非接触事故(誘因事故)とは?立ち去りへの対処法や過失割合も解説

非接触事故(誘因事故)とは、相手方とはぶつからずに発生した事故です。
「急に飛び出してきた自動車を急ブレーキで避けたら首を痛めた!」
「急に車線変更してきた自動車を避けてバイクで転んだ!」
上記のような、物理的な接触がない交通事故を非接触事故と呼びます。
非接触事故でも、相手方の運転と発生した損害に因果関係があれば、損害賠償を請求できます。
しかし、因果関係の立証が難しいことや、過失割合で非常にもめやすいことには注意しなければなりません。
この記事では、非接触事故にあったときの対応や過失割合について解説しています。
また、非接触事故で立ち去りにあった場合の対処法もお伝えしているので、ぜひご参考ください。
目次
非接触事故(誘因事故)とは?
非接触事故(誘因事故)とは?具体例で解説
非接触事故(誘因事故)とは、相手方の危険行為に誘発されて起きた、当事者同士の物理的な接触がない交通事故のことです。
非接触事故の例としては、以下のものがあげられます。
非接触事故の例
- 車の運転中、交差点の出会い頭で相手方とぶつかりそうになり、回避したものの縁石やガードレールにぶつかった
- 車の運転中、交差点で急に右折してきた車を避けた結果、何にもぶつからずに済んだが急ブレーキの衝撃で首を痛めた
- 歩行中、急に飛び出してきた自転車を避けようとして転倒した
- バイクの運転中、合図なく車線変更してきた車を避けるため急ブレーキをかけて転倒した
非接触事故で加害者側に科される罰則
非接触事故の加害者に対する処罰は、事故後の行動によって大きく異なります。具体的には次のとおりです。
- 事故後に停止して救護措置を取った場合
- 過失運転致死傷罪:7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
- 事故後にそのまま逃げた場合(ひき逃げ・あて逃げ)
- 過失運転致死傷罪:7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
- 救護義務違反:10年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
- 報告義務違反:1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金
なお、実際の刑罰は事故の状況や被害の程度、加害者の前科の有無などを総合的に判断して決定されます。
また、刑事罰とは別に、加害者は被害者に対して損害賠償金を支払わなければなりません。
非接触事故(誘因事故)の基本的な対応フロー
もしもあなたが非接触事故に遭った場合は、以下の流れで対処しましょう。
(1)警察に連絡
(2)早いうちに病院へ行き治療
(3)示談交渉で損害賠償請求
それぞれのフェーズについて、詳しく解説します。
(1)警察に連絡|交通事故証明書などのため必要
非接触事故の被害にあったら、警察への連絡が必要です。たとえ軽いケガしかしていなくても、警察に連絡を入れましょう。
非接触事故であっても警察への連絡が必要な理由は次のとおりです。
- 警察に連絡しなければ、損害賠償請求や保険金請求で必要な「交通事故証明書」が発行されない
- 道交法72条では、交通事故を起こしたらケガ人の救護、現場の安全確保、警察への通報を行うことと定められている(※非接触事故でも同じ)
通報後は警察の到着を待つ間に、加害者側と連絡先などの交換をしましょう。
ケガ人がいたり現場をそのままにしておくことで二次被害の発生が懸念されたりする場合は、ケガ人救護・現場の安全確保もしてください。
非接触事故で加害者が立ち去った場合の対処法や慰謝料は本記事内「非接触事故での立ち去りはひき逃げ!対処法は?」でより詳しく解説しています。
なお、非接触事故にあい警察に連絡しないまま帰宅したという場合は、後日になっていても良いので警察に連絡を入れてください。
- 加害者と交換しておくべき情報は?:交通事故被害者がすべき対応や慰謝料は?してはいけない行動まで解説
- 警察への事故報告を怠った場合の罰則は?:交通事故後は警察への報告義務がある|伝える内容や連絡後の流れも解説
自分の保険会社への連絡も必要
非接触事故が起こったら、自分が加入している任意保険会社にも連絡しておきましょう。相手方の任意保険会社にも、相手方から連絡してもらってください。
多くの場合、保険の約款では「交通事故が発生したらすみやかに保険会社に連絡する」ことが定められています。あとから保険を使えない、保険金を減額されるといった事態を避けるためにも、事故からあまり時間をおかずに連絡しておきましょう。
自分の保険会社に連絡する際は、使える保険をあわせて確認することをおすすめします。
事故の相手方が立ち去ってしまったり、損害の賠償をなかなか認めなかったりする場合、被害者自身の保険を使って治療費などをまかなうことになるためです。
(2)早いうちに病院へ行き治療
非接触事故の被害にあったら、たとえ痛みやしびれといった自覚症状がなくとも、念のためすみやかに病院で診察を受けてください。
事故の直後は脳が興奮状態にあるため、痛みやしびれに気づきにくい場合があります。また、むちうちはあとから痛みが生じてくることも多いです。
事故の発生から受診まで時間が空くと、「ケガは事故後の日常生活で生じたのでは?」と疑われてしまい、治療費などを支払ってもらえない可能性があります。非接触事故はただでさえ因果関係の立証が難しいので、すみやかな受診は重要です。
もしケガをしていたら、医師の指示にしたがって「完治」または「症状固定」と診断されるまで定期的な治療を続けましょう。
- むちうちで通院する際の注意点は?:交通事故によるむちうちの症状・治療期間・後遺症|慰謝料相場も解説
- 整骨院通院はすぐに始めると慰謝料減額の対象になることも:交通事故の治療を整骨院で受けても慰謝料はもらえる
なお、治療の結果、後遺症が残った場合は「後遺障害等級」の認定を受けることで示談金の費目が増えます。
後遺障害認定については、『後遺障害等級が認定されるには?|認定の仕組みと認定率の上げ方を解説』をご覧ください。
(3)示談交渉で損害賠償請求
医師から完治と診断されて治療を終えるか、後遺障害認定の結果が出たら、相手方に事故の損害賠償金を請求しましょう。
ただし、示談交渉では損害賠償金額や事故と損害の因果関係などについて加害者側と揉める可能性が高いです。示談交渉が難航した場合はADRや裁判で解決を目指すことになるでしょう。
通常は、相手方の任意保険会社との示談交渉で損害賠償金や過失割合を話し合い、お互いに合意した金額を支払ってもらう形になります。
非接触事故で請求できる損害賠償金については、後ほど詳しく解説します。
示談の進め方や損害賠償金の相場については、以下の関連記事や計算機からご確認ください。
非接触事故での立ち去りはひき逃げ!対処法は?
被害者側に人身被害や物損被害が生じているにも関わらず加害者側が立ち去ったら、たとえ非接触事故でもひき逃げ・当て逃げ扱いとなります。
非接触事故で加害者が立ち去った場合の対処の流れは、基本的には上で解説したものと同じです。ただし、加害者が立ち去った場合ならではの注意点もあるので、解説していきます。
加害者特定につながる証拠を押さえる
非接触事故で相手方が事故現場から立ち去ってしまったら、以下の対応を取りましょう。
- 相手方の車のナンバーを記録する
- 目撃者に連絡先を聞くなど証拠を確保する
それぞれの対処について、詳しく解説します。
相手方の車のナンバーを記録する
非接触事故の相手方が立ち去ろうとした場合、相手方の車のナンバーを確認し、記録しておきましょう。ナンバーがわかれば、あとから調査して相手方を特定しやすくなります。
もし車に乗っていて非接触事故の被害にあったなら、ドライブレコーダーにナンバープレートが映っていないか確認するとよいでしょう。
車のナンバーを確認できなかった場合、車種や車の色などを覚えておけば相手方を特定する手掛かりになる可能性もあります。しかし、ナンバーがわかる場合と比べて特定が難しくなるのは否めません。
目撃者に連絡先を聞くなど証拠を確保する
非接触事故で立ち去りにあった場合、相手方を特定したり損害と事故の因果関係を証明したりするためにも、目撃者などの証拠の確保が重要です。
もし事故の目撃者がいたなら、証言を聞くだけではなく連絡先も交換し、のちの捜査や示談交渉などに協力してもらいたい旨を伝えておくことをおすすめします。
また、事故現場にいた第三者の車がドライブレコーダーを設置していたなら、映像を提供してもらえないか依頼してもよいでしょう。
目撃者以外にも、以下のようなものが証拠として有効な可能性があります。警察に通報し、到着を待つ間にできるかぎり証拠を保全しておくようにしてください。
証拠となりうるもの
- 事故当時の現場の写真
- 事故で損傷した部分の写真
- 現場付近の防犯カメラ映像
(警察をとおして提供を依頼した方がよい) - 被害車両などのドライブレコーダー映像 など
警察に通報する|加害者が出頭する可能性も
非接触事故にあったら、警察に連絡しましょう。
先述の通り、事故を警察に通報することは道路交通法上の義務だからです。
また、加害者が立ち去った場合は、警察に通報すれば捜査される可能性もありますし、加害者が出頭してきて示談に向けて話し合いができる可能性もあります。
自分の保険を使って損害に対処する
非接触事故で立ち去った相手方が見つからない間も、車の修理費や治療費などが必要になってきます。その場合は、被害者自身の保険で対応するとよいでしょう。
交通事故にあったとき使える被害者自身の保険は、主に以下のとおりです。
交通事故で使える被害者側の保険
- 自動車保険の人身傷害保険
治療費や休業損害といった補償を限度額の範囲内で受け取れる。 - 自動車保険の搭乗者傷害保険
あらかじめ設定された一定金額を受け取れる。
ただし、契約車両に乗っていてケガをした場合に限る。 - 自動車保険の無保険車傷害保険
事故の相手方が無保険や相手方が不明のときに使える。
ただし、被害者が後遺障害を負った場合や死亡した場合に限る。 - 自動車保険の車両保険
車両の修理費などを受け取れる。
利用すると保険料が上がる可能性もある点に注意。 - 労災保険
通勤中または勤務中の人身事故に限る。 - 健康保険 など
上記の各保険が非接触事故で使えるかどうかは、あらかじめ保険会社にご確認ください。
交通事故で使える保険については、『交通事故で使える保険の種類と請求の流れ|被害者自身の保険も使える?』の記事でまとめているので、あわせてお読みいただくことをおすすめします。
人身事故なら政府の保障事業も使える
非接触事故で相手方が不明であり、かつケガをしているなら、政府の保障事業も利用できる可能性があります。
政府の保障事業とは、相手方が無保険の場合や相手方が不明な場合に、被害者への救済措置として政府が損害を負担する制度です。政府の保障事業を使えば、自賠責保険から受けられる補償と同程度の補償を受けられます。
ただし、事故の相手方の行動と事故との因果関係を証明できない場合、政府の保障事業も利用できない可能性がある点には注意してください。
【コラム】非接触の立ち去り(ひき逃げ)で慰謝料増額?
被害者がケガをしたにもかかわらず、加害者が立ち去ってしまった非接触事故はひき逃げとして扱われます。
ひき逃げの場合、事故後に取るべき対応を怠った無責任さや悪質性を考慮して、被害者が受け取れる慰謝料が増額される可能性があります。
もっとも非接触事故の場合、その証明や認定は実際には困難です。
慰謝料増額が認められなかった裁判例
京都地判平24・1・16(平成22年(ワ)4337号)
自動車を運転中の原告が、被告トラックが車線変更してきたため衝突の危険を感じ急ハンドルを切ったところ、ガードレールに衝突した。
裁判所の判断
「…同被告が現場に停止しなかったことを慰謝料の増額事由にすべきであるとはいえない。…」
京都地判平24・1・16(平成22年(ワ)4337号)
- 加害者は事故後その場から立ち去った
- 事故の発生に気づかなかったという供述が虚偽とは言えないとされた
- 過失割合は加害者8割、被害者2割
損害賠償額
107万円7782円
非接触事故で因果関係を否定されたときの対処法
非接触事故で最も多いトラブルは、事故相手から「そちらが転んだのは私のせいではない」と事故と損害の因果関係を否定されることです。
実際に因果関係が無いとされると、被害者には1円も損害賠償金が認められなくなってしまいます。
(1)客観的な証拠を集めて加害者側と交渉する
因果関係がない、という相手の主張を覆すには、「加害車両の運行が予測を裏切るような常軌を逸したもの」「回避行動が合理的なものであったこと」「それにより損害を負ったこと」などを証明する必要があります。
実際の判例においても以下のような言及がなされています。
加害車両の運行が被害者たる歩行者の予測を裏切るような常軌を逸したものであつて、歩行者が、これによつて危難を避けるべき方法を見失い転倒して受傷するなど、衝突にも比すべき事態によつて傷害を受けた場合には、車両が歩行者に接触しなくても、車両の運行と歩行者の受傷との間に相当因果関係があると解すべきである。
最判昭和47年5月30日(裁判所のHPより)
よって、被害者としては以下のような証拠を集め、事故相手に反論していくことになります。
因果関係に関する資料
- 加害者の運行の異常性、回避行動の合理性を立証
- 交通事故証明書
- 実況見分調書
- 当事者の供述調書
- ドライブレコーダー映像
- 防犯カメラ映像
- 目撃者の証言
- 損害の合理性を立証
- 事故直後の診断書
- 合理性のある医療記録
- 医師の意見書
- 事故状況と合致する車の傷
もっとも、非接触事故において加害者の運行の危険性や被害者の回避措置の妥当性を証明するのは難しいものです。
通常の接触事故とは違うアプローチが必要になるので、交渉慣れした弁護士に相談してアドバイスを受けたり、交渉を任せたりすることをおすすめします。
(2)因果関係を認めるよう被害者請求を行う
加害者が自動車やバイクの場合、因果関係を認めるように加害者側の自賠責保険会社に被害者請求を行うことができます。
もしも被害者請求により因果関係が認められれば、加害者側の保険会社も損害賠償請求に応じざるをえなくなります。
また、一度自賠責保険会社より「因果関係なし」と認定されている場合でも、新しい証拠があれば異議申し立てという手続きにより、再度因果関係を認めるよう請求できます。
関連記事
自賠責保険への被害者請求とは?やり方やデメリット、すべきケースを解説
非接触事故で過失割合でもめたときの対処法
非接触事故で損害賠償を請求するときは、過失割合も争点となりやすいです。
用語解説|過失割合とは?
交通事故が起きた責任が、加害者側と被害者側にそれぞれどれくらいあるかを割合で示したもの。
被害者側にも過失割合がつくと、その割合分、受け取れる賠償金が減額される。
非接触事故の過失割合については、通常の接触事故における過失割合をベースに決定されます。
もっとも、加害者側はしばしば「被害者側の避け方が危険だったので、被害者側にも過失がある」という主張をしてくるため、過失割合でもめることがあります。
(1)被害者の回避措置は合理性があったと主張する
被害者側の回避措置について反論するには、以下のような主張が必要です。
- 回避措置は適切なものだった
【例】車間距離に余裕がなく、被害者の回避措置の遅れもなかった。 - 回避措置は必要なものだった
【例】被害者の前を走る加害者が不適切に急ブレーキを踏んだため、衝突を避けるには急ハンドルを切るしかなかった。 - 回避措置による損害発生はやむを得ないものだった
【例】加害者の行動は予期せぬものであり、咄嗟の判断でより安全性の高い回避行動をとることは不可能だった。
このような主張をするには、実況見分調書、ドライブレコーダーなどの証拠が必要です。
(2)過失割合は妥協して示談金額を交渉する
非接触事故の場合、事故相手は「自分はぶつかっていない」という気持ちが強いため、きちんと証拠を揃えても過失割合の交渉に応じてもらえないこともあります。
その場合、「過失割合は〇:〇でいいので、最終的な示談金が〇万円以上になるようにしてほしい」という方向で示談交渉をすることも考えられます。
過失を認める以上大幅な増額は難しいですが、案外あっさりと受け入れてもらえることもあります。
非接触事故(誘因事故)の過失割合の裁判例
ここからは、参考として過去の非接触事故の裁判例を紹介します。
非接触側のどのような行為が過失となっているのか、見ていきましょう。
バイクとタクシーの非接触事故
大阪地判平29・11・14(平成28年(ワ)4320号)
交差点で青信号を直進していた原告バイクが、対向車線から右折してきた被告タクシーとの接触を避けるため急ブレーキをかけハンドルを切って転倒し、打撲等の傷害を負った。
裁判所の判断
「…過失割合は,原告が25パーセント,被告Y1が75パーセントとするのが相当…」
大阪地判平29・11・14(平成28年(ワ)4320号)
- タクシーは対向車の進行妨害してはいけない注意義務を怠った
- バイクもタクシーの横をすり抜けるときは慎重なハンドル及びブレーキ操作をすべきだった
過失割合
バイク:タクシー=25:75
バイクとトラックの非接触事故
大阪地判平28・9・2(平成26年(ワ)9037号)
原告バイクが第一車線を直進していたところ、前方の被告中型トラックが第二車線から第一車線に進路変更してきたため、急ブレーキをかけて転倒し、打撲等の傷害を負った。
裁判所の判断
「…非接触事故であることなども考慮すると,過失相殺率を50パーセントと認めるのが相当…」
大阪地判平28・9・2(平成26年(ワ)9037号)
- トラックは進路変更にあたり後方の安全を確認すべき注意義務を怠った
- バイクはトラックを認識するのが遅く、前方不注視の過失は大きい
過失割合
バイク:トラック=50:50
自転車とトラックの非接触事故
東京地判平27・10・6(平成25年(ワ)22478号)
第一車線を走行していた原告自転車が、右から被告トラックに追い越される際に歩道側に転倒し、左肩腱板損傷などの傷害を負った。
裁判所の判断
「…原告に生じた損害について40%の過失相殺をするのが相当…」
東京地判平27・10・6(平成25年(ワ)22478号)
- トラックは追い越しの際に自転車を注視する注意義務を怠った
- 一方でトラックは追い越しにあたり右に進路変更して約1.2mの間隔を取っていた
- 自転車にも著しい不注意があったことが推認される
過失割合
自転車:トラック=40:60
非接触事故(誘因事故)での損害賠償請求
続いて、非接触事故における損害賠償請求について解説します。
どのような費目を請求できるか、請求のポイントはあるかをみていきましょう。
非接触事故で請求できる損害賠償金
請求できる損害賠償金の内訳は、通常の交通事故と同じで以下のとおりです。
非接触事故の損害賠償金の内訳
- 事故でケガをしたことによる費目
- 入通院慰謝料(ケガをした精神的苦痛の補償)
- 休業損害(働けなかった場合の減収の補償)
- 治療関連費 など
- 事故で後遺障害を負ったことによる費目
- 後遺障害慰謝料(後遺障害を負った精神的苦痛の補償)
- 後遺障害逸失利益(後遺障害のため減る生涯収入の補償)
- 将来介護費 など
- 事故で亡くなったことによる費目
- 死亡慰謝料(亡くなった精神的苦痛の補償)
- 死亡逸失利益(亡くなったため失われた生涯収入の補償)
- 葬儀費用
- 事故で物が壊れたことによる費目
- 車両の修理費用・買い替え費用 など
後遺障害に関する賠償金は、後遺障害認定で「後遺障害等級」を獲得していなければ、原則として請求できません。
後遺症が残った場合はまず、後遺障害認定を受けましょう。
また、加害者側が提示してくる損害賠償金は、「金額が低くなるよう設定された計算方法」で算出されていることが多いです。
本来の相場は「弁護士基準」と呼ばれる基準に基づいて算出されたものなので、提示額を鵜呑みにせず、ご自身で相場を確認するようにしましょう。
ケガなしの非接触事故でも加害者側に賠償請求できる?
非接触事故でケガをしていなくても、車や自転車に傷がついたり所持品が損壊したりしていれば物損に関する賠償金を加害者側に請求できます。
ただし、ケガも物的損害も発生していない場合、非接触事故として加害者側に損害賠償請求するのは難しいです。
「飛び出してきた自転車を避けたが不快な気分になった」「車とバイクがギリギリでぶつかりそうになり怖い思いをした」といった状況では、非接触事故として相手方が刑罰に問われたり、相手方に損害賠償を請求したりできる可能性はほとんどないと考えてください。
なお、交通事故の損害賠償金の中には、精神的苦痛を補償するものとして慰謝料があります。しかし、これは原則として身体に生じた損害による精神的苦痛に対して支払われるものなのでケガなしで請求できることはほぼありません。
- 弁護士費用の自己負担を減らす方法:交通事故の弁護士費用相場はいくら?弁護士費用特約を使って負担軽減
- 弁護士に相談・依頼するメリットはさまざま:交通事故を弁護士に依頼するメリット9選と必要な理由|弁護士は何をしてくれる?
非接触事故(誘因事故)のまとめ
非接触事故でも、相当因果関係があれば相手方に損害賠償を請求できます。
ただし、非接触事故では相手方が事故に気付かず立ち去ってしまうことも多いため注意が必要です。立ち去りにあった場合は、証拠の確保が重要になります。
また、非接触事故では通常の交通事故の基準をベースに過失割合を算定しますが、被害者側の回避措置の妥当性などについて争うことも多いでしょう。
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非接触事故の過失割合は算定が非常に難しいです。法律知識をもとに総合的な判断を行う必要があるので、法律の専門家である弁護士がお力になれることでしょう。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了