる保険金は、法令で定められた自賠責基準に従って支払われるので、増額の余地はありません。

任意保険基準

任意保険基準は、示談交渉における任意保険会社からの示談金提示額の計算に使われる基準です。

対人賠償保険から支払われる保険金は、被害者側と加害者側の話し合い(「示談交渉」といいます。)により決まります。

被害者本人が加害者側任意保険会社の担当者と示談交渉をする場合、任意保険基準で計算された金額で示談成立になることが多いです。

任意保険基準は、各保険会社が独自にもうけた基準であり、一般的には非公開とされています。

任意保険基準で慰謝料などを計算した場合の金額は、自賠責基準よりやや高いとされていますが、自賠責基準と同等程度のこともあるようです。

弁護士基準

弁護士基準は、示談交渉において、弁護士が加害者側任意保険会社に請求する保険金(示談金)の計算に使われる基準です。

つまり、交通事故の示談交渉をする人物が、被害者本人なのか、弁護士なのかにより、基準が異なるということです。

弁護士基準は、訴訟で用いられる基準であり、裁判基準ともいわれています。

この基準は、通称「赤い本」と呼ばれる「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」に基づいて算定された金額であり、もっとも適正な金額といえます。

弁護士基準は、3つの計算基準のなかでもっとも高額になります。

では、具体的に3つの基準で計算した場合の金額はいくらになるのでしょうか。

慰謝料を例をあげてみてみましょう。

保険で支払われる慰謝料の種類・金額

交通事故の慰謝料の3つの種類

交通事故の慰謝料には、以下の3つの種類があります。

  1. 入通院慰謝料
  2. 後遺障害慰謝料
  3. 死亡慰謝料

入通院慰謝料

入通院慰謝料とは、交通事故によるケガなどで、入院や通院をしたことにより支払われる慰謝料です。

被害者は入院や通院をすることにより、身体の自由を奪われますので、そのことに対する精神的苦痛を慰謝(なぐさめ、いたわること)しようというものです。

入院・通院の期間や日数を基礎に、各基準(自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準)により算定した額が支払われます。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料とは、交通事故によるケガなどで、後遺障害等級が認定された場合に支払われる慰謝料です。

被害者は後遺障害の残存により、今後の生活で不便を強いられ、支障が出ることになりますので、そのことに対する精神的苦痛を慰謝しようというものです。

認定された後遺障害等級を基礎に、各基準(自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準)により算定した額が支払われます。

死亡慰謝料

死亡慰謝料は、交通事故により被害者が死亡したことに伴う被害者本人やその遺族の精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。

死亡慰謝料はさらに以下の2種類に分けられます。

1つは、死亡した被害者に対する慰謝料です。

死亡した被害者にも精神的苦痛があったとされるため、その慰謝料は法定相続人*が請求できます。
(被害者本人は亡くなっているため、被害者本人が請求することは不可)

もう1つは、遺族が固有で受け取ることのできる慰謝料です。

「遺族固有の慰謝料」といわれ、原則として交通事故で死亡した被害者の父母、配偶者、子に限り権利があります。

「法定相続人*」

第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

e-Gov 民法

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089_20180401_429AC0000000044&openerCode=1#ER

死亡した被害者の家庭内における立場や遺族の人数などを基礎に、各基準(自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準)により算定した額が支払われます。

各基準ごとの慰謝料の金額

慰謝料を請求する場合、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準のどれで計算したかによって、最終的に受け取る金額が大幅に変わります。

3つの代表的な慰謝料の額を、それぞれ3つの基準にあてはめて計算し、順番に比較してみましょう。

入通院慰謝料の比較

【例】2020年4月1日に事故にあい、6月29日まで治療していた場合。
( 治療期間は90日・実際に通院した日数は30日とする)

上記の事例について、3つの基準で計算された入通院慰謝料の金額を表にすると以下のようになります。

自賠責基準 258,000円
任意保険基準 378,000円
弁護士基準 730,000円 *

*重症の場合の金額になります。

自賠責基準での入通院慰謝料

自賠責基準の計算式は以下のようになります。

  1. [入院日数 + (実通院日数 × 2)]× (4,300)円
  2. [入院日数 + 通院期間]× (4,300)円

以上の合計のうち、少ないほうの計算式が採用されます。

※自動車損害賠償責任保険の保険金等の支払基準の改正により、2020年4月以降に起きた事故については、1日あたり4,300円で計算 、それ以前の事故については1日あたり4,200円で計算します。

上の例を当てはめて計算していきます。

  1. [0+(30×2)]×4,300円=258,000円
  2. [0+90 ]×4,300円=387,000円

金額の少ない方を採用するため、258,000円が自賠責基準で計算された慰謝料の金額になります。

任意保険基準での入通院慰謝料

旧任意保険支払基準による入通院慰謝料
旧任意保険支払基準による入通院慰謝料

任意保険の基準は保険会社により異なりますが、一般的に「旧任意保険基準」を採用しているといわれています。
表の、入院0カ月、通院期間3カ月のマスが交差しているところは378,000円となっています。
任意保険が入通院慰謝料を計算・提示する場合、この金額が目安になるといえます。

弁護士基準での入通院慰謝料

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

表の見方は、旧任意保険基準の場合と同じです。
表の、入院0カ月、通院期間3カ月のマスが交差しているところは730,000円となっています。
弁護士が入通院慰謝料を計算する場合、この算定表(赤い本に掲載)を用いて算出します。
よって、弁護士に交通事故の示談交渉を依頼した場合、もっとも高額な金額で慰謝料を受け取ることが可能になります。

後遺障害慰謝料の比較


等級

弁護士基準

任意保険基準

自賠責基準
12,8001,3001,150
22,3701,120998
31,990950861
41,670800737
51,400700618
61,180600512
71,000500419
8830400331
9690300249
10550200190
11420150136
1229010094
131806057
141104032

※慰謝料の単位は万円
※任意保険基準は旧任意保険支払基準を参照(現在は保険各社が独自に設定)
※自賠責基準は2020年4月以降の自賠責保険支払い基準による

後遺障害慰謝料は、後遺障害等級が認定された場合に支払われる慰謝料です。
入通院慰謝料と同じく、3つの基準により額は異なります。
この表で見ても一目瞭然、弁護士基準がもっとも高額であることがわかります。

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交通事故の慰謝料は弁護士基準で計算!慰謝料相場と増額成功のカギ

死亡慰謝料の比較

自賠責基準で計算された死亡慰謝料

死亡慰謝料の金額は、被害者1人あたり400万円(2020年3月31日以前に発生した事故の場合は350万円)です。
被害者に遺族がいる場合、本人分の慰謝料に加え、請求できる遺族の数に応じて慰謝料を請求できます。
被扶養者がいる場合は、被扶養者がいない場合の請求額に、それぞれ200万円を加算した金額が支払われます。

遺族 被扶養者なし 被扶養者あり
1人550750
2人650850
3人750950

※慰謝料の単位は万円

旧任意保険基準で計算された死亡慰謝料

旧任意保険基準で計算される死亡慰謝料は、被害者が一家の支柱であった場合、だいたい1,700万円くらいだといわれています。

弁護士基準で計算された死亡慰謝料

立場慰謝料
一家の支柱 2,800
母親・配偶者2,500
独身・子供2,000~2,500

※慰謝料の単位は万円

このように、被害者1人あたりの金額で比較すると、弁護士基準とその他の基準ではおおよそ1,000万円以上の差があることがおわかりになったかと思います。

交通事故の慰謝料計算方法についてもっと詳しく知りたい方は、関連記事『交通事故の慰謝料を正しく計算する方法』をご覧ください。

または、簡単に情報を入力するだけで慰謝料の相場がわかる「慰謝料計算機」をご利用いただけます。計算結果は弁護士基準となりますので、保険会社から提示を受けている場合にも適正相場のチェックにご利用ください。

被害者が保険金をもらえるまでの流れ

保険金がいくらくらいもらえるのかが分かったところで、続いては交通事故発生から被害者が保険金をもらえるようになるまでの流れを紹介します。

交通事故日の対応

交通事故の現場では、負傷者の救護と警察への届出は必須です。

道路交通法上の義務であるだけではなく、警察への届出を怠ると、保険金請求の必要書類の一つである「交通事故証明書」が取得できないからです。

その上で、その後の保険金請求や示談交渉に必要となる相手方の連絡先(氏名・住所・電話番号など)や保険会社の情報を確認してメモしておきましょう。

示談交渉や裁判で事故状況が争いになることを見越して、現場の状況やお互いの車両の撮影、目撃者がいる場合には連絡先を聞いておくなどの対応も重要です。

また、現場では当事者同士で具体的なお金の話し合いはすべきでありません。

話し合いにより示談成立と評価されてしまう(示談は口頭でも成立します。)と、その後に保険金を請求できなくなってしまう可能性があるからです。

さらに、できるだけ交通事故日に、自分の加入する損害保険会社にも交通事故に遭ったことを連絡しておきましょう。

この連絡が遅いと、保険金の支払いが遅れたり、最悪の場合もらえるはずの保険金がもらえなくなってしまう可能性もあるからです。

自賠責保険から保険金がもらえるまでの流れ

加害者が任意保険に未加入の場合や、加害者側との示談交渉が難航している場合は、自賠責保険に直接請求して保険金をもらうことができます。

これを被害者請求といいます。

被害者請求は、加害者側の加入する自賠責保険会社(交通事故証明書で確認することができます)に必要書類一式を提出する必要があります。

後遺障害による損害分も自賠責保険に支払ってもらいたい場合は、後遺障害等級認定の申請も兼ねることになります。

(後遺障害等級認定の申請は、加害者側の任意保険会社に手続きを任せる「事前認定」という方法もあります。)

被害者請求の必要書類を受け取った自賠責保険会社は、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所という機関に調査を依頼します。

自賠責保険会社は、自賠責損害調査事務所からの調査結果の報告及び自賠責保険の支払基準に基づいて支払額を決定し、請求者に対して保険金を支払います。

なお、自賠責保険に対する被害者請求には、3年という請求期限(時効)が存在する点には注意が必要です。

具体的に請求期限がいつから3年かは、請求区分ごとに以下のようになります。

請求区分請求期限
傷害事故発生日の翌日から3年
後遺障害症状固定日の翌日から3年
死亡死亡した日の翌日から3年

※ひき逃げなどで保有者を知ったのが上記基準日より後の場合、その日から3年

対人賠償保険から保険金がもらえるまでの流れ

対人賠償保険からの保険金をもらうには、加害者側任意保険会社との示談交渉を成立させる必要があります。

人身事故の示談交渉は、ケガが完治したタイミングか症状固定後、後遺障害等級認定の申請結果が出たタイミングで行われます。

示談交渉は、被害者にも過失割合が認められる場合は、被害者の任意保険会社が代行してくれますが、過失割合が認められない場合には代行してくれません

その理由は、弁護士法72条で、弁護士以外の者が、自身に利害関係のない問題の示談代行をすることを禁止しているからです。

被害者に過失割合が認められない交通事故状況には、停車中に追突された事故や相手方の赤信号無視などが代表的なものとして挙げられます。

ここで、弁護士に示談交渉を依頼すれば、安心して交渉手続きを一任できるだけでなく、弁護士費用を差し引いても手取りの示談金(保険金)が増額します。

慰謝料などの示談金増額例

さらに、ご自分やご家族の保険に弁護士費用特約が付いていれば、本来の弁護士費用分(上記図の灰色部分)も含めて手取り分が増額する可能性が高いです。

弁護士費用特約

交通事故で相手方に損害賠償請求するため弁護士に相談・依頼した対価として支払う費用を保険会社が負担してくれる保険の一内容

保険によっても異なりますが、通常、限度額300万円まで保険会社が弁護士費用を代わりに支払ってくれるからです。

示談成立後、送付されてくる示談書(免責証書)に署名・捺印をして保険会社に返送すれば、1週間ほどで示談金(保険金)が指定した口座に振り込まれます。

交通事故で健康保険を使うメリット

自賠責保険からもらえる金額が増える

先ほどお伝えしたとおり、傷害による損害に対して支払われる自賠責保険金には120万円という支払限度額があります。

しかしながら、健康保険を使って治療を受けると治療費の受診者負担額を抑えることができます。

そのため、120万円の支払限度額の枠を治療費以外の慰謝料などに充てることができるので、被害者が自賠責保険からもらえる金額が増えるというメリットがあります。

健康保険の利用の有無による被害者が受け取れる自賠責保険金の比較

  • 治療費は保険診療で50万円
  • 自由診療の場合は2倍
  • 入通院慰謝料・休業損害は100万円

上記の事例における、健康保険を使う場合と使わない場合とのそれぞれの被害者が受け取れる自賠責保険の金額は以下の表のとおりです。

健康保険を使う場合健康保険を使わない場合
治療費
(a)
15万円
(3割負担)
100万円
(自由診療)
慰謝料
休業損害
(b)
100万円100万円
損害賠償額
(a+b)
115万円200万円
自賠責保険額
(c)
115万円120万円
(支払限度額)
病院支払額
(d)
15万円100万円
被害者受取額
(c-d)
100万円20万円

健康保険を使わないと、治療費だけで自賠責保険の支払限度額の大部分を占めてしまい、慰謝料などを自賠責保険から十分にもらえない可能性があります。

過失割合分の治療費負担額を減らせる

交通事故では、被害者にも一定の過失割合が認められる場合も多いですが、その場合、治療費についても過失割合分は被害者の自己負担となります。

その際に、健康保険を利用していれば、被害者の治療費負担額を減らせるというメリットがあります。

先ほどの事例で、被害者にも過失割合が2割あったとすると、被害者の治療費負担額は以下の表のようになります。

健康保険を使う場合健康保険を使わない場合
治療費15万円
(3割負担)
100万円
(自由診療)
被害者負担額3万円
(15万円×0.2)
20万円
(100万円×0.2)

健康保険を使うかどうかで被害者の治療費負担額に17万円もの差が出てきます。

病院で立て替える金額を減らせる

相手方が任意保険会社に未加入の場合や任意保険会社が治療費の打ち切りをした場合は、被害者が治療費を病院で立て替えて支払う必要があります。

過失割合の有無にかかわらず、治療費の立替えはそれ自体が負担となりますし、治療費打ち切り後の治療費はその後の請求で認められない可能性があります。

健康保険を使って治療費を抑えておくことは、立替え金額や打ち切り後の治療費が自己負担となった場合の負担額を減らせるというメリットがあります。

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まとめ

  • 交通事故で使える保険は色々ある
  • 保険金(示談金)の支払い基準は3つある
  • 支払い基準のなかでもっとも高額なのは弁護士基準である
  • 交通事故の治療に健康保険を使うのはメリットが多くある

代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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