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交通事故の裁判を解説|費用、期間、流れ、調停など知っておくべき6つのポイント、裁判例3選

更新日:

2020年4月1日改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

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交通事故の損害賠償は、通常、相手方任意保険会社との示談交渉によって取り決められていきます。
しかし、相手方保険会社とどうしても交渉が折り合わなかったときなどには、民事裁判を起こし賠償を求める必要に迫られることもあります。

この記事では交通事故裁判の仕組み、事前準備のやり方、裁判の流れ、費用、期間など、交通事故の裁判について必要となる知識を完全網羅、徹底解説していきます。

交通事故の刑事裁判と民事裁判の違いとは?

交通事故の裁判というと、裁判官が事故加害者に対して「懲役○○年」などと刑罰を言い渡すイメージがあるかと思われます。
裁判には大きく分けて刑事裁判と民事裁判の2種類があります。

加害者に「懲役○○年」などと言い渡す様式の裁判は、刑事裁判です。
犯罪を犯したと思われる者に対して、有罪か無罪か、有罪ならどれくらいの刑を科すのが適当なのかを審理します。
あくまで刑事裁判は、国家が犯罪の被告人(容疑者)を審理し刑を科すかどうか判断するものであり、被害者の補償などについて審理されることはありません。

被害者の負った損害を算定し、加害者にその賠償を命じるのは民事裁判です。
民事裁判では、何らかの被害を被った人が、被害を与えた人が誰なのかを明示したうえで裁判所に裁判を提起します。
裁判所は、被害を被ったと主張する人(原告)と被害を与えたとされている人(被告)をそれぞれ呼び出して事情を聴取します。
その上で、被告が原告に対して被害を与えていたと判断されるときには、被害の額を算定して、被告に原告への賠償を命じるのです。

なお民事裁判における裁判の提起は、基本的には誰でも行うことができます。
ごく稀に、被害を与えた側が原告となる場合もあるのですが、傍論となるためここでは割愛します。

刑事裁判と民事裁判を混同したままでいるのは危険です。
交通事故被害者の方が、加害者に対して賠償を求めて提起できるのは、刑事裁判ではなく民事裁判です。
これを踏まえたうえで、民事裁判の事前準備の方法や流れを解説していきます。

交通事故で民事裁判を起こす前に~示談・ADR・調停~

交通事故の示談とは?

交通事故の賠償に関わる紛争の大半は、裁判にはなりません。
相手方任意保険会社との示談交渉によって解決するケースがほとんどです。

示談というのは、裁判所を介さずに当事者同士の話し合いによって賠償の問題を解決するという手続きです。
交通事故の実務では、事故被害者と事故相手方の任意保険会社が話し合いを行い、賠償金の額を算定して解決をみるのが大半です。

交通事故の示談交渉について知りたい方は、「示談交渉の流れや費用項目の詳細・計算を徹底解説」の記事をご覧ください。

過失割合について争いがある場合、後遺障害の等級について争いがある場合、損害の金額や費目に争いがある場合など、双方の主張が対立し示談では解決を見ないことがあります。

ADR・調停とは?

示談交渉が決裂したからといって、すぐに裁判に移行するとは限りません。
ADR機関の利用や調停手続きの利用と言った、第三者を間に入れての裁判に拠らない紛争解決手続きの利用も検討されることでしょう。
これら手続きは裁判を起こす場合と比べ、手続きの簡易さ、費用の低さ、解決の迅速さなどの面でメリットがあります。

ADR機関として有名なのは、日弁連交通事故相談センターや交通事故紛争処理センターです。
例えば、交通事故紛争処理センターでは「和解のあっ旋」や「審査」といった手続きが用意されています。
交通事故紛争処理センターから委託を受けた担当弁護士が、紛争解決のお手伝いをしてくれるのです。

センターの弁護士は被害者側の意見を十分に聞き、損害額の案を示し、保険会社に対してこれを受け入れるよう説得します。(和解のあっ旋)
決裂した場合には、学識経験者や弁護士からなる合議体が組織され、協議のうえで再度和解案が作成されます。(審査)
審査の結果について事故被害者の方が納得した場合には、相手方保険会社はそれを拒否することができない仕組みとなっています。

調停は、裁判所が第三者として介入する、裁判に拠らない紛争解決の手続きです。
裁判官1名と調停委員2名以上で組織された調停委員会が、被害者と加害者の双方から事情を聴取し、場合によっては調停委員会自らが職権で事実の調査をしたりします。
その後調停案が作成され、当事者双方が納得すれば紛争解決となります。
調停が成立した場合、その内容は裁判の判決と同等の効力を持ちます。

交通事故の多くは示談交渉やADR機関の利用、調停の利用などによって解決をみており、交通事故で民事裁判が提起されるケースというのは少ないのです。

交通事故で裁判になるのはどんなとき?

示談が決裂し、ADR機関や調停を利用しても紛争解決に至らなかった場合などでは、民事裁判を起こして法廷で争うことになります。

民事裁判には主に以下のようなメリットがあります。

民事裁判のメリット

  • 裁判基準での支払いを受けられる
  • 遅延損害金の支払いを受けられる
  • 相手の合意がなくても紛争が解決される

*いずれも勝訴した場合

つまり、示談やADR、調停よりも金銭面で得をする可能性が高いわけです。
他方、民事裁判にはデメリットもあります。

民事裁判のデメリット

  • 時間がかかる
  • 費用がかかる
  • 立証の手間がかかる
  • 敗訴のリスクがある

裁判は証拠の有無によって事実を認定します。
自身が損害を被ったと主張する場合、その損害の内容をすべて法廷で立証する必要があるのです。
仮に損害を立証できなければ、その分の補償を受けとることはできません。

民事裁判を起こすかどうかは、これらメリット・デメリットを比較検討しどちらがより大きいのかによります。
証拠がそろっている事実について、相手方保険会社がどうしても認めようとしない、勘案しないときなどには、裁判を起こすことも視野に入れなければなりません。

交通事故の民事裁判の起こし方・事前準備

交通事故裁判の必要書類

交通事故裁判を起こすためには、まず訴状を作る必要があります。
訴状には以下の内容を記載する必要があります。

訴状に記載する条項

表題単に「訴状」と記します。
訴状作成年月日訴状を作成した年月日を記します。
提出先の裁判所名訴額が140万円以下の場合は簡易裁判所、それを超える場合は地方裁判所が管轄となります。
被害者の住所地か加害者の住所地、もしくは事故発生場所の住所地のいずれかを管轄する裁判所に提出します。
訴状提出者の氏名、押印原則として事故被害者本人の名前を書きます。
ただ事故の状況等によって、親族の名前を記す場合もあります。*1
事件名「損害賠償請求事件」と書けばよいでしょう。
訴訟物の価額損害賠償金の合計金額を記します。
過少請求とならないよう注意しましょう。
貼用印紙額裁判を起こすには手数料がかかります。
その金額を記します。
原告原告の住所氏名、電話番号、ファクシミリ番号及び書類の送達場所を記します。
住所と書類の送達場所が同じであれば、同上で構いません。
被告被告の住所氏名を記します。
判明している場合は、電話番号、勤務先の所在地・名称なども記します。
請求の趣旨請求の内容を簡潔に記します。
(例)
1 被告は原告に対し金○○○○○円を支払え
2 訴訟費用は,被告の負担とする。
との判決及び仮執行の宣言を求める
請求の原因紛争の内容とこちらの主張を簡潔に記します。
具体的には、事故発生の事実*2、責任原因*3、治療の経過、損害の詳細*4を記載します。
証拠提出する証拠を記載します。
提出する証拠はそれぞれ、甲第1号証、甲第2号証…といったように番号を振ります。
附属書類訴状以外に提出する書類を記載します。
具体的には、訴状の副本、証拠の写しなどです。

*1 たとえば死亡事故の場合は、相続人の名前を書く場合もある。
*2 事故の発生日時、場所、加害者、加害車両の種類と車両番号、被害者、事故の態様を記す。
*3 運行供用者責任なのか使用者責任なのか、一般不法行為責任なのか等を記載する。
*4 物損、治療関係費、通院交通費、休業損害などすべて余さず記載する。

先述の通り、裁判はすべて証拠に依って事実の認定を行います。
裁判を起こす場合には証拠書類も準備しなくてはなりません。

証拠書類の一例

  • 交通事故証明書
  • 実況見分調書
  • 病院の診断書
  • 診療報酬明細書、領収書
  • 被害者の収入の証明書
  • 後遺障害等級に関する認定書類
  • 後遺障害診断書
  • 休業損害証明書 など

このほか、事案に応じてドライブレコーダーの映像記録、カルテや診断画像などを提出したほうが良い場合もあります。

交通事故裁判でかかる費用

裁判を起こすには申立手数料が必要です。
手数料は、訴額(事故の相手方に請求する金額)ごとに以下のように定められています。

民事裁判の申立手数料

訴額申立手数料
~100万円10万円ごとに1000円
100万円~500万円20万円ごとに1000円
500万円~1000万円50万円ごとに2000円
1000万円~10億円100万円ごとに3000円
10億円~50億円500万円ごとに1万円
50億円~1000万円ごとに1万円

たとえば、2000万円の損害賠償請求をする場合、申立手数料は8万円です。
訴額が高額であればあるほど、申立手数料の金額は大きくなります。

また申立手数料の他に郵便料もかかります。
郵便料は各裁判所ごとに料金が設定されています。
たとえば東京地方裁判所は、原告と被告がそれぞれ1名ずつの場合の郵便料を6000円と定めており、原告や被告の人数が1名増えるごとに2178円を追加するとされています。

訴訟手続きの最中に、さらに追加で費用が発生する可能性もあります。
たとえば裁判に証人を呼んだとき、その証人には旅費日当が支払われます。
目安として1日につきおおよそ1万円ほどが支給されるようです。
専門的な鑑定が必要になった場合では、鑑定の料金も必要です。

これら訴訟にかかる費用は、原告が申し立てた場合には、まず原告が負担しなければなりません。
ただ、裁判で勝訴することができれば、裁判にかかった費用もろもろを後から被告に請求することも可能となります。

弁護士費用について

裁判に臨む場合、弁護士に依頼するのはほぼ必須となります。
その場合、弁護士費用もかかることでしょう。
弁護士費用は、法律事務所がそれぞれ独自に料金の基準を定めています。
アトム法律事務所では相談料・着手金無料で、報酬金として「回収額の10%+20万円」を基本に料金設定をしていますが、裁判を提起する場合には、別途着手金が発生します。

費用倒れになるおそれがある場合、事前にお知らせをするので、まずは一度弁護士無料相談を利用していただくのがおすすめです。
弁護士事務所と事故被害者の方は、金銭的な利益という面について目的を同じにします。
つまり、被害者の方の賠償金が増額すれば増額するほど、弁護士事務所としても経済的な利益になるわけです。
逆にいえば、被害者の方の経済的な利益が見込めない事案については、弁護士事務所も経済的利益を見込めません。
職業倫理としてはもちろん、実利の面から言っても、依頼者の方を費用倒れにさせてしまうことは絶対にないわけです。

弁護士に相談するべきタイミングやメリットについてくわしく知りたい方は、「交通事故の悩みを弁護士に相談するベストなタイミングとは?弁護士相談のメリット」の記事をご覧ください。
また、事故被害者の方が弁護士費用特約に加入している場合、本来費用倒れになってしまうような事案についても弁護士に依頼することができるようになる可能性があります。
弁護士費用特約についてくわしく知りたい方は「交通事故の弁護士費用特約|加入なしでも大丈夫?使い方と3つのメリットとデメリットを解説」の記事をご覧ください。

なお弁護士費用に関しては、裁判において勝訴した場合、損害額の1割程度を上限に相手方に賠償が命じられるというケースが多いです。
ただ実務上、弁護士費用が損害額の1割以下になるケースと言うのは稀です。
上回った分は、自己負担となるでしょう。

交通事故裁判の起こし方

被害者の住所地か加害者の住所地、もしくは事故発生場所の住所地のいずれかを管轄する裁判所に訴状と証拠書類を提出します。
訴額が140万円以下の場合は簡易裁判所、それを超える場合は地方裁判所が管轄です。

訴状、証拠書類の提出と同時に、申立手数料や郵便料も納めます。
申立手数料は収入印紙を訴状に貼り付けて納付します。

郵便料は切手か現金で納付します。
現金で納付する場合、訴状受付後に別途納付の手続きが必要となります。

交通事故の民事裁判の流れ・期間

弁論、和解の勧試、判決

裁判所に訴状等を提出すると、被告の元に訴状の写し等が送付されます。
被告は、訴状の内容について認めるかどうか、反論するのかどうかを記載した答弁書や、自身の側の主張を立証するための証拠を提出します。

口頭弁論

被告が答弁書を提出した後、裁判所は第一回目の口頭弁論期日を設けます。
原告、被告がそれぞれ裁判所に出廷し、自身の主張を裁判官に口頭で伝えるのです。
ただ実務上、第一回口頭弁論は原告だけ出廷することも多く、また訴状の内容をそのまま陳述するだけで終わるケースが大半です。
最後に次回の口頭弁論のテーマ(被告の具体的な主張であるとか、被告答弁書への原告の反論など)と期日を決め、その日の口頭弁論は終了となります。

口頭弁論はおよそ1か月ごとに行われます。
口頭弁論の回数は、簡単な事件であれば1回や2回で済むのですが、争点が複雑であったり大量にあったりすると、5回、6回、場合によっては十数回にのぼることもあります。

和解の勧試

原告、被告両方の主張や証拠書類などが提出され尽くされたあと、裁判官が「和解の勧試」を行うことがあります。
和解の勧試とは、裁判官が和解案を示し紛争を解決するのはどうかと提案することを指します。

裁判官の示す和解案は、損害費目ごとに金額とその根拠を示すことが多く、比較的に当事者の納得が得られやすいものとなっています。

裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第8回)(令和元年7月19日公表)』によると、民事裁判の第一審につき和解によって解決をみたのは全体の35.7%です。
ただ交通事故裁判の実務において、この割合はさらに高いものと予想されており、全体のおよそ70%は和解によって終局しているという裁判官の証言などもあります。

証人尋問・本人尋問

和解が成立しなかった場合、裁判は続行となります。
再び口頭弁論の期日が設けられ、証人尋問や本人尋問が行われます。
証人尋問は、たとえば事故の目撃者や治療を担当した医師などを法廷に呼び出し、質問などをするという様式の証拠調べです。
本人尋問は原告や被告本人を同様の形式で尋問する証拠調べです。

尋問の流れですが、主尋問、反対尋問が交互に行われたのち、場合によっては裁判官から補充尋問が行われます。

例えば、原告側が呼び出した証人について、まずは原告側から主尋問が行われます。
その後、主尋問によって提示された証言の信用性を損なわせたり、主尋問で明らかになった事実とは別の事実を引き出したりする目的で被告側から反対尋問が行われます。
主尋問と反対尋問が必要な回数繰り返されたのち、裁判官が、当事者が聞かなかった点や証人の答えがはっきりしなかった点などを確認的に補充尋問します。

被告側が呼び出した証人については、被告側から主尋問が行われ、後の流れは上記と一緒です。

証人尋問、本人尋問が行われたあと、再度和解の勧試が行われる場合もあります。
和解案についてなおも決裂した場合、最終的な判決が言い渡されることとなります。

弁論終結と判決

判決が言い渡されることになった場合、最終準備書面を提出することになります。
最終準備書面は、いままで提示された証拠などを引用し、自身の主張がどの程度立証されたか論じる書面です。

最終準備書面が提出された後、判決期日、つまりは判決を言い渡す日時が指定されます。

判決は、よほど重大な事件でない限り判決文の主文が言い渡されるだけで終わります。
その判決に至った理由などが述べられることはほぼありません。

判決の内容がくわしく書かれた書面「判決正本」は、判決の内容を証明する書類として非常に重要です。
判決正本は、判決後に書記官室で担当の書記官からもらうことができます。
ただ、担当書記官が不在の場合なども多く、当日中に受け取るまでに非常に時間がかかったりすることもあります。
当日中に判決正本を受けとらなかった場合は、裁判所から特別送達で送付されるのを待つことになります。

交通事故裁判の控訴と上告、実務上のはなし

第一審の判決が不服であった場合、さらに上級の裁判所に控訴することができます。
第一審が簡易裁判所であった場合には地方裁判所に、第一審が地方裁判所であった場合には高等裁判所に控訴します。

控訴を行うと、第一審の判決が本当に正しかったのかどうかを上級の裁判所が検証・審理します。

控訴審では以下のいずれかの結論が出されることになります。

控訴審の判決

判決意味
控訴棄却第一審の判決に誤りがないものとして、第一審の判決を維持する。
原判決破棄差戻第一審の判決に誤りを認め、これを破棄する。
審理を第一審に差し戻して、さらに証拠を取り調べたり、誤りを正して判決をやり直させる。
原判決破棄移送第一審の判決に誤りを認め、これを破棄する。
第一審とは別の裁判所で、さらに証拠を取り調べたり、誤りを正して判決をやり直させる。
原判決破棄自判第一審の判決に誤りを認め、これを破棄する。
控訴審を行った裁判所でそのまま判決を下す。

控訴審の判決も不服であった場合には、上告を行うことができます。
上告は、控訴審を行った裁判所のさらに上級の裁判所で、控訴審の判決が本当に正しかったのかどうかを検証・審理します。
控訴審が地方裁判所であれば高等裁判所、控訴審が高等裁判所であれば最高裁判所で審理します。

控訴審と同じく、上告審では棄却、原判決破棄差戻、原判決破棄移送、原判決破棄自判のいずれかの判決が出されます。
またそもそも上告審を開かずに上告を却下、棄却するという決定がなされることもあります。

控訴・上告で原判決破棄となる可能性は低い!

裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第8回)(令和元年7月19日公表)』によれば、民事事件における控訴審の判決のうち、75.2%は控訴棄却の判決でした。
控訴して判決が覆る可能性というのは著しく低いのです。

この傾向は、上告に至るとますます露骨になります。
同報告書によると、上告が行われた事件の総数のうち約99%は却下・棄却決定されています。
上告審が開かれることもなく退けられているわけです。

実務上、民事裁判は3審制ではなくほとんど2審制といった趣なのです。
しかも、その第二審ですら判決が覆る可能性は低いです。

控訴の流れ、注意点

控訴を行うときには、判決が出されてから14日以内に控訴状を第一審が行われた裁判所に提出します。
加えて、控訴状提出から50日以内に控訴理由書も提出します。
控訴理由書というのは、控訴審で原判決を破棄すべき理由などを記した書面です。

控訴審においては、この控訴理由書の出来・不出来が非常に重要となります。

控訴状提出からしばらくすると、控訴審の担当裁判所からFAXで照会状が送られてきます。
照会状が送られてきたら、第1審での和解経過や希望、控訴審での主張・立証の予定、第1回口頭弁論期日の候補日などを記載し返送します。
返送後、しばらく経つと第1回口頭弁論の期日が指定されます。

第1回口頭弁論では、提出した書類などの確認作業などが行われます。
新たな証拠書類の提出などがあるときにはその確認作業なども行われ、多くはそのまま弁論終結となり判決期日が指定されます。
控訴審において、2回以上口頭弁論の期日が設けられることは珍しいのです。

判決期日が指定されたあと、控訴審においても和解の勧試が行われることもあります。
和解が決裂したら、判決が言い渡されることになります。

控訴審の裁判官は、第一審よりも証拠調べに消極的な姿勢を示します。
繰り返しになりますが、控訴審においては控訴理由書の出来・不出来が非常に重要なポイントとなるのです。

交通事故の民事裁判で増額した実例

交通事故裁判で、相場よりも慰謝料が増額された実例を3つご紹介します。

遺失利益について増額された事例

事故の概要被害者は原動機付自転車を運転中、対向してきた加害者軽自動車と正面衝突した。
ケガの態様右大腿骨骨折、右ひざ内出血、下腿の筋断裂など
後遺症右ひざ関節の機能障害が残った。
後遺障害9級~10級相当。
争点被害者は音楽と書道の家庭教師であった。
後遺障害のため業務を継続することができず、被害者は家庭教師をやめてしまった。
被害者と弁護士は、上記のような事情があるため、労働能力を100%失くしたものとして逸失利益を算定するよう求めた。
なお、後遺障害9級~10級の労働能力喪失率は通常35%~27%である。
判決労働能力喪失率90%と認められた。

*最高裁判所 昭和48年11月16日判決 事件番号昭和47年(オ)第734号(https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/135/062135_hanrei.pdf)

労働能力喪失率(後遺障害によってどの程度労働能力が失われたか示した割合)は、後遺障害の等級ごとに規定の割合が定められています。
ただ、この規定は労働災害における基準を準用したものです。
交通事故実務においては、被害者の属性や後遺症の程度などを総合的に評価して、実態に即した割合を求めることが重要です。

この判例では、労働能力喪失率が通常37%~27%であるところ、被害者の職業を勘案して労働能力喪失率90%が認められました。
これによって、貰える賠償金の額が飛躍的に増額されたのです。

傷害事故で近親者に慰謝料が認められた事例

事故の概要当時10歳の女児が、無免許運転の自動3輪車に衝突された。
ケガの態様顔面口角から顎下にかけて7センチの裂傷を負った。
後遺症将来にわたって除去不能な傷あとと、顔面三叉神経の麻痺が残った。
争点この女児の母親は、夫を戦争で亡くし、女手一つで内職をしながら娘を育てていた。
女児の母親が受けた精神的な打撃は相当なものであるため、女児だけでなく、この母親にも固有の慰謝料を払うよう求めた。
なお民法上、近親者に固有の慰謝料が認められるのは、通常は死亡事故の場合だけである。
判決女児の母親にも固有の慰謝料が認められた。

*最高裁判所  昭和33年8月5日判決 事件番号 昭和31年(オ)第215号(https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/849/052849_hanrei.pdf)

慰謝料とは精神的な苦痛に対しての賠償金です。
傷害事故の場合、原則的に慰謝料は事故に遭った本人にだけ認められます。

ただ、上記裁判例では直接事故には遭っていない被害者の母親にも固有の慰謝料10万円が認められました。
判決文にいわく、近親者が被害者の死亡したときに比肩するような精神上の苦痛を受けたとき、固有の慰謝料が認められるとされています。

事故態様の悪質さから慰謝料増額が認められた事例

事故の概要女児2名を後部座席に乗せた被害者車両の後方から、加害者車両が追突したという事故。
加害者は飲酒し酩酊状態だった。
車両は炎上し、女児2名は焼死した。
争点被害者側弁護士は、事故の態様が悪質であることに鑑みて、通常の相場よりもさらに増額した基準での慰謝料の支払いを求めた。
判決慰謝料の増額を認めた。
通常、死亡者1名につき2000万円~2500万円程度の慰謝料が認められるところ、被害者1名につき3900万円の慰謝料が認められた。

*東京地方裁判所 平成15年7月24日判決 事件番号 平成14年(ワ)第22987号 (https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/641/005641_hanrei.pdf)

東名高速飲酒運転事故という名称で有名な、損害賠償請求事件です。
被害者の女児2名は事故直後はまだ生きており、その後の車両火災によって焼死するという凄惨な最期を遂げています。
また事故加害者は飲酒運転が常態化しており、直前に料金所の人から休むよう言われたにもかかわらずこれを無視して本件事故を起こしました。

これら、事故の凄惨さや悪質さなどが勘案されて慰謝料が増額されました。

通常の交通事故の範疇に収まらない特別な事情があり、しかも相手方保険会社がその事情を勘案してくれない場合には、裁判を起こすことにより慰謝料の増額が期待できる場合もあります。

交通事故の民事裁判を弁護士に依頼すべき理由

裁判を起こすべきかどうか適切に判断できる!

先述の通り、交通事故で裁判にはメリットとデメリットがあります。
「相手方保険会社に要求したい費目は何で金額はいくらか」「その金額は判例と比べて認められ得るものなのか」「裁判にかかる労力と釣り合っているのか」など、慎重に検討するべきなのです。

仮に見込みが甘い状態で裁判に臨んでしまった場合、示談で提示された条件とほとんど変わらないような判決を受けてしまう可能性もあります。
仮にそうなれば、裁判に費やした時間や労力はただの徒労と化してしまいます。

弁護士は交通事故の裁判例や、慰謝料の相場などを熟知してします。
事故の状況、ケガの状況等に応じて、「示談交渉による増額を目指すべきか」「裁判も辞さない覚悟で臨むべきか」など、適切に判断することができます。

裁判にかかる手間を軽減できる!

交通事故の民事裁判は、かなり手間を要します。
また、書面ひとつを取ってみても、作成に専門知識が必要となる場面はかなり多いです。

弁護士は裁判実務の経験を積んできており、どんな書類が必要になるか、何を記載すべきかを熟知しています。
書面の作成や事務手続きなどを代行することで、依頼者の方の負担をかなり軽減できます。

勝訴の可能性が上がる!

民事裁判は必ずしも弁護士が必要となるわけではなく、自分ひとりで法廷に立つこともできます。
ただ、裁判が開かれる運びとなったとき、相手方保険会社は自社と契約を結ぶ専門の弁護士を立ててくることでしょう。
法的知識のない方が弁護士と相対するのは無謀と言えます。
交通事故について裁判を起こし、勝訴することを目指すなら、断然、弁護士に依頼したほうが良いです。

弁護士は、今までの裁判実務の経験から、法廷闘争の適切な戦略を練ることができます。
相手に認めさせたい事は何なのか、その根拠となる法令や判例は何なのかを把握し、裁判官に対して適切に明示することができます。

交通事故について裁判を起こすことを考えている方は、まずは早急に弁護士に相談するべきと言えるのです。

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