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交通事故の示談金相場は?計算方法や増額のコツ、示談交渉の注意点を解説

更新日:

交通事故の示談金相場

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

交通事故の被害者にい多いお悩みのひとつが、「適切な示談金相場はいくらなのだろう?」ということです。

この記事では、そんなお悩みにこたえるべく、実際の事例や示談金の計算方法、モデルケースにおける示談金の試算を紹介しています。
この記事を読めば、今よりも示談金の相場観がつかめるでしょう。

あわせて、示談交渉時の注意点やより多くの示談金を得るポイントも解説しています。
また、以下の計算機を使えば示談金の一部の費目について相場がわかるので、ぜひ活用してみてください。

目次

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交通事故の示談金相場|軽傷から重傷までの解決事例集

まずは、事故内容ごとの示談金額事例を紹介します。示談金の相場観をつかむためにも、解決事例を確認することは大切です。

また、事例によっては最終的な示談金額と合わせ、最初に相手方の保険会社から提示された金額も紹介しています。
相手方から提示される金額がどれくらい低いのかを知る目安にもなるでしょう。

示談金 72万円|頸椎捻挫・後遺障害等級認定なし

概要

  • 事故の状況
    信号のない交差点の出会い頭で衝突
  • 過失割合
    2:8
  • 示談金
    72万7,946円

被害者は、信号のない交差点で出合い頭に衝突して事故が発生しました。
過失割合は2:8です。
相手方とのやり取りがわずらわしいとのことで、アトム法律事務所の弁護士と契約されました。弁護士による丁寧な交渉の結果、最終的には727,946円にて示談しました。

示談金 241万円|両腕のしびれ|後遺障害14級

概要

  • 事故の状況
    被害者の方が片側2車線道路の右車線を走行中、左車線からウインカーを出さずに入ってきた車両と衝突
  • 過失割合
    2:8
  • 示談金
    約241万円
    ※当初の提示額は約105万円

アトム法律事務所へのご相談のきっかけは、逸失利益の金額に疑問を持たれたことでした。

アトム法律事務所の弁護士が提示額を確認させていただき、増額の余地があることをお伝えし、正式にご契約となりました。

ご依頼から解決までの期間は2週間で、最終的には約241万円の示談金となりました。弁護士が介入したことで、約136万円の増額が実現できたのです。

示談金 290万円|右ひざ靭帯損傷 | 後遺障害 14級

概要

  • 事故の状況
    通学途中、自転車で走行中に商業施設から出てきた車両と衝突
  • 後遺障害等級
    14級
  • 示談金
    290万円
    ※当初の提示額は144万円

被害者は通学途中、自転車で走行中に商業施設から出てきた車両と衝突し、右膝靭帯損傷・左脚打撲のケガを負われました。後遺障害等級は14級です。

お電話のみでそのまま正式に契約となり、当初の提案額144万円から145万円も増額されました。最終的には、290万円の示談金となり、被害者や被害者のご家族にもご納得いただけました。

示談金 1,150万円|腰椎圧迫骨折・左肩腱板断裂など| 後遺障害併合10級

概要

  • 事故の状況
    幹線道路の交差における、自転車同士の事故。ひき逃げ事案。
    被害者には既往症があり、リハビリや手術は困難な状況。
  • 後遺障害等級
    併合10級
  • 示談金
    1,150万円
    ※当初の提示額は530万円

ご依頼者様は、相手方から提示された示談内容に納得いかなかったことと、後遺障害等級認定の申請について不明点があったことからアトム法律事務所へご相談くださいました。

弁護士はまず、後遺障害等級認定のサポートを行って併合10級の認定を受けました。そして示談交渉を行い、相手方の提示額を約620万円増額させて最終的に1,150万円の示談金が獲得できました。

この案件は、もともとの既往症が原因となり、事故の被害者が亡くなられてしまいました。しかし、弁護士と法定相続人の方とも連携し、示談締結まで進めることとなりました。

示談金 6,800万円|高次脳機能障害など | 後遺障害6級

概要

  • 事故の状況
    信号のない交差点を優先道路からバイクで侵入した被害者と、一旦停止義務のある他道路から侵入してきた車両との衝突事故
  • 後遺障害等級
    6級
  • 示談金
    6,800万円

この事故で被害者はそのまま意識を失い、入院・手術となりました。症状としては、大腿骨骨折・外傷性硬膜下血腫で、高次脳機能障害・視力障害やふくらはぎの腫れ、左手のしびれが見られました。

今後の生活に不安を感じたご家族からの相談を受け、後遺障害6級認定済の状態で正式に弁護士との契約となりました。ねばり強い交渉をすすめ、当初の先方提示額を上回る6,800万円にて示談が成立しました。

あなたの示談金相場はいくら?計算機で簡単確認

以下の計算機では、示談金のうち慰謝料・逸失利益の相場がわかります。
示談金相場の計算方法はこの記事の中でも紹介しますが、ひとまず自分の示談金相場を知りたいという方はご利用ください。

なお、こちらの計算機でわかるのは、示談交渉で弁護士を立てた場合の示談金相場です。
また、事故の個別的な事情に応じて相場は増減することがあります。
厳密な示談金相場は弁護士に問い合わせることがおすすめです。

交通事故の示談金で請求できる内訳は?

示談金とは、交通事故の被害者に対して加害者から支払われるお金を総称したものです。

ここからは、交通事故の被害者が請求できる示談金の内訳を見ていきましょう。
交通事故の示談金は、大きく「積極損害」「消極損害」「慰謝料」に分けられます。

示談金の内訳1. 積極損害|実費を請求するもの

積極損害とは、実際に「支出として生じた損害」のことをいいます。
わかりやすくいうと、領収書として金額を証明できる損害のことです。

  • 治療費
  • 入院雑費
  • 通院にかかった交通費
  • 付き添い看護費
  • 介護費
  • 診断書などの作成費

上記の積極損害は、多くの場合実費を請求します。
では、それぞれの費目の具体的な内容と注意点について解説していきます。

治療費|支払われ方は2通りある

治療費とは、交通事故のケガを治すために必要な費用のことです。

治療費は、通院と並行して加害者側の任意保険会社が直接病院に支払ってくれることが多いです。この場合、すでに支払われた治療費は既払い金として、示談成立後に受け取れる示談金からは差し引かれます。

ただし、加害者が任意保険に入っていない場合は、被害者が治療費を一旦立て替えておき、示談交渉時に加害者側に請求しなければなりません。
また、加害者が任意保険に入っていても、任意保険会社の方針によっては立て替えが必要になることもあります。

被害者側で治療費を立て替える場合は、健康保険を利用すれば負担を減らせます。
交通事故の治療における健康保険の使い方は、下の関連記事からご確認ください。

関連記事

交通事故の治療費は誰が支払う?被害者の場合は健康保険を使うべき!

入院雑費

入院雑費とは、入院の際に必要になる包帯やガーゼなどの費用、電話代のことを言います。

通院にかかった交通費|タクシー代は必要性があれば請求可能

通院のためにかかった交通費も、積極損害として示談金に含まれます。

ただし、タクシーについては「タクシーを利用する必要性」が認められなければ、代金を支払ってもらえないこともあるので注意してください。

付き添い看護費|付き添いの必要性があれば請求できる

付き添い看護費は、被害者が入院や通院をする際、医師の判断により付き添い看護が必要だと認められれば請求できます。

介護費|示談交渉でもめる可能性あり

交通事故による治療期間中、被害者が身動きをとれない状態である場合は、介護が必要になります。その時の介護費用は、加害者側に請求可能です。

また、後遺障害が残り将来にわたって介護が必要となった場合には、その分の費用を将来介護費として請求できます。
ただし、将来介護費は、必要性や金額をめぐって加害者側ともめやすいです。

具体的にどのような場合に将来介護費を請求できるのかについては、以下の関連記事でご確認ください。

関連記事

交通事故で介護費用が請求できる2ケース

診断書などの作成費

交通事故にあうと、示談金請求のために診断書が必要になります。また、後遺症が残った場合には、後遺障害等級認定のため後遺障害診断書も必要です。

この金額も、示談金として加害者側に支払ってもらえます。

示談金の内訳2. 消極損害|事故のせいで得られなくなった利益

消極損害とは、交通事故にあわなければ得られていたはずの利益のことをいいます。

  • 休業損害
  • 後遺障害逸失利益
  • 死亡逸失利益

消極損害に分類される項目は、上記の通りです。
それぞれの項目の具体的な内容と注意点を解説していきます。

休業損害|主婦や学生、有給休暇を使った人も対象になる

休業損害とは、交通事故で仕事を休んだことで得られなかった収入に対する補償のことを言います。有給休暇を使った日も、休業損害の対象となります。

専業主婦やアルバイトをしていた学生の場合も、休業損害を請求の請求が可能です。
なお、学生で休学・留年した場合は、余分に必要になった学費や下宿代なども請求できる可能性があるので、忘れずに確認してください。
詳しくは、『学生の交通事故慰謝料金額を計算』にて解説しています。

その他、無職の方でも近々就職して働き、収入を得ていた可能性が高いと判断されれば、休業損害を請求できます。

後遺障害逸失利益|子どもや学生も請求できる

逸失利益とは

後遺障害逸失利益とは、後遺障害が残ったことで得られなくなった将来の収入に対する補償のことです。

後遺障害が残ると、仕事に支障が出て退職・異動せざるをえなかったり、出世に影響が出たりして、事故にあわなかった場合に比べて生涯年収が下がってしまう可能性があります。そうした損害に対する補償が、後遺障害逸失利益なのです。

事故時に被害者が子どもや学生だった場合でも、事故によって職業選択の幅が狭まるなどの影響が考えられるため、後遺障害逸失利益を請求できます。

なお、後遺障害逸失利益を請求するためには、後遺症に対して後遺障害等級が認定されていなければなりません。
後遺障害等級の認定を受ける方法やポイントについては、『交通事故の後遺障害等級認定|申請方法と認定される症状』をご覧ください。

死亡逸失利益|子どもや学生も請求できる

死亡逸失利益とは、交通事故により被害者が亡くなられたことで得られなくなった、将来の収入・利益のことです。

死亡逸失利益の場合も後遺障害逸失利益と同様、子どもや学生の方が被害者である場合も請求できます。

示談金の内訳3. 慰謝料|精神的苦痛への補償

慰謝料とは、交通事故による精神的苦痛に対する補償のことです。これは、身体が傷つくことに関連して生じる精神的苦痛を対象としています。

そのため、愛車が壊れた、ペットが傷ついたなど、被害者自身の身体の損傷以外を理由とする精神的苦痛は、慰謝料の対象になりません。
なお、勘違いされる方が多いのですが、慰謝料は示談金の一部です。

交通事故の慰謝料

交通事故の慰謝料には、以下の3つがあります。

  • 入通院慰謝料(傷害慰謝料)
  • 後遺障害慰謝料
  • 死亡慰謝料

それぞれの慰謝料について、詳しくご説明していきます。

入通院慰謝料(傷害慰謝料)|入通院での精神的苦痛を補償

入通院慰謝料とは、交通事故による入通院で生じる精神的苦痛を補償するものです。

交通事故にあいケガをして入通院が必要になると、できる行動に制限が出たり、時間的制約が生じたりします。また、治療の過程で辛い思いをすることもあります。

入通院慰謝料とは、そうした治療の過程で辛い思いをしたという精神的苦痛に対する補償のことを言うのです。したがって、ケガなしの場合、入通院慰謝料を請求することはできません。

入通院慰謝料は、「傷害慰謝料」と呼ばれることもあります。

後遺障害慰謝料|後遺障害が残ったことによる精神的苦痛を補償

後遺障害慰謝料とは、交通事故により後遺障害が残ったことで、今後も受け続ける精神的苦痛に対する補償のことを言います。

交通事故にあい後遺障害が残ると、仕事に支障が出て悔しい思いをしたり、周囲の目が気になって辛い思いをしたり、日常生活の中でもどかしい思いをしたりすることが考えられます。

そうした精神的苦痛に対する補償が、後遺障害慰謝料なのです。

ただし、後遺障害慰謝料は単に後遺症が残っただけでは請求できません。
後遺障害慰謝料を請求するためには、後遺症に対して、後遺障害等級が認定される必要があります。

後遺障害等級の認定を受ける方法やポイントについては、『交通事故の後遺障害等級認定|申請方法と認定される症状』をご覧ください。

死亡慰謝料|被害者と遺族の精神的苦痛を補償

死亡慰謝料とは、交通事故によって亡くなった被害者ご本人とそのご遺族の精神的苦痛に対する補償のことです。

入通院慰謝料や後遺障害慰謝料は、基本的に被害者ご本人のみに対して支払われます。しかし、死亡慰謝料にはご遺族の方に対する金額も含まれます。

なお、ここでいうご遺族とは、配偶者・子(養子含む)・親(養父母含む)のことです。

兄弟姉妹や内縁の妻などは、上記のご遺族と同じくらい被害者と近しい関係にあり、その悲しみも同じくらい深いと判断されれば死亡慰謝料の対象となります。

ケガなしの物損事故の示談金内訳

ケガなしの場合は、慰謝料の請求は原則できません。
これまでに物損事故の慰謝料が認められた判例もありますが、慰謝料が認められるケースは例外的なものと考えておきましょう。

物損事故の場合は、あくまで物の被害に対する損害賠償請求にとどまります。

物損事故の損害賠償項目

修理費用、代車両、評価損、買い替え費用、休車損害

示談金相場がわかる計算方法|積極損害・消極損害

つづいて、示談金の計算方法について見ていきましょう。項目ごとの計算方法を理解すれば、ご自分でも示談金額を計算できるようになります。

まずは、積極損害・消極損害の計算方法です。

積極損害の計算方法|一部実費でないものもある

治療費|通院期間が長い場合は注意

交通事故の治療費は、基本的に実費全てを請求できます。

ただし、通院期間が長期化した場合や通院頻度が低い場合は、治療費を全額は支払ってもらえない可能性があるので注意してください。

とくに、通院が1ヶ月以上あいたり平均的な通院期間を超えたりすると、治療費が打ち切られる可能性が高まります。
相手方任意保険会社から治療費打ち切りを打診されても、まだ治療が必要なら通院を継続すべきです。

治療費打ち切りを打診された場合の対処方法は、『交通事故の治療費打ち切り|延長や自費治療の選択と保険会社への対処法』で解説しています。

入院雑費|日額から計算

入院雑費は基本的に日額1500円として、入院した日数分支払われます。

通院にかかった交通費|基本的に実費

交通費も治療費と同様、基本的に実費が支払われます。

公共交通機関を利用する場合は、交通費が明らかなので領収書は必要ありません。自家用車を利用する場合は、家からの距離をもとに金額を算出します。
タクシーの場合は、領収書を保管しておいてください。

なお、交通事故によるケガのために通勤・通学代が余計に必要になった場合は、その分も請求できる可能性があります。
詳しくは『交通事故にあったら【交通費】と慰謝料を請求できる?』にてご確認ください。

付き添い看護費|日額から計算

ご家族が付き添い看護をする場合、入院であれば1日あたり6500円、通院であれば1日あたり3300円を加害者側に請求できます。

ご家族ではなく職業看護人に付き添い看護してもらった場合は、そのためにかかった費用を加害者側に請求できます。

ご家族がお仕事を休んで入院の付き添い看護していた場合の付き添い介護費は、ご家族の1日あたりの給与が6500円以下であれば6500円、それ以上であればご家族の1日あたりの給与額です。
ただしこれは、「 職業介護人を雇った場合の1日あたりの金額」を上限とします。

介護費|日額または実費を計算

介護費用は、ご家族が介護をする場合には1日8000円として計算されます。職業介護人が介護をする場合には、実費を計算して請求します。

ただし、実際には後遺障害の程度や介護体制、自宅の仕様や被害者の自立度のほか、さまざまな要素を考慮して金額が検討されます。

介護費用の金額についてさらに詳しくは、『交通事故で介護費用が請求できる2ケース|計算方法と裁判例から金額もわかる』にてご確認ください。

診断書などの作成費|実費を請求

通常の診断書の費用は3000円程度、後遺障害診断書の費用は5000円~10000円程度です。ただし、病院によって正確な費用は変わりますのでご注意ください。

消極損害の計算方法|事故前の収入が相場に影響

消極損害には後遺障害逸失利益・死亡逸失利益・休業損害がありますが、ここでは2つの逸失利益の計算方法を紹介します。
休業損害については、のちほど慰謝料を合わせて紹介するのでご確認ください。

後遺障害逸失利益の計算方法

後遺障害逸失利益は、次の式で計算されます。

収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数

労働能力喪失率とは、後遺障害によってどれくらいの労働力が失われたかを割合で表したものです。これは、後遺障害等級ごとに以下のように目安が決まっています。

等級労働能力喪失率
1100%
2100%
3100%
492%
579%
667%
756%
845%
935%
1027%
1120%
1214%
139%
145%

ライプニッツ係数は、後遺障害逸失利益を預金したり運用したりすることで生じる利益を差し引くための数値です。

ライプニッツ係数は、基本的に症状固定時〜67歳までの年数に応じたものを用います。
具体的な数値は、「就労可能年数とライプ二通係数表」(国土交通省)をご覧ください。

死亡逸失利益の計算方法

死亡逸失利益の計算式は、次の通りです。

死亡逸失利益=年収×(1‐生活費控除率)×死亡により就労できなくなった年数に対するライプニッツ係数

生活費控除率とは、交通事故により被害者が死亡しなければ得られていたであろう将来の収入から、被害者ご本人が消費したであろう金額を差し引くためのものです。

生活費控除率は、次のようになっています。

一家の支柱
(扶養家族1人)
40%
一家の支柱
(扶養家族2人以上)
40%
女性30%
男性50%

示談金相場がわかる計算方法|慰謝料・休業損害

つづいて、慰謝料・休業損害の計算方法です。
慰謝料・休業損害には3つの金額基準があり、金額基準ごとにそれぞれ計算方法があります。
まずは3つの金額基準がどのようなものなのか解説し、それぞれの計算方法を紹介していきます。

慰謝料・休業損害には3つの金額基準がある

交通事故の示談金のうち、慰謝料や休業損害の算定では、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判基準)」という3つの金額基準が用いられます。3つの金額基準の中で、最も高額で妥当な金額なのは弁護士基準です。

慰謝料金額相場の3基準比較

自賠責基準とは

自賠責基準とは、加害者側自賠責保険から支払われる賠償金額の基準です。

自賠責保険は交通事故の被害者に対し、最低限の補償を行う役割を担っています。そのため、自賠責基準の金額は「被害者が受け取れる最低限の金額」となっています。

自賠責基準の計算方法・金額基準は国によって決められているので、保険会社によって金額が違うということはなく、交渉によって金額を変えることもできません。

なお、実際の支払いでは、加害者側の任意保険会社が自賠責保険の支払分もまとめて一括で支払うことがほとんどです。

任意保険基準とは

任意保険基準とは、加害者側の任意保険会社が計算する賠償金の金額基準のことを指します。
簡単に言うと、示談交渉のときに加害者側の任意保険会社が提示してくる金額です。

任意保険会社は、示談交渉で決まった金額のうち、自賠責保険では支払い切れない部分を支払います。

任意の自動車保険と自賠責保険の関係

任意保険基準での計算方法・金額基準は、各保険会社ごとに異なり非公開です。そのため、このあとの慰謝料・休業損害の計算方法紹介では割愛します。

ただし、目安としては自賠責保険基準と同等か、少し上乗せした程度であることが多いので、自賠責保険基準の金額を参考にしてみてください。

弁護士基準(裁判基準)とは

弁護士基準とは、弁護士や裁判所が賠償金を計算する際に用いる金額基準です。

この金額は、過去の判例をもとに決められています。そのため、3基準の中では最も高額で、最も妥当な金額といえます。

この金額基準は「弁護士基準」と言うだけあって、弁護士が主張しなければ加害者側に受け入れられない可能性が高いです。

入通院慰謝料の相場がわかる計算方法

自賠責基準の場合|日額から計算

入通院慰謝料は、自賠責基準の場合次のような計算式で求められます。

日額×入通院日数
※入通院日数は、次のうち少ない方を採用

  1. 治療期間
    ※治療期間とは、一番最初に病院を受診した日~治療終了までの期間をさします。
  2. 実際に治療した日数×2

日額は、2020年3月31日までに起きた事故なのか2020年4月1日以降に起きた事故なのかによって変わるのでご注意ください。

2020/3/31まで4200円
2020/4/1以降4300円

弁護士基準の場合|治療日数ごとに金額が設定されている

弁護士基準では、「入通院慰謝料算定表」という表を用いて、入通院慰謝料の金額が算定されます。

入通院慰謝料算定表には、軽傷の場合に用いるものと重傷の場合に用いるものの2種類があり、それぞれ次の通りです。

軽傷の場合

むちうちのような軽傷で、レントゲン写真やMRI画像に異常が写らない場合に用いる

軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表

重傷用

レントゲン写真やMRI画像に異常が写る場合に用いる

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

表は、入院日数と通院期間が交わる部分を見ます。
入院7日、通院3ヶ月というように端数が出る場合は、次のように計算します。

《軽症で入院7日、通院3ヶ月の場合》
入院0ヶ月、通院3ヶ月の慰謝料は53万円。
入院1ヶ月、通院3ヶ月の慰謝料は83万円。
したがって、入院7日、通院3ヶ月の慰謝料は次のようになる。
53万円+{(83万円−53万円)÷30日×7日}=60万円

後遺障害慰謝料の相場一覧表

後遺障害慰謝料の金額は、後遺障害等級ごとに決められています。自賠責基準と弁護士基準の金額をまとめた一覧表は、以下の通りです。

等級 自賠責*弁護士
1級・要介護1,650
(1,600)
2,800
2級・要介護1,203
(1,163)
2,370
1級1,150
(1,100)
2,800
2級998 (958)2,370
3級861 (829)1,990
4級737 (712)1,670
5級618 (599)1,400
6級512 (498)1,180
7級419 (409)1,000
8級331 (324)830
9級249 (245)690
10級190 (187)550
11級136 (135)420
12級94 (93)290
13級57 (57)180
14級32 (32)110

※単位:万円
※()内は2020年3月31日以前の事故に対するもの

ご自分の後遺症がどの等級に当てはまるのかわからない場合は、『【症状別】交通事故慰謝料相場』をご覧ください。
症状別に相場を紹介しています。

また、後遺障害等級ごとの認定基準は『後遺障害等級の一覧表|認定基準と認定の流れ』にて確認可能です。
どのような条件を満たせば後遺障害何級に認定されるのか、症状別に紹介しています。これから後遺障害等級認定を受ける場合は、目指す等級を確認するための参考にしてみてください。

死亡慰謝料の相場一覧表

自賠責基準の場合

自賠責基準の場合、死亡慰謝料は被害者ご本人分とご遺族分(請求者)それぞれについて金額が決まっています。
本人分の金額に、ご遺族の人数に応じた金額を足すのです。

本人分350万円
(2020年4月1日以降の事故であれば400万円)
請求者1名の場合550万円
請求者2名の場合650万円
請求者3名以上の場合750万円

被害者に被扶養者がいるときは、上記+200万円となります。

弁護士基準の場合

弁護士基準の場合、死亡慰謝料の金額は次の通りです。

一家の支柱2800万円
母親・配偶者2500万円
その他2000万~2500万円

弁護士基準の場合は、上記の金額にあらかじめご遺族分の金額も含まれています。

ただし一家の支柱については、扶養家族を3人程度と想定した金額になっています。そのため、扶養家族が多い場合は金額が増える場合があります。

休業損害の計算方法|日額または実際の収入から計算

自賠責基準では日額から計算

自賠責基準では、休業損害は次のように計算されます。

日額×休業日数

日額は、2020年3月31日までに起きた事故なのか2020年4月1日以降に起きた事故なのかによって変わります。

2020/3/31まで5700円
2020/4/1以降6100円

専業主婦(主夫)でも、日額は5700円または6100円で計算されます。

日額が5700円または6100円だと、実際の1日あたりの収入よりも少ないという方もいるでしょう。そのような場合は、不足分を資料により立証できれば日額19000円を限度に請求できます。

弁護士基準では実際の収入から計算

弁護士基準の場合、休業損害は次のように計算します。

日額×休業日数

日額は実際の収入をもとに算定されますが、具体的な計算方法は被害者の職業によって変わります。

サラリーマン事故前3ヶ月の収入÷3ヶ月間の実労働日数
自営業者事故前年の所得÷1年間の実労働日数
主婦女性の全年齢平均賃金(約1万円)

自営業の方は、確定申告で申告している所得を計算で用います。
実際の年収よりも低めに申告している場合や、確定申告をしていない場合には、帳簿など所得を証明できる資料が必要です。

ただし、そうした資料があっても、どの程度実際の所得に近い金額での計算が認められるかは加害者側との示談交渉次第です。

その他、会社役員や学生、無職者の休業損害の計算方法は『交通事故の休業損害は職業別に計算方法がある』で解説しています。

モデルケースの示談金相場を費目ごとに試算!

ここからは、2つのケースにおける示談金額を弁護士基準で計算してみます。
費目ごとの金額がわかるので、示談金の相場観をつかむのに役立つでしょう。

ケース(1)追突事故によるむちうちでしびれ・腰痛

  • 被害者
    30歳の会社員
  • 事故状況
    自動車乗車中に交差点で信号待ちをしていたところ、後ろから別の自動車に追突された
  • 治療
    通院6ヶ月(180日)、通院日数は80日
  • 治療関係費
    治療費60万円、通院交通費3万円
  • 収入・休業日数
    年収400万円、月収26万円(月20日勤務)、休業日数20日
  • 後遺障害
    むちうちにより強い痺れ・腰痛が残り、後遺障害14級

このケースにおける示談金相場は、弁護士基準で以下の通りです。

  • 治療費:60万円(実費)
  • 通院交通費:3万円(実費)
  • 入通院慰謝料:89万円
  • 休業損害
    休業損害は1日あたり13,000円
    20日間仕事を休んだので13,000円×20=26万円
  • 後遺障害慰謝料(14級)
    110万円
  • 後遺障害逸失利益:100万円
    事故前の年収は400万円
    後遺障害14級の労働能力喪失率は5%
    むちうちの労働能力喪失期間は5年が目安
    400 ×0.05 ×4.58 = 100万円

治療費、通院交通費、入通院慰謝料、休業損害、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益の合計は388万円です。

このほか、車両の修理費や後遺障害診断書などの文書作成費用も請求できます。

このケースのような追突事故・むちうちについては、以下の記事で詳しく解説しているので、合わせてご確認ください。

ケース(2)歩いていて自動車に追突された死亡事故

  • 被害者
    歩道を歩いていた主婦、47歳
  • 事故状況
    自動車にひかれた
  • 治療
    病院にて懸命の治療を受けたが、1ヶ月も生死の境をさまよい、死亡
    入院の間、家族が付き添い看護をした
  • 家族構成
    被害者は専業主婦で、夫・子との3人家族

このケースで弁護士基準にのっとり示談金相場を計算すると、以下のようになります。

  • 治療費:30万円
  • 入院付き添い看護費:6,500円×30日=19万5,000円
  • 入院雑費:1,500円×30日=4万5,000円
  • 入通院慰謝料:弁護士基準による入院1ヶ月:28万円
  • 死亡慰謝料:母親・配偶者につき:2,500万円
  • 死亡逸失利益:4,041万円
    賃金センサスより主婦年収:約388万円
    生活費控除率:30%
    労働能力喪失期間のライプニッツ係数:14.88
  • 葬儀費用:150万円

治療費、入院付き添い看護費、入院雑費、入通院慰謝料、死亡慰謝料、死亡逸失利益、葬儀費用の合計は6,773万円です。

なお、慰謝料は、長い間生死の境をさまうことによる、被害者・遺族の多大な精神的苦痛を考慮して通常よりも増額される可能性があります。

上記のような事例以外にも、怪我の程度や症状ごとの慰謝料相場額について詳しく知りたい方は『交通事故の慰謝料相場|事故別にわかるリアルな金額』の記事を確認してください。

交通事故の示談金交渉の注意点3つ

交通事故の示談金は、示談交渉によってその金額が決められます。
つまり、示談交渉次第で示談金額は相場通りにもなりうるし、相場よりも高くなったり低くなったりする可能性もあるのです。
そこでここからは、示談交渉の際に気を付けなければならないポイントを3つご紹介します。

(1)損害賠償請求権には時効がある

交通事故の示談金額を決める示談交渉そのものには時効はありません。しかし、被害者側が加害者側に賠償請求できる期間には時効があるので、注意しなくてはなりません。

交通事故で加害者側に損害賠償金の請求ができる期間は、次の通りです。

人身事故
(後遺障害なし)
事故発生日~3年間
人身事故
(後遺障害あり)
完治または症状固定日(※)~3年間
死亡事故死亡日~3年間
加害者不明事故日~20年間
(加害者が判明したらその日~3年間)

※症状固定とは、ケガがこれ以上治療しても大幅な改善は見込めないと判断されること

2020年3月31日までは上記の時効が適用されます。しかし、2020年4月1日の時点で時効が成立していないものについては、民法改正により「3年」となっている部分が「5年」になりますのでご注意ください。

交通事故の示談交渉をするときは、この時効が成立するまでに示談を成立させる必要があります。

(2)加害者側が提示する示談金額は相場以下

示談交渉は基本的に、相手方任意保険会社からの示談金提示で始まります。
このとき加害者側の任意保険会社が提示する金額は、弁護士基準の金額に比べて3分の1~半分程度でしかないことが多いです。

よって、提示された示談金額を鵜呑みにせず、増額交渉を行うことが重要です。
示談は一度成立してしまうと基本的に再交渉や追加の賠償請求はできないので、少しでも不安や疑問があれば、弁護士に相談してください。

とくに大きな事故では、相手方の提示額でも何千万円~何億円というように高額になります。
金額そのものは大きいので十分な金額だと思ってしまう被害者もいますが、大きな事故の示談金として考えると決して十分ではない可能性が高いので、注意しましょう。

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(3)過失割合が示談金額を左右する

交通事故の示談金においては、「過失割合」にも注意しなくてはなりません。

過失割合とは、交通事故が起きた原因が加害者と被害者それぞれにどれだけあるかを割合で示したもので、事故当時の状況をもとに算出されます。

多くの事故の場合、過失割合は被害者にもつきます。過失割合がつくと、その過失分受け取れる示談金が減額されてしまうので注意が必要です。

加害者側の任意保険会社は、客観的な資料を確認することなく、加害者に有利な情報のみをもとに過失割合を導き出していることがあります。

そのため、示談金額だけではなく過失割合も、提示されたものを鵜呑みにするのではなく、一度弁護士に相談することをおすすめします。

示談金増額のコツは弁護士に相談すること

加害者側の任意保険会社から提示された金額を増額させたり、被害者に不利な過失割合を訂正させたりするためのコツは、弁護士に相談することです。

そこでここでは、弁護士に相談すべき理由や費用の心配なく弁護士に相談する方法を解説していきます。

示談金増額のために弁護士が必要な理由3つ

交通事故の示談金をより多く獲得するために弁護士に相談・依頼をすべき理由は、次の3つです。

  1. 適切な示談金額を計算してもらえる
  2. 被害者側の主張が通りやすくなる
  3. 粘り強い交渉が可能になる

(1)適切な示談金額を計算してもらえる

弁護士に示談金に関する相談・依頼をすると、正しい示談金額を計算してもらえます。
正しい示談金額とは、弁護士基準による示談金額に事故の個別的な事情を反映させて、適切に増額・減額したものです。

弁護士基準での金額を計算するだけなら、この記事で紹介した示談金計算機を使えば簡単にできます。しかし、示談金の細かい増額・減額については弁護士でないと判断できません。

示談交渉では、やみくもに増額を求めても聞き入れてもらえる可能性は低いです。
弁護士に示談金額を計算してもらい、目指すべき金額を明確にすることが大切です。

なお、相場以上の慰謝料獲得が見込めるケースは『交通事故の慰謝料|相場や計算方法など疑問の総まとめ』で一部紹介しているので、確認してみてください。

(2)被害者側の主張が通りやすくなる

示談交渉では、被害者自身がいくら正しい主張をしても、加害者側の任意保険会社に受け入れられにくい傾向にあります。

示談交渉の経験は基本的に被害者よりも加害者側の任意保険会社の方が上であるため、交渉の主導権を握られてしまう傾向にあるのです。

特に弁護士基準の金額は、「弁護士基準」と呼ばれるだけあって弁護士が主張しないと聞き入れてもらいにくいのが現実です。

弁護士を立てずに示談交渉を行った場合、加害者側の任意保険会社の提示額に近い金額になってしまう傾向にあるため、より多くの示談金を獲得するためには弁護士の力を借りることが必要です。

(3)粘り強い交渉が可能になる

より多くの示談金を獲得するためには、粘り強く交渉を続けることが必要な場合もあります。しかし、粘り強い交渉は被害者にとって負担になることも事実です。

仕事や家事・育児の合間に何度も相手方保険会社から電話がかかってきたり、相手方保険会社が高圧的態度をとってきたりすることがあるからです。

しかし、弁護士なら以下の点から、被害者の負担を大幅に軽減しつつ、粘り強く効果的に交渉を行えます。

  • 相手方とのやり取りはすべて弁護士が行う
  • 増額の余地がある費目とそうでない費目を適切に判断し、ポイントを絞って効果的に交渉できる
  • 示談交渉以外にも、示談交渉に向けたもろもろの準備・手続き、示談書の作成を任せられる
  • 示談がまとまらず裁判になった場合でも安心

示談交渉を弁護士に相談するなら早めがおすすめ

弁護士への相談タイミングに決まりはありません。相手方から示談金の提示を受けたタイミングはもちろん、それよりもっと前でも示談が始まってからでも可能です。
ただし、以下の点には注意してください。

  • 相談は早ければ早いほど、効果的かつ多様なサポートを受けられる
  • ケガの有無・状態がわかっている必要があるので、弁護士相談よりも先に病院で診察を受ける
  • 示談成立後のご相談は難しい可能性が高い

一般的な示談開始のタイミング

人身事故
(後遺障害なし)
ケガの完治以降
人身事故
(後遺障害あり)
後遺障害等級認定以降
死亡事故四十九日の法要以降

示談開始前の治療段階でも、治療費や休業損害の打ち切りなどの問題が多々みられますし、後遺症が残れば慰謝料額を左右する「後遺障害等級認定」の申請をしなければなりません。

弁護士が早い段階でついていれば、治療段階でのトラブルや後遺障害等級認定にも対応できるので、相談タイミングはできるだけ早いことが望ましいです。

遅くとも、示談成立前には一度、弁護士に相談することをおすすめします。
示談が成立すると、原則として再交渉や追加の示談金請求はできません。そのため、念には念を入れ、専門家である弁護士に確認をとることが非常に重要なのです。

アトム法律事務所では無料相談を行っているので、ぜひご利用ください。

弁護士費用が不安な方も安心できる相談方法

弁護士に相談・依頼するにあたって心配なのが、費用でしょう。

実は、弁護士費用特約という特約を使うと、被害者ご自身が加入している保険会社に弁護士費用を負担してもらえます。
弁護士費用特約について詳しくは、『交通事故の弁護士費用特約とは?』をご確認ください。

また、アトム法律事務所では電話やLINEでの無料相談も受け付けています。弁護士費用特約に加入していない方、忙しくて弁護士事務所での相談が難しい方、弁護士相談は敷居が高いと感じている方にも、お気軽にご利用いただけます。

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まとめ

適切な金額を獲得するためには、示談交渉を弁護士に代理してもらうことが重要です。弁護士費用特約や無料弁護士相談を利用すると、費用を抑えることができます。
まずは気軽に、悩みや疑問をお聞かせください。

代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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