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新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。
過失相殺とは、交通事故における被害者側の過失分、慰謝料や損害賠償金が減額されることであり、完全なるもらい事故を除いて、多くの場合適用されます。
過失相殺の基本的な計算自体は単純ですが、労災保険や健康保険を利用した場合は少し特殊な計算となるので、どちらも解説していきます。
過失相殺による減額を減らす方法としては、示談交渉により被害者側の過失割合を減らす、損害賠償請求の方法を工夫する、被害者自身の保険を利用するといったものがあるので、これについても確認していきましょう。
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まずは過失割合とはどういうものなのか、過失割合による損害賠償金の減額はどのように計算されるのかなど、基本的なことを確認していきましょう。
過失相殺とは、被害者側に過失割合が付いた場合に、その割合分、慰謝料・損害賠償金を減額することです。過失割合とは交通事故が起きた責任が加害者と被害者それぞれにどの程度あるかを割合で示したものです。
交通事故の中には、100%加害者が悪いとは言い切れないものもあります。たとえば被害者の飛び出しや信号無視が原因で交通事故が起きた場合、被害者側の責任が全く考慮されず、加害者が慰謝料・損害賠償金を全額支払うのは公平ではありません。
過失相殺は、そうした不公平を解消し、損害を公平に分担させるためのものなのです。
なお、交通事故のような不法行為による損害賠償責任や過失相殺については、民法第709条・第722条2項に記載されています。
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
民法第709条
被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。
民法第722条2項
過失相殺による慰謝料・損害賠償金の減額は以下のように計算されます。
過失相殺後の慰謝料・損害賠償額
=もともとの慰謝料・損害賠償額×(100%-被害者側の過失割合)
以下の状況を例に、過失相殺の計算をしてみましょう。
上記の場合、基本的な過失割合はバイク:自動車=65:35なので、自動車側の請求額を過失相殺すると、以下の通りです。
200万円×(100%-35%)=130万円
交通事故では、加害者が被害者に対して車の修理費や治療費を請求することもあります。
たとえば、上の例で、バイク(加害者)側も自動車(被害者)側に50万円の損害賠償金を請求していた場合、被害者の受取額は以下のようになります。
被害者は、加害者から130万円受け取る一方、加害者に17万5000円支払わなければならない。よって、被害者が得られる慰謝料・損害賠償金は、実質112万5000円。
上記のように、加害者から損害賠償請求されている場合は、結果的に過失相殺適用後の金額よりもさらに低い金額しか獲得できないので注意しましょう。
過失相殺の基準となる過失割合は、事故発生時の事実関係をもとに、基本的には示談交渉にて加害者側と被害者側が話し合いをして決めます。参考にするのは、「別冊判例タイムズ38」というさまざまな事故類型とその過失割合を記載した本です。
具体的な決め方は以下の通りです。
ただし、加害者側の任意保険会社は被害者の過失割合を多めに算定する傾向にあります。また、修正要素によってどれくらい過失割合を増減させるかは算定者の裁量次第となることも多いので、過失割合には明確な正解がありません。
そのため、示談交渉では非常にもめやすい項目のひとつです。
必要以上に過失相殺されてしまわないためにも、専門家である弁護士に過失割合を算定してもらい、示談交渉で主張してもらうことが重要です。
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この章のまとめ
過失相殺の基本については前の章で解説しましたが、ほかにも知っておくべきポイントがあります。知らずにいると損してしまうこともあるので、しっかり確認していきましょう。
交通事故の治療費は基本的に加害者側の任意保険会社が負担しますが、労災保険や健康保険から治療費が支払われることもあります。この場合に加害者側から支払われるのは、労災・健康保険から支払われた治療費を差引いた慰謝料・損害賠償金です。
加害者側から支払われる慰謝料・損害賠償金
=慰謝料・損害賠償金全体の金額-労災・健康保険から支払われた治療費
この場合も過失相殺が適用されますが、労災保険を利用したのか健康保険を利用したのかによって過失相殺の方法が異なるので、確認していきましょう。
労災保険から治療費を支払ってもらった場合、過失相殺は「控除前相殺」の形で適用されます。
控除前相殺における過失相殺の方法は、以下の通りです。
加害者側から支払われる慰謝料・損害賠償金
=(慰謝料・損害賠償金全体の金額×過失相殺)-労災・健康保険から支払われた治療費
たとえばもともとの慰謝料・損害賠償額が100万円、労災から支払われた治療費が20万円、被害者の過失割合が20%だった場合、過失相殺は以下のように行われるのです。
健康保険から治療費を支払ってもらった場合、過失相殺は「控除後相殺」の形で適用されます。
控除後相殺における過失相殺の方法は、以下の通りです。
加害者側から支払われる慰謝料・損害賠償金
=(慰謝料・損害賠償金全体の金額-労災・健康保険から支払われた治療費)×過失相殺
たとえばもともとの慰謝料・損害賠償額が100万円、健康保険から支払われた治療費が20万円、被害者の過失割合が20%だった場合、過失相殺は以下のように行われるのです。
過失割合は基本的に、90:10、80:20のように、加害者側と被害者側の割合を足して100%になりますが、中には90:0、80:0のように足しても100%にならないことがあります。
これが、「片側賠償」です。
片側賠償は、過失割合100:0にしたい被害者と、90:10や80:20にしたい加害者との妥協案として採用されることが多いです。
例えば片側賠償で過失割合が90:0になると、被害者と加害者双方にとって以下のようなメリットが生れます。
加害者から大きな金額を請求され、過失割合100:0にするのが難しそうな場合は、片側賠償を狙うという戦略もあります。
ただし、片側賠償は例外的なものなので、専門知識のない被害者が主張しても聞き入れてもらえない可能性が高いです。事前に弁護士に相談しておくことをおすすめします。
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交通事故の慰謝料・損害賠償金は、過失相殺以外にも素因減額・損益相殺によって減額されることがあるので注意しましょう。
素因減額とは、被害者がもともと持つ身体的特徴や性格・心理的傾向が被害額の増大につながった場合に、その分を慰謝料・損害賠償金から減額することです。
素因減額には身体的素因減額と心因的素因減額があり、それぞれ以下のような場合に適用されます。
以下は、身体的素因減額が適用された裁判例です。
(略)原告B1に脊髄の圧迫による神経症状が発生したこと(略)重篤なものとなったことについては、原告B1に本件事故前から広範囲にわたる脊柱管狭窄(略)等の既往があったことが大きく影響しているものと認められるから(略)40%の素因減額をするのが相当である。
東京地方裁判所 平成26年(ワ)第30124号
ただし、素因減額は本当に適用すべきなのか、適用したとしてどれくらい減額すべきなのかについて、示談交渉で問題になりやすいです。
加害者側は素因減額によって慰謝料・損害賠償額を減らしたいと思っているので、素因減額を主張されても鵜呑みにせず、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
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損益相殺とは、加害者からの慰謝料・損害賠償金を受け取る前に、労災保険や健康保険などから同じ意味合いを持つ保険金を受け取っていた場合に、重複分の金額を差し引くことです。
たとえばすでに労災保険や健康保険から治療費を支払ってもらっていた場合、加害者側から支払われる慰謝料・損害賠償金からその金額が差し引かれます。
ただし、差引かれた金額は労災保険や健康保険から加害者に請求されるので、加害者が負担する金額が減るわけではありません。
この章のまとめ
たとえ被害者であっても、過失割合が40%、50%、あるいはそれ以上ついてしまうこともあります。この場合、受け取れる慰謝料・損害賠償額が大幅に減ってしまいますが、過失相殺による減額をカバーする方法があるので確認していきましょう。
人身傷害保険は被害者が加入する自動車保険のひとつで、被保険者やその家族が交通事故で死傷した場合、設定金額を上限に実損害額を受け取れます。
この際、過失相殺は適用されないので、被害者側の過失割合が大きい場合は人身傷害保険から保険金を受け取った方がお得な可能性があります。
なお、人身傷害保険の利用によって保険の等級が下がることはありません。
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被害者請求とは、慰謝料・損害賠償金の一部を加害者側の自賠責保険会社から受け取ることです。
交通事故の慰謝料・損害賠償金は、加害者側の任意保険と自賠責保険から支払われますが、一般的にはすべてまとめて任意保険会社から受け取ります。しかし、被害者請求という手続きをすれば、自賠責保険の支払い分は自賠責保険会社から受け取れるのです。
自賠責保険会社から直接受け取る慰謝料・損害賠償金に対して適用される過失相殺は、通常よりも軽くなっています。
表1|傷害分に対する過失相殺
傷害分とは治療関係費・入通院慰謝料・休業損害のこと。
被害者の 過失割合 | 過失相殺 |
---|---|
7割未満 | 過失相殺なし |
7割以上10割未満 | 2割減額 |
表2|後遺障害分・死亡分に対する過失相殺
後遺障害分とは後遺障害慰謝料・後遺障害逸失利益のこと。死亡分とは死亡慰謝料・死亡逸失利益・葬祭関係費のこと。
被害者の 過失割合 | 過失相殺 |
---|---|
7割未満 | 過失相殺なし |
7割以上8割未満 | 2割減額 |
8割以上9割未満 | 3割減額 |
9割以上10割未満 | 5割減額 |
被害者の過失割合が大きい場合は、被害者請求により慰謝料・損害賠償金の一部を自賠責保険会社から受け取った方が、過失相殺の影響が少なく済むのです。
そもそも、被害者側の過失割合が減れば、その分過失相殺による減額幅も小さくなります。そのためには、示談交渉で加害者側に交渉しなければなりません。
当然、被害者側の過失割合を減らすべき根拠が必要ですが、それだけでなく、交渉技術や専門知識も必要です。
詳しくは、この記事の最後の章「過失相殺を弁護士に相談すべき理由」にて解説しています。
この章のまとめ
以下の方法を使えば、過失相殺による減額をおさえられる
交通事故には、家族や知人の車に同乗していて被害に遭うケース、子供が被害に遭うケース、ペットが被害に遭うケース、相手方と直接ぶつかったわけではないケースなどさまざまあります。
こうした場合にも過失相殺が適用されることがあるので、確認しておきましょう。
家族や友人・知人の車に乗せてもらっていて交通事故に遭った場合、基本的に過失割合は運転者につきますが、以下の場合には事故当事者の一人である同乗者にも過失割合がつく可能性があります。
被害者が子供だった場合、判断能力が未熟であることを考慮して、13歳未満であれば過失割合が減らされます。しかし、過失割合が付かないわけではありません。
ただし、子供に危険を察知する判断能力(事理弁識能力)があるかどうかにより具体的な扱いは異なります。
事理弁識能力 | 過失割合の扱い |
---|---|
あり | 子供自身の過失とされる。 |
なし | 子供ではなく保護監督者の過失とされる。 |
事理弁識能力は、一般的には7歳前後で身に付くと考えられます。
交通事故でペットが被害を受けた場合、物損として治療費を加害者側に請求可能です。ただし、保護監督責任を持つ飼い主に対して過失割合がつき、過失相殺が適用されることもあります。
前方にいた車や人との接触を避けようとした結果、転倒したというような非接触事故の場合でも、以下のような過失が認められれば、被害者側に過失割合がつきます。
この章のまとめ
以下の場合も、過失相殺が適用される可能性がある
示談交渉にて過失相殺について話し合う場合は、弁護士を立てることがおすすめです。その理由と、弁護士費用の負担を軽くできる方法を紹介していきます。
過失相殺による慰謝料・損害賠償金の減額は、決して侮れません。過失割合が10%でもついてしまうと、慰謝料・損害賠償金が100万円なら10万円、200万円なら20万円、それ以上ならもっと大きな金額が減ってしまいます。
これは逆の言い方をすると、過失割合を10%でも減らせれば、受け取れる金額がそれだけ増えるということでもあります。
加害者側の任意保険会社は被害者の過失割合を多めに見積もっていることが多いので、適正な過失割合に訂正して、不当な減額を防ぎましょう。
示談交渉では日々さまざまな被害者・弁護士と示談交渉を行う任意保険会社が相手だからこそ、交渉のプロである弁護士を立てることが重要です。
すでに解説したように、過失割合には明確な正解がありません。そのため、専門知識や過去の事例をもとに正しい過失割合を主張していかなければなりません。
加害者側の任意保険会社は日々示談交渉をする中で、専門知識や過去の事例に関する情報を得ています。そのため、被害者はこの点において不利だと言わざるをえません。
だからこそ、専門知識を持ち、過失割合について交渉してきた経験が豊富な弁護士を立てることが非常に大切です。
弁護士への相談・依頼の際にネックになるのが弁護士費用ですが、アトム法律事務所では、弁護士費用の負担を軽減するため以下の料金体制をとっています。
弁特 | 料金 |
---|---|
あり | 被害者加入の保険会社が弁護士費用を負担。 よって、弁護士費用は実質無料。 |
なし | 相談料・着手金無料。 成功報酬は獲得示談金の10%+20万円。 成功報酬は獲得示談金から支払えるので、自費で用意するお金は0円。 |
弁特とは弁護士費用特約のこと
弁護士費用特約とは、被害者が加入する自動車保険や火災保険、クレジットカードの保険などについている特約です。詳しくは『交通事故の弁護士費用特約とは?加入なしでも大丈夫?使い方とメリット&デメリット』をご覧ください。
これを使えば弁護士費用は実質無料ですが、使えなくてもアトムなら自己負担金0円で利用ができます。
まずは電話またはLINEから、無料相談をご利用ください。ご相談は、早めの方が余裕を持ったアドバイス・サポートが可能になります。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
英語:TOEIC925点
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