交通事故の示談とは?示談交渉の流れや示談をうまく進めるための注意点

交通事故の被害者になってしまい、示談交渉で適正な賠償金を受け取りたい方へ。
交通事故の示談とは、裁判ではなく、被害者と加害者(又はその自動車保険会社や弁護士)が話し合い、過失割合や賠償額を合意して、解決を図る手続きです。
示談は口頭でも成立しますが、合意内容の証拠を残すため、示談書(又は免責証書)を作成します。合意内容は、通常、変更できないので、損をしないためには示談金額等について入念なチェックが必要です。
事故相手が任意保険に加入している場合、通常、数週間以内に、保険会社から賠償金が振込まれます。
この記事では、交通事故の示談とは何なのか、事故から示談までの流れ、被害者側の示談交渉の進め方を解説します。
示談金相場や増額のコツや、示談交渉の注意点がわかるので、交通事故の被害者の方は、ぜひご確認ください。
目次


交通事故の示談とは?
交通事故の示談とは?示談のメリットは?
交通事故の示談とは、裁判ではなく、交通事故の当事者同士(加害者と被害者)の話し合いで、賠償問題(過失割合、賠償金の額)の解決を目指す手続きです。
交通事故に遭いケガをした場合、被害者は、加害者に対して治療費や慰謝料、休業損害といった損害賠償金を請求します。
交通事故の示談のメリットは?
交通事故の示談には、早期に問題を解決できるという大きなメリットがあります。示談交渉では、当事者同士の合意が得られれば、それだけで解決に至ることができます。
一方で、裁判を選んだ場合は、証拠の収集や提出、裁判官による厳密な審理が必要となるため、解決までに年単位の時間を要することも少なくありません。
特に交通事故では、後遺障害が残る可能性もあり、被害者が早期に補償を受けることが重要です。こうした点からも、示談による早期解決が被害者にとって有利になるケースは多く見られます。
示談でもきちんと解決できる?
示談の場合も、当事者には合意した内容を守る義務が生じるので、解決を図ることは可能です。
事故相手が自動車保険(いわゆる「任意保険」)に加入している場合は、任意保険会社が、示談書の内容に従って、示談金を払ってくれるため、賠償金をとりはぐれるリスクは非常に小さいでしょう。
ただし、保険会社の提示額は低いため、増額交渉をし忘れないことは大切です。
また、加害者が任意保険に未加入の場合に、合意を守らず、賠償金を支払わないときは、示談書を証拠にして、裁判をおこすことができるでしょう。
交通事故の解決方法│示談と裁判の比較
示談 | 裁判 | |
---|---|---|
手段 | 当事者の合意 | 裁判官の判決 |
拘束力 | あり | あり |
期間 | 比較的短い | 長い |
交通事故の示談交渉は保険会社もできる?
なお、「示談交渉とは当事者同士の話し合いで損害賠償問題を解決すること」とはいっても、加害者本人と被害者本人とが直接話し合うケースは多くありません。
例えば加害者側は、任意保険担当者が交渉を代行することが多いです。被害者側も同様に任意保険担当者に示談交渉を任せたり、弁護士を立てたりするケースが多いでしょう。
交通事故の示談交渉の流れ
交通事故の発生から示談成立までの基本的な流れは、以下の通りです。
事故現場での対応と病院での治療をする
必ず警察に事故発生を報告します。また、早めに病院で診察を受けましょう。
必要に応じて後遺障害認定を受ける
後遺障害認定は、後遺障害関連の示談金を請求するために必要です。
加害者側から示談案の提示を受ける
示談金の費目や金額、過失割合などを中心に示談案をよく確認します。
人損:治療費、休業損害、慰謝料など
物損:修理費など
示談交渉をする
事故をおこした責任の度合い(過失割合)や、賠償額の話し合いをします。
示談書を作成。示談金が振り込まれる
納得できる内容で示談書を作成してもらったら、示談書に捺印して返送しましょう。示談書を返送すると、2週間程度を目安に示談金が振り込まれます。
示談交渉の各段階における具体的な進め方をみていきましょう。
(1)事故現場での対応と病院での治療をする
交通事故が発生した直後はまず、ケガ人の救護や現場の安全確保、証拠保全などをしましょう。具体的にすべきことは、以下の通りです。
事故直後にすべきこと
- ケガ人の救護
- 車を移動させるなど後続車の事故を防止
- 警察に事故発生を報告
- 加害者と連絡先を交換
- 写真や動画により証拠保全
- 警察の捜査に協力
- 自身の加入している保険会社に連絡
- 病院で診察を受ける
警察への事故の報告は、道路交通法で定められた義務です。
通報しなかった場合、道路交通法違反で罰則を受ける可能性があるだけでなく、交通事故証明書や実況見分調書が作成されないなど示談交渉に悪影響のあるデメリットが生じます。
警察に連絡しそびれた場合は後日になっても良いので、必ず連絡しましょう。
また、治療では通院先や通院頻度、通院内容が不適切だと示談金が減額される場合があります。
(2)必要であれば後遺障害認定を受ける
交通事故で後遺症が残った場合は、後遺障害認定を受けましょう。
後遺障害認定で後遺障害1〜14級の認定を受けると、その等級に応じて後遺障害慰謝料や逸失利益が計算されます。
つまり、後遺障害認定されなければ後遺障害関連の示談金は原則として請求できないのです。
後遺障害認定ではどの等級にも認定されない「非該当」という結果が出ることもあり、等級獲得のためには十分な対策が必要です。
後遺障害については、関連記事『交通事故の後遺障害とは?認定されたらどうなる?認定の仕組みと認定率の上げ方』で分かりやすく解説していますので、後遺症が残っている方は参考にしてみてください。
(3)加害者側から示談案の提示を受ける
示談できるタイミングになったら、加害者側の任意保険会社から示談金額や過失割合を提示する示談案(損害賠償額計算書)が届きます。
内容に納得すれば署名・捺印してそのまま示談成立です。しかし、加害者側の提示内容は適正ではないことが多いので、安易に合意せず、内容の正当性を確認してみましょう。
アトム法律事務所の無料相談では、示談金相場の確認も可能です。無料相談のみのご利用でも問題ありません。安心・納得できる示談のために、ぜひご活用ください。


(4)示談交渉をする
加害者側から提示された内容に納得できない場合は交渉によって金額の引き上げ、過失割合の見直しを目指しましょう。
示談交渉は主に電話やファックスなどで行われ、対面で話し合いの場が設けられることはほとんどありません。
示談交渉の連絡は加害者側の保険会社の営業時間、つまり日中に来ることが多いので、仕事や家事・育児の妨げになることもあります。
なお、示談交渉にかかる期間はケースにより異なりますが、目安は以下の通りです。
物損事故 | 2か月~半年ほど |
軽傷の事故 | 2か月~半年ほど |
後遺障害が残る事故 | 半年~1年ほど |
死亡事故 | 半年~1年ほど |
特に重い後遺障害が残ったり被害者が死亡したりして示談金が高額になるケースや、事故発生時の状況について当事者間で認識の違いがある場合などは示談が長引きやすいです。
早くまとまったお金が必要で、示談成立まで待っていられない場合は、被害者請求や内払い制度の活用をしましょう。
被害者請求や内払いとは、いわば示談金を一部先行して前払いを受ける制度のことです。
(5)示談書を作成。示談金が振り込まれる
示談交渉で話がまとまったら、「示談書」を取り交わすことで示談成立となります。
示談書に署名・捺印をすると、原則として追加の交渉や示談内容の撤回はできません。以下の点をよく確認し、気になる部分があれば署名・サインをせず弁護士にご相談ください。
示談書チェックポイント
- 交通事故の情報は正しいか?
交通事故が発生した日時・場所、
加害者・被害者の氏名、
車両登録番号 など - 過失割合は妥当か?正しいか?
事故状況を正しく反映した割合になっているか - 後遺障害に関する記載、示談は妥当か?
認定された等級にもとづく補償内容か - 示談金の額が妥当か?正しいか?
慰謝料・治療費・休業損害などの金額、
全体の賠償金額などを確認 - 署名・捺印はあるか?
など
なお、示談書の代わりに「免責証書」が送られてくることもありますが、ほぼ違いはないので同じように対応して問題ありません。
示談が成立すると、示談書に記載された期日までに、示談金から既払金を差し引いた金額が振り込まれます。
相手方の手元に届くまで一定の時間がかかるため、示談成立から約2週間で振り込まれることが多いです。
なお、示談書のひな型は相手の保険会社によって様々となります。書面のイメージをしたいという方は、関連記事『交通事故の示談書の書き方と記載事項!テンプレート付きで注意点も解説』を参考にしてみてください。
交通事故で示談ができない場合の対処法
示談交渉が進まない、示談が成立しないとき
示談交渉が難航して合意が難しい場合は、示談しないという選択肢もあります。その場合には、民事裁判やADR(裁判外紛争解決手続き)といった別の方法で解決を目指すことになるでしょう。
ただし、弁護士を立てれば加害者側の任意保険会社の態度が軟化し、示談で解決を目指せることも多いです。
時効が迫ってきたり裁判やADRを検討したりする前に、一度弁護士に相談してみるのも良いでしょう。
関連記事
加害者が無保険(任意保険未加入)だったとき
加害者が無保険(任意保険未加入)の場合は、「加害者の自賠責保険への賠償請求」と「加害者本人への賠償請求(示談交渉)」が必要です。
- 自賠責保険への請求
- 「被害者請求」という手続きで、加害者の自賠責保険に損害賠償請求をする
- ただし、自賠責保険には限度額がある
- 加害者への請求(示談交渉)
- 自賠責保険で不足する損害額は、加害者本人に示談交渉を通して請求する
加害者が任意保険に加入していれば、自賠責保険への請求分も、それだけでは足りない分もすべてまとめて加害者側の任意保険会社に請求できます。
しかし、加害者が任意保険未加入の場合、自賠責保険への請求分は直接自賠責保険会社に請求しなければなりません。
そして、自賠責保険への請求分だけでは足りない分は、加害者本人に請求するのです。
加害者が任意保険未加入の場合の示談については関連記事『交通事故の相手が無保険でお金もない?泣き寝入りしないための賠償請求・対策法』にてご確認ください。
交通事故の示談で話し合う主な内容
交通事故の示談では、主に示談金(賠償金額)と過失割合について話し合います。それぞれについて詳しくみていきましょう。
示談金・賠償金(加害者側の提示額は低い)
交通事故の示談金の内訳
交通事故の示談金の主な内訳は以下のとおりです。
示談金の主な内訳
- ケガによる損害
- 入通院慰謝料(ケガの症状、治療日数、治療期間に応じた慰謝料)
- 治療費(必要・相当な実費)
- 通院交通費
- 入院雑費
- 休業損害(ケガで仕事を休んだことによる減収分)など
- 後遺障害による損害
- 後遺障害慰謝料(後遺障害による苦痛に対する賠償金)
- 後遺障害逸失利益(後遺障害が残ったことによる将来の減収分)など
- 死亡による損害
- 死亡慰謝料
- 死亡逸失利益
- 葬儀費用など
- 物が壊れたことによる損害
- 車両の修理費
- 代車代
- レッカー代
- 休車損害(営業用の車の修理、買い替えで営業できなくなった場合の損害)など
各費目の詳細は、関連記事『交通事故の示談内容は?』で解説しています。
治療費や車両の修理費など、金額を実費として証明できるものは基本的に実費を請求します。
一方、慰謝料は精神的苦痛を金銭化したものであり実費で証明できないため、一定の方法で計算されます。
慰謝料を含む示談金の相場は関連記事『交通事故の示談金相場は?一覧表や増額のコツ、示談交渉の注意点を解説』でも解説しています。
交通事故の慰謝料の支払い基準
慰謝料には3つの算定基準があり、それぞれで計算方法が違います。具体的には以下の通りです。

- 自賠責基準
国が定めた最低限の金額基準 - 任意保険基準
各任意保険会社が独自に定める金額基準
各社で異なり非公開だが、自賠責基準と同水準であることが多い - 弁護士基準(裁判基準)
過去の判例に基づく金額基準
たとえば交通事故でむちうちによるしびれ・痛みが後遺症として残り、後遺障害14級に認定されたとします。この場合、後遺障害慰謝料は、自賠責基準と弁護士基準で以下のように異なります。
後遺障害14級の後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料 | |
---|---|
自賠責基準 | 32万円 |
弁護士基準 | 110万円 |
弁護士基準における示談金の相場は、以下の計算機からも確認できます。基本情報を入力すれば利用できるので、お気軽にご利用ください。
交渉ポイント
加害者側の任意保険会社は示談交渉の際、自賠責基準や任意保険基準をもとに計算した慰謝料額を提示してくるため、通常、加害者側の提示額は低いです。
しかし、過去の判例に基づいた法的正当性の高い金額は、弁護士基準をもとにしたものです。
たとえ加害者側が提示する金額が十分に思えても、実際には増額の余地があることが多いため、鵜呑みにせず一旦弁護士に相談することをおすすめします。
事故の過失割合(示談金額に影響あり)
交通事故の示談交渉では、過失割合も重要なポイントです。
過失割合とは、「交通事故が起きた責任が加害者側と被害者側それぞれにどれくらいあるのか」を割合で示したものです。
交通事故は加害者側が100%悪いと言えるケースばかりではなく、被害者側に一定の過失割合がつくことも珍しくありません。
被害者側に過失割合がつくとその割合分、示談金が減額されてしまうので、示談金額同様、過失割合についても慎重に交渉しましょう。
交渉ポイント
過失割合は、事故状況をもとに算定します。
そのため、過失割合の交渉では事故状況が争点となりがちです。
ドライブレコーダーの映像や警察の実況見分調書など、事故状況を示す証拠をそろえて交渉に臨みましょう。
過失割合の算定方法を知っておくことも重要です。
交通事故の示談交渉のやり方は3通り
交通事故の示談交渉のやり方には、「自分で対応する」「保険の示談代行サービスを使う」「弁護士を立てる」の3種類があります。
自力 | 示談代行 | 弁護士 | |
---|---|---|---|
費用 | 無料 | 有料 | 弁護士費用特約を利用 |
負担 | 大 | 小 | 小 |
交渉力 | 弱 | 中 | 強 |
示談金 | 低 | 中 | 高 |
それぞれのメリットやデメリットなどを見ていきましょう。
被害者が自力で示談交渉する
交通事故の示談交渉は、被害者自身で対応することも可能です。自力で示談交渉するメリットとデメリットは以下の通りです。
自力で示談交渉を行うメリット
- 弁護士費用を節約できる
- 自分のペースで進められる
- 納得いくまで交渉できる
自力で示談交渉すれば、交渉の経緯や加害者側の主張について細かい部分まで把握できます。
自分自身で交渉にあたる分、加害者側に直接自分の主張や感情を伝えやすく、そうした意味で納得のいく交渉もしやすいでしょう。
自力で示談交渉を行うデメリット
- 専門知識や交渉経験の不足により不利になる傾向が強い
- 交渉で生じる時間的・精神的負担が大きい
- 適切な賠償額や過失割合の判断が難しい
交渉相手は基本的に加害者側の保険担当者です。加害者側の保険担当者は日々仕事として示談交渉をしているため、知識面でも経験面でも、被害者は不利になると言わざるを得ません。
自力で示談交渉した結果、なかなか主張が通らなかったり、加害者側から高圧的な態度を取られたりして、精神的な負担を感じる方も多くいます。
また、証拠や書類の準備で時間を取られる、保険会社が営業している日中に交渉しなければならないなど、時間的負担も大きくなるでしょう。
さらに、交通事故の賠償金額や過失割合は、個々のケースに応じて柔軟に算定されるものです。被害者の方が自力で厳密な算定をするのは難しく、加害者側から「その主張は正しくない」「根拠に乏しい」と言われる可能性も大いにあります。
自力で示談交渉するとしても、損害賠償金額や過失割合の算定、交渉のアドバイスは、弁護士に問い合わせることをおすすめします。
被害者の保険の示談代行サービスを使う
任意保険に加入している場合は、「示談代行サービス」を使って自身の保険会社に示談交渉を任せることも可能です。
示談代行サービスを利用して示談交渉するメリットとデメリットは、以下の通りです。
示談代行サービスのメリット
- 費用がかからない
- 交渉の負担が軽減される
- 専門知識や交渉スキルのある保険担当者に示談を任せられる
示談代行サービスは無料で利用できるため、費用をかけずに示談交渉を任せられる点が、大きなメリットです。
保険担当者は示談交渉に慣れているため、専門知識や交渉スキルを活用して交渉にあたります。自力で示談交渉するよりもスムーズに、よりよい内容で示談が成立することが期待できるでしょう。
示談代行サービスのデメリット
- 主張できる賠償額に限界がある
- 徹底的な交渉は難しい場合がある
示談交渉の際、保険会社が主張できるのは自社基準(任意保険基準)に基づいた金額です。
過去の判例に基づく法的正当性の高い金額は「弁護士基準」に基づくものですが、示談代行サービスでは弁護士基準の金額は主張してもらえません。
よって、示談代行サービスを利用して示談交渉をし、被害者側の主張が通ったとしても、得られる示談金額は弁護士基準以下となるのです。
また、示談代行サービスを利用すると、示談交渉は基本的に保険会社間で行われることになります。今後の付き合いなども考え、交渉が甘くなる可能性もあるでしょう。
示談代行サービスについては、関連記事『示談代行サービスで保険会社に任せっきりでも大丈夫?任せるメリットとデメリット』で詳しく解説しています。
弁護士を立てて示談交渉する
示談交渉で納得のいく結果を目指すなら、弁護士を立てることも検討してみましょう。
弁護士を立てて示談交渉するメリット・デメリットは以下の通りです。
弁護士に示談交渉を任せるメリット
- 弁護士基準の金額を主張できる
- 専門的な知識と交渉力で、示談金増額が期待できる
- 交渉による時間的・精神的負担を軽減できる
示談交渉で弁護士を立てれば、弁護士基準での高額な慰謝料を主張できます。
弁護士基準は「裁判基準」とも呼ばれるように、本来は裁判を起こした場合に認められうる基準です。そのため、通常は示談交渉で弁護士基準の金額を主張しても、聞き入れられることはほぼありません。
しかし、弁護士による主張であれば、加害者側の保険担当者は「主張を受け入れないと裁判に発展するかもしれない」と危惧します。
こうした背景と弁護士の知識・交渉力によって、示談交渉段階でも弁護士基準の金額獲得が期待できるのです。
弁護士に示談交渉を任せるデメリット
弁護士に示談交渉を任せるデメリットは、弁護士費用がかかることです。
弁護士に示談交渉などを依頼すると、通常は法律相談料・着手金・成功報酬などの費用がかかります。
ただし、法律事務所の中には法律相談料・着手金を無料としているところもありますし、弁護士費用を差し引いてもなお、弁護士を立てたほうが獲得金額が多くなることは珍しくありません。
また、任意保険に「弁護士費用特約」がついていれば、保険会社に弁護士費用を負担してもらえるため、このデメリットは解消可能です。

弁護士費用特約のメリットや使い方については、『交通事故の弁護士費用特約とは?メリット・使い方・使ってみた感想を紹介』の記事をご確認ください。
アトム法律事務所は交渉経験が多数
アトム法律事務所には、交通事故でケガをした方の代わりに保険会社との示談交渉をおこなってきた多数の実績があります。
軽傷から重傷・死亡事故まであらゆる事故の被害者やご遺族のサポートをしてきました。交通事故の示談交渉によって受け取れる金額は大きく変わるため、弁護士への相談・依頼も検討してみてください。


弁護士に相談・依頼するメリットについてもっと知りたい、相談相手となる弁護士の選び方に悩んでいる方は関連記事もお役立てください。
交通事故の示談交渉をうまく進めるための注意点
交通事故の示談で注意すべきポイントとして、本記事内では以下の内容を解説します。
交通事故の示談交渉の注意点の例
- 人身事故として届け出たうえで示談交渉する
- 示談前に示談金減額の要因を作らない
- 示談開始のタイミングを間違えない
- 安易に合意しない|再交渉・撤回は原則不可
- 示談は時効までに成立させる
示談を円滑に進めるためにも、どのような点に気をつければよいか確認しておきましょう。
また、交通事故の示談では何らかのトラブルが発生することも少なくありません。関連記事『交通事故の示談交渉トラブル8つと解決方法』をご一読いただき、対処する準備をしておくこともおすすめします。
人身事故として届け出たうえで示談交渉する
交通事故でケガをしたのであれば、警察に「人身事故」として届け出たうえで示談交渉することが重要です。
たとえケガをしていても、警察に物損事故として届け出ていると、以下の点で示談交渉で不利になりがちです。
- 実況見分調書が作成されないため事故状況を示す資料が少なくなる
- 「物損事故として処理できる程度のごく軽微なケガ」と判断され、ケガに関する示談金を請求できなかったり減額されたりする
交通事故を物損事故として届け出ている場合は、警察に診断書を提出して人身事故として処理し直してもらいましょう。
ただし、事故から時間が経ち過ぎていると、事故とケガとの関連性が認められず、届け出直しが認められないことがあります。
届け出直しができなかった場合は、「人身事故証明書入手不能理由書」を加害者側の任意保険会社に提出したうえで示談交渉をしてください。
示談前に示談金減額の要因を作らない
示談前に示談金減額の要因を作らないことも非常に重要です。
なんらかの理由で示談金減額の要因を作ってしまうと、いくら交渉を頑張っても示談金の増額は難しくなるからです。
示談金減額の要因となりやすいものとしては、以下があります。
- 病院の医師の許可なく整骨院や接骨院に通っていた
- 通院頻度が著しく低かった
- 通院しても湿布をもらうだけなど漫然治療が続いていた
他にも何気ない言動が示談金減額につながってしまうことがあるため、不安な場合は弁護士に相談することがおすすめです。
整骨院や接骨院に通いたい場合の対処法は、『交通事故の治療の流れ|整骨院と整形外科のどちらに通うのが正解?』をご覧ください。
示談交渉のタイミングを間違えない
示談交渉は適切なタイミングで始めないと、示談金額に悪影響がおよぶことがあります。
示談交渉を開始するタイミングは交通事故の種類によって異なり、以下の通りです。
交通事故の示談を始めるタイミング
事故 | 示談開始 |
---|---|
物損 | 車の修理費の見積もり後 |
人身(完治) | 治療終了後 |
人身(後遺症あり) | 後遺障害認定後 |
死亡 | 葬儀後※四十九日後が一般的 |
上記より前のタイミングでは、まだ損害の全貌が明らかになっていません。
損害の全貌が分からない状態では正しい示談金がわからず、示談成立後に「もっと示談金を請求すべきだったのに」と後悔するリスクがあります。
そのため、必ず損害が確定した上記のタイミングで示談交渉を始めるようにしてください。
例えば、任意保険会社が、治療費の対応を打ち切った場合でも、まだ痛みが続いているなら、健康保険を利用する等して治療を続け、治療が終わってから、示談に進む必要があるでしょう。
また、後遺症が残っている場合は、後遺障害認定を受けなければ、後遺症に関する賠償は得られません。必ず、後遺障害認定を申請し、認定結果が受けた後で、示談交渉を始めるようにしましょう。
なお、人身事故の場合、早く損害が確定するときは、物損部分のみ先んじて示談交渉をすることもあります。ただし、物件損害の示談交渉の過失割合は、人身損害の示談交渉にも影響することが多いため、慎重な判断が必要です。
安易に示談しない|再交渉・撤回は原則不可
「示談交渉はよくわからないから」「とりあえず示談金がこれくらいあれば十分な気がするから」など、安易に示談を成立させるのは避けましょう。
示談の合意には民法695条により法的な拘束力が生じるため、示談後にやり直しや撤回をすることは、原則的に認められません。
和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。
民法695条
本当にその内容で合意して良いのか判断に迷うなら、法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
なお、詐欺や脅迫などによって結ばれた示談や、被害者の無知に付け込んだ非常識な内容での示談は、やり直しや撤回をできる可能性があります。
どのような場合に示談の撤回が認められるかについて知りたい方は、関連記事『交通事故の示談後、撤回や追加請求は可能?』をお読みください。
示談は時効までに成立させる
示談自体には時効はありませんが、交通事故被害者が加害者に賠償請求できる権利には以下の時効があります。
損害賠償請求権の消滅時効※
損害など | 期間 |
---|---|
人身に関する (後遺障害による損害以外) | 事故発生日の翌日から5年 |
人身に関する損害 (後遺障害による損害) | 症状固定日の翌日から5年 |
人身に関する損害 (死亡による損害) | 死亡した日の翌日から5年 |
物的な損害 | 事故発生日の翌日から3年 |
加害者不明の損害 | 事故発生日の翌日から20年※※ |
保険会社に対する保険金の請求 | 起算日から3年 |
※2017年4月1日以降に発生した事故の場合。
※※2017年3月31日以前に発生した事故にも適用される可能性がある。
また、途中で加害者が判明した場合は、判明した日の翌日を起算日とし、物損部分は3年、人身部分は5年で時効となる。
したがって、示談交渉は基本的に上記の時効となるまでに成立させるようにしましょう。
基本的には時効となるリスクは低いですが、例えば以下の場合には時効が迫ってくる可能性があります。
- 後遺障害認定の結果が出るまでに時間がかかっている場合
- 加害者側との示談交渉で行き詰まっている場合
関連記事
交通事故の示談は弁護士に相談・依頼がおすすめ
まとめの一言
交通事故の示談は、裁判官による入念な証拠調べや判決を経ず、被害者側と加害者側の双方の合意で成立するので、通常、裁判よりも早く解決できます。
ただし、いちど被害者側に不利な内容で示談が成立してしまうと基本的にやり直せないので、十分な準備と対策が必要です。
そのため、交通事故の示談交渉で、適切な賠償金を受けとるためには、弁護士に相談・依頼できると安心です。
交通事故の被害者になり、示談交渉への対応が必要になった場合は、弁護士への相談・依頼がおすすめです。
本記事では最後に、アトム法律事務所の増額実績と、無料電話・LINE相談のご案内をいたします。
なお、弁護士に相談・依頼するメリットが心配な方は関連記事『交通事故で弁護士依頼するデメリット4つ!依頼すべきか判断する基準』もご確認ください。デメリットと思われる事柄が実は思い過ごしであることは多いです。
アトム法律事務所の示談金増額実績
アトム法律事務所でサポートしてきた事案の増額実績の一部を紹介します。
示談交渉の事例(1)むちうちで後遺障害なし
傷病名 | 頸椎捻挫 |
後遺障害等級 | 非該当 |
当初の提示額 | 41万円 |
最終的な回収額 | 159万円 (118万円の増額) |
示談交渉の事例(2)骨折で後遺障害12級
傷病名 | 左足関節骨折 |
後遺障害等級 | 12級13号 |
当初の提示額 | 347万円 |
最終的な回収額 | 750万円 (403万円の増額) |
示談交渉の事例(3)脳挫傷で後遺障害7級
傷病名 | 脳挫傷、頭蓋骨骨折など |
後遺障害等級 | 併合7級 |
当初の提示額 | 3,537万円 |
最終的な回収額 | 7,350万円 (3,813万円の増額) |
あとから「本来ならもっと多くの示談金をもらえていたのに…」と悔やまないためにも、一度弁護士へ相談し、依頼すべきか検討してみることをおすすめします。
アトム法律事務所の弁護士が実際に解決したその他の事例については「交通事故の解決事例」でも紹介していますので、あわせてご確認ください。
示談交渉のご依頼、無料電話・LINE相談はこちらから
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アトム法律事務所では、交通事故の被害者の方に向けて電話・LINEによる無料相談を実施しています。
交通事故の示談でわからないことがある方、示談金をいくらもらえるか知りたい方は、ぜひご利用ください。交通事故の実務に精通した弁護士が、適切なアドバイスをさせていただきます。
もちろん、無料相談のみのご利用でも大丈夫です。
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相談予約は24時間365日受け付けています。
皆様からの電話・LINEをお待ちしています。


高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了