交通事故の裁判費用相場と内訳は?裁判費用や弁護士費用は誰が払う?
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交通事故の損害賠償問題について弁護士に依頼したり、裁判を起こすことになったりすると、弁護士費用や裁判費用といった金銭が発生します。
裁判費用は裁判を起こすために裁判所に納める費用のことで、裁判手数料、郵便料をさします。裁判費用は、相手方への訴額(請求額)や裁判の当事者の人数などで様々です。
また、交通事故の民事裁判では相手方が弁護士に依頼することも多く、被害者側も弁護士費用の支払いが生じることが多いとされています。
弁護士費用は法律事務所ごとに金額設定があるため、弁護士との法律相談を通して依頼する弁護士を決める際に、必ず弁護士費用についても確認しましょう。
そして、裁判費用や弁護士費用のなかには、加害者に支払いを求めることが可能な費用があることも説明します。
目次
交通事故の裁判費用の内訳と相場|計算法や支払い方は?
交通事故の裁判では、主に3つの費用がかかります。
裁判費用の内訳と支払い方
- 裁判手数料:収入印紙を訴状や申立書に貼って納付
- 郵便料:切手あるいは現金納付
- 弁護士費用:弁護士に支払う
裁判手数料と郵便料は裁判を起こす際に必ずかかる費目で、まとめて「裁判費用(訴訟費用)」ともいわれます。
弁護士費用は、弁護士に依頼しない場合には発生しません。
しかし、民事裁判では法律の専門知識が必要になる場面も多く、実質的にほぼ必須となる費用です。
それぞれの費目の内容と相場をみていきましょう。
(1)裁判手数料(申立手数料)
裁判を起こすときには、まず申立手数料が発生します。
申立手数料の納付方法は、郵便局や裁判所内の売店で申立費用分の収入印紙を購入し、訴状や申立書に貼ることで納付します。そのため弁護士費用の内訳として「収入印紙代」とも表現される金銭です。
申立手数料の金額は訴額(事故の相手方に請求する金額)に応じて異なり、控訴・上告の際には再度申立手数料が必要になります。
手数料は、訴額ごとに以下のとおりです。
訴額 | 申立手数料 |
---|---|
~100万円 | 10万円ごとに1000円 |
100万円~500万円 | 20万円ごとに1000円 |
500万円~1000万円 | 50万円ごとに2000円 |
1000万円~10億円 | 100万円ごとに3000円 |
10億円~50億円 | 500万円ごとに1万円 |
50億円~ | 1000万円ごとに1万円 |
申立手数料の計算方法は勘違いしやすいので、ここで例をあげて計算方法を説明します。
訴額が50万円の場合
訴額50万円のとき、申立手数料の総計は5000円となります。
訴額は100万円までの場合、申立手数料は10万円ごとに1000円です。
訴額が150万円の場合
訴額が150万円の場合は、申立手数料の総額は1万3000円です。
100万円分と100万円から150万円分に分けて申立手数料を算定します。
計算の手順
- 最初の100万円分:1万円(20万円ごとに1000円の手数料)
- 残りの50万円分
100万円を超える部分:20万円ごとに1000円の手数料
50万円は20万円、20万円、10万円の3段階
3段階にわかれるため3,000円がかかる - これらの合計:1万3,000円
訴額が1億円の場合
訴額が1億円の場合は、すべて合わせて申立手数料は32万円です。
100万円まで、100万円から500万円まで、500万円から1,000万円まで、1,000万円から1億円までの4段階に分けて算定します。
計算の手順
- 100万円までの部分:1万円
- 100万~500万円までの部分:2万円
- 500万~1,000万円までの部分:2万円
- 1,000万~1億円までの部分:27万円
- これらの合計:32万円
控訴・上告の際は手数料が上がる
裁判は三審制です。一回目の裁判の結果が不服であった場合、控訴ができます。控訴とは、さらに上級の裁判所でもう一度審理するよう申し立てることです。
控訴の結果も不服であれば、上告できます。上告とは、さらに上級の裁判所でもう一度審理するよう申し立てることことです。
控訴と上告の際にも申立手数料がかかります。手数料の金額は、控訴では上記の基準の1.5倍、上告は2倍です。
(2)郵便料
郵便料は裁判所から当事者に書類などを送付するための費用をさします。
金額は裁判所ごとに異なりますが、原告ならびに被告の人数が多いほど高額です。郵便切手(予納郵券)または現金で納付します。
納付方法
- 切手:訴状や申立書とともに納付(裁判所内の売店・郵便局で購入も可能)
- 現金:窓口納付・銀行振込・電子納付
裁判では、必要書類などを被害者方や加害者方に郵送で届ける必要があります。そのための郵便料も裁判の提起時に納めなければなりません。
郵便料は各裁判所ごとに料金が設定されています。
東京地方裁判所の例
東京地方裁判所は、原告と被告がそれぞれ1名ずつの場合の郵便料を6000円と定めており、原告や被告の人数が1名増えるごとに2440円を追加可能です。
ただ、原告や被告が複数人居る場合でも、共通の代理人が選任されている場合には、この追加の料金はかかりません。
なお、控訴時は控訴先の裁判所の規定、上告時には上告先の裁判所の規定に従い郵便料を納めてください。
現金納付を勧める裁判所が多い
郵便料は切手または現金による納付ができますが、余った時の還付の観点から、現金納付を勧めている裁判所は多いです。
ただし、現金による納付に対応していない裁判所もあるので、事前に確認してみてください。
なお、現金による納付方法は以下の通りです。
窓口納付 | 訴状提出後、受付窓口で保管金提出書の交付を受ける。 保管金提出書、印鑑及び現金を準備し、担当部署に赴いて手続きを行う。 |
銀行振込 | 訴状提出後、受付窓口で保管金提出書及び裁判所保管金振込依頼書の交付を受ける。最寄りの銀行から振込手続を行い、裁判所提出用の書類に必要事項を記入して担当部署に提出する。 |
電子納付 | 「電子納付利用者登録申請書」に必要事項を記入し、担当部署に提出。 受付窓口で保管金提出書の交付を受けたあと、ATMで納付を行う。 |
(3)弁護士費用
裁判を起こすために裁判所に納める費用とは異なり、弁護士費用は裁判対応を任せるために弁護士に支払う費用のことです。
必ずしも弁護士を立てなければいけないという決まりはありませんが、相手方が弁護士に依頼することが多いので、必然的に被害者側も弁護士に依頼するケースが多いです。
交通事故の弁護士費用は、着手金・報酬金・法律相談料・弁護士日当などの弁護士報酬と、交通費・通信費などの実費で構成されており、法律事務所ごとに費用体系は様々です。
交通事故の弁護士費用の基本的な内訳は下表をご覧ください。
費目 | 概要 |
---|---|
着手金 | 弁護活動の開始時にかかる費用 |
報酬金 | 弁護活動の成果に応じた費用 経済的利益を用いた設定が一般的 |
法律相談料 | 弁護士相談についてかかる費用 時間制や回数制を採る場合あり |
日当 | 法律事務所以外での弁護活動費用 距離や時間で金額が決まる場合あり |
弁護士費用の相場や支払い負担を軽減するコツについては、関連記事『交通事故の弁護士費用相場はいくら?弁護士費用特約を使って負担軽減』にてよりくわしく解説しています。
アトム法律事務所の費用例
- 法律相談料:無料
- 着手金:原則無料(裁判を提起する場合や事案によって発生)
- 報酬金:原則最終的に獲得した金額の11%+220,000 円(税込)
- 支払い方:着手金は事件処理の開始時に、そのほかの費目は事件終了時のお支払い
アトム法律事務所の費用体系については、アトム法律事務所のホームページ「交通事故の弁護士費用」にも記載しております。あるいは、弁護士との法律相談でも気兼ねなくご質問ください。
下記バナーよりお電話いただければ、まずは法律相談のご予約をお取りします。
裁判するなら弁護士依頼がおすすめ
民事裁判において弁護士の存在は必須ではなく、被害者自身が裁判を提起し、手続きを進めることも可能です。
ただし、以下の理由から弁護士への依頼検討をおすすめします。
弁護士を検討した方がいい理由
- 裁判に必要な書類の作成・提出、証拠資料の収集は煩雑で大変
- ケガの治療や日常生活と並行して裁判対応が求められる
- 加害者側は弁護士を立てることが一般的なので、被害者自身で対応すると不利になりがち
裁判では示談交渉よりも高額な損害賠償金が認められる可能性がある一方、中立的な立場から判決が下されるので、主張を裏付ける証拠資料が不十分だと被害者にとって不利な結果に終わるリスクもあります。
もし敗訴すると、満足のいく損害賠償金が得られないだけでなく、裁判費用も負担しなければならないので、弁護士を立てて万全の態勢で臨むことが重要です。
裁判の提起を考えている場合は、一度アトム法律事務所の無料相談をご利用ください。
裁判をするメリット・デメリットや、裁判に発展させずに満足のいく形で解決させる方法はないかなど、アドバイスいたします。
交通事故の弁護士費用や裁判費用は誰が払う?
交通事故の弁護士費用は基本的に被害者が支払うものです。ただし、裁判で勝訴した場合は相手方に一部支払いが命じられることがあります。
裁判に至る前に、被害者側が弁護士に示談交渉を依頼した弁護士費用は、基本的には加害者に請求できません。
交通事故の裁判費用については、裁判を起こすときには必ず被害者(裁判を起こした人)が負担するものです。そして、勝訴したら相手に請求でき、敗訴したら支払った分は返ってきません。
裁判費用 | 弁護士費用 | |
---|---|---|
示談 | ー | できない |
勝訴 | できる | 一部できる |
敗訴 | できない | できない |
これらの原則について、よりくわしく説明します。
裁判前の示談交渉|被害者が弁護士費用を負担
交通事故の被害者が弁護士に依頼するかどうかは、被害者の選択によるものです。そのため、示談交渉を依頼した際の弁護士費用を加害者に請求することはできません。
そこで被害者は「弁護士費用を支払ってでも、弁護士依頼のメリットはあるのか」を慎重に検討すべきです。
弁護士への依頼を検討する際には、弁護士の交渉で見込める損害賠償額と弁護士費用の比較が必須になります。弁護士費用を支払うことで、かえって手元に残るお金が減ってしまえば「費用倒れ」といって、被害者が損をしてしまうのです。
なお、弁護士費用特約があれば、特約の補償範囲内で、保険会社が弁護士費用を支払ってくれます。そのため、事案によっては自己負担ゼロで弁護士に依頼することも可能です。
弁護士費用特約については、本記事内「弁護士費用は弁護士費用特約により負担を減らせる」をお読みください。
費用倒れを防ぐには法律相談が大切
弁護士費用は法律事務所の費用体系ごとに変わりますので、一度弁護士に相談して損害賠償額と弁護士費用の見積もりを取ってもらってください。
アトム法律事務所では、交通事故の被害者を対象とした無料の法律相談を実施しています。弁護士費用と損害賠償金額の見積りや、過失割合のご相談などお困りごとがあればお気軽にご相談ください。
裁判で勝訴|加害者が裁判費用を負担
原則として、交通事故裁判の費用のうち訴訟費用である「裁判手数料」と「郵便料」は敗訴した側が払います。
つまり、裁判で勝訴すれば、裁判費用は加害者側に負担してもらえます。これは民事訴訟法によって定められた規定です。
第六十一条 訴訟費用は、敗訴の当事者の負担とする。
第六十二条 裁判所は、事情により、勝訴の当事者に、その権利の伸張若しくは防御に必要でない行為によって生じた訴訟費用又は行為の時における訴訟の程度において相手方の権利の伸張若しくは防御に必要であった行為によって生じた訴訟費用の全部又は一部を負担させることができる。
民事訴訟法 第一節 訴訟費用の負担
勝訴することで常に全額を加害者側に負担してもらえるとは限りませんが、負担の割合は加害者側が多くなる傾向にあります。
注意点|最初に裁判を起こす側が裁判費用を支払う
裁判費用はまず、裁判を起こす側が一旦立て替えて支払います。裁判を起こした側が勝訴すれば、あとから相手方に立て替えた分を請求するのです。
よって、裁判を起こすことを考えているのなら、裁判の結果にかかわらずまずはご自身で裁判費用を支払わなければなりません。
裁判費用の支払いについては、『民事裁判にかかる費用は訴訟費用と弁護士費用|負担を減らす方法はある?』の記事でも解説しています。
裁判で勝訴|加害者は弁護士費用の一部負担
交通事故の被害で裁判を起こす場合、勝訴すれば弁護士費用も加害者側の負担にできますが、あくまでも一部にとどまります。
弁護士費用の全額を請求すること自体はできますが、認められる可能性は極めて低いでしょう。
実務上は、裁判により認められた請求額の10%程度を上限に弁護士費用が認められるケースが多いです。
本来、裁判は弁護士に依頼せずとも被害者だけで起こせる制度です。そのため、弁護士を依頼した場合にかかる弁護士費用は、原則的には裁判を起こした側が負担しなければなりません。
交通事故など「不法行為」を損害賠償請求の根拠とする場合、弁護士費用の一部が例外的に認められます。
裁判で相手に弁護士費用を請求する方法
裁判で弁護士費用を相手に請求するには、裁判を起こすために裁判所に提出する「訴状」に記載せねばなりません。
交通事故の場合、「損害額」の合計と、治療費や休業損害などすでに支払われている賠償金の「既払額」を訴状に記載します。
そして、別途「弁護士費用」の項目を設け、損害額から既払額を差し引いた賠償金の10%程度を弁護士費用として請求する旨を訴状に記載するのです。
事故の相手に弁護士費用を請求したいという方は、以下の関連記事でも和解や判決などのケースに分けてよりくわしく解説していますので、あわせてお読みください。
【重要】弁護士費用特約で弁護士費用の負担を減らせる
弁護士費用をご自身の加入する保険会社に補償してもらえる特約として、弁護士費用特約があります。
弁護士費用特約の範囲は、おおむね弁護士への法律相談料として上限10万円、弁護士費用として上限300万円に設定されていることが多いです。
弁護士費用には訴訟のための費用も含まれるので、弁護士を立てて裁判を起こす場合にも役に立ちます。
通常、弁護士費用特約は、自動車保険や火災保険などのオプションとして取り扱われています。
ご自身の加入する保険の契約を見直して、弁護士費用特約がついているかどうか確認しましょう。
重要
弁護士特約を利用して示談交渉から裁判に発展する場合、契約内容や利用状況によっては弁護士費用の一部が自己負担となることがあります。特約を利用する場合は、事前に保険約款を読んだり保険の担当者に確認したりしてください。
弁護士費用特約の具体的な使い方やメリットについては、関連記事『交通事故の弁護士費用特約とは?メリット・使い方・使ってみた感想を紹介』でよりくわしい説明を確認可能です。
交通事故裁判のメリット・デメリット
交通事故の損害賠償問題について裁判を起こすことには、メリットもデメリットもあります。
ここでは、裁判を起こすメリットやデメリット、どんな場合に裁判を起こすべきかを解説していきます。
裁判を起こすメリット3つ
裁判を起こすメリットは次の通りです。
裁判を起こすメリット
- 相手の合意がなくても紛争が解決される
- 裁判基準(被害者の方が本来受けとるべき金額の基準)での支払いを受けられる
- 遅延損害金(賠償金の支払いが遅れたことに対する補償金)の支払いを受けられる
*いずれも勝訴した場合
交通事故の損害賠償問題は多くの場合、示談交渉・ADRによる和解あっ旋・調停などによって解決が試みられますが、これらはいずれも当事者双方の合意がなければ成立しません。
しかし、裁判で下される判決には当事者双方の合意は必要ないので、加害者側との話し合いが平行線になっている場合には有効です。
また、示談交渉で加害者側は相場よりも低い示談金額を提示してきますが、裁判所は中立的な立場から適切な損害賠償額を判断してくれます。
損害賠償金の支払いが遅くなることに対する「遅延損害金」を請求できる点も、裁判を起こすメリットといえます。
遅延損害金の関連記事
裁判を起こすデメリット3つ
交通事故の損害賠償問題について裁判を起こすデメリットは、以下の通りです。
裁判を起こすデメリット
- 準備が大変
- 納得のいく判決が出るとは限らない
- 費用や時間がかかる
裁判では、証拠の有無によって事実を認定します。
よって、裁判を起こす際には自らの主張を裏付ける証拠の収集が必要です。
裁判所はあくまでも提出された証拠から判決を下すので、集めた証拠が不十分だと、たとえ被害者であっても敗訴し、十分な損害賠償金が得られないリスクもあります。
また、裁判の提起から判決までの期間として半年ほどは見込む必要があり、争点が複雑な事件は1年以上かかる場合もあります。
よって、早期解決によって早く損害賠償金を受け取りたい場合には向きません。
費用もはじめは提起する側が負担しなければなりませんし、敗訴してしまうとそのまま自己負担になってしまいます。
関連記事
交通事故の裁判にかかる期間はどのくらい?裁判期間が長引く訴訟類型
交通事故裁判の起こし方や流れ
裁判を起こすにはまず、訴状や証拠書類などの必要書類を準備する必要があります。必要書類が準備できたら、管轄の裁判所に提出します。
管轄の裁判所とは?
- 訴額が140万円以下なら簡易裁判所、140万円超なら地方裁判所
- 原告の住所地、被告の住所地、交通事故の発生地のいずれかの裁判所
訴額が140万円以下なら簡易裁判所でおこなわれることは、裁判所法第三十三条で定められています。
第三十三条(裁判権)簡易裁判所は、次の事項について第一審の裁判権を有する。
裁判所法第三十三条(裁判権)
一 訴訟の目的の価額が百四十万円を超えない請求(行政事件訴訟に係る請求を除く。)
二 (本記事に関連がないため省略)
管轄の裁判所に訴状などの必要書類を提出して無事に受理されると、裁判所から第一回の裁判期日の日程調整連絡が入ります。
裁判期日が決まると、裁判所から訴状と呼出状が被告に郵送され、裁判がはじまる流れとなります。
交通事故の裁判の流れについては『交通事故の裁判の起こし方や流れ|費用・期間や裁判になるケースを解説』の記事が参考になりますので、あわせてご確認ください。
裁判前に示談・調停・ADRで解決を目指す
裁判は通常、示談交渉や調停、ADR機関の利用によっても問題が解決できなかった場合にとる手段です。よって、まずはこれらの手段による解決を試みてみましょう。
示談交渉・調停・ADRがそれぞれどのようなものなのか、紹介していきます。
示談交渉とは当事者同士で話し合うこと
示談交渉とは、損害賠償問題について当事者同士で話し合い、解決を試みることです。
ただし、交通事故の示談交渉では、加害者側の交渉人は保険会社の担当者となることが多いです。
示談成立のためには双方の合意が必要なので、どちらか一方が合意しないままだと、問題は解決しません。
ただし、被害者側が弁護士を立てれば、加害者側の態度が軟化して示談が成立する可能性があります。
加害者側の保険会社としても、時間や手間の観点から裁判は避けたいと考えているからです。
示談交渉が進まずお困りの場合は、まずは弁護士の介入を検討してみてください。
交通事故における示談の基本的な内容や交渉の進め方などについては、関連記事でもくわしく解説しています。
調停・ADRでは、第三者が間に入ってくれる
ADRとは裁判外紛争解決手続きのことで、第三者機関が紛争の解決をお手伝いしてくれるものです。日弁連交通事故相談センターや交通事故紛争処理センターといった機関が有名です。
調停とは、裁判所が第三者として介入する、裁判に拠らない紛争解決をさします。
いずれも手続きの簡易さ、費用の低さ、解決の迅速さなどの面でメリットがありますが、示談交渉と同様、当事者双方の合意がなければ基本的には解決には至れません。
民事調停についてもっと知りたい場合は、『交通事故の民事調停|示談・裁判との違いはどこにある?』の記事をご覧ください。
交通事故裁判で知っておきたいこと
交通事故で裁判を起こすことを考えているなら、費用だけではなく、裁判で争点となる損害賠償金について知っておかなければなりません。
また、交通事故で起こす裁判には民事裁判と刑事裁判があるので、その違いについても確認しておきましょう。
交通事故で損害賠償請求できるもの|慰謝料計算機あり
交通事故でケガを負ったときの損害賠償金には、物損部分の賠償、傷害慰謝料、休業損害への補償など色々な費目があります。
また、後遺障害の認定を受けたときには、さらに追加で後遺障害慰謝料、逸失利益などを受けとることが可能です。
交通事故の損害賠償額は多くの場合、示談交渉で決められますが、この時加害者側の任意保険会社は低い金額を提示してくるので鵜呑みにするのは危険です。
以下の計算機では、示談交渉で弁護士を立てた場合や裁判を起こした場合に獲得が見込める慰謝料・逸失利益の金額がわかります。
機械による計算なのであくまでも目安となりますが、確認してみてください。
なお、さまざまな要素を踏まえたより厳密な損害賠償額は、弁護士に問い合わせるとわかります。
刑事裁判と民事裁判の違い
裁判には、刑事裁判と民事裁判の2種類があります。
刑事裁判では、有罪か無罪か、有罪ならどれくらいの刑を科すのが適当なのかを審理します。
よくイメージされる、裁判官が「懲役○○年」などと判決を言い渡すのが刑事裁判です。
一方、被害者の負った損害を算定し、加害者にその賠償を命じるのは民事裁判です。
示談交渉や調停などで損害賠償額が決まらない場合に起こすのは、民事裁判になります。
交通事故裁判の費用にお悩みなら弁護士に相談しよう
交通事故で裁判を起こすことにはメリットもありますが、リスクもあります。
本当に費用をかけてまで裁判を起こすべきかどうか迷った場合は、まず弁護士にご相談・依頼を行ってください。
裁判について弁護士に相談・依頼することで得られるメリットを紹介していきます。
メリット1.裁判したほうが良いのか判断できる
仮に、見込みが甘い状態で裁判に臨んでしまった場合、示談で提示された条件とほとんど変わらないような判決を受けてしまう可能性もあります。
そのため、本当に裁判を起こすべきかは慎重に判断しなければなりません。
弁護士は交通事故の裁判例や、慰謝料の相場などを熟知しています。
事故の状況、ケガの状況等に応じて、「示談交渉による増額を目指すべきか」「裁判も辞さない覚悟で臨むべきか」など、適切に判断可能です。
メリット2.裁判の煩雑な手間を軽減できる
交通事故の民事裁判は、かなり手間を要します。
また、ひとつの書面を作成するだけでも、専門知識が要求される場面も多いでしょう。
弁護士は裁判実務の経験を積んできており、どんな書類が必要になるか、何を記載すべきかを熟知しています。
弁護士に依頼して書面作成や事務手続きなどを代行してもらうことで、依頼者の負担をかなり軽減されるでしょう。
メリット3.裁判で勝訴できる可能性があがる
民事裁判は弁護士をつけずに、被害者だけで法廷に立つこともできます。
ただ、裁判となれば、加害者側の保険会社は自社と契約を結ぶ専門の弁護士を立ててくることでしょう。
法的知識のない方が弁護士と相対するのは無謀です。
裁判での勝訴を目指すなら、断然、弁護士への依頼を検討してください。
弁護士は、今までの裁判実務の経験から、法廷闘争の適切な戦略を練ることができます。
相手に認めさせたい事は何なのか、その根拠となる法令や判例は何なのかを把握し、裁判官に対して適切に明示可能です。
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アトム法律事務所は交通事故被害者の損害賠償請求案件について積極的に取り組んでいます。
そのため、交通事故の損害賠償請求に関する経験が豊富な弁護士に相談することが可能です。
法律相談は、24時間365日、いつでも予約を受け付けています。
相談は初回30分無料です。
下記のフォームからお気軽にお問い合わせください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了