交通事故の慰謝料はいつもらえる?流れともらうまでの期間を早める方法
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この記事でわかること
交通事故の慰謝料がもらえるのは、原則示談成立後です。そして示談成立から慰謝料の支払い・振り込みまでには約2週間かかることが一般的です。
もっとも、交通事故の発生から示談成立までにはかなりの期間を要するので、示談成立が長引けば被害者が経済的に困る可能性があります。
本記事では、交通事故後に慰謝料や損害賠償金がいつ支払われるのか、支払いまでの流れやその期間、被害者が示談前に慰謝料などのお金(保険金)を早期に受け取る方法などを解説しています。ぜひ最後までご覧ください。
交通事故の慰謝料の支払いはいつ?
交通事故の被害者にとって、慰謝料や損害賠償金の支払いがいつになるかは気になるポイントかと思います。
交通事故の慰謝料の支払いがいつになるか、具体的な期間を提示しながら解説していきます。
目安は示談成立から約2週間後|遅い時の対処法は?
交通事故の慰謝料は、治療終了後、あるいは後遺障害認定終了後に全ての損害が確定し、加害者側との示談交渉が成立した後に支払われます。
具体的な支払いのタイミングは、示談成立から約2週間後、示談書を取り交わしてからだと約1週間後の振り込みが見込まれます。
示談交渉開始から数えると、後遺障害の有無にもよりますが半年から1年くらいかかります。
慰謝料が支払われる時期
示談成立から約2週間後、示談書返送から約1週間後の振り込みが見込まれる
示談成立後、慰謝料の振り込みが遅い場合の対処法
示談書の返送から1週間が経過しても慰謝料が支払われない場合、保険会社の支払い手続きが遅れている可能性があります。
保険会社に連絡をして支払い日を確認するようにしましょう。
なお、示談書には示談条件として支払期日が明記されている場合もあります。示談書がお手元にある場合は確認してみましょう。
そのほか、具体的な対処方法や遅れている理由などは関連記事『保険会社が示談書を送ってこない!対処法は?届くまでの期間と届いた後の対応』を参考にしてみてください。
示談書の内容に関しては、関連記事『交通事故の示談書の書き方と記載事項』が参考になりますので、あわせてご確認ください。
事故発生から慰謝料支払いまでの流れと期間
交通事故の発生から慰謝料支払いまでの基本的な流れは以下のとおりです。
示談を始められるのは、すべての損害が明らかになり、賠償金額を算定できるタイミングです。
ケガが完治した場合は治療終了とともに賠償金額を算定できますが、後遺症が残ったときには後遺障害等級認定の結果を受けてから示談を開始しましょう。
たとえば、後遺症が残り後遺障害認定を受ける場合、事故発生から慰謝料振り込みまでには1年程度かかる可能性があります。
※死亡事故の場合は四十九日を過ぎた頃に示談交渉を開始することが多いです。死亡事故については『交通死亡事故の被害者遺族の手引き|お葬式までの流れと損害賠償請求』もご覧ください。
示談成立から慰謝料が支払われるまでの大まかな流れは以下のとおりです。
示談成立から慰謝料の支払いまでの流れ
- 保険会社から被害者に示談書が送付される(3日程度)
- 示談書の内容を確認し、署名や押印をして返送する(3日程度)
- 保険会社が支払い手続きをして、示談金が支払われる(3~7日程度)
実際にどれくらいの時間がかかるかはケースによりけりです。各フェーズごとの目安期間を詳しくみていきましょう。
(1)治療にかかる期間
交通事故の治療にかかる期間の目安は、以下のとおりです。
ケガ | 治療期間 |
---|---|
打撲 | 1ヶ月 |
むちうち | 3ヶ月 |
骨折 | 6ヶ月 |
上記はあくまでも目安なので、実際には医師と相談しながら治療を進めましょう。
なお、完治または症状固定になる前に治療をやめると慰謝料が低額になる可能性があります。
早く治療を終えて慰謝料請求をしたいと思っても、最後まで治療を続けてください。
症状固定の定義やタイミングについては『症状固定とは?時期や症状固定と言われたらすべき後遺障害認定と示談』で詳しく解説しています。
(2)後遺障害認定にかかる期間
ケガが完治せずに症状固定となり後遺症が残ったら、後遺障害認定を受けます。後遺障害認定は、「後遺障害慰謝料」「逸失利益」を請求するために必要です。
後遺障害認定では、申請準備に1ヶ月程度、審査に1〜2ヶ月程度かかります。つまり、トータルでは3ヶ月程度かかるということです。
ただし、重い後遺症では経過観察などを挟むこともあり、審査結果が出るまでに数ヶ月〜数年かかることもあります。
期間 | 割合 |
---|---|
30日以内 | 73.7% |
31日~60日 | 14.0% |
61日~90日 | 6.7% |
90日超 | 5.6% |
参考:損害保険料率算出機構「2023年度 自動車保険の概況」より
関連記事
後遺障害認定の通知書はいつ届く?非該当への対応や等級認定後の流れ
(3)示談交渉の期間
示談交渉は、事実関係に争いがなく、金額のみを争うケースであれば1ヶ月~3ヶ月程度で成立となるケースが多いです。
一方、事実関係に争いがあり、過失割合も争点になるケースでは、示談交渉の期間が長引く可能性が高くなります。
なお、上記の期間は弁護士が対応した場合のものです。
被害者自身で示談交渉する場合には、知識不足などにより期間が長引く可能性が高いでしょう。
示談開始のタイミングは交通事故の種類によっても異なります。詳しくは『交通事故の示談交渉はいつ開始する?』をご覧ください。
(4)裁判になった場合の期間
示談交渉で合意ができず決裂してしまった場合、解決までの期間には、裁判に要する期間がさらに加わります。
裁判所の公表資料によると、交通損害賠償の平均審理期間は13.3ヶ月です。
つまり、裁判になってしまうと、裁判だけでも1年以上、交通事故の発生から慰謝料の支払いまでをカウントすると2年以上の期間を要する可能性が高いといえます。
期間 | 割合 |
---|---|
6月以内 | 17.8% |
6月超1年以内 | 40.0% |
1年超2年以内 | 33.3% |
2年超3年以内 | 6.9% |
3年超5年以内 | 1.8% |
5年を超える | 0.1% |
参考:「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第10回)」(最高裁判所・令和4年)【資料2-1-2】より
なお、上記の審理期間は、裁判の途中で和解により解決した事案も含んでいます。
判決までに要する期間はさらに長くなる可能性があるので、注意しましょう。
【コラム】交通事故の慰謝料は誰が払う?
交通事故の慰謝料は、法的には相手ドライバーが支払うことになります。しかし、ドライバーの多くは保険に加入していることから、実質的には相手の加入する任意保険会社が支払うことになるのです。
なお、ドライバーが加入する保険には、強制加入の自賠責保険と、加入が自由な任意保険の2つがあります。
ただし被害者が2つの保険会社に請求することは原則なく、自賠責保険から支払われる分についても任意保険がまとめて対応することが基本です。
よって、相手ドライバーが自賠責保険・任意保険の2つに加入している場合でも、基本的に慰謝料を支払うのが任意保険ということになります。
ただし事故態様によっては例外もあり、事故の加害者本人、自分の加入する保険、加害者の家族に請求する場合もあるでしょう。
慰謝料を払うのは誰かということをくわしく知りたい方は、以下の関連記事を参照してください。
示談成立前でも慰謝料を早めに受け取る方法
交通事故の発生から慰謝料の支払いを受けるまでには、後遺障害等級認定の申請をする場合なら1年以上かかることも珍しくありません。
しかし、示談成立前でも慰謝料などまとまったお金を受け取ることは可能です。具体的には以下の方法があるので、それぞれ見ていきましょう。
- 加害者側の自賠責保険から受け取る方法
- 加害者側の任意保険から受け取る方法
- 自身の保険から慰謝料同等の保険金を受け取る
加害者側の自賠責保険から慰謝料の支払いを受ける方法
自賠責保険から慰謝料を受け取る方法は、「仮渡金の支払いを請求する」「被害者請求する」の2つです。
仮渡金の支払いを請求する
仮渡金(かりわたしきん)とは、傷害の程度に応じた金額を、示談成立前に受け取れる制度です。
仮渡金の金額 | 傷害の程度 |
---|---|
40万円 | ・脊柱の骨折で脊髄を損傷したと認められる症状を有するもの ・上腕または前腕の骨折で、合併症を有するもの ・大腿または下腿の骨折 ・内臓の破裂で腹膜炎を併発したもの ・14日以上病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの |
20万円 | ・脊柱の骨折 ・上腕または前腕の骨折 ・内臓の破裂 ・病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの ・14日以上病院に入院することを要する傷害 |
5万円 | ・11日以上医師の治療を要する傷害を受けたもの |
* 参考:自動車損害賠償保障法施行令第五条
* 死亡事故の場合は290万円
仮渡金を受け取ると、示談成立後にはその金額を差し引いた金額が支払われます。示談金より仮渡金が高額だった場合は、差額を返さなければなりません。
なお、仮渡金を請求すれば、およそ1週間程度で支払いを受けられます。仮渡金は1回しか請求できません。
被害者請求をする
被害者請求とは、交通事故の慰謝料・賠償金のうち、加害者側の自賠責保険分の金額を請求する方法です。
通常、自賠責保険分の金額は示談成立後、任意保険分の金額とともに加害者側の任意保険会社からまとめて支払われます。しかし、自賠責保険に直接請求すれば、自賠責保険分のみ先に受け取れるのです。
被害者請求では、以下の金額を上限として「自賠責基準」に基づいて計算される金額を請求できます。上限に達するまでなら何度でも請求可能です。
上限 | |
---|---|
傷害分 (入通院慰謝料・治療費など) | 120万円 |
後遺障害分 (後遺障害慰謝料など) | 75万円~4,000万円* |
死亡分 (死亡慰謝料など) | 3,000万円 |
*後遺障害等級による
たとえば、入通院慰謝料は以下のうち少ない方の金額を請求できます。
- 4,300円×(入院日数+通院日数 × 2)
- 4,300円×(入院期間 + 通院期間)
※2020年3月31日までに起きた事故については1日あたり4,200円で計算します。
※慰謝料の対象となる日数は、被害者の傷害の態様、実治療日数その他を勘案して決まります。
被害者請求の申請から支払いまでの期間は、およそ1ヶ月程度です。
ただし、この後解説する任意保険会社の一括対応中に被害者請求をすると、一括対応をしてもらえなくなる点には注意する必要があります。
被害者請求で支払われる金額や手続きの方法は、『交通事故慰謝料が120万を超えたらどうなる?自賠責保険の限度額や請求方法を解説』の記事にてご確認ください。
加害者側の任意保険から慰謝料の支払いを受ける方法
加害者側の任意保険から受け取る方法としては、「損害賠償金の内払いをしてもらう」「治療費を一括対応してもらう」の2つです。
損害賠償金の内払いをしてもらう
任意保険会社との交渉次第では、示談成立前に一部の慰謝料や損害賠償金を支払ってもらえる可能性があります。
この任意保険会社の対応を「損害賠償金の内払い」といいます。
特に、通院交通費や休業損害などは示談成立前の生活にも関わる費目なので、内払いに応じてもらえる可能性が比較的高いです。
一方、精神的損害に対する補償である慰謝料の内払いは、すぐ対応してもらえない可能性が高いです。
慰謝料の内払いを受けたい場合は、なぜそのお金が必要かを丁寧に任意保険会社に説明する必要があります。
注意点
加害者側に内払い請求をすると、相手に金銭的な余裕がないことを知られてしまいます。
そうすると、加害者側は「被害者側は早くまとまったお金が必要だから、低い慰謝料額でも示談成立を優先させるだろう」と考える可能性があります。
その結果、示談交渉の際、加害者側は低い提示額で強気の交渉をしてくることがあるのです。
そのため、示談成立前の時点で必要以上に加害者側へ請求することは控えるべきでしょう。
治療費を一括対応してもらう
任意一括対応とは、治療の際、加害者側の任意保険会社が病院に直接治療費を支払ってくれるサービスです。
これにより被害者は治療費を立て替える必要がなくなります。本来なら示談交渉時に請求する治療費を、示談成立前に補償してもらえると考えてください。
治療費を一括対応してもらうための手続きは以下のとおりです。
一括対応の手続き
- 任意保険会社の担当者に通院する病院の連絡先を伝える
- 保険会社から送られてくる同意書に署名・押印して返送する
ただし、任意保険会社の一括対応は、あくまで任意保険会社のサービスの一つです。以下のような場合には治療費の一括対応を受けられません。
- 被害者の過失割合が比較的高い場合
- 保険会社が治療を不要(症状固定)と判断した場合
また、治療中であっても任意一括対応を打ち切られてしまう(治療費打ち切り)ことがあります。この場合は、治療費を立て替えつつ最後まで治療を継続しましょう。
治療費打ち切りへの詳しい対処法については『交通事故の治療費打ち切りを阻止・延長する対応法!治療期間はいつまで?』の記事をご覧ください。
自身の保険から慰謝料同等の保険金を得ることも可能
被害者側の任意保険を使い、示談成立前に慰謝料同等の保険金を得ることもできます。それが、人身傷害保険です。
また、搭乗者傷害保険も役に立つので合わせて解説していきます。
人身傷害保険の保険金を受け取る
人身傷害保険とは、示談成立前でも治療費や慰謝料などを保険金として受け取れる保険です。
ただし、支払われるのはあくまでも、自身の保険会社が自社基準に従い算定した金額です。また、あとで加害者側から受け取る慰謝料・示談金と相殺される点にご注意ください。
交通事故では被害者側にも過失がある場合、その過失分、受け取れる慰謝料や示談金が減額されます。これを過失相殺と言います。
しかし、人身傷害保険金として受け取る慰謝料などには過失相殺は適用されません。自身の過失が大きい場合にも活用することがおすすめです。
過失相殺については『過失相殺をわかりやすく解説!計算方法や交通事故判例の具体例も紹介』で解説しています。
搭乗者傷害保険の保険金を受け取る
被害者やその家族が加入している自動車保険に搭乗者傷害保険が付いている場合、より早期に保険金を受け取れる可能性があります。
搭乗者傷害保険とは、あらかじめ契約で定められた部位や症状に応じて、定額の金額が支払われる保険です。
搭乗者傷害保険は損害賠償額の計算が不要なため、人身傷害保険よりも素早く支払いを受けられるのがポイントになります。
保険会社によっても異なりますが、治療期間(入通院の合計日数)が5日以上を経過した時点で、症状や部位に応じて搭乗者傷害保険の保険金を請求できるケースが多いです。
人身傷害保険と搭乗者傷害保険の違いをもっと詳しく知りたい場合は、『人身傷害補償特約は必要?いらない?補償内容や他の保険との違いとは』をご覧ください。
交通事故の慰謝料の支払いが遅くなるケースと対策
以下のようなケースでは、慰謝料の支払いが遅くなる可能性があります。
- 示談交渉開始が遅くなる
- 示談交渉で加害者側と揉める
- 加害者本人から慰謝料の支払いを受ける
こうしたケースにおける対策や対処法を確認していきましょう。
(1)示談交渉開始が遅くなる
治療や後遺障害認定に時間がかかると、示談開始が遅くなります。原則として示談成立後に支払われる慰謝料の受け取りもまた、遅くなるのです。
対策としては「後遺障害認定の申請準備をスピーディに進める」「示談交渉にかかる時間を短縮する」ことが挙げられます。
そのためには、弁護士にあらかじめ相談し、必要があれば後遺障害申請の手続きや示談交渉を一任することがおすすめです。
なぜこれらの手続きを弁護士に任せるとスムーズに進むのか、1つずつ解説します。
後遺障害等級認定の申請
後遺障害等級認定の申請方法には、以下の2つの方法があります。
- 加害者側の任意保険会社に申請を任せる事前認定
- 被害者が自分で申請をする被害者請求
事前認定にかかる期間は、保険会社の担当者の能力・忙しさ・やる気次第となります。
場合によっては、なかなか申請されず、時間がかかることもあるでしょう。
一方、被害者請求では、努力次第で申請までの期間を短縮できます。
しかし、手続きに詳しくない被害者の方だと、かえって時間がかかってしまうのです。
この点、手続きに詳しい専門家である弁護士に依頼すれば、迅速に必要書類を収集・準備して被害者請求をしてもらうことができます。
その結果、後遺障害等級認定の申請までの期間を短くすることができるのです。
示談交渉
交通事故の示談交渉で主に争われるのは、慰謝料などの損害額と過失割合の2点です。
どちらも揉めやすい項目ですが、弁護士であれば、損害額や過失割合の妥当な数値や争うべきポイントを把握しているため、示談交渉がスムーズに進みます。
(2)示談交渉で加害者側と揉める
示談交渉で加害者側と揉めた場合も、示談成立が遅くなるため慰謝料の振り込みが遅れます。
示談をスムーズに進めるための対策としては、弁護士を立てることがおすすめです。
自力で示談交渉すると、示談成立が遅くなるだけでなく、加害者側が提示する低い慰謝料額・示談金額で合意せざるを得なくなることが多いです。
被害者側の立場が不利になる前に弁護士に相談することをおすすめします。
関連記事『交通事故の示談が長引く原因5つ&対処法』では、示談が長引く理由やその対処法について、より深く掘り下げて解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
「時効」の点からもスムーズな示談成立は重要
交通事故の示談には時効はありません。しかし、加害者側に損害賠償請求できる期間には時効があります。
損害の種類 | 時効期間 |
---|---|
物損に関する損害 | 事故発生日の翌日から3年 |
人身に関する損害 (後遺障害による損害以外) | 事故発生日の翌日から5年 |
人身に関する損害 (後遺障害による損害) | 症状固定日の翌日から5年 |
人身に関する損害 (死亡による損害) | 死亡した日の翌日から5年 |
加害者不明の損害※ | 事故発生日の翌日から20年 |
※2017年3月31日以前に発生した交通事故にも適用される場合がある。
※※加害者が判明した場合は、判明した日の翌日を起算日とし、物損部分は3年、人身部分は5年で時効となる。
なお、自身の任意保険や加害者の自賠責保険に対する請求は、上記の表にかかわらず起算日から3年で時効となります。
特に大きな問題もなく治療や示談交渉が進んだのであれば、時効はそれほど気にするものではありません。
ただし、状況によっては時効が近づいていることもあり、時効を延長すべきケースもあるでしょう。時効の延長方法については、関連記事『交通事故の示談に期限はある?時効期間と時効の延長方法』をご覧ください。
(3)加害者本人から慰謝料の支払いを受ける
加害者が任意保険に入っていない場合、本来なら任意保険から支払われる金額は加害者本人に請求しなければなりません。
この場合、加害者本人からの支払いが分割になったり、踏み倒されたりして回収が遅れる可能性があります。
自身の保険を活用して対応したり、示談書を公正証書にして踏み倒しに備えたりすることが必要です。
詳しくは『交通事故相手が無保険でお金がない!賠償請求の方法とリスク対策』の記事をご覧ください。
交通事故の慰謝料支払いがいつになるか不安なら弁護士相談
弁護士に相談・依頼すると早く慰謝料を受け取りやすくなることは、解説してきたとおりです。
しかし、弁護士費用が気になる、弁護士に依頼する決め手にかけると考えている人もいるのではないでしょうか。
そこで最後に、弁護士費用の負担を減らす方法や弁護士に依頼するその他のメリットを紹介し、アトム法律事務所の電話・LINE相談のご案内をいたします。
弁護士費用の負担は減らせる
「弁護士に相談・依頼して早く慰謝料を受け取りたいけれど、費用が心配」という方は、弁護士費用特約が使えるか確認してみましょう。
自分や家族の保険に弁護士費用特約が付いていれば、弁護士費用を自分で負担しなくてよい可能性があります。
弁護士費用特約
交通事故で相手方に損害賠償請求するため弁護士に相談・依頼した対価として支払う費用を保険会社が負担してくれる保険の一内容
弁護士費用特約を使えば、多くのケースで相談料は10万円、依頼による費用は300万円まで保険会社に負担してもらえます。
相談料や依頼による費用が上限額を超えることは、最終的な慰謝料などが数千万円を超えない限り非常に少ないです。
弁護士費用特約を使うことで、弁護士費用の自己負担をなしにできる可能性が非常に高いといえるでしょう。
弁護士費用特約がなかったとしても、無料相談を実施していたり着手金を無料としていたりする法律事務所であれば費用の負担を軽減できます。
また、弁護士を立てると、次に解説するように慰謝料・賠償金の大幅増額が期待できます。たとえ弁護士費用特約が使えなくても、弁護士を立てた方が結果的に手元に入るお金が多くなることは珍しくありません。
弁護士に依頼すれば慰謝料の大幅増額も期待できる
弁護士に依頼すれば、以下の3つの観点から、支払いを受ける金額を増やすことができます。
- 高額な弁護士基準で請求できる
- 適切な後遺障害等級に認定される可能性が高まる
- 妥当な過失割合で示談できる
それぞれの観点について解説していきます。
高額な弁護士基準で請求できる
慰謝料相場は、以下の3種類の計算基準のうちどれを適用するかにより大きく異なります。
自賠責保険は被害者の損害を最低限補償するための強制保険です。
自賠責基準の慰謝料相場は、低額になります。
任意保険会社は少しでも支払う金額を抑えようと示談交渉を行います。
そのため、任意保険基準で計算した慰謝料額は、自賠責基準と同額程度か、多少増額した程度になることが多いでしょう。
弁護士基準は過去の裁判例を基に作成された基準であり、弁護士基準で計算した慰謝料相場は最も高額かつ法的に適正な金額です。
被害者自身が弁護士基準によって計算された額について慰謝料請求を行っても、加害者側は根拠に欠けるなどとして、簡単には請求に応じてくれません。
しかし、弁護士に依頼すれば、法的根拠のある請求であるとして弁護士基準で計算した高額の請求に加害者側も応じてくれやすくなります。
その結果、支払いを受けられる金額を大幅に増やすことができるのです。
では、弁護士に依頼すると慰謝料相場は具体的にどれくらい増額されるのでしょうか。
イメージしやすいよう、以下のモデルケースで解説します。
モデルケース
- 怪我の症状:むちうち
- 通院期間:6ヶ月
- 通院日数:60日
- 後遺障害等級:14級9号
このケースにおける最も低額な自賠責準と最も高額な弁護士基準の慰謝料相場を比較した表が以下のものになります。
自賠責基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|
通院慰謝料 | 51万6000円* | 89万円 |
後遺障害慰謝料 | 32万円 | 110万円 |
合計 | 83万6000円 | 199万円 |
* 2020年4月1日以降に発生の事故の場合の金額
同じ症状、通院期間・通院日数、後遺障害等級であっても、弁護士に依頼をすることで、合計で2倍以上も慰謝料が増額する可能性があるのです。
症状別の慰謝料相場金額についてくわしく知りたい方は『交通事故の慰謝料相場|症状別の相場金額』をご覧ください。
また、ご自分のケースで弁護士基準の慰謝料相場がいくらになるかを知りたい方は、以下の慰謝料計算機をご利用ください。
慰謝料相場や増額ポイントの記事
適切な後遺障害等級に認定される可能性が高まる
弁護士に後遺障害等級認定の申請を依頼するメリットは、申請までの期間を短くできるだけではありません。金銭的なメリットも得られるのです。
弁護士に依頼すれば、認定に有利に働く証拠や意見書などを添付して被害者請求をすることができます。
その結果、適切な後遺障害等級に認定される可能性が高まるのです。
後遺障害慰謝料は、認定された後遺障害等級によって慰謝料相場が決まります。
適切な後遺障害等級に認定されることは、慰謝料の増額につながるのです。
妥当な過失割合で示談できる
交通事故で被害者が支払いを受けられる金額は、過失割合によっても大きく違いがあります。
被害者が支払いを受けられる金額は、損害額から被害者の過失割合分を減額した金額だからです。
車同士の事故では、停車車両への追突事故でもない限り、被害者にも一定の過失割合があると判断されるケースが多いです。
加害者側の任意保険会社は、支払う慰謝料などを減額するために、被害者側に不利な過失割合を提示してくることが少なくありません。
この点、過失割合の知識が豊富な弁護士に依頼すれば、妥当な過失割合で示談できます。
その結果、支払いを受けられる金額が増える可能性があるのです。
アトム法律事務所の無料電話・LINE相談はこちらから
交通事故による怪我の治療を受けながら、いつ慰謝料や損害賠償金を受け取れるのか分からず不安な日々を過ごしているのなら、弁護士に今すぐ相談しましょう。
早めに弁護士に相談しておけば、当面の生活に困らないように慰謝料を早めに受け取る方法などのアドバイスがもらえます。
いつ慰謝料が支払われるのか知りたいなら、アトム法律事務所の弁護士による無料の法律相談を受けてみましょう。
無料相談の予約受付は24時間365日いつでも対応中です。
お問い合わせいただくと、まずは専属スタッフが事故内容をヒアリングさせていただいています。気軽にお問い合わせください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了