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人身傷害保険ってどんな保険なの?慰謝料も受け取れる保険について解説

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弁護士相談

2020年4月1日改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

交通事故の被害者として死傷した場合は、加害者が加入している保険から治療費などが支払われます。ところが、自分が加害者の場合や単独事故では、相手の保険からの支払いは期待できません。

そんなときは、人身傷害保険が便利です。人身傷害保険に加入していれば、自分が加害者か単独事故かに関わらず、治療費などの保険金が支払われます。

また、交通事故の支払い項目の一つに慰謝料がありますが、人身傷害保険は慰謝料も支払い項目に含まれています。

そこで今回は、事故で死傷した場合に役立つ人身傷害保険について、補償の内容や慰謝料などを解説します。

人身傷害保険とは

人身傷害保険とは、被保険者(とその同乗者)が被保険者の車に搭乗中に、交通事故にあって負傷したり亡くなったりした場合に、保険会社から保険金が支払われる補償制度です。契約によっては補償範囲がより広い場合もあります。

人身傷害保険の内容や補償範囲など、人身傷害保険の概要について解説します。

人身傷害保険の内容

人身傷害保険の対象者が交通事故で死傷した場合、保険契約の内容にもとづいて保険金が支払われます。

人身傷害保険で一般に支払われる項目は以下のとおりです。

  • 負傷した場合:治療費、休業損害、慰謝料など
  • 後遺障害の場合:逸失利益、介護料、慰謝料など
  • 死亡した場合:逸失利益、葬儀費用、慰謝料など

交通事故の被害者には、加害者が加入している保険から治療費などが支払われますが、自分が加害者の場合や単独事故ではそうはいきません。

この点、人身傷害保険に加入していれば、自分が加害者の場合や単独事故で死傷したケースでも、治療費などの保険金を受け取ることができます。

人身傷害保険の補償範囲

人身傷害保険は限定タイプと一般タイプの2種類の補償範囲があります。

限定タイプは一般タイプに比べて支払う保険料が安くなりますが、契約した自動車に搭乗している本人や同乗者が、交通事故で死傷した場合のみが補償対象になります。

一般タイプは限定タイプに比べて保険料が高くなりますが、補償の範囲が広いのが特徴です。被保険者だけでなく、その家族も補償範囲に含まれます。

また、契約した自動車に搭乗中の事故だけでなく、友人知人の車、バス、タクシーなど他の車に搭乗中の事故や、歩行中の事故についても補償されます。

人身傷害保険は過失割合の影響を受けない

人身傷害保険の特徴は、自分の過失割合に関係なく保険金の支払いを受けられることです。過失割合の概要と、人身傷害保険における過失割合の取り扱いについて解説します。

過失割合とは

過失割合とは、交通事故の当事者それぞれに、どのくらいの責任があるかを割合で示したものです。

たとえば、甲の車と乙の車が衝突事故を起こしたケースにおいて、甲の過失割合が4割で乙の過失割合が6割の場合、甲よりも乙のほうに事故についてより大きな責任があります。

過失割合は、交通事故の相手から得られる交通事故の賠償金の金額に影響します。

先ほどの事例において、交通事故で甲が受けた損害が100万円の場合、甲の過失割合が0であれば、甲は賠償金として100万円の全額の支払いを受けることができます。

ところが、甲には4割の過失割合があるため、甲が事故の相手から支払いを受けることができる賠償金は、100万円の4割分の40万円が差し引かれて60万円になります。これを過失相殺といいます。

人身傷害保険は過失割合に関係なく支払われる

人身傷害保険を使用した場合に支払われる保険金は、過失割合の影響を受けないのが特徴です。自分の過失割合に関係なく、保険の規定で定められた保険金が支払われます。

たとえば、交通事故の被害者の過失割合が3割で、人身傷害保険から支払われる保険金の金額が100万円の場合、もし過失割合が人身傷害保険に適用されて過失相殺されるとすると、被害者が受け取れる保険金は70万円になります。

ところが、人身傷害保険には過失割合が適用されないので、支払われる金額が100万円であれば、自分の過失割合に関係なく、100万円の保険金を受け取ることができます。

過失割合に関係なく規定の保険金を受け取れるので、人身傷害保険は自分の過失割合が高いケースにおいて特に役立ちます。

人身傷害保険は慰謝料を受け取れる

人身傷害保険を使うと、交通事故で受けた精神的な損害に対する慰謝料を受け取ることができます。交通事故の慰謝料の概要と人身傷害保険における慰謝料について解説します。

交通事故の慰謝料とは

交通事故における慰謝料とは、交通事故によって被害者が受けた精神的な苦痛を補填するために支払われる金銭のことです。

交通事故で負傷した場合は、傷みをこらえながら通院や入院をしなければならず、精神的な苦痛を感じるものです。

また、事故によって何らかの後遺障害が残ってしまった場合は、生活や労働に不便を感じるため、これも精神的な苦痛を感じます。

交通事故の慰謝料とは、上記のような被害者の精神的な苦痛を補填するために支払われる金銭です。

交通事故の慰謝料は全部で3種類あります。入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料です。

入通院慰謝料とは、交通事故の負傷によって医療機関に通院したり、入院したりしなければならなくなった精神的な苦痛に対して支払われる慰謝料です。

後遺障害慰謝料とは、交通事故で負った負傷が症状固定し、何らかの後遺障害が残ってしまった場合に支払われる慰謝料です。

後遺障害は障害の種類によって等級があり、等級が高いほど慰謝料の金額が高くなります。

死亡慰謝料とは、交通事故が原因で被害者が死亡した場合に支払われる慰謝料です。被害者自身は亡くなっていることから、死亡慰謝料は被害者の配偶者や子などが一般に受け取ります。

人身傷害保険で慰謝料を受け取るメリット

人身傷害保険を使用すると、交通事故を原因とする慰謝料を受け取ることができますが、慰謝料自体は交通事故の相手(多くの場合は相手が加入している保険)から支払いを受けることができます。

そうなると、「相手から支払ってもらえるのに、わざわざ人身傷害保険を使って慰謝料を受け取るメリットはあるの?」と思われるかもしれません。

自分が加入している人身傷害保険を使って慰謝料を受け取るメリットは、交通事故の相手から十分な慰謝料の支払いを受けることができない場合に、人身傷害保険から支払われる慰謝料で補填できることです。

事故の相手が自動車の任意保険に加入している場合は、保険会社が慰謝料などを支払ってくれるので問題はありません。ところが、相手が任意保険に加入していない場合は、相手自身が慰謝料を支払うことになります。

任意保険に加入していない相手は、慰謝料を支払う十分な資力がない場合が少なくありません。慰謝料を支払う資力がない場合、慰謝料を回収するのは事実上非常に困難になります。

なお、自動車の所有者が必ず加入しなければならない自賠責保険にも慰謝料の支払いを受けられる制度はありますが、傷害部分の慰謝料や治療費などとあわせて120万円までという限度額があるので、限度額を超える分は相手に請求する必要があります。

この点、事故の相手から慰謝料の支払いが期待できないケースであっても、自分が人身傷害保険に加入していれば、そこから慰謝料の支払いを受けることができます。

まとめ

人身傷害保険の対象者が事故で死傷した場合、治療費や逸失利益などの保険金が支払われます。自分の過失割合に関係なく、一定の保険金が支払われるため、人身傷害保険は過失割合が高い場合に便利な補償制度です。

交通事故の損害賠償請求の項目の一つに慰謝料がありますが、人身傷害保険は慰謝料も支払われます。事故の相手が任意保険に加入していないなど、慰謝料を支払う資力が十分にないケースでは、人身傷害保険に加入していると有効です。

代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

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