交通事故の慰謝料はいつもらえる?支払いを早める方法を紹介
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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
交通事故の慰謝料や損害賠償金が支払われるのは、示談成立から約2週間後が一般的です。
交通事故の発生から示談成立までにはかなりの期間を要するので、示談成立が長引けば被害者が経済的に困る可能性があります。
本記事では、交通事故後に慰謝料や損害賠償金がいつ支払われるのか、支払いまでの流れやその期間、被害者が示談前に慰謝料などのお金(保険金)を早期に受け取る方法などを解説しています。ぜひ最後までご覧ください。
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交通事故の慰謝料の支払いはいつ?
交通事故の被害者にとって、慰謝料や損害賠償金の支払いがいつになるかは気になるポイントかと思います。
この章では、交通事故の慰謝料の支払いがいつになるかを解説していきます。
慰謝料は示談成立から約2週間後に支払われる
交通事故の慰謝料の支払い日は、示談成立から約2週間後です。
示談成立後は、示談書の取り交わし、保険会社の事務手続きなどが必要となるため、慰謝料の支払いまで間が空くことになるでしょう。
具体的には、示談成立から慰謝料などの支払いまでに以下のような手続きと日数を要することになります。
示談成立から慰謝料などの支払いまでの流れ
- 保険会社から被害者に示談書が送付される(3日程度)
- 示談書の内容を確認し、署名や押印をして返送する(3日程度)
- 保険会社が支払い手続きに回し、示談金が支払われる(3~7日程度)
なお、示談書の返送から1週間が経過しても示談金(保険金)が支払われないならば、保険会社の支払い手続きが遅れている可能性があります。
そのような場合は、保険会社に連絡をして支払い日を確認するようにしましょう。
なお、示談書には示談条件として支払期日が明記されている場合もあります。示談書がお手元にある場合は確認してみましょう。
示談書の内容に関しては、関連記事『交通事故の示談書』が参考になりますので、あわせてご確認ください。
交通事故で示談が成立するまでの流れ
交通事故の発生から示談成立までの基本的な流れは以下のとおりです。

- 交通事故発生
- 交通事故直後の対応
- 治療
- 症状固定または完治
- 後遺障害等級認定(後遺症が残った場合)
- 示談交渉
- 解決(示談成立の場合)
- 裁判など(示談不成立の場合)
交通事故の示談をいつはじめるかや、示談の流れについてより詳しく知りたい方は、『交通事故の示談交渉はいつ開始する?』の記事もあわせてご覧ください。
慰謝料支払いまでの期間を細かく検討
交通事故から慰謝料支払いまでの流れにおける、それぞれの段階で要する期間の目安を解説していきます。
交通事故発生~症状固定または完治までの期間
交通事故により怪我を負った場合には、怪我が完治または症状固定と診断されるまで治療を行います。
症状固定
医学上一般的に承認された治療方法をもってしても、その効果が期待しえない状態、つまりこれ以上治療をしても症状の改善が見込めない状態に達したこと
症状固定や完治までの期間は怪我の内容や程度など被害者の個々の事情によりますが、保険会社は以下の期間を目安にしているといわれています。
症状固定(完治)の目安(保険会社)
怪我 | 期間 |
---|---|
打撲 | 1ヶ月 |
むちうち | 3ヶ月 |
骨折 | 6ヶ月 |
上記の期間はあくまで目安です。
実際に、いつ症状固定や完治となるのかについては、医師が判断を行います。
なお、後遺障害等級認定を受けるためには、基本的に症状固定までに6ヶ月以上の治療期間が必要です。
症状固定~後遺障害等級認定までの期間
怪我が完治せずに症状固定となり後遺症が残っている場合は、後遺症の症状が後遺障害に該当している旨の申請を行い、後遺障害等級認定を受けることになります。
この期間は、さらに以下の2つの期間に分けられます。
- 症状固定~申請までの期間
- 申請~認定結果が出るまでの期間
症状固定~申請までの期間はスムーズにいけば1ヶ月程度です。
しかし、申請を任せた任意保険会社担当者の対応が遅れたり、手続きを知らない被害者の方が自分で申請したりすると、それ以上の期間を要する可能性があります。
そして、申請から認定結果が出るまでの期間は2ヶ月程度が目安です。
後遺障害等級認定機関である損害保険料率算出機構の統計によると、85%程度の事案が受付から2ヶ月以内に調査を完了しています。
後遺障害事案における損害調査の所要日数(2021年度統計)
期間 | 割合 |
---|---|
30日以内 | 73.8% |
31日~60日 | 13.7% |
61日~90日 | 6.7% |
90日超 | 5.8% |
参考:損害保険料率算出機構「2022年度 自動車保険の概況」>より
ただし、上記の統計は詳しい調査を行う上部機関での審査事案は含まれていません。
重い後遺症のケースでは、認定までの期間が長引く可能性が高いです。
示談交渉の期間
示談交渉は、事実関係に争いがなく、金額のみを争うケースであれば、1ヶ月~3ヶ月程度で成立となるケースが多いです。
一方、事実関係に争いがあり、過失割合も争点になるケースでは、示談交渉の期間が長引く可能性が高くなります。
なお、上記の期間は弁護士が対応した場合の期間です。
被害者自身で示談交渉する場合には、知識不足などにより期間が長引く可能性が高いでしょう。
このように、交通事故の発生から示談成立までには、手続きがスムーズに進んだ場合でも1年近くの期間を要します(後遺障害等級認定の申請をする場合)。
裁判になった場合の期間
示談交渉で合意ができず決裂してしまった場合、解決までの期間には、裁判に要する期間がさらに加わります。
裁判所の公表資料によると、交通損害賠償の平均審理期間は13.3ヶ月です。
つまり、裁判になってしまうと、交通事故の発生から慰謝料の支払いまでに2年以上の期間を要する可能性が高いといえます。
交通事故裁判の審理期間(第一審)
期間 | 割合 |
---|---|
6月以内 | 16.7% |
6月超1年以内 | 39.1% |
1年超2年以内 | 36.7% |
2年超3年以内 | 6.0% |
3年超5年以内 | 1.4% |
5年を超える | 0.1% |
参考:「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第9回)」(最高裁判所・令和3年)【資料2-1-2】より
なお、上記の審理期間は、裁判の途中で和解により解決した事案も含んでいます。
判決までに要する期間はさらに長くなる可能性があるので、注意しましょう。
死亡事故の場合は葬儀終了後に示談開始
交通事故が原因で被害者が亡くなってしまったという死亡事故の場合は、葬儀が一通り終了してから示談交渉を行うという流れになります。
具体的には、四十九日が終わったころに示談交渉を開始するという流れになるでしょう。
この時点で、被害者が請求できる慰謝料額等が明らかになるためです。
死亡事故において請求できる慰謝料の金額やそのほかの損害に関しては『死亡事故の慰謝料の相場はいくら?遺族が請求すべき損害賠償金の解説』の記事で確認できます。
示談成立前でも慰謝料を早めに受け取る方法
交通事故の発生から慰謝料などの支払いを受けるまでには、後遺障害等級認定の申請をする場合なら1年近くの期間がかかります。
交通事故の被害者は、病院までの通院費や治療費がかかるうえ、仕事を休んで減収が発生することもあるでしょう。
示談成立までに、慰謝料などの支払いを早く受け取りたい被害者の方は多くいます。
示談成立前でも慰謝料などの支払いを早めに受ける方法は、以下の通りです。
- 自賠責保険から受け取る方法
- 加害者側の任意保険から受け取る方法
- 被害者側の任意保険から受け取る方法
それぞれの方法について、詳しく解説していきます。
自賠責保険から受け取る方法
自賠責保険から受け取る方法としては、「仮渡金の支払いを請求する」「被害者請求する」の二つです。
仮渡金の支払いを請求する
交通事故の被害者は治療費の支払いなどでお金が必要になることが多いでしょう。
しかし、被害者の方の中にはそのお金を用意できない人もいます。
そこで、事故直後に必要となるお金を先払いによりすぐ受け取れるよう、自賠責保険には、仮渡金(かりわたしきん)制度が設けられています。
仮渡金として支払いを受けられる金額は、傷害の程度に応じて以下のように法令で定められています。
仮渡金の金額 | 傷害の程度 |
---|---|
40万円 | ・脊柱の骨折で脊髄を損傷したと認められる症状を有するもの ・上腕または前腕の骨折で、合併症を有するもの ・大腿または下腿の骨折 ・内臓の破裂で腹膜炎を併発したもの ・14日以上病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの |
20万円 | ・脊柱の骨折 ・上腕または前腕の骨折 ・内臓の破裂 ・病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの ・14日以上病院に入院することを要する傷害 |
5万円 | ・11日以上医師の治療を要する傷害を受けたもの |
* 参考:自動車損害賠償保障法施行令第五条
* 死亡事故の場合は290万円
仮渡金の請求に必要となる書類は以下のとおりです。
仮渡金請求の必要書類
- 仮渡金支払請求書
- 交通事故証明書
- 事故発生状況報告書
- 医師の診断書
- 請求者の印鑑証明書
- 委任状(代理人が請求する場合)
- 委任者の印鑑証明書(代理人が請求する場合)
- 戸籍謄本(死亡事故の場合)
仮渡金を請求すれば、およそ1週間程度で支払いを受けられます。
ただし、仮渡金は1回しか請求できない点には注意が必要です。
また、仮渡金はあくまで先払いとして受け取れるお金なので、仮渡金として受け取った金額は、最終的な慰謝料などの金額から控除されます。
さらに、確定した慰謝料などの金額より仮渡金の金額が大きければ、差額の返金が必要です。
被害者請求をする
被害者請求とは、交通事故の被害者が自ら加害者側の自賠責保険会社に対して、保険金額の限度額まで損害賠償額の支払いを請求できる制度です。
第三条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。
自動車損害賠償保障法第16条第1項
被害者請求は、加害者側との示談成立前でも行える手続きです。被害者が示談成立前にお金を受け取る有効な方法になるでしょう。
自賠責保険から支払われる入通院慰謝料の金額は、以下の2つの計算式で算定された金額のうち少ない方の金額になります。
- 4,300円*×(入院日数+通院日数 × 2)
- 4,300円*×(入院期間 + 通院期間)
*支払い基準改正前の2020年3月までに起きた交通事故については日額4,200円で算定
ただし、傷害部分については、慰謝料や治療費など合計で120万円という限度額がある点には注意する必要があります。
限度額に関して詳しく知りたい方は『交通事故慰謝料が120万を超えたらどうなる?自賠責保険の限度額や請求方法を解説』の記事をご覧ください。
交通事故の慰謝料は、通院(入院)日数によって金額が異なります。
通院や入院をしなかった場合は、原則として入通院慰謝料は支払われません。
被害者請求に必要となる書類は以下のとおりです。
被害者請求の必要書類
- 保険金・損害賠償額支払請求書
- 交通事故証明書
- 交通事故発生状況報告書
- 医師の診断書
- 診療報酬明細書
- 通院交通費明細書
- 付添看護自認書(付き添い看護をした場合)
- 休業損害証明書(休業による減収がある場合)
- 請求者の印鑑証明書
- 委任状(代理人が請求する場合)
- 委任者の印鑑証明書(代理人が請求する場合)
- 後遺障害診断書(後遺障害分も請求する場合)
- レントゲン写真など(後遺障害分も請求する場合)
- 戸籍謄本(死亡事故の場合)
被害者請求をすれば、およそ1ヶ月程度で支払いを受けられます。
また、限度額の120万円に達するまでは、何回でも請求が可能です。
ただし、この後解説する任意保険会社の一括対応中に被害者請求をすると、一括対応をしてもらえなくなる点には注意する必要があります。
被害者請求の具体的な方法については、関連記事『交通事故の被害者請求とは?メリットや請求方法』をご確認ください。
また、後遺障害等級認定の申請を被害者請求で行う場合、後遺障害等級が認定された時点で、等級に応じた保険金(等級ごとに75万円~4000万円までの限度額あり)の支払いを受けることができます。
後遺障害申請を被害者請求で行う方法については、関連記事『後遺障害申請は被害者請求と弁護士依頼が正解』をご確認ください。
加害者側の任意保険から受け取る方法
加害者側の任意保険から受け取る方法としては、「治療費を一括対応してもらう」「損害賠償金の内払いをしてもらう」の二つです。
治療費を一括対応してもらう
交通事故では、加害者が任意保険に加入している場合、治療費については自分で支払わず、任意保険会社が病院に直接支払ってくれるケースが多いです。
この任意保険会社の対応を「一括対応」といいます。
一括対応とは、任意保険会社が自賠責保険分の保険金も一括して被害者に支払いをした後、自賠責保険に対して自賠責の補償範囲内で求償する制度です。

治療費を一括対応してもらうための手続きは以下のとおりです。
一括対応の手続き
- 任意保険会社の担当者に通院する病院の連絡先を伝える
- 保険会社から送られてくる同意書に署名・押印して返送する
ただし、任意保険会社の一括対応は、自賠責保険の仮渡金や被害者請求と違い、法令で認められた制度ではありません。一括対応は、あくまで任意保険会社のサービスの一つです。
そのため、以下のような場合には治療費の一括対応を受けられません。
- 被害者の過失割合が比較的高い場合
- 保険会社が治療を不要(症状固定)と判断した場合
また、任意一括対応を行ってもらっていても、治療中に症状固定または完治となる期間を経過したとして、治療費の支払いを打ち切られることもあります。
このような場合に、治療費の負担が厳しいとしても安易に治療を止めるべきではありません。
治療費打ち切りへの詳しい対処法については『交通事故の治療費打ち切りを阻止・延長する対応法!治療期間はいつまで?』の記事をご覧ください。
損害賠償金の内払いをしてもらう
任意保険会社との交渉次第では、治療費以外の損害賠償金も、示談成立前に支払いをしてもらえる可能性があります。
この任意保険会社の対応を「損害賠償金の内払い」といいます。
任意保険会社は、実際の支出を伴う通院交通費や収入の減少を補償する休業損害などの項目については、内払いに応じてくれる可能性が比較的高いです。
通院交通費を請求する場合は、通院交通費明細書や領収書などの書類が必要になります。
また、休業損害を請求する場合は、休業損害損害証明書や前年度の源泉徴収票などの書類が必要になるでしょう。
一方、精神的損害に対する補償である慰謝料の内払いは、すぐ対応してくれない可能性が高いです。
慰謝料の内払いを受けたい場合は、なぜそのお金が必要かを丁寧に任意保険会社に説明する必要があります。
なお、内払いは、損害賠償金の一部を前払いとして支払うというものです。
最終的な示談金額から差し引かれる点には注意する必要があります。
加害者側に請求する際の注意点
加害者側に対して示談交渉成立前に請求を行うと、加害者側に金銭的な余裕がないことを知られてしまいます。
そうすると、相場よりも低い金額を提示しつつ早めに示談をするように加害者側が打診してくる恐れがあるでしょう。
被害者側が相場より低い金額と理解していても、示談交渉を長引かせることができないために納得のいかない示談をしなくてはならなくなる危険性が生じてしまいます。
そのため、示談成立前の時点で必要以上に加害者側へ請求することは控えるべきでしょう。
被害者側の任意保険から受け取る方法
被害者側の任意保険から受け取る方法としては、「人身傷害保険の保険金を受け取る」「搭乗者傷害保険の保険金を受け取る」の二つです。
人身傷害保険の保険金を受け取る
被害者やその家族が加入している自動車保険の内容に人身傷害保険が含まれていた場合、加害者側との示談前に保険金を受け取れる可能性があります。
人身傷害保険とは、相手方の有無や過失割合に関係なく、約款の基準額に従った保険金の支払いを受けられる保険です。
とくに、被害者の過失割合が大きい場合は、人身傷害保険の利用を検討するとよいでしょう。
被害者の過失割合が大きいと、治療費の一括対応をしてもらえないケースが多く、最終的な示談金も減額されてしまうためです。
搭乗者傷害保険の保険金を受け取る
被害者やその家族が加入している自動車保険に搭乗者傷害保険が付いている場合、より早期に保険金を受け取れる可能性があります。
搭乗者傷害保険とは、交通事故で怪我をした人に対し、あらかじめ契約で定められた部位や症状に応じて、定額の金額が支払われる保険です。
搭乗者傷害保険は損害賠償額の計算が不要なため、人身傷害保険よりも素早く支払いを受けられるのがポイントになります。
保険会社によっても異なりますが、治療期間(入通院の合計日数)が5日以上を経過した時点で、症状や部位に応じて搭乗者傷害保険の保険金を請求できるケースが多いです。
関連記事:『人身傷害補償特約は必要?いらない?補償内容や他の保険との違いとは』
慰謝料の支払いに関するよくある質問
Q1.慰謝料は誰が支払う?支払い方法は?
交通事故の慰謝料は、加害者が任意保険会社に加入しているのであれば任意保険会社から支払われます。
支払い方法は、銀行振込で一括払いが原則となるでしょう。
振込先は、示談書に被害者が記載した銀行口座です。
任意保険会社は資力が豊富であるため、損害賠償金額が高額になっても、原則として一括で支払われるでしょう。
加害者が任意保険未加入なら慰謝料の支払いが分割に?
一方、加害者が任意保険に未加入の場合には、加害者自身から支払いを受けることとなります。
加害者からの支払いの場合には、加害者の資力や支払い金額により、示談交渉時に加害者側から分割払いの提案がされる可能性があるでしょう。
その場合には、保証人や担保を求めて将来的な支払いを確保できるよう主張するなど、どう対応すべきかよく注意する必要があります。
加害者が任意保険に加入していない、いわゆる無保険である場合の注意点について詳しく知りたい方は『交通事故相手が無保険でお金がない!賠償請求時の対処法6つ』の記事をご覧ください。
Q2.慰謝料の支払いが遅くなるケースは?
以下のようなケースでは、慰謝料の支払いが遅くなる可能性があります。
- 治療に時間がかかっている
- 後遺障害等級認定に時間がかかっている
- 過失割合に争いがある
- 被害者側と加害者側が主張する示談条件の差が大きい
治療に時間がかかっている場合、本来の完治・症状固定のタイミングよりも早く治療を終わらせてしまうと、慰謝料などが減額されるリスクがあります。
前章で紹介した「示談成立前でも慰謝料を早めに受け取る方法」を活用し、治療を続けるとよいでしょう。
後遺障害等級認定にかかる手間を減らすには、あらかじめ交通事故に精通した弁護士に相談し、手続きのサポートを受けたり、申請書類をチェックしてもらったりすることをおすすめします。
また、過失割合や示談条件で争いが生じている場合も、弁護士を立てることで早期解決を図れます。
関連記事『交通事故の示談が長引く原因5つ&対処法』では、示談が長引く理由やその対処法について、より深く掘り下げて解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
▼慰謝料などの支払いでお悩みなら、弁護士への相談もご検討ください。アトム法律事務所では、電話・LINEによる弁護士への無料相談サービスを実施しています。
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Q3.慰謝料の支払いを受けられる期限はいつ?
交通事故の損害賠償を請求する権利には、時効が定められています。
慰謝料の支払いは、以下の期限までに受けるようにしましょう。
損害賠償請求権の消滅時効
(2017年4月1日以降に発生した交通事故の場合)
損害の種類 | 時効期間 |
---|---|
物損に関する損害 | 事故発生日の翌日から3年 |
人身に関する損害 (後遺障害による損害以外) | 事故発生日の翌日から5年 |
人身に関する損害 (後遺障害による損害) | 症状固定日の翌日から5年 |
人身に関する損害 (死亡による損害) | 死亡した日の翌日から5年 |
加害者不明の損害※ | 事故発生日の翌日から20年 |
※2017年3月31日以前に発生した交通事故にも適用される場合がある。
※※加害者が判明した場合は、判明した日の翌日を起算日とし、物損部分は3年、人身部分は5年で時効となる。
なお、自身の任意保険や加害者の自賠責保険に対する請求は、上記の表にかかわらず起算日から3年で時効となります。
特に大きな問題もなく治療や示談交渉が進んだのであれば、時効はそれほど気にするものではありません。
ただし、状況によっては時効が近づいていることもあり、時効を延長すべきケースもあるでしょう。時効の延長方法については、関連記事『交通事故の示談は時効期限に注意!期限の長さや時効の延長方法を解説』が参考になります。
慰謝料の請求を弁護士に頼むメリット
交通事故の慰謝料の支払いについては、弁護士に依頼をすることで、以下の3つのメリットを得られます。
- 支払いまでの期間を短くできる
- 支払いを受けられる金額を増やせる
- 示談交渉や各種手続きを一任できる
それぞれのメリットについて、詳しく解説していきます。
(1)支払いまでの期間を短くできる
先述のとおり、交通事故の発生から示談成立までにはさまざまな手続きが必要です。
そのなかでも、弁護士に依頼することで「後遺障害等級認定の申請」と「示談交渉」という2つの手続きの期間を短くすることができます。
その結果、慰謝料の支払い(示談成立)までの期間を短くすることができるのです。
後遺障害等級認定の申請
後遺障害等級認定の申請方法には、以下の2つの方法があります。
- 加害者側の任意保険会社に申請を任せる事前認定
- 被害者が自分で申請をする被害者請求
事前認定にかかる期間は、保険会社の担当者の能力・忙しさ・やる気次第となります。
場合によっては、なかなか申請されず、時間がかかることもあるでしょう。
一方、被害者請求では、努力次第で申請までの期間を短縮できます。
しかし、手続きに詳しくない被害者の方だと、かえって時間がかかってしまうのです。
この点、手続きに詳しい専門家である弁護士に依頼すれば、迅速に必要書類を収集・準備して被害者請求をしてもらうことができます。
その結果、後遺障害等級認定の申請までの期間を短くすることができるのです。
示談交渉
交通事故の示談交渉で主に争われるのは、慰謝料などの損害額と過失割合の2点です。
上記の2点には一定の基準で決められます。
しかし、その基準の知識がない被害者の方だと、妥当な数値や争うべきポイントが分からず、交渉が長引いてしまいがちです。
この点、弁護士であれば、損害額や過失割合の数値が妥当かや争うべきポイントを把握しているため、示談交渉がスムーズにいく可能性が高まります。
(2)支払いを受けられる金額を増やせる
弁護士に依頼すれば、以下の3つの観点から、支払いを受ける金額を増やすことができます。
- 高額な弁護士基準で請求できる
- 適切な後遺障害等級に認定される可能性が高まる
- 妥当な過失割合で示談できる
それぞれの観点について解説していきます。
高額な弁護士基準で請求できる
慰謝料相場は、以下の3種類の計算基準のうちどれを適用するかにより大きく異なります。
自賠責保険は被害者の損害を最低限補償するための強制保険です。
自賠責基準の慰謝料相場は、低額になります。
任意保険会社は少しでも支払う金額を抑えようと示談交渉を行います。
そのため、任意保険基準で計算した慰謝料額は、自賠責基準と同額程度か、多少増額した程度になることが多いでしょう。
弁護士基準は過去の裁判例を基に作成された基準であり、弁護士基準で計算した慰謝料相場は最も高額かつ法的に適正な金額です。

被害者自身が弁護士基準によって計算された額について慰謝料請求を行っても、加害者側は根拠に欠けるなどとして、簡単には請求に応じてくれません。
しかし、弁護士に依頼すれば、法的根拠のある請求であるとして弁護士基準で計算した高額の請求に加害者側も応じてくれやすくなります。
その結果、支払いを受けられる金額を大幅に増やすことができるのです。
では、弁護士に依頼すると慰謝料相場は具体的にどれくらい増額されるのでしょうか。
イメージしやすいよう、以下のモデルケースで解説します。
モデルケース
- 怪我の症状:むちうち
- 通院期間:6ヶ月
- 通院日数:60日
- 後遺障害等級:14級9号
このケースにおける最も低額な自賠責準と最も高額な弁護士基準の慰謝料相場を比較した表が以下のものになります。
自賠責基準 | 弁護士基準 | |
---|---|---|
通院慰謝料 | 51万6000円* | 89万円 |
後遺障害慰謝料 | 32万円 | 110万円 |
合計 | 83万6000円 | 199万円 |
* 2020年4月1日以降に発生の事故の場合の金額
同じ症状、通院期間・通院日数、後遺障害等級であっても、弁護士に依頼をすることで、合計で2倍以上も慰謝料が増額する可能性があるのです。
症状別の慰謝料相場金額についてくわしく知りたい方は『交通事故の慰謝料相場|症状別の相場金額』をご覧ください。
また、ご自分のケースで弁護士基準の慰謝料相場がいくらになるかを知りたい方は、以下の慰謝料計算機をご利用ください。
慰謝料相場や増額ポイントの記事
適切な後遺障害等級に認定される可能性が高まる
弁護士に後遺障害等級認定の申請を依頼するメリットは、申請までの期間を短くできるだけではありません。金銭的なメリットも得られるのです。
弁護士に依頼すれば、認定に有利に働く証拠や意見書などを添付して被害者請求をすることができます。
その結果、適切な後遺障害等級に認定される可能性が高まるのです。
後遺障害慰謝料は、認定された後遺障害等級によって慰謝料相場が決まります。
適切な後遺障害等級に認定されることは、慰謝料の増額につながるのです。
妥当な過失割合で示談できる
交通事故で被害者が支払いを受けられる金額は、過失割合によっても大きく違いがあります。
被害者が支払いを受けられる金額は、損害額から被害者の過失割合分を減額した金額だからです。
車同士の事故では、停車車両への追突事故でもない限り、被害者にも一定の過失割合があると判断されるケースが多いです。
加害者側の任意保険会社は、支払う慰謝料などを減額するために、被害者側に不利な過失割合を提示してくることが少なくありません。
この点、過失割合の知識が豊富な弁護士に依頼すれば、妥当な過失割合で示談できます。
その結果、支払いを受けられる金額が増える可能性があるのです。
(3)示談交渉や各種手続きを一任できる
交通事故で弁護士に依頼すれば、示談交渉や各種手続きをしなくて済むというメリットも得られます。
被害者の過失割合が0である、いわゆるもらい事故の場合、被害者は自分で被害者側の保険会社との対応や書類の収集、示談交渉などの手続きをしなければいけません。
これらの手続きに追われると、時間を取られるだけでなく、精神的負担にもなります。
その結果、治療や職場復帰などに集中できなくなる被害者の方は決して少なくありません。
弁護士に依頼をして手続きを一任すれば、精神的負担から解放され、治療や職場復帰に向けた努力に時間を費やせるようになるのです。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了