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交通事故の過失割合9対0とは?過失相殺の計算例やメリット・デメリットもご紹介

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過失割合9対0 メリットデメリット

新たに改正民法が施行されました。交通事故の損害賠償請求権に関するルールに変更があります。

過失割合は、10対0、9対1、8対2のように、加害者側と被害者側の割合を足して10になるのが基本です。しかし、中には9対0のように、足しても10にならないことがあります。

過失割合9対0は一見奇妙に感じるかもしれません。しかしこれは、過失割合10対0(加害者が10)を主張しているが、示談交渉がうまくいかず9対1になりそうだという被害者の方に、ぜひ知っておいていただきたいお話です。
そこでこの記事では、次のことを解説していきます。

  • 過失割合9対0の仕組み
  • 過失割合9対0のメリット・デメリット

過失割合9対0について知っておくことで、受け取れる慰謝料・賠償金を増額させられたり、示談交渉を早く終わらせたりできることもありますので、ぜひご確認ください。

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まずは過失割合の基本知識をおさえよう

過失割合9対0について見ていくにあたり、まずは過失割合とは何か、過失割合が損害賠償金にどのような影響を及ぼすのかについて解説していきます。
ここを理解しておけば過失割合9対0についての解説がわかりやすくなるので、まだ知らない方はここから読むことをおすすめします。

過失割合について基本的なことは知っているという方は、さっそく次の章「過失割合が9対0とはどういうこと?」に進んでください。

過失割合とは、当事者双方の責任を示すもの

過失割合とは、交通事故が起きた責任が、当事者双方にそれぞれどれくらいあるかを割合で示したものです。
過失割合は、事故発生時の状況を基準にして決められます。事故発生時の状況は、ドライブレコーダーや防犯カメラに映った映像、事故当事者・目撃者の証言、警察が作成した実況見分調書などから確認します。

過失割合を決める具体的な流れは次の通りです。

  1. 『別冊判例タイムズ38 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準全訂5版』(東京地裁民事交通訴訟研究会)などを参照し、事故類型に応じた基本の過失割合を確認する。
  2. 「基本の過失割合」に、修正要素を反映していく。

基本の過失割合は、交差点の出会い頭での直進車同士の事故、横断歩道での歩行者と自転車の衝突事故、自動車同士の追突事故など、事故の類型ごとにおおよそ決まっています。

修正要素とは、飛び出しはあったのかなかったのか、速度違反はあったのかなどの細かい事情のことを指し、修正要素に応じて基本の過失割合が調整されていきます。

過失割合に関する詳細や事例は、『交通事故の過失割合|事故タイプ別事例集と保険会社との示談交渉で失敗しないコツ』をご覧ください。

過失割合は慰謝料・損害賠償金額に影響する

被害者にも過失割合がついた場合、受け取れる慰謝料・賠償金はその割合分、減額されてしまいます。

たとえば過失割合が8対2(加害者が8)だった場合、被害者が加害者から受け取れる賠償金は2割減額、つまり8割のみです。このことを、過失相殺といいます。
同じ過失割合でも、慰謝料や損害賠償額が高額である方が、より影響が大きいと言えます。

過失相殺の計算例や、過失相殺による減額分をカバーしたりおさえたりする方法については、以下の関連記事をご覧ください。

関連記事

過失相殺とは|慰謝料が減額される!減額をおさえる方法3つも紹介

加害者からの請求額にも過失割合が影響する

交通事故では被害者も加害者から賠償請求されることがありますが、その場合は請求された金額のうち、過失割合分を支払わなければなりません。

過失割合が8対2(加害者が8)だった場合、被害者は相手方から請求された金額のうち2割を支払わなければならないのです。

過失割合のポイント

被害者にも過失割合がついたら…

  • 慰謝料・損害賠償金が、被害者の過失割合分減額される
  • 加害者に請求された金額のうち、被害者の過失割合分を支払わなければならない

上記のことを踏まえたうえで、過失割合9対0について見ていきましょう。

過失割合が9対0とはどういうこと?

過失割合9対0は、「片側賠償」と呼ばれます。一体どういうことなのか、どのような場合に片側賠償になるのか、詳しく見ていきましょう。

9対0とは「片側賠償」のこと

過失割合9対0のように、加害者側と被害者側の割合を足しても10にならないことを「片側賠償」または「片賠(かたばい・へんばい)」といいます。
片側賠償には9対0の他に、8対0や7対0などもあります。

初めて9対0のような過失割合を見た時には、「本当に大丈夫なの?」「そんな過失割合でもいいの?」と疑問に思うかもしれません。しかし実際に示談交渉の結果、片側賠償になるケースはありますし、片側賠償にすることでメリットが生じる場合もあります。

片側賠償のメリットは後ほど解説するので、まずはどのような場合に片側賠償になるのか、確認しておきましょう。

過失割合9対0になる仕組み|どんな時に片側賠償になる?

過失割合9対0のような片側賠償になるのは、どうしても被害者側と加害者側との間で過失割合の合意が取れない場合です。

例えば加害者側が過失割合9対1(加害者側が9)を主張していて、被害者側が過失割合10対0(加害者が10)を主張していたとします。

この場合、通常は話し合いのうえ9対1、10対0どちらかになることが多いのですが、双方が一切譲歩せずらちが明かない場合には、折衷案として過失割合9対0になることがあるのです。

もう少しかみ砕いて解説すると、次のようになります。

1.示談交渉で過失割合について話し合う

  • 加害者側の主張:過失割合9対1にして、加害者が支払う賠償金を9割だけにし、被害者が支払う賠償金を1割にしたい。
  • 被害者側の主張:過失割合10対0にして、加害者が支払う賠償金を10割にし、被害者が支払う賠償金を0割(つまりなし)にしたい。

2.加害者側も被害者側も譲歩せず交渉がまとまらないので、折衷案として過失割合9対0にする。その結果、次のようになる。

  • 加害者は、被害者に支払う賠償金が9割だけで良い代わりに、被害者から賠償金を支払ってもらえない。
  • 被害者は、加害者から賠償金を9割しか支払ってもらえない代わりに、加害者に賠償金を支払わなくて良い。

このように計算すれば、双方の希望がある程度満たされます。

「被害者に賠償金を1割支払ってもらいたい」という加害者側の主張、「加害者に賠償金を10割支払ってもらいたい」という被害者側の主張は反映されませんが、このまま交渉が長引いて裁判になったり、交渉の末に相手方の主張する過失割合になったりするよりは良い、というところでしょう。

補足|「過失割合9対0=被害者の過失0」ではない!

通常、過失割合10対0(加害者側が10)は被害者の過失0、つまり被害者に過失はないということを示します。
しかし、片側賠償によって過失割合9対0になった場合、それは被害者の過失が0ということではありません。

片側賠償において「被害者側の過失割合0」が意味するのは、「本当は被害者にも過失割合があるけれど、折衷案の採用に伴い加害者が被害者に対する損害賠償請求を放棄したため、被害者が支払う賠償金は0割で良い」ということです。

したがって、過失割合9対0における被害者の過失割合0とは、「被害者にも過失が1割あるが、加害者に支払う賠償金は0割で良い」という意味です。その点をよく理解しておきましょう。

過失割合を9対0にするメリット・デメリット

被害者側と加害者側の主張の折衷案として過失割合を9対0にした場合、具体的にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
被害者側から見たメリットを3つ、デメリットを1つご紹介します。

メリット1.保険の等級が下がらない

過失割合9対0なら、たとえ加害者から賠償請求されていても、支払う金額はそのうち0割、つまりなしです。

過失割合9対1や8対2のように被害者側にも過失割合がつき、その割合分、請求された賠償金を支払うことになると、そのお金は被害者自身の任意保険会社が支払います。

すると保険の等級が下がり、翌年からの保険料が上がってしまうのですが、片側賠償なら加害者に対して支払う賠償金はないため、保険の等級が下がる心配もありません。

メリット2.加害者側と折り合いをつけられる

過失割合で加害者側ともめた場合、交渉が長引いたうえに加害者が主張する過失割合に決まってしまう可能性もあります。

しかし、過失割合について交渉が長引きそうなときに過失割合9対0を提案すると、お互いの主張をある程度反映した案として、加害者側と折り合いをつけられる可能性があります。

その結果、ある程度被害者側の主張も通し、なおかつ早めに、過失割合に関する交渉を終わらせられるのです。

メリット3.任意保険会社に示談交渉してもらえる

被害者にも過失がある場合、ご加入の任意保険による「示談代行サービス」を利用して、保険会社の担当者に示談交渉を代理してもらえます。

過失割合9対0なら、『補足|「過失割合9対0=被害者の過失なし」ではない!』でご説明したように、被害者にも過失が1割あるということになります。
そのため、ご自分の任意保険の担当者に示談交渉を代理してもらうことが可能なのです。

被害者に過失がない場合は、被害者自身の任意保険会社に示談交渉を行ってはもらえません。そのため、被害者自身で示談交渉を行うか、弁護士に交渉の代理を依頼することになります。

示談代行サービスが使えても弁護士を立てた方が良いことも

とくに、過失割合の交渉だけでなく、慰謝料や損害賠償金の増額交渉もしたい場合は、弁護士を立てることがおすすめです。
弁護士を立てることで、裁判を起こした場合と同じくらいの金額獲得が期待できるからです。

弁護士を立てるにあたっては費用が心配されがちですが、弁護士費用特約を利用すれば弁護士費用は実質無料になりますし、相談料・着手金無料の法律事務所もあります。

詳しくは、以下の関連記事をご確認ください。
また、弁護士に相談するメリットについてはこの記事内「過失割合を弁護士に相談するべき理由3つ」でも解説しています。

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デメリット:受け取れる賠償金が減額される

加害者側から受け取れる賠償金額は、示談交渉で決まった金額のうち、加害者側の過失割合分のみです。
つまり、加害者側の過失割合が10割なら示談交渉で決まった金額を全額もらえますが、加害者側の過失割合が9割ならもらえる金額も9割だけ、加害者側の過失割合が8割ならもらえる金額も8割だけです。

過失割合9対0の場合は加害者側の過失割合が9割なので、もらえる賠償金額も示談交渉で決まった金額の9割だけとなります。

ただし、仮に過失割合9対1(加害者が9)となっていたら、被害者はもらえる賠償金額が9割になるうえ、加害者に請求された金額の1割を支払わなければなりません。
そのことを考えると、加害者に支払う金額がなくなるだけでも被害者にとっては良いとも言えます。

過失割合9対0で過失相殺を計算してみよう

過失割合9対0のメリット・デメリットをご説明しましたが、少しイメージがつきにくいかもしれません。
実際に、過失割合9対0で過失相殺してみましょう。状況設定は以下の通りとします。

状況設定

  • 被害者が加害者に請求する金額:300万円
  • 加害者が被害者に請求する金額:50万円

被害者側は過失割合10対0(加害者が10)を主張、加害者側は過失割合9対1(加害者が9)を主張していて、示談交渉の結果過失割合9対0になった。

過失割合9対0のメリット・デメリットがよりわかりやすいよう、過失割合10対0、過失割合9対1の場合の過失相殺も計算してみます。

過失割合9対0の過失相殺計算例

過失割合9対0の場合、過失相殺の計算は次のようになります。

  • 被害者が加害者から支払ってもらえる金額
    300万円×9割=270万円
  • 被害者が加害者に支払う金額
    50万円×0割=0円
  • 過失相殺の結果
    被害者は加害者側から、270万円₋0円=270万円うけとれる。

過失割合9対0のメリット・デメリット」で解説した通り、加害者側から受け取れる賠償金額は少なくなるものの、被害者が加害者に支払う賠償金は0円です。

過失割合10対0の場合と比較計算

もし被害者側の主張を通し続けて過失割合10対0となっていたら、過失相殺は次のようになっていました。

  • 被害者が加害者から支払ってもらえる金額
    300万円×10割=300万円
  • 被害者が加害者に支払う金額
    50万円×0割=0円
  • 過失相殺の結果
    被害者は加害者側から、300万円-0円=300万円受け取れる。

もし被害者側の主張が通っていたら、過失割合9対0のときよりももらえる賠償額が多かったことがわかります。これが、過失割合9対0のデメリットの側面です。

過失割合9対1の場合と比較計算

一方、お互い譲歩せず示談交渉を続けた末、加害者側の主張する「過失割合9対1」になっていた場合はどうなのでしょう。
この場合、過失相殺は次のように行われます。

  • 被害者が加害者から支払ってもらえる金額
    300万円×9割=270万円
  • 被害者が加害者に支払う金額
    50万円×1割=5万円
  • 過失相殺の結果
    被害者は加害者側から270万円-5万円=265万円受け取れる。

この場合は、被害者にも過失割合がつくため、被害者も加害者に対して賠償金を支払わなければなりません。そのため結果的に被害者が受け取れる金額は、過失割合9対0の場合の方が多くなっています。

もし過失割合9対1になりそうなところを9対0に持っていけたら、受け取れる賠償金が増えるということです。
これが、過失割合9対0のメリットの側面です。

過失割合を弁護士に相談するべき理由3つ

過失割合でお困りの場合は、ぜひ弁護士への相談もご検討ください。
過失割合について弁護士に相談することをおすすめする理由には、次の3つがあります。

  • 正しい過失割合を算出してもらえる
  • 賠償金増額の可能性が見込める
  • 片側賠償が適切か判断してもらえる

それぞれについて詳しく解説します。

(1)正しい過失割合を算出してもらえる

過失割合は、示談交渉の際に加害者側の任意保険会社から提示されます。しかし、それは必ずしも正しいとは限りません。

加害者の重大な過失が見落とされていたり、事故当時は赤信号だったのか青信号だったのかという点が間違っていたり、身に覚えのない過失を付けられていたりする可能性があるからです。

しかし、被害者自身では相手方から提示された過失割合が正しいのか、正しくない場合どう訂正すれば良いのか判断することは難しいと言わざるをえません。

過失割合には事故の細かい状況まで反映させなければならないので、機械的には算定できず、過去の判例に関する知識や法的見解などを応用しなければならないからです。

加害者側の任意保険会社から提示された過失割合に不満がある場合には、専門家である弁護士に相談してみてください。

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(2)賠償金増額の可能性が見込める

弁護士に相談し、正しい過失割合を示談交渉で主張してもらうことで、賠償金が増額する可能性もあります。

たとえ加害者側の任意保険会社の提示する過失割合が間違っていても、被害者自身でそれを訂正するのは至難の業です。加害者側の任意保険会社は、被害者の主張を聞き入れない傾向にあるからです。

しかし示談交渉で弁護士を立てれば、加害者側の任意保険会社の態度が軟化し、被害者側の主張が通りやすくなります。

その結果、被害者側の過失割合が減り、受け取れる慰謝料・損害賠償金が増額することもあるのです。

(3)片側賠償ではなく10対0に持ち込める可能性がある

加害者側の任意保険会社との交渉が難航し、折衷案として過失割合9対0で話がまとまりそうという場合でも、弁護士が介入することによって過失割合10対0に持ち込める可能性があります。

片側賠償なら確かに、加害者側の主張する過失割合に決定するよりも受け取れる金額への影響が小さく済みます。しかし、被害者側の主張する過失割合で話がまとまるのであれば、それに越したことはありません。

弁護士から見れば「これなら過失割合9対0ではなく10対0にできる」という場合もあります。示談が成立してしまう前に、ぜひ弁護士にご相談ください。

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弁護士費用特約については『交通事故の弁護士費用特約|加入なしでも大丈夫!利用方法とメリットデメリットを解説』で詳しく解説しています。

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代表弁護士岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点

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