非接触事故(誘因事故)の被害にあったら?立ち去りの対応や過失割合も解説

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非接触事故で被害

「急に飛び出してきた自転車を急ブレーキで避けたら首を痛めた!」
「急に車線変更してきた車を避けてガードレールにぶつかった!」

上記のような、物理的な接触がない交通事故を非接触事故(誘因事故)と呼びます。

非接触事故でも、相手方の運転と損害に因果関係があれば、損害賠償を請求できます
しかし、因果関係の立証が難しいこと、過失割合で非常にもめやすいことには注意しなければなりません。

この記事では、非接触事故にあったときの対応や過失割合について解説しています。
また、非接触事故で立ち去りにあった場合の対処法もお伝えしているので、ぜひご参考ください。

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非接触事故(誘因事故)とは?対応のポイント

まずは、非接触事故(誘因事故)とは何か、非接触事故の被害者はどのような点に気を付けるべきかについて確認していきましょう。

非接触事故(誘因事故)とは?どんな事故か具体例を紹介

非接触事故(誘因事故)とは、相手方の危険行為に誘発されて起きた、当事者同士の物理的な接触がない交通事故のことです。

事故が起きそうになって回避するための行動を取った結果、相手方とはぶつからなかったがほかの人や物にぶつかった、急ブレーキによって自分自身がケガをしたというような場合が該当します。

非接触事故の例としては、以下のものがあげられます。

  • 車の運転中、十字路や丁字路の出会い頭で相手方とぶつかりそうになり、回避したものの縁石やガードレールにぶつかった
  • 車の運転中、交差点で急に右折してきた車を避けた結果、何にもぶつからずに済んだが急ブレーキの衝撃で首を痛めた
  • 歩行中、急に飛び出してきた自転車を避けようとして転倒した
  • バイクの運転中、合図なく進路変更してきた車を避けるため急ブレーキをかけて転倒した

ポイント1|非接触事故が起きたら警察への連絡が必要

非接触事故の被害にあったら、警察への連絡が必要です。たとえ軽いケガしかしていなかったり相手が立ち去ったりしても、警察に連絡を入れましょう。

非接触事故であっても警察への連絡が必要な理由は次のとおりです。

  • 道交72条では、交通事故を起こしたらケガ人の救護、現場の安全確保、警察への通報を行うことと定められている(※非接触事故でも同じ)
  • 警察に連絡しなければ、損害賠償請求や保険金請求で必要な「交通事故証明書」が発行されない
  • 後日、相手が警察に出頭するかもしれない

非接触事故にあい警察に連絡しないまま帰宅したという場合は、後日になっていても良いので警察に連絡を入れてください。

なお、非接触事故では数日後に痛みなどを感じることがあります。警察に連絡したあとは念のため病院へも行くようにしましょう。

非接触事故で加害者が立ち去った場合の対処法や慰謝料は本記事内「非接触事故での立ち去りはひき逃げになる」でより詳しく解説しているので、ご確認ください。

ポイント2|非接触事故の賠償請求は因果関係の証明が鍵

非接触事故であっても、むちうちや打撲、骨折などのケガの治療関係費、損壊した車や自転車、所持品の修理費・弁償代などを加害者側に請求できます。

ただし、損害と非接触事故との因果関係を証明しなければなりません。

示談交渉では、ドライブレコーダー映像や目撃情報などから以下の点を主張しましょう。

  • 被害者が加害者を避けようとした行為は適切かつ必要なものだった
    【例】加害者が不適切に急ブレーキを踏んだため衝突を避けるには急ハンドルを切るしかなかった。
  • 被害者が加害者を避けようとした結果、転倒したりほかの物にぶつかったりしたのはやむを得ないことである
    【例】加害者の行動は予期せぬものであり、咄嗟の判断でより安全性の高い回避行動をとることは不可能だった。

ただし、加害者側は「被害者が勝手に転倒しただけ」「被害者はケガなどの被害が生じないよう回避行動を取れたはず」などとして、非接触事故は言いがかりだと主張してくる可能性があります。

非接触事故と実際の被害との因果関係を証明するのは難しいため、証明方法については事前に弁護士に相談しておくべきでしょう。

非接触事故(誘因事故)の対処法を流れで解説

非接触事故にあったとき、被害者がすべき対応は以下のとおりです。

  1. 相手方に留まってもらい、警察への連絡や情報交換をする
  2. 自分の保険会社にも連絡する
  3. ケガがなくても念のため病院に行く
  4. 治療が終わったあと損害賠償を請求する

それぞれの段階でどのようなことをすべきか、具体的に確認していきましょう。

(1)相手方に留まってもらい、警察への連絡や情報交換をする

先述の通り、非接触事故でも警察への連絡は必要です。

加害者を呼び止めたうえで警察に連絡を入れ、加害者と連絡先交換をしましょう。

非接触事故の場合、お互いにケガをしていないことを確認しそのまま解散してしまいがちですが、たとえばむちうちはあとから症状が出ることも珍しくありません。

ケガや車・自転車などの損傷がないからとそのまま解散するのではなく、相手の連絡先確認も含めきちんと事故対応することが重要です。

ケガ人がいたり現場をそのままにしておくことで二次被害の発生が懸念されたりする場合は、ケガ人救護・現場の安全確保もしましょう。

(2)自分の保険会社にも連絡する

非接触事故が起こったら、自分が加入している任意保険会社にも連絡しておきましょう。相手方の任意保険会社にも、相手方から連絡してもらってください。

多くの場合、保険の約款では「交通事故が発生したらすみやかに保険会社に連絡する」ことが定められています。あとから保険を使えない、保険金を減額されるといった事態を避けるためにも、事故からあまり時間をおかずに連絡しておきましょう。

自分の保険会社に連絡する際は、使える保険をあわせて確認することをおすすめします。

詳しくは本記事内で後述しますが、事故の相手方が立ち去ってしまったり、損害の賠償をなかなか認めなかったりする場合、被害者自身の保険を使って治療費などをまかなうことになるためです。

(3)ケガがなくても念のため病院に行く

非接触事故の被害にあったら、たとえ痛みやしびれといった自覚症状がなくとも、念のためすみやかに病院で診察を受けてください

事故の直後は脳が興奮状態にあるため、痛みやしびれに気づきにくい場合があります。また、先述の通りむちうちはあとから痛みが生じてくることも多いです。

事故の発生から受診まで時間が空くと、「ケガは事故後の日常生活で生じたのでは?」と疑われてしまい、治療費などを支払ってもらえない可能性があります。非接触事故はただでさえ因果関係の立証が難しいので、すみやかな受診は重要です。

もしケガをしていたら、医師の指示にしたがって「完治」または「症状固定」と診断されるまで定期的な治療を続けましょう。

なお、治療の結果、後遺症が残った場合は「後遺障害等級」の認定を受けることで示談金の費目が増えます。

後遺障害認定については、『交通事故の後遺障害とは?認定されたらどうなる?認定の仕組みと認定率の上げ方』をご覧ください。

(4)治療が終わったあと損害賠償を請求する

医師から完治と診断されて治療を終えるか、後遺障害認定の結果が出たら、相手方に事故の損害賠償金を請求しましょう。

通常は、相手方の任意保険会社との示談交渉で損害賠償金や過失割合を話し合い、お互いに合意した金額を支払ってもらう形になります。

請求できる損害賠償金の内訳は、通常の交通事故と同じで以下のとおりです。

非接触事故の損害賠償金の内訳

  • 事故でケガをしたことによる費目
    • 入通院慰謝料(ケガをした精神的苦痛の補償)
    • 休業損害(働けなかった場合の減収の補償)
    • 治療関連費 など
  • 事故で後遺障害を負ったことによる費目
    • 後遺障害慰謝料(後遺障害を負った精神的苦痛の補償)
    • 後遺障害逸失利益(後遺障害のため減る生涯収入の補償)
    • 将来介護費 など
  • 事故で亡くなったことによる費目
    • 死亡慰謝料(亡くなった精神的苦痛の補償)
    • 死亡逸失利益(亡くなったため失われた生涯収入の補償)
    • 葬儀費用
  • 事故で物が壊れたことによる費目
    • 車両の修理費用・買い替え費用 など

ただし、示談交渉では損害賠償金額や事故と損害の因果関係などについて加害者側と揉める可能性が高いです。示談交渉が難航した場合はADRや裁判で解決を目指すことになるでしょう。

示談の進め方や損害賠償金の相場については、以下の関連記事や計算機からご確認ください。

非接触事故の過失割合はどう判断する?

非接触事故で損害賠償を請求するときは、過失割合が争点となりやすいです。損害賠償額にも大きく影響する点なので、詳しく解説します。

過失割合

交通事故が起きた責任が、加害者側と被害者側にそれぞれどれくらいあるかを割合で示したもの。

被害者側にも過失割合がつくと、その割合分、受け取れる賠償金が減額される。

非接触事故でも接触事故の基準をベースにする

非接触事故の過失割合は、類似する通常の接触事故における過失割合をベースに決められます。

ただし、被害者の回避可能性が争点となりやすいことには注意が必要です。

たとえば、「道幅が同じで信号機のない交差点の出会い頭において、自動車同士で起きた事故」を想定してみましょう。

事故状況図

この場合、両者が実際にぶつかった接触事故でも、一方の急ハンドルで衝突が回避された非接触事故でも、基本となる過失割合はともに「左方車:右方車=40:60」です。

非接触事故の場合はここから以下のような要素を反映させ、最終的な過失割合を決めるのです。

  • 修正要素:どちらかに速度違反や前方不注意など考慮すべき過失はなかったか
  • 被害者の回避措置は適切だったか

上記のような点はドライブレコーダー映像から確認できることがあります。ドライブレコーダーの証拠能力については『ドラレコは警察に提出すべき?過失割合への影響や証拠能力も解説』をご覧ください。

過失割合の詳しい決め方やほかの事故類型での過失割合を知りたい:交通事故の過失割合とは?決め方の具体的な手順とパターン別の過失割合

非接触事故の過失割合の裁判例

ここからは、参考として過去の非接触事故の裁判例を紹介します。

裁判例(1)

交差点で青信号を直進していたバイクが、対向車線から右折してきたタクシーとの接触を避けるため急ブレーキをかけハンドルを切った結果、転倒した事故。

過失割合は「バイク:タクシー=25:75」とされた。

理由は以下のとおり。

  • タクシー側は、交差点を右折する際に対向直進車の妨害をしてはならない注意義務があるのにこれを怠り、バイクの進行を妨害して事故を起こした過失がある。
  • 一方、バイク側は右折しようとするタクシーを確認しているのに走行車線の右寄りを走行しており、周囲の車両の動静を注視し、慎重なハンドル操作・ブレーキ操作をする義務を怠った過失がある。

(大阪地方裁判所 平成28年(ワ)第4320号 損害賠償請求事件 平成29年11月14日)

裁判例(2)

バイクが第一車線を直進していたところ、前方の中型トラックが第二車線から第一車線に進路変更してきたため、急ブレーキをかけて転倒した事故。

過失割合は「バイク:トラック=50:50」とされた。

理由は以下のとおり。

  • トラック側は、進路変更にあたり後方の安全を確認すべき注意義務があるのにこれを怠った過失がある。
  • バイク側はトラックの車体が半分以上も第一車線に入った時点で急ブレーキをかけた。急ブレーキから転倒までの時間も短いことも、トラックを認識することが遅かったためと思われ、バイク側の前方不注視の過失は大きい。

(大阪地方裁判所 平成26年(ワ)第9037号 損害賠償請求事件 平成28年9月2日)

裁判例(3)

第一車線を走行していた自転車が、右からトラックに追い越され、歩道側に転倒した事故。

過失割合は「自転車:トラック=40:60」とされた。

理由は以下のとおり。

  • トラック側は、自転車を追い抜くにあたり十分に減速して自転車の動静を注視しなければならない注意義務を怠った過失がある。追い抜きの際は時速約40kmが出ており、自転車の走行に影響を与えたことが推認される。
  • ただし、トラック側は追い抜きにあたり右に進路変更して約1.2mの間隔をとっており、過失が大きいとは言えない。
  • 一方、自転車は車両が比較的高速で通行することが予測される道路を通行しているため、周囲の状況に注意を払って適切なハンドル操作・ブレーキ操作をすべきだったが、トラックが間隔をあけて通過したにもかかわらず転倒している。転倒場所や通行人の言動から、自転車にも著しい不注意があったことが推認される。

(東京地方裁判所 平成25年(ワ)第22478号 損害賠償請求事件 平成27年10月6日)

非接触事故での立ち去りはひき逃げになる

被害者側に人身被害や物損被害が生じているにも関わらず加害者側が立ち去ったら、たとえ非接触事故でもひき逃げ・当て逃げ扱いとなります。

非接触事故で加害者が立ち去った場合の対処法や、損害を補填するために使える保険について見ていきましょう。

非接触事故の相手が立ち去った時の対処法

非接触事故で相手方が事故現場から立ち去ってしまったら、以下の対応を取りましょう。

  • 相手方の車のナンバーを記録する
  • 目撃者に連絡先を聞くなど証拠を確保する
  • 相手方が見つからないときは自分の保険を活用する

それぞれの対処について、詳しく解説します。

相手方の車のナンバーを記録する

非接触事故の相手方が立ち去ろうとした場合、相手方の車のナンバーを確認し、記録しておきましょう。ナンバーがわかれば、あとから調査して相手方を特定しやすくなります。

もし車に乗っていて非接触事故の被害にあったなら、ドライブレコーダーにナンバープレートが映っていないか確認するとよいでしょう。

車のナンバーを確認できなかった場合、車種や車の色などを覚えておけば相手方を特定する手掛かりになる可能性もあります。しかし、ナンバーがわかる場合と比べて特定が難しくなるのは否めません。

目撃者に連絡先を聞くなど証拠を確保する

非接触事故で立ち去りにあった場合、相手方を特定したり損害と事故の因果関係を証明したりするためにも、目撃者などの証拠の確保が重要です。

もし事故の目撃者がいたなら、証言を聞くだけではなく連絡先も交換し、のちの捜査や示談交渉などに協力してもらいたい旨を伝えておくことをおすすめします。

また、事故現場にいた第三者の車がドライブレコーダーを設置していたなら、映像を提供してもらえないか依頼してもよいでしょう。

目撃者以外にも、以下のようなものが証拠として有効な可能性があります。警察に通報し、到着を待つ間にできるかぎり証拠を保全しておくようにしてください。

証拠となりうるもの

  • 事故当時の現場の写真
  • 事故で損傷した部分の写真
  • 現場付近の防犯カメラ映像
    (警察をとおして提供を依頼した方がよい)
  • 被害車両などのドライブレコーダー映像 など

非接触事故で加害者が立ち去った場合に使える保険は?

非接触事故で立ち去った相手方が見つからない間も、車の修理費や治療費などが必要になってきます。その場合は、被害者自身の保険で対応するとよいでしょう。

交通事故にあったとき使える被害者自身の保険は、主に以下のとおりです。

交通事故で使える被害者側の保険

  • 自動車保険の人身傷害保険
    治療費や休業損害といった補償を限度額の範囲内で受け取れる。
  • 自動車保険の搭乗者傷害保険
    あらかじめ設定された一定金額を受け取れる。
    ただし、契約車両に乗っていてケガをした場合に限る。
  • 自動車保険の無保険車傷害保険
    事故の相手方が無保険や相手方が不明のときに使える。
    ただし、被害者が後遺障害を負った場合や死亡した場合に限る。
  • 自動車保険の車両保険
    車両の修理費などを受け取れる。
    利用すると保険料が上がる可能性もある点に注意。
  • 労災保険
    通勤中または勤務中の人身事故に限る。
  • 健康保険 など

上記の各保険が非接触事故で使えるかどうかは、あらかじめ保険会社にご確認ください。

交通事故で使える保険については、『交通事故で使える保険の種類と請求の流れ|被害者自身の保険も使える?』の記事でまとめているので、あわせてお読みいただくことをおすすめします。

人身事故なら政府の保障事業も使える

非接触事故で相手方が不明であり、かつケガをしているなら、政府の保障事業も利用できる可能性があります。

政府の保障事業とは、相手方が無保険の場合や相手方が不明な場合に、被害者への救済措置として政府が損害を負担する制度です。政府の保障事業を使えば、自賠責保険から受けられる補償と同程度の補償を受けられます。

ただし、事故の相手方の行動と事故との因果関係を証明できない場合、政府の保障事業も利用できない可能性がある点には注意してください。

立ち去りだと相場以上の慰謝料獲得も見込める

加害者が立ち去った非接触事故はひき逃げ・当て逃げとして扱われます。

この場合、事故後に取るべき対応を怠った無責任さや悪質性を考慮して、被害者が受け取れる慰謝料が増額される可能性があるでしょう。

たとえば加害者が立ち去って慰謝料が増額された判例としては以下のものがあります。

事故により全治一週間の被害を受け1日通院で全治したが、事故直後、加害者が被害者を現場に放置したまま走り去ったため、傷をおして追跡し立ち合い等をした被害者につき、20万円を認めた

事故日平7.2.3 神戸地判平12.9.14 交民33・5・1515

通院や入院によって請求できる入通院慰謝料は、過去の判例に沿った法的正当性の高い基準で計算しても、全治一週間・実通院1日では通常20万円にはなりません。

しかし、加害者が立ち去ったことを考慮して20万円の慰謝料が認められたのです。

ただし、慰謝料は原則として人身被害が生じている場合のみ請求できる費目です。物損被害しか生じていない非接触事故で加害者が立ち去ったとしても、そもそも慰謝料の請求自体難しいでしょう。

非接触事故でよくある疑問にお答え

ケガなしの非接触事故でも加害者側に賠償請求できる?

非接触事故でケガをしていなくても、車や自転車に傷がついたり所持品が損壊したりしていれば物損に関する賠償金を加害者側に請求できます。

ただし、ケガも物的損害も発生していない場合、非接触事故として加害者側に損害賠償請求するのは難しいです。そもそも、警察庁は交通事故を以下のように定義しています。

「交通事故」とは、道路交通法第2条第1項第1号に規定する道路において、車両等及び列車の交通によって起こされた事故で、人の死亡又は負傷を伴うもの(人身事故)並びに物損事故をいう。

用語の解説(警察庁HPより)

「飛び出してきた自転車を避けたが不快な気分になった」「車とバイクがギリギリでぶつかりそうになり怖い思いをした」といった状況では、非接触事故として相手方が刑罰に問われたり、相手方に損害賠償を請求したりできる可能性はほとんどないと考えてください。

なお、交通事故の損害賠償金の中には、精神的苦痛を補償するものとして慰謝料があります。しかし、これは原則として身体に生じた損害による精神的苦痛に対して支払われるものなのでケガなしで請求できることはほぼありません。

加害者に「非接触事故は言いがかり」と言われたら?

非接触事故について加害者側から「言いがかりだ」「被害者が勝手に動いて転んだだけだ」などと言われた場合は、「加害車両の運行が予測を裏切るような常軌を逸したもの」だったことを証明する必要があります。

実際の判例においても以下のような言及がなされています。

加害車両の運行が被害者たる歩行者の予測を裏切るような常軌を逸したものであつて、歩行者が、これによつて危難を避けるべき方法を見失い転倒して受傷するなど、衝突にも比すべき事態によつて傷害を受けた場合には、車両が歩行者に接触しなくても、車両の運行と歩行者の受傷との間に相当因果関係があると解すべきである

最判昭和47年5月30日(裁判所のHPより)

ドライブレコーダー映像や事故現場周辺の防犯カメラ映像、目撃者の情報、過去の判例などをもとに、加害者の運行によって損害が生じる蓋然性があったこと、被害者の回避行動は適当であったことを主張する必要があるでしょう。

ただし、非接触事故において加害者の運行の危険性や被害者の回避措置の妥当性を証明するのは難しいものです。

通常の接触事故とは違うアプローチが必要になるので、交渉慣れした弁護士に相談してアドバイスを受けたり、交渉を任せたりすることをおすすめします。

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非接触事故(誘因事故)のまとめ

非接触事故でも、相当因果関係があれば相手方に損害賠償を請求できます

ただし、非接触事故では相手方が事故に気付かず立ち去ってしまうことも多いため注意が必要です。立ち去りにあった場合は、証拠の確保が重要になります。

また、非接触事故では通常の交通事故の基準をベースに過失割合を算定しますが、被害者側の回避措置の妥当性などについて争うことも多いでしょう。

損害賠償金や過失割合について相手方の任意保険会社ともめているなら、弁護士への無料相談もご検討ください

非接触事故の過失割合は算定が非常に難しいです。法律知識をもとに総合的な判断を行う必要があるので、法律の専門家である弁護士がお力になれることでしょう。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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