交通事故の弁護士費用は相手(加害者)に請求できる?費用を減らす方法
交通事故に遭わなければ弁護士に依頼する必要もなかったわけですから、相手に弁護士費用を請求したいと思うのは当然のことです。
しかし、残念ながら示談交渉の段階では相手に弁護士費用を請求することはできません。
相手に弁護士費用が請求できるのは、裁判を起こした場合のみです。
示談交渉の段階で弁護士費用を請求できない理由や、裁判を起こした場合に請求できる弁護士費用について解説します。
また、相手に弁護士費用を請求できなくても、費用面で損をせずに弁護士に依頼できる方法も紹介します。
目次
交通事故の弁護士費用は相手に請求できる?
交通事故の被害に遭い、弁護士へ依頼したいと考えている場合、弁護士費用を加害者側に請求できるかどうかが気になるところです。ここでは、弁護士費用を請求できるケースとできないケースを解説します。
示談交渉では弁護士費用を相手に請求できない
まず、示談交渉の段階では弁護士費用を加害者側に請求することはできません。
その理由は、示談交渉における弁護士への依頼が「被害者の任意の選択」だと考えられているからです。
交通事故による損害のうち、治療費や休業損害、慰謝料などは、事故と因果関係のある損害として加害者側に請求できます。
しかし、示談交渉を弁護士に依頼するかどうかは被害者の自由な判断に委ねられており、必ずしも弁護士に依頼する必要はないとされているため、弁護士費用を加害者側に請求することはできないのです。
裁判なら弁護士費用を相手に請求できる
一方、裁判で勝訴した場合には、弁護士費用を加害者側に請求することが可能です。
通常であれば裁判における弁護士費用は、勝訴しても敗訴しても相手に請求することができません。
しかし交通事故の損害賠償請求においては、勝訴した場合のみ、事故と相当因果関係のある損害として、合理的な範囲内での弁護士費用の請求が認められているのです。
なお、相手に弁護士費用を請求する場合には、訴状にその旨を記載する必要があります。
訴状に記載する内容や、交通事故の裁判の流れについて詳しくは『交通事故の裁判の起こし方や流れ|費用・期間や裁判になるケースを解説』をお読みください。
相手に請求できる弁護士費用は賠償金の約10%
裁判で相手に請求できる弁護士費用は、和解で終わるケースと判決まで進むケースで異なります。
- 和解の場合:弁護士費用という名目ではなく、「調整金」として上乗せされることが多い
- 判決の場合:裁判所が認めた損害賠償金額の10%程度が弁護士費用として認められることが一般的
和解するか判決まで進むかは、事故の内容や相手方との交渉状況などを総合的に判断します。
ただし、和解による解決の方が時間的にも費用的にも効率的なケースが多いため、実務上は和解での解決を目指すことが一般的です。
裁判になれば遅延損害金も請求できる
裁判では、遅延損害金も請求します。
本来であれば交通事故の加害者は、事故発生日から被害者へ損害賠償する責任を負っています。しかし、実際に損害賠償金を支払うのは事故発生日よりも後になってしまうため、この「遅れ」に対して遅延損害金が支払われます。
なお、遅延損害金が支払われるのは勝訴した場合のみです。
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交通事故の遅延損害金|支払いを受けられるケースや計算方法は?
弁護士費用を相手に請求できなくても損をしない方法
「示談成立で早く解決したいけれど、弁護士費用を相手に請求できないなら弁護士への依頼をためらってしまう…」という方は多いと思います。
ここでは、被害者の費用負担を抑えて、弁護士に示談交渉を依頼できる方法をご紹介します。ケースによっては被害者が1円も払わずに弁護士に依頼できることもあります。
弁護士費用特約を利用する
まずは弁護士費用特約を利用して弁護士に依頼する方法です。
弁護士費用特約とは、弁護士への法律相談料と弁護士費用を、ご自身やご家族が加入している保険会社が負担してくれる特約です。
一般的に、法律相談料は10万円まで、弁護士費用は300万円まで、保険会社が負担してくれます。
死亡事故や重度の後遺症でない限り、基本的には弁護士費用が、弁護士費用特約の補償範囲内でおさまると考えて問題ないでしょう。弁護士費用特約があれば、費用倒れを気にせず弁護士に依頼できます。
費用倒れについて詳しくは、本記事内「弁護士費用の費用倒れ|注意すべきケースは?」をお読みください。
弁護士費用特約は自分と家族の保険をチェック
弁護士費用特約は、ご自身が任意で加入している自動車保険や医療保険などに付帯されていることが多いです。また、火災保険や地震保険、クレジットカードの保険に付いていることもあります。
弁護士費用特約は付帯されていること自体を忘れがちなので、まずは契約しているあらゆる保険を確認してみましょう。
なお、弁護士費用特約は契約者本人だけでなく、その家族も利用できることがあります。
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弁護士特約は家族も使える!補償範囲や確認方法、重複加入の必要性も解説
特約を使っても保険等級や保険料に影響しない
一般的に自動車保険を使用すると、保険等級も下がり、翌年以降の保険料が上がってしまいます。
しかし、弁護士費用特約のみを利用する場合は、等級の低下や、保険料の上昇がありません。
なお、対物賠償保険や対人賠償保険を一緒に使う場合は、等級が下がる可能性があるので注意してください。
相談料無料・着手金無料で弁護士依頼する
無料相談を実施していて、着手金無料で依頼できる弁護士を探す方法もあります。
まず、多くの法律事務所で、交通事故の初回相談は無料で受け付けています。
また、着手金無料で依頼できる法律事務所も増えてきました。着手金無料の場合、依頼時の費用負担がなく、解決後に実際に増額できた金額に応じて報酬を支払う成功報酬制となります。
つまり、依頼者の手元に残る賠償金が増えた場合にのみ、その増額分から報酬を支払うシステムです。
アトム法律事務所でも、交通事故の慰謝料請求に関して「相談料無料・着手金無料」でお受けできるケースがあります。
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▼下記からのご連絡に関しては、弁護士費用特約の有無や相談内容にかかわらず「無料」でご利用いただけます。
弁護士費用の費用倒れ|注意すべきケースは?
費用倒れとは、弁護士への依頼によって得られた賠償金の増額分よりも、弁護士費用の方が高くなってしまう状態です。
つまり、弁護士に依頼することで依頼者が赤字になってしまうことをいいます。
なお、基本的には弁護士費用特約が利用できれば費用倒れの心配はありません。
費用倒れが発生しやすいケース
交通事故の被害に関する弁護士依頼で、費用倒れが発生しやすいケースは以下の通りです。
- 物損のみの事故
- 通院期間が短い軽傷
- 被害者の過失割合が大きい
車両の修理費用・代車費用など物的損害のみの請求の場合や、数回の通院で治療が終了するような軽傷の場合は、賠償金額自体が比較的低額となります。
弁護士が介入したとしても増額できる金額幅が小さいことが多いため、費用倒れになってしまう可能性があります。
また、被害者側にも大きな過失がある場合、たとえ弁護士が介入しても過失相殺により賠償額が大きく減額されます。
過失相殺
過失割合のうち被害者側の過失分、受け取れる損害賠償金が減額されること
弁護士費用特約がなく、費用倒れの可能性がある場合は、まず弁護士の無料法律相談で「弁護士が介入するとどのくらい増額が見込めるのか」を確認してから、弁護士に依頼をするかどうか決めましょう。
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交通事故で弁護士に頼むと費用倒れになる金額はいくら?弁護士の必要性診断
費用倒れが発生しにくいケース
交通事故の被害に関する弁護士依頼で、費用倒れが発生しにくいケースは以下の通りです。
- 長期の通院・入院が必要
- 後遺症が残った
- 被害者の過失が小さい
これらのケースでは、弁護士に依頼することで賠償金が大幅に増額される可能性が高く、費用倒れのリスクは低くなります。
また、治療期間が長期に及ぶケースや後遺障害が残るケースでは、請求できる費目や金額が増え、損害賠償金の算定が複雑になります。
正確に損害賠償金を計算して、被害に対する適切な金額を受け取るためにも弁護士に依頼することをおすすめします。
交通事故の弁護士費用に悩んだらまずは無料相談しよう
交通事故で以下のようなお悩みを抱えている方は、まずは弁護士の無料法律相談を利用してみましょう。
- 弁護士費用特約の補償範囲を超えないか不安
- 弁護士費用特約がないから費用倒れが心配
- 弁護士に依頼して利益があるのかわからない
交通事故で加害者側の任意保険会社が提示してくる示談金額は、相場よりも低額であることがほとんどです。
ご自身で示談金の相場を調べて、「相場まで増額してほしい」と交渉しても、加害者側が首を縦に振ることはほとんどありません。
弁護士が交渉に出て、加害者側が「示談交渉が長引けば裁判になるかもしれない」と危惧することで、はじめて示談金の増額が叶うのです。
アトム法律事務所では無料相談を実施しています。
まずは一度無料相談で、弁護士が介入することで増額できる金額の見込みや、弁護士依頼のメリットをご確認ください。
無料相談の際に、無理に契約を勧めるようなことは一切ございません。まずはお気軽にご相談ください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了