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交通事故の裁判の起こし方や流れ|費用と期間はどのくらい必要?

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徹底解説 交通事故の裁判

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

交通事故の損害賠償金額は、一般的には示談交渉で決められますが、交渉で話がまとまらなければ民事裁判になることもあります。
しかし、民事裁判といってもどんな手続きをするのか、費用はどれくらいかかり、どんな風に進められていくのか、よく知らない方も多いでしょう。

また、民事裁判にはメリットもある一方、もちろんデメリットやリスクもあるので、本当に民事裁判を起こすべきかは慎重に判断しなければなりません。

この記事では、民事裁判を起こす方法や判決までの流れ、メリット・デメリット、民事裁判を検討すべきケースを解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

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はじめに|刑事裁判と民事裁判の違いを知っておこう

裁判には刑事裁判と民事裁判がありますが、交通事故被害者が、加害者に対して損害賠償金を請求するために提訴するのは、民事裁判の方です。

民事裁判に対して刑事裁判と同じようなイメージを持っている人はたくさんいますが、実際には違う点が多くあるので、まずはそこから理解しておきましょう。

民事裁判とは|被害者に対する損害賠償額を決める裁判

交通事故における民事裁判(民事訴訟)は、加害者と被害者間の損害賠償問題を解決するためのものです。
民事裁判ではまず、地方裁判所または簡易裁判所にて、双方が主張とその根拠を出し合います。そして、出された内容を踏まえて裁判所が損害賠償金についての判決を下します。

費用は加害者側に請求したい金額によって異なり、期間は6ヶ月~2年かかることが多いです。

なお、判決の前に裁判所から和解案が提示されることもあり、双方が和解案に同意すれば、そこで裁判は終了です。

民事裁判では、訴えを起こす人のことを「原告」、訴えられた人のことを「被告」といいます。

民事裁判はドラマや映画のイメージよりも静かなことが多い

裁判というとドラマや映画などから、訴えられた人と弁護士、検察官が出廷し、場合によっては激しい舌戦が繰り広げられるイメージがあるかもしれません。
しかし、民事裁判はそれとは雰囲気が違います。

裁判がどの段階にあるかにもよりますが、原告側が出廷するのみだったり、各自の主張をまとめた書類を出し合うことがメインだったりと、多くの人が想像するより静かなものであることが多いです。

刑事裁判とは|加害者の有罪・無罪を決める裁判

刑事裁判は、交通事故の加害者が有罪か無罪か、有罪ならどれくらいの刑罰を科すのが適切なのかを審理するものです。

民事裁判は誰でも起こすことができますが、刑事裁判では、検察官が被告人(交通事故の場合は加害者)を起訴します。

大きな交通事故だとニュースで「○○被告に懲役〇〇年」などと報道されますが、それは刑事裁判によって決められているのです。

なお、刑事裁判は国家が犯罪の被告人(容疑者)を審理して刑を科すかどうかを判断するものです。被害者に対する補償額について審理されることはありません。

交通事故の民事裁判の起こし方・事前準備

では、交通事故で民事裁判を起こすためにはどうしたら良いのか見ていきましょう。
まずは実際に訴えを起こすまでの準備の流れを紹介していきます。

(1)民事裁判に必要な書類・費用を用意する

民事裁判を起こすためには、書類と費用が必要です。
それぞれについて解説します。

民事裁判の必要書類の種類と内容

民事裁判を起こすためには、証拠書類と訴状の提出が必要です。

まず証拠書類ですが、交通事故被害者が被った損害の内容や損害額、事故と損害との因果関係を示すためのもので、代表的なものとしては以下の書類があります。

証拠書類の一例

  • 交通事故証明書
  • 実況見分調書
  • 病院の診断書
  • 診療報酬明細書、領収書
  • 被害者の収入の証明書
  • 後遺障害等級に関する認定書類
  • 後遺障害診断書
  • 休業損害証明書
  • ドライブレコーダーの映像記録
  • カルテ
  • 診断画像 など

つづいて訴状です。
訴状とは民事裁判に関する概要をまとめた書類で、具体的には次のような内容を記載します。

  • 表題
    「訴状」と書きます。
  • 訴状作成年月日
  • 提出先の裁判所
    • 訴額が140万円以下:簡易裁判所
    • 訴額が140万円超:地方裁判所
    • 裁判所は、被害者または加害者の住所地、もしくは事故発生場所の住所地を管轄する裁判所となります。
  • 訴状提出者の氏名、押印
    原則として事故被害者本人の名前を書きます。
    ただし、事故の状況等によっては、親族の名前を記す場合もあります。
  • 事件名
    「損害賠償請求事件」と書きます。
  • 訴訟物の価額
    相手方に対して請求する損害賠償金の合計金額を記します。過少請求とならないよう注意しましょう。
  • 貼用印紙額
    裁判を起こす手数料のことです。
    手数料分の印紙を買って納付するので、印紙額といいます。
  • 原告
    原告の住所氏名、電話番号、FAX番号、書類の送達場所を記します。
    住所と書類の送達場所が同じであれば、同上で構いません。
  • 被告
    被告の住所氏名を記します。
    判明している場合は、電話番号、勤務先の所在地・名称なども記します。
  • 請求の趣旨
    請求の内容を簡潔に記します。
    (例)
    1 被告は原告に対し金○○○○○円を支払え
    2 訴訟費用は、被告の負担とする。
    との判決及び仮執行の宣言を求める
  • 請求の原因
    争いとなっている内容とこちらの主張を、以下のように簡潔に記します。
    • 事故発生の事実:事故の発生日時、場所、加害者、加害車両の種類と車両番号、被害者、事故の態様
    • 責任原因:運行供用者責任なのか使用者責任なのか、一般不法行為責任なのかなど
    • 治療の経過
    • 損害の詳細:物損、治療関係費、通院交通費、休業損害など
  • 証拠
    提出する証拠を記載します。
    提出する証拠はそれぞれ、甲第1号証、甲第2号証…といったように番号を振ります。
  • 附属書類
    訴状以外に提出する書類を記載します。
    具体的には、訴状の副本、証拠の写しなどです。

交通事故の裁判でかかる費用

裁判費用は勝訴すれば費用は相手方に請求できますが、はじめは裁判を起こす側が用意し支払わなければなりません。

裁判を起こすためにまず必要な費用に、申立て手数料(印紙代)があります。
加害者側への請求額(訴額)ごとに定められた、以下の金額に相当する収入印紙を購入しましょう。

民事裁判の申立て手数料(印紙代)

訴額印紙代
~100万円10万円ごとに1000円
100万円~500万円20万円ごとに1000円
500万円~1000万円50万円ごとに2000円
1000万円~10億円100万円ごとに3000円
10億円~50億円500万円ごとに1万円
50億円~1000万円ごとに1万円

なお、裁判では申立て手数料の他に、次のような費用ももかかります。

  • 郵便料
    裁判所から当事者に書類を送付するための費用です。
    相当する金額の現金を用意するか、相当額の切手を購入してください。
    料金は裁判所ごとに設定されているので、裁判所に確認を取りましょう。
    たとえば東京地方裁判所は、原告と被告がそれぞれ1名ずつの場合の郵便料を6000円と定めており、原告や被告の人数が1名増えるごとに2178円を追加するとしています。
  • その他、訴訟手続きの最中に追加で必要になる可能性のある費用
    たとえば裁判に証人を呼んだとき、その証人に対する旅費日当が必要となります。
    目安として、1日につきおおよそ1万円です。
    専門家による鑑定が必要になった場合は、鑑定の料金も必要となります。

裁判費用について詳しく知りたい方は『交通事故裁判の費用相場|裁判費用を加害者負担にできる?弁護士費用特約とは?』の記事をご覧ください。

(2)必要書類の提出・費用の納付

訴状と証拠書類の準備ができたら、それを裁判所に提出します。
提出先となる裁判所は、被害者の住所地か加害者の住所地、もしくは事故発生場所の住所地を管轄する簡易裁判所または地方裁判所です。

必要書類の提出先

訴額提出先
140万円以下簡易裁判所
140万円超地方裁判所

費用については、まず申立て手数料は、訴状に印紙代を貼って提出することで納付となります。

郵便料は切手で納付する場合は訴状と一緒に切手を提出します。
現金で納付する場合は、窓口納付、銀行振り込み、電子納付といった方法が選べます。

交通事故の民事裁判開始後の流れ

つづいて、交通事故の民事裁判が始まった後の流れを解説していきます。

(1)口頭弁論|互いの主張・証拠を出し尽くす

訴状が受理されると、1ヶ月~2ヶ月以内に第1回口頭弁論期日が決まります。
口頭弁論とは、簡単に言うと原告・被告双方がそれぞれの主張や反論を裁判官に伝え、裏付けとなる証拠を提出することです。

裁判官は当事者双方の言い分や提出された証拠を確認し、次回の口頭弁論の論点を決めます。そして原告・被告は、次回までにその論点に関する主張・反論と証拠をまとめた書類を準備し、裁判所に提出します。

こうしたことを原告・被告双方の言い分が出尽くすまで月に1回のペースで繰り返し、双方の主張や問題点、事実などを明確にしていくのです。

口頭弁論への出席は代理人でも良い

原告側は第1回口頭弁論から参加しなければなりませんが、代理人弁護士を立てている場合は、代理人のみの出頭でも問題ありません。

なお、被告側、つまり相手側は第1回口頭弁論には出頭しないことがあります。
被告が提出した訴状の内容に対する反論をまとめた「答弁書」を裁判所に提出していれば、出頭する義務はないからです。

(2)和解の勧試|受け入れるとここで終了

原告、被告両方の主張や証拠書類などが提出され尽くしたあと、裁判官が「和解の勧試」、いわゆる和解勧告を行うことがあります。
和解の勧試とは、これまでの口頭弁論の内容を踏まえて、裁判官が原告・被告に和解案を提示することです。

交通事故の場合は損害賠償額が問題となっているので、和解案では損害費目ごとに金額とその根拠が示されることが多いです。

和解が成立すると、判決と同じ効力を持つ和解調書が作成されます。
原告と被告のどちらかでも和解案の受け入れを拒否する場合は、証人尋問・本人尋問などを経て判決を受けることになります。

なお、交通事故の民事裁判では、全体のおよそ70%は和解によって終局しているという裁判官の証言もあります。

和解案を受け入れるかどうか判断する方法

和解勧告を受け入れるかどうかは次の観点から検討してみましょう。

  • 和解案の内容に納得できるか
  • 判決まで進んだ場合の損害賠償額はどれくらいになりそうか
  • 今後証人尋問などで追加で必要になる費用はどれくらいか

また、以下の点についても考慮したうえで、和解案を受け入れるかどうか判断することが重要です。

  • 和解に応じなかった場合、その後の本人尋問に仕事を休んで参加しないといけない可能性がある。
  • 和解に応じた場合、裁判費用は「各自の負担」となる。つまり、自分が払った費用はそのまま自己負担となり、原告・被告それぞれが相手方に請求することはできない。

(3)証人尋問・本人尋問

和解が成立しなかった場合、裁判は続行となり、証人尋問や本人尋問が行われます。

  • 証人尋問:たとえば事故の目撃者や治療を担当した医師などを法廷に呼び出し、質問などをするという様式の証拠調べ
  • 本人尋問:原告や被告本人に法廷で質問などをする証拠調べであり、当事者尋問とも呼ばれる

尋問は一問一答式で、証人や本人が作成した陳述書をもとに次の流れで行われます。

尋問の流れ

  1. 主尋問
    (例)原告側が呼び出した証人に対して、原告側の弁護士などが質問する。
  2. 反対尋問
    (例)原告側が呼び出した証人に対して被告側が質問し、主尋問での証言の矛盾などを明らかにする。
  3. 主尋問と反対尋問の繰り返し
  4. 補充尋問
    主尋問や反対尋問で確認できなかったこと、あいまいなままになっていることについて、裁判官が質問する。

証人尋問、本人尋問が行われたあとは、再度和解の勧試が行われる場合もあります。
再び和解案が受け入れられなかった場合は、判決を受けることになります。

(4)弁論終結と判決

判決まで進むことになったら、判決が出る前に原告・被告は最終準備書面を裁判所に提出します。
最終準備書面では、いままで提示された証拠などを引用し、自身の主張がどの程度立証されたかを論じます。

「これまでの口頭弁論や尋問、提出書類などから、自分のこの主張は認定されるべきだ」ということを最後に裁判官に主張するのです。

最終準備書面を提出したら、判決期日、つまり判決を言い渡す日時が指定されます。

ただし、判決期日には被告側も原告側も、出廷する必要はありません。判決の内容は、裁判所に電話したり、数日後に届く判決書を見たりして確認することがほとんどです。

判決に納得いかない場合は控訴・上告する

第一審で出された判決に不服があり、判決内容を確定させたくない場合は、控訴という形で不服申立をすれば第二審を受けられます。
控訴の流れは次の通りです。

  1. 判決が出てから14日以内に、控訴状を第一審の裁判所に提出
  2. 控訴状提出から50日以内に、控訴理由書を提出
  3. 控訴審の担当裁判所から紹介状が届くので、記入して返信
  4. 口頭弁論
  5. 和解の勧試、判決

控訴審は、第一審の上級裁判所で行われます。
また、控訴審の結果にも納得いかない場合は、上告をして上告審(第三審)を受ける方法もあります。

第一審・控訴審・上告審の担当裁判所は、以下の通りです。

第一審簡易裁判所地方裁判所
第二審
(控訴審)
地方裁判所高等裁判所
第三審
(上告審)
高等裁判所最高裁判所

なお、控訴や上告は必ずしも通るとは限らず、却下されれば第二審・第三審は行われません。
また、審理がおこなれても棄却され、第一審と判決が変わらないこともあります。

裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第8回)(令和元年7月19日公表)」によれば、民事事件における控訴審の判決のうち、75.2%が控訴棄却でした。

さらに上告となると、上告が行われた事件の総数のうち約99%は却下・棄却決定されています。

よって、必ずしも3回裁判が受けられるわけではない点に注意してください。

交通事故で民事裁判を起こすメリット・デメリット

次に、交通事故で民事裁判を起こすメリットとデメリットを説明していきます。
裁判を起こすメリットの方が大きいか、デメリットの方が大きいかは実際の状況や被害の程度などによるので、しっかり確認していきましょう。

交通事故で民事裁判を起こすメリット|獲得金額の増加など

民事裁判のメリットは以下の通りです。

民事裁判のメリット

  • 裁判基準での損害賠償金額の支払いを受けられる
  • 遅延損害金の支払いを受けられる
  • 相手の合意の有無にかかわらず紛争が解決される

*いずれも勝訴した場合

ひとつずつ確認していきましょう。

裁判基準での損害賠償金額の支払いを受けられる

裁判基準とは、過去の判例をもとにした損害賠償額の金額基準です。

示談交渉の場合、加害者側は裁判基準よりも低額な金額を提示してきます。
より高額かつ適切な示談金になるよう交渉をしても十分に聞き入れられないことが多いですが、裁判なら裁判所が損害賠償額額を算定するので、裁判基準の金額が得られるでしょう。

遅延損害金の支払いを受けられる

遅延損害金とは、損害賠償金の支払いが遅れることに対する賠償金です。

交通事故の損害は、交通事故発生日から生じるものです。しかし、損害賠償金の支払いはそれよりも後になってしまうので、その遅れに対して遅延損害金が支払われます。

ただし、遅延損害金は通常、示談では支払われません。
よって、遅延損害金が支払われるという点は民事裁判を起こすメリットといえます。

遅延損害金の金額や裁判での請求方法は、『交通事故の遅延損害金|支払いを受けられるケースや計算方法は?』の記事をご覧ください。

相手の合意の有無にかかわらず紛争が解決される

示談交渉は、被害者側と加害者側の合意がなければ成立しません。
そのため、お互いが納得したり妥協したりしなければ、交渉は平行線となりいつまでも示談金は受け取れないのです。

それに対して民事裁判で下される判決には、原告・被告の合意は必要ありません。
よって、示談交渉では話がつかない場合には民事裁判を起こすメリットが大きいでしょう。

交通事故で民事裁判を起こすデメリット|かかる期間や敗訴リスク

一方で、民事裁判にはデメリットもあります。

民事裁判のデメリット

  • 裁判上の手続きが煩雑
  • 立証の手間がかかる
  • 裁判が長期化するリスクがある
  • 裁判費用がかかる
  • 敗訴のリスクがある

上で解説した民事裁判の流れを見てもわかる通り、民事裁判では訴えを起こす手続きや主張立証の準備、尋問の準備などが必要です。
裁判の経験や法的知識がない被害者にとっては、煩雑で難しく、多くの労力がかかるのが実情でしょう。

また、裁判では月に1回ペースで口頭弁論が行われるので、口頭弁論の回数次第では解決までに時間がかかります。
裁判にかかる期間は事案によって異なりますが、6ヶ月~2年かかることが多いので、長期間かかることも理解しておきましょう。

最後に、敗訴のリスクについても理解しておかなければなりません。
上で民事裁判を起こすメリットを紹介しましたが、それらはいずれも勝訴した場合のものです。
また、敗訴した場合は裁判費用も最終的に原告側の自己負担となってしまうので、注意してください。

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交通事故で民事裁判を検討すべき3つのケース

交通事故で民事裁判を起こすメリット・デメリットについて解説しましたが、続けて交通事故で民事裁判を検討すべきケースについて解説していきます。

これから紹介する3つのケースに該当する場合は、民事裁判を起こすメリットが大きい可能性があります。

示談交渉・ADR・調停でも問題が解決しない場合

交通事故の損害賠償問題は、まず示談交渉による話し合いで解決が試みられます。
示談交渉が決裂した場合でも、すぐに民事裁判に移るのではなく、ADR機関の利用・民事調停を利用するケースが多いです。

示談交渉・ARD・民事調停の概要や特徴をまとめると、以下の通りです。

示談交渉やADR、民事調停など、裁判よりもリスクの低い方法でも決着がつかなかった場合は、民事裁判を検討してみましょう。

損害賠償額が大きい場合

次のような事情から損害賠償額が大きくなる交通事故では、示談交渉で揉め、交渉が決裂してしまう可能性が高いです。

  • 死亡事故や重い後遺障害が残った交通事故
  • 慰謝料を通常の相場よりも増額させるべき事情がある交通事故

相手となる加害者側の任意保険会社は、少しでも示談金額を少なくしようとしてきます。
損害賠償額が大きい場合はその姿勢がことさらに強くなるので、なかなか納得のいく金額での合意ができないでしょう。

また、損害賠償額が大きい場合は、過失割合でももめる可能性が高いです。
損害賠償額は、被害者の過失割合分減額されてしまいます。この「過失相殺」を狙って、加害者は被害者の過失割合を多くしようとしてくることもあるのです。

損害賠償額が大きいく示談交渉でもめやすい場合は、民事裁判も検討してみましょう。

裁判例

ここで、事故様態の悪質さを理由に慰謝料増額を求めた裁判例を紹介します。
この裁判では、通常の相場よりも1000万円以上高額な慰謝料を認める判決が出されました。

事故の概要女児2名を後部座席に乗せた被害者車両の後方から、加害者車両が追突したという事故。
加害者は飲酒し酩酊状態だった。
車両は炎上し、女児2名は焼死した。
争点被害者側弁護士は、事故の態様が悪質であることに鑑みて、通常の相場よりもさらに増額した基準での慰謝料の支払いを求めた。
判決慰謝料の増額を認めた。
通常、死亡者1名につき2000万円~2500万円程度の慰謝料が認められるところ、被害者1名につき3900万円の慰謝料が認められた。

*東京地方裁判所 平成15年7月24日判決 事件番号 平成14年(ワ)第22987号 (https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/641/005641_hanrei.pdf

示談交渉で弁護士を立てれば解決するケースも

ただし、示談交渉で弁護士を立てると交渉がスムーズに進み、納得のいく金額が得られる可能性が高いです。
民事裁判のデメリット・リスクを考えると、まずは弁護士を立てて示談交渉を行う方が良いでしょう。それでも問題が解決しない場合は民事裁判を検討してみましょう。

後遺障害等級や労働能力喪失率に納得いかない場合

後遺障害等級とは、交通事故の後遺症に対して認定される等級のことです。
後遺障害等級が認定されると、その等級に応じた後遺障害慰謝料・逸失利益が請求できるようになります。

ただし、後遺障害等級は必ずしも納得のいくものが認定されるとは限りません。
納得いかない場合は異議申し立てにより認定の再審査を受けることもできますが、裁判所に後遺症の症状や治療経過を示す証拠を提出し、裁判内で後遺障害等級を検討してもらうことも可能です。

また、逸失利益は後遺障害等級に応じた「労働能力喪失率」を用いて計算します。
ただし、場合によってはより高い労働能力喪失率を適用すべきケースもあります。

相場以上の労働能力喪失率を求める場合は、示談交渉では話がまとまらない可能性も高いので、民事裁判も検討してみましょう。

裁判例

以下で紹介するのは、相場以上の労働能力喪失率が認められた裁判例です。
後遺障害等級から考えれば労働能力喪失率は27%~35%であるところ、実際の状況を勘案し、90%とする判決が出されました。

事故の概要被害者は原動機付自転車を運転中、対向してきた加害者軽自動車と正面衝突した。
ケガの態様右大腿骨骨折、右ひざ内出血、下腿の筋断裂など
後遺症右ひざ関節の機能障害が残った。
後遺障害9級~10級相当。
争点被害者は音楽と書道の家庭教師であった。
後遺障害のため業務を継続することができず、被害者は家庭教師をやめてしまった。
被害者と弁護士は、上記のような事情があるため、労働能力を100%失くしたものとして逸失利益を算定するよう求めた。
なお、後遺障害9級~10級の労働能力喪失率は基本的に27%~35%である。
判決労働能力喪失率90%と認められた。

*最高裁判所 昭和48年11月16日判決 事件番号昭和47年(オ)第734号(https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/135/062135_hanrei.pdf

交通事故の民事裁判は、まず弁護士に相談を

民事裁判を起こすか迷ったり、民事裁判を起こそうと思ったりした場合は、まず弁護士にご相談ください。
ここでは、まず弁護士に相談すべき理由と、弁護士費用や裁判費用が実質無料になる特約を紹介していきます。

民事裁判を起こすべきか、弁護士なら判断できる

先述の通り、交通事故の民事裁判にはメリットとデメリットがあります。
民事裁判を起こすメリットとデメリットのどちらが大きいのかは事案によってさまざまで、判断が難しいところです。

しかし、弁護士なら、民事裁判を起こすデメリットやリスクと結果とを天秤にかけ、本当に民事裁判に踏み込むべきかを判断できます。

仮に見込みが甘い状態で裁判に臨んでしまった場合、示談で提示された条件とほとんど変わらない判決を受けたり、敗訴してしまったりする可能性もあります。

自己判断で民事裁判に踏み切らず、まずは弁護士に相談してみることがおすすめです。
アトム法律事務所では、無料相談を受け付けています。

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効果的に対策を練り良い結果を得るには弁護士が必要

裁判を起こすこと自体は、弁護士を立てなくても可能です。弁護士を立てずに自力で裁判に臨むことを、本人訴訟といいます。

しかし、実際には裁判前から裁判中まで、さまざまな手続き・準備が必要です。
民事裁判に慣れていない被害者の場合、対応するだけで精いっぱいとなり、民事裁判で良い結果を得るための対策が十分にできない可能性があります。

また、加害者側の保険会社は裁判に慣れた弁護士を立てきます。
相手方弁護士は被害者よりも先の展開を予想する力や証拠収集能力などに圧倒的に長けているので、太刀打ちすることは難しいでしょう。

弁護士を立てて民事裁判を行えば、裁判を起こすための事務手続きはもちろん、裁判を有利に進めるための対策も立ててもらえます。

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民事裁判で勝訴すれば、弁護士費用の一部や裁判費用は加害者側に請求できますが、敗訴すれば被害者側の負担となります。

また、民事裁判を起こさず、弁護士を立てて示談を成立させた場合は、加害者側に弁護士費用を請求することはできません。

しかし、自動車保険に付帯している「弁護士費用特約」を使えば、弁護士費用や裁判費用を保険会社に負担してもらえるので安心です。

弁護士費用特約

弁護士費用特約は、家族の保険に付帯しているものでも使える場合があります。
具体的な補償内容や使い方については、以下の関連記事をご覧ください。

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代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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