交通事故・刑事事件に加えて借金問題・労働問題の対応を本格化しています。

交通事故の示談|4つの注意点・流れ・交渉を弁護士に頼むべきか

更新日:

交通事故の示談注意点

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

交通事故の示談は、被害者が加害者からお金を受け取るために必要となる大事な手続きです。

もっとも、示談により適切な金額をスムーズに受け取ることは、決して簡単ではありません。

そこで、本記事では示談により適切な金額をスムーズに受け取るための注意点や有効な方法について解説していきます。

保険会社の提示額は適正な金額より
はるかに低い可能性があります!

示談金2097件増額実績 無料相談21121件相談実績
2020年5月31日時点の累計

保険会社の提示額は適正な金額より
はるかに低い可能性があります!

相談料0円

着手金0円

完全成功報酬

交通事故の示談で注意すべき点は?

そもそも、交通事故における示談とはどういった手続きなのでしょうか?

示談とは当事者間の話し合いでの解決

示談とは、裁判外において民事上の争いを当事者同士が話し合い、合意することで事件を解決する手続きをいいます。示談は、民法上の和解契約(695条)の一種です。

交通事故においては、損害賠償金額、過失割合や支払い方法・条件(時期など)について、被害者・加害者双方が納得をすれば示談成立となります。

たとえば、交通事故の加害者が「損害賠償金100万円を支払う」と提示してきたとして、交通事故の被害者が「損害は200万円なので納得できない」と反論したとします。加害者と被害者が話し合いを通して、損害が150万円だと決着すると示談が成立したことになります。

このように、示談により解決できるのは民事上の責任のみで、刑事上の責任(刑罰)や行政上の責任(運転免許の違反点数の付加や免許停止・取消処分)は別の問題です。

示談とは何かがわかったところで、続いては具体的な注意点を解説します。

(1)口頭の合意でも成立し撤回できない

示談は口頭による合意でも成立してしまいます。
ただし、あとで言った言わないの水掛け論にならないよう、通常は示談書や免責証書といった書面を作成し、示談が成立したことの証拠を残しておきます。

示談書や 示談書に代わる免責証書(加害者側の示談交渉の相手が任意保険会社の場合)を被害者・加害者双方が保管することになります。

示談書の作成は、当事者に弁護士や親権者などの代理人がいるのであれば代理人が行います。

そして、示談による合意には法的な拘束力が生じ、示談後にやり直しや撤回することは原則的に認められません(詐欺や脅迫などによる示談は除きます)。

一度、示談が成立すると、確定した示談金額に不満が出てきたとしても、追加の賠償金請求は認められないのです。

そのため、示談に焦りは禁物です。

焦らず示談内容をよく確認して示談を進める必要があります。
示談は一人で抱え込まず、弁護士などの専門家に相談しながらすることをお勧めします。

(2)示談金には慰謝料以外も含まれる

交通事故示談金の内訳

示談で重要なのは、示談金(損害賠償金)にはさまざまな損害賠償項目(内訳)があるということを理解しておくことです。(関連記事:『交通事故の慰謝料ほか示談金の内訳|慰謝料の増額方法は?』)

慰謝料は示談金の一部であり、被害者の肉体的・精神的苦痛に対する金銭的補償になります。

しかし、交通事故に遭った被害者には肉体的・精神的苦痛以外に、様々な財産的損害を受けており、その点に対する補償(損害賠償)も当然受けられます。

被害者が交通事故で加害者に請求しうる主な示談金(損害賠償金)の項目は以下のとおりです。

交通事故示談金の主な項目

  1. 治療費
  2. 休業損害
  3. 入通院慰謝料
  4. 通院交通費
  5. 付添費用
  6. 後遺障害診断書作成費用
  7. 雑費
  8. 後遺障害逸失利益
  9. 後遺障害慰謝料
  10. 修理費

なお、上記の項目は「傷害事故」を前提にしています。

死亡事故の主な示談金(損害賠償金)項目は、葬儀費用、死亡慰謝料(本人及び遺族分)、死亡逸失利益となります。

適切な示談金額を受け取るためには、請求できる損害賠償項目を理解した上で、請求もれがないかどうかを示談する前によく確認する必要があります。

各損害賠償項目の詳しい内容は以下のとおりです。

1.治療関係費

治療関係費とは、治療にかかった費用をいいます。

しかし、どんな治療費でも認められるわけではありません。
示談金として認められるためには、必要な治療であること、その治療に対する費用として相当であることが必要です。

Q.接骨院や整骨院の施術費用は請求できる?

A.病状によって必要であると認められた場合に限ります。
医師の指示がある場合などでなければ、治療費として請求するのは難しいでしょう。

Q.将来の治療費については先に請求できる?

A.重症の場合など、判例で認められた事案がいくつかあります。
すべてのケースにおいて認められるわけではありません。

過去の事例を紹介します。

整骨院の施術費用が一部認められた例・将来の治療費が認められた例

○頸椎捻挫等で約2年5ヶ月通院し14級の美容師(女・51歳)につき,整骨院での施術は症状を緩和する効果があったと認められ,医師も施術を容認していたが,積極的指示までは認められず,治療日が整形外科と重複していることなどから,施術費の50%である69万円余を認めた。(大阪地判平18.12.20 自保ジ1707.14)

『損害賠償額算定基準 上巻(基準編)2020』(日弁連交通事故相談センター東京支部)

○脊髄損傷による両下肢麻痺等の後遺障害を残した大学生(男・固定時24歳)につき,人工血管手術費用として250万円,歯科矯正費用として98万円余を認めた。(大阪地判平25.3.27 交民46・2・491)

『損害賠償額算定基準 上巻(基準編)2020』(日弁連交通事故相談センター東京支部)

2.休業損害

休業損害とは、交通事故により、本来得られていたはずの収入などが減ったことに対して、加害者側に損害賠償として請求できるお金のことをいいます。

休業損害がどれくらいもらえるかといった計算は、職業などにより異なります。
サラリーマンなどの有職者であれば、事故前の収入を計算の基礎とします。
休業中、昇給や昇格があった場合は、その後の収入を基礎とし、有給休暇についても考慮されます。

自営業など事業所得者の場合は、前年の申告所得を基礎に計算されます。

また、専業主婦(夫)であっても「家事労働者」として扱われるため、休業損害を請求することができます。
専業主婦(夫)は実際に収入を得ているわけではないため、「賃金センサス」をもとに計算されます。
賃金センサスとは、厚生労働省が毎年実施している「賃金構造基本統計調査」の結果をまとめたものをいいます。
交通損害のうち、休業損害や逸失利益の計算で使われます。

休業損害についてより詳しく知りたい方は『交通事故の休業損害はいつもらえる?相場はいくら?職業別の計算方法を解説』をご覧ください。

3.入通院慰謝料

入通院慰謝料とは、交通事故により、入院や通院をしたことに対する慰謝料です。

具体的な慰謝料額は、入通院期間や日数を基礎にして計算されます。

4.通院交通費

通院交通費とは、通院に要した交通費をいいます。

事故後の症状によりタクシー利用が相当とされる場合以外は、原則的に公共交通機関である電車代やバス代が通院交通費として認められます。
ただし、自家用車を利用した場合は、ガソリン代として1kmあたり15円が一律で支払われることになっています。
また、看護のために要した近親者の交通費についても、被害者本人の損害として認められます。

タクシー利用が認められた事例

○病院への通院は公共交通機関を利用しようとすれば,自宅から1時間かけて徒歩で駅まで出なければならず,タクシー利用はやむを得なかったとして,タクシーによる通院費235万円余を認めた(大阪地判平7.3.22 交民28・2・458)

『損害賠償額算定基準 上巻(基準編)2020』(日弁連交通事故相談センター東京支部)

5.付添費用

付添費用には、入院付添費と通院付添費があります。
近親者や看護師などが、被害者の入通院に付き添った際にかかった費用をいいます。

入院付添費

入院に付き添った場合に認められる費用です。
看護師などの職業付添人が付き添った場合は、被害者の受傷の程度や被害者の年齢によって、実費相当額が認められます。
ただし必要と認められたものに限ります。
近親者付添人が付き添った場合は、弁護士基準では1日あたり6,500円が損害として認められます。
また、症状の程度や、被害者が幼児・児童である場合によって増額されることがあります。

通院付添費

近親者などが、被害者の通院に付き添った場合に認められる費用です。
費用が認められた場合、弁護士基準では被害者本人の損害として1日3,300円が肯定されます。
個々の事情に応じて、増額が考慮されます。

入通院付添費が認められた事例

<入院付添費>
○両下肢の機能障害(併合5級・既存障害8級の加重障害)の被害者(女・固定時82歳)につき,入院中完全看護に付されていたが,夫や子2人が交代で付添い,ナースコールのスイッチを押すことができないときや排尿用カテーテルが外れたときの連絡や,食事・排便等の際看護婦を補助していたとして,傷害の程度や年齢等も考慮し,日額5,000円・入院全期間(261日)合計143万円余を認めた。(神戸地判平16.8.18 交民37・4・1072)

『損害賠償額算定基準 上巻(基準編)2020』(日弁連交通事故相談センター東京支部)

<通院付添費>
○乳歯喪失の傷害を負った女児(4歳)につき,通院付添のため母親が欠勤した場合に,通院付添費用として日額1万円,6日分を認めた。(東京地判平8.12.10 交民29・6・1780)

『損害賠償額算定基準 上巻(基準編)2020』(日弁連交通事故相談センター東京支部

6.後遺障害診断書作成費用

後遺障害診断書とは、後遺症が残った場合に、医師に記入してもらう診断書です。

後遺障害診断書は、後遺障害等級認定の申請をおこなう際に必要です。
診断書を実際に作成した段階では、一旦被害者が窓口で負担する場合もあります。
後日保険会社で精算してもらえることが多いため、作成時は領収書をもらい、保管しておきましょう。

7.雑費

入院雑費は、弁護士基準では1日につき1,500円が認められます。
どのような入院雑費が損害として認められるのか、事例を紹介します。

○1日1,500円のほか,貸しおむつ代1日2000円×597日分を認めた。(神戸地判平16.12.20 交民37・6・1683)

『損害賠償額算定基準 上巻(基準編)2020』(日弁連交通事故相談センター東京支部)

その他、「将来の雑費」が損害として認められることもあります。
事例を紹介します。

○遷延性意識障害の大学生(男・固定時21歳)につき,おむつ代の雑費として月額10万円,58年間,2258万円余を認めた。(名古屋地判平23.2.18 交民44・1・230)

『損害賠償額算定基準 上巻(基準編)2020』(日弁連交通事故相談センター東京支部)

8.後遺障害逸失利益

逸失利益とは

後遺障害逸失利益とは、交通事故により、後遺障害が認められた場合に受け取れる示談金のひとつです。
交通事故にあわなければ得られていたであろう減収を、一定の計算式によって算出します。
例えばサラリーマンの場合、交通事故にあう前の収入をもとに、労働能力喪失率(%)と労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数をかけて算出します。
労働能力喪失率は、後遺障害の等級により変わってきます。

後遺障害逸失利益の詳しい計算方法を知りたい方は『逸失利益の計算|後遺障害14級や12級の逸失利益はいくら?』をご覧ください。

9.後遺障害慰謝料

後遺障害逸失利益と同様、後遺障害が認定された場合に請求できる示談金のひとつです。

交通事故により、後遺障害が残存してしまったことによる肉体的・精神的苦痛に対する金銭的な補償です。

具体的な慰謝料額は、認定された後遺障害の等級によって相場が決まっています。なお、後遺障害等級は1級~14級まであり、数字が小さい程症状が重いものです。
重度の後遺障害の場合(1級及び2級)、近親者であれば「近親者慰謝料」が認められるケースもあります。

後遺障害慰謝料について詳しく知りたい方は『後遺障害慰謝料の適正相場は?逸失利益の計算、示談交渉の流れを解説』をご覧ください。

10.修理費

修理費は、物損の代表的な損害賠償項目であり、交通事故により壊れた自動車や自転車、身に着けていた物などに対する補償です。

物損の損害賠償項目には、修理費以外に代車使用料、評価損(商品価値の下落に対する補償)、休車損などがあります。

(3)示談金相場は基準により大きく違う

慰謝料金額相場の3基準比較

交通事故示談金の慰謝料額などは、3つの基準のうちどの基準を用いて計算するかで相場が大きく違います

3つの基準とは、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準のことをいいます。
自賠責保険から支払われる場合は自賠責基準、任意保険が計算する場合は任意保険基準、弁護士が計算する場合は弁護士基準を用います。
この基準について、順番にかみくだいて説明していきます。

自賠責基準

自動車の強制保険である自賠責保険の基準です。
強制保険のため、補償額は最低限となり低額です。
交通事故で被害者が怪我などをした場合、まずは加害者加入の自賠責保険から支払われます。

任意保険基準

任意保険会社により独自にもうけられた基準をいいます。
基準は任意保険の会社により異なり、一般的には非公開です。
自賠責基準よりは少し高いと言われていますが、自賠責と変わらない基準で示談交渉をしてくることもあるようです。

弁護士基準

過去の判例に基づいて算出した金額になり、3つの基準の中でもっとも高くなります。
訴訟で用いる金額のため、裁判基準とも呼ばれています。
「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(赤い本)」を参考に金額を算出しており、交通事故示談を弁護士に依頼した場合、この基準をもとに請求を行います。
被害者自身でも、弁護士基準を用いて計算することは可能です。
しかし実際に弁護士が介入していなければ、この基準での請求額が認められることは難しいと言われています。

加害者側との示談交渉は、精神的にも辛くなる部分があるかと思います。
ですが、「もらい損」を防ぐためにも、示談交渉は慎重におこなうべきです。
納得のいかない金額で安易に示談をすることはやめましょう

また、示談交渉の相手が任意保険会社だと、示談金の提示額は必ずといっていいほど低額です。
金額に疑問を感じた場合は、弁護士に相談してみるといいでしょう。
繰り返しになりますが、けっして焦らないようにしてください。

慰謝料算定の3つの基準について、さらに詳しく知りたい方は、関連記事をご活用ください。

(4)消滅時効が完成するまでに示談する

示談をするのに焦ってはいけない反面、注意したいのが損害賠償請求権の消滅時効についてです。

示談交渉の内容である加害者に対する損害賠償請求権は、加害者を知ったときから人身損害については5年、物損については3年で消滅時効にかかります。

消滅時効にかかってしまうと、加害者に示談交渉に応じる法的義務がなくなり、示談に応じてくれない可能性が高いので注意しましょう。

なお、消滅時効の時期が差し迫っている場合、時効の完成を阻止(更新や完成を猶予)する方法もありますので、すぐに弁護士などの専門家にご相談ください。

交通事故発生~示談成立までの流れ

交通事故の流れ
交通事故の流れ

示談との関係における各流れの注意点

交通事故発生から示談成立までの流れは、以下のようになります。

  1. 交通事故直後の対応
  2. 治療
  3. 症状固定
  4. 後遺障害の等級認定
  5. 示談交渉
  6. 示談成立

ここからは、各流れの詳しい内容と示談との関係における注意点を解説します。

1.交通事故直後の対応

交通事故直後の対応の中で、示談との関係で重要なポイントは以下の点です。

  • 負傷者を救護し、警察に通報する
  • 事故状況を記録しておく
  • 当事者同士で勝手にその場で示談しない
  • 加害者の身元・連絡先・保険会社などを確認する
  • 警察に診断書を提出し、人身事故扱いにしてもらう

交通事故直後の負傷者の救護や警察への通報は、道路交通法上の義務ですので、必ず行う必要があります。

事故状況を記録しておくことは、受け取れる示談金を左右し、示談交渉で争いになることの多い過失割合で不利にならないようにするために重要です。

示談との関係で特に気を付ける必要があるのは、決して当事者同士で勝手にその場で示談しないということです。示談は口頭でも成立し、撤回することができません。

その場で示談をしてしまうと、損害確定後の妥当な金額を主張することができなくなってしまうのです。

後の示談交渉のために、加害者の身元や連絡先、保険会社などを確認するなどの対応が必要になります。

加害者が任意保険会社に加入している場合、しばらくすると、保険会社の担当者から連絡が入ります。
この担当者こそが、今後の示談交渉の相手方となります。
人身なら人身担当・物損なら物損担当といったように、保険の項目について担当者が違う場合があります。

そして、警察に診断書を提出し、人身事故扱いにしてもらうという対応も重要になります。大した怪我でないからといって物損事故扱いにしている方は、今すぐ人身事故扱いに切り替えましょう。事故から数日たって、あとから痛みが出ることも少なくありません。

人身事故扱いにしておかないと、原則的に自賠責保険への請求や後遺障害申請ができないだけでなく、過失割合の重要な証拠となる実況見分調書が作成されないからです。

2.治療

通院する医療機関が決まったら、加害者側の保険担当者に連絡をします。
また、転院を検討している場合も、病院を変更する前に担当者に連絡します。
事前に連絡しておかないと、転院先の治療費を支払ってもらえないことがあるからです。
被害者は、従前の医師に紹介状を書いてもらい、弁護士を通じて保険会社に提出することになります。

被害者の過失割合が大きい場合には、健康保険を使用して治療を受けるのも示談との関係においては重要です。

治療費についても、被害者の過失割合分が示談金から差し引かれるところ、健康保険を使用すれば、治療費の自己負担額を抑えることができるからです。

交通事故の治療に健康保険を使用するためには、「第三者行為による傷病届」という書面を健康保険組合に提出するという手続きが必要になります。

示談金に大きく影響する入通院慰謝料の金額や後遺障害等級認定は、治療の状況や内容に大きく左右されるので、示談を見据えた治療を受ける必要があります。

なお、治療中は損害を確定することができないので、示談交渉を開始することはできません。

ただし、物損部分については治療中でも損害を確定することができるので、損害が確定した段階で治療中であっても示談交渉を開始することができます。

3.症状固定

交通事故の示談において、症状固定のタイミングは非常に重要です。

症状固定

医学上一般的に承認された治療方法をもってしても、その効果が期待しえない状態、つまりこれ以上治療をしても症状の改善が見込めない状態に達したこと

症状固定の段階で、傷害分の損害が確定し、それ以降の治療費や通院交通費などは請求できなくなるからです。多くの場合、加害者側任意保険会社から症状固定の要請がなされますが、これは、示談金の負担を軽減させるためです。

また、症状固定のタイミングは、後遺障害等級認定にも大きく影響します。

症状固定が交通事故発生から6か月以内だと、後遺障害等級認定される可能性が極めて低くなるからです。

症状固定のタイミング、後遺障害等級認定と症状固定の関係についてもっと詳しく知りたい方は『交通事故の症状固定は半年経ってからじゃないとNGな理由は?』をご覧ください。

4.後遺障害の等級認定

症状固定時の後遺症に対する示談金を請求するには、原則的に後遺障害等級認定を受ける必要があります

なお、治療完了時に完治していた場合は、この手続きを省略して示談交渉を開始する流れになります。

後遺障害等級認定の申請をするには、治療を受けた医師に「後遺障害診断書」を記載してもらう必要があります。
後遺障害等級認定申請方法には、加害者側の任意保険会社が行う「事前認定」と、被害者自身または被害者の代理人弁護士で行う「被害者請求」とがあります。

事前認定は手間こそかかりませんが、あくまで申請を行うのは加害者側任意保険会社です。
任意保険会社が被害者に有利になるよう尽力するとは考えにくいでしょう。

一方、被害者請求は手間がかかるものの、等級認定に向けた有益な資料を揃えることができます。

交通事故の後遺障害申請についてより詳しく知りたい方は『交通事故で後遺障害を申請する|必要書類や手続きの流れ・認定期間』をご覧ください。

後遺障害等級認定の結果に不満がある場合は、異議申し立てが可能です。異議申し立てについて詳しくは、『後遺障害の等級認定に不満|異議申立てのポイント・申立て期間など解説』にて解説しています。

5.示談交渉

示談交渉は、通常、加害者側任意保険会社から示談案の提示を受けてスタートします。

その提示額に納得をすれば示談成立ですが、納得いかない場合には、被害者から再示談案を提示します。

その後お互いが譲歩し、双方が示談金の額に納得すれば示談は成立となります。

先ほどお伝えしたとおり、任意保険会社の提示額は任意保険基準の相場であり、増額できる可能性が高いので、示談するかどうかは慎重に判断しましょう。

6.示談成立

示談が成立したら、保険会社から「免責証書」が送られてきます。
「免責証書」は示談書そのものです。
これに署名・捺印し、保険会社保管分を保険会社に送付します。
保険会社に免責証書が到着してから数日後、示談金から既払金を差し引いた金額が免責証書に記載した銀行口座に振り込みされます。

事案によって異なりますが、示談成立後1ヶ月~2ヶ月ほどで保険会社から示談金が振り込まれるケースが多いでしょう。

示談が成立しなかった場合の流れ

上記5の示談交渉をしたものの、当事者双方の主張や言い分が大きく食い違い、示談が成立しない場合もあります。

そのように当事者同士では解決に至らない場合には、第三者的な立場の方に間に入ってもらい、双方の言い分や主張を尽くしたうえで決着を図ります。

具体的には、裁判所の判決やADR機関の示談あっせん・裁定などの方法です。

詳しく知りたい方は『交通事故の裁判を解説|費用、期間、流れ、調停など知っておくべき6つのポイント、裁判例3選』をご覧ください。

交通事故の示談までにかかる期間は?

交通事故発生から示談までにはどれくらいの期間がかかるのでしょうか。
交通事故は、事故状況や怪我の状態、人身事故か物損事故か、後遺障害が残ったかどうかなどによってさまざまですので、一概には言えないのが実情です。

そのため、下記はあくまで大まかな目安ですので、その点に注意した上で参考にしてみて下さい。

示談までにかかる期間の目安

  • 治療~症状固定(完治) 1~6ヶ月
  • 後遺障害等級認定    3ヶ月(申請準備1ヶ月、申請~認定2ヶ月)
  • 示談交渉        1~3ヶ月

後遺障害の申請をする場合だと、交通事故発生から示談までには1年近くの期間を要することも珍しくありません。

交通事故の示談交渉が長引いてお困りの方は、『交通事故の示談が長引く原因5つ&対処法』の記事もご覧ください。

示談前にお金を受け取る方法

このように示談が成立するまでにはかなりの期間を要するため、示談が成立するまでにお金が必要となる被害者の方も出てくる可能性があります。

そのような被害者の方のために、示談前にお金を受け取る方法があります。

交通事故の示談金(損害金)は、まず強制保険である自賠責保険から支払われます。
被害者請求を行った場合、被害者は自賠責保険分を、示談を待たずに受け取ることが可能になります。
「被害者請求」とは、被害者が自分自身で自賠責保険に対し、損害金を請求することをいいます。

被害者請求とは

交通事故の被害者が加害者加入の自賠責保険に直接請求をおこなうこと。
自動車損害賠償保障法16条に規定があることから「16条請求」とも呼ばれる。

傷害事故の場合、自賠責保険から先行して受け取れる費目は以下になります。
(限度額:120万円)

  • 入通院慰謝料
  • 治療費や通院交通費
  • 休業損害
  • 文書料

など「傷害」に対する損害金です。

後遺障害が残ってしまった場合は、以下の費目も先行して受け取ることができます。
(限度額:等級に応じて14級の75万円から1級の4000万円の範囲)

  • 後遺障害慰謝料
  • 後遺障害逸失利益

被害者請求についてより詳しく知りたい方は『交通事故の被害者請求とは?自賠責保険に自分で請求をする方法』をご覧ください。

示談交渉を弁護士に頼むメリット

(1)手続きをすべて任せられる

交通事故の被害者に過失割合が認められない場合、被害者側の保険会社は示談交渉を代わりに行ってくれません。被害者側にも何らかの過失がある場合しか、被害者側の保険会社は示談交渉を行えないのです。(一方の過失が認められない、つまり、過失が0の状態を過失割合10対0といいます。)

被害者は、示談交渉の実務に精通した、いわば交通事故解決のプロである加害者側任意保険会社の担当者と直接示談交渉しなければなりません。

この点、交通事故の示談交渉を弁護士に依頼すれば、被害者は余計な心配をする必要はありません。

面倒な示談交渉の手続きはすべて弁護士に任せられるので、被害者は社会復帰に集中できるようになるというメリットがあります。

【参考】行政書士・司法書士に依頼する場合との違い

法律の専門家には、弁護士以外にも行政書士や司法書士などいますが、示談交渉を全て任せられるのは弁護士だけです。

行政書士は、被害者請求における申請書類の作成代行などを依頼できますが、示談交渉を依頼することはできません。

司法書士のうち認定司法書士は、行政書士と異なり示談交渉を依頼することは可能ですが、140万円を超える金額の示談交渉は依頼できないという制限があります。

(2)示談金の増額が期待できる

弁護士が示談交渉をする場合、赤い本を基準にして損害賠償額を算定します。
赤い本とは、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」のことを指し、弁護士が訴訟で用いる損害賠償額の計算基準となるものです。
この計算基準を「弁護士基準」といい、先述のとおり3つのどの基準よりも高額です。

示談交渉の相手が加害者加入の任意保険会社の場合、任意保険会社はなるべく低い金額で示談金を提示してきます。
けっして保険会社が悪質というわけでなく、保険会社が営利組織である以上、当然のことなのです。
保険会社としては、極力支出をおさえるように考えます。
被害者に支払う示談金は、加害者側保険会社にとっては「損失」です。
保険会社が提示する低い示談金で被害者が納得すれば、保険会社は支出を抑えたと評価されるのです。

そのため、保険会社が示談金を提示している場合、弁護士に示談交渉を頼めば、提示額をはるかに上回る金額での示談が期待できます
被害者が示談書にサインをしていなければ、弁護士は弁護士基準で計算した金額をもって、加害者側と示談交渉をしていくのです。

実際に弁護士が示談交渉を行う際の、示談金算定方法を確認していきましょう。
ここでは後遺症が残った場合を例に挙げて計算しています。

【例】
サラリーマンAさん(症状固定時35歳)の交通被害事故

  • 後遺障害等級認定申請後、後遺障害12級と認定された。
  • 等級認定により、自賠責限度額である224万円(うち93万円は慰謝料・それ以外は逸失利益)については自賠責から受領済み。
  • 通院などに要した交通費は全額受領済み。
  • 治療費は保険会社からの立替により、全額負担なし。
  • 休業損害は、約2か月分のみ支払いを受けている。
  • 入院や通院には被害者の実の母親が付き添ってくれた。

1.治療費
請求額なし

2.看護料
入院付添費:1日あたり6,500円で計算
通院付添費:1日あたり3,300円で計算

3.入院雑費
入院中に要した日用雑貨や電話代などがあれば、入院1日につき1,500円で計算

4.通院交通費
請求額なし

5.休業損害
会社員の場合、事故前3か月分の給料の合計額÷実勤務日数で収入日額を算出。
(弁護士基準の場合)
その金額が、自賠責基準の日額5,700円より高い場合は、給与明細などで証明します。(事故日が2020年4月以降の場合は、 自動車損害賠償保障法 の改正により日額6,100円で計算します。)
計算方法:収入日額×実際に休んだ日数=休業損害の額

うち、既払分を除いた額を請求

6.入通院慰謝料(傷害慰謝料)
通院期間と入院期間が交差するところが入通院慰謝料の額。
入通院慰謝料は通院期間から計算します。したがって、示談金の金額は通院期間によって変動するともいえるでしょう。

※下の表は、あくまで弁護士基準で「重傷の場合」に請求する際の額であり、軽症・むちうちの場合は別表が用いられます※

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

7.後遺障害慰謝料
弁護士基準で計算された慰謝料から、すでに受領済みの自賠責224万円のうち慰謝料分の93万円を差し引いて請求していく

後遺障害等級は12級なので、290万円と93万円の差額が請求対象となる

8.後遺障害逸失利益

計算式

Aさんの基礎年収×14%(12級の労働能力喪失率)×20.389(症状固定時の年齢35歳から67歳までの就労可能年数に対するライプニッツ係数)
で計算
※2020年4月以降に発生した事故に適用されるライプニッツ係数

上記の計算式で算定される金額を下記の「慰謝料計算機」なら10秒で簡単に確認することができます(ただし、慰謝料・逸失利益の項目のみです)。

(3)示談が長引くことを防げる

示談交渉が長引くのは、当事者間で合意に至れないということです。

合意に至れない原因は様々ですが、その一部に金額・過失割合についての妥当な相場や相手の主張のどの部分が不当かを判断できないことが挙げられます。

この点、弁護士に頼めば、金額・過失割合の妥当な相場を理解しており、万が一不当な主張があれば直ちに指摘・反論することができます

その結果、示談交渉に無駄な時間を費やさずに済み、結果的に示談交渉が長引くのを防ぐことができるというメリットがあります。

弁護士相談のベストタイミングは?

示談交渉が長引くと、実際に示談金を手にするのが遅くなってしまいます。怪我で休業を余儀なくされたり、治療費を立て替えていたりすると、一刻も早く示談金を振り込んで欲しいのではないでしょうか。

弁護士に相談・依頼いただくことで、示談交渉がスムーズに進み、示談金を早く手にすることができるようになる可能性が高まります。

弁護士相談のタイミングは、早ければ早いほど良いといえます。早期にご相談いただくことで弁護士が取れる対応の幅が広がるのです。

交通事故を弁護士に相談するタイミングについて詳しくは『交通事故の悩みを弁護士に相談するベストなタイミングとは?慰謝料増額事例を紹介』をご覧ください。

アトム法律事務所弁護士法人の特徴

  • 出張サービスあり
    アトム法律事務所では、遠方にお住まいの被害者の方や、重症で入院中の被害者の方のために、出張サービスをおこなっています。
    弁護士が、被害者のご自宅や入院する病院に赴き、ご相談を承ります。
    対象になるかどうかのご判断をさせていただいておりますので、一度ご連絡ください。
  • 費用の負担が最小限
    弁護士に依頼する唯一のデメリットは弁護士費用がかかる点ですが、アトム法律事務所では、相談時点・事件着手段階での費用は一切かかりません。
    最終的な弁護士費用につきましても、弁護士費用特約で弁護士費用を全額カバーできる場合、お客様の自己負担は生じません。
    特約が使えないお客様には、弁護士費用を最終的に支払われた示談金より差し引かせていただく「預かり金システム」を採用しております。
    示談金が弁護士費用を上回るケースが多いため、その場合差額を返金させていただいております。
  • 実務に精通した経験豊富な弁護士が在籍
    まず、どの法律事務所でも交通事故案件を得意としているわけではありません。法律の知識がいくらあっても、交通事故案件の実務を知らなければ意味がありません。
    その点、アトム法律事務所は交通事故を数多く取り扱っている法律事務所です。在籍しているすべての弁護士が、交通事故案件を豊富に取り扱っております。示談交渉だけではなく、適切な後遺障害等級が認定されるための申請サポートも行っております。

アトム法律事務所の実際の解決事例の一部は以下のサイトから確認ができます。

アトム法律事務所は、ご相談者満足度9割超を達成しました。
交通事故の被害にあい、大きな不安を抱える当事者のため、全件全力を尽くしております。

安心の実績!

事案によっては、中長期的な付き合いとなる弁護士との相性など、ご心配な点はあるかと思います。
まずはご相談だけでもかまいません。
24時間365日いつでもご連絡をいただければ、専任スタッフが無料相談の予約を受付しております。交通事故の実務に精通したアトム法律事務所の弁護士が丁寧に対応します。気軽にお問い合わせください。

保険会社の提示額は適正な金額より
はるかに低い可能性があります!

示談金2097件増額実績 無料相談21121件相談実績
2020年5月31日時点の累計

保険会社の提示額は適正な金額より
はるかに低い可能性があります!

相談料0円

着手金0円

完全成功報酬

代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

第二東京弁護士会所属。アトム法律事務所は、誰もが突然巻き込まれる可能性がある『交通事故』と『刑事事件』に即座に対応することを使命とする弁護士事務所です。国内主要都市に支部を構える全国体制の弁護士法人、年中無休24時間体制での運営、電話・LINEに対応した無料相談窓口の広さで、迅速な対応を可能としています。

あわせて読みたい記事

全ての記事を見る