弁護士特約は家族も使える!補償範囲や確認方法、重複加入の必要性も解説
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交通事故にあった時に、弁護士費用を保険会社に負担してもらえるのが「弁護士特約」です。
この弁護士特約は、保険加入者本人だけでなくその家族まで補償範囲に含まれます。
ただし、家族といってもその範囲には条件がありますし、補償範囲に含まれていても弁護士特約を使えないケースもあります。
そこで本記事では、弁護士特約の補償内容や補償範囲に含まれる人について解説します。
「家族で同じ弁護士特約を使えるなら、重複して加入する必要はない?」という疑問にもお答えしているので、ぜひご確認ください。
目次

弁護士特約が使える家族の範囲はどこまで?
弁護士費用特約は、加入している本人だけでなく、その家族も補償範囲に含まれます。
ただし家族の範囲は限られており、一部には細かい条件もありますので、それらについて整理していきましょう。
「同居家族」と「別居で未婚の子」は弁護士特約の範囲内
弁護士特約を使える家族の範囲は、被保険者(契約者)の配偶者、被保険者の同居の親族(6親等内の血族・3親等内の姻族)、被保険者の別居の未婚の子どもが原則です。
弁護士特約が使える家族の範囲(原則)
- 被保険者(契約者)の配偶者
- 被保険者の同居の親族(6親等内の血族・3親等内の姻族)
※6親等内の血族・3親等内の姻族とは、兄弟姉妹や叔父叔母、甥姪、いとこ、義両親などを指す - 被保険者の別居の未婚の子ども

たとえば被保険者の配偶者が自動車事故に遭った場合を考えてみましょう。
この場合、配偶者自身の保険に弁護士費用特約がついていなくても、被保険者の保険についている弁護士費用特約を適用できるのです。
なお、たとえ家族が被保険者とは違う保険に加入していたり、事故時に契約車とは違う自動車に乗っていたりしても、被保険者の弁護士特約を使えます。
家族以外でも弁護士特約の対象となる範囲がある
弁護士特約は家族以外にも、以下の人も補償対象に入ります。
- 契約者車に搭乗中だった人
- 契約車の所有者
「同居」や「未婚」の定義は?
前述の通り、弁護士費用特約は被保険者の同居親族や別居で未婚の子も補償の範囲に含まれます。
この「同居」と「未婚」の定義についても詳しく解説します。
「同居」とはどの範囲か?
「同居」とは、同一の家屋やマンション内の同一戸室に居住することを指します。
実体として生活の拠点がどこにあるのかが重視されるので、住民票は家族と同じ住所だとしても、単身赴任や進学のために下宿した場合などは別居扱いです。
ただしこれらは個別の判断に基づく可能性がありますので、利用を検討されている保険会社に確認してみることをおすすめします。
未婚の子とは?離婚歴があるとどうなる?
弁護士特約の補償範囲でいう未婚とは、「結婚歴がない」ことを指します。
別居している独り身の子どもでも、離婚歴があったり配偶者と死別したりしている場合などは未婚とは判断されません。したがって、弁護士特約の対象とならない可能性が高いです。
利用を検討されている保険会社に確認してみることをおすすめします。
家族や本人でも弁護士特約が使えないケース
被保険者やその家族であっても、以下の場合は基本的に弁護士特約は使えません。
- 無免許運転、酒気帯び運転、麻薬等の使用などにより事故が起きた場合
- 事業用自動車を運転していて事故が起きた場合
- 地震、台風、津波など自然災害により事故が起きた場合
- 闘争行為、自殺行為、犯罪行為によって事故が起きた場合
- 同居の親族や配偶者が損害賠償請求の相手となる場合
- 故意または極めて重大な過失がある場合
弁護士特約が使えない場合にどう対処すべきかは、関連記事『弁護士特約が使えない交通事故とは?特約なしの対処法・あとから加入は可能?』も参考にしてみてください。弁護士特約が使えない事故でも、弁護士に依頼するメリットが大きいケースもあります。
弁護士特約で家族や本人が受けられる補償の範囲は?
弁護士特約を使うと、弁護士費用を保険会社に負担してもらえます。
具体的にどれくらいの金額まで負担してもらえるのか、どういった事故が補償の範囲に含まれるのか、補償内容を確認していきましょう。
ただし、弁護士特約の内容は保険によっても異なる場合があります。厳密な内容は保険の約款などをご確認ください。
相談料は10万円、弁護士費用は300万円が基本
自動車保険の弁護士特約では、基本的に交通事故事案について「法律相談料10万円」「弁護士費用300万円」までが補償されます。
- 法律相談料:弁護士と委任契約を結ぶ前に行う相談の費用。
- 弁護士費用:弁護士との委任契約後に発生する、着手金や成功報酬、裁判費用など。

補償の対象となる交通事故は、以下のとおりです。
- 自動車乗車中に発生した事故(自損事故を含む)
- 歩行中や自転車乗車中に発生した、自動車との事故
- 自動車に所有物(自宅の塀など)を壊された事故 など
日常生活での事故も補償範囲になるプランもある
弁護士特約には一般的に、「自動車事故型」と「日常生活・自動車事故型」の2つのプランがあります。上で紹介したのは、「自動車型」の内容です。
「日常生活・自動車事故型」を選択すると、上記の内容に加え以下のような日常生活での事故も対象となります。
- 歩行者・自転車など自動車の関与しない交通事故
- 所有物の盗難
- 上階の水漏れによる所有物の汚損
「日常生活・自動車事故型」は補償範囲が広い分、「自動車事故型」より保険料が高くなりがちです。
しかし、例えば自転車通学の子どもがいて、自転車同士あるいは自転車と歩行者の事故などのリスクがある場合は、日常生活・自動車事故型を選んでおいたほうが安心でしょう。
弁護士特約を使っても保険料は上がらない
弁護士特約を使っても、保険の等級が下がり翌年からの保険料が上がることはありません。
ただし、合わせて別の保険も利用すると、そちらの影響で保険の等級が下がることはあります。
弁護士特約の有無や補償範囲を確認する方法
ここでは、弁護士特約が自分や家族の自動車保険についているか、補償内容はどうなっているかを確認する方法を解説します。
また、自動車事故であっても、自動車保険以外の保険の弁護士特約を使えることがあるので、合わせて確認してみてください。
保険の約款を確認するか、保険会社に確認する
弁護士特約の有無や補償範囲は、保険の約款を見て確認してみましょう。
保険の約款は、インターネット上の契約者専用ページなどで確認できることが多いです。加入している保険会社の公式ホームページやマイページなどをご確認ください。
もしくは、保険会社に直接問い合わせすると、詳しいことが確認できる場合があります。
火災保険やカードの保険も確認してみる
弁護士費用特約は自動車保険以外の保険でも付帯していることがあり、自動車保険も補償範囲に含まれている場合があります。
したがって、以下の保険に弁護士特約がついているか、自動車保険でも使えるかも確認してみましょう。
- 火災保険
- クレジットカードの保険
- ファミリーバイク保険
- 自転車保険
弁護士特約は家族で重複して入るべき?
「家族が違う保険会社の保険に入っている」「家族が契約車とは違う車を運転する」という場合は、弁護士特約を重複させなくても家族も特約を使えます。
しかし、あえて重複させた方が良い場合もあるので、弁護士特約を重複させない方がいい場合と、重複させた方が良い場合を解説します。
保険料を抑えたいなら重複させない方が良い
弁護士特約に加入すると、その分保険料がかかります。したがって、保険料を抑えたいなら家族内で重複して弁護士特約に入らない方が良いでしょう。
これまで解説してきたとおり、家族で複数の自動車を所有する場合、1台目のみ弁護士特約に入っていれば、その他の家族の自動車も弁護士特約の対象になります。
例えば家族が契約車とは違う車を運転していて自動車事故にあった場合でも、基本的に契約車の弁護士特約が適用されます。
例えばA社の保険に入っている妻でも、B社の保険に入っている夫の弁護士特約を使えるのです。
よって、家族の1人だけが弁護士特約に入っていれば十分というケースは多いのです。
補償対象者や補償額を上げたいなら重複させると良い
以下の場合は、あえて家族で重複して弁護士特約に加入しておいた方が良いでしょう。
- 契約車とは違う車に他人を乗せる機会が多い
- 弁護士特約の補償上限額を上げたい
それぞれのケースについて詳しく解説します。
契約車とは違う車に他人を乗せる機会が多い
弁護士特約は、契約車以外の家族の車も補償の適用範囲に含まれます。しかし、補償対象となる人は「違う車を運転していた家族」だけで、「違う車の搭乗者」は対象になりません。
例えば家族の中でAさんがA車で弁護士特約に加入していたとします。
Aさんの妻が、妻自身の車(B)を運転していて事故にあった場合、妻はAさんの弁護士特約を利用可能です。
一方、妻と一緒にB車に乗っていた友人・別居で既婚の子どもなどは、弁護士特約を利用できません。
Aさん(被保険者)の弁護士特約の補償対象者
事故車 | AさんやAさんの家族* | 搭乗者 |
---|---|---|
A自身の車 | ◯ | ◯ |
B車(A妻の車) | ◯ | ✕ |
※配偶者、同居家族、別居の未婚の子
しかし、契約車の搭乗者であれば、その車の搭乗者も弁護士特約を使えます。
したがって、他人を乗せる機会の多い車については、別途弁護士特約を付けておいた方が安心です。
弁護士特約の補償上限額を上げたい
弁護士特約が重複している場合、1つの事故について複数の弁護士特約が使えます。
たとえば自分の弁護士特約と家族の弁護士特約を両方使う場合、それぞれの補償上限額が300万円なら合計で600万円までの補償が受けられるのです。
弁護士費用が弁護士特約の上限を超えることはあまりありませんが、重い後遺障害が残った場合や死亡事故では超える可能性もあります。
弁護士特約が重複していると、弁護士特約の補償上限額を超える心配が軽減されるでしょう。
弁護士特約の使い方
弁護士特約の使い方には基本的な流れがあります。
流れを誤るとスムーズに弁護士特約が使えないこともあるので、具体的な流れを確認しておきましょう。
家族や本人が弁護士特約を使う流れ
弁護士特約は、以下の流れで利用します。
- 保険会社に弁護士特約を使いたいことを伝える
- 弁護士を探し、相談・依頼
- 弁護士に弁護士特約を使う旨を伝え、保険会社にも依頼先の弁護士の情報を伝える
- 弁護士・保険会社間で費用の支払いなどが行われる
保険会社に伝える
弁護士特約を使いたい場合は、弁護士にコンタクトを取る前に1度保険会社に連絡を入れましょう。約款などを勘違いしていると、あとからトラブルになるおそれがあるからです。
弁護士を探す
その次に、弁護士を探します。交通事故事案の実績や口コミとともに、実際に法律相談してみた時の印象も重視して弁護士を選びましょう。
事故被害者に対しては、無料の法律相談をおこなう法律事務所も多いです。そのため、複数の弁護士に相談をしてみて、自分が信頼できる、事故について依頼したいと感じた弁護士をみつけてください。
双方に連絡する
依頼したい弁護士が決まったら、弁護士には弁護士特約を使う旨を伝えましょう。そして、ご自身の保険会社にも「弁護士特約を使うこと」をご自身の口から伝えるようにしてください。
弁護士から保険会社に「御社の弁護士特約を利用するそうです」と伝えても保険会社は対応してくれません。
双方への連絡が済めば、あとは弁護士と保険会社でやり取りを開始します。
弁護士特約の使い方や基本事項は、関連記事『交通事故の弁護士費用特約とは?メリット・使い方・使ってみた感想を紹介』を参考にしてみてください。
弁護士特約を使っても弁護士は自由に選べる
弁護士特約を利用する際に保険会社から弁護士を紹介されたとしても、その弁護士に依頼する必要はありません。
保険会社から紹介される弁護士に依頼すると、以下の点から十分なサポートを受けられない可能性があります。
- 普段は交通事故加害者のサポートをしているため被害者のサポートに慣れていないことがある
- 熱意が低いことがある
- 被害者に保険を使わせたがらないことがある
- 後遺障害認定のサポートをしてもらえないことがある
よって、保険会社から弁護士を紹介されても、自分でも弁護士を探してみることをおすすめします。
もっと詳しく知りたい方は『交通事故で保険会社から弁護士を紹介されたらどうする?弁護士費用特約を使うなら?』の解説記事をあわせてお読みください。
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ご依頼者からのお手紙より抜粋
この度は、大変お世話になりました。妻が事故にあい、不安になっている所、弁護士にいろいろと相談にのっていただき、大変心強かったです。相手保険会社とのやり取りが一番心の負担になる所を弁護士さんにお願いする事で安心して通院する事ができました。
ご依頼者からのお手紙より抜粋
事故にあわれた被害者の方の辛さはもちろん、近くで支えるご家族の方も大変な思いをされていることでしょう。
お一人ずつお悩みや困りごとは違うものです。まずは弁護士との法律相談を活用していきましょう。
そのほか、実績や口コミは以下から確認いただけますので、弁護士選びの参考にしてみてください。

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了